JPH0795866A - 水性ペースト状ルウ - Google Patents

水性ペースト状ルウ

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JPH0795866A
JPH0795866A JP5277297A JP27729793A JPH0795866A JP H0795866 A JPH0795866 A JP H0795866A JP 5277297 A JP5277297 A JP 5277297A JP 27729793 A JP27729793 A JP 27729793A JP H0795866 A JPH0795866 A JP H0795866A
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芳明 浜
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 調理したものにとろみをつけるためのβ状澱
粉を含むルウにおいて、そのルウを使って調理したもの
にそのルウに含まれる水溶性風味物質の匂い立ちと風味
を際立たせる。 【構成】 内水相に水溶性風味物質、外水相に未だα化
していない澱粉を添加した水中油中水型乳化物から成る
水性ペースト状ルウ

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカレー、シチュー、スー
プ及びハヤシ等の水性ペースト状ルウに関する。
【0002】
【従来の技術と本発明が解決しようとする課題】水性ペ
ースト状ルウは、野菜や果物のエキス、ジュース、生乳
及びワイン等の酒類等の水溶性風味物質を添加すること
ができるため、従来の固形ルウや粉末ルウに比べて風味
の点で優れている(特開昭60−75255)。しか
し、一般にペースト状ルウは、水性、油性に関わらず水
分が高いと微生物や酵素により変敗しやすい。これを防
ぐために、水分活性を下げたり、減菌・酵素失活のため
熱を加えたり、初発菌数の少ない原料を使ったりする等
の工夫がされている(特開平4−370078)。
【0003】一方、調理したものにとろみをつけるため
澱粉若しくは小麦粉由来の澱粉を添加しているルウは、
調理により生じたα化澱粉が風味物質を吸着してしまい
風味が発現しないという欠点がある。
【0004】本発明は澱粉を添加したルウにおいて添加
した水溶性風味原料の風味が調理した後にも充分に発現
し、保存性も優れていることを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】水性ペースト状ルウと
は、カレー、ハヤシ、シチュー及びスープ用等の流動性
のある液状のルウであってそれにとろみを与えるため未
だα化していない澱粉を含んでいるものを使う。
【0006】本発明を実施するには、カレー、ハヤシ及
びシチューでは適量の水、肉、玉ねぎ、人参及び馬鈴薯
等の素材を煮込んだものに本発明の水性ペースト状ルウ
を加え、とろみがつくまで5〜10分間煮沸したらよ
い。スープではこのルウに適量の熱水を加えとろみがで
るまで混ぜる。
【0007】水性又は水溶性風味物質とは、調理したあ
とのものにその特徴的な風味が発現するように水性ペー
スト状ルウに添加した水性又は水溶性の物質をいう。例
えば、野菜のエキス、果実のエキス、乳製品、ビーフエ
キス、ポークエキス、チキンエキス、魚介類エキス、ガ
ーリックエキス、ワイン、リキュールが数えられる。
【0008】耐熱性のない水性又は水溶性風味物質と
は、80℃を越える加熱温度で変性もしくは蒸発する物
質をいい、例えばワイン及びリキュール等のアルコール
含有物質、アップル及びオレンジ等の果物果汁、生乳及
び濃縮乳等の加工度の低い乳製品並びにトマト、ビー
フ、クリーム及びコーン香料のような低沸点成分を含有
する香料及び熱変性しやすい香料等がこれに該当する。
耐熱性のない水溶性色素には、ぶどう果皮やベニバナサ
フラワーイエローのようなアントシアニン系色素および
ビートレッドのようなベタシアニン系色素等がある。
【0009】澱粉としては、水を加えて熱したり熱水を
