JPH08132204A - 連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造方法

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JPH08132204A
JPH08132204A JP27640894A JP27640894A JPH08132204A JP H08132204 A JPH08132204 A JP H08132204A JP 27640894 A JP27640894 A JP 27640894A JP 27640894 A JP27640894 A JP 27640894A JP H08132204 A JPH08132204 A JP H08132204A
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晃三 太田
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章裕 山中
Yoshinori Tanizawa
好徳 谷澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】鋳造条件の変化、鋳片内部の凝固の進展とかか
わりなく、所定の条件で圧下を施し、しかも中心偏析の
原因となる収縮流動を効果的に防止することができる連
続鋳造方法を提供する。 【構成】連続鋳造鋳片の末期凝固部で軽圧下を加える連
続鋳造方法において、圧下開始点を 0.0≦fs≦0.2 の範
囲とし、圧下終了点を 0.8≦fs≦1.0 とし、その間にお
いて連続圧下を行い、かつ、流動限界固相率を基準と
した固液界面における圧下量の総和を 0.6〜1.4mm 以下
とするか、または、流動限界固相率を基準とした固液
界面における圧下速度を0.15〜0.3mm/min 以下とするこ
とを特徴とする連続鋳造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の連続鋳造におい
て、完全に凝固する前の鋳片に軽圧下を加えて鋳片の中
心偏析を防止する連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法で鋳片を製造する場合には、
しばしば、中心偏析と呼ばれる内部欠陥が問題となる。
この中心偏析は、鋳片の厚み中心部(最終凝固部)で
C、S、P、Si、Mnなどの溶鋼成分が正偏析する現象で
ある。中心偏析は、靱性の低下や水素誘起割れの原因と
なるので、特に厚板用素材においては深刻な問題を惹起
する。
【0003】中心偏析は、凝固末期におけるデンドライ
トの樹間に残る溶鋼がバルジングあるいは凝固収縮等の
原因により、マクロ的に移動することと、前記の成分が
濃化した溶鋼が局部的に集積するために生じることがわ
かっている。この中心偏析の防止対策としては、凝固先
端部付近を何らかの方法で圧下することにより、末期凝
固部の凝固収縮分を補償して濃化溶鋼の流動を抑制する
方法が有効とされ、種々の思想に基づく方法が提案され
てきた。
【0004】上記の圧下による中心偏析の改善程度と、
単位時間あるいは単位鋳造方向長さ当たりの圧下量(以
下、単に「圧下量」と記す)および圧下時期との間には
明確な相関があり、圧下量と圧下時期に関する定量的な
検討もなされている。
【0005】例えば、特公昭59−39225 号公報には、タ
ンディッシュ内の溶鋼過熱度を30〜70℃に調整し、か
つ、クレーターエンド(未凝固部の先端)近傍で 0.5〜
2.0mm/m の圧下を加える連続鋳造方法が示されている。
【0006】また、特公平5−30548 号公報には、鋳片
の中心部が液相線温度となる時点から、流動限界固相率
になるまでの時期とそれ以後の凝固時期の圧下量を調整
する方法が提案されている。
【0007】しかし、これらの方法においては、クレー
ターエンド近傍あるいは鋳片の中心部が流動限界固相率
となるまでの時期の圧下量が一定であるから、圧下不足
や過圧下を生じやすいという欠点がある。それは以下の
理由による。
【0008】後に詳しく説明するように、設定圧下量が
固液界面に伝わる割合 (以下、「圧下効率(α)」と記
す) は、鋳造下流側に向かって小さくなる。従って、同
