JPH0852849A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

化粧シート及びその製造方法

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JPH0852849A
JPH0852849A JP21071294A JP21071294A JPH0852849A JP H0852849 A JPH0852849 A JP H0852849A JP 21071294 A JP21071294 A JP 21071294A JP 21071294 A JP21071294 A JP 21071294A JP H0852849 A JPH0852849 A JP H0852849A
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JP
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groove
pattern layer
convex
pattern
concavo
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JP21071294A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Yamashita
禎之 山下
Noboru Araki
荒木  登
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石目の深みや奥行き等の立体感と、結晶粒の
光輝感の意匠表現に優れた化粧シートとその製造方法を
提供する。 【構成】 熱可塑性樹脂基材(2)上に、石目柄層
(3)、石目柄層の全面を覆うように透明又は半透明の
樹脂層(4)が順に積層され、石目柄層と樹脂層との界
面に、閉領域で区画され、隣接する閉領域間で並び方が
異なる、溝の深さが3〜100μmで凸部と凸部の間隔
が1〜1000μmである線群状のパターンからなる溝
状凹凸模様(5)を有する構成とする。製造方法は、電
離放射線硬化性樹脂液を、溝状凹凸模様と逆形状の凹部
を有するロール凹版とフィルム基材間に介在させて電離
放射線で硬化させてフィルム基材に密着した溝状凹凸模
様層とした後、フィルム基材をロール凹版から剥離し凹
凸シートとし、これを石目柄層を形成した熱可塑性樹脂
基材に熱圧で積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内部に凹凸を有するこ
とにより、特有の深み、奥行き等の立体感を有し、特に
石目柄において結晶粒の輝きの表現に適した、高意匠感
を表現できる化粧シートとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、床材、壁装材等の内装材、家
具等に用いられる石目柄の化粧シートにおいて、深みや
奥行き等の立体感を表現するために種々の方法が試みら
れてきた。例えば、石目模様を印刷した熱可塑性樹脂シ
ートに透明な熱可塑性樹脂シートをダブリングエンボス
により積層すると同時に、上側となる透明な熱可塑性樹
脂シート表面に石板の劈開面に類似した凹凸を形成した
り、さらにその上にウレタン樹脂系の塗料によってクリ
アー層を設けたりした化粧シートがあった。これは、化
粧シートの外表面に凹凸を形成して、石目の表面の立体
感を表現したものであった。また、例えば、特開平6−
64131号公報では、化粧シートの内部に線群状の溝
状凹凸パターンである万線状の凹凸模様を形成した、石
板の表面光沢感を表現した化粧シートとして、光輝性を
有する熱可塑性樹脂層の上に形成した石目柄の絵柄層
と、閉曲線で区画された領域内に渦巻き状の曲線を有す
る万線状の凹凸模様の組合せが適していることを開示し
ている。さらに、同号公報では、万線状の凹凸模様の表
面に撥液絵柄層を施した後、透明樹脂層を形成する際
に、撥液絵柄層が施された部分の透明樹脂層は撥じかれ
て形成されず、この結果、表面凹凸模様による表面立体
感も表現できるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ダブリ
ングエンボスによる前記化粧シートでは、表面に形成さ
れる表面凹凸模様により、表面的な立体感は表現できる
が、石目に通常よく見られる、結晶粒毎に見る角度によ
って輝きが異なる、石目柄の独特の光輝感までは表現す
ることが出来なかった。また、表面凹凸模様と石目模様
とが同一水準面内になく、両模様の調和も不十分であっ
た。このため、意匠表現には一定の限界があった。しか
も、表面に凹凸模様があることから、傷つき易く、塵も
付着し易いという欠点があった。また、特開平6−64
131号公報による化粧シートでは、撥液絵柄層で撥じ
かれて部分で、内部凹凸模様が露出しているような状態
であるために、深みや奥行き感が得られず、また、同号
公報で開示されている閉曲線で区画された万線状の凹凸
模様の模様は、必ずしも石目表現に最適とはいえなかっ
た。また、光輝性層の上側に、印刷による絵柄層がある
ために、十分な光輝感は表現できなかった。本発明はこ
のような欠点を解決するためになされたもので、石目柄
独特の表現に適した、優れた深みや奥行き等の立体感、
石目柄の結晶粒の光輝感を表現でき、より優れた意匠表
現が可能な化粧シートとその製造方法を提供するもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では上記
