JP2510830Y2 - 穀物乾燥機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、穀物の流れと同一方向に沿い均等量宛連続
状をなしながら並流する乾燥熱風により大容量の穀物を
効率よく均等に乾燥せしめることができる穀物乾燥機に
関する。

［従来の技術］ 先に本出願人は、前後方向に長い乾燥機本体内の左右
両側対向位置に、熱風送風室と排塵風室を設け、上記熱
風送風室と排塵風室との間には、上段より下段に向け、
一端が熱風送風室と直交するように接続され、下端に噴
出窓を開口した複数列の熱風噴出ダクトと、下端を開放
し熱風噴出ダクトと並行に配設された複数列の熱風誘導
ダクトと、横長方向に沿い複数列に亘り配設した山形多
孔仕切壁により形成された複数列の交差流下繰出し室
と、排塵風室に接続した取出し室とを順次立体的に配設
して、穀物の流れと同一方向に向け並流する乾燥熱風
を、穀物が複数列の熱風噴出ダクトにより前後方向に分
けられながら、乾燥通路に沿い竪流下される過程と交差
流下繰出し室内を左右方向に分けられながら竪流下され
る過程および取出し室内を流下する過程において夫々均
等に浴びせて３段乾燥を有効的に行なうことができる穀
物乾燥機を特願昭63-249417号として出願した。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、先に開発した穀物乾燥機で大容量の穀物を
乾燥するものでは、乾燥機本体の左右幅長さが大きくな
る関係で、熱風噴出ダクトの長さも必然的に大きくな
る。

しかして、この種型式の穀物乾燥機においては、起風
された乾燥熱風は熱風噴出ダクトの下端に開口された噴
出窓から排塵風室側の負圧作用により熱風噴出ダクト内
に吸引されるため、噴出窓から下向きに噴出される乾燥
熱風は熱風送風室側に近い程その噴出圧が大きく、噴出
窓全長に亘り均一量の乾燥熱風を穀物の流れと同一方向
に向け並流するよう噴出させることができなくなり、そ
の結果、乾燥機本体内を竪流下する穀物を均一乾燥する
ことができない許りか、穀物乾燥作業時に排塵風室内
は、低温度の排塵風の流通作用により冷やされて低温状
態となり、排塵風室内の側壁にかなりの温度差が生じ、
その結果、乾燥機本体内に充填された滞熱状態の穀物を
循環流動させた場合には、乾燥機本体の排塵風室の側壁
内面に結露が発生し、この位置における穀物の流下速度
が著しく減退される許りか、結露現象が大きいときには
穀物が流動しなくなる事態を起し、熱風送風室側に面し
た穀物のみが流動する流動ムラを発生させ、穀物を均一
に乾燥させることができないという問題点を有してい
た。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的とするところは、熱
風送風室内で起成された乾燥熱風を排塵風室側の負圧作
用で熱風噴出ダクト内に吸引された乾燥熱風の一部を環
流室内に環流するように導入させることにより、熱風噴
出ダクト全長に行き亘らせてその噴風窓全長に亘り均等
量宛穀物の流れと同一方向に向け並流するように噴出せ
しめて穀物を均等に乾燥せしめるとともに、排塵風室の
上段に区画形成した熱風環流室内にも熱風噴出ダクトよ
り乾燥熱風を環流するように導入されることにより、排
塵風室側壁内面に結露が発生するのを防止し、何時でも
滞熱状態の穀物が全体に亘り均一な流下速度をもって乾
燥機本体内を循環流動ができるようにし、もって、均一
な乾燥穀物を得ることができる穀物乾燥機を提供しよう
とするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案における穀物乾燥
機は、前後方向に長い乾燥機本体内の下半部で左右両側
対向位置に、上部より下部に向け順次幅長さを大きくし
た熱風送風室と、仕切壁とにより上下段にそれぞれ区画
形成された熱風環流室と排塵風室とを設け、前記熱風送
風室と熱風環流室との間には両側が夫々熱風送風室およ
び熱風環流室と熱風導入通路および熱風通路を介し接続
した複数列の熱風噴出ダクトを乾燥通路を介し縦設する
とともに、前記熱風噴出ダクトの下端には下向きに乾燥
熱風を噴出する噴出窓を開口してなるものである。

