JP2007262498A - 発色を制御したチタン合金ボルトおよびナット - Google Patents

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Abstract

【課題】発色を制御した表面を有するチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナットを提供する。
【解決手段】発色を制御した表面を有するチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナットであって、表面に所定の厚さの酸化層を形成させることで、光の干渉、吸収、又は反射により発色させたことを特徴とするチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
【効果】膜厚及び膜成分を制御することにより、任意の色に発色させた製品を提供でき、結晶性の酸化層により、表面硬度が高く、且つ耐摩耗性が向上した製品を提供できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、加熱酸化により形成した酸化層の光の干渉あるいは光の吸収あるいは光の反射により発色させたチタンあるいはチタン合金製のボルト及びナットに関するものであり、更に詳しくは、加熱酸化により表面に強固で、硬質なチタン酸化物を生成させ、その酸化膜の厚みをナノメートルレベルで制御することによって、多色の発色をさせたチタンあるいはチタン合金製のボルト及びナットに関するものである。本発明は、従来の陽極酸化により発色させたチタン製のボルトやナットに代わり得る、自動車関連部品あるいは生体医療用部品への応用が可能であり、しかも、耐摩耗性や抗菌性を付与した高付加価値の発色を制御したチタンあるいはチタン合金ボルト及びナット製品を提供するものである。
チタンは、高い耐食性を有する軽量材料として、自動車や二輪車等の部品として利用されている。ただ、チタンは、鉄に比べると原料価格が高いため、大きな部材に使うまでには至っていない。しかし、高い耐食性や耐熱性を要求される過酷な使用環境においては、ボルトやナット等の小型部材を中心にチタンの積極的な利用が進められている。また、チタンは、生体適合性が高いことから、骨折等の治療に使われるボルト(ボーンスクリュー)として利用されている。
チタンあるいはチタン合金製のボルトやナットは、十分な耐食性を有するため、鉄等のような防錆処理は必要ではないが、商品の価値を高めたり、回収時の識別を促進するために色をつけること(着色)が求められている。鉄に対して、一般的に利用されている塗料による着色では、チタンの耐食性の良さから剥離が生じやすく商品の価値が低下するという問題があった。また、塗料による着色では衝撃や摩擦により容易に剥離するため、チタンを使用するような過酷な使用環境では有効な着色技術にはなっていない。
近年、アルミニウムの着色技術の一つである陽極酸化を利用したチタンの着色技術が広がってきている。これは、湿式によるチタン表面への酸化被膜の作製技術であり、印加する電圧により酸化被膜の厚みを自由に制御することができる。チタンの酸化被膜は、その厚みにより光の干渉で発色することが可能であり、様々な発色を行うことができる。このため、陽極酸化を利用したチタンの酸化被膜は、チタン建材等の表面処理、発色処理技術として普及してきている。この陽極酸化をチタン製のボルトに利用する技術もすでに実用化されている。しかし、陽極酸化で作製した酸化被膜は、発色の制御性に優れるものの、低温でかつ速い速度で形成した被膜であるため、その被膜はアモルファス構造となっている。アモルファスは、加熱により結晶構造が変化するため、剥離や変色を生じやすく、熱や摩擦が作用する過酷な使用環境下では長時間の使用が難しいという問題があった。
また、先行技術として、例えば、300℃未満の温度で加熱した後、陽極酸化処理で着色して、基材であるチタンやチタン合金との密着性を改善するという技術も開発されている(特許文献1)。しかし、この技術によると、表面層は陽極酸化によるアモルファス膜であるので、硬度が低いという問題がある。また、他の先行技術として、例えば、基材となるチタンやチタン合金の結晶粒径を機械的合金化法により微細化して、加熱酸化により直接酸化皮膜を形成して発色させる技術も開発されている(特許文献2)。しかし、機械的合金化法では粉末の状態で得られるため、複雑な形状に機械加工されているチタンあるいはチタン合金製のボルトやナットに応用することは難しいし、また、この文献では、発色の制御については何も検討していない。