課題を解決するために、本発明の化粧シートにおいて
は、熱可塑性樹脂基材上に、石目柄層、さらに石目柄層
の全面を覆うように透明又は半透明の樹脂層が順に積層
され、石目柄層と樹脂層との界面には、閉領域で区画さ
れ、隣接する閉領域間で並ぶ方向が異なる、溝の深さが
3〜100μmで凸部と凸部の間隔が1〜1000μm
である線群状のパターンからなる溝状凹凸模様を有する
構成とするものである。また、上記化粧シートにおい
て、樹脂層の表面に、艶消模様を有する構成とするもの
でもある。また、上記化粧シートにおいて、樹脂層が、
表面側から、フィルム基材と硬化性樹脂による溝状凹凸
模様層と、から構成された透明又は半透明の凹凸シート
からなる構成とするものでもある。
【0005】一方、本発明の化粧シートの製造方法にお
いては、フィルム基材と溝状凹凸模様層とからなる透明
又は半透明の凹凸シートの製造工程として、溝状凹凸模
様層の凹凸と同形状逆凹凸の関係にある凹部を有するロ
ール凹版とフィルム基材間に電離放射線硬化性樹脂液が
介在された状態で電離放射線を照射し硬化させて得た溝
状凹凸模様層をフィルム基材に密着させた後、フィルム
基材を溝状凹凸模様層と共にロール凹版から剥離してフ
ィルム基材と溝状凹凸模様層とからなる凹凸シートを
得、次いで積層工程として、凹凸シートの溝状凹凸模様
層側を石目柄層が形成された熱可塑性樹脂基材の石目柄
層に対面させて加熱加圧して積層して溝状凹凸模様層の
凸部を石目柄層内に進入させ、石目柄層と、凹凸シート
から構成される透明又は半透明の樹脂層との界面に、閉
領域で区画され、隣接する閉領域間で並ぶ方向が異な
る、深さが3〜100μmで凸部と凸部の間隔が1〜1
000μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模
様を形成するものである。
【0006】以下、図面に従って本発明を詳述する。図
1は本発明の化粧シートの一実施例を示す縦断面図であ
る。本発明の化粧シート1は、熱可塑性樹脂基材2の上
に、石目柄層3、石目柄層3の全面に透明又は半透明の
樹脂層4が積層した層構成であり、石目柄層3と樹脂層
4との界面に、特定の溝状凹凸模様5を有するものであ
る。溝状凹凸模様5は、閉領域で区画され、隣接する閉
領域間で並ぶ方向が異なる、深さが3〜100μmで凸
部と凸部の間隔が1〜1000μmである線群状のパタ
ーンからなる凹凸模様である。なお、同図では、樹脂層
4が、透明又は半透明のフィルム基材41と硬化性樹脂
による溝状凹凸模様層42とからなる構成の一実施例で
ある。また、図2は、図1の化粧シート1を、石目柄層
3の形成された熱可塑性樹脂基材2と、透明樹脂層4と
を、それぞれ上下二層に仮想的に分解した斜視図であ
る。熱可塑性樹脂基材2の上側面には、石目柄層3が形
成されている。なお、この図では、石目柄層3の表面
は、平面で、溝状凹凸模様5が形成される前の状態であ
る。そして、図3は、図2の樹脂層4を溝状凹凸模様層
42側から見た、溝状凹凸模様5を示す斜視図である。
【0007】このような構成の化粧シートの製造方法の
一例を概説すれば、透明又は半透明の樹脂層4として、
透明又は半透明のフィルム基材41の片面に電離放射線
硬化性樹脂からなる溝状凹凸模様層42が形成された透
明又は半透明の凹凸シート4を一旦作成しておき、係る
凹凸シート4の溝状凹凸模様層42を、石目柄層3が印
刷形成された熱可塑性樹脂基材2の石目柄層に対面させ
て熱圧により積層し、溝状凹凸模様層42を石目柄層3
内に進入させれば、両者の界面に内部凹凸として溝状凹
凸模様5を有する構成の化粧シートとなる。
【0008】熱可塑性樹脂基材2は、公知の熱可塑性樹
脂による、連続帯状のフィルムやシート、或いは板状の
枚葉のものが使用できる。このような熱可塑性樹脂基材
は、通常は厚さ25〜200μm程度の連続帯状のもの
を使用すると、石目柄層の印刷形成や、後述する連続帯
状の凹凸シートとの熱圧による積層工程を連続して行
い、効率的に化粧シートの製造を行うことができる。し
かし、連続帯状でなく板状の枚葉物であっても、特に厚
さ1〜10mm程度の厚手の熱可塑性樹脂基材に対して
は、例えば一枚毎に熱プレスによる熱圧で凹凸シートと
積層することもできる。
【0009】熱可塑性樹脂基材2に用いる樹脂とてし
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体等のビニル系重合体、ポリスチレン、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸エチル等のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイ
ロン66等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ある
いは酢酸セルロース、セロハン等のセルロース誘導体等
が挙げられ、中でもポリ塩化ビニルが耐熱性、加工性、
経済性等の点で好ましい。
【0010】なお、熱可塑性樹脂基材2には、着色隠蔽
性のものを使用できる。着色とは白色でも構わず、隠蔽
性を具備させれば、化粧シートを化粧基材の表面に施す
場合に、下地の化粧基材の色や色ムラ等に影響されず
に、化粧シート自身の色合い、意匠感の表現ができる。
また、着色しておけば、熱可塑性樹脂基材上の石目柄層
の模様の一部を熱可塑性樹脂基材に担わせ、石目柄層を
色数を減らして印刷し、、印刷工程を簡略化することも
可能である。但し、本発明で使用する熱可塑性樹脂基材