じ圧下量を表面から加えても、固液界面に伝わる圧下量
は凝固時期で変わってくる。
【0009】即ち、任意位置の凝固収縮分を基準にした
場合、それより上流側では過圧下になり、それより下流
側では圧下不足になる。前記の公報等に開示される方法
における如く、長い範囲にわたって一定の圧下量で圧下
を加えると、トータルで過圧下や圧下不足を誘発しやす
いのである。圧下不足では当然に中心偏析防止の効果が
小さく、一方、過圧下になると逆V偏析が生じる。
【0010】上記のような問題点に対して、特開平3−
90263 号公報、特公平5−73506 号公報および特公平5
−73507 号公報には、鋳造下流側に向かうほど圧下速度
を大きくしていく連続鋳造方法が示されている。しか
し、これらの方法にも未だ次のような問題点が残る。即
ち、特開平3−90263 号公報に開示されている方法は、
圧下速度の増加条件の範囲が圧下不足となる条件から過
圧下となる条件まで包含しており、中心偏析の改善効果
が安定して得られないと考えられる。
【0011】特公平5−73506 号公報に開示される方法
では、中心偏析の改善を安定して達成するための圧下量
に関する具体的な条件が明らかでない。
【0012】特公平5−73507 号公報の方法では、ロー
ル反力による数値限定がなされているが、ロール反力と
適正圧下量との関係が記述されておらず、凝固収縮によ
る流動防止のための考え方が明らかにされていない。さ
らに、上記の3つの公報に示される方法では、鋳片温度
分布の圧下条件に及ぼす影響が考慮されていないという
に共通の問題点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】凝固末期における軽圧
下が連続鋳造鋳片の中心偏析の軽減に有効であることは
知られているが、従来の方法では適切な圧下量の選定が
困難で圧下不足あるいは過圧下により中心偏析の改善が
充分でないか、むしろ中心偏析が増加することさえあっ
た。
【0014】本発明の目的は、鋳造速度や二次冷却条件
(鋳片表面温度、ひいては鋳片断面の温度勾配)等の鋳
造条件の変化および鋳片内部の凝固の進展(未凝固厚み
の変化)とかかわりなく、所定の条件で圧下を施し、し
かも中心偏析の原因となる収縮流動を従来方法以上に効
果的に防止することができる連続鋳造方法を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1) およ
び(2) の連続鋳造方法を要旨とする。
【0016】(1) 連続鋳造鋳片の末期凝固部で軽圧下を
加える連続鋳造方法において、圧下開始点を 0.0≦fs≦
0.2 の範囲とし、圧下終了点を 0.8≦fs≦1.0 とし、そ
の間において連続圧下を行い、かつ、流動限界固相率を
基準とした固液界面における圧下量の総和を 0.6〜1.4m
m 以下とすることを特徴とする連続鋳造方法。
【0017】(2) 連続鋳造鋳片の末期凝固部で軽圧下を
加える連続鋳造方法において、圧下開始点を 0.0≦fs≦
0.2 の範囲とし、圧下終了点を 0.8≦fs≦1.0 とし、そ
の間において連続圧下を行い、かつ、流動限界固相率を
基準とした固液界面における圧下速度を0.15〜0.3mm/mi
n 以下とすることを特徴とする連続鋳造方法。
【0018】上記(1) および(2) の方法において、fsは
鋳片の厚み中心固相率である。また、上記の「固液界
面」とは流動限界固相率(約 0.7〜0.8 )に達した鋳片
内部の位置を意味する。
【0019】図2は、凝固シェル4の内部に未凝固部3
が存在する鋳片を圧下した場合の固液界面5の圧下速
度、圧下効率等のパラメータの定義を説明するための鋳
片断面模式図である。図示の10の位置でピンチロールに
よる圧下を加えたとき、図示の各記号は次のように定義
される。
【0020】 δS :表面圧下量 (mm) L :圧下を受けた距離( m ) δI :固液界面圧下量 (mm) VC :鋳造速度 ( m/min ) ここで、固液界面の圧下速度をRI (mm/min )とすると RI =(δI / L )×VC である。即ち、固液界面の圧下速度RI は、固液界面に
おける単位時間当たりの圧下量として求められる。ま
た、圧下効率αは、 α=(δI /δS ) で表される。なお、δI は、例えば、メニスカスからFe
