JPH0810282Y2 - 両軸受リール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、左右サイドケースの間に配置されたスプー
ルとハンドルとの伝動系に介装されたクラッチ機構を切
り操作する操作具を上下方向に操作自在に構成して、ス
プールの後方に配置して成る両軸受リールに関し、詳し
くは、クラッチ機構を操作する構造の改良に関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来、上記の如く操作具を配置して成るリールとして
は、実開昭60−36077号公報に示されるものが存在し、
この引例では、側面視において、操作具とスプールとの
間にベルククランク状のレバーを配置し、操作具からの
操作力を、このレバーを介してクラッチ機構に伝えるよ
う構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、この引例のように操作具とクラッチ機構との
間にレバーが配置されたものでは、クラッチ機構の近傍
にレバーの配置空間、及び、レバーの揺動を許すための
空間を確保しなければならないため、リール全体として
のコンパクト化を妨げるものとなる。

又、伝動系に介装されるクラッチ機構は、リールの小
型化を図っても、確実な作動を行わせるためには、クラ
ッチスリーブ等の作動ストロークを比較的大きい値に設
定せねばならないことから、操作具の操作ストロークを
拡大する機構を必要とすることもある。

本考案の目的は、リール全体のコンパクト化を妨げる
こと無く、しかも、操作具の操作ストロークを拡大して
クラッチ機構に伝える操作系を合理的に構成する点にあ
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は冒頭に記したように、前記操作具と前
記クラッチ機構とを連係するアーム材を設けるととも
に、前記アーム材を、その後端の揺動軸芯が前記操作具
より後方でかつサイドケースの後端より前方に位置し前
記揺動軸芯位置より延出される先端部が前記操作具より
前方で前記クラッチ機構に作用するように、配設し、前
記アーム材の中間部に操作具からの操作力を受ける***
作部を備えて成る点にあり、その作用、及び、効果は次
の通りである。

〔作用〕

アーム材の後端の揺動軸芯と***作部との間の距離と
比較して、揺動軸芯とアーム材の先端部との間の距離が
大きいので、操作具の作動を増幅してクラッチ機構に作
用させることができ、操作具を下げ方向に操作した場合
には、操作具の操作ストロークより大きいストロークで
クラッチ機構の操作（切り操作）を行えることになる。

しかも、この操作系ではアーム材の後端に位置する揺
動軸芯が、サイドケースの後端より突出することがな
く、本来デッドスペースとなる位置に設定されることに
なるので、このアーム材を備えることに因る操作系の大
型化は阻止されるものとなる。

〔考案の効果〕

クラッチ機構に対する操作ストローク増幅機構を設け
ることによって、クラッチ機構を操作するに十分な操作
ストロークを確保しながら、アーム材の後端をサイドケ
ースの後端より突出しない構成にでき、リール全体のコ
ンパクト化を達成できる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。

第１図乃至第６図に示すように、釣り竿（１）に取付
けて使用する状態において、レベルワインド機構
（Ａ）、スプール（２）、サムレスト（３）夫々を、左
右のサイドケース（４），（５）に挾み込まれる状態で
前部、中央部、後部夫々の位置に配置すると共に、サム
レスト（３）の更に後部位置に対して、下方への押し操
作によってスプール（２）を自由回転状態に設定する操
作具としての押圧ノブ（６）を備え、右側のサイドケー
ス（５）の外側部に巻き上げ用のハンドル（７）、及
び、星状のドラグ調節具（８）夫々を備えて両軸受リー
ルが構成されている。

第４図に示すように前記左右のサイドケース（４），
（５）は夫々とも、板状のサイドプレート（4a），（5
a）と、このサイドプレート（4a），（5a）の外側を覆
う外壁材（4b），（5b）とで成り、右側のサイドプレー
ト（5a）と外壁材（5b）との間の空間には、前記ハンド
ル（７）と連結する回転軸（９）を貫通させてある。

又、この回転軸（９）の外端側に形成されたネジ部
（9a）に対しては前記ドラグ調節具（８）を螺合させて
あり、更に、この回転軸（９）の内端側はドラグ機構
（Ｂ）、ラチェットホイール（10）、及び、前記レベル
ワインド機構（Ａ）に動力を伝える連動ギヤ（11）夫々
を備えている。

前記レベルワインド機構（Ａ）は、螺軸（12）の回転
作動によりガイド杆（13）に沿って糸ガイド部材（14）
を往復作動させるよう構成して成り、このレベルワイン
ド機構（Ａ）の螺軸（12）の端部に設けたギヤ（15）に
対し、中間ギヤ（16）を介して前記連動ギヤ（11）から
の動力を伝えるよう伝動系が構成されている。

前記ラチェットホイール（10）は、その外周に対し
て、半径方向に突出する歯体（10a）を多数備えて成
り、このラチェットホイール（10）の近傍に歯体（10
a）…と係合する方向に付勢された爪体（17）を設ける
ことで、このラチェットホイール（10）は回転軸（９）
の逆転を阻止するよう機能する。

前記回転軸（９）には外周に出力ギヤ（18a）を備え
た遊転ディスク（18）が支承され、前記ドラグ機構
（Ｂ）は、この遊転ディスク（18）を挾み込む位置に配
置され、かつ、回転軸（９）にトルク伝動可能に外嵌す
るフリクションプレート（19），（19）で成り、前記ド
ラグ調節具（８）の回動操作による圧接力の調節で摩擦
力を調節できるよう構成されている。