は、着色隠蔽性のものに限定されない。例えば、着色で
も透明又は半透明であれば、下地によっては、その色合
いや柄模様を生かした意匠表現も可能で、さらに化粧シ
ートを施す化粧基材がガラスの様に透明であれば、透明
感を有する独特の石目柄の意匠表現が可能となるからで
ある。このような点から、熱可塑性樹脂基材は、無着色
透明又は半透明であっても、構わない。
【0011】以上の様な熱可塑性樹脂基材の各種態様の
一つとして、熱可塑性樹脂基材に光輝性顔料を練り混ん
だものや、石目柄層が形成される側の熱可塑性樹脂基材
面に光輝性層を、光輝性インキ又は塗料による印刷又は
塗工で全面に形成した熱可塑性樹脂基材等による、光輝
性を有する熱可塑性樹脂基材も使用できる。光輝性を持
たせた熱可塑性樹脂基材は、上述の着色透明の説明で述
べたのと同様に、不透明のものに限定されずに、化粧基
材が透けて見える程度に光輝性顔料の量を少なくしたも
のであっても構わない。なお、この場合、石目柄層は下
層の熱可塑性樹脂基材の光輝性の演出効果を有効ならし
めるために、表面から透視できる程度に、少なくとも、
部分的に形成されているか、或いは、透明性を有する柄
から形成されていることが必要であることはいうまでも
ない。また、熱可塑性樹脂基材として、光輝性の保持と
着色とを同時に併用することも可能である。このよう
に、熱可塑性樹脂基材側においても、各種の天然石目
柄、あるいは抽象的な石目柄の意匠表現の一助とするこ
とが可能となる。
【0012】石目柄層3は、ビヒクルに必要に応じて顔
料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑
剤などを適宜混合調整した従来公知のインキを、グラビ
ア印刷法、フレキソ印刷法、シルクスクリーン印刷法な
どの公知の印刷方法によって、花崗岩(御影石)、大理
石(トラバーチン、オニックス、マーブル等)等の石目
柄を形成したものである。なお、ビヒクルには、例え
ば、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、スチレン
系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビ
ニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブ
チラール等のビニル系樹脂、ロジン系樹脂等の天然また
は合成の熱可塑性樹脂が使用できる。
【0013】また、石目柄層の形成には、光輝性顔料を
含有した光輝性インキを、少なくとも一色使用すると、
石目柄独特の結晶粒の光輝感の表現に好ましい。但し、
上述したように、下層の熱可塑性樹脂基材に光輝性を持
たせれば、省略することも場合によっては可能である。
石目柄の各結晶粒によって光輝感の色合いが異なる場合
は、着色剤と併用したりして着色した複数の色合いの光
輝性インキの多色刷で多様な表現が可能となる。なお、
下層の熱可塑性樹脂基材に光輝性を持たせた場合には、
上述した様に、その光輝性を有効ならしめるために、石
目柄層は、部分的に開口部があり、そこから下層の熱可
塑性樹脂基材が見えるか、石目柄層自身に、染料系の透
明性の着色剤を使用したり、顔料系でも添加量を少なく
して下層を見えるようにすると良い。また、石目柄層を
多色刷りしたり、着色の熱可塑性樹脂基材として光輝性
インクによる層の下の着色した層の色を生かす場合に
は、光輝性インクによる層は、光輝性顔料の配合量を、
光輝性の層から下が透けて見える程度に抑えると良い。
【0014】図2は、石目柄層3の柄の一例を示すもの
であるが、各領域は、異なる結晶粒を表す。これらの各
領域は、全てが光輝性インキによって形成することは必
ずしも必要ではない。また、石目柄層と、その上層とな
る樹脂層との屈折率差によっても、これらの層の界面で
光の反射がおこり、光輝性顔料による輝きよりは小さい
が光輝感を演出できるからである。
【0015】前記熱可塑性樹脂内、或いは前記熱可塑性
樹脂に形成しておく光輝性層内、或いは石目柄層に使用
する光輝性顔料としては、金属光沢顔料やパール顔料等
がある。金属光沢顔料としては、金粉、銀粉、アルミニ
ウム粉、銅粉、真鍮粉等の金属粉や金属薄片、あるいは
金属蒸着した合成樹脂フィルムの裁断片等の金属光沢を
有するものが挙げられる。またパール顔料としては、二
酸化チタン被覆雲母、魚鱗片、塩化酸化ビスマス等の真
珠光沢や干渉光沢を有する顔料が挙げられる。特に、二
酸化チタン被覆雲母、魚鱗片、塩化酸化ビスマス等のパ
ール顔料は、光輝性の意匠効果に優れている。これらの
顔料の配合量は熱可塑性樹脂あるいはインク又は塗液の
樹脂分の100重量部当たり0.5〜20重量部、より
好ましくは1〜10重量部の範囲が好ましい。特に、こ
れらの光輝性顔料を有する層と、内部凹凸となる溝状凹
凸模様とが接することによって、独特の光輝感による石
目柄の意匠感が表現されることになる。なお、溝状凹凸
模様と光輝性顔料を有する層とによる光輝感は、溝状凹
凸模様の凹凸面による光の反射の変調作用によるが、こ
れは前述した凹凸界面による屈折率差でも、光の反射量
は少ないが反射が起こり、光輝感は小さいが表現され
る。
【0016】石目柄層3の上には、透明又は半透明の樹
脂層4が積層され、石目柄層と樹脂層との界面には、閉
領域で区画され、隣接する閉領域間で並ぶ方向が異な
る、深さが3〜100μmで凸部と凸部の間隔が1〜1
000μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模
様5を有する。
