JP2773092B2 - 表面被覆鋼製品 - Google Patents

表面被覆鋼製品

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JP2773092B2 JP61313464A JP31346486A JP2773092B2 JP 2773092 B2 JP2773092 B2 JP 2773092B2 JP 61313464 A JP61313464 A JP 61313464A JP 31346486 A JP31346486 A JP 31346486A JP 2773092 B2 JP2773092 B2 JP 2773092B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は表面被覆鋼製品に関し、特に、表面に設けら
れた硬質被膜の密着性が高いため耐久性に優れる表面被
覆鋼製品に関する。 〔従来の技術〕 工具や金型などの鋼製品の表面を改質したものとして
は、表面に窒素および/または炭素を拡散させて表面を
硬化した製品および表面に例えば、周期律表IV a族また
はV a族の金属の窒化物、炭化物または炭窒化物からな
る硬質被膜を形成してなる鋼製品が知られている。しか
し、前者の表面硬化させたものは、耐熱性、耐摩耗性が
不十分であり、一方、後者の表面に硬質被膜を形成した
場合には、これらの被膜は脆弱で、剥離が生じ易く、一
度このような剥離が生じると柔らかい下地の摩耗が進行
するという問題点がある。 そこで、特開昭58−64377号公報には、上記2方法の
複合による改良が提案されている。該公報には、高速度
工具網あるいは合金工具網の母材の表面に形成した窒化
層、炭化層、あるいは炭窒化層の上にIV a族元素あるい
はV a族元素の炭化物、窒化物、あるいは炭窒化物の1
種または2種以上の被覆層を設けたことを特徴とする表
面被覆工具が記載されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかし、上記公開公報に記載の工具は、使用時に外側
の硬質被膜の剥離が生じ易く、工具の寿命としては、表
面硬化処理だけを行なったものと大差なく、硬質被膜の
効果は、ほとんどないという問題がある。 これは、鋼母材表面に窒素や炭素を拡散した表面硬化
層と硬質被膜との密着性が低いためであるが、この原因
として、(1)金属としての性質が強い表面硬化層とセ
ラミックスとしての性質を有する硬質被膜が接合した界
面では硬度や熱膨張率などの物性値が急激に変化し界面
に大きな歪が集中すること、(2)窒素や炭素の拡散に
よって鋼母材表面を硬化する際に、表面近傍では窒素や
炭素と母材の金属成分とが、例えばFe2〜3Nのε相、
Fe4Nのγ相等の化合物を生成し、これらが硬質被膜の密
着性を低下させることが挙げられる。 そこで、本発明の目的は、硬質被膜の密着性が高く、
耐摩耗性が求められる用途においても高い耐久性を示す
表面被覆鋼製品を提供することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、上記の目的を達成し得るものとして、鋼系
金属母材のみからなる基部と;前記と同一の鋼系金属母
材中に窒素および炭素の少なくとも1種を拡散させてな
り、但し金属元素の炭素および/または窒素との化合物
相も黒化膜も伴わない層であって、前記基部の上に形成
された第1拡散層と;前記と同一の鋼系金属母材中に、
窒素および炭素の少なくとも1種並びに周期律表IV a族
およびV a族の金属から選ばれる少なくとも1種を拡散
させてなる層であって、前記第1拡散層上に形成された
第2拡散層と;周期律表IV a族およびV a族の金属から
選ばれる金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の少なく
とも1種からなり、前記第2拡散層上に形成された硬質
被膜とを有する表面被覆鋼製品を提供するものである。 本発明の鋼製品に用いられる鋼系母材としては、例え
ば、S15Cなどの肌焼鋼、S45Cなどの構造用鋼、SUP10な
