JP3218891B2 - プロペラシャフト - Google Patents

プロペラシャフト

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JP3218891B2
JP3218891B2 JP29122494A JP29122494A JP3218891B2 JP 3218891 B2 JP3218891 B2 JP 3218891B2 JP 29122494 A JP29122494 A JP 29122494A JP 29122494 A JP29122494 A JP 29122494A JP 3218891 B2 JP3218891 B2 JP 3218891B2
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幸胤 木本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車等のプロペラ
シャフト(駆動推進軸)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃費の向上や環境保全といった観
点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達
成する一つの手段としてプロペラシャフトのFRP(繊
維強化プラスチック)化が検討され、一部で既に採用さ
れるに至っている。そのようなFRP製プロペラシャフ
トは、FRP製の円筒状本体と、この本体の各端部に接
合して設けた金属製継手とを有している。
【0003】ところで、自動車のプロペラシャフトは、
エンジンで発生するトルクを駆動輪に伝達するものであ
るから、100〜400kgf ・m 程度の捩り強度を必要
とする。また、高速回転時に共振を起こさないよう、危
険回転数が5,000〜15,000rpm 程度であるこ
とも要求される。そのため、これらの基本的要求が満た
されるよう、FRP製の本体は、補強繊維の種類、含有
量や、補強繊維の配列方向、層構成や、外径、内径、肉
厚等のパラメータを考慮した設計がなされる。たとえ
ば、補強繊維の配列方向の選定には、次のようなことが
考慮される。すなわち、主として捩り強度に関しては、
補強繊維を本体の軸方向に対して±45゜の角度で配列
するのが最も効果的であるが、主として捩り座屈強度に
関しては、軸方向に対して±80〜90゜の角度で配列
するのが最も効果的である。また、主として危険回転数
に関しては、補強繊維を可能な限り軸方向に配列してそ
の軸方向における曲げ弾性率を大きくし、高い曲げ共振
周波数が得られるようにする。
【0004】このように、本体においては、捩り強度と
危険回転数といった基本的要求に関して最も効果的な補
強繊維の配列方向が存在するので、これらの要求に好適
な配列方向を組み合わせた層構成を採ることになるが、
捩り強度の問題は外径や肉厚等の寸法面からも解決でき
ることから、通常は、補強繊維の配列方向への依存性の
大きい危険回転数を優先した設計がなされ、補強繊維が
軸方向に対して小さな角度で配列された層の割合を多く
している。ところが、そのために以下において説明する
ような問題が起こっている。
【0005】すなわち、軽量化とともに重要なことに、
衝突時における乗員の安全確保の問題がある。この安全
確保についての近年における自動車の設計思想は、ボデ
ィをクラッシャブル構造とし、衝突時の衝撃エネルギー
(圧縮荷重)をボディの圧縮破壊によって吸収し、もっ
て乗員にかかる急激な加速度を緩和することに支配され
るが、上述した、危険回転数を優先した思想の下にFR
P製の本体を設計すると、必然的に軸方向の圧縮荷重に
対する強度が高くなり、衝突時にボディが破壊し、その
破壊が逐次進行してプロペラシャフトに達したときに、
プロペラシャフトがあたかもつっかい棒のように作用し
て衝撃エネルギーの吸収効果が損われるようになってし
まう。
【0006】かかる問題を解決しようとして、特開平3
−37416号発明は、衝突時の圧縮荷重で継手が本体
との接合面において軸方向に移動し、同時に継手が本体
全体をその端部から徐々に押し拡げて破壊するようにし
たプロペラシャフトを提案している。しかしながら、こ
の従来のプロペラシャフトは、継手の移動を確保するた
めに本体と継手とを複雑な歯形や分離剤を介して接合し
なければならず、構造が複雑になるばかりか、製造上の
煩雑さも免れない。また、そのような構成のプロペラシ
ャフトにおいて継手を圧入接合しようとすると、本体に
