JPH08108495A - プロペラシャフト - Google Patents

プロペラシャフト

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JPH08108495A
JPH08108495A JP6270608A JP27060894A JPH08108495A JP H08108495 A JPH08108495 A JP H08108495A JP 6270608 A JP6270608 A JP 6270608A JP 27060894 A JP27060894 A JP 27060894A JP H08108495 A JPH08108495 A JP H08108495A
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body cylinder
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Hiroshi Ochi
寛 越智
Yukitsugu Kimoto
幸胤 木本
Yasuyuki Toyoda
靖之 豊田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基本的強度要求を満足しつつ、衝突時等にお
ける破壊を確実かつ円滑に進行させ、優れたエネルギー
吸収効果を有するプロペラシャフトを提供する。 【構成】 複数層の強化繊維層を含むFRP製本体筒1
に継手2を接合したプロペラシャフトにおいて、継手2
と本体筒1の端面1cとの間の筒軸方向荷重伝達面3
を、上記複数層のうちの予め設定された特定の層1b上
において周方向に部分的に延びる面として形成したプロ
ペラシャフト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等のプロペラシ
ャフト(駆動推進軸)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃費の向上や環境保全といった観
点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達
成する一手段としてプロペラシャフトのFRP(繊維強
化プラスチック)化が検討され、一部で既に採用される
に至っている。そのようなFRP製プロペラシャフト
は、FRP製本体と、この本体の各端部に接合して設け
た金属製継手とを有している。
【0003】ところで、自動車のプロペラシャフトは、
エンジンで発生するトルクを捩りトルクとして駆動輪に
伝達するものであるから、100〜400kgf・m程
度の捩り強度を必要とする。また、高速回転時に共振を
起こさないよう、危険回転数が5,000〜15,00
0rpm程度であることも要求される。そのため、これ
らの基本的要求が満たされるよう、FRP製プロペラシ
ャフトの本体は、強化繊維の種類、含有量や、強化繊維
の配列方向、層構成や、外径、内径、肉厚等のパラメー
タを考慮した設計がなされる。
【0004】たとえば、強化繊維の配列方向の選定に
は、次のようなことが考慮される。すなわち、主として
捩り強度に関しては、材料のせん断強度とFRP本体筒
の捩り座屈強度に支配される。せん断強度に関しては、
強化繊維を本体の筒軸方向に対して±45°の角度で配
列するのが最も効果的である。また、捩り座屈強度は本
体の周方向弾性率に大きく依存するため筒軸方向に対し
て±80〜90°の角度での配列も必要になる。また、
危険回転数に関しては、強化繊維を筒軸方向に配列し
て、筒軸方向における曲げ弾性率を大きくし、高い危険
回転数が得られるようにする。
【0005】このように、本体においては、捩り強度と
危険回転数といった基本的要求に関して最も効果的な強
化繊維の配列方向が存在するので、これらの要求に好適
な配列方向を組み合わせた層構成を採ることになるが、
捩り強度の問題は外径や肉厚等の寸法面からも解決でき
ることから、通常は、強化繊維の配列方向への依存性が
大きい危険回転数を優先した設計がなされ、強化繊維が
筒軸方向に対して小さな角度で配列された層の割合を多
くしている。ところが、そのために以下において説明す
るような問題が起こっている。
【0006】すなわち、軽量化とともに重要なことに、