どのバネ鋼、SUJ2などの軸受鋼、SACM1などの窒化鋼、S
KD6などの熱間加工用工具鋼、SKD11などの冷間加工用工
具鋼、SKH51などの高速度鋼、SUS310Sなどの耐熱鋼、SU
S410などの耐食耐酸鋼などが挙げられる。 鋼系金属母材からなる基部の上に形成される第1拡散
層は、基部と同一の鋼系金属母材中に炭素および/また
は窒素が拡散されてなるもので、炭素や窒素は母材中に
固溶した状態で存在する。鋼系金属母材中にはその成分
として炭素が本来含有され、さらに場合によっては窒素
が不可避的に微量含まれていることがあるが、ここで
「拡散させてなる」炭素および/または窒素とは、この
ように元々母材に含まれているものではなく、後から母
材中に拡散せしめたものである。 この第1拡散層中には、その隣接層である第2拡散層
との界面近傍を含めて、炭素や窒素は金属成分との化合
物、即ち炭化物や窒化物としては存在しない。炭素や窒
素は母材中に均一濃度で拡散していることは必ずしも必
要はなく、後記する製造方法の例によると、得られる鋼
製品の表面に近い側で濃度が高く、基部側で低い状態で
ある。この第1拡散層の厚さは、約10〜300μmが好ま
しく、特に20〜200μmが好ましい。 第1拡散層の上に形成される第2拡散層は、硬質被膜
と第1拡散層の間にあって、両者を強固に接合する働き
をするものである。この第2拡散層中に拡散されている
窒素および/または炭素、並びにIV a族および/または
V a族の金属も、母材中に元々含有されていたものでは
なく、後から拡散せしめられたものである。母材中に拡
散されたIV a族およびV a族の金属は、濃度が硬質被膜
側で高く第1拡散層側で低い状態で傾斜していることが
望ましい。このようにIV a族、V a族金属の濃度が傾斜
していると、第2拡散層の上部(硬質被膜に近い側)は
IV a族、V a族金属に富むため硬質被膜との親和性が高
く、界面における諸物性値の変化は緩やかで強固な接合
がもたらされる。 これらIV a族金属もしくはV a族金属は炭素および窒
素との親和性が大きいため、これらの金属の一部は拡散
している炭素や窒素と反応して、硬質被膜と類似した化
合物を形成し、この化合物相が分散した状態となってい
ると考えられる。これにより、第2拡散層と硬質被膜と
の間の界面は諸物性値の変化が一層少ないものとなり、
強固な接合に寄与しているものと推測される。また、第
2拡散層の下部は、IV a族やV a族の金属濃度が低下し
てゆき、次第に第1拡散層へ移行してゆく形となるた
め、両拡散層は一体的で強固であり、この間で剥離など
が生じることはない。 この第2拡散層の厚さは、0.1〜5μmが好ましく、
特に0.5〜2μmが好ましい。 次に、本発明の表面被覆鋼製品の製法例を説明する。 母材中に窒素および/または炭素を拡散してなる第1
拡散層を形成するには、公知の方法を利用することがで
き、例えば、熔融塩を用いる方法、ガスを用いる方法、
あるいはイオンを用いる方法のいずれでもよい。 熔融塩を用いる方法は、一般には塩浴窒化あるいは浸
炭法といわれるもので、XCN,XCNO,X2CO3(ここでXはア
ルカリ金属)で示される化合物の熔融浴中に被処理物を
浸して、これら化合物が分解して生じた炭素や窒素を被
処理物中に拡散させるものである。ガスを用いる方法
は、一般にガス窒化および浸炭、あるいはガス軟窒化お
よび浸炭といわれるもので、NH3やCOなどの気相中に被
処理物を入れて加熱し、これらガスの熱分解により生じ
た炭素や窒素を被処理物中に拡散させるものである。 イオンを用いる方法は、一般にイオン窒化あるいは浸
炭といわれるもので、NH3や炭化水素ガス中で被処理物
と装置容器壁との間に直流電圧を印加し、グロー放電を
起させてこれらのガスを分解、イオン化し、生じた炭素
イオンあるいは窒素イオンを電界により被処理物に衝突
させる方法である。これらの方法で、被処理物として、
所定の鋼系金属母材からなる基材を使用すれば、基部が
母材のままで表面が前記第1拡散層に転化した中間製品
が得られる。 次に、母材中に窒素および/または炭素の他にIV a族
金属およびV a族金属の少なくとも1種を拡散してなる