特開昭63−18099号公報 特許第3323909号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記の従来技術の問題点を解決することを可能とする新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、酸素・窒素が残存する環境下で加熱酸化することで、チタンあるいはチタン合金製のボルトやナット表面に密着性に優れる酸化チタン膜を形成することができ、しかも、加熱温度の制御、加熱時間の制御あるいは加熱雰囲気の制御により酸化膜の厚みを制御できることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、チタンあるいはチタン合金表面に形成される結晶性の酸化チタン膜に着目し、酸化膜の厚みを種々の加熱条件によって制御して発色を制御するとともに、硬質な酸化膜を密着性よく形成することで、表面硬度を高めるためになされたものである。本発明は、結晶性の酸化膜を、チタンあるいはチタン合金のボルト及びナットの表面に制御しながら生成させることにより、従来の酸化膜では困難であった発色の制御を行うことを可能とするとともに、従来の陽極酸化による発色膜に比べ耐剥離性に優れ、かつ耐摩耗性に優れる同部材を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、陽極酸化では原理的に不可能である黒色や白色に発色させた表面を有するチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナットを含む発色を制御したチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナットを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)表面に形成したチタン酸化層により発色を制御したチタンあるいはチタン合金のボルト及びナットであって、(1)表面に所定の厚さの酸化層を形成させることで、光の干渉、吸収、又は反射により発色させたこと、(2)上記チタン酸化層が、主に結晶相から構成されていること、を特徴とするチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(2)表面に、結晶性のチタン酸化層を形成させることにより基材との密着性を高めた、上記(1)に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(3)表面に、窒素を含む結晶性のチタン酸化層を形成させた、上記(1)に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(4)酸化層の厚さをナノレベルで制御して、発色する色を変化させた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(5)酸化層中の酸素濃度を制御して、光の吸収率を変化させることにより発色する色を変化させた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(6)酸化層中の酸素濃度を低くして、膜内で光を吸収させることにより黒色化させた、上記(5)に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(7)酸化層の凹凸を制御して、光の反射率を変化させることにより発色する色を変化させた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金よりなるボルト及びナット。
(8)酸化層の表面粗さを大きくして、表面で光を乱反射させることにより白色化させた、上記(7)に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(9)表面に形成した酸化層により表面硬度を上昇させて、耐焼き付き性を向上させた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(10)表面に形成した酸化層により表面の摩擦係数を低減させた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
