JPH0797676A - チタン製ボルト又はナットの表面処理方法 - Google Patents

チタン製ボルト又はナットの表面処理方法

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JPH0797676A JP24519693A JP24519693A JPH0797676A JP H0797676 A JPH0797676 A JP H0797676A JP 24519693 A JP24519693 A JP 24519693A JP 24519693 A JP24519693 A JP 24519693A JP H0797676 A JPH0797676 A JP H0797676A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】CO2 及びN2 のうち1種以上とAr及びHe
のうち1種以上との混合ガス環境、あるいはCO2 とN
2 との混合ガス環境、あるいはN2 ガス環境下で700
℃以上の温度で加熱処理してチタン製ボルト又はナット
に表面硬化層を形成する。 【効果】少ない工程でしかも比較的低温であっても焼き
付きを防止できかつ大きな軸力が得られる表面層を形成
することが可能なチタン製ボルト又はナットの表面処理
方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はチタン製ボルト又はナ
ットの表面処理方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来ボルトやナットは、鉄鋼製のものが一
般的に用いられているが、近年重量の軽減あるいはメン
テナンスフリーとなる優れた耐食性という観点からチタ
ン製のものが開発されている。しかしながら、チタン材
は非常に焼き付きやすく、これを改善するために何らか
の表面処理が必要となっている。また、鉄鋼に比べチタ
ン材はヤング率が低いため、従来の鉄鋼製のものと同等
の軸力を得るためには、締め付けトルクを従来に比べて
大きくしなければならない。締め付けトルクを大きくし
た場合には、いっそう焼き付きが生じやすく、その点で
も表面処理等による焼き付き防止が必要である。
【0003】現在、チタン材に適用されている表面処理
方法には、イオンプレーティングに代表されるPVD
(Physical Vapor Deposition )法やCVD(Chemical
VaporDeposition )法などがある。
【0004】また、チタンまたはチタン合金材における
ネジ部の焼き付き防止法としては、特開昭61−184
290号公報において提案されているようにネジ部を所
定の粗さに加工し、加工面に酸化層を生成させた後、こ
の層表面に二硫化モリブデンとエポキシ樹脂からなる潤
滑被膜を形成することによりネジ部の焼き付きを防止す
る方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のチタンの表面処
理方法における共通した欠点として、:(1)バッチ処
理方法に限定される、(2)処理時間が長い割には表面
から深い硬化層が得られない、(3)設備費が高い上に
工数が多い、(4)以上の結果として表面処理費用が高
価となる等が挙げられる。また、硬質クロムメッキ法な
どの適用も考えられるが、これをチタンに適用した場合
には、硬化層が薄く、耐久性や安全性に問題を有してい
る。さらに、このようなメッキはチタン素地との密着性
が低く、ボルトやナットのような摺動部分を持つ部材に
適用した場合には、摺動部分で表面被膜が破壊され、チ
タン表面が現れて焼き付きを生じる。
【0006】一方、上述した特開昭61−184290
号公報で提案されている方法の場合には、難加工性のチ
タン材を所定の粗さまで加工しなければならず、工数が
多く高価なものとなってしまう。さらに、二硫化モリブ
デンのような潤滑材では、屋外で風雨にさらされた場合
には、徐々に潤滑材が消耗して潤滑の効果がなくなると
いう不都合が生じる。
【0007】また、本願発明者らはすでにCaCO3
末を用いたパックプロセスによるチタン材の表面処理を
提案している(特開昭63−195258)。この方法
は、上記従来の方法に比較して短時間処理により非常に
高い表面硬度と深い硬化層が得られる利点を有してい
る。しかしながら、(1)表面処理温度がCaCO3
末の分解温度である898℃以上に限定される(2)C
aCO3 粉末をパックするため工数が多くなる等の欠点
を有している。
【0008】この発明はかかる事情に鑑みてなされたも
のであって、少ない工程でしかも比較的低温であっても
