JPH08108510A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

化粧シート及びその製造方法

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JPH08108510A
JPH08108510A JP6267991A JP26799194A JPH08108510A JP H08108510 A JPH08108510 A JP H08108510A JP 6267991 A JP6267991 A JP 6267991A JP 26799194 A JP26799194 A JP 26799194A JP H08108510 A JPH08108510 A JP H08108510A
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layer
pattern
thermoplastic resin
resin film
transparent
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JP6267991A
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Inventor
Kazuhiro Takahashi
一弘 高橋
Yoshiaki Nezu
義昭 根津
Yasuo Nakai
康夫 中井
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 内部の微細凹凸模様による照り感を減少させ
ずに外表面にも絵柄と同調した凹凸模様を形成した高意
匠の化粧シートとその製造方法を提供する。 【構成】 不透明な熱可塑性樹脂フィルム2上に、光輝
性層3、絵柄層4、透明な熱可塑性樹脂フィルム6が積
層され、光輝性層の上側界面に深さが3〜30μmで凸
部と凸部の間隔が1〜1000μmである線群状のパタ
ーンからなる溝状凹凸模様5が形成されており、さらに
透明な熱可塑性樹脂フィルム上に紫外線硬化抑制絵柄層
7が積層され、さらに該絵柄層部分に同調した凹凸模様
9を有し且つ該フィルムの全面を覆う紫外線と電子線で
硬化した電離放射線硬化性樹脂の透明樹脂層8が積層さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部と表面の両方に凹
凸模様を有する、深みや立体感の意匠表現に優れ、特に
木目調の表現に適する、化粧シートとその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、木目調の化粧シートにおいて
は、平面的な印刷柄の工夫以外に、天然木の質感をより
リアルに表現する各種の工夫が行われてきた。その一つ
は、表面に溝として立体的に現れる導管の表現である。
例えば、導管柄を艶消インクで印刷し、実際は平面だが
艶消効果により疑似的に立体感を感じさせることが行わ
れてきた。さらに、実際に表面にエンボスにより溝を形
成し、溝の中にワイピング加工によりインクを充填する
ことで、表面凹凸模様と導管模様を同調させたよりリア
ルな導管表現も可能となった。具体的には、例えば、木
目模様が印刷された着色塩化ビニルフィルムの印刷面に
透明塩化ビニルフィルムをダブリングエンボス加工にて
積層とエンボスを同時に行い、エンボスで出来た溝にワ
イピング加工でインクを充填するものである。
【0003】天然木の別の質感表現の一つは、天然木の
独特の照り感や照りの移動感(以下、特に使い分ける必
要がある場合を除き、両者を含めて「照り感」とする)
の表現である。照り感は、木質内部にまで進入した光
が、木質繊維の一定の規則性を有する内部組織に反射さ
れ、再び表面に達して放出される結果生ずるものであ
る。そこで、この内部組織による光の反射を模倣すべ
く、化粧シートの内側に光を或る規則性をもって反射さ
せ得る微細な凹凸を有する反射層を形成することが各種
試みられている。例えば、実開平5−35394号公報
では、表面に光輝性を有する不透明な熱可塑性樹脂フィ
ルムの表面に絵柄層を設けた後、絵柄層の上から特定の
線群パターンからなる溝状凹凸模様を形成し、さらに溝
状凹凸模様の表面に、凹凸の深さよりも厚くなるように
透明樹脂層を設けた化粧シートとし、これを接着剤で化
粧基材に貼着した化粧材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、化粧シート
内部の凹凸模様による照り感の表現と、表面凹凸模様と
同調した導管表現との両方を演出できれば、よりリアル
な天然木の質感表現ができる化粧シートが得られるはず
であるが、いまだに納得のいく意匠性を有するものは得
られていない。例えば、特公昭63−24470号公報
では、ダブリングエンボス加工の加工条件を工夫するこ
とで、化粧シートの内部構造となる凹凸模様を維持した
まま表面にも凹凸模様を形成する方法が開示されている
が、この方法では、照り感の表現に適した溝状凹凸模様
の微細な凹凸のシャープさが熱により低下して、効果が
減少してしまい適用できないという問題がある。
【0005】また、特公平4−64443号公報では、
溝状凹凸模様上の透明樹脂層として熱可塑性樹脂フィル
ムをドライラミネートする方法、さらに該透明樹脂層の
表面に導管柄を艶消インクで表現する方法を開示してい
る。しかし、この方法ではドライラミネート時の接着剤
中の残留溶剤により溝状凹凸模様のシャープさがやはり
低下する上、導管凹凸感も乏しく、上述したエンボスと
ワイピングとの組合わせに比較すれば実際には平面であ
る為、格段の差がある。また、上記のようにドライラミ
ネートで形成した透明樹脂層の表面に、後から導管をエ
ンボス加工で形成すると、加工時の熱により内部の溝状
凹凸模様が鈍り、照り感が減少し、さらには消滅してし
まうこともある。