加えたりするとα化してとろみを生じるものを使う。例
えば、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、タピオカ澱粉、蛋
白質含量が5%以下となるように上記澱粉と混合された
小麦粉類等をいう。
【0010】水中油中水型複合乳化物は1から数個の内
水相を含む多数の油相を含んだ外水相から成る。油相は
親油性乳化剤を含み、外水相は親水性乳化剤を含む。水
中油中水型複合乳化物の製法は格別のものではない。例
えば、先ず、親油性乳化剤を加えた油性原料(これが油
相となる)を温め、ホモミキサーで混ぜながら、水と水
性又は水溶性風味物質を少しづつ加え、均質にして油中
水型乳化物を得る。次に、親水性乳化剤を加え予め温め
た水と水溶性原料に温めた上記油中水型乳化物を加え、
ホモゲナイザーで均質にしたあと、冷却し、水中油中水
型複合乳化物を得る。
【0011】水中油中水型複合乳化物は次のとおり殺菌
する。内水相、外水相の殺菌条件は、各相の使用原料の
菌数のレベル、菌の種類並びに各組成の水分活性、pH
値、官能評価から各相別個に決められる。又、油相は本
来無菌か無菌に近く、たとえ菌が混入しても増殖の可能
性は無いので改めて殺菌する必要はない。
【0012】油相に含まれる親油性乳化剤としては、ポ
リグリセリン縮合リシノレン酸エステルの他、モノエス
テルの含有率が20%以下(HLB3以下となる)で主
要構成脂肪酸がエルカ酸であるショ糖脂肪酸エステル
(以下、ショ糖エルカ酸エステルという)がよい(特開
昭60−20319、特開昭62−175137)。特
に、風味の点から後者が好適である。
【0013】外水相に含まれる親水性乳化剤としては、
高HLBのショ糖脂肪酸エステルがよい。例えば、HL
B16のショ糖ステアリン酸エステルが採用される。
【0014】油相がショ糖エルカ酸エステルを3%含
み、外水相が親水性乳化剤を0.1%程度含むとき、特
に水中油中水中型複合乳化物は安定する。
【0015】内水相は、水溶性風味物質及び水並びに必
要に応じて水溶性色素及び安定剤から成る。安定剤は、
例えばローカストビンガム、カラギーナン及びジェラン
ガムの如き増粘多糖類、ゼラチン、ナトリウムカゼイネ
ート、カゼイン及び大豆蛋白等の蛋白質、葡萄糖、砂糖
の如き少糖類並びに食塩の如き塩類等がある。
【0016】内水相に耐熱性のない水溶性風味物質およ
び必要に応じて耐熱性のない水溶性色素を添加したと
き、内水相の水分活性は0.79以下好ましくは0.6
9から0.79、内水相のpH値は3.8以下好ましく
は3.0から3.8に調整する。水分活性及びpHの調
整は常法による。例えば、内水相がぶどう糖30部、水
溶性風味物質としてアップルペースト55部、安定剤と
してジェランガム0.3部、乳酸カルシウム0.1部及
び水14.6部から成るとき水分活性は0.79、pH
値は3.6となる。このとき、内水相が80℃で10分
間となるよう殺菌すればよい。
【0017】油相は、ルウに使われる食用油脂と親油性
乳化剤から成る。食用油脂として、例えば、牛脂、豚
脂、植物性油脂がある。
【0018】外水相は、内水相にある水溶性風味物質を
除いた水溶性原料及び親水性乳化剤から成る。前者とし
て、例えば、加熱熟成された小麦粉、カレー粉、食塩、
砂糖、肉エキス、野菜エキス、香辛料、調味料及び水が
ある。
【0019】内水相と油相の体積比は1対1以下がよい
ようである。
【0020】油中水型乳化物の粒子の粒度分布の平均粒
度は10から30μmの範囲内にあり、その粒度分布の
70体積%以上好ましくは85%以上が5〜50μmの
範囲にはいることがよい。粒度分布を上記のように調製
するには、TKミキサー(特殊機化(株)製)を用い、
60℃にて2,000〜4,000rpmで5分間外水
相を攪拌しながら油中水型乳化物を徐々に添加し水中油
中水型乳化物とすればよい。
【0021】
【作用】油相にショ糖エルカ酸エステルが5%を超えて
含まれると調理するときに内水相の乳化が壊れにくいた
め内水相に含まれる水溶性風味物質の匂い立ちがかえっ