SやPbのような比重が大きく固液界面に堆積するトレー
サーを添加し、その移動を追跡することによって測定で
きる。
【0021】
【作用】従来から中心偏析の改善のためには最適な軽圧
下量が存在することは知られており、しかも、その圧下
量は、鋳片表面温度(言い換えれば鋳片内部の温度分
布)、凝固の程度によって変動することも経験的にわか
っていた。従って、未凝固部を持つ鋳片の圧下に際して
は鋳片の凝固の程度、2次冷却条件(鋳片内温度勾配)
に応じて圧下条件を変更しなければならないものと考え
られていた。
【0022】本発明者は様々な鋳造条件に対応可能であ
る軽圧下条件の指標を提供し、かつ中心偏析改善のため
の凝固末期軽圧下を従来より有効に行うために、固液界
面の圧下挙動に着目して研究をすすめた。
【0023】図5は鋼の連続鋳造で未凝固部分を含む鋳
片に圧下を加えた場合の鋳片表面圧下速度RS (mm/min)
と中心偏析の関係を調べた結果を示す図である。ここで
は圧下中の鋳片表面温度が 700〜900 ℃の場合と 900〜
1000℃の場合の2つに分けて整理してある。なお、中心
偏析は後述する実施例に示す炭素偏析度 (C/CO )で
評価した。
【0024】図5に示すように鋳片表面温度が高くなる
ほど、偏析度 (C/CO ) を低くするための表面圧下速
度 (RS ) を大きくする必要がある。
【0025】図6(b)は同(a)に示すような3種の
圧下パターンで軽圧下を行ったときの中心偏析発生状況
の調査結果である。図6(a)に示すパターン1、即
ち、凝固の進行と共に圧下勾配を大きくしていく圧下形
態の時に最も中心偏析の改善程度が大きい。これらの結
果は、鋳片内部の温度分布、凝固の進行程度に応じた圧
下量を選定する必要があることを意味する。
【0026】図5および図6のような結果が生じる理由
は以下のように考えられる。
【0027】鋳片をロールにより圧下する場合、表面か
ら加えた圧下量はそのまま固液界面に伝播するわけでは
なく、表面圧下量と固液界面に伝わる圧下量の比(前記
の圧下効率α)は 1.0以下である。これは、鋳片未凝固
部の変形抵抗、流動抵抗等のために、表面圧下量が鋳片
の幅拡がりと先進等に消費されるからである。
【0028】図7にメニスカスからの距離、即ち、鋳造
進行方向の距離と圧下効率αの関係の一例を示す。α
は、先に説明したように図2に示す方法で求めた。
【0029】本発明者は、この実験データか、有限要素
法による応力解析モデルを構築し、様々な条件での固液
界面の圧下挙動を推算した。
【0030】凝固の進行と共に、未凝固部の抵抗が固液
界面に及ぼす影響が大きくなるため、αは小さくなる。
また、鋳片温度が高くなるほど(即ち、鋳片内部の温度
勾配が小さいほど)、凝固シェル剛性は小さく、表面圧
下量が鋳片の幅拡がりと先進に消費されやすくなるため
にαは小さくなる。従って、仮に一定の圧下勾配で鋳片
を圧下しても、図8に示すように凝固時期(メニスカス
からの距離)および鋳片内温度勾配(鋳片表面温度)に
より固液界面に伝播する圧下量が異なることになる。
【0031】このような結果から本発明者らは、凝固の
程度、鋳片内温度分布が異なっても普遍的な整理ができ
るようなパラメーターを追求すべく、独自に、固液界面
における圧下挙動と中心偏析程度の相関を調査したとこ
ろ、以下に記述する現象を見い出し、本発明を完成し
た。
【0032】図3は流動限界固相率を基準とした固液界
面に伝播する圧下量の総和ΣδI と炭素偏析度 (C/C
O ) で評価した中心偏析との関係を示したものである。
なお、この図は鋳片表面温度が 750〜1100℃までの広範
囲にわたってのデータを示したものである。
【0033】図3には圧下時期を次の4種類に変更した
場合について示した。
【0034】鋳片の厚み中心固相率 (前記のfs) が
0.0を超えたところから 0.8となるまで連続圧下した場
合(図3の○) 0.2<fs<0.8 の範囲を連続圧下した場合(図3の
△) 0<fsのところからfs=0.5 のところまで連続圧下し
た場合(図3の□) 0<fsのところからfs=1.0 のところまで連続圧下し
た場合(図3の●) なお、図3では固液界面を形成する固相率を流動限界固
相率としている。