又、前記スプール（２）には、該スプール（２）と一
体回転する支軸（20）を有し、この支軸（20）の中間位
置には係合部（20a）を形成してあり、更に、この支軸
（20）には係合部（20a）と係脱可能なスライド部材（2
1）を遊転支持してあり、このスライド部材（21）に形
成した入力ギヤ（21a）と、前記遊転ディスク（18）の
出力ギヤ（18a）とを咬合させてあることから、スライ
ド部材（21）を係合部（20a）と係合させた状態で、前
記ハンドル（７）を回動操作した場合にはスプール
（２）を回転させてスプール（２）に対して釣り糸を巻
き込むようになっている。

因みに、レベルワインド機構（Ａ）は、この巻き込み
が行われる際にスプール（２）に対する釣り糸の巻き込
み量を左右方向で均等化し、又、ラチェットホイール
（10）はハンドル（７）の逆方向への操作を阻止するこ
とになる。

又、前記スライド部材（21）と係合部（20a）とを併
せてクラッチ機構（Ｃ）と称し、釣り糸の投出を行う際
には、スライド部材（21）を第２図に示す位置、つま
り、クラッチ機構（Ｃ）を切る位置にセットした後、釣
り竿（１）を振ることで、オモリ、ルアー等が飛ばさ
れ、このオモリ、ルアー等の投擲力によって釣り糸に張
力が作用する効果、スプール（２）から釣り糸が曵き出
されるのである。

又、このリールでは、スプール（２）の自由回転状態
への設定、つまり、クラッチ機構（Ｃ）の切り操作を前
記押圧ノブ（６）の押し下げ操作によって行うよう構成
してある。

即ち、押圧ノブ（６）は前記左右のサイドプレート
（4a），（5a）に形成された縦長姿勢の案内溝（4c），
（5c）によって上下方向に操作自在に構成され、又、前
記スライド部材（21）に係合するシフタ（22）をスライ
ド操作する回転カム（23）が支軸（20）と同軸芯状に配
置され、この回転カム（23）には操作アーム（24）が備
えられている。

又、回転カム（23）には第１トッグルバネ（25）の付
勢力が作用する第１アーム部（26）と、第２トッグルバ
ネ（27）の付勢力で、その揺動姿勢が設定されるキック
爪（28）を枢支する第２アーム部（29）とが備えられて
いる。

更に、側面視において、その後端部が押圧ノブ（６）
の後方位置のサイドプレート（5a）に対して横向き軸芯
（Ｐ）周りで揺動自在に支持されたアーム材（30）の前
端部を前記操作アーム（24）に連合連係させてあり、押
圧ノブ（６）の側面に立設したピン（31）を、右側のサ
イドプレート（5a）に形成した開口（5d）を介して、前
記アーム材（30）の中間部の上面（***作部（Ｂ）と称
する）に接当させることで、押圧ノブ（６）を下げ操作
した場合には、この操作ストロークをアーム材（30）で
拡大して操作アーム（24）に伝えてクラッチ機構（Ｃ）
を切り操作するようになっている。

尚、このクラッチ機構（Ｃ）は前記第１トッグルバネ
（25）の付勢力によって切り状態が維持されると共に、
前記ハンドル（７）の巻き取り方向へ操作した場合に
は、ラチェットホイール（10a）がキック爪（28）を戻
し操作してクラッチ機構（Ｃ）を入り状態に復元操作す
るように構成されている。

尚、左側のサイドケース（４）の内部には釣り糸の放
出に伴うスプール（２）のバックラッシュを防止するた
めスプール（２）の支軸（20）に遠心ブレーキ（32）が
収められている。

〔別実施例〕

本考案は上記実施例以外に例えば、操作具とアーム材
とをピン等で連結する状態で連係することが可能であ
り、又、操作具を、アーム、リンク機構等を介してリー
ル本体に支持したものに適用することも可能であり、
又、第７図に示すように、アーム材（30）の後端部をサ
イドプレート（5a）に形成された長孔（35）に係入さ
せ、又、アーム材（30）の前端部をクラッチ機構（Ｃ）
の操作アーム（24）に枢支連結することで、操作具
（６）の操作時にはアーム材（30）の後端部が前後移動
することで、その操作が許されるよう構成しても良いる 尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る両軸受リールの実施例を示し、第１
図はクラッチ機構が入り状態での操作系の側面図、第２
図はクラッチ機構が切り状態での操作系の側面図、第３
図は該リールの使用の状況を表す側面図、第４図はクラ
ッチ機構が入り状態での該リールの横断平面図、第５図
はクラッチ機構が切り状態での部分断面図、第６図は押
圧ノブの案内溝の斜視図であり、又、第７図はアーム材
の配置の別形態を示す側面図である。 （２）……スプール、（４），（５）……サイドケー
ス、（６）……操作具、（７）……ハンドル、（30）…
…アーム材、（Ｂ）……***作部、（Ｃ）……クラッチ
機構、（Ｐ）……揺動軸芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右サイドケース（４），（５）の間に配
   置されたスプール（２）と、ハンドル（７）との伝動系
   に介装されたクラッチ機構（Ｃ）を切り操作する操作具
   （６）を上下方向に操作自在に構成するとともに、前記
   スプール（２）の後方に配置して成る両軸受リールであ
   って、 前記操作具（６）と前記クラッチ機構（Ｃ）とを連係す
   るアーム材（30）を設けるとともに、前記アーム材（3
   0）を、その後端の揺動軸芯（Ｐ）が前記操作具（６）
   より後方でかつサイドケース（４），（５）の後端より
   前方に位置し前記揺動軸芯（Ｐ）位置より延出される先
   端部が前記操作具（６）より前方で前記クラッチ機構
   （Ｃ）に作用するように、配設し、前記アーム材（30）
   の中間部に操作具（６）からの操作力を受ける***作部
   （Ｂ）を備えて成る両軸受リール。