【0017】内部凹凸となる溝状凹凸模様5の形成は、
溝状凹凸模様を有する透明又は半透明の樹脂シート、す
なわち凹凸シート4を、石目柄層3が形成された熱可塑
性樹脂基材2に対面させた熱圧を加えて、凹凸シートの
に溝状凹凸模様層の凸部が、少なくとも石目柄層、さら
には、石目柄層の下層の熱可塑性樹脂基材にまで、進入
するように積層すればよい。この熱圧が印加される際
に、溝状凹凸模様層は、石目柄層や特に熱可塑性樹脂基
材よりも硬質であることが必要である。
【0018】このように用いる凹凸シート4としては、
組み合わせて使用する熱可塑性樹脂基材よりも熱変形温
度が高く耐熱性があれば、熱可塑性樹脂でも良く、樹脂
基材に対して、エンボスにより溝状凹凸模様を形成した
ものが使用できる。この場合、得られる透明又は半透明
の樹脂層4は、一層構成のものとなる。
【0019】しかし、以下に述べる方法により、フィル
ム基材41に硬化性樹脂からなる溝状凹凸模様層42を
形成した二層構成の凹凸シートは、得られる溝状凹凸模
様層5が、シャープで且つ硬質にできるため、溝状凹凸
模様による独特の光輝感を得るには適している。この二
層構成の透明又は半透明の凹凸シート4について、その
材料、製造方法等を説明する。
【0020】凹凸シート4は、フィルム基材41の片面
に溝状凹凸模様層42を形成したものである。フイルム
基材41は、下側となる溝状凹凸模様層や石目柄層が透
けて見えるように透明又は半透明であり且つ製造時の加
工に耐える程度の機械的強度及び耐熱性を有すものてあ
ればよい。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート
共重合体、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリメチルメタクリレー
ト等のアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリイミド等の厚さ10〜300μm
程度、好ましくは25〜100μm程度であり、特に2
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムがコスト、
強度、透明性等の点で優れている。また、後で述べる、
凹凸シートの化粧シートとした場合の表面となる面にエ
ンボス版によりエンボスを形成して表面の艶消模様を作
成する態様の場合には、エンボス加工時の熱圧条件で柔
軟になりエンボス適性が優れるポリ塩化ビニル等のフィ
ルムが適している。また、フィルム基材の表面には、溝
状凹凸模様層あるいは石目柄層や熱可塑性樹脂基材との
密着性を向上する意味で、コロナ放電処理、プラズマ放
電処理、プライマーコート処理等の公知の易接着処理を
施しておくこともある。
【0021】溝状凹凸模様層42は、硬化性樹脂により
形成したものであり、硬化性樹脂としては、例えば、公
知の電離放射線硬化性樹脂や公知の熱硬化性樹脂などが
使用し得る。溝状凹凸模様層はフィルム基材の片面に設
けられ、石目柄層を有する熱可塑性樹脂基材に熱圧で積
層密着する際に、溝状凹凸模様層の凹凸形状がその形状
をなるべく維持して凹凸形状の凸部が、少なくとも石目
柄層内に、また石目柄層が溝状凹凸模様の凹凸よりも薄
い場合には石目柄層の下層である熱可塑性樹脂基材内
に、進入できる程度の耐熱性、硬度があればよい。ま
た、溝状凹凸模様層を上側から支えているフィルム基材
も、熱圧時に熱可塑性樹脂基材よりもあまりに柔らかす
ぎると、逆にフィルム基材側に溝状凹凸模様層が入り込
むことがあり、望ましくない。
【0022】溝状凹凸模様層42の形成に使用し得る電
離放射線硬化性樹脂成分としては、公知の紫外線硬化性
樹脂又は電子線硬化性樹脂が使用できる。電離放射線硬
化性樹脂としては、例えば、分子中に(メタ)アクリロ
イル基〔「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル又は
メタクリロイルの意味。以下同様。〕等のエチレン性不
飽和基やエポキシ基等の光重合性官能基を複数有するプ
レポリマー、単量体、又はプレポリマーと単量体の混合
物を主成分とする。
【0023】前記プレポリマーとしては、例えば、ウレ
タン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレ
ート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン
(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート
等の(メタ)アクリレート類、不飽和ポリエステル類、
エポキシ樹脂類、あるいは、ポリエン/ポリチオール類
等が挙げられる。
【0024】前記単量体としては、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)ア
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)
アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、
(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル
酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メ
タ)メタクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エス