【0035】図3から明らかなように、鋳片表面温度に
関わらず、ΣδI を 0.6〜1.4 mmの範囲に制御すること
により、中心偏析の大きな改善が得られている。
【0036】上記の結果から、表面温度が広範囲にわた
って異なる多数の鋳片についても、ΣδI という一つの
ファクターで中心偏析を減少させる範囲が確定できるこ
とが明らかであり、このΣδI を用いる本発明の方法
は、従来の鋳片表面における圧下量制御法よりも普遍性
を有することがわかる。
【0037】ΣδI は圧下区間中、ほぼ等しい界面圧下
速度RI (mm/min)に配分されることが望ましい。但し、
±20〜30%のバラツキの範囲内で配分されていてもその
区間が連続圧下されていればΣδI の適正制御により中
心偏析の大きな改善が得られる。すなわち、局所的にみ
れば適正範囲からずれていても、圧下範囲トータルでみ
て圧下不足になるか過圧下になるかの判定をすればよい
ということになる。
【0038】次に、図3を圧下を加える時期(鋳片厚み
中心の固相率fsの範囲)という観点からみて、同一量の
ΣδI で中心偏析を比較した場合、0<fsからfs=0.8
までの範囲を連続圧下した場合 (前記、図3の○印)
と0<fsからfs=1.0 の範囲を連続圧下した場合 (前記
、図3●印) が最も中心偏析が減少している。以下、
0.2<fs<0.8 の範囲を連続圧下した場合 (前記、図
3の△) 、0<fsのところからfs=0.5 のところまで連
続圧下した場合 (前記、図3の□) の順に偏析が大き
くなっている。
【0039】このことは、中心偏析を形成する凝固時期
が固相率fsが0を超え、0.8 となるまでの範囲であるこ
とを意味し、この範囲を確実に適正な界面圧下量で連続
圧下することが重要であることを示している。
【0040】但し、圧下時期を 0.2<fs<0.8 とした
の場合でも、に比べてかなり偏析の改善効果は見られ
ており、圧下が必要な最低限の範囲はこの範囲であると
考えられる。
【0041】以上の知見に基づいてなされたのが前記
(1) の発明、すなわち、「圧下開始点を鋳片の厚み中心
固相率が0〜0.2 の範囲とし、圧下終了点を 0.8〜1.0
の範囲とし、その全域において連続圧下を行い、固液界
面における圧下量の総和を 0.6〜1.4 mmとすることを特
徴とする連続鋳造方法」の発明である。
【0042】次に、前記(2) の発明、即ち、「圧下開始
点を鋳片の厚み中心固相率が0〜0.2 の範囲とし、圧下
終了点を 0.8〜1.0 の範囲とし、その全域において固液
界面における圧下速度が0.15〜0.30mm/minとなる連続圧
下を行うことを特徴とする連続鋳造方法の発明」につい
て説明する。
【0043】図4は流動限界固相率を基準とした固液界
面に伝播する単位時間当たりの圧下量、即ち前述の界面
圧下速度RI と中心偏析(前記の炭素偏析度、C/
O )の関係についても調査した結果である。
【0044】圧下時期は、図3から確定した中心偏析改
善のための最適圧下時期である0<fsのところからfs=
0.8 のところまでの場合について示してある。図4から
明らかなように、固液界面の圧下速度RI にも中心偏析
の改善のための適正範囲が存在する。すなわち、RI
0.15〜0.30mm/minの範囲にあるとき中心偏析の大きな改
善が得られる。
【0045】RI の最適範囲は、鋳片の単位時間当たり
の収縮量と同等から2倍程度までである。すなわち、鋳
片の体積収縮により溶鋼流動とバランスするようなRI
を選定することが重要である。体積収縮量に比較して2
倍程度の過圧下気味の条件でも中心偏析が改善されるの
は、体積収縮以外にもロール間バルジング等、溶鋼流動
の原因となる現象があるため、これを相殺するだけの圧
下を行う必要があるからである。
【0046】RI が最適範囲より小さい場合は圧下不足
により中心偏析が増大し、一方、最適範囲より大きい場
合は過圧下により(逆v偏析が生じて)やはり中心偏析
が増える。
【0047】前記(1) の発明の条件と (2)の発明の条件
は両立させることが望ましい。即ち「鋳片の厚み中心の
固相率が0より大きく 0.8以下である範囲の全域におい
て固液界面における圧下速度が0.15〜0.30mm/minとなる