第2拡散層を形成する方法としては、例えば、金属蒸気
に高い運動エネルギーを持たせられるイオン注入やイオ
ンボンバードメントなどにより、上記金属の蒸気をイオ
ン化して電界により加速してこれら金属成分を前記第1
拡散層を形成した中間製品の表面に打ち込む方法が好ま
しい。 この中で特にイオンボンバードメントによる方法は、
後の硬質被膜の形成にも用いることができるイオンプレ
ーティング装置内でも実施できるため、効率的である。
イオンプレーティング装置によるイオンボンバードメン
ト処理は、公知のイオンプレーティング装置すなわち金
属を蒸発させる手段、蒸発した金属をイオン化する手
段、イオン化した金属を電界により加速する手段、およ
び反応性ガスを導入する手段より成るイオンプレーティ
ング装置を用いて、金属の蒸発、イオン化、加速を行な
い、高エネルギーを持った金属イオンを被処理物表面に
衝突させる方法である。このような金属を蒸発させる手
段としては、イオンプレーティング装置に備わった公知
の抵抗加熱や電子銃加熱などのどれでも良く、蒸発した
金属のイオン化についても、公知のアーク放電、グロー
放電、高周波放電、およびイオン化電極を用いる方法や
ホロカソード法などのいずれでも良い。ここで、特にア
ーク放電型のイオンプレーティング方式は金属の蒸発と
イオン化を同時に行なう方式であり、他の方式に比べて
金属のイオン化効率が高いので、本発明のイオンボンバ
ードメント処理に適した方式である。イオン化した金属
を加速する電界については、電圧の値として好ましくは
100Vから2000V、特に好ましくは200Vから1500Vの値とす
る。 ボンバードメント処理中の雰囲気としては原則として
は反応性ガスを用いない高真空下で行なうが、場合によ
っては、10-4Torrから10Torrの圧力の雰囲気ガス下で行
なっても良い。この雰囲気ガスの種類としては、He、N
e、Ar、N2、H2あるいは炭化水素などの1つもしくは2
つ以上の混合ガスでもよい。これらの雰囲気ガスを用い
ると、加速用の電界によるグロー放電によって雰囲気ガ
スもイオン化し金属イオンとともに被処理物表面に衝突
するが、このことは、何ら差しつかえない。 以上の方法によって形成される第2拡散層の厚さは処
理時間の調整により制御でき、第2拡散層は被処理物の
表面においてIV a族金属および/またはV a族金属の濃
度が高く、深部へ向ってその濃度が低下して終には第1
拡散層へ移行してゆく理想的な状態で形成される。 前記第1拡散層の形成の際に、第1拡散層の表面近傍
に前述したε相、γ相等の化合物相が形成され、また第
1拡散層形成後に被処理物を空気に触れさせると中間製
品表面に黒化膜が形成されることがあるが、上記のイオ
ン注入法やイオンボンバードメント法によって第2拡散
層を形成すると、第2拡散層の生成とともに化合物相や
黒化膜がスパッタリングされて除去される。 第2拡散層の上に形成される硬質被膜は、周期律表IV
a族金属および/またはV a族金属の炭化物、窒化物お
よび炭窒化物から選ばれる1種または2種以上からなる
ものであり、単一層で形成されてもよく、また2以上の
層で形成されてもよい。使用されるIV a族金属として
は、Ti、Zr、Hfが、またV a族金属としては、V、Nb、T
aが挙げられる。この硬質被膜の厚さは、0.5〜10μmが
好ましく、特に1〜5μmが好ましい。 硬質被膜は、公知の反応性ガス(この場合、例えば、
N2、炭化水素類)を用いた蒸着、スパッタリング、イオ
ンプレーティング、あるいはCVD法などで行なえるが、
特にイオンプレーティング法は前記したように第2拡散
層の形成にも使用できるため効率的である。 イオンプレーティング装置にて硬質被膜を形成する方
法としては、前記したイオンボンバードメント処理にお
ける4つの手段の内、イオン化した金属を電界により加
速する手段および反応性ガスを導入する手段とが相違す
るが、他の金属を蒸発させる手段、蒸発した金属をイオ
ン化する手段は同じである。すなわち、イオン化した金
属を加速する電界としては、電圧の値として50Vから700
Vが好ましく、さらに好ましくは100Vから500Vの値とす