焼き付きを防止できかつ大きな軸力が得られる表面層を
形成することが可能なチタン製ボルト又はナットの表面
処理方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本願発明は、上
記の課題を解決するために、チタン製ボルトあるいはナ
ットをCO2 又は窒素を含む環境下で加熱処理をするこ
とを特徴とするチタン製ボルト及びナットの表面処理方
法を提供する。これにより、酸素及び炭素、又は窒素が
固溶した深い表面硬化層を得ることができる。
【0010】この場合、CO2 はチタン材の表面で還元
されて酸素及び炭素源として働く。酸素及び炭素はいず
れもチタン材に対して顕著な固溶硬化能を示す。酸素及
び炭素はチタン材のα域、β域の両相において固溶度が
十分高く、また両元素とも侵入型元素であり拡散速度が
著しく速いので、α域,β域のいずれの温度域において
も従来法と比較して著しく短時間の処理により高い表面
硬度と深い硬化層が得られることとなる。そして、酸
素、炭素の拡散による表面硬化層の形成であるため、該
硬化層は耐剥離性に優れている。このため、ネジ部のよ
うな摺動部分での焼き付き防止に効果がある。また、窒
素も酸素や炭素と同様にチタン材に対して固溶硬化能を
示し、その表面硬化層も焼き付き防止の効果がある。
【0011】加熱処理の環境は、CO2 及びN2 のうち
1種以上とAr及びHeのうち1種以上との混合ガス環
境、あるいはCO2 とN2 の混合ガス環境、あるいはN
2 ガス環境であることが好ましい。Ar,Heガスはチ
タン材に対して不活性であり、CO2 分圧を下げ、CO
2 によるチタン材の過剰酸化を防止し、表面処理後のボ
ルト及びナットの表面荒れを防ぎ、製品としての歩留ま
り低下を抑制する。また、N2 はチタンと反応して緻密
な窒化層を形成するが、CO2 のようにチタン材の表面
を荒らすことはない。つまり、これらのAr,He,N
2 混合ガスの成分組成は表面荒れに影響を及ぼさず、C
2 分圧比が主に表面硬化特性及び表面荒れに影響を及
ぼす。このため表面硬化処理後の製品の歩留まり低下を
抑制するための表面荒れ防止には、CO2 分圧比を一定
範囲内に制御することが必要であり、この値を1/2以
下とすることが好ましい。
【0012】加熱処理の際のガス圧は特に限定されない
が、1.5×105 Pa以下であることが好ましい。こ
れは、使用する加熱炉の耐圧を考慮し、安全に操業可能
な全圧だからである。
【0013】加熱処理の環境として、窒素を含む溶融塩
もチタン材の表面に窒化物の硬化層を形成する点で、有
効である。CO2 を含む環境での処理の場合、加熱処理
はチタン材とCO2 とを活性化し、これらの間の反応を
促進させるために行う。従って、高温度であるほど、C
2 ガスの分解が速く生じ、併せて酸素及び炭素のチタ
ン中での拡散速度も速くなるため、深い硬化層を得るこ
とができる。焼き付きを防止し、かつ高い軸力を得るこ
とを目的とすると、実用的には10時間以内の硬化処理
によってビッカース硬度で500以上の硬化層を深さ5
μm以上形成することが好ましく、このような観点から
は加熱温度が700℃以上であることが要求される。ま
た、窒素ガス環境下での処理の場合にも加熱はチタン材
との反応を促進するために行い、同様に高温の方が深い
硬化層が得られ、同様に実用的な表面硬化層の厚さの観
点から加熱温度が700℃以上であることが要求され
る。
【0014】また、上述のように窒素の供給源としてシ
アン酸リチウムのような窒素を含む溶融塩を用いること
も可能であり、この場合にも、加熱処理はチタン材との
反応を促進し、高温の方がより深い硬化層が得られる。
この場合には、実用的な表面硬化層の厚さの観点から、
加熱温度を550℃以上にすることが要求される。
【0015】本願発明の熱処理に際しては、気密性の高
い一般の熱処理炉(ピット炉や管状炉)、又は鋼の浸炭
や窒化処理に用いられる工業炉を利用することができる
が、これらに限定されるものではなく、種々の炉を用い
ることが可能である。
【0016】加熱処理の実例を挙げると、上述したピッ
ト炉、管状炉、または工業溶炉の中にチタン製ボルト及
びあるいはナットを挿入後、昇温前にまずAr,Heな
どのチタンに対して不活性なガス、あるいはチタン材の
表面荒れを起こさないN2 を連続的に吹き込んで炉内を
パージした後、所定ガス分圧比に制御された混合ガスに
切り替えて、昇温し、加熱処理を行う。これにより表面
硬化層が形成される。加熱硬化処理後、処理材を炉冷ま
たは急冷する。
【0017】上述したように、本願発明例におけるチタ