テル類、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジエチル
アミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−
ジベンジルアミノ)エチル等の不飽和酸の置換アミノア
ルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、等の複数の(メタ)アクリロイル基を有するエチレ
ン性不飽和基を有する多官能性化合物、あるいは、分子
中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合
物、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレ
ート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、
ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げら
れる。これらの単官能又は多官能の単量体は前記プレポ
リマーに対して適宜混合することで、電離放射線硬化性
樹脂液の粘度を制御し塗工適性を調整したり、また硬化
物の硬度、可撓性をバランスさせることが好ましい。ま
た、これと同様の目的で、ウレタン系樹脂、セルロース
系樹脂等の非電離放射線硬化性樹脂等も適宜添加しても
良い。
【0025】なお、電離放射線としては、可視光線、紫
外線、X線等の電磁波、電子線等の粒子線があるが、通
常は紫外線又は電子線が用いられる。また、紫外線を用
いる場合は、電離放射線硬化性樹脂としては、上述した
成分の他にさらに、公知の光重合開始剤、光増感剤等を
添加する。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェ
ノン類、アセトフェノン類、ベンゾキノン類、チオキサ
ントン類を、光増感剤としては、n−ブチルアミン、ト
リエチルアミン等のアミン類、トリ−n−ブチルホスフ
ィン等を用いる。
【0026】以上の成分を配合した組成物は常温でそれ
自身が液状又は固形である。特に固形の場合は組成物を
公知の溶剤に溶解した電離放射線硬化性樹脂液として、
ロール凹版による溝状凹凸模様形成に使用する。また、
液状の組成物であっても、適宜溶剤にて希釈し、電離放
射線硬化性樹脂液の粘度調整等をすることがある。ま
た、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂
液には、さらに、紫外線あるいは電子線等による硬化を
阻害しない範囲で、その他の添加剤とて適宜、染料、顔
料等の着色剤、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、タル
ク、硫酸バリウム等の体質顔料、熱重合禁止剤等を配合
してもよい。なお、凹凸シート4は最終的には樹脂層4
となるので、これらの添加剤は樹脂層の透明又は半透明
の性質を阻害しない範囲で使用する。
【0027】このような溝状凹凸模様層42とフィルム
基材41とから構成される凹凸シートの望ましい製造方
法を図4、図5を参照して説明する。
【0028】図4は、本発明の化粧シートに用いる凹凸
シートを製造する段階の凹凸シート製造工程の一実施例
の工程図、図5は同じくその一実施例で使用する製造装
置を示した図である。先ず、図5の製造装置から説明す
れば、同図において、41は透明又は半透明のフィルム
基材、71は形成する溝状凹凸模様層42と逆凹凸形状
の凹部72が設けられたロール凹版(但し、図面を簡略
化する為、凹部は四角形断面で示してある)、73は電
離放射線硬化性樹脂液、74はロール凹版に当接してフ
ィルム基材41をロール凹版に圧接する押圧ロール、7
5はフィルム基材41の走行を支えるガイドロール、7
6は剥離ロール、77a及び77bは電離放射線硬化性
樹脂液を硬化するための電離放射線照射装置、42は電
離放射線硬化性樹脂液の硬化物としてフィルム基材41
上に形成された溝状凹凸模様層、4は溝状凹凸模様層4
2をフィルム基材41上に有する凹凸シート、78は電
離放射線硬化性樹脂液の塗工装置、79は電離放射線硬
化性樹脂液が溶剤分を含有する場合に、溶剤を乾燥させ
る為の乾燥装置である。
【0029】ロール凹版71は円筒状の版材であり、所
望の溝状凹凸模様と逆凹凸形状の凹部72を設けるに
は、円筒状の版材に直接旋盤加工たり、電鋳法で形成し
たミルによるミル加工等で切削する方法、電鋳法、ある
いはフォトエッチング法等により行う。ロール凹版の材
質としては、銅、クロム、鉄等の金属、NBR、エポキ
シ樹脂、エボナイト等の合成樹脂、ガラス等のセラミッ
クス等が使用できる。また、ロール凹版の大きさは特に
限定されるものではい。なお、図示はしないがロール凹
版は駆動装置に接続されており軸芯の回りに矢印方向に
回転駆動される。
【0030】図5のような装置により、凹凸シートの製
造工程は図4に示すように、ステップ1としての充填工
程、ステップ2としての接触工程、ステップ3としての
硬化工程、ステップ4としての密着工程、ステップ5と
しての剥離工程の各工程から構成される。ステップ1と
しの充填工程は、溝状凹凸模様層の凹凸に対応した凹部
を有するロール凹版を回転させ、そのロール凹版の少な
くとも凹部に電離放射線硬化性樹脂液を塗工装置により
充填する工程である。次のステップ2としての接触工程
は、充填工程でロール凹版の少なくとも凹部に充填され
た電離放射線硬化性樹脂液に対して、ロール凹版の回転