【0006】そこで、本発明では、内部と表面の両方の
凹凸により、天然木の有する照り感と立体的な導管の両
方をリアルに表現しうる意匠性に優れた化粧シートとそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の化粧シ
ートでは上記課題を解決するために、不透明な熱可塑性
樹脂フィルム上に、少なくとも光輝性層、絵柄層が順に
積層され、さらにこの上には透明な熱可塑性樹脂フィル
ムが積層され、前記光輝性層の上側界面に深さが3〜3
0μmで凸部と凸部の間隔が1〜1000μmである線
群状のパターンからなる溝状凹凸模様が形成されてお
り、さらに前記透明な熱可塑性樹脂フィルムの上には紫
外線硬化抑制絵柄層が積層され、さらにこの上には、該
紫外線硬化抑制絵柄層部分に同調して凹部となった凹凸
模様を有し且つ前記透明な熱可塑性樹脂フィルムの全面
を覆う、紫外線及び電子線で硬化された電離放射線硬化
性樹脂による透明樹脂層が積層されている構成とする。
また、上記絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層との柄が同調
している構成でもある。
【0008】さらに、本発明の化粧シートの製造方法
は、次の(A) 〜(E) の各工程より構成される。 (A) 不透明な熱可塑性樹脂フィルムの片面に光輝性層、
絵柄層を形成する工程。 (B) 透明な熱可塑性樹脂フィルムを、上記各層が形成さ
れた不透明な熱可塑性樹脂フィルムの層形成面側にダブ
リングエンボス加工により積層すると同時に、透明な熱
可塑性樹脂フィルム側又は不透明な熱可塑性樹脂フィル
ム側からのエンボスにより、前記光輝性層の上層側の界
面に深さが3〜30μmで凸部と凸部の間隔が1〜10
00μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模様
を形成する工程。 (C) 上記透明な熱可塑性樹脂フィルムの表面に紫外線硬
化抑制絵柄層を形成する工程。 (D) 上記紫外線硬化抑制絵柄層が形成された透明な熱可
塑性樹脂フィルムの全面に、紫外線で硬化する電離放射
線硬化性樹脂液を塗工した後、紫外線を照射して硬化さ
せ、該紫外線硬化抑制絵柄層部分が凹部となる凹凸模様
を形成する工程。 (E) 上記電離放射線硬化性樹脂に電子線を照射して完全
硬化させ、上記紫外線硬化抑制絵柄層に同調した凹凸模
様を有する透明樹脂層とする工程。
【0009】また、本発明の化粧シートの製造方法は、
次の(A) 〜(D) の各工程より構成させるものでもある。 (A) 透明な熱可塑性樹脂フィルムの裏面に絵柄層、光輝
性層を、表面に紫外線硬化抑制絵柄層を形成する工程。 (B) 上記各層が形成された透明な熱可塑性樹脂フィルム
を裏面側で、不透明な熱可塑性樹脂フィルムにダブリン
グエンボス加工により積層すると同時に、透明な熱可塑
性樹脂フィルム側又は不透明な熱可塑性樹脂フィルム側
からのエンボスにより、前記光輝性層の上層側の界面に
深さが3〜30μmで凸部と凸部の間隔が1〜1000
μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模様を形
成する工程。 (C) 上記紫外線硬化抑制絵柄層が形成された透明な熱可
塑性樹脂フィルムの全面に、紫外線で硬化する電離放射
線硬化性樹脂液を塗工した後、紫外線を照射して硬化さ
せ、該紫外線硬化抑制絵柄層部分が凹部となる凹凸模様
を形成する工程。 (D) 上記電離放射線硬化性樹脂に電子線を照射して完全
硬化させ、上記紫外線硬化抑制絵柄層に同調した凹凸模
様を有する透明樹脂層とする工程。
【0010】以下、図面に従って本発明を詳述する。図
1は本発明の化粧シートの一実施例を示す縦断面図であ
る。同図での本発明の化粧シート1は、不透明な熱可塑
性樹脂フィルム2の上に光輝性層3及び絵柄層4を設
け、得られたフィルムの上にさらに透明な熱可塑性樹脂
フィルム6をダブンリングエンボス加工により積層す
る。その際、上側の透明な熱可塑性樹脂フィルム6側か
ら、溝状凹凸模様5が光輝性層3の上側界面に形成でき
る様にエンボス加工を行う。さらに、その後、透明な熱
可塑性樹脂フィルムの表面に紫外線硬化抑制絵柄層7を
設ける。そして、該紫外線硬化抑制絵柄層7の部分に同
調して凹部となった凹凸模様9を有し且つ前記透明な熱
可塑性樹脂フィルム6の全面を覆う、紫外線及び電子線
で硬化された電離放射線硬化性樹脂による透明樹脂層8
を形成したものである。なお、光輝性層、絵柄層、紫外
線硬化抑制絵柄層を形成する対象フィルム、紫外線硬化
抑制絵柄層を形成する時点には各種の態様があり、後述
する。
【0011】また、図2は本発明の化粧シートの他の実
施例を示す縦断面図である。図2での本発明の化粧シー
ト1は、先ず、透明な熱可塑性樹脂フィルムの上側に紫
外線硬化抑制絵柄層7を、下側には絵柄層4と光輝性層
3を設け、得られたフィルムを不透明な熱可塑性樹脂フ
ィルム2とダブンリングエンボス加工により積層する。
その際、下側の不透明な熱可塑性樹脂フィルム2側か
ら、溝状凹凸模様5が光輝性層3の上側界面に形成でき
る様にエンボス加工を行う。さらに、その後、紫外線硬
化抑制絵柄層7が設けられた透明な熱可塑性樹脂フィル
ム6の表面全面を被覆し、且つ紫外線硬化抑制絵柄層7
部分が凹部を成し当該凹部が前記紫外線硬化抑制絵柄層
7に同調した凹凸模様9を有する、透明樹脂層8を形成
したものである。なお、光輝性層、絵柄層、紫外線硬化
抑制絵柄層を形成する対象フィルム、紫外線硬化抑制絵
柄層を形成する時点には各種の態様があり、後述する。
【0012】また、図3は本発明の化粧シートの他の実
施例を示す縦断面図である。図3での本発明の化粧シー
ト1は、不透明な熱可塑性樹脂フィルム2の上に光輝性
層3及び絵柄層4を設け、これらの層が設けられた表面
に対してエンボス加工により溝状凹凸模様5を形成す