(11)表面に形成した酸化層により抗菌性を持たせた、上記(1)から(3)のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、表面に所定の厚さの酸化層を形成させ、光の干渉あるいは光の吸収あるいは光の反射により発色させたことを特徴とするチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナットの点に特徴を有するものである。また、本発明は、上記酸化層は、加熱することにより生成させることを主とし、酸化層は、主に結晶相から構成されること(アモルファスでないこと)、その膜厚を、加熱条件、例えば、温度、雰囲気、時間を適切に選ぶことで制御すること、及びこの膜厚を制御することによって、発色する色を制御すること、を特徴とするものである。
本発明では、酸化膜中の酸素濃度を酸化チタンの化学量論組成(チタンと酸素の原子比が1対2)よりも酸素が欠乏した組成の膜にすることで、膜内で光の吸収が起こり、黒色化させることができる。また、表面の凹凸や膜内の結晶粒界での欠陥導入により、光が乱反射し、白色化させることができる。また、本発明では、形成された表面の結晶性の酸化膜は、陽極酸化で作製されるアモルファス膜よりも硬度が高く、耐摩耗性に優れており、また、結晶性の酸化チタン膜であるので、光触媒特性が発現し、抗菌作用等の光触媒特性を付与することができる。
本発明は、耐摩耗性を有する着色チタン製ボルト及びナットにおいて、表面に硬質で密着性のよい結晶性の酸化チタン膜を形成させ、この酸化膜の厚みにより、光の干渉で発色を行うチタンあるいはチタン合金製のボルト及びナットであり、その際に、加熱条件を適切に設定することで、表面酸化層の厚みを制御して、任意の色に発色させること、を可能とするものである。
本発明では、チタンあるいはチタン合金製ボルト及びナットの表面に結晶性の酸化チタン膜が形成されていること、酸化チタン膜中に窒素が含有されていること、酸化チタン膜の厚みを変化させることで発色を変化させること、黒色の酸化チタン膜を形成すること、酸化チタンの酸化チタン膜を介して焼き付きを防止すること、酸化チタン膜により摩擦係数を低減させること、及び酸化チタン膜により抗菌性を発現させること等が、好ましい実施の態様として例示される。
本発明で利用するチタンあるいはチタン合金の材質は特に限定されるものではなく、これまでに市販されているチタン材料や、開発されているチタン材料、例えば、純チタン、Ti−6Al−4V、α型合金、β型合金、α+β型合金、near α型合金、near β型合金等のチタン材料を利用することができる。これらの材料は、溶解、鍛造、押し出し等で成形され、機械加工によりボルトやナット形状に仕上げられる。材料によっては、加工硬化が大きいため、熱処理と組み合わせた加工が行われる。好適には、機械加工で大きなひずみが導入され、再結晶による組織の微細化が進んでいる方が発色の均質性に優れる。
加工されたチタンあるいはチタン合金製のボルトやナットは、加熱により酸化チタン膜がその表面に形成される。酸化チタン膜の厚みは、加熱温度と保持時間、酸素分圧により決定される。発色は、形成される酸化チタン膜の厚みにより決定される。また、黒色や白色については、膜内での光の吸収量や反射量によって発生する黒色又は白色を適宜制御することができる。
加熱温度は、基材となるチタンあるいはチタン合金の化学組成の影響を受けるため、特に限定されないが、好適には、400℃から800℃の温度が利用される。また、加熱保持時間は、チタン発色を調整するために変化させることが可能であり、基材となるチタンあるいはチタン合金の化学組成を考慮して決定される。目的の熱処理温度で目的の時間保持した後は、冷却を行う。冷却は、自然冷却、冷却用の気体の導入等によって行われるが、冷却時には酸化チタン皮膜がわずかではあるが成長するため、それを抑制するために急冷することもできる。急冷では、例えば、一般的な金属の熱処理方法として行われている水焼入れや油焼入れの技術が利用できる。
加熱の雰囲気についても特に限定されないが、大気中や不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス中での処理が行える。例えば、窒素ガス、酸素ガスを1/3又は2/3含有する窒素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気中、600℃で加熱処理すると、それぞれ、うすい金色、金色、濃い山吹色を発色し、酸素ガスが多いほど膜厚は厚くなる。加熱温度が高い場合には、酸素と基材であるチタンあるいはチタン合金との反応による酸化チタン皮膜の形成速度が速いため、窒素等の比較的反応の遅いガスの存在が好ましい。また、加熱雰囲気中の酸素分圧を制御して大気圧以上の圧力を付与しても問題ない。雰囲気の圧力を、大気圧より減圧あるいは真空にすると酸化チタン皮膜の成長速度がやや遅くなるが、緻密な酸化皮膜を得ることができる。