方向に対して同期して走行するフィルム基材を接触させ
る工程である。次のステップ3としての硬化工程は、接
触工程によってフイルム基材がロール凹版に接触して、
後述の剥離工程で剥離するまでの間に、フィルム基材と
ロール凹版との間に介在する電離放射線硬化性樹脂液に
対して、電離放射線を電離放射線照射装置により照射し
て、硬化させる工程である。次のステツプ4としての密
着工程は、前の硬化工程と通常同時に進行する工程で、
硬化工程で電離放射線硬化性樹脂液が硬化することで形
成される硬化物を溝状凹凸模様層としてフィルム基材に
密着させる工程である。そして最後のステップ5として
の剥離工程は、前の密着工程で溝状凹凸模様層が密着形
成されたフィルム基材を剥離して凹凸シートとして得る
工程である。かくして、フィルム基材上に所望の溝状凹
凸模様層を有する二層構成の凹凸シートを得ることがで
きる。
【0031】また、図6は凹凸シート製造工程の他の実
施例による製造装置を示した図である。この製造装置
は、塗工粘度適性の調整等の為に電離放射線硬化性樹脂
液が溶剤分を含有する場合に、溶剤分を乾燥させてから
ロール凹版による凹凸形成を行う場合に適した製造装置
である。同図によれば、溝状凹凸模様層のフィルム基材
への形成は、先ず塗工工程として、電離放射線硬化性樹
脂液の塗工はロール凹版71に直接行わず、左側に示さ
れる塗工装置78により、フィルム基材41上に予め塗
工する。なお、このような塗工装置には従来公知の塗工
手段が使用される。次いで乾燥工程として、フィルム基
材に塗工された電離放射線硬化性樹脂液は乾燥装置79
によって溶剤分が乾燥される。なお、必要に応じて電離
放射線照射装置77aによって、予備硬化させることも
ある。この予備硬化は、粘度調整の為である。そして、
接触充填工程として、塗工された電離放射線硬化性樹脂
液を保持したフィルム基材をロール凹版の回転方向に同
期して走行させつつ押圧ロール74によりロール凹版7
1に圧接して、ロール凹版の凹部に電離放射線硬化性樹
脂液を充填する。後は、既に図5を参照して説明した工
程と同様に、順次、硬化工程、密着工程、剥離工程を経
て、フィルム基材上に所望の溝状凹凸模様層が形成され
た凹凸シートが得られる。
【0032】なお、溝状凹凸模様層は前記の製造方法に
よる以外にも、例えばフィルム基材に対してスクリーン
印刷等による盛り上げ印刷によるものも可能であるが、
この場合、形状がシャープではなく、なめらかな波状の
断面形状ができない等、意匠表現に限界がある。しか
し、本発明の化粧シートの製造方法では、ロール凹版と
フィルム基材間に電離放射線硬化性樹脂液が介在してい
る時に硬化させて、ロール凹版の凹部形状をミクロンオ
ーダーまで忠実に再現しうる方法で形成した溝状凹凸模
様とすることができるため、シャープな形状再現による
意匠表現が可能であり、このような場合、溝状凹凸模様
層の材質による耐変形性はより重要な意味を持つ。
【0033】また、以上の様にして得られた凹凸シート
の溝状凹凸模様層側面は、石目柄層や、熱可塑性樹脂基
材、あるいは当該基材に形成される光輝性層との密着性
を向上する意味で、コロナ放電処理、プラズマ放電処
理、プライマーコート処理等の公知の易接着処理を施し
ておくこともある。
【0034】次は、以上の様にして得た凹凸シートと、
石目柄層を形成しておいた熱可塑性樹脂基材とを熱圧で
積層することで凹凸シートを透明又は不透明の樹脂層と
して、目的とする化粧シートを得る積層工程である。凹
凸シートは連続帯状とし、石目柄層を形成済の熱可塑性
樹脂基材も連続帯状とし、連続的に熱圧を加えて積層す
る熱ラミネートを行う。この際、熱圧を加える手段とし
て表面が平滑でなくエンボス模様を有するエンボス版を
使用して、且つ凹凸シートのフィルム基材に例えば塩化
ビニルフィルム等の熱圧で柔軟になり変形する熱可塑性
樹脂を使用すれば、積層と同時に化粧シートの表面層と
なる凹凸シートの外表面にエンボスによる艶消模様を形
成することもできる。また、凹凸シート及び石目柄層を
形成済の熱可塑性樹脂基材を枚葉状とする場合は、熱プ
レス装置等により枚葉で逐次行う。なお、枚葉時のエン
ボスは平圧式エンボスによれば良い。以上の積層工程で
の熱圧条件は、エンボスの有無、フィルム基材及び熱可
塑性樹脂基材、さらには溝状凹凸模様の元となる凹凸シ
ートの材質によって適宜選択すれば良い。例えば、両者
ともに塩化ビニル樹脂を用いる場合には、凹凸模様が十
分に光輝性を有する熱可塑性樹脂基材の中に進入するた
めに、120〜170℃程度の温度が好ましい。
【0035】なお、表面の傷付きやゴミの付着に対して
は最適ではないが、これらがあまり問題にならない壁面
用途の場合等では、以上のようにして積層した後、艶消
インキを表面に印刷すれば、図7の様な石目柄での艶消
部分を表現できる。この表面の艶消部分の形成は、上記
した凹凸シートと石目柄が形成済の熱可塑性樹脂基材と
のラミネート時に同時にエンボス加工を施しても、エン
ボスによる微小凹凸よにより、図8の様な艶消部分を表
現できる。
【0036】石目柄層と透明樹脂層との界面に形成され
る溝状凹凸模様5としては、いわゆる万線パターンとい
われる多数の線群からなる線群状のパターンである。本
発明で使用する万線パターンは石目柄を表現することか
ら、特定の万線パターンが適している。すなわち、図3
に例示した溝状凹凸模様は、図9にその溝の断面の拡大
図を示すように、溝の深さが3〜100μmで凸部と凸
部の間隔が1〜1000μmの形状であり、石目柄の光