る。さらに、その後、溝状凹凸模様5が形成された側の
不透明な熱可塑性樹脂フィルム2に紫外線硬化抑制絵柄
層7を設ける。そして、光輝性層3、絵柄層4及び紫外
線硬化抑制絵柄層7が設けられた不透明な熱可塑性樹脂
フィルム2の表面全面を被覆し、且つ紫外線硬化抑制絵
柄層7部分が凹部を成し当該凹部が前記紫外線硬化抑制
絵柄層7に同調した凹凸模様9を有する、透明樹脂層8
を形成したものである。
【0013】先ず、本発明の化粧シートを構成する不透
明な熱可塑性樹脂フィルム2から説明する。不透明な熱
可塑性樹脂フィルム2としては、化粧シートが貼られる
基材を隠蔽する為に不透明で着色又は非着色のものを使
用する。このようなフィルムとしては、通常、着色塩化
ビニル樹脂のフィルムが用いられるが、この他にも、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢
酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール
共重合体等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重
合体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹
脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチ
ル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリロニトリル
等のアクリル樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−
ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリ
ル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレ
フィン系樹脂、酢酸セルロース、ニトロセルロース等の
セルロース誘導体、ナイロン6、ナンロン66等のポリ
アミド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート
等の樹脂等からなる公知のフィルムが用いられ得る。フ
ィルムを不透明にするには、二酸化チタン、カーボンブ
ラック、弁柄等の顔料等を練り混む。フィルムの厚み
は、0.01〜5mm程度、通常0.02〜1mm程度を用
いる。なお、図2に示す様にダブリングエンボスにより
内部の層間界面にエンボスによる溝状凹凸模様の形成を
不透明な熱可塑性樹脂フィルム側から行う場合は、フィ
ルムが厚すぎるとエンボスが内部まで十分に届かないの
で、エンボス版の版深にもよるが厚みは通常0.1mm以
下が好ましい。
【0014】また、図1及び図2に例示する構成で使用
する透明な熱可塑性樹脂フィルム6は、下側の絵柄層と
垂直方向で距離を隔てて紫外線硬化抑制絵柄層を配置す
るためのものであり、従って、透明な熱可塑性樹脂フィ
ルムとしては、奥行き感を表現できる程度の垂直方向の
距離を確保できる厚みで、なお且つ下側の絵柄層が透視
でき、光輝性層まで達した光が反射して表面まで戻り得
る程度の透明性が少なくともあればよい。また、透明性
があれば着色されていても良く、また半透明であっても
構わない。透明な熱可塑性樹脂フィルムとしては、上記
した不透明な熱可塑性樹脂フィルムに用い得る樹脂から
なる公知のフィルムが使用できる。フィルムの厚みは、
通常10〜200μm程度であるが、薄すぎると絵柄層
と紫外線硬化抑制絵柄層の距離が近すぎて奥行き感が得
られないため、奥行き感の意匠表現に重点を置く場合は
50μm以上とすることが好ましい。厚すぎると奥行き
感は増すが、コスト高となる。一方、ダブリングエンボ
スにより内部の層間界面にエンボスによる溝状凹凸模様
の形成を透明な熱可塑性樹脂フィルム側から行う場合
は、エンボス版の版深との兼ね合いによるがフィルムが
厚すぎるとエンボスが内部まで十分に届かないので、厚
みは100μm以下が好ましい。
【0015】光輝性層3は、照り感を表現するために化
粧シート内部内で光を反射させるものであり、光反射性
があれば良く、金属層や、光輝性顔料を有するインクの
印刷層として全面又は模様をなすパターン状に形成す
る。金属層として形成する場合は、アルミニウム、クロ
ム、銅、鉄、ニッケル等の金属又は合金等を真空蒸着、
スパッタリング、無電解メッキ等の公知の方法で設け
る。この場合、光輝性層の厚さは、通常4〜1000Å
程度が好ましい。また、印刷層として形成する場合は、
光輝性顔料を有する光輝性インクをグラビア印刷、フレ
キソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手段に
より設ける。光輝性顔料としては、金粉、銀粉、アルミ
ニウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属薄片、あるい
は金属蒸着した合成樹脂フィルムの裁断片等の金属光沢
を有する金属光沢顔料や、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗
片、塩化酸化ビスマス等の真珠光沢や干渉光沢を有する
パール顔料等の公知の光輝性顔料が用いられ得るが、中
でも二酸化チタン被覆雲母が好ましい。これらの光輝性
顔料を、公知のビヒクルに混合したものを光輝性インク
として使用する。ビヒクルにはビニル系、アクリル系、
アミノ系、アミノアルキッド系、ポリウレタン系、セル
ロース系、ブチラール系等の樹脂を用いる。この場合、
光輝性層の厚さは、通常1〜10μm程度が好ましい。
また、光輝性層の形成をインクからではなく、塗液とし
て調整して塗布により形成しても良い。なお、光輝性層
は、不透明な熱可塑性樹脂の中に光輝性顔料を練混み、
不透明な熱可塑性樹脂と一体とすることもできる。