る。 反応性ガスとしては、イオンプレーティング法にて炭
化物や窒化物を生成させるための反応性ガス、すなわち
N2、NH3、炭化水素類、あるいは炭素と窒素を含んだ有
機化合物、たとえばトリメチルアミン等が挙げられる。
反応性ガスの圧力は、用いる反応性ガスの種類により異
なるが、一般に10-3Torrから10Torrでよい。 本発明の表面被覆鋼製品における硬質被膜の密着性の
評価方法として、スイス時計研究所(LSRH:LABORATOIRE
SUISSE DE RECHERCHES HORLOGERES)により考案された
スクラッチテスターによる評価方法がある。これは、硬
質被膜の上を、荷重を連続的に変化できるダイヤモンド
圧着子で引っかき、硬質被膜が破壊するに至る荷重(臨
界荷重)の大きさによって密着性の尺度とするものであ
る。 本発明の表面被覆鋼製品の種類としては、例えば、ド
リル、エンドミル、リーマ、バイト、タップ、ダイス、
フライス等の切削工具、プレス成形用、鍛造用、プラス
チック成形用、ダイカスト用、ガラス用、粉末冶金用等
の金型類、クランク軸、カム軸、歯車、ローラー、ピス
トンリング、バルブシート等の機械部品等が挙げられ
る。 〔実施例〕 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。 実施例1 高速度工具鋼SKH−51(JIS G 4403)の材質で、直径2
5mm、長さ50mmのシリンダ状部材(基材)を、処理温度5
70℃、ガス組成N2/H2=1、全圧6Torrの条件下5時間、
イオン窒化法により処理し表面に窒素を拡散させ、第1
拡散層を形成した(中間製品)。装置から取り出した部
材の表面は黒化膜で覆われていた。この中間製品につい
て断面観察(光学顕微鏡写真、400倍)を行なったとこ
ろ、最表面のごく薄い黒化膜の下に化合物相の存在が認
められた(第2図)。X線回折によりFe2N、Fe3Nよりな
るε相を確認した。 上記中間製品を、次にアーク放電型イオンプレーティ
ング装置にて、10Torrの真空下、バイアス電圧1000Vで
チタンイオンによるボンバードメント処理を2分間行っ
て、上記化合相の除去と同時に、第1拡散層中にチタン
を拡散させ第2拡散層を形成した。その後、バイアス電
圧を400Vに下げ、反応性ガスとして第2拡散層の上に窒
素を10-2Torr導入して窒化チタンの被覆を2μm形成さ
せ、本発明の表面被覆鋼材を得た。中間製品は黒化膜で
覆われていたにもかかわらず、剥離の無い均一な窒化チ
タンの被覆が得られた。 得られた被覆鋼材の断面観察(光学顕微鏡写真、400
倍)を行なったところ、窒化チタンの被膜の下にはε相
の存在は認められなかった(第1図)。 また、この断面試料について、表面からの距離につい
ての荷重500gでのビッカース硬度分布を測定したとこ
ろ、第3図に示す結果が得られた。この硬度分布により
窒素が約200μmの深さまで拡散していることが推察さ
れる。 上記被覆鋼材について、さらに二次イオン質量分析
(SIMS)法にて、表面近傍でのTiおよびFeの分布を測定
したところ、第4図に実線で示す結果が得られた。 また、硬質被膜(TiN)と第2拡散層(Ti、Nが拡
散)との界面は、Feの濃度の減衰曲線の直線部分を延長
して検出限界と交わった位置と推定した。また、第2拡
散層の深さ(第1拡散層との境界)についても同様にTi
の濃度の減衰曲線の直線部分を延長して検出限界と交わ
った位置と推定した。これにより本実施例の被覆鋼材は
第1拡散層の厚さが約200μm、第2拡散層の厚さが1.5
μm、そして硬質被膜の厚さが2μmであることがわか
った。 また、上記被覆鋼材について、前述のスクラッチテス
ターにて硬質被覆の密着性を評価したところ、臨界荷重
は45Nであった。 本実施例で用いた基材、得られた中間製品および被覆
鋼材について、荷重25gでのビッカース硬度を測定した
結果を表1に示す。これより、中間製品では表面に黒化
膜が生じていたが、得られた最終製品である本発明の被
覆鋼材は硬質被覆が良好に密着し高い耐久性を有するこ