て劣る。逆に、1%を下回ると内水相の初発の水中油中
水型複合乳化物の生成がが不十分のため内水相に含まれ
る水溶性風味物質がα化澱粉に吸着されその匂い立ちが
劣る。又、ショ糖エルカ酸エステルのHLBが3よりも
大きくなると(その中のモノエステルの含有率が20%
を超えると)油脂に対する溶解度が著しく低下し油中水
型乳化物をつくりにくい。
【0022】外水相にHLB16のショ糖ステアリン酸
エステルが0.3%を超えて含まれると初発の複合乳化
物の生成率が低くなる。
【0023】水性ペースト状ルウの油相の乳化は壊れや
すい。水中油型の乳化においては油相の粒子径が細かい
ほど乳化は壊れにくい。一方、本発明に係る水中油中水
型の乳化においては油中水型乳化物の粒子の粒度分布の
平均粒度が10から30μmの範囲より小さい場合、調
理のとき乳化が壊れ、その際白っぽい色調から黒っぽい
色調へ大きく変わる。又、10から30μmより大きい
場合、保存のときに乳化が壊れて油浸や油分離が起こ
る。
【0024】本発明に係るルウの匂い立ち及び風味の評
価は、官能及び匂いセンサーによる計測によった。
【0025】本発明に係るルウの保存性の評価は、アル
ミパウチに入れ30℃に3ヵ月保存したルウについて、
表面の油浸又は油分離の観察、一般細菌及び黴・酵母の
菌数検査、官能並びに匂いセンサーによる計測によっ
た。
【0026】ここで、官能による評価は、永年にわたり
ルウの開発に携わり官能評価に熟練した者数名がルウを
使って調理したものの調理時の匂い立ち、色調及び調理
後の風味について5点評価することによる。匂いセンサ
ーによる計測は、20gのルウ及び120gの水並びに
回転子を入れた300mlのビーカーをヒーター付きマ
グネチックスターラーの上に置き、このビーカーの上部
に逆さにした三角ロートを置きさらにその先端から1c
m上方に匂いセンサー(コスモス電気(株)製、XP
329S型)の感知部を置き、ヒーター付きマグネチッ
クスターラーを作動させて加熱及び沸騰中の匂いの強度
と持続性を計測することによる。
【0027】
【実施例】
(実施例1)コーンオイル97部、ショ糖エルカ酸エス
テル(三菱化成食品(株)製、ER−290)3部を油
相とし70℃5分間加熱溶解後TKミキサー(特殊機化
(株)製)を用い60℃にて上記溶解物を2000rp
mで攪拌した。食塩17部、水溶性風味物質としてガー
リックエキス(稲畑香料(株)製)10部、安定剤とし
てジェランガム(三栄源FFI製、食品用ケルコガム)
0.5部及び水72.5部を内水相としこれを90℃5
分間加熱溶解させ60℃に冷却後上記攪拌中の油相2部
(重量比)に対して内水相1部を徐々に加えた。添加完
了後10000rpm5分間攪拌し油中水型乳化物を得
た。別途これは通電性がない、つまり油中水型乳化物で
あることを確認した。上記内水相の水分活性は0.80
であった。他方、カレー粉20部、食塩9部、砂糖15
部、トマトピューレ10部、ビーフエキス5部、オニオ
ンエキス4部、カレーオレオレジン4部、乳製品4部、
カラメル3部、濃縮林檎果汁3部、粉末調味料3部、シ
ョ糖ステアリン酸エステル(三菱化成食品(株)製、S
−1670)0.1部及び水19.9部を卓上プロペラ
式攪拌機で十分混合後110℃1分間殺菌し室温まで冷
却してこれを外水相とした。次に、外水相5部を60℃
TKミキサー2000rpmで攪拌し、これに上記油中
水型乳化物3部を同じく60℃で徐々に添加して水中油
中水型複合乳化物を得た。別途、これは通電性のあるこ
と、つまり水中油中水型複合乳化物であることを確認し
た。得られた水中油中水型複合乳化物100部に未だα
化していない減菌処理したコーンスターチ20部及び香
料2部を加えてペースト状カレールウを得た。このペー
スト状カレールウの油中水型乳化物の粒子の粒度分布の
中心粒度は14.3μmであり、5から50μmの粒子
が約90体積%を占めていた(図1)。ここで粒度は粒
度分布計(堀場製作所(株)製、LA−700)により
測定した。次に、肉300g、玉ねぎ1個、人参1本及
び馬鈴薯1個を適当な大きさに切り、よく炒め、水70