酸化チタン皮膜の厚みは発色に関係するため、特に規定されないが、発色させた色の光の1波長から2波長の厚みが好ましい。酸化チタン皮膜の厚みが大きくなると、膜の割れが生じるため、1ミクロン以下の酸化チタン皮膜が好ましい。酸化チタン皮膜は、加熱酸化した場合には、結晶性の酸化チタン、例えば、ルチル結晶となる。この皮膜は基材であるチタンあるいはチタン合金の結晶方位との整合性をもって成長するため、基材との密着性に優れ、高硬度の皮膜になる。
上述のように、本発明では、酸化チタン皮膜の厚みを制御することにより、例えば、金色、山吹色、紫色、青色、水色等の任意の発色が得られる。また、酸化膜中の酸素濃度を低くして、膜内で光を吸収させることにより黒色の膜が形成される。また、皮膜の表面粗さを大きくして、表面で光を乱反射させることにより白色の膜が形成される。
また、窒素を含む結晶性のチタン酸化層を形成すると、表面硬度が高い酸化層を形成することができる。こうして窒素を含むチタン酸化層を形成するには、好適には、例えば、窒素分圧を90%以上とした混合ガス雰囲気中(大気圧下もしくは減圧下あるいは真空下いずれの場合も含む)で800℃以上で加熱する方法が例示される。
本発明において、加熱酸化により形成された酸化層は、結晶性の酸化チタンを主成分となし、高い耐熱性と高い表面硬度有する。例えば、大気酸化により作製したTi−6Al−4V合金製ボルトの酸化皮膜は、470Hvの高い硬度を有している。こうした、高耐熱性と、高硬度の表面酸化層の存在により、本発明のボルト及びナットは、耐焼き付き性が高度に改善される。
酸化チタンは、生体親和性に優れ、また、酸化チタンは、光触媒作用と、超親水性を示し、例えば、汚れの分解、消臭・脱臭、抗菌・殺菌、有害物質の除去、ガラス・鏡の曇り防止、防汚等に利用されているが、本発明では、こうした酸化チタンの特性を利用して、表面酸化層に光触媒活性、特に、抗菌性を付与したチタン製ボルト及びナットを提供すること、また、例えば、骨を固定する生体用の生体医療用部品としてのボルト及びナットを提供すること、が可能である。
図1に、本発明のボルトの一例(写真)を示す。このボルトは、表面のチタン酸化層の厚さを制御することにより、青色に発色させたものである。図2に、発色を示す場合の光の分光反射率の測定結果を示す。分光反射率の測定は、可視光領域を含む350nmから750nmの波長で行った。この波長領域で、無処理のチタン原材料は比較的平坦な反射率を示すが、670℃、又は811℃で加熱処理すると、分光反射率は極大値を有していた。また、593℃、窒素雰囲気中594℃で熱処理すると、低波長域で反射率は極小値を有し、長波長になるに従って反射率は増加した。窒素雰囲気中での加熱処理では、分光反射率の低波長側へのシフトが認められた。図3に、黒色を示す場合の分光反射率の測定結果を示す。全波長領域で低い反射率を示していた。
本発明では、表面に形成された酸化層による光の干渉、吸収、又は反射により任意の色を発色させることが可能である。基体表面に形成された酸化層は、結晶性の透明な酸化チタンからなり、酸化膜の形成に際して、熱処理条件を調整することによって酸化層の厚みをナノレベルで制御して任意の色に発色させることが可能である。本発明の発色を制御したチタンあるいはチタン合金のボルト及びナットは、チタン酸化層が、主に結晶相から構成されている点で、製品分析により、従来の陽極酸化や化成処理による着色膜を有する製品と識別することが可能である。尚、本発明において、ボルト及びナットとは、ボルト及び/又はナットを意味するものとして定義される。
本発明は、従来の陽極酸化や化成処理による着色法では達成することができなかった、黒色、又は白色のボルト及びナットの提供を可能とする。また、本発明により形成された結晶性の酸化チタン酸化層は、基体に強固に結合し、表面硬度が大きく、耐摩耗性に優れているので、耐熱性、耐久性、更に耐焼き付き性が向上したボルト及びナットを提供することが可能となる。また、このような優れた特性を有する本発明のボルト及びナットは、二輪車や自動車の内燃機関等に、また、チタン金属の優れた生体親和性を利用して生体医療用部品として有用である。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、二輪車や自動車等の内燃機関により熱が発生する部品を固定するための着色チタンあるいはチタン合金製ボルト及びナットを提供することができる。これにより、二輪車や自動車の軽量化に寄与することができ、燃費向上につながる。