【0016】絵柄層4は、天然木の木目模様、或いは大
理石、御影石等の石目模様、布目模様、或いは図形、記
号等の抽象模様等の各種模様を化粧シートの用途により
適宜用いる。本発明の化粧シートでは、特に天然木の木
目模様等の再現に適している。絵柄層は、ビニル系樹
脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アミノアルキ
ッド樹脂、ブチラール樹脂等を用いたビヒクルに、必要
に応じて顔料、染料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可
塑剤等を混合した公知の印刷インクを、グラビア印刷、
フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷手
段により形成する。
【0017】紫外線硬化抑制絵柄層7は、天然木の木目
模様の表現においては導管柄を表現する為に用いる層で
あり、またこの上に塗工される紫外線で硬化する電離放
射線硬化性樹脂の硬化反応を抑制して、そこの電離放射
線硬化性樹脂に凹部を形成させて化粧シートの表面に凹
凸模様を作る作用を有する絵柄層でもある。紫外線硬化
抑制絵柄層は、上記絵柄層に用い得る公知のビヒクル、
着色剤、その他添加剤等の他に、さらに電離放射線硬化
性樹脂の紫外線による硬化を抑制する紫外線硬化抑制剤
を添加して調整した印刷インクを用いて、グラビア印
刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印
刷手段により形成する。紫外線硬化抑制剤としては、電
離放射線硬化性樹脂の紫外線による硬化反応のメカニズ
ムにおいて、ラジカルを失活させて硬化を抑制するが、
電子線による硬化反応のメカニズムにおいては前記ラジ
カルの失活とラジカル重合反応の競争の為に硬化を阻害
しない物質である公知のラジカル失活剤が用いられ、例
えば、ニトロソ化合物としては、N−ニトロソフェニル
ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、アルミニウム−N
−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等が挙げられ、
特にアルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシル
アミンが好ましい。添加量は、インク樹脂分全量100
重量部に対して1〜20重量部程度である。少なすぎる
と硬化抑制効果が少なく表面の凹凸模様の凹凸が浅くな
り過ぎ、多すぎると凹凸のシャープさがなくなるので、
好ましくない。
【0018】図1及び図2に例示した構成では、上述し
た光輝性層、絵柄層及び紫外線硬化抑制絵柄層を形成す
る対象は、結果として目的とする化粧シートの層構成が
得られればよく、各種の態様がある。例えば、不透明
な熱可塑性樹脂フィルム2に対して光輝性層3と絵柄層
4を形成し、これらの層を形成後の不透明な熱可塑性樹
脂フィルム2に対して透明な熱可塑性樹脂フィルム6を
積層した後、積層された透明な熱可塑性樹脂フィルムに
対して紫外線硬化抑制絵柄層を形成する方法がある。ま
た、透明な熱可塑性樹脂フィルム6の表面側に紫外線
硬化抑制絵柄層を、裏面側には絵柄層と光輝性層を順次
形成し、これらの層を形成後の透明な熱可塑性樹脂フィ
ルム6の裏面に対して不透明な熱可塑性樹脂フィルム2
を積層する方法等がある。の方法では、紫外線硬化抑
制絵柄層と絵柄層を同調して形成することもでき(例え
ば、特願平5−286243号の様に、ターンバーを用
いてフィルムを反転させてインラインで表裏に同時印刷
する)、意匠感が一段と高められる。
【0019】溝状凹凸模様5は、光輝性層3によって反
射される光の反射方向を制御して、天然木の照り感等の
内部光反射に起因する意匠感を表現するものである。図
4は溝状凹凸模様の断面の拡大図であり、いわゆる万線
パターンといわれる、多数の線群からなる線群状のぱタ
ーンである。同図に示すように溝状凹凸模様は、溝の深
さが3〜30μmで、凸部と凸部との間隔が1〜100
0μの形状であり、天然木の照り感の表現には凸部間隔
は、より好ましくは1〜100μm程度である。深さ及
び凸部間隔は、線群で一定である必要はなく、後述する
図5(d)のような区画を有する場合には区画毎に値を
変えたり、あるいは隣接した線間で、少しずつ変化させ
たりしてもよい。このように形状を変化させることによ
り、光の反射効果を場所によって微妙に変化させること
もできる。
【0020】図5は、以上のような万線パターンからな
る溝状凹凸模様の各種態様を示す平面図である。図5
(a)は、ウェーブ状の平行曲線群10からなる万線パ
ターン、図5(b)は複数の区画で異なる方向を有する
多数の直線群からなる万線パターン、図5(c)は平行
曲線群10と平行直線群11とを組合わせた万線パター
ン、図5(d)は閉曲線の平行曲線群10からなる万線
パータン、図5(e)は、複数の区画で異なる方向を有
する平行曲線群からなる万線パターン、図5(f)は、
関数曲線の関数パラメータを変化させて各曲線間の間隔
が線方向に変化する非平行曲線群12からなる万線パタ
ーンを示す。また図5(g)に示す様な、オシロスコー
プで音声を観測して得られる測定波形を利用した測定曲
線群13かなる万線パターン等であってもよい。上記関
数曲線には、例えば正弦波曲線、サイクロイド曲線、楕
円関数曲線、ベッセル関数曲線等があり、測定波形には
物体の表面粗さを測定してペンレコーダで出力した波形
等各種が利用できる。このように、溝状凹凸模様を形成
する線群状のパターンは、隣接した線が有する凹凸が、
その深さ及び凹凸間隔を同一に又は微妙に変える線群、
またこれらの線群を区画して組合わせることにより、光
の反射模様を演出するものである。
【0021】上記の様な溝状凹凸模様は、化粧シート内