ように、しかも固液界面における圧下量の総和が 0.6〜
1.4mm となるように連続圧下する」のが最も望ましい。
【0048】本発明方法はスラブ、ブルーム、ビレット
等の各種形状の鋳片の鋳造に適用可能であり、スラブの
ような偏平比の大きい鋳片においては幅方向のどの位置
にも適用できる。
【0049】
【実施例1】図1に概略構造を示す連続鋳造機を使用し
て、鋼スラブの連続鋳造を行った。
【0050】この連鋳機は湾曲半径 12.5mのS型連鋳機
であり、圧下ゾーンの長さは5mである。
【0051】図1において、浸漬ノズル2から鋳型1に
鋳込まれた溶鋼3はサポートロール群6、圧下ロール群
7、そしてピンチロール8を経て凝固し、引き出され
る。圧下ロール群は複数の圧下ロールで構成され、ロー
ルに与える油圧を制御することにより、圧下量(圧下速
度)の調整ができる。表1に鋳造条件(圧下条件以外)
を、表2および表3に圧下条件を示す。
【0052】実施例1〜4は本発明(1) の実施例であ
り、鋳片の幅中央部の厚み中心固相率fsが 0.0〜0.8 の
範囲の全域で連続圧下を加え、その間で固液界面で受け
た総圧下量ΣδI が 0.6〜1.4 mmとなるように設定圧下
量を調整した場合である。但し、界面圧下速度RI は必
ずしも、本発明(2) の範囲内には入っていない。
【0053】実施例5〜8は本発明(2) の実施例であ
り、鋳片の幅中央部の厚み中心固相率fsが 0.0〜0.8 ま
での全域で連続圧下を加え、且つ、各固相率区間におけ
る界面圧下速度RI が0.15〜0.30mm/minとなるように設
定圧下量を調整した場合である。
【0054】一方、比較例1〜4は従来例として、鋳片
表面の圧下速度RS を制御した場合、比較例5は界面圧
下速度RI がほぼ適正値に制御されているが、圧下時期
が鋳片の厚み中心固相率fsが 0.1〜0.7 の範囲であった
場合、比較例6は界面総圧下量ΣδI が適正値に制御さ
れているが、圧下したのが鋳片の厚み中心固相率fsが0.
3〜0.7 の範囲であった場合である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】表4に実施例および比較例における中心偏
析の調査結果を示す。中心偏析の程度を示す炭素偏析度
は、鋳片幅中央部の中心偏析部の炭素濃度 (C) を発光
分析法で10点測定し、その中のピーク値と鋼の平均濃度
(CO ) との比(C/CO )として評価した。
【0059】更に、鋳片の圧下状態を推定するために、
鋳片幅中央部の偏析形態を調査した。V偏析は圧下不足
の状態に, 逆V偏析は過圧下の状態に対応すると考えら
れる。従って、偏析形態はV偏析でも逆V偏析でもない
のが好ましい。
【0060】実施例1〜4は様々な鋳片表面温度(Tsu)
の範囲で界面総圧下量ΣδI を適正値に制御したもので
あるが、この場合も炭素偏析度(C/CO ) は1.10以下
と非常に低位であり、鋳片縦断面にはV偏析も逆V偏析
も観察されなかった。
【0061】実施例5〜8は、様々な圧下ゾーン入側の
鋳片表面温度(Tsu) の範囲で界面圧下速度RI を適正値
に制御したものであるが、いずれの場合も炭素偏析度
(C/CO ) は1.10以下と低位の偏析程度を示してい
た。また、鋳片縦断面にはV偏析も逆V偏析も観察され
ず、圧下不足でも過圧下でもない良好な圧下状態になっ
ていることが推察された。
【0062】実施例1〜8において、広い鋳片表面温度
範囲にわたって低位の中心偏析程度が得られたのは、固
液界面圧下速度、または固液界面圧下量の総計が適正範
囲になるように表面圧下速度を設定したからである。
【0063】一方、比較例1〜2は、鋳片表面からの圧
下速度RS を一定値にしたものであるが、いずれも炭素
偏析度は実施例と比較して高位であった。比較例1は、
fsが0.4 以上の位置での界面圧下速度RI が適正値より
小さく、界面総圧下量ΣδIも適正値より小さかったた
め、圧下不足でV偏析が生じ中心偏析が悪化した。
【0064】比較例2はfs= 0.0〜0.7 の範囲の界面圧
下速度RI が大きく、界面総圧下量ΣδI も適正値より
大きかったため、過圧下により中心偏析が悪化した。こ
のように、fs= 0.0〜0.8 の範囲の圧下を、RS 一定の
条件で行うと圧下不足や過圧下を生じ易く、中心偏析の