0mlを加え、材料が柔らかくなるまでよく煮込み、煮
込み上がったら弱火にして上記カレールウ130gをい
れてとろみがでるまで再びよく煮込んだ。これにより調
理したカレーを得た。
【0028】(比較例1)カレー粉16.7部、食塩1
0.3部、砂糖12.5部、トマトピューレ8.3部、
ビーフエキス4.2部、オニオンエキス3.3部、カレ
ーオレオレジン3.3部、乳製品3.3部、カラメル
2.5部、濃縮林檎果汁2.5部、粉末調味料2.5
部、ガーリックエキス1.7部及び水27.6部を卓上
プロペラ式攪拌機で十分混合後110℃1分間殺菌し7
0℃で親水性乳化剤としてポリグリセリンエステルの一
種であるデカグリセリンモノオレート(理研ビタミン
(株)製、ポエムJ−0381)1.3部を添加し溶解
させこれを水相としてTKミキサーで60℃2000r
pmで攪拌した。上記攪拌中の水相6部に対して油相
(コーンオイル)2部を60℃で徐々に加えた。添加完
了後10000rpm5分間攪拌し水中油型乳化物を得
た。別途、これは通電性のあること、つまり水中油型乳
化物であることを確認した。得られた水中油型乳化物1
00部に室温で未だα化していない減菌処理したコーン
スターチ20部及び香料2部を加えペースト状カレール
ウを得た。このペースト状カレールウの油相の粒子の粒
度分布の中心粒度は1.65μmであり、0.5から
3.5μmの粒度が約90体積%で5〜50μmの粒子
は殆ど0%であった(図1)。
【図1】このカレールウを使って実施例1と同様にカレ
ーを調理した。
【0029】実施例1と比較例1により得られたカレー
ルウの風味と30℃における保存性について評価した。
それらを表1に纏めた。
【0030】
【表1】
【0031】但し、表1の注1で示される評価は一般細
菌数が300(個/g)以下、かび酵母数が0(個/
g)、注2で示される評価は一般細菌数が410(個/
g)以下、かび酵母数が0(個/g)、注3で示される
評価は一般細菌数が300(個/g)以下、かび酵母数
が0(個/g)、注4で示される評価は一般細菌数が3
00(個/g)以下、かび酵母数が0(個/g)検出さ
れたことであった。
【0032】次に、実施例1及び比較例1により得られ
たカレールウの匂い立ちの評価を、匂いセンサーを用い
て測定した。その結果を図2に示す。
【図2】
【0033】(実施例2)コーンオイル99部、ショ糖
エルカ酸エステル(三菱化成食品(株)製、ER−29
0)1部を油相とし70℃5分間加熱溶解後TKミキサ
ー(特殊機化(株)製)を用い60℃にて上記溶解物を
2000rpmで攪拌した。葡萄糖30部、水溶性風味
物質としてミルクペースト(稲畑香料(株)製)40
部、安定剤としてジェランガム(三栄源FFI製、食品
用ケルコガム)0.1部及び水29.9部を内水相とし
これを90℃5分間加熱溶解させ60℃に冷却後上記攪
拌中の油相2部(重量比)に対して内水相1部を徐々に
加えた。添加完了後10000rpm5分間攪拌し油中
水型乳化物を得た。別途これは通電性がない、つまり油
中水型乳化物であることを確認した。上記内水相の水分
活性は0.89であった。他方、コーンペースト50
部、グラニュ糖17部、食塩8部、乳製品9部、乳糖5
部、粉末調味料5部、オニオンエキス3部、ビーフエキ
ス2.9部、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化成食
品(株)製、S−1670)0.1部を卓上プロペラ式
攪拌機で十分混合後110℃1分間殺菌し室温まで冷却
してこれを外水相とした。次に、外水相6部を60℃T
Kミキサー2000rpmで攪拌し、これに上記油中水
型乳化物1部を同じく60℃で徐々に添加して水中油中
水型複合乳化物を得た。別途、これは通電性のあるこ
と、つまり水中油中水型複合乳化物であることを確認し
た。得られた水中油中水型複合乳化物100部に未だα
化していない減菌処理したタピオカ澱粉20部及び香料
1部を加えてペースト状コーンスープルウを得た。この
ペースト状スープの油中水型乳化物の粒子の粒度分布の
中心粒度は19.8μmであり、5から50μmの粒子