部に進入した光の反射を該溝状凹凸模様の凹凸面によっ
て行わせるのが目的であるから、光反射機能層である光
輝性層の少なくとも上面側の界面に形成されている。
【0022】溝状凹凸模様の形成は、平圧式又は円圧式
のエンボス加工によって行う。形成方法には、溝状凹凸
模様の位置によって二種類の方法がある。第1の方法
は、図1及び図2等に例示される様な、不透明な熱可塑
性樹脂フィルムと透明な熱可塑性樹脂フィルムとをダブ
ンリングエンボス加工により積層する際に形成する方法
である。
【0023】ダブリングエンボス加工による方法では、
少なくとも絵柄層と光輝性層とを、下側の不透明な熱可
塑性樹脂フィルム2側、あるいは透明な熱可塑性樹脂フ
ィルム6側、あるいは光輝性層を不透明な熱可塑性樹脂
フィルム2側として絵柄層を透明な熱可塑性樹脂フィル
ム6側等、と両フィルム間に介在した層構成となるよう
にして、積層する際に同時に賦形する方法である。通常
のダブリングエンボス加工では、賦形は表面を目的とす
るが、本発明の化粧シート及びその製造方法において
は、内部の賦形を目的とし、エンボス版が圧接した表面
に得られる表面凹凸は結果として得られるものに過ぎな
い。目的とする賦形面が内部界面であるから、さらに、
エンボス版を圧接させ面により、表面側(透明な熱可塑
性樹脂フィルム側)と、裏面側(不透明な熱可塑性樹脂
フィルム側)とからの二種類のエンボス方法がある。
【0024】一方、使用するフィルムにおいては、エン
ボス版の圧接面側のフィルムはエンボス版の版深との兼
ね合いにもよるが薄めにした方が溝状凹凸模様を深く形
成できる。またこれ以外にも、エンボス版の圧接面側と
反対側のそれぞれの熱可塑性樹脂フィルムの厚さを、反
対面側に対して圧接面側の方を薄くした方が、内部の微
細な溝状凹凸模様を十分に賦形することができる。ま
た、絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層とによる奥行き感を
十分に表現するには、透明な熱可塑性樹脂フィルムは厚
めの方が好ましく、この点では、エンボス版の圧接面は
下側の不透明な熱可塑性樹脂フィルム側とする方が好ま
しい。但し、表現すべき奥行き感次第では、上側の透明
な熱可塑性樹脂フィルムから行っても良い。
【0025】なお、エンボス版圧接面側フィルムは薄い
方が溝状凹凸形成の点では有利だが、フィルムにそこそ
この耐熱性がないと印刷時の乾燥の熱でフィルムが伸ば
されてしまい、多色印刷での見当精度、機械適正等の印
刷適正が低下する。このため、塩化ビニルフィルムの様
にどちらかというと耐熱性の乏しいフィルムを用いて薄
くする時は見当精度が不要な全面印刷程度しかできな
い。一方、深みの点では透明な熱可塑性樹脂フィルムは
厚い方が好ましいかった。従って、深み、溝状凹凸の形
成、そして印刷適正の三点をバランスさせるには、薄く
した不透明な熱可塑性樹脂フィルム側からエンボスして
溝状凹凸模様を形成し、厚くした透明な熱可塑性樹脂フ
ィルムに絵柄層、光輝性層、紫外線硬化抑制絵柄層の全
てを印刷すればよい。しかも、このようにすれば、絵柄
層と紫外線硬化抑制絵柄層との同調印刷も可能となる。
【0026】紫外線硬化抑制絵柄層を設ける工程は、ダ
ブンリングエンボス加工の前又は後工程の何方でもよ
い。従って、ダブリングエンボス時に紫外線硬化抑制絵
柄層が形成済のこともあるし、形成前のこともある。結
果として得られる層構成は同じである。但し、紫外線硬
化抑制絵柄層に含有される紫外線抑制剤がエンボス時の
熱により熱劣化する場合は、エンボス加工後とする。一
方、絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層とを同調させるため
には、それらの層を同一のフィルムに設けておいた方が
良く、しかもダブリングエンボス加工による熱履歴を受
けてフィルム寸法が微妙に変化する前に設けた方が良
い。この点で、エンボス加工前に絵柄層と紫外線硬化抑
制絵柄層とを透明な熱可塑性樹脂フィルムの両面に同調
印刷しておけば良く、さらに光輝性層も同時に印刷して
おけば、別々のフィルムに印刷するよりも工程数が少な
くなり製造コストの点でも有利となる。
【0027】溝状凹凸模様の形成の第2の方法は、図3
に例示される様な、透明な熱可塑性樹脂フィルムを設け
ないで、不透明な熱可塑性樹脂フィルム2の表面に凹凸
模様をエンボス形成する方法である。すなわち、不透明
な熱可塑性樹脂フィルムの片面に、通常は全面に光輝性
層を設け、さらにその上に、通常は前記光輝性層の一部
が露出するように模様として形成された絵柄層を設けた
結果得られる表面、すなわち表面に露出している層は、
絵柄層と絵柄層の模様の一部から露出している光輝性層
とであり、それら表面に、直接エンボス版を加熱下で圧
接して溝状凹凸模様をエンボス加工により形成する。
【0028】透明樹脂層8は、紫外線で硬化可能な透明
な電離放射線硬化性樹脂液を表面に塗布してから硬化さ
せて形成する。なお、透明樹脂層は、透明性があれば着
色されていても良く、また半透明であっても構わない。
透明樹脂層に電離放射線硬化性樹脂を使用すると、電離
放射線硬化性樹脂は硬化に熱が不要のため、熱硬化性樹
脂の様に硬化時の熱で微細な溝状凹凸模様が鈍ることを
防止できる。また、液状で且つ無溶剤とできるため、直
接溝状凹凸に接する場合でも溶剤で溝状凹凸模様が変形
することを防止できるという利点がある。従来、導管柄
と同調した表面の凹凸模様を、熱硬化性樹脂の熱硬化を
抑制する熱硬化抑制剤を添加したインクを用いて導管柄
を形成し、その上に熱硬化性樹脂を塗布して硬化させて
凹凸模様を形成する方法もあったが、この方法では熱硬
化時の熱により内部の微細な溝状凹凸模様のシャープさ
が低下してしまう。
【0029】透明樹脂層を形成する電離放射線硬化性樹
脂としては、公知の紫外線硬化性樹脂が使用できる。こ