衝突時における乗員の安全確保の問題がある。この安全
確保についての近年における自動車の設計思想は、ボデ
ィをクラッシャブル構造とし、衝突時の衝撃エネルギー
(圧縮荷重)をボディの前後方向における圧縮破壊によ
って吸収し、もって乗員にかかる急激な加速度を緩和す
ることに支配されているが、上述した、危険回転数を優
先した思想の下に本体を設計すると、必然的に筒軸方向
の圧縮荷重に対する強度が高くなり、衝突時にボディが
破壊し、その破壊が逐次進行してプロペラシャフトに達
したときに、プロペラシャフトがあたかもつっかい棒の
ように作用して衝撃エネルギーの吸収効果が損なわれる
ようになってしまう。
【0007】かかる問題を解決しようとして、特開平3
−37416号発明は、衝突時の圧縮荷重で継手が本体
との接合面において筒軸方向に移動し、同時に継手が本
体全体をその端部から徐々に押し拡げて破壊する構成の
プロペラシャフトを提案している。しかしながら、この
従来のプロペラシャフトは、継手の移動を確保するため
に本体と継手とを複雑な歯形や分離剤を介して接合しな
ければならず、構造が複雑になるばかりか、製造上の煩
雑さも免れない。また、そのような構成のプロペラシャ
フトにおいて継手を圧入接合しようとすると、本体の端
部に圧入時の力に耐える強度をもたせなければならない
が、端部にそのための強度をもたせることは、圧縮荷重
による押し拡げ、破壊を困難にする。すなわち、上述し
た基本的要求と押し拡げ、破壊という相反する要求を同
時に満足させることはなかなか難しい。
【0008】また、特開平4−339022号公報は、
筒軸方向の圧縮荷重が負荷されたときに継手が本体との
接合面上を本体の内部に向かって移動し、その移動抵抗
によって衝撃エネルギーを吸収するようにしたプロペラ
シャフトを記載している。しかしながら、このような構
成では、継手の外径を本体の内径よりも必ず小さくしな
ければならず、設計に自由度が低下するばかりか、継手
の長さが移動量の限度となるから衝撃エネルギーの吸収
効果もそれほど大きくない。
【0009】このように、従来のプロペラシャフトは、
いずれも、捩り強度や危険回転数といった基本的要求と
衝突時における乗員の安全確保においてバランスのとれ
たものであるとはいい難い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のプロペラシャフトの上述した問題点を解決し、捩り強
度や危険回転数といった基本的要求を満足しつつ、衝突
時におけるボディの破壊にあわせて破壊を確実かつ円滑
に進行させることができ、優れたエネルギー吸収効果を
発現させることができるプロペラシャフトを提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、複数層の強化繊維層を含むFRP製本体
筒の端部に継手を接合したプロペラシャフトにおいて、
前記継手と前記本体筒の端面との間の筒軸方向荷重伝達
面を、前記複数層のうちの予め設定された特定の層上に
おいて周方向に部分的に延びる面として形成したことを
特徴とするものからなる。
【0012】上記筒軸方向荷重伝達面は、継手と本体筒
端部の筒軸方向外端面との当接面として形成されるもの
であるが、プロペラシャフト製品状態で当初から当接さ
れている面としてもよく、あるレベル以上の筒軸方向圧
縮荷重が加わった際に当接する面としてもよい。
【0013】また、上記筒軸方向荷重伝達面は、接合さ
れる継手の、本体筒端部の筒軸方向外端面への当接部ま
たは当接面形状を工夫するか、あるいは、本体筒端部の
筒軸方向外端面の継手への当接部または当接面形状を工
夫することにより、形成できる。
【0014】たとえば、上記筒軸方向荷重伝達面は、継
手に周方向に断続的に延びるフランジを設け、該フラン
ジを、本体筒の外端面において本体筒を構成する層のう
ち特定の層のみに当接させることにより形成できる。
【0015】また、上記筒軸方向荷重伝達面は、継手に
本体筒の外端面に向けてテーパ状に突出するフランジを
設け、該フランジの、本体筒の外端面側先端面を、本体
筒の特定層のみに当接させることにより形成できる。
【0016】また、上記筒軸方向荷重伝達面は、本体筒
の外端面を周方向に断続的に切り欠き、該本体筒の外端
面における、切り欠き間部分でかつ本体筒の特定層部分