ン材の表面硬化機構は、雰囲気ガス中のCO2 ガスがチ
タン表面で還元され酸素と炭素に分解して、これらがチ
タン表面から拡散して固溶硬化によりチタン材の表面が
硬化すること、あるいは窒素による表面硬化に基づいて
いる。したがって、処理温度の制約がなく、前述したパ
ックプロセスでは不可能であった898℃以下での処理
が可能となる。
【0018】この加熱処理のままでも十分に焼き付きを
防止可能であり、大きなトルクにより高い軸力を得るこ
とが可能となるが、より高い軸力を得るべくさらに大き
なトルクでの締め付けを可能にするためには、熱処理後
にフッ素樹脂でのコーティングを施すことが望ましい。
フッ素樹脂でのコーティングにより、ボルトとナットと
の表面での摩擦が抑制され、潤滑が良くなり、より一層
焼き付き防止効果が大きくなるからである。
【0019】なお、本発明に係る表面処理方法が対象と
するチタン材は、純チタン、チタン合金を総称するもの
であり、本発明の原理上合金による制約はない。また、
この発明の表面処理方法は、どのような製造方法を経て
製作されたチタン材製ボルトあるいはナットに対しても
適用することが可能である。すなわち、溶製材を鍛造・
機械加工したもの、あるいは粉末冶金法で直接ネットシ
ェイプ成形されたものであっても同様な効果を得ること
ができる。更に、ボルトやナットの寸法によらず、同様
の効果が得られる。このように、本願発明の特許が適用
されるボルト又はナットを構成するチタン合金の種類及
びプロセスによる制限がないことも本願発明の大きな特
徴である。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
ここではチタン材としてTi−6%Al−4%V合金を
用い、M14のボルトに適合するナットを素粉末混合法
(純チタン粉末と、マスターアロイ粉末とを混合し、こ
の粉末を成形し、その後成形体を焼結する方法)により
作製した。試料作製の際の成形圧力は、5.0ton/
cm2 として、焼結は10-5Torrオーダーの真空中にお
いて1250℃で4時間加熱することにより行った。ま
た、M14のボルトを切削加工により圧延材から作製し
た。
【0021】表面硬化処理は管状炉を用いて行った。こ
の炉はCO2 ,Ar,He,N2 の混合ガスを利用する
ことが可能であり、付属のガス分析装置によりガス濃度
を分析した。
【0022】焼き付き防止については、図1に示すトル
ク試験によって評価した。この試験はボルト1に歪みゲ
ージ2を張り付けて、所定のトルクでナット3をボルト
1に締め付け、歪ゲージ2から測定した歪の値とヤング
率より、軸力を算出するものである。なお、ポルト1と
ナット3との間にはダミーブロック4を介在させた。こ
の際に、トルク−歪線図より判断して、トルク15kg
−mのときの軸力を求めた。また、ナットを取り外した
後、ボルト及びナットの表面観察により焼き付きの有無
を調査した。
【0023】次に、熱処理条件を種々変化させて実験を
行った結果について説明する。実験に用いたガスはCO
2 ,Ar,He,N2 で、全圧、CO2 ガス分圧比やN
2 ガス分圧比、処理温度を制御した。このような処理材
について、トルク係数値の測定、及び焼き付き評価を行
った。
【0024】(実施例1)全圧を1×105 Pa、CO
2 ガス分圧比を1/5に設定し、500℃〜1000℃
で3時間加熱処理後、炉冷してサンプルを作製した。こ
こでは、フッ素樹脂コーティングは行わなかった。その
後、トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付きの有無
を調査した。その結果を表1及び図2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】これらの結果から明らかなように、加熱温
度が700℃以上の場合には、トルク係数が低く、大き
な軸力が得られ、また焼き付きの発生も認められなかっ
た。しかしながら、加熱温度が700℃より低い場合に
は、トルク係数が高く、700℃以上の場合と同等の軸
力を得るためには、大きなトルクを必要とし、700℃
以上の場合と同等のトルクで焼き付きの発生が認められ
た。
【0027】(実施例2)全圧を1×105 Paに設定
し、CO2 ガス分圧比を1/50〜2/3と変化させ、
800℃で3時間加熱処理後、炉冷してサンプルを作製
した。ここではフッ素樹脂コーティングは行わなかっ
た。その後、トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付
きの有無を調査した。その結果を表2及び図3に示す。
【0028】
【表2】