が約90体積%を占めていた。ここで粒度は粒度分布計
(堀場製作所(株)製、LA−700)により測定し
た。次に、上記スープルウ20gに熱湯150mlを注
ぎよくかき混ぜた。これにより調理したコーンスープを
得た。
【0034】(比較例2)コーンペースト46.9部、
グラニュ糖16.0部、乳製品8.4部、食塩7.5
部、乳糖4.7部、粉末調味料4.7部、オニオンエキ
ス2.8部、ビーフエキス2.7部、ミルクペースト
2.1部、葡萄糖1.6部及び水1.6部を卓上プロペ
ラ式攪拌機で十分混合後110℃1分間殺菌し70℃で
親水性乳化剤としてポリグリセリンエステルの一種であ
るデカグリセリンモノオレート(理研ビタミン(株)
製、ポエムJ−0381)1.0部を添加し溶解させこ
れを水相としてTKミキサーで60℃2000rpmで
攪拌した。上記攪拌中の水相10部に対して油相(コー
ンオイル)1部を60℃で徐々に加えた。添加完了後1
0000rpm5分間攪拌し水中油型乳化物を得た。別
途、これは通電性のあること、つまり水中油型乳化物で
あることを確認した。得られた水中油型乳化物100部
に室温で末だα化していない減菌処理したコーンスター
チ20部及び香料1部を加えペースト状コーンスープル
ウを得た。このペースト状スープの油相の粒子の粒度分
布の中心粒度は2.21μmであり、0.5から5μm
の粒度が約90体積%で5〜50μmの粒子は約3%で
あった。ここで粒度は粒度分布計(堀場製作所(株)
製、LA−700)により測定した。次に、上記スープ
ルウ20gに熱湯150mlを注ぎよくかき混ぜた。こ
れにより調理したコーンスープを得た。
【0035】実施例2と比較例2により得られたコーン
スープの風味と30℃における保存性について評価し
た。その結果、匂い立ち、風味及び色調については実施
例1と比較例1の結果である表1と全く同じであった。
微生物は注1から注4に該当寸る菌数で一般細菌数はい
ずれも300(個/g)以下、黴・酵母数は0(個/
g)であった。油の分離では実施例2の3ヵ月で若干の
油浸がみられたが比較例2ではなかった。
【0036】(実施例3)コーンオイル97部、ショ糖
エルカ酸エステル(三菱化成食品(株)製、ER−29
0)3部を油相とし70℃5分間加熱溶解後TKミキサ
ー(特殊機化(株)製)を用い60℃にて上記溶解物を
2000rpmで攪拌した。葡萄糖30部、水溶性風味
物質としてアップル濃縮ペースト(稲畑香料(株)製)
45部、ワイン濃縮ペースト(稲畑香料(株)製)10
部、安定剤としてジェランガム(三栄源FFI製、食品
用ケルコガム)0.3部、乳酸カルシウム0.1部及び
水14.6部を内水相としこれを80℃10分間加熱溶
解させ60℃に冷却後上記攪拌中の油相2部(重量比)
に対して内水相1部を徐々に加えた。添加完了後100
00rpm5分間攪拌し油中水型乳化物を得た。別途こ
れは通電性がない、つまり油中水型乳化物であることを
確認した。上記内水相の水分活性は0.78でpHは
3.8であった。他方、トマトペースト25部、グラニ
ュ糖24部、食塩15部、粉末調味料11部、脱脂粉乳
6部、ドミグラソース7部、野菜ペースト5部、香辛料
0.9部、ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化成食品
(株)製、S−1670)0.1部及び水6部を卓上プ
ロペラ式攪拌機で十分混合後110℃1分間殺菌し室温
まで冷却してこれを外水相とした。次に、外水相5部を
60℃TKミキサー2000rpmで攪拌し、これに上
記油中水型乳化物3部を同じく60℃で徐々に添加して
水中油中水型複合乳化物を得た。別途、これは通電性の
あること、つまり水中油中水型複合乳化物であることを
確認した。得られた水中油中水型複合乳化物100部に
未だα化していない減菌処理したコーンスターチ20部
を加えてペースト状ハヤシルウを得た。このペースト状
ハヤシルウの油中水型乳化物の粒子の粒度分布の中心粒
度は20.2μmであり、5から50μmの粒子が約8
5体積%を占めていた。ここで粒度は粒度分布計(堀場