圧入時の力に耐える強度をもたせなければならないが、
そのための強度をもたせることは、圧縮荷重による本体
の押し拡げ、破壊を困難にする。すなわち、上述した基
本的要求と、押し拡げ、破壊という相反する要求とを同
時に満足させることはなかなか難しい。
【0007】また、特開平4−339022号公報は、
軸方向の圧縮荷重が負荷されたときに継手が本体との接
合面上を本体の内部に向かって移動し、その移動抵抗に
よって衝撃エネルギーを吸収するようにしたプロペラシ
ャフトを記載している。しかしながら、このような構成
では、継手の外径を本体の内径よりも必ず小さくしなけ
ればならず、設計の自由度が低下するばかりか、継手の
長さが移動量の限度となるから衝撃エネルギーの吸収効
果もそれほど大きくない。
【0008】このように、従来のプロペラシャフトは、
いずれも、捩り強度や危険回転数といった基本的要求と
衝突時における乗員の安全確保においてバランスのとれ
たものであるとはいい難い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来のプロペラシャフトの上述した問題点を解決し、捩り
強度や危険回転数といった基本的要求を満足しつつ、衝
突時におけるボディの破壊にあわせてプロペラシャフト
の破壊を確実に進行させることができ、ボティによるエ
ネルギー吸収効果を十分に発現させることができるプロ
ペラシャフトを提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、FRP製の円筒状本体と、この本体の
端部に接合して設けた継手とを有し、上記本体は、その
本体の全長にわたって延在する主層と、上記本体の端部
において、上記主層と一体に、かつ、上記主層の内側に
設けた部分層とを含み、上記継手は、その継手の軸方向
に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に
集中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥
離させる圧縮荷重伝達部を備えているプロペラシャフト
を提供する。
【0011】また、この発明は、FRP製の円筒状本体
と、この本体の一端部および他端部に接合して設けた継
手とを有し、上記本体は、その本体の全長にわたって延
在する主層と、上記本体の一端部において、上記主層と
一体に、かつ、上記主層の内側に設けた部分層とを含
み、上記一端部に設けた継手は、その継手の軸方向に作
用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に集中
させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥離さ
せる圧縮荷重伝達部を備えているプロペラシャフトを提
供する。
【0012】さらに、この発明は、FRP製の円筒状本
体と、この本体の一端部および他端部に接合して設けた
継手とを有し、上記本体は、その本体の全長にわたって
延在する、ヘリカル巻された補強繊維を包含する主層
と、上記本体の一端部および他端部において、上記主層
と一体に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻さ
れた補強繊維を包含する部分層とを含み、上記一端部お
よび他端部に設けた継手は、その継手の軸方向に作用す
る圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に集中させ
てそれら主層と部分層とを上記層間において剥離させる
圧縮荷重伝達部を備えているプロペラシャフトを提供す
る。
【0013】さらにまた、この発明は、FRP製の円筒
状本体と、この本体の一端部および他端部に接合して設
けた継手とを有し、上記本体は、その本体の全長にわた
って延在する、本体の軸方向に対して±5〜30゜の角
度でヘリカル巻された補強繊維を包含する主層と、上記
本体の一端部および他端部において、上記主層と一体
に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻された補
強繊維を包含する部分層とを含み、上記一端部および他
端部に設けた継手は、その継手の軸方向に作用する圧縮
荷重を上記主層と上記部分層との層間に集中させてそれ
ら主層と部分層とを上記層間において剥離させる圧縮荷
重伝達部を備えているプロペラシャフトを提供する。
【0014】上記圧縮荷重伝達部は、上記継手の上記本
体との接合面に向かう下りの斜面を有しているか、外径