【0029】これらの結果から明らかなように、CO2
ガス分圧比が1/50でも十分な硬化層が得られ、トル
ク係数は低く、焼き付き防止に効果があることが確認さ
れた。しかしながら、CO2 ガス分圧比が1/2を超え
た場合には、酸化により表面が荒れ、円滑なナットの締
め付けが行えず焼き付きが生じた。
【0030】(実施例3)全圧を1×105 Pa、CO
2 ガス分圧比が1/5のCO2 ガスを含むArガス環境
中で、800℃で3時間加熱処理後、炉冷し、その後、
フッ素樹脂コーティングを行い、サンプルとした。そし
て、トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付きの有無
を調査した。その結果を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】この結果から明らかなように、フッ素樹脂
コーティングによりトルク係数はいっそう小さくなり、
コーティング無しの場合に比較して大きな軸力が得られ
るようになり、焼き付きの発生も認められなかった。
【0033】(実施例4)全圧を1×105 Paとし、
2 ガス分圧比が2/3のN2 ガスを含むArガス又は
Heガス環境に設定し、400〜1000℃で3時間加
熱処理後、炉冷してサンプルを作製した。ここではフッ
素樹脂コーティングは行わなかった。その後、トルク試
験を行い、トルク係数及び焼き付きの有無を調査した。
その結果を表4及び図4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】これらの結果から明らかなように、加熱温
度が700℃以上の場合には、トルク係数が低く、大き
な軸力が得られ、また焼き付きの発生も認められなかっ
た。しかしながら、加熱温度が700℃より低い場合に
は、トルク係数が高く、700℃以上の場合と同等の軸
力を得るためには、大きなトルクを必要とする。さらに
700℃以上の場合と同等のトルクで焼き付きの発生が
認められた。
【0036】(実施例5)全圧を1×105 Paとし、
2 ガス分圧比を1/5〜5/5に設定し、700℃で
3時間加熱処理後、炉冷してサンプルを作製した。ここ
ではフッ素樹脂コーティングは行わなかった。その後、
トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付きの有無を調
査した。その結果を表5及び図5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】これらの結果から明らかなように、N2
ス分圧が1/2比以上で十分な表面硬化層が得られ、ト
ルク係数が低く、大きな軸力が得られ、また焼き付きの
発生も認められなかった。また、高いN2 ガス分圧比の
場合でも、窒化による表面の荒れは発生せず、焼き付き
防止は可能であった。
【0039】(実施例6)Li(CNO)環境下で、2
00〜700℃で3時間加熱処理してサンプルを作製し
た。ここではフッ素樹脂コーティングは行わなかった。
その後、トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付きの
有無を調査した。その結果を表6及び図6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】これらの結果より明らかなように、窒素を
含む溶融塩、すなわち窒素イオン存在下の環境では、加
熱温度が550℃以上の場合に、トルク係数が低く、大
きな軸力が得られ、また焼き付きの発生も認められなか
った。
【0042】(実施例7)全圧を1×105 Paとし、
2 ガス分圧比が2/3のN2 ガスを含むArガス雰囲
気中で、800℃で3時間加熱処理後、炉冷し、その
後、フッ素樹脂コーティングを行い、サンプルとした。
そして、トルク試験を行い、トルク係数及び焼き付きの
有無を調査した。その結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】この結果より明らかなように、フッ素樹脂
コーティングによりトルク係数は一層小さくなり、コー
ティング無しの場合に比較して大きな軸力が得られるよ
うになり、焼き付きの発生も認められなかった。
【0045】(実施例8)全圧を0.5×105 Paか
ら1.5×105 Paとし、CO2 ガス分圧比が1/3
のCO2 ガスを含むArガス雰囲気中で、あるいはN2
ガス雰囲気中で800℃で3時間加熱処理後、炉冷して
サンプルを作製した。ここではフッ素樹脂コーティング
は行わなかった。その後トルク試験を行い、トルク係数
及び焼き付きの有無を調査した。その結果を表8に示