製作所(株)製、LA−700)により測定した。
【0037】(比較例3)トマトペースト20.6部、
グラニュ糖19.8部、食塩12.4部、粉末調味料
9.1部、アップル濃縮ペースト7.5部、脱脂粉乳
4.9部、葡萄糖4.9部、野菜ペースト4.1部、ド
ミグラソース5.7部、ワイン濃縮ペースト1.6部、
香辛料0.7部及び水7.5部を卓上プロペラ式攪拌機
で十分混合後110℃1分間殺閑し70℃で親水性乳化
剤としてポリグリセリンエステルの一種であるデカグリ
セリンモノオレート(理研ビタミン(株)製、ポエムJ
−0381)1.2部を添加し溶解させこれを水相とし
てTKミキサーで60℃2000rpmで攪拌した。上
記攪拌中の水相6部に対して油相(コーンオイル)2部
を60℃で徐々に加えた。添加完了後10000rpm
5分間攪拌し水中油型乳化物を得た。別途、これは通電
性のあること、つまり水中油型乳化物であることを確認
した。得られた水中油型乳化物100部に室温で未だα
化していない滅菌処理したコーンスターチ20部を加え
ペースト状ハヤシルウを得た。このペースト状ハヤシル
ウの油相の粒子の粒度分布の中心粒度は1.89μmで
あり、0.5から3μmの粒度が約90体積%で5〜5
0μmの粒子は殆ど0%であった。ここで粒度は粒度分
布計(堀場製作所(株)製、LA 700)により測定
した。
【0038】実施例3と比較例3により得られたハヤシ
ライスルウの風味と30℃における保存性について評価
した。その結果、匂い立ち、風味及び色調については実
施例1と比較例1の結果である表1と全く同じであっ
た。微生物は注1から注4に該当する菌数で一般細菌数
はいずれも300(個/g)以下、黴・酵母数は0(個
/g)であった。油の分離では実施例3の2ヵ月及び3
ヵ月で若干の油浸がみられたが比較例3では3ヵ月で油
浸がみられた。
【0039】(比較例4)コーンオイル99.5部、シ
ョ糖エルカ酸エステル(三菱化成食品(株)製、ER−
290)0.5部を油相として実施例1と同様に処理し
た。この乳化物は検鏡の結果、水中油中水型複合乳化物
となっているのはごく一部で大部分は水中油型乳化物で
あった。この乳化物100部に未だα化していない減菌
処理したコーンスターチ20部及び香料2部を加えてペ
ースト状カレールウを得た。得られたルウを匂いセンサ
ーで匂いの強度と持続性を測定した。図3に記載のごと
く100℃までの匂い強度は実施例1よりかなり劣り1
00℃での匂いの持続性はあるものの強度は非常に劣る
ものであった。
【図3】
【0040】(比較例5)コーンオイル93部、ショ糖
エルカ酸エステル(三菱化成食品(株)製、ER−29
0)7部を油相として実施例1と同様に処理した。得ら
れた乳化物は検鏡の結果、すべて水中油中水型複合乳化
物となっていた。この乳化物100部に未だα化してい
ない減菌処理したコーンスターチ20部及び香料2部を
加えてペースト状カレールウを得た。得られたルウを匂
いセンサーで匂いの強度と持続性を測定した。図3に記
載のごとく100℃までの匂い強度は実施例1より非常
に劣り100℃での匂いの持続性はあるものの強度はか
なり劣るものであった。
【0041】(比較例6)外水相を60℃TKミキサー
500rpmで攪拌し徐々に油中水型乳化物を添加する
以外は実施例1と同様に行いペースト状カレールウを得
た。このペースト状カレールウ油中水型乳化物の粒子の
粒度分布の中心粒度は47.9μmであり、5から50
μmの体積%は46%であった。このルウは調製直後よ
りルウ表面に油浸がみられ保存期間1ヵ月後にはルウ表
面にかなりの油分の分離層が生じ明らかに乳化不良であ
った。
【0042】(比較例7)外水相を60℃で卓上プロペ
ラ式攪拌機で攪拌し徐々に油中水型乳化物を添加後この
混合物をホモゲナイザー圧50kg/平方cmで均質化
する以外は実施例1と同様に行いペースト状カレールウ
を得た。このペースト状カレールウ油中水型乳化物の粒
子の粒度分布の中心粒度は1.20μmであり、0.5
から3.5μmの体積%は95%であり、5から50μ
mの体積%は約1.0%であった。このルウは油中水型
乳化物の粒子が微細で乳化が良好であった。しかし、調
理時の乳化が壊れる際、当初の白っぽい色調から黒っぽ
い色調に大きく変わり良くなかった。
【0043】
【効果】本発明により、調理したものにとろみをつける
ためβ状澱粉を含むルウにおいて、30℃で3ヵ月保持
したあとも微生物に汚染されず、油の分離もなく、且
つ、上記保持する前後を問わずそのルウを使って調理し
たものにそのルウに含まれる水溶性風味物質の匂い立ち
と風味を際立たせることができた。特に、内水相の水分
活性とpHを調整することにより、従来め技術では微生
物汚染の恐れがあるため配合できなかった耐熱性のない
水溶性風味原料や水溶性色素をルウの内水相の中に配合
し、その匂い立ちと風味等を際立たせることができた。
又、水中油中水型乳化物中の油中水型乳化物の粒度分布
を調整することにより、水中油中水型乳化物の乳化を壊
れ難くした。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1により得られたカレール
ウの油相の粒子の粒度分布を示す図である。
【図2】実施例1及び比較例1により得られたカレール
ウの匂い立ちを匂いセンサーを用いて測定した結果を示
す図である。
【図3】比較例4により得られたカレールウの匂い立ち
を匂いセンサーを用いて測定した結果を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料中のすべての水溶性風味物質又はそ
    の含水液状物を内水相に、原料中のすべてのβ状澱粉を
    外水相に、それぞれ混入したものを使って水中油中水型
    複合乳化物としたことを特徴とする水性ペースト状ル
    ウ。
  2. 【請求項2】 油相にHLB3以下のショ糖エルカ酸エ
    ステルを油相中1〜5%含むことを特徴とする請求項1
    に記載の水性ペースト状ルウ。
  3. 【請求項3】 原料中のすべての非耐熱性水溶性風味物
    質及び必要に応じてすべての非耐熱性水溶性色素並びに
    それらの含水液状物を内水相に、原料中のすべてのβ状
    澱粉を外水相に、それぞれ混入したものを使い、内水相
    の水分活性を0.79以下及び又はpH3.8以下に調
    整して水中油中水型複合乳化物としたことを特徴とする
    水性ペースト状ルウ。
  4. 【請求項4】 水中油中水型乳化物のうち、油相粒子の
    平均粒度が10〜30μm、且つ、5〜50μmのもの
    が70vol/vol%以上であることを特徴とする請
    求項1又は3に記載の水性ペースト状ルウ。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003219844A (ja) * 2002-01-31 2003-08-05 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ルー及びその製造方法、並びに該ルーを用いた食品
JP2014060977A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 House Foods Group Inc 容器入り液状又はペースト状食品組成物
JP2014060960A (ja) * 2012-09-21 2014-04-10 House Foods Group Inc 容器入り冷凍食品組成物
JP2019216608A (ja) * 2018-06-15 2019-12-26 ハウス食品株式会社 容器入り液状又はペースト状食品組成物とその製造方法
JP2020162498A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 ハウス食品株式会社 濃縮調味料組成物
JP2022018407A (ja) * 2020-07-15 2022-01-27 ハウス食品株式会社 乳加工品及びその製造方法並びにそれを利用したルウの製造方法

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