のような電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、分子
中に(メタ)アクリロイル基〔「(メタ)アクリロイ
ル」の(メタ)の意味は、アクリロイル又はメタクリロ
イルを意味する。以下、同様。〕等のエチレン性不飽和
基やエポキシ基等の光重合性官能基を2個以上有するオ
リゴマー、及び/又は単官能並びに多官能の単量体を適
宜混合したものである。前記オリゴマーとしては、例え
ば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シ
リコーン(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリレート類、不飽和ポリエス
テル類、エポキシ樹脂類、あるいは、ポリエン/ポリチ
オール類等が挙げられる。
【0030】前記単官能又は多官能の単量体としては、
例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系
単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)
アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、
(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル
酸フェニル、(メタ)メタクリル酸ラウリル等の(メ
タ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸−2−
(N、N−ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル
酸−2−(N、N−ジベンジルアミノ)エチル等の不飽
和酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、等
の単官能単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等の複数の
(メタ)アクリロイル基を有する多官能単量体、あるい
は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオー
ル化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオグ
リコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレ
ート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が
挙げられる。
【0031】さらに、電離放射線として紫外線で硬化可
能とするために、上述した成分の他にさらに、ベンゾフ
ェノン類、アセトフェノン類、チオキサントン類等の公
知の光重合開始剤、また、n−ブチルアミン、トリエチ
ルアミン等のアミン類、トリ−n−ブチルホスフィン等
の公知の光増感剤等を添加する。
【0032】また、電離放射線硬化性樹脂と共に非電離
放射線硬化性樹脂を併用してもよい。非電離放射線硬化
性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、セルロース
系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビ
ニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール
等のポリビニルアセタール系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体等が挙げられる。なお、非電離放射線硬化
性樹脂の配合量は、通常1〜70重量%の範囲、好まし
くは、5〜50重量%の範囲で用いる。非電離放射線硬
化性樹脂を併用することで、電離放射線硬化性樹脂液の
粘度を制御して塗工適性を調整し、また、特に硬化物の
硬度、可撓性等をバランスして所望の物性にさせること
ができる。
【0033】以上の電離放射線硬化性樹脂及び適宜使用
する非電離放射線硬化性樹脂とからなる組成物を電離放
射線硬化性樹脂液として使用するが、電離放射線硬化性
樹脂液には、さらに、紫外線あるいは電子線等による硬
化を阻害しない範囲で、適宜、着色剤、充填剤、艶消し
剤、安定剤、熱重合禁止剤等の添加剤を配合してもよ
い。また、電離放射線硬化性樹脂液は、常温でそれ自身
液状であることが好ましい。固形の場合、溶剤を添加し
て液状にできるが、透明樹脂層を溝状凹凸模様に接して
設ける態様においては、溶剤により光輝性層や絵柄層が
溶解して溝状凹凸模様が鈍ることがあり、好ましくな
い。
【0034】なお、電離放射線としては、可視光線、紫
外線、X線等の電磁波、電子線等の粒子線があるが、紫
外線を最初の硬化工程で、そして電子線を最後の完全硬
化工程で用いる。
【0035】上記した液状の透明な電離放射線硬化性樹
脂を、グラビアコート、コンマコート、フローコート、
ロールコート、スプレーコート、刷毛塗り等の公知の塗
布方法により塗工後、紫外線、次いで電子線の照射で硬
化させることで、透明樹脂層が得られる。透明樹脂層の
厚みは、通常0.1〜100μm程度である。
【0036】透明樹脂層8の表面に形成される凹凸模様
9は、化粧シート外表面の立体的な模様を再現するもの
で、木目調の化粧シートでは、窪んだ導管柄を表現する
ものである。凹凸模様の形成は、紫外線硬化抑制絵柄層
による電離放射線硬化性樹脂の紫外線による硬化抑制作
用を巧みに利用することによって行われる。最初、透明
な熱可塑性樹脂フィルム上に塗布された電離放射線硬化
性樹脂液は、紫外線硬化抑制絵柄層上の部分も含めて均
一な厚さであるが、紫外線を照射して硬化反応が進行す
るにつれて体積収縮により厚さが薄くなる。しかし、紫
外線硬化抑制絵柄層上の部分は硬化しない為に元の厚さ
のままで周囲の厚さより厚く、この結果、厚み差が生