す。
【0046】
【表8】
【0047】表8から明らかなように、ガス分圧比が本
発明の範囲内であれば、高い軸力が得られ、かつ焼き付
きが生じないことが判明した。 (比較例)比較例として、(1)表面処理を施していな
いチタン製ボルト及びナットの組み合わせの場合、
(2)全圧を1×105 Paとし、酸素ガス雰囲気中
で、800℃で3時間加熱処理後、炉冷した場合、
(3)全圧を1×105 Paとし、Arガス雰囲気中
で、800℃で3時間加熱処理後、炉冷した場合、
(4)TiNコーティングを施したチタン製ボルト及び
ナットの組み合わせの場合、(5)二硫化モリブデンと
エポキシ樹脂で処理を施したチタン製ボルト及びナット
の組み合わせの場合におけるトルク試験結果を表9に示
す。なお、(6)本発明例の場合のトルク試験結果も併
記した。本発明例として、CO2 ガス分圧比1/5のC
2 ガスを含むArガス雰囲気中で、800℃で3時間
加熱処理後、炉冷したサンプルを用いた。
【0048】
【表9】
【0049】表9の結果から明らかなように、比較例で
は比較例2を除いていずれもトルク係数が大きく軸力が
小さかったが、本願発明の方法によって、トルク係数を
小さくして大きな軸力が得られ、また焼き付きも発生し
にくくなることが判明した。なお、比較例2の場合に
は、加熱処理後に表面に脆い酸化スケール層が形成さ
れ、トルク係数の測定は不可能であった。
【0050】なお、上記実施例では、切削加工したボル
ト及び素粉末法で作製したナットを用いたが、これに限
るものではなく、たとえば機械加工によって作製したボ
ルトやナットにおいても同様の効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】本願発明によれば、少ない工程でしかも
比較的低温であっても焼き付きを防止できかつ大きな軸
力が得られる表面層を形成することが可能なチタン製ボ
ルト又はナットの表面処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたトルク試験の方法を示す図。
【図2】CO2 環境下での表面処理時の加熱温度と得ら
れた軸力との関係を示す図。
【図3】表面処理時のCO2 ガス分圧比と得られた軸力
との関係を示す図。
【図4】N2 環境下での表面処理時の加熱温度と得られ
た軸力との関係を示す図。
【図5】表面処理時のN2 ガス分圧比と得られた軸力と
の関係を示す図。
【図6】溶融塩中での表面処理時の加熱温度と得られた
軸力との関係を示す図。
【符号の説明】
1;ボルト、2;歪ゲージ、3;ナット、4;ダミーブ
ロック。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CO2 又は窒素を含む環境下で加熱処理
    して、チタン製ボルト又はナットに表面硬化層を形成す
    ることを特徴とするチタン製ボルト又はナットの表面処
    理方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理の環境が、CO2 及びN2 のう
    ち1種以上とAr及びHeのうち1種以上との混合ガス
    環境、あるいはCO2 とN2 との混合ガス環境、あるい
    はN2 ガス環境であることを特徴とする請求項1に記載
    のチタン製ボルトあるいはナットの表面処理方法。
  3. 【請求項3】 加熱温度が700℃以上であることを特
    徴とする請求項2に記載のチタン製ボルトあるいはナッ
    トの表面処理方法。
  4. 【請求項4】 CO2 ガス分圧比が1/2以下であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の
    チタン製ボルトあるいはナットの表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱処理の環境が、窒素を含む溶融
    塩であることを特徴とする請求項1に記載のチタン製ボ
    ルトあるいはナットの表面処理方法。
  6. 【請求項6】 加熱温度が550℃以上であることを特
    徴とする請求項5に記載のチタン製ボルトあるいはナッ
    トの表面処理方法。
  7. 【請求項7】 加熱処理後、表面にフッ素樹脂を塗布す
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載のチタ
    ン製ボルトあるいはナットの表面処理方法。
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