とがわかる。 表 1 試料 処 理 ビッカース硬度 基 材 未処理 800 中間製品 窒化処理 1400 被覆鋼材 窒化後窒化チタン被覆 1800 比較例1 アーク放電型イオンプレーティング装置内でチタン蒸
発源は点火しない状態で、Arガスを10-2Torr導入し、バ
イアス電圧1000Vにてガスイオンによるボンバードメン
ト処理を10分間行なった以外は実施例1と同様にして窒
化チタンの被覆を形成した。得られた被覆鋼材の被膜に
は部分的に剥離が生じていた。この被覆鋼材を実施例1
と同様に断面観察したところ、ε相の存在が認められ
た。 また、スクラッチテスターにて臨界荷重を測定したと
ころ30Nであった。 実施例2 高速度工具鋼SKH−51の材質の12mm径のエンドミル
(基材)をイオン窒化装置にて処理温度500℃、ガス組
成N2:H2:Ar=1:5:4、全圧40Torrで15分イオン窒化法に
より処理して表面に窒素を拡散させて第1拡散層を形成
し、中間製品を得た。 この中間製品について、イオンプレーティング装置に
て、実施例1と同様にチタンイオンによるボンバードメ
ント処理を行って、第2拡散層を形成した後、窒化チタ
ンの被覆を厚さ2μmに形成した。 比較例2 チタンイオンによるボンバードメント処理の代りに、
比較例1と同様のガスイオンによるボンバードメントを
行なった以外は実施例2と同様に被覆を形成した。 実施例2、比較例2で用いて基材、イオン窒化法で得
られた中間製品および最終製品である各エンドミルにつ
いて次の条件で切削試験を行なった。 被削材 :高ケイ素球状黒鉛鋳鉄、 切削速度:26.6m/min、切り込み:1mm、 送 り:38mm/rev. この切削試験で得られた逃げ面摩耗と切削長さの関係
を第5図に示す。ここで逃げ面摩耗が0.3mmとなった時
点を工具の寿命とすると、実施例2の表面被覆エンドミ
ルは比較例2の表面被覆エンドミルに比べて外挿により
約2倍の寿命となることが推定される。 〔発明の効果〕 以上の実施例から明らかなように、本発明の表面被覆
鋼製品は硬質被覆と母材表面の硬化層との密着性が優れ
ているため、各種工具等の耐摩耗性などが要求される場
合でも高い耐久性を示し、長寿命である。
【図面の簡単な説明】 第1図は、実施例1で得られた表面被覆鋼材の表面部の
金属組織を示す断面の光学顕微鏡写真(×400)であ
る。 第2図は、実施例1における中間製品についての第1図
と同様の金属組織を示す光学顕微鏡写真(×400)であ
る。 第3図は実施例1の表面被覆鋼材の断面硬度分布を示
す。 第4図は実施例の表面被覆鋼材の表面部におけるTiとFe
の濃度分布を示す。 第5図は、実施例2、比較例2の各種エンドミルについ
ての切削試験の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池永 勝 大和市下鶴間字丁1号3860 日本コーテ ィングセンター株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−126535(JP,A) 特開 昭53−26742(JP,A) 特開 昭58−181863(JP,A) 特開 昭58−197263(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.鋼系金属母材のみからなる基部と;前記と同一の鋼
    系金属母材中に窒素および炭素の少なくとも1種を拡散
    させてなり、但し金属元素の炭素および/または窒素と
    の化合物相も黒化膜も伴わない層であって、前記基部の
    上に形成された第1拡散層と;前記と同一の鋼系金属母
    材中に、窒素および炭素の少なくとも1種並びに周期律
    表IV a族およびV a族の金属から選ばれる少なくとも1
    種を拡散させてなる層であって、前記第1拡散層上に形
    成された第2拡散層と;周期律表IV a族およびV a族の
    金属から選ばれる金属の炭化物、窒化物および炭窒化物
    の少なくとも1種からなり、前記第2拡散層上に形成さ
    れた硬質被膜とを有する表面被覆鋼製品。
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