［作用］ 穀物乾燥作業の開始に当り、所定量の穀物を乾燥機本
体内に充填する。次いで、充填された穀物を乾燥機本体
内を循環流動せしめるとともに排塵風室内を負圧状態な
らしめると同時に熱風送風室内に乾燥熱風を発生させ
る。

さすれば、前記負圧作用が複数列の熱風噴出ダクトと
の下端に開口した噴出窓に及び、前記乾燥熱風を夫々の
熱風噴出ダクト内へ吸引した後、噴出窓全長より穀物の
流下方向と同一方向に並流するよう乾燥通路中を下向き
に噴出し穀物に浴びせられ乾燥せしめる。

ところで、上述の如き循環乾燥作業中においては、排
塵風室内の負圧作用で夫々の熱風噴出ダクト内に吸引さ
れた乾燥熱風の一部は熱風通路より排塵風室の上段に区
画形成された環流室内に入り、排塵風室側の側壁を加温
しながら熱風噴出ダクト内に環流される作用を営む。

したがって、乾燥熱風は上述の如き作用で熱風噴出ダ
クト全長に行き亘ることとなり、乾燥熱風は噴出窓全長
により均等量宛穀物の流下方向と並流するように噴出せ
しめて循環流動する穀物を均一に乾燥せしめると同時
に、一部の乾燥熱風の環流による熱交換作用で排塵風室
側に面した側壁を昇温せしめ、排塵風室側の側壁内部に
温度差による結露現象の発生を未然に防止し、全体の穀
物を均一な流下速度をもって循環流動させ、均一な乾燥
穀物を能率的に得ることができる。

［実施例］ 実施例について図面を参照して説明する。

第１図ないし第３図において、１は、前後方向に長い
横長角筒状を呈する乾燥機本体であって、該乾燥機本体
１内部の下半部左右両側には、上部より下部に向け順次
幅長さを大きくした熱風送風室２と、上段が熱風環流室
４に、また下段が排塵風室３となるように仕切壁５で区
画された熱風環流室４と排塵風室３と対称的に配設す
る。

そして、上記熱風送風室２と熱風環流室４との間には
熱風導入路６および熱風通路７を介して両端を夫々熱風
送風室２および熱風環流室４に接続され、下端に乾燥熱
風を下向きに噴出させる噴出窓９を全長に亘り開口した
複数列からなる無孔状の熱風噴出ダクト８と、噴出窓９
より下向きに噴出した乾燥熱風を、その下段で、しかも
横長方向に沿い配設した複数列の交差流下繰出し室12へ
向け誘導流通せしめる熱風誘導ダクト10とを乾燥通路11
を介し千鳥足状となるよう左右方向に沿い立体的に重設
せしめてある。なお、上記熱風誘導ダクト10は両側を多
孔面とした山形状に形成せしめると同時に下端を開放せ
しめてある。また、前述した交差流下繰出し室12は横長
方向に沿い複数列に亘り配設した山形多孔仕切壁13によ
り構成されており、しかも、乾燥通路11の下端は交差流
下繰出し室12に接続せしめるとともに乾燥通路11の上端
は調質槽14に接続されている。

そのうえ、熱風誘導ダクト10および乾燥通路11の直下
に複数列の交差流下繰出し室12が形成されているため、
乾燥通路11において前後方向に分けられた穀物の流れを
乾燥通路11を通過した後、今度は左右方向に流れを変え
て交差流下せしめ、初期含水率の異なる穀物を効率よく
撹拌混合せしめると同時に穀物の流動性を向上させて、
穀物の乾燥ムラおよび流下ムラを無くして均一に乾燥さ
せることができる。