改善は得られない。
【0065】比較例3〜4は、鋳片表面からの圧下効率
が鋳造下流側になるに従って小さくなることを意識し
て、表面圧下速度RS を鋳造下流側にいくにつれて大き
くしたものであるが、炭素偏析度は実施例と比較して高
位であった。
【0066】比較例3は、圧下範囲全域にわったて界面
圧下速度RI が適正値に入らず、界面総圧下量ΣδI
適正値より小さかったため、圧下不足(V偏析)で中心
偏析が悪化した。
【0067】比較例4は、fsが 0.4以上の位置での界面
圧下速度RI が適正値よりも大きく、界面総圧下量Σδ
I も適正値より大きかったために、過圧下により中心偏
析が悪化した。このように、鋳造下流側になるほど表面
圧下速度RS を大きくしても、界面圧下速度RI あるい
は界面総圧下量ΣδI が適正な値になるように圧下量を
設定しないと、中心偏析の改善は得られない。
【0068】比較例5では、fs= 0.1〜0.7 の範囲の界
面圧下速度RI を適正値に制御したがfs= 0.0〜0.1 、
fs= 0.7〜0.8 の範囲が圧下されていないため、炭素偏
析度は実施例と比較して高く、縦断面の偏析形態も圧下
不足を示すV偏析であった。
【0069】比較例6は fs= 0.3〜0.7 の範囲でのみ
圧下し, 界面総圧下量ΣδI を適正値に制御したもので
あるが、fs= 0.0〜0.30、fs= 0.7〜0.8 の範囲を圧下
していないために、fs= 0.3〜0.7 の界面圧下速度が大
きくなってしまい、この範囲で過圧下になったため、炭
素偏析度は高かった。比較例5、6の結果から、fs=0.
0〜0.8 の範囲の全域において適切に連続圧下しないと
中心偏析の改善は得られないことがわかる。
【0070】以上の結果から、本発明の連続鋳造方法
は、従来の方法に比較して中心偏析の低減に威力を発揮
することが明らである。
【0071】
【表4】
【0072】
【発明の効果】本発明方法によれば、鋳造条件に関係な
く、鋳片の凝固の進展状況のみを応じて圧下制御を行え
ばよい。しかも、それによって圧下不足も過圧下もない
理想的な圧下を行うことができ、鋳片の中心偏析の軽減
に大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する連鋳機の概略構造図であ
る。
【図2】各種のパラメータの定義を説明する鋳片断面の
模式図である。
【図3】固液界面の総圧下量ΣδI と炭素偏析度との関
係の一例を示す図である。
【図4】固液界面圧下速度RI と炭素偏析度との関係の
一例を示す図である。
【図5】表面圧下速度RS と炭素偏析度との関係の一例
を示す図である。
【図6】圧下パターンと中心偏析との関係の一例を示す
図である。
【図7】圧下効率の鋳造方向推移の一例を示す図であ
る。
【図8】界面圧下速度RI の鋳造方向推移の一例を示す
図である。
【符号の説明】
1:水冷銅鋳型、2:浸漬ノズル、3:溶鋼、4:凝固
シェル、5:固液界面 6:サポートロール群、7:圧下ロ ル群、8:ピンチ
ロール、9:非圧下部 10:圧下部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続鋳造鋳片の末期凝固部で軽圧下を加え
    る連続鋳造方法において、圧下開始点を 0.0≦fs≦0.2
    の範囲とし、圧下終了点を 0.8≦fs≦1.0 とし、その間
    において連続圧下を行い、かつ、流動限界固相率を基準
    とした固液界面における圧下量の総和を 0.6〜1.4mm 以
    下とすることを特徴とする連続鋳造方法。ただし、fsは
    鋳片の厚み中心固相率である。
  2. 【請求項2】連続鋳造鋳片の末期凝固部で軽圧下を加え
    る連続鋳造方法において、圧下開始点を 0.0≦fs≦0.2
    の範囲とし、圧下終了点を 0.8≦fs≦1.0 とし、その間
    において連続圧下を行い、かつ、流動限界固相率を基準
    とした固液界面における圧下速度を0.15〜0.30mm/min以
    下とすることを特徴とする連続鋳造方法。ただし、fsは
    鋳片の厚み中心固相率である。
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