輝感の表現には凸部間隔は、より好ましくは10〜10
0μm程度である。なお、凸部間隔、溝の深さは一定で
なくても良い。溝状凹凸模様の深さは、凹凸模様が石目
柄層に十分に進入するように、石目柄層の厚みは通常数
μmであるのでさらには、その下の熱可塑性樹脂基材ま
で十分に進入するように、当該基材の厚みよりも小さい
ことが好ましい。石目柄の結晶粒の光輝感を表現するの
に、溝の深さは、より好ましくは5〜10μm程度、ま
た凸部間隔はより好ましくは40〜80μm程度であ
る。溝の深さが3μm未満では、光の拡散反射による光
輝感が殆ど視覚されず、100μmを越えると、光輝感
の発現効果が飽和する為、あえて100μmを超過させ
る利点はない。また、凸部間隔が1μm未満では、光輝
感の効果が不十分な上、溝状凹凸模様が回折格子として
作用して反射光の分光により虹色が発生する。また、1
000μmを越えると、凹凸模様が視覚されるため好ま
しくない。
【0037】そして、図10に各種例示するように、溝
状凹凸模様を構成する線群は閉領域で区画され、隣接す
る閉領域間で並ぶ方向が異なるものが、石目柄の表現に
適している。図10(a)、図10(b)は、好ましい
一例である。図10(c)、図10(d)は、従来技術
の記載にて述べた、特開平6−64131号公報で石目
柄に良いとして開示している溝状凹凸模様であるが、図
10(c)では、閉領域を区画する線分が円形に近く、
通常の石目の結晶粒のギザギザした粒界形状とはかけ離
れていて違和感があり最適ではない。また、図10
(d)の溝状凹凸模様で閉領域を区画する線分は、魚の
鱗の様な形状であり、これもまたギザギザした粒界形状
とはかけ離れていて、最適ではない。図10(a)や図
10(b)では、閉領域を区画する線分が、なめらかな
曲線でなくギザギザして閉領域の大きさも不均一で、実
際の結晶粒の粒界形状に近く好ましい。さらに、これら
は、その閉領域内での線群の配列形式が、図(a)で
は、各閉領域内で平行で、隣接する閉領域間では、その
平行線の角度が異なる結果、見る角度によって結晶粒毎
の輝きの相違を表現するの好ましい。一方、図10
(b)では、閉領域内が複雑に円や曲線群からなり、ま
た、隣接する閉領域間で、それらの並びが異なるので、
単一結晶粒内で複雑な光輝感の変化を演出でき、しかも
各結晶粒毎にさまざまな光輝感を有する石目柄に適す
る。なお、これら、図10(a)と図10(b)の溝状
凹凸模様は、組み合わせて使用しても構わない。
【0038】なお、石目柄層による結晶粒の形状と、溝
状凹凸模様の閉領域の形状とは、同一形状のものが、見
当合わせされて同調した絵柄となっていると、リアルな
石目柄を表現できるため好ましいが、必ずしも形状が同
一でなくても、或いは位置が同調してなくても、錯覚に
よって、閉領域で囲われた部分で輝きが異なることと、
石目柄の結晶粒の形状の認識によって、石目柄の結晶粒
による光輝感を感じさせることが可能である。
【0039】かくして、本発明により、内部に凹凸を有
し、特有の深み、奥行き等の立体感を有し、特に石目柄
において結晶粒の輝きの表現に適した、高意匠感を表現
できる化粧シートが得られることとなる。
【0040】
【作用】本発明の化粧シートでは、特定の閉領域で囲わ
れた万線パターンからなる溝状凹凸模様を有する結果、
従来にない特有の深みや奥行き等の立体感と、石目柄独
特の結晶粒によって異なる光輝感を有する意匠が表現さ
れうる。しかも、内部の溝状凹凸模様はその凹凸面に石
目柄層が隣接し、さらに光輝性顔料を有する部分も隣接
して、光輝性顔料等による内部進入光の凹凸模様に依存
した光の反射の変調により、奥行き等の立体感、結晶粒
の光輝感の表現が実現される。なお、外表面にもエンボ
スや艶消インキの印刷で、石目の艶消模様が表現されう
る。また、本発明の化粧シートの製造方法では、それを
構成する樹脂層を凹凸シートより形成し、その凹凸シー
トをフィルム基材上に溝状凹凸模様層を形成する製造法
として、溝状凹凸模様層と逆凹凸関係にある凹部を有す
るロール凹版とフィルム基材間に電離放射線硬化性樹脂
液が介在された状態で電離放射線を照射し硬化させて凹
凸模様とするので、ロール凹版の凹凸が精密微細な形状
まで忠実に再現される。その結果、内部に微細でシャー
プな形状や、なめらかな波状の凹凸形状が可能で、石目
の結晶粒の光輝感の質感等の表現に適した化粧シートが
製造され得る。
【0041】
【実施例】以下、本発明の化粧シートとその製造方法に
ついて具体的な実施例に基づいて説明する。
【0042】凹凸シートの製造 ロール凹版として、図10(a)に示す形状であり、閉
領域を区画する一辺の寸法が2〜10mmの範囲に分布
し、溝の深さが10μm、溝の凸部間隔が60μmの溝
状凹凸模様を有するものを準備した。版は、銅の円筒表
面にフォトリソグラフィを用いた写真製版法で形成し
た。次に、図5に例示される様な製造装置で、透明なフ
ィルム基材として塩化ビニルフィルム(理研ビニル
(株)製,GR,可塑剤8 phr,0.1mm厚)に、ウレ
タンアクリレート系プレポリマーの電離放射線硬化性樹
脂組成物を溶剤として酢酸エチルで希釈した電離放射線
硬化性樹脂液とした後、上記ロール凹版を使用して透明
な凹凸シートを製造した。なお、電離放射線とてしは紫
外線を用い、照射条件は高圧水銀灯160W/cm×2
灯、ラインスピード10m/minとした。
【0043】積層工程 熱可塑性樹脂基材として、白色に着色された塩化ビニル
樹脂シート(理研ビニル(株)製,12P,可塑剤12
phr,0.1mm厚)に、石目柄として、御影石の模様