じ、厚みが高い部分から低い部分に樹脂液が流動して、
厚みは均一化の方向に変化する。すなわち、紫外線硬化
抑制絵柄層上の電離放射線硬化性樹脂が周囲の紫外線抑
制剤のない部分の方へ移動する。次に、電子線を照射し
て紫外線硬化抑制絵柄層上の部分も含めて塗布した樹脂
液を完全硬化させると、紫外線硬化抑制絵柄層上の部分
の樹脂液は未硬化であり体積収縮する前であるが、その
周囲は硬化が進行中で体積収縮が既に発生している。こ
のため、紫外線硬化抑制絵柄層上の部分は周囲に比べて
体積収縮が大きく、凹部を形成することとなる。この
際、電離放射線硬化性樹脂液に溶剤を添加しておくと、
凹部形成効果が、より大きくなる。このようにして、紫
外線硬化抑制絵柄層と紫外線及び電子線による硬化を使
い分けることで、紫外線硬化抑制絵柄層に同調した凹凸
模様9を有する透明樹脂層8の形成が完了する。
【0037】かくして、上述した本発明の化粧シート及
びその製造方法によって、優れた意匠性を有する化粧シ
ートが得られる。また、本発明の化粧シートは特に木目
調の表現に適するが、その他、優れた深みや立体感、照
り感等を生かして、石目、布目、或いは抽象柄等の種々
の意匠表現にも利用することができる。
【0038】
【作用】本発明の化粧シートでは、内部の光輝性層の光
反射面に溝状凹凸模様を有するため、照り感が、また内
部の絵柄層及び光輝性層により深みが表現される。また
紫外線硬化抑制絵柄層と同調した表面の凹凸模様により
リアルな立体感が表現される。その結果、天然木の照り
感及び導管の質感がリアルに表現される。そして、内部
の絵柄層の上にある紫外線硬化抑制絵柄層との二層の絵
柄層により、より豊かな奥行き感が表現される。しか
も、絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層とを同調させること
で、表面凹凸模様との三者が同調した絵柄が形成され、
よりリアルな奥行き感、意匠感が表現される。
【0039】本発明の化粧シートの製造方法では、内部
凹凸となる溝状凹凸模様を設けた後、化粧シート表面の
凹凸模様を熱を不要とする電離放射線硬化性樹脂により
形成するので、微細な溝状凹凸模様のシャープさを低下
させない。さらに、透明な熱可塑性樹脂フィルムの表裏
に絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層との二層の絵柄層を形
成する場合は、それらを同調させることもできる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の化粧シートとその製造方法
を、具体的な実施例で説明する。
【0041】《実施例1》着色不透明塩化ビニルフィル
ム(厚み0.1mm、可塑剤20phr)の片面に、塩化
ビニル−酢酸ビニル系樹脂のパールインクで光輝性層を
全面に、さらにその上に、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹
脂のインクで木目柄の絵柄層を、グラビア印刷により形
成した。次に円圧式のダブリングエンボス加工により、
上記で得たフィルムの光輝性層が形成された上側面と、
透明塩化ビニルフィルム(厚み0.03mm、可塑剤20
phr)とを貼り合わせ、且つ、溝状凹凸模様として深
さ20μm、凸部間隔70μmで正弦波状の平行曲線群
からなる万線パターンを施したエンボスロールを使用し
て透明塩化ビニルフィルム側からエンボスを行って、中
間シートとした。エンボス条件は、加熱ドラム温度16
5℃、版面温度70℃、エンボス圧4MPa、ランイス
ピード10m/minとした。
【0042】次いで、上記中間シートの透明塩化ビニル
フィルムの表面に、紫外線硬化抑制剤としてアルミニウ
ム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンをインク
樹脂分全量に対して7重量%添加した塩化ビニル−酢酸
ビニル系樹脂のインクで導管柄をグラビア印刷で形成し
て紫外線硬化抑制絵柄層とした。次いで、透明な熱可塑
性樹脂フィルムの紫外線硬化抑制絵柄層が形成されてい
る上側面に、グラビアリバース法により、下記組成の電
離放射線硬化性樹脂液を膜厚40μmに塗工し、紫外線
を照射して第1段階の硬化を行った後、電子線を照射し
て完全硬化させて、紫外線硬化抑制絵柄層上の表面に凹
凸模様を有する透明樹脂層を形成して、本発明の化粧シ
ートを得た。なお、紫外線の照射条件は160W/cm
×2灯でラインスピード20m/min、電子線の照射
条件は175keV,3Mradでラインスピードは3
0m/minとした。 電離放射線硬化性樹脂液 オリゴマー成分 ウレタンアクリレートオリゴマー 29重量部 モノマー成分 2−エチルヘキシルアクリレート 7重量部 エチルカルビトールアクリレート 8重量部 ポリエチレングリコール200ジアクリレート 6重量部 艶消剤 ポリカーボネートビーズ 4重量部 溶剤(トルエン,キシレン,シクロヘキサノン) 46重量部 増感剤(チバガイギー社製,イルガキュアー184) 2重量部 スリップ剤(メタクリル変性シリコーン) 0.5重量部
【0043】《実施例2》透明塩化ビニルフィルム(厚
み0.10mm、可塑剤20phr)の表面に導管柄の紫
外線硬化抑制絵柄層を、裏面に木目柄の絵柄層と全面の
光輝性層をグラビア印刷で形成した。なお、各層に用い
たインクは実施例1と同一である。次に円圧式のダブリ
ングエンボス加工により、上記で得たフィルムの光輝性
層が形成された裏面側と、着色不透明塩化ビニルフィル
ム(厚み0.03mm、可塑剤20phr)とを貼り合わ
せ、エンボスを着色不透明塩化ビニルフィルム側からと
した以外は実施例1と同様にして中間シートを得た。次
いで、上記中間シートに対して実施例1と同様にして電
離放射線硬化性樹脂を用いて凹凸模様を有する透明樹脂