(2)異物の接触(例えば、砂や小石等の衝突、ボルトの締め付け用治具の接触等)による摩耗が多いボルトやナットの装飾が可能となり、嗜好性の高い商品開発につながる。
(3)チタン材料の種類(合金の添加元素による分類)に対応した着色が可能となり、リサイクル回収時の分別の促進、高合金材料における効率的なリサイクルを実現し、少ないエネルギーで再利用できるシステムを構築できる。
(4)生体用のボルトあるいは生体に接触する部材(腕時計、イヤリング等)における光照射による簡易雑菌処理、結晶性の酸化チタンの抗菌性を利用した簡易な殺菌が光(太陽光等)に当てるだけで実現できる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
市販の純チタン製ボルト(M6)を、電気炉にて、大気中で400℃から800℃までの温度条件で加熱し、10分間の等温保持をそれぞれの温度で行った後、電気炉から取り出し、自然冷却して、発色したボルトを作製した。その結果、得られたボルトは、400℃ではほとんど変化がなかったが、450℃では金色、500℃では紫色、550℃では青色、600℃では水色を呈した。これ以上の温度になると、灰色であった。これらの色は、膜厚で変化していることが分かった。また、いずれの皮膜も、結晶性の酸化チタンであるルチルであった。
Ti−6Al−4V合金をM6のボルト形状に機械加工し、電気炉にて500℃から800℃までの温度条件で加熱し、10分間の等温保持をそれぞれの温度で行った後、電気炉から取り出し、自然冷却した。その結果、得られたボルトは、500℃から550℃では金色、600℃では山吹色、650℃では紫色、675℃では青色、700℃では水色、800℃では金色を呈した。これにより、温度を制御することによって、発色を変化させることができた。
Ti−6Al−4V合金製のボルトを雰囲気の制御できる電気炉を用いて、200Paの低真空下で、500℃から800℃の温度条件で加熱した。その後、等温保持はせず、目的の温度に到達後、炉の電源を遮断し、真空のまま炉内で冷却した。その結果、得られたボルトは、500℃では金色、600℃では山吹色、650℃では青色、700℃では金色、800℃では薄い金色を呈した。大気中の実験よりも温度変化が緩やかで、同色のものを得るためには温度を高くする必要があった。これは、低真空下での酸素量が大気中よりも減少したためである。
実施例3の実験において、目的温度に到達後、100%窒素ガスを炉内に導入して冷却を行った。その結果、同じ温度にもかかわらず、実施例3で得られた結果よりも低温側の発色を示した。これは、同じ温度でも膜の厚さが薄くなっていることを示している。これは、窒素ガスの導入によって炉内の冷却速度が、実施例3に比べて早くなったためである。
Ti−6Al−4V合金製のボルトを、雰囲気の制御できる電気炉を用いて、200Paの低真空下にした後、100%窒素ガス、窒素ガスと酸素ガスが2対1の割合の混合ガス、窒素ガスと酸素ガスが1対2の混合ガスをそれぞれ流して炉内の気圧を1気圧にした後、それぞれ600℃まで加熱し、等温保持をせずに、その後、それぞれの雰囲気のまま炉内で冷却をした。その結果、100%窒素ガスの場合は、うすい金色、窒素ガスと酸素ガスが2対1の混合ガスの場合は、金色、窒素ガスと酸素ガスが1対2の場合は、濃い山吹色を呈した。これは、同じ温度での加熱でも、酸素量が多いほど膜厚が厚くなることを示している。
実施例1から5の結果から、温度及び雰囲気を制御することで、ボルト及びナットの表面酸化層の発色を変化させることができることが分かった。
Ti−6Al−4V合金製のボルトを、雰囲気の制御ができる電気炉を用いて、200Paの低真空下、800℃で10分間の等温保持を行った後、炉の電源を遮断し、真空のまま、炉内で冷却した。その結果、得られたボルトは黒色を示した。詳細に調べると、酸化膜中の酸素濃度が通常の酸化チタン(TiO)より低い、40at%の値であった。すなわち、この膜は、酸素が欠乏したため、膜内で光の吸収が起こり黒くなったものである。
純チタン製ボルトを、アルゴンを10ml/分の流量で流しながら大気圧下、750℃で10分間加熱した後、自然冷却した。得られたチタン製ボルトは白色になった。詳細に調べると、膜の表面粗さが500℃で作製した試料に比べて約4倍大きくなっており、そのため、表面で光が乱反射することにより白色化した。