を、塩化ビニル−酢酸ビニル系インキで多色印刷(但し
ベタ柄は無い)して図2に例示するような石目柄層を形
成した。この内、1色分は、反射率の大きい結晶粒を表
現するために光輝性顔料として二酸化チタン被覆雲母パ
ール顔料を配合した、赤色系のインキで印刷した。次い
で、石目柄層に上記で得た凹凸シートの溝状凹凸模様層
側が対面するように熱ラミネートを行って加圧積層して
本発明の化粧シートを得た。なお、積層条件は温度15
0〜160℃で、ラインスピードは10m/minとし
た。得られた化粧シートは、凹凸シートの溝状凹凸模様
層の凹凸が石目柄層を通して熱可塑性樹脂基材の内部に
まで進入して内部の溝状凹凸模様を形成し、その結果、
赤御影石の石目柄の結晶粒独特の光輝感、また深みをも
った意匠表現を有する化粧シートであった。
【0044】
【発明の効果】本発明の化粧シートによれば、石目柄に
特有の深みや奥行き等の立体感と、特に結晶粒の持つ粒
ごとに異なり、また光源方向及び視線方向によっても強
弱変化する光輝感を有し、従来にない高意匠の石目柄を
表現できる。また、外表面にもエンボスや艶消インキに
よる微細凹凸を設ければ、石目の艶消模様も表現が可能
となる。このような化粧シートの本発明の製造方法によ
れば、熱可塑性樹脂基材と溝状凹凸模様を有する凹凸シ
ートとの熱圧による積層により、容易に生産性良く製造
できる。また、凹凸模様をロール凹版と電離放射線硬化
性樹脂とを用いて形成するので、微細でシャープな精密
な形状や、滑らかな凹凸形状も可能で、石目柄の結晶粒
の光輝感の質感の意匠表現も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一実施例を示す縦断面
図。
【図2】図1の化粧シートを、石目柄の形成された熱可
塑性樹脂基材と透明樹脂層とを、2層に仮想的に分解し
た斜視図。
【図3】図2の透明樹脂層を凹凸模様層側から見た、溝
状凹凸模様を示す斜視図。
【図4】本発明の化粧シートの製造方法の内、凹凸シー
トの製造工程の工程図。
【図5】同凹凸シート製造工程の製造装置の一実施例を
示す断面図。
【図6】同凹凸シート製造工程の製造装置の他の実施例
を示す断面図。
【図7】化粧シート表面に艶消インキで形成した艶消模
様の一例を示す斜視図。
【図8】化粧シート表面にエンボスで形成した艶消模様
の一例を示す斜視図。
【図9】本発明の化粧シートで用いる溝状凹凸模様の拡
大断面図。
【図10】本発明の化粧シートで用いる溝状凹凸模様の
各種例を示す平面図。
【符号の説明】
1 化粧シート 2 熱可塑性樹脂基材 3 石目柄層 4 透明樹脂層,凹凸シート 5 溝状凹凸模様 6 艶消模様 41 透明樹脂フィルム 42 溝状凹凸模様層 71 ロール凹版 72 凹部 73 電離放射線硬化性樹脂液 74 押圧ロール 75 ガイドロール 76 剥離ロール 77a,77b 電離放射線照射装置 78 塗工装置 79 乾燥装置 S1 充填工程 S2 接触工程 S3 硬化工程 S4 密着工程 S5 剥離工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 101:12 105:32

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂基材上に、石目柄層、さら
    に石目柄層の全面を覆うように透明又は半透明の樹脂層
    が順に積層され、石目柄層と樹脂層との界面には、閉領
    域で区画され、隣接する閉領域間で並ぶ方向が異なる、
    溝の深さが3〜100μmで凸部と凸部の間隔が1〜1
    000μmである線群状のパターンからなる溝状凹凸模
    様を有することを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】 樹脂層の表面に、艶消模様を有すること
    を特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 【請求項3】 樹脂層が、表面側から、フィルム基材と
    硬化性樹脂による溝状凹凸模様層と、から構成された透
    明又は半透明の凹凸シートからなることを特徴とする請
    求項1又は2記載の化粧シート。
  4. 【請求項4】 フィルム基材と溝状凹凸模様層とからな
    る透明又は半透明の凹凸シートの製造工程として、溝状
    凹凸模様層の凹凸と同形状逆凹凸の関係にある凹部を有
    するロール凹版とフィルム基材間に電離放射線硬化性樹
    脂液が介在された状態で電離放射線を照射し硬化させて
    得た溝状凹凸模様層をフィルム基材に密着させた後、フ
    ィルム基材を溝状凹凸模様層と共にロール凹版から剥離
    してフィルム基材と溝状凹凸模様層とからなる凹凸シー
    トを得、次いで積層工程として、凹凸シートの溝状凹凸
    模様層側を石目柄層が形成された熱可塑性樹脂基材の石
    目柄層に対面させて加熱加圧して積層して溝状凹凸模様
    層の凸部を石目柄層内に進入させ、石目柄層と、凹凸シ
    ートから構成される透明又は半透明の樹脂層との界面
    に、閉領域で区画され、隣接する閉領域間で並ぶ方向が
    異なる、深さが3〜100μmで凸部と凸部の間隔が1
    〜1000μmである線群状のパターンからなる溝状凹
    凸模様を形成することを特徴とする化粧シートの製造方
    法。
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