のみを、継手に当接させることによっても形成できる。
【0017】さらに、上記筒軸方向荷重伝達面は、本体
筒の外端面を周方向に部分的にテーパ状に肩落しし、該
外端面における、肩落しされていない部分でかつ本体筒
の特定層部分のみを、継手に当接させることによっても
形成できる。
【0018】上記特定の層としては、本体筒の最外層以
外の層であることが好ましい。この特定層は、中間層で
構成することも可能であるが、筒軸方向圧縮荷重に対し
て確実かつ円滑に破壊を進行させるには、最内層、それ
も本体筒端部のみに設けられた最内層とすることが好ま
しい。とくに、強化繊維のフープ巻層からなる最内層と
することが好ましい。また、フープ巻層が、本体筒の外
端面に対応する内端面側の部分がくさび形に形成されて
いるものであると、破壊をより一層円滑に進行させやす
くなる。
【0019】
【作用】このようなプロペラシャフトにおいては、継手
に筒軸方向の圧縮衝撃荷重が加わると、その荷重は、筒
軸方向荷重伝達面を介して、まず、FRP製本体筒の複
数層のうち特定の層のみに伝達される。そして、この筒
軸方向荷重伝達面は、周方向に部分的に延びる面として
形成されているから、全周にわたって荷重が分散されて
伝達される場合に比べ、荷重が直接伝達される周方向の
部分的な特定部位の応力が高められる。この荷重伝達に
よる応力は、上記特定層と、それに隣接する他の層との
間に層間剪断応力を生じさせ、上記周方向特定部位の応
力が高められることにより、上記層間剪断応力も局部的
に高められる。層間剪断応力が局部的に高められると、
その部位から層間剥離あるいは層間破壊が開始、進行さ
れやすくなる。一旦局部的に層間破壊が生じると、その
層間破壊が順次全周にわたって進行し、所望の破壊が確
実かつ円滑に進行することになる。
【0020】また、上記荷重は、FRP製本体筒の特定
の層のみに伝達されるので、この特定層を上記破壊の進
行に都合のよい構成とし、他の層を主として捩り強度や
危険回転数といったプロペラシャフトの基本的要求を満
足させる構成としておけば、基本的要求を満たすととも
に、衝突時等に破壊を確実かつ円滑に進行させて優れた
エネルギー吸収効果の得られるプロペラシャフトが実現
される。
【0021】
【実施例】以下に、本発明のプロペラシャフトの望まし
い実施例を、図面を参照して説明する。図1ないし図4
は、本発明の第1実施例に係るプロペラシャフトを示し
ている。図1において、1はFRP製本体筒を示してお
り、本体筒1は、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド
繊維等の高強度、高弾性率強化繊維でエポキシ樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステ
ル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアラ
ミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド
樹脂等の熱可塑性樹脂を強化してなるものである。本体
筒1の一端部および他端部には、金属製継手2が圧入接
合されている。このプロペラシャフトは、長さ方向中心
からみて対称形であり、図は一方の端部側のみを示して
いる。
【0022】本体筒1の少なくとも端部は、強化繊維の
配列が互いに異なる複数の層で構成されている。本体筒
は、一様な内径を有するとともに、その全長にわたって
設けた、筒軸方向に対して強化繊維が±5〜30°の角
度で配列されたヘリカル巻層1aと、このヘリカル巻層
1aの内側で、かつ、本体筒1の一端部および他端部に
設けた、強化繊維のフープ巻層(筒軸方向に対して強化
繊維が±80〜90°の角度で配列された層)1bとを
有している。ヘリカル巻層1aは、本体筒1の、主とし
て、筒軸方向における曲げ弾性率を向上させてプロペラ
シャフトの曲げ共振周波数を高くし、危険回転数を高く
するとともに、捩り強度を向上させるように作用する。
また、フープ巻層1bは、本体筒1の、主として、継手
2が圧入接合される各端部に、後述するような破壊の進
行を妨げることなく圧入時の力に耐える強度を与えるよ
うに作用する。このような本体筒1はFRPの成形法と
して周知の、たとえばフィラメントワインディング法に
よって成形することができる。
【0023】すなわち、樹脂を含浸した強化繊維束を用
い、マンドレルの一端部に所望の厚み、所望の長さのフ
ープ巻層を形成した後、そのまま強化繊維束をマンドレ
ルの他端部に走らせてその他端部に同様のフープ巻層を
形成する。引き続き、他端部から始めてその他端部と一
端部との間を往復しながら所望の厚みのヘリカル巻層を
形成する。ヘリカル巻層の形成を他端部で終えた後、引
き続いて一端部に向かって強化繊維束を移動させて薄い
フープ巻層を形成することもでき、そうすると、余分な
樹脂が絞り出されて強化繊維の体積含有率が高くなり、
本体の各種強度や弾性率等がさらに向上するようにな
る。このようにして、強化繊維束を中途で切断すること
なく連続して巻層を形成することができる。巻層の形成
後は、好ましくは回転させながら樹脂を硬化ないし固化
させ、マンドレルを引き抜いて本体を得る。
【0024】フープ巻層1bは、複数の層構造の中間層
として設けることも可能であるが、後述の如き破壊の進
行を円滑にかつ確実に行わせるには、本実施例のように
最内層として設けることが好ましい。このフープ巻層1
bは、筒軸方向外端面1cに対応する内端面側の部分1
dが、くさび形の縦断面形状を有している。このくさび
形の縦断面形状は、外端面からその外端面に対応する内
端面に向かってフープ層の厚みが徐々に薄くなる形状と
してもよい。
【0025】一方、継手2は、フープ巻層1bに内接
し、かつ、そのフープ巻層1bよりもやや短い接合面2
aを有する。接合面2aが形成されている部分の外径
は、圧入前における本体筒1の内径よりもやや大きく、
したがって、継手2を本体筒1に圧入すると、継手2の
接合面2aには圧縮応力が、また、本体筒1には周方向
の引張応力がそれぞれ作用し、これら圧縮応力と引張応
力とで本体筒1と継手2とが強固に接合されるようにな
る。そして、本体筒1の各端部には、内側にフープ巻層
1bが存在し、外側にヘリカル巻層1aが存在するの
で、圧入接合によって本体筒1に生ずる周方向の引張応
力は、主としてフープ巻層1bが受け持つことになる。
また、本体筒1の周方向の歪は、内側で最も大きく、外
側ほど小さくなるが、強化繊維がフープ巻されているた
めに引張破断伸度が大きいフープ巻層1bをそれよりも
破断伸度が小さいヘリカル巻層1aの内側に位置させて
いるから、効果的な接合状態が現出されることになる。
【0026】接合前における、継手2の、接合面2aが
形成されている部分の外径の本体筒1の内径に対する
差、すなわち圧入代は、大きいほど強い接合力が得ら
れ、捩り強度が向上するので捩りトルクの伝達には都合
がよいが、接合力は、接合面2aの面積や表面状態によ
っても変わる。通常、圧入代の本体筒1の内径に対する
比を0.001〜0.02の範囲に選定し、接合面2a
の本体筒1の筒軸方向における長さを本体の内径の1/
10以上にする。また、接合面2aに、本体筒1の筒軸
方向に延びるセレーション2bを設けておくのも大変都
合がよい。なお、接合力を向上させたり、滑りをよくし
て圧入を容易にしたり、接合面とフープ巻層1bの内面
との間隙を埋めたり、接合面を外気から遮断して保護す
る等の目的で、接合面2aに接着剤を塗布しておいても
よい。
【0027】上述した継手2には、接合面2aに隣接し
て、外径が本体筒1の内径よりも大きく、かつフープ巻
層1bの外径と同等かそれよりも若干小さいフランジ2
cが設けられている。したがって、フランジ2cはフー
プ巻層1bの本体筒1の外端面1cのみに当接する。こ
のフランジ2cは、図2に示すように、周方向に複数に
分割されて、周方向に断続的に延びている。このフラン
ジ2cとフープ巻層1bの本体筒1の外端面1cとの当
接面が、本発明で言う筒軸方向荷重伝達面3として形成
される。すなわち、この筒軸方向荷重伝達面3は、特定
の層としてのフープ巻層1bの本体筒1の外端面1cで
かつ周方向に部分的に延びる面として形成されている。
【0028】上記のように構成されたプロペラシャフト
においては、筒軸方向にあるレベル以上の圧縮荷重が加
わると、本体筒1に図3および図4に示すような破壊が
開始、進行する。すなわち、ピン4等を介して継手2か
ら加わる筒軸方向の圧縮荷重Pは、フープ巻層1bに当
接するフランジ2cからそのフープ巻層1bに伝達さ
れ、さらにヘリカル巻層1aに伝達される。したがっ
て、ヘリカル巻層1aも圧縮変形するが、フープ巻層1
bとヘリカル巻層1aとではポアソン比の差が大きいの
で両者の層間にそれを破壊させようとする剪断応力が作
用し、この剪断応力と、圧縮荷重によって層間に生ずる
剪断応力と、継手2の圧入によって生じている引張応力
との2次元応力状態の下で層間が剥離、破壊し、以後、
図4に示すようにヘリカル巻層1aの破壊が進行する。
【0029】この破壊の進行過程を詳述するに、まず、
筒軸方向荷重伝達面3を介して継手2のフランジ2cか
ら本体筒1のフープ巻層1bに圧縮荷重Pが伝達され
る。フランジ2cは、周方向に断続的に延びており、フ
ランジ2cが存在する部分を介して荷重Pがフープ巻層
1bに伝達されるから、フープ巻層1bに発生する応力
は、周方向にみて、フランジ2cに対応する部位では局
部的に高くなり、その他の部位では相対的に低くなる。
このフープ巻層1bに生じる応力は、前述の如く、フー
プ巻層1bとヘリカル巻1aとの間に層間剪断応力を発
生させる。したがって、上記周方向にみて局部的に応力
が高くなる部位では、層間剪断応力も高くなる。つま
り、その部位では、他の部位に比べ層間破壊が開始され
やすくなる。
【0030】周方向に局部的に層間破壊が開始すると、
それが比較的容易に周方向の他の部位にも伝幡されるの
で、残りの部位でも層間破壊が進行していく。この層間
破壊(層間剥離)に伴い、引張破断伸度が高く継手2と
接合されているフープ巻層1bは、それ自身実質的に破
壊することなく、図4に示すように継手2とともにヘリ
カル巻層1aを破壊しながら本体筒1中を軸方向に移動
する。この移動に伴って、たとえば図4に示すようなパ
ターンの破壊5が、一層進行することになる。このよう
にして筒軸方向の衝撃エネルギーが円滑にかつ確実に吸
収されていく。
【0031】上記破壊の進行過程においては、とくに破
壊の開始時および開始直後において、破壊が円滑に進
む。すなわち、筒軸方向荷重伝達面3が周方向に断続的
に形成され荷重Pによる層間剪断応力が周方向に局部的
に高められることにより、全周に均一に分散されて荷重
が伝達された場合に比べ、応力が集中した分層間剥離が
開始されやすくなり、周方向に局部的に生じた層間剥離
が全周に広がった後、フープ巻層1bが上述の如く移動
して破壊が進行していくから、破壊の開始および開始直
後の破壊の進行が極めて円滑に行われる。また、同じ大
きさの荷重Pに対し、上記の如く応力が集中する分破壊
しやすくなる。
【0032】また、フープ巻層1bの内端側がくさび形
に形成されていることにより、フープ巻層1bが筒軸方
向に移動する際ヘリカル巻層1aを押し拡げやすくなる
ので、破壊が一層円滑に進行される。
【0033】上記のような作用、効果を奏するための筒
軸方向荷重伝達面は、各種形態に形成できる。
【0034】図5は、本発明の第2実施例に係るプロペ
ラシャフトの片方の端部を示している。本実施例におい
ては、本体筒1の構成は前記第1実施例と実質的に同一
であるが、継手12に、本体筒1端部の外端面1cに向
けてテーパ状に突出するフランジ12cが設けられ、フ
ランジ12cの先端面がフープ巻層1bにのみ、かつそ
の周方向に部分的に当接されている。この当接面が、筒
軸方向荷重伝達面13として形成されている。
【0035】このような、テーパ状のフランジ12cに
構成すれば、フランジ12cの先端面による荷重伝達に
よって、周方向に局部的に高い層間剪断応力が発生し、
それによって局部的な層間剥離が効率よく生じるととも
に、その層間剥離が周方向に拡がる際、フランジ12c
先端面両側のテーパ部が徐々にフープ巻層1bを押して
いくことになるので、層間剥離が一層円滑に拡げられて
いく。したがって、一層円滑かつ確実な破壊の進行が期
待できる。
【0036】図6は、本発明の第3実施例に係るプロペ
ラシャフトの片方の端部を示している。本実施例におい
ては、継手22には全周にわたって延びるリング状のフ
ランジ22cが設けられ、本体筒21の外端面21c
に、該外端面21cを周方向に断続的に切り欠いた複数
の切り欠き21dが形成されている。外端面21cの切
り欠き21d間部分でかつ内側のフープ巻層21bの外
端面にのみフランジ22cが当接され、該当接面が筒軸
方向荷重伝達面23として形成されている。このように
本体筒21側の形状を工夫して筒軸方向荷重伝達面23
を形成しても、前記第1実施例と同様の作用、効果が得
られる。
【0037】図7は、本発明の第4実施例に係るプロペ
ラシャフトの片方の端部を示している。本実施例におい
ては、継手22は上記第3実施例と実質的に同一のもの
であり、本体筒31の外端面31cが、周方向に部分的
に、筒軸方向にテーパ状に肩落し31dされている。肩
落しされていない外端面31c部分でかつ内側のフープ
巻層31bの外端面のみにフランジ22cが当接され、
該当接面が筒軸方向荷重伝達面33として形成されてい
る。このような構成においても、前記第2実施例と同様
の作用、効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプロペラ
シャフトによるときは、継手とFRP製本体筒との間の
筒軸方向荷重伝達面を、本体筒の特定の層上にのみ、か
つ、周方向に部分的に形成するようにしたので、圧縮荷
重負荷時に周方向に局部的に大きな層間剪断応力を発生
させて、FRP製本体筒の破壊の開始および破壊の進行
を、より確実にかつより円滑に行わせることができ、優
れたエネルギー吸収効果を有するプロペラシャフトを実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るプロペラシャフトの
部分縦断面図である。
【図2】図1のプロペラシャフトの部分斜視図である。
【図3】図1のプロペラシャフトの破壊開始時の状態を
示す部分縦断面図である。
【図4】図1のプロペラシャフトの破壊進行時の状態を
示す部分縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係るプロペラシャフトの
部分斜視図である。
【図6】本発明の第3実施例に係るプロペラシャフトの
部分斜視図である。
【図7】本発明の第4実施例に係るプロペラシャフトの
部分斜視図である。
【符号の説明】
1、21、31 本体筒 1a ヘリカル巻層 1b、21b、31b フープ巻層 1c、21c、31c 外端面 1d くさび形の部分 2、12、22 継手 2a 接合面 2b セレーション 2c、12c、22c フランジ 3、13、23、33 筒軸方向荷重伝達面 4 ピン 5 破壊部 21d 切り欠き 31d 肩落し部分 P 圧縮荷重
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:08 B29L 31:08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数層の強化繊維層を含むFRP製本体
    筒の端部に継手を接合したプロペラシャフトにおいて、
    前記継手と前記本体筒の端面との間の筒軸方向荷重伝達
    面を、前記複数層のうちの予め設定された特定の層上に
    おいて周方向に部分的に延びる面として形成したことを
    特徴とするプロペラシャフト。
  2. 【請求項2】 前記筒軸方向荷重伝達面が、継手に設け
    られた、周方向に断続的に延びるフランジにより形成さ
    れている、請求項1のプロペラシャフト。
  3. 【請求項3】 前記筒軸方向荷重伝達面が、継手に設け
    られた、本体筒の外端面に向けてテーパ状に突出するフ
    ランジにより形成されている、請求項1のプロペラシャ
    フト。
  4. 【請求項4】 前記筒軸方向荷重伝達面が、本体筒の外
    端面を周方向に断続的に切り欠くことにより形成されて
    いる、請求項1のプロペラシャフト。
  5. 【請求項5】 前記筒軸方向荷重伝達面が、本体筒の外
    端面を周方向に部分的にテーパ状に肩落しすることによ
    り形成されている、請求項1のプロペラシャフト。
  6. 【請求項6】 前記特定の層が、本体筒の端部に最内層
    として設けられた強化繊維のフープ巻層である、請求項
    1ないし5のいずれかに記載のプロペラシャフト。
  7. 【請求項7】 前記フープ巻層の、本体筒の外端面に対
    応する内端面側の部分がくさび形に形成されている、請
    求項6のプロペラシャフト。
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