前記山形多孔仕切壁13の各谷部には横長方向に沿って
繰出し口11が開口されており、この繰出し口15位置には
間欠回転される繰出しロール16が回転自在に軸架されて
いる。

交差流下繰出し室12の直下には、乾燥に供された以降
の排熱風や乾燥穀物を収容するための取出し室17が中央
に向け斜設された左右一対の主流穀板18,18により形成
されており、前記取出し室17の最低位置に横設した搬出
樋19内には乾燥穀物を乾燥機本体１の一側に付設した昇
降機20の下部に搬送するための搬送スクリュー21が回転
自在に収蔵軸架されている。

また、上記一方の主流穀板18の下部には、基端側を搬
出樋19に装着した副流穀板22が主流穀板18との間に排塵
通路23が形成されるよう配設して、排塵風室３と取出し
室17とを接続せしめる。

熱風送風室２の前面側および排塵風室３の後面側に
は、内部にバーナ25を収蔵したバーナ装置24を、また熱
風送風室２の排塵風室３の後面側には、内部に吸引排風
機27を回転自在に収蔵した吸引排風装置26を夫々装着せ
しめて、バーナ装置24と熱風送風室２を、また、吸引排
風装置26と排塵風室３とを夫々接続せしめる。

したがって、熱風送風室２内において起成された乾燥
熱風は排塵風室３側の負圧作用で熱風導入路６を経て熱
風噴出ダクト８内に入り、次いで熱風通路７より熱風環
流室４に入って環流された後、再び熱風噴出ダクト８に
入った後、噴出窓９より吸引噴出されるので、噴出窓９
全長に亘り略均等量の乾燥熱風を下向きに噴出せしめ、
熱風噴出ダクト８が長くても温度ムラの発生を防止しな
がら穀物を均一に乾燥することができる許りか、熱風環
流室４内に乾燥熱風が流通されるため、排塵風室３側の
側壁を熱交換作用で昇温せしめ、温度差による結露現像
の発生を未然に防止し、全体の穀物を均一な流下速度を
もって循環流動させ、均一な乾燥穀物を能率的に得るこ
とができる。

［考案の効果］ 本考案は、上述のとおりに構成されているので、次に
記載する効果を奏する。

熱風送風室内で起成された乾燥熱風を排塵風室側の負
圧作用で熱風噴出ダクト内に吸引された乾燥熱風の一部
を環流室内に環流するように導入させることにより、熱
風噴出ダクト全長に行き亘らせてその噴風窓全長に亘り
均等量宛穀物の流れと同一方向に向け並流するように噴
出せしめて穀物を均等に乾燥せしめることができるとと
もに、排塵風室の上段に区画形成した熱風環流室内にも
熱風噴出ダクトより乾燥熱風を環流するように導入され
ることにより、排塵風室側壁内面に結露が発生するのを
防止し、何時でも滞熱状態の穀物が全体に亘り均一な流
下速度をもって乾燥機本体内を循環流動ができるように
して、均一な乾燥穀物を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は穀物乾燥機の縦断正面図、第２図は要部を破断
した第１図の側面図、第３図は一部を切欠した要部の拡
大側斜視図である。 １……乾燥機本体、２……熱風送風室、３……排塵風
室、４……熱風環流室、６……熱風導入通路、７……熱
風通路、８……熱風噴出ダクト、９……噴出窓、11……
乾燥通路

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前後方向に長い乾燥機本体内の下半部で左
   右両側対向位置に、上部より下部に向け順次幅長さを大
   きくした熱風送風室と、仕切壁により上下段にそれぞれ
   区画形成された熱風環流室と排塵風室とを設け、前記熱
   風送風室と熱風環流室との間には両側が夫々熱風送風室
   および熱風環流室と熱風導入通路および熱風通路を介し
   接続した複数列の熱風噴出ダクトを乾燥通路を介し縦設
   するとともに、前記熱風噴出ダクトの下端には下向きに
   乾燥熱風を噴出する噴出窓を開口した穀物乾燥機。