層を形成して本発明の化粧シートを得た。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の化粧シー
トによれば、優れた深み、奥行き感、照り感、表面立体
感を表現できる。特に、木目の照り感と表面の立体的な
導管柄の表現を両立して表現できる為、極めてリアルな
天然木の質感表現ができる。また、本発明の化粧シート
の製造方法によれば、照り感の表現に使用する内部の溝
状凹凸模様のシャープさを低下させることなく、導管溝
等の表現に使用する凹凸模様を導管柄と同調してシート
表面に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一実施例を示す縦断面
図。
【図2】本発明の化粧シートの他の実施例を示す縦断面
図。
【図3】本発明の化粧シートの他の実施例を示す縦断面
図。
【図4】本発明の化粧シートで用いる溝状凹凸模様の拡
大断面図。
【図5】本発明の化粧シートに用いる溝状凹凸模様の各
種例を示す平面図。
【符号の説明】
1 化粧シート 2 不透明な熱可塑性樹脂フィルム 3 光輝性層 4 絵柄層 5 溝状凹凸模様 6 透明な熱可塑性樹脂フィルム 7 紫外線硬化抑制絵柄層 8 透明樹脂層 9 凹凸模様 10 平行曲線群 11 平行直線群 12 非平行曲線群 13 測定曲線群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 31/00 9349−4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不透明な熱可塑性樹脂フィルム上に、少
    なくとも光輝性層、絵柄層が順に積層され、さらにこの
    上には透明な熱可塑性樹脂フィルムが積層され、前記光
    輝性層の上側界面に深さが3〜30μmで凸部と凸部の
    間隔が1〜1000μmである線群状のパターンからな
    る溝状凹凸模様が形成されており、さらに前記透明な熱
    可塑性樹脂フィルムの上には紫外線硬化抑制絵柄層が積
    層され、さらにこの上には、該紫外線硬化抑制絵柄層部
    分に同調して凹部となった凹凸模様を有し且つ前記透明
    な熱可塑性樹脂フィルムの全面を覆う、紫外線及び電子
    線で硬化された電離放射線硬化性樹脂による透明樹脂層
    が積層されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】 絵柄層と紫外線硬化抑制絵柄層との柄が
    同調していることを特徴とする請求項1記載の化粧シー
    ト。
  3. 【請求項3】 次の(A) 〜(E) の各工程よりなることを
    特徴とする化粧シートの製造方法。 (A) 不透明な熱可塑性樹脂フィルムの片面に光輝性層、
    絵柄層を形成する工程。 (B) 透明な熱可塑性樹脂フィルムを、上記各層が形成さ
    れた不透明な熱可塑性樹脂フィルムの層形成面側にダブ
    リングエンボス加工により積層すると同時に、透明な熱
    可塑性樹脂フィルム側又は不透明な熱可塑性樹脂フィル
    ム側からのエンボスにより、前記光輝性層の上層側の界
    面に深さが3〜30μmで凸部と凸部の間隔が1〜10
    00μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模様
    を形成する工程。 (C) 上記透明な熱可塑性樹脂フィルムの表面に紫外線硬
    化抑制絵柄層を形成する工程。 (D) 上記紫外線硬化抑制絵柄層が形成された透明な熱可
    塑性樹脂フィルムの全面に、紫外線で硬化する電離放射
    線硬化性樹脂液を塗工した後、紫外線を照射して硬化さ
    せ、該紫外線硬化抑制絵柄層部分が凹部となる凹凸模様
    を形成する工程。 (E) 上記電離放射線硬化性樹脂に電子線を照射して完全
    硬化させ、上記紫外線硬化抑制絵柄層に同調した凹凸模
    様を有する透明樹脂層とする工程。
  4. 【請求項4】 次の(A) 〜(D) の各工程よりなることを
    特徴とする化粧シートの製造方法。 (A) 透明な熱可塑性樹脂フィルムの裏面に絵柄層、光輝
    性層を、表面に紫外線硬化抑制絵柄層を形成する工程。 (B) 上記各層が形成された透明な熱可塑性樹脂フィルム
    を裏面側で、不透明な熱可塑性樹脂フィルムにダブリン
    グエンボス加工により積層すると同時に、透明な熱可塑
    性樹脂フィルム側又は不透明な熱可塑性樹脂フィルム側
    からのエンボスにより、前記光輝性層の上層側の界面に
    深さが3〜30μmで凸部と凸部の間隔が1〜1000
    μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模様を形
    成する工程。 (C) 上記紫外線硬化抑制絵柄層が形成された透明な熱可
    塑性樹脂フィルムの全面に、紫外線で硬化する電離放射
    線硬化性樹脂液を塗工した後、紫外線を照射して硬化さ
    せ、該紫外線硬化抑制絵柄層部分が凹部となる凹凸模様
    を形成する工程。 (D) 上記電離放射線硬化性樹脂に電子線を照射して完全
    硬化させ、上記紫外線硬化抑制絵柄層に同調した凹凸模
    様を有する透明樹脂層とする工程。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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SG87879A1 (en) * 1998-12-25 2002-04-16 Zakrytoe Aktsionernoe Obschest The sheet layered structural material
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