大気酸化により作製したTi−6Al−4V合金製ボルトの硬度を測定した。比較のため、同じ色調の皮膜を陽極酸化で作製し、それぞれの表面硬度を5g荷重で測定した。加熱酸化で形成された酸化皮膜は、470Hvであり、陽極酸化皮膜の1.3倍以上の硬度を示した。なお、陽極酸化で作製した酸化皮膜は、基材の硬度とほぼ同じであり、陽極酸化では表面硬化の効果はほとんどなかった。
以上詳述したように、本発明は、発色を制御したチタンあるいはチタン合金ボルト及びナットに係るものであり、本発明により、チタンあるいはチタン合金製のボルトやナットの表面に結晶性の酸化チタン皮膜を形成させ、その膜厚を制御して種々の色を発色させるとともに、高硬度化して耐摩耗性を改善することができる。本発明により、過酷な使用環境下でも色落ちしない着色を可能とするとともに、ボルトとナットの焼き付きや摩耗性を改善することができる。
また、本発明のチタンあるいはチタン合金製のボルトは、生体親和性に優れており、骨を固定するための生体用ボルトとしても応用することができる。本発明は、酸化チタンを利用した光の干渉による発色と硬質皮膜による耐摩耗性の改善を同時に発現するものであり、チタンあるいはチタン合金の組成に依存せずに幅広いチタン製ボルト及びナットに利用することができる新技術・新製品を提供できる。
本発明は、産業部材から日常品に至るまで、幅広い分野での利用が可能であり、従来の耐食性ボルトやナットに使われているステンレス鋼をチタンに置き換えることで軽量な部材にすることができる。部材の軽量化は、駆動力の低減につながることから、本発明は、エネルギー消費量の低減による省エネルギー効果を期待することができる、新しい、発色を制御したチタンあるいはチタン合金のボルト及びナットを提供することを可能にするものとして高い有用性を有するものである。
作製したボルトの一例の写真を示す。 ボルト及びナットが発色を示す場合の分光反射率の測定結果を示す。 ボルト及びナットが黒色を示す場合の分光反射率の測定結果を示す。

Claims (11)

  1. 表面に形成したチタン酸化層により発色を制御したチタンあるいはチタン合金のボルト及びナットであって、(1)表面に所定の厚さの酸化層を形成させることで、光の干渉、吸収、又は反射により発色させたこと、(2)上記チタン酸化層が、主に結晶相から構成されていること、を特徴とするチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  2. 表面に、結晶性のチタン酸化層を形成させることにより基材との密着性を高めた、請求項1に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  3. 表面に、窒素を含む結晶性のチタン酸化層を形成させた、請求項1に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  4. 酸化層の厚さをナノレベルで制御して、発色する色を変化させた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  5. 酸化層中の酸素濃度を制御して、光の吸収率を変化させることにより発色する色を変化させた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  6. 酸化層中の酸素濃度を低くして、膜内で光を吸収させることにより黒色化させた、請求項5に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  7. 酸化層の凹凸を制御して、光の反射率を変化させることにより発色する色を変化させた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金よりなるボルト及びナット。
  8. 酸化層の表面粗さを大きくして、表面で光を乱反射させることにより白色化させた、請求項7に記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  9. 表面に形成した酸化層により表面硬度を上昇させて、耐焼き付き性を向上させた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  10. 表面に形成した酸化層により表面の摩擦係数を低減させた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
  11. 表面に形成した酸化層により抗菌性を持たせた、請求項1から3のいずれかに記載のチタンあるいはチタン合金からなるボルト及びナット。
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