が上記部分層の外径以下で、かつ、上記部分層の外端面
と対向する立面を有しているのが好ましい。
【0015】また、この発明は、上記目的を達成するた
めに、FRP製の円筒状本体と、この本体の一端部およ
び他端部に接合して設けた金属製継手とを有し、上記本
体は、 a. 上記本体の全長にわたって設けた、上記本体の軸
方向に対して±5〜30゜の角度でヘリカル巻された補
強繊維を含む主層と、 b. 上記本体の一端部および他端部において、上記主
層と一体に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻
された補強繊維を含む部分層と、を有し、上記一端部お
よび他端部に設けた継手は、 c. 上記部分層に内接する接合面と、 d. 上記接合面に隣接して設けた、上記継手の軸方向
に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に
集中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥
離させる、上記接合面に向かう下りの斜面を有する圧縮
荷重伝達部と、を有しているプロペラシャフトを提供す
る。
【0016】さらに、この発明は、FRP製の円筒状本
体と、この本体の一端部および他端部に接合して設けた
金属製継手とを有し、上記本体は、 a. 上記本体の全長にわたって設けた、上記本体の軸
方向に対して±5〜30゜の角度でヘリカル巻された補
強繊維を含む主層と、 b. 上記本体の一端部および他端部において、上記主
層と一体に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻
された補強繊維を含む部分層と、を有し、上記一端部お
よび他端部に設けた継手は、 c. 上記部分層に内接する接合面と、 d. 上記接合面に隣接して設けた、上記継手の軸方向
に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に
集中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥
離させる、外径が上記部分層の外径以下で、かつ、上記
部分層の外端面と対向する立面を備えた圧縮荷重伝達部
と、を有しているプロペラシャフトを提供する。
【0017】以上において、継手の接合は圧入接合によ
って行われているのが好ましい。また、継手の本体との
接合面に、その継手の軸方向に延びるセレーションが設
けられているのが好ましい。さらに、上記部分層は、外
端面に対応する内端面側の部分がくさび形の縦断面形状
を有しているか、外端面側から内端面側に向かって厚み
が徐々に薄くなっているのが好ましい。
【0018】この発明をその一実施態様に基いてさらに
詳細に説明するに、図1および図2において、プロペラ
シャフトは、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維
等の高強度、高弾性率補強繊維でエポキシ樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹
脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等
の熱可塑性樹脂を強化してなるFRP製の円筒状本体1
を有する。本体1の一端部および他端部には、金属製継
手2が圧入接合されている。このプロペラシャフトは、
長さ方向中心からみて対称形をしている。
【0019】本体1は、一様な内径を有するとともに、
その全長にわたって延在する、軸方向に対して±5〜3
0゜の角度でヘリカル巻された補強繊維を含む主層1a
と、本体1の両端部において、上記主層1a と一体に、
かつ、その主層1a の内側に設けた、フープ巻された補
強繊維を含む部分層(軸方向に対して補強繊維が±80
〜90゜の角度で配列されている層)1b とを有してい
る。主層1a は、本体1の、主として、軸方向における
曲げ弾性率を向上させてプロペラシャフトの曲げ共振周
波数を高くし、危険回転数を高くするとともに、捩り強
度を向上させるように作用する。また、部分層1b は、
本体1の、主として、継手が圧入接合される各端部に、
後述するように破壊の進行を妨げることなく圧入時の力
に耐える強度を与えるとともに、継手2からの回転トル
ク(捩りトルク)を本体1に伝達するように作用する。
このような本体1は、たとえばフィラメントワインディ
ング法によって成形することができる。
【0020】すなわち、樹脂を含浸した補強繊維束を用
い、その樹脂含浸補強繊維束をマンドレルの一端部に所
望の厚み、所望の長さフープ巻して部分層を形成した
後、そのまま樹脂含浸補強繊維束をマンドレルの他端部
に走らせてその他端部に同様に部分層を形成する。引き
続き、樹脂含浸繊維束を他端部から始めてその他端部と
一端部との間を往復させながらヘリカル巻し、所望の厚
みの主層を形成する。主層の形成を終えた後、その主層
の上に樹脂含浸繊維束を薄くフープ巻することもでき、
そうすると、余分な樹脂が絞り出されて補強繊維の体積
含有率が高くなり、本体の各種強度や弾性率等がさらに
向上するようになる。このようにして、補強繊維束を中
途で切断することなく連続して各層を形成することがで
きる。層の形成後は、好ましくは回転させながら樹脂を
硬化ないし固化させ、マンドレルを引き抜いて本体を得
る。
【0021】一方、継手2は、部分層1b に内接し、か
つ、その部分層1b よりもやや短い接合面2a を有す
る。接合面2a が形成されている部分の外径は、圧入前
における本体1の内径よりもやや大きく、したがって、
継手2を本体1に圧入すると、継手の接合面2a には圧
縮応力が、また、本体1には周方向の引張応力がそれぞ
れ作用し、これら圧縮応力と引張応力とで本体1と継手
2とが強固に接合されるようになる。そして、本体1の
各端部には、内側に部分層1b が存在し、外側に主層1
a が存在するので、圧入接合によって本体1に生ずる周
方向の引張応力は、主として部分層1b が受け持つこと
になる。また、本体1の周方向の歪は、内側で最も大き
く、外側ほど小さくなるが、補強繊維がフープ巻されて
いるために引張破断伸度が大きい部分層1b をそれより
も破断伸度の小さい主層1a の内側に位置させているか
ら、効果的な接合状態が発現されるようになる。
【0022】接合前における、継手2の、接合面2a が
形成されている部分の外径の本体1の内径に対する差、
すなわち圧入代は、大きいほど強い接合力が得られ、捩
り強度が向上するので捩りトルクの伝達には都合がよい
が、接合力は、接合面2a の面積や表面状態によっても
変わる。通常、圧入代の本体1の内径に対する比を0.
001〜0.02の範囲に選定し、接合面2a の本体1
の軸方向における長さを本体の内径の1/10以上にす
る。また、図2に示すように、接合面2a に、継手の軸
方向に延びるセレーション2e を設けておくのも大変都
合がよい。なお、接合力を向上させたり、滑りをよくし
て圧入を容易にしたり、接合面2a と部分層1b の内面
との間隙を埋めたり、接合面2a を外気から遮断して保
護する等の目的で接合面2a に接着剤を塗布しておくの
もよい。
【0023】上述した継手2は、接合面2a に隣接し
て、外径が本体1の内径よりもやや大きいリング状凸部
2b と、このリング状凸部2b から接合面2a に向かう
下りの斜面2c とを有している。これらリング状凸部2
b と斜面2c とが、継手2の軸方向に作用する圧縮荷重
を主層1a と部分層1b との層間に集中させてそれら主
層1a と部分層1b とを上記層間において剥離させるた
めの圧縮荷重伝達部を構成している。なお、斜面2c が
本体1の軸方向に対してなす角度は、15〜45゜の範
囲であるのが好ましい。
【0024】さて、上述したプロペラシャフトにその軸
方向の圧縮荷重が加わると、図3に示すように、継手2
が本体1側に押され、その凸部2b の斜面2c によって
本体1が押し拡げられ、周方向の引張歪が発生する。す
ると、内側にある部分層1bは引張破断伸度が高いので
破壊しないが、その外側にある主層1a は部分層1bよ
りも引張破断伸度が低いのでこの主層1a がまず破壊す
る。この破壊によって主層1a と部分層1b との間で層
間剥離が起こる。すなわち、主層1a と部分層1b とが
離れる。この状態になると破壊が一気に進むが、継手2
と接合されている部分層1b は破壊することなくその継
手2とともに主層1a を破壊しながら本体1中をその軸
方向に移動する。
【0025】このようにして軸方向のエネルギーを主層
1a の破壊によって吸収するのであるが、本体1の初期
破壊は継手2の斜面2c が誘発し、また、凸部2b が主
層1a を拡げるので、斜面2c が本体1の軸方向に対し
てなす角度は、上述したように15〜45゜の範囲にあ
るのが好ましい。また、破壊の進行過程に着目してみる
と、部分層1b を、図1に示すように、外端面に対応す
る内端面側の部分をくさび形の縦断面形状を有するもの
としておいたり、図4に示すように、外端面から内端面
に向かって厚みを徐々に薄くしておくのも好ましいこと
である。
【0026】図5は、別の実施態様に係るプロペラシャ
フトを示すものである。この態様のものは、図1に示し
たリング状凸部2b の斜面2c が、部分層1b の外端面
と対向する立面2d として構成されている。凸部2b の
外径は、部分層1b のそれに等しい。これら凸部2b と
立面2d とが圧縮荷重伝達部を構成しているのである
が、このようなプロペラシャフトにおいては、軸方向に
加わった圧縮荷重は、部分層1b に対向する立面2d か
らその部分層1b に伝達され、さらに主層1a に伝達さ
れる。したがって、主層1a も圧縮変形するが、主層1
a と部分層1b とではポアソン比の差が大きいので両者
の層間にそれを破壊させようとする剪断応力が作用し、
この剪断応力と、圧縮荷重によって層間に生ずる剪断応
力と、継手2の圧入によって生じている引張応力との2
次元応力状態の下で層間が破壊し、以後、図6に示すよ
うに主層1a の破壊が進行する。ただ、上述した態様の
ものとは異なり、主層1a を押し拡げながら移動するの
は部分層1b であり、凸部2b はこの押し拡げには関与
しない。なお、凸部2b の外径を部分層1b のそれより
も小さくしておいても同様の作用が得られる。また、立
面2d は、部分層1bに当接していてもよく、当接して
いなくてもよい。
【0027】以上においては、本体がその長さ方向にお
いて対称形であるものについて説明したが、その必要は
必ずしもない。というのは、後述するように、本体の破
壊をその両端部から同時に進行させる必要は必ずしもな
いからである。継手の接合の方法等にもよるが、いずれ
かの端部を部分層を有しないものとして構成することも
可能である。
【0028】また、継手は、その接合部にセレーション
を有するものについて説明した。そのような継手を用い
ると本体との接合がより強固になり、捩りトルクの伝達
には都合がよい。しかしながら、接合の方法等にもよる
が、セレーションを有しない継手の使用も可能である。
【0029】さらに、継手の接合は、圧入接合によるの
が好ましいものの、接着剤による接着でもよく、また、
圧入接合と接着剤による接合とを併用することもでき
る。
【0030】また、本体の一端部と他端部とで同じ継手
を使用したもの、すなわち、長さ方向に対称形のプロペ
ラシャフトについて説明したが、そうすると部品の種類
が少なくなるという利点があるものの、本体の破壊をそ
の一端部および他端部の双方から同時に進行させる必要
は必ずしもないので、他端部においては圧縮荷重伝達部
を有しない継手を使用してもよい。また、他端部の継手
を、全体としてみると図5に示すような形状ではある
が、凸部2b の外径が本体1の外径以上で、主層1a と
部分層1b の外端面の双方に当接する立面を有する継手
に変えてもよい。このとき、立面は、圧入接合時におけ
るストッパとして、また、本体が圧縮荷重を受けたとき
にそれを受け止める台座として作用する。なお、他端部
には継手が接合されないで、継手を取り付けるためのフ
ランジ等が接合されることもある。
【0031】
【実施例】
実施例1 フィラメントワインディング法によって本体を成形し
た。すなわち、炭素繊維束(平均単糸径:7μm、単糸
数:12,000本、引張強度360kgf /mm2、引張
弾性率:23,500kgf /mm2 )を6本引き揃え、こ
れを、硬化剤および硬化促進剤を含むビスフェノールA
型エポキシ樹脂を含浸しながら、外径70mm、長さ1,
300mmのマンドレルに、まず、その一端部100mmの
部分に軸方向に対して±80゜の角度で8層巻き付けて
厚み2.5mmの部分層を形成した後、他端部に移動して
同様に部分層を形成し、引き続きマンドレルの全長にわ
たって軸方向に対して±15゜の角度で4層巻き付けて
厚み2.5mmの主層を形成し、さらに、マンドレルの全
長にわたって軸方向に対して−80゜で1層フープ巻し
た。
【0032】次に、マンドレルを回転させながら180
℃で6時間加熱してエポキシ樹脂を硬化させ、マンドレ
ルを引き抜いた後、各端部50mmの部分を切断、除去し
て、各端部の外径が80mm、内径が70mm、長さが1,
200mmの、図1に示すような本体1を得た。
【0033】次に、上記本体1の各端部に、図2に示す
ような、接合面にセレーションを有し、凸部2b の外径
が80mm、接合面2a の外径が70.5mm、接合面2a
の長さが40mm、本体1の軸方向に対する斜面2c の角
度が30゜の金属製継手2を圧入接合し、この発明のプ
ロペラシャフトを得た。圧入に要した力は7,000kg
f であった。
【0034】次に、上記プロペラシャフトについて捩り
試験をしたところ、捩り強度は350kgf ・m であっ
た。また、危険回転数は8,000rpm であり、いずれ
も自動車用プロペラシャフトとして十分であった。
【0035】次に、軸方向に圧縮荷重を負荷したとこ
ろ、10,000kgf で主層と部分層とが剥離して主層
の破壊が始まり、破壊後は3,000kgf の荷重で図3
に示すように逐次破壊が進行した。
【0036】実施例2 継手として、図5に示すような、ただし凸部2b の外径
が75mmの継手を使用したほかは実施例1と同様にし
て、図5に示すようなプロペラシャフトを得た。次に、
上記プロペラシャフトについて捩り試験をしたところ、
捩り強度は350kgf ・m であった。また、危険回転数
は8,000rpm であり、いずれも自動車用プロペラシ
ャフトとして十分であった。
【0037】次に、軸方向に圧縮荷重を負荷したとこ
ろ、11,000kgf で主層と部分層とが剥離して主層
の破壊が始まり、破壊後は3,500kgf の荷重で図6
に示すように逐次破壊が進行した。
【0038】
【発明の効果】この発明のプロペラシャフトは、継手の
軸方向に作用する圧縮荷重を主層と部分層との層間に集
中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥離
させる圧縮荷重伝達部を備えているので、実施例にも示
したように、自動車において要求される捩り強度や危険
回転数といった基本的要求を満足しつつ、衝突時におけ
るボディの破壊にあわせて破壊を確実に進行させること
ができ、ボディのエネルギー吸収効果を十分に発現させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施態様に係るプロペラシャフト
の要部を示す概略一部縦断面正面図である。
【図2】図1に示した継手を示す概略一部縦断面正面図
である。
【図3】図1に示したプロペラシャフトの破壊の進行状
況を示す、プロペラシャフトの要部を示す概略一部縦断
面正面図である。
【図4】この発明の別の実施態様に係るプロペラシャフ
トの要部を示す概略一部縦断面正面図である。
【図5】この発明のさらに別の実施態様に係るプロペラ
シャフトの要部を示す概略一部縦断面正面図である。
【図6】図5に示したプロペラシャフトの破壊の進行状
況を示す、プロペラシャフトの要部を示す概略一部縦断
面正面図である。
【符号の説明】
1:本体 1a :主層 1b :部分層 2:継手 2a :接合面 2b :凸部(圧縮荷重伝達部) 2c :斜面(圧縮荷重伝達部) 2d :立面(圧縮荷重伝達部) 2e :セレーション

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】FRP製の円筒状本体と、この本体の端部
    に接合して設けた継手とを有し、上記本体は、その本体
    の全長にわたって延在する主層と、上記本体の端部にお
    いて、上記主層と一体に、かつ、上記主層の内側に設け
    た部分層とを含み、上記継手は、その継手の軸方向に作
    用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に集中
    させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥離さ
    せる圧縮荷重伝達部を備えているプロペラシャフト。
  2. 【請求項2】FRP製の円筒状本体と、この本体の一端
    部および他端部に接合して設けた継手とを有し、上記本
    体は、その本体の全長にわたって延在する主層と、上記
    本体の一端部において、上記主層と一体に、かつ、上記
    主層の内側に設けた部分層とを含み、上記一端部に設け
    た継手は、その継手の軸方向に作用する圧縮荷重を上記
    主層と上記部分層との層間に集中させてそれら主層と部
    分層とを上記層間において剥離させる圧縮荷重伝達部を
    備えているプロペラシャフト。
  3. 【請求項3】FRP製の円筒状本体と、この本体の一端
    部および他端部に接合して設けた継手とを有し、上記本
    体は、その本体の全長にわたって延在する、ヘリカル巻
    された補強繊維を包含する主層と、上記本体の一端部お
    よび他端部において、上記主層と一体に、かつ、上記主
    層の内側に設けた、フープ巻された補強繊維を包含する
    部分層とを含み、上記一端部および他端部に設けた継手
    は、その継手の軸方向に作用する圧縮荷重を上記主層と
    上記部分層との層間に集中させてそれら主層と部分層と
    を上記層間において剥離させる圧縮荷重伝達部を備えて
    いるプロペラシャフト。
  4. 【請求項4】FRP製の円筒状本体と、この本体の一端
    部および他端部に接合して設けた継手とを有し、上記本
    体は、その本体の全長にわたって延在する、本体の軸方
    向に対して±5〜30゜の角度でヘリカル巻された補強
    繊維を包含する主層と、上記本体の一端部および他端部
    において、上記主層と一体に、かつ、上記主層の内側に
    設けた、フープ巻された補強繊維を包含する部分層とを
    含み、上記一端部および他端部に設けた継手は、その継
    手の軸方向に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層
    との層間に集中させてそれら主層と部分層とを上記層間
    において剥離させる圧縮荷重伝達部を備えているプロペ
    ラシャフト。
  5. 【請求項5】上記圧縮荷重伝達部は、上記継手の上記本
    体との接合面に向かう下りの斜面を有している、請求項
    1〜4のいずれかのプロペラシャフト。
  6. 【請求項6】上記圧縮荷重伝達部は、外径が上記部分層
    の外径以下で、かつ、上記部分層の外端面と対向する立
    面を有している、請求項1〜4のいずれかのプロペラシ
    ャフト。
  7. 【請求項7】FRP製の円筒状本体と、この本体の一端
    部および他端部に接合して設けた金属製継手とを有し、
    上記本体は、 a. 上記本体の全長にわたって設けた、上記本体の軸
    方向に対して±5〜30゜の角度でヘリカル巻された補
    強繊維を含む主層と、 b. 上記本体の一端部および他端部において、上記主
    層と一体に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻
    された補強繊維を含む部分層と、を有し、上記一端部お
    よび他端部に設けた継手は、 c. 上記部分層に内接する接合面と、 d. 上記接合面に隣接して設けた、上記継手の軸方向
    に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に
    集中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥
    離させる、上記接合面に向かう下りの斜面を有する圧縮
    荷重伝達部と、を有しているプロペラシャフト。
  8. 【請求項8】FRP製の円筒状本体と、この本体の一端
    部および他端部に接合して設けた金属製継手とを有し、
    上記本体は、 a. 上記本体の全長にわたって設けた、上記本体の軸
    方向に対して±5〜30゜の角度でヘリカル巻された補
    強繊維を含む主層と、 b. 上記本体の一端部および他端部において、上記主
    層と一体に、かつ、上記主層の内側に設けた、フープ巻
    された補強繊維を含む部分層と、を有し、上記一端部お
    よび他端部に設けた継手は、 c. 上記部分層に内接する接合面と、 d. 上記接合面に隣接して設けた、上記継手の軸方向
    に作用する圧縮荷重を上記主層と上記部分層との層間に
    集中させてそれら主層と部分層とを上記層間において剥
    離させる、外径が上記部分層の外径以下で、かつ、上記
    部分層の外端面と対向する立面を備えた圧縮荷重伝達部
    と、を有しているプロペラシャフト。
  9. 【請求項9】上記継手の接合が、圧入接合によって行わ
    れている、請求項1〜8のいずれかのプロペラシャフ
    ト。
  10. 【請求項10】上記継手の上記本体との接合面に、その
    継手の軸方向に延びるセレーションが設けられている、
    請求項1〜9のいずれかのプロペラシャフト。
  11. 【請求項11】上記部分層は、外端面に対応する内端面
    側の部分がくさび形の縦断面形状を有している、請求項
    1〜10のいずれかのプロペラシャフト。
  12. 【請求項12】上記部分層は、外端面側から内端面側に
    向かって厚みが徐々に薄くなっている、請求項1〜10
    のいずれかのプロペラシャフト。
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