JPH0789992A - 免疫原性人工ポリペプチド - Google Patents
免疫原性人工ポリペプチドInfo
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- JPH0789992A JPH0789992A JP6070194A JP7019494A JPH0789992A JP H0789992 A JPH0789992 A JP H0789992A JP 6070194 A JP6070194 A JP 6070194A JP 7019494 A JP7019494 A JP 7019494A JP H0789992 A JPH0789992 A JP H0789992A
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Abstract
として使用できる抗原部位ポリペプチド、及びそれをコ
ードする遺伝子を提供する。 【構成】 ヒトインフルエンザA型ウイルスのヘマグル
チニン分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有し、ヘ
マグルチニン分子中の球状部領域が欠失した免疫原性人
工ポリペプチド。該免疫原性人工ポリペプチドをコード
する遺伝子。前記ウイルスの例には、H1N1、H2N
2、及びH3N2サブタイプがあり、それぞれの幹領域
と実質上同一の抗原性を有するポリペプチドが提供され
る。また、これら免疫原性人工ポリペプチドは、前記ヘ
マグルチニン分子のプロテアーゼ処理物から分離するこ
ともできる。 【効果】 球状部領域の変化に起因する抗原性変化の影
響を受けない。
Description
ウイルスのヘマグルチニン分子中の幹領域に対する抗体
が認識する抗原部位を含有するポリペプチド及び該ポリ
ペプチドをコードする遺伝子に関する。
(A、B及びC)があり、インフルエンザの世界的な流
行を起こし、多くの死者がでるのはA型のヒトインフル
エンザウイルスによるものである。インフルエンザA型
ウイルスは更にウイルス表面タンパク質であるヘマグル
チニン( haemagglutinin:以下、HAと略す)及びノイ
ラミニダーゼ(以下、NAと略す)の抗原性により多く
のサブタイプに分類され、ヒトインフルエンザA型ウイ
ルスとしてはH1N1サブクラス、H2N2サブクラ
ス、H3N2サブクラスの3種が現在知られている。こ
のインフルエンザA型ウイルスのHAは、球状部領域(
head region ) と幹領域( stem region ) という二つの
構造の異なった領域で構成され、球状部領域は、ウイル
スが標的細胞に結合するための受容体結合部位を含みH
Aの血球凝集活性に関与し、一方、幹領域は、ウイルス
のエンベロープと細胞のエンドソーム膜間の膜融合に必
要な融合ペプチドを含み、融合活性に関与している〔ウ
イリー( Wiley ) ら、アニュアル レビュー オブ バ
イオケミストリー( Ann. Rev.Biochem. )、第56巻、
第365〜394頁(1987)〕。H1N1サブタイ
プ、H2N2サブタイプを認識する抗HA抗体として従
来取得された抗HA抗体は、そのすべてがHAの球状部
領域を認識するものである。しかし、この領域は最も抗
原変異が起こり易い部位であり、それ故、これらの抗体
はヒトインフルエンザA型ウイルスのサブタイプに共通
に反応するものでなく、また、ウイルスのHAの抗原変
化に伴い、認識性を消失するものである。一方、グリー
ン( Green ) らは、H3N2サブタイプの1種のHAの
幹領域のアミノ酸配列より、ポリペプチドを合成し、こ
のポリペプチドに対する抗体を取得しているが、これら
の抗体はウイルスの中和活性が弱く(特表昭59−50
1714号公報)、また抗原として使用したポリペプチ
ド自体も、H3N2サブタイプで免疫して得たウサギ抗
ウイルス血清に反応を示さず、抗原性の点でも問題があ
った〔セル( Cell )、第28巻、第477〜487頁
(1982)〕。インフルエンザA型ウイルスのHAは
プロテアーゼによって1ヵ所切断されることによって、
ウイルスの感染性が活性化されるが、該プロテアーゼ切
断後の大きい方のポリペプチドをHA1、小さい方がH
A2と呼ばれている。このうちHA2はインフルエンザ
A型ウイルスのサブタイプによる抗原変異が少ないとい
われている。グラーテ H.(Glathe H.)らは、東独国
特許出願公開第228737号公報において、ウイルス
粒子を酸処理後にトリプシン処理するか、又は還元剤処
理のみを行ってHA2を取出したと記載している。しか
しながら、これらの操作でHA分子は立体構造が破壊さ
れて不可逆的な変性状態となり、得られるHA2は本来
の立体構造を持たないものとなっている。しかも、前記
公報には、得られたものについてワクチンとしての有効
性を具体的に確認した点について開示がない。
型ウイルスは周期的にHAとNAの型を変えて大流行を
引起こし、インフルエンザの流行期である冬期前にワク
チン接種を受けても、別の型のウイルスによるインフル
エンザが流行するためワクチンの効果が期待できないこ
とが多い。しかし、HA分子やNA分子中の、ウイルス
のサブタイプに共通で、抗原変異の生じ難い抗原部位を
得ることができれば、この抗原部位はワクチンとして有
用となる。本発明の目的は、インフルエンザA型ウイル
スのサブタイプに認識性を有する抗体が認識し、ワクチ
ンとしても使用できる抗原部位ポリペプチド、及び該ポ
リペプチドをコードする遺伝子を提供することにある。
発明の第1の発明はヒトインフルエンザA型ウイルスの
HA分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有し、HA
分子中の球状部領域が欠失した免疫原性人工ポリペプチ
ドに関する。また本発明の第2の発明は、上記本発明の
第1の発明の免疫原性人工ポリペプチドをコードする遺
伝子に関する。
ルエンザA型ウイルスのH1N1サブタイプ及びH2N
2サブタイプのHA分子中のそれぞれの幹領域に、共通
に保存された抗原部位を含有するポリペプチド、及びH
3N2サブタイプのHA分子中の幹領域に、共通に保存
された抗原部位を含有するポリペプチドがワクチンとし
て極めて有用であることを見出し、該ポリペプチドの遺
伝子工学的製造に有用な、該ポリペプチドをコードする
遺伝子を創製し、本発明を完成した。
ルスのHA分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有
し、HA分子中の球状部領域が欠失した免疫原性ポリペ
プチドとしては、タンパク質工学的にHA分子の球状部
領域を欠失させたポリペプチドが代表的なものである
が、HA分子をコードする遺伝子より、球状部領域を特
異的に削除して得られる本発明の遺伝子を用いて発現さ
れるポリペプチドでも良い。更に、これらのポリペプチ
ドは、HA分子中の幹領域を特異的に認識する抗体が認
識する立体構造を有していれば良く、その一部が削除さ
れていても、また、他のアミノ酸配列が付加されていて
も良い。また、タンパク質工学的製造や、遺伝子工学的
製造時において、部分的にプロテアーゼ消化されていて
も良い。すなわち、本発明において、HA分子中の幹領
域と実質上同一の抗原性を有するとは、HA分子の幹領
域においてワクチンとして有効に使用可能なHA1部分
及びHA2部分の両方の抗原性を有していればよいこと
を意味する。それ故、既述のグラーテ H.らの得たも
ののように、変性して本来の立体構造の破壊されたHA
2のみからなるポリペプチドは含まない。本発明におい
て、ワクチン用に最も有効な免疫原性人工ポリペプチド
の例としては下記のものが挙げられる。 (1)分子内に少なくとも配列表の配列番号1で表され
るTGLRNポリペプチド配列と、配列表の配列番号2
で表されるGITNKVNSVIEKポリペプチド配列を有し、該両
配列の立体配置がH1N1サブタイプ及びH2N2サブ
タイプのヘマグルチニン分子中の幹領域と実質上同一の
抗原性を有することを特徴とする免疫原性人工ポリペプ
チド。 (2)分子内に少なくとも配列表の配列番号3で表され
るTGMRNポリペプチド配列と、配列表の配列番号4
で表されるQINGKLNR(L/V)IEKポリペプチド配列
を有し、該両配列の立体配置がH3N2サブタイプのヘ
マグルチニン分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有
することを特徴とする免疫原性人工ポリペプチド。 (3)ヒトインフルエンザA型ウイルスのヘマグルチニ
ン分子のプロテアーゼ処理物より分離してなることを特
徴とする本発明の第1の発明の免疫原性人工ポリペプチ
ド。
1サブタイプ及びH2N2サブタイプのHA分子幹領域
中の共通部位を認識し、該ウイルスを中和する抗体は、
モノクローナル抗体として、次の様に調製することがで
きる。例えばマウス、モルモット、ウサギのような、ほ
乳動物を下記抗原で免疫する。抗原としては次のような
物質を使用することができる。
プより選択されるウイルス粒子を使用することができ
る。H1N1サブタイプとしては例えばA/Bangkok /
10/83、A/Yamagata/120/86、A/Osaka
/930/88、A/Suita /1/89(以上、大阪大
学微生物病研究所保存株)、A/PR/8/34〔イン
フルエンザ(H1N1)、ATCC VR−95〕、A
1/FM/1/47〔インフルエンザA(H1N1)、
ATCC VR−97〕、A/New Jersey/8/76
〔インフルエンザA(H1N1)、ATCCVR−89
7〕、A/NWS/33〔インフルエンザA(H1N
1)、ATCCVR−219〕、A/Weiss /43〔イ
ンフルエンザA(H1N1)、ATCCVR−96〕、
A/WS/33〔インフルエンザA(H1N1)、AT
CC VR−825〕がある。H2N2サブタイプとし
ては例えばA/Okuda /57、A/Adachi/2/57、
A/Kumamoto/1/65、A/Kaizuka /2/65、A
/Izumi /5/65(以上、大阪大学微生物病研究所保
存株)、A2/Japan /305/57〔インフルエンザ
A(H2N2)、ATCC VR−100〕がある。あ
るいはこれらのウイルスから得られるHA分子、若しく
は遺伝子組換え技術を用いて調製されるHAポリペプチ
ド、若しくは本発明の抗体の認識部位、すなわちHA分
子中の幹領域の抗原部位を分子内に含有する組換えポリ
ペプチド、又はHA分子中の幹領域の抗原部位を分子内
に含有する合成ポリペプチドで免疫することができる。
えばマウスのミエローマ細胞と融合させ、得られるハイ
ブリドーマから、下記(A)〜(C)の性質を有する抗
体を産生する細胞を選択し、該細胞を培養することによ
って調製することができる。 (A)上述の各H1N1サブタイプ及びH2N2サブタ
イプのウイルスに結合性及び中和活性を有する。 (B)H3N2サブタイプのウイルス、例えばA/Fuku
oka /C29/85、A/Sichuan /2/87、A/Ib
araki /1/90、A/Suita /1/90、A/Kitaky
ushu/159/93(以上、大阪大学微生物病研究所保
存株)、A/PortChalmers /1/73〔インフルエン
ザA(H3N2)、ATCC VR−810〕、A2/
Aichi /2/68〔インフルエンザA、ATCC VR
−547〕、及びB型のウイルス、例えばB/Nagasaki
/1/87(大阪大学微生物病研究所保存株)、B/Al
len /45〔インフルエンザB、ATCC VR−10
2〕には結合性及び中和活性を有さない。 (C)H1N1サブタイプ及びH2N2サブタイプのH
A分子は認識するが、HA分子中の球状部領域が関与す
る血球凝集活性は阻害せず、HA分子中の幹領域が関与
する膜融合活性は阻害する。
ーチャー( Nature )、第256巻、第495〜497頁
(1975)を基に行う。免疫用マウスとしては、Balb
/c系マウス、Balb/c系マウスと他系マウスとのF1
マウスなどが用いられる。免疫はマウス1匹に対して、
例えばウイルス粒子(100〜1000HA単位)を抗
原として用い、2〜5月間に例えば3回行う。なおマウ
スの飼育及び脾臓細胞の採取は常法に従う。
14(ATCC CRL1581)、p3×63Ag8
U.1(ATCC CRL1597)、p3×63Ag
8(ATCC TIB9)、p3×63−Ag8.65
3(ATCC CRL1580)等が好適に用いられ
る。脾臓細胞とミエローマ細胞は1:1〜10:1の割
合で混合し、融合はNaCl(約0.85%)、ジメチル
スルホキシド〔10〜20%(v/v)〕及び分子量1
000〜6000のポリエチレングリコールを含有する
リン酸緩衝液(pH7.2〜7.4)中で、両細胞の混合物
を35〜37℃で1〜5分間保温することによって行
う。融合細胞の選択は、HAT培地を用い、生育してく
る細胞として選択する。融合細胞のクローン化は限界希
釈法にて少なくとも3回繰返して行う。
して培養すれば、その結果培地中に本発明の抗体を得る
ことができる。また該ハイブリドーマをプリスタン処理
のヌードマウス、又はBalb/cマウスの腹腔内に移植し
て増殖させることにより腹水中に本発明の抗体を蓄積さ
せることができる。すなわち、これらのマウス腹腔内に
プリスタン0.5〜1mgを接種し、その後2〜3週目に腹
腔に5×106 〜1×107 個のハイブリドーマを移植
する。通常7〜10日後に腹水が蓄積し、これを採取す
る。培養物及び腹水中のモノクローナル抗体は通常の手
段で精製される。
ブタイプ及びH2N2サブタイプのHA分子の幹領域を
認識し、該ウイルスの膜融合活性を阻害することによ
り、該ウイルスを中和し、詳細には以下の性状を有して
いる。
プ及びH2N2サブタイプでそれぞれ感染したMDCK
細胞(ATCC CCL34)を認識し、H3N2サブ
タイプで感染したMDCK細胞は認識しない。染色試験
は4種類の抗体(本発明のモノクローナル抗体、ウサギ
抗マウスイムノグロブリンG血清、ヤギ抗ウサギイムノ
グロブリンG血清、ペルオキシダーゼ−ウサギ抗ペルオ
キシダーゼ複合体)を用い、ジャーナル オブ クリニ
カル ミクロバイオロジー(J.Clin. Microbiol ) 、
第28巻、第1308〜1313頁(1990)に記載
の方法に準じ行う。
イプ及びH2N2サブタイプのHA分子を認識し、H3
N2サブタイプのHA分子は認識しない。
ブタイプ、H2N2サブタイプ、H3N2サブタイプの
それぞれの血球凝集活性を阻害しない。
より特定される、H1N1サブタイプ及びH2N2サブ
タイプのHA分子中の幹領域に特有の共通保存領域を認
識し、H3N2サブタイプのHA分子中の幹領域に特有
の共通保存領域は認識しない。
様に行う。ウイルス粒子でMDCK細胞を感染させ、翌
日感染細胞を集め、グアニジンイソチオシアネートを用
い、細胞中よりウイルスRNAを抽出する。次に、H1
N1、H2N2、H3N2各サブタイプの(−)鎖RN
Aの3′末端に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオ
チドプライマー、例えば配列表の配列番号5で表される
プライマー5を調製し、該プライマーを用いてcDNA
を合成する。該cDNAの増幅を行うため、H1N1、
H2N2、H3N2各サブタイプの(+)鎖RNAの
3′末端に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチド
プライマー、例えば配列表の配列番号6で表されるプラ
イマー6を調製し、該プライマーとプライマー5を用い
て、cDNAをPCR( Polymerase chain reaction )
法により、効率よく増幅することができる。増幅DNA
中の約1.7kbp のHA遺伝子をアガロースゲル電気泳動
で分離後、例えばプライマー5、6を用いセカンドPC
Rを行い、増幅DNAを、20%(w/v)ポリエチレ
ングリコール6000/2.5M NaClを用い遠心分
離し、沈殿精製画分を得る。次に、ウイルスの各サブク
ラスのHA遺伝子配列より選択したシークエンスプライ
マーを調製し、該プライマーを〔γ−32P〕ATPで標
識した後、該標識プライマーと、前出の精製画分をアニ
ーリングさせ、サーマルサイクラーを利用したジデオキ
シ法〔バイオテクニクス( BioTechniques ) 、第9巻、
第66〜72頁(1990)〕にて塩基配列を決定す
る。
れ表されるプライマー7〜14はH1N1サブタイプ用
のシークエンスプライマーであり、配列表の配列番号1
5〜23でそれぞれ表されるプライマー15〜23はH
2N2サブタイプ用のシークエンスプライマーであり、
配列表の配列番号24〜26でそれぞれ表されるプライ
マー24〜26はH3N2サブタイプ用のシークエンス
プライマーである。なお、PCR用プライマーとしてプ
ライマー9、13を使用し、シークエンスプライマーと
してプライマー11、12を使用することにより、H1
N1サブタイプのHA分子の幹領域をコードする遺伝子
の一部が効率よく増幅され、解析される。また、PCR
用プライマーとしてプライマー17、21を使用し、シ
ークエンスプライマーとしてプライマー19、20を使
用することによって、H2N2サブタイプのHA分子の
幹領域をコードする遺伝子の一部が効率よく増幅され、
解析される。更に、PCR用プライマーとしてプライマ
ー24、26を使用し、シークエンスプライマーとして
プライマー25、26を使用することによって、H3N
2サブタイプのHA分子の幹領域をコードする遺伝子の
一部が効率よく増幅され、解析される。
保存領域としては、本発明者らが見出した、H1N1サ
ブタイプ及びH2N2サブタイプのHA分子中の幹領域
の配列表の配列番号1で表されるTGLRNポリペプチ
ド配列と配列表の配列番号2で表されるGITNKVNSVIEKポ
リペプチド配列がある。図1にHA分子の三次構造の模
式図〔ウィリー( Wiley )ら、ネーチャー、第289
巻、第373〜378頁(1981)〕、及びH1N1
サブタイプ、H2N2サブタイプ間のHA分子中の共通
保存領域の位置を示す。図中A領域、B領域で示す両ポ
リペプチド配列は、図1に示す様にHA分子の幹領域の
中央で互に近接して位置しており、抗体の一例のHybrid
oma C179〔FERM BP−4517)の生産する
モノクローナル抗体C179は、該HA分子中の幹領域
の配列表の配列番号1で表されるTGLRNポリペプチ
ド配列と配列表の配列番号2で表されるGITNKVNSVIEKポ
リペプチド配列とを認識する。
ブタイプ及びH2N2サブタイプのプラーク形成能又は
フォーカス形成能を阻害し、H3N2サブタイプのプラ
ーク形成能、又はフォーカス形成能は阻害しない。中和
活性試験は前出のジャーナルオブ クリニカル ミクロ
バイオロジー記載のプラークリダクション中和試験又は
インフルエンザウイルス迅速フォーカスリダクション中
和試験で行う。すなわち、抗体とウイルスとを混合し、
一定時間保温した後、MDCK細胞に感染させ、プラー
ク又はフォーカスの出現の減少より、中和能を判定す
る。
ブタイプ及びH2N2サブタイプの膜融合活性を阻害
し、H3N2サブタイプの膜融合活性は阻害しない。融
合活性試験はネーチャー、第300巻、第658〜65
9頁(1982)記載の方法に準じ行う。すなわちCV
−1細胞(ATCC CCL70)にウイルスを感染さ
せた後、抗体処理を行い、ポリカリオン形成の有無で融
合活性阻害能を判定した。
の幹領域に結合し、H1N1サブタイプ及びH2N2サ
ブタイプの膜融合活性を阻害し、該ウイルス株の感染力
を強力に中和する。したがって、H1N1サブタイプ及
びH2N2サブタイプのHA分子中の幹領域に結合し、
H1N1サブタイプ及びH2N2サブタイプの膜融合活
性を阻害し、該ウイルスの感染力を強力に中和する抗体
(以下、C179型抗体と略す)を誘導するポリペプチ
ドはインフルエンザ用のワクチンとして使用することが
できる。すなわち、H1N1サブタイプ及びH2N2サ
ブタイプのHA分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を
有し、C179型抗体を誘導するポリペプチドを免疫原
として用いれば、H1N1サブタイプ及びH2N2サブ
タイプのインフルエンザの流行を予防、治療することが
できる。該免疫原性ポリペプチドとしては、H1N1サ
ブタイプ、H2N2サブタイプより調製されるHA分
子、遺伝子組換え技術により調製されるHAポリペプチ
ドも使用できるが、抗原決定基となりやすく、かつ抗原
変異の生じやすいHA分子中の球状部領域を欠失させ
た、HA分子中の幹領域を構成成分とするポリペプチド
(以下、幹領域ポリペプチドと略す)は、C179型抗
体を特異的に誘導する免疫原性ポリペプチドとして特に
有効である。
Aポリペプチドの球状部領域を酵素学的に限定分解、除
去し、得ることができる。例えばH1N1サブタイプ又
はH2N2サブタイプのウイルス粒子より精製したHA
分子を、プロテアーゼで限定分解することにより、該幹
領域ポリペプチドを調製することができる。またウイル
ス粒子、ウイルス粒子を不活性化して得られるスプリッ
トワクチン、ウイルス粒子を界面活性剤で処理した抽出
物をそれぞれプロテアーゼで処理し、該幹領域ポリペプ
チドを調製、使用しても良い。
の幹領域の抗原性を欠失することなく、球状部領域を分
解できるプロティナーゼが望ましい。本発明で使用でき
るプロティナーゼとしては、トリティラチウム アルバ
ム(Tritirachium album) の産生するアルカリ性プロテ
ィナーゼであるプロティナーゼK(EC3.4.21.
14)、(ベーリンガー社製)が1例として挙げられ
る。このプロティナーゼKと同等の結果を示すプロティ
ナーゼを用いて、本発明の幹領域ポリペプチドを調製す
ることができる。なお、プロティナーゼとペプチダーゼ
を組合せ、プロティナーゼ処理後に、ペプチダーゼ処理
をしても良い。またHA分子は溶液中で強固な3量体を
とるため、プロテアーゼ消化を受け難く、そのためHA
分子をグアニジン塩酸、尿素等の変性剤の存在下でHA
分子のプロテアーゼ処理を行うことにより、効率よくH
A分子のプロテアーゼ処理を行うことができる。変性剤
の濃度としては、目的の幹領域ポリペプチドの不可逆的
変性が生じず、かつプロテアーゼも作用する濃度であれ
ば良い。変性剤として尿素を使用する場合は、0.1〜8
Mの範囲、好ましくは1〜3Mの尿素の存在下でプロテ
アーゼ消化を行えば良い。プロテアーゼ処理は、セファ
ロース等の樹脂にプロテアーゼを固定化した樹脂を用い
て行うこともでき、反応終了後、遠心分離により簡便に
プロテアーゼ固定化樹脂を除去することができる。反応
液中の変性剤、低分子物は透析処理により除去すること
ができ、HA分子のプロテアーゼ処理物を調製すること
ができる。HA分子のプロテアーゼ処理物の分子量はゲ
ル電気泳動を行うことにより測定することができる。
との結合性、プロテアーゼ処理物の血球凝集活性を測定
することにより、目的の幹領域ポリペプチドの確認を行
うことができる。プロテアーゼ処理によって得られる幹
領域ポリペプチドとはHA分子中の幹領域と実質上同一
の抗原性(C179型抗体への結合性)を有し、球状部
領域の生物活性(血球凝集活性)の欠失したポリペプチ
ドであり、HA分子中のHA1の幹領域由来のポリペプ
チド部分とHA2由来のポリペプチド部分で構成されて
いる。この点において、前述のHA2由来のポリペプチ
ドで構成されるグラーテ H.らのワクチンと本質的に
異なる。
り、天然のHA分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を
有し、HA分子中の球状部領域が欠失したポリペプチド
を調製し、使用しても良い。例えばH1N1サブタイプ
又はH2N2サブタイプのウイルスのRNAより、HA
遺伝子を調製し、該遺伝子中の球状部領域をコードする
部位を制限酵素により切断、除去した後、ベクターに組
込み、動物細胞、例えばCV−1細胞で発現させること
によって、目的のポリペプチドを得ることができる。ま
た、HA遺伝子をベクターに組込んだ後、PCR法によ
り、HA遺伝子中の球状部領域をコードする部位を選択
的に欠失させることもでき、該遺伝子を含有するベクタ
ーを用い、動物細胞、例えばCV−1細胞で幹領域ポリ
ペプチドを発現させることによって、目的のポリペプチ
ドを得ることができる。これらの幹領域ポリペプチドの
抗原性はC179型抗体の結合性により確認することが
できる。幹領域ポリペプチドとしては、分子内にH1N
1サブタイプ及びH2N2サブタイプのHA分子中の幹
領域中の共通保存領域を有し、C179型抗体を誘導で
きるものであれば良い。共通保存領域を有する幹領域ポ
リペプチドとしては、例えば分子内に配列表の配列番号
1で表されるTGLRNポリペプチド配列及び配列表の
配列番号2で表されるGITNKVNSVIEKポリペプチド配列を
有し、該配列の立体配置が天然のHA分子中の、これら
の配列と実質上同一の抗原性を有する立体配置であるポ
リペプチドを調製し、使用しても良い。なお、幹領域ポ
リペプチドとしては、その免疫原性に影響の無い範囲で
アミノ酸の欠失、置換、挿入、転置、付加又は再配置さ
れたものでも良く、例えば幹領域ポリペプチドのC末端
部位及び/又はN末端部位ポリペプチドの一部が欠失し
たものでも良く、また、HA分子のシグナルペプチド
や、球状部領域の一部が付加されたものでも良い。
2サブタイプのHA分子幹領域中の共通部位を特異的に
認識する抗体は、モノクローナル抗体として、次の様に
調製することができる。例えばマウス、モルモット、ウ
サギのような、ほ乳動物を下記抗原で免疫する。抗原と
しては次の様な物質を使用することができる。H3N2
サブタイプより選択されるウイルス粒子を使用すること
ができる。あるいはこれらのウイルスから得られるHA
分子、若しくは遺伝子組換え技術を用いて調製されるH
Aポリペプチド、若しくは本発明の抗体の認識部位、す
なわちHA分子中の幹領域の抗原部位を分子内に含有す
る組換えポリペプチド、又はHA分子中の幹領域の抗原
部位を分子内に含有する合成ポリペプチドで免疫するこ
とができる。
例えばマウスのミエローマ細胞と融合させ、得られるハ
イブリドーマから、下記(D)〜(F)の性質を有する
抗体を産生する細胞を選択し、該細胞を培養することに
よって調製することができる。 (D)H3N2のサブタイプウイルスに結合性を有す
る。 (E)H1N1サブタイプ及びH2N2サブタイプのウ
イルスに結合性を有さない。 (F)H3N2サブタイプのHA分子は認識するが、H
A分子中の球状部領域が関与する血球凝集活性は阻害し
ない。
ブタイプのHA分子の幹領域を認識し、詳細には以下の
性状を有している。
プで感染したMDCK細胞(ATCCCCL34)を認
識し、H1N1サブタイプ及びH2N2サブタイプで感
染したMDCK細胞は認識しない。
イプのHA分子を認識し、H1N1サブタイプ及びH2
N2サブタイプのHA分子は認識しない。
ブタイプ、H2N2サブタイプ、H3N2サブタイプの
それぞれの血球凝集活性を阻害しない。
より特定される、H3N2サブタイプのHA分子中の幹
領域に特有の共通保存領域を認識し、H1N1サブタイ
プ及びH2N2サブタイプのHA分子中の幹領域に特有
の共通保存領域は認識しない。
存領域としては、本発明者らが見出した、H3N2サブ
タイプのHA分子中の幹領域の配列表の配列番号3で表
されるTGMRNポリペプチド配列と配列表の配列番号
4で表されるQINGKLNR(L/V)IEKポリペプチド配
列がある。図2にHA分子中の三次構造の模式図〔前出
ウィリーら〕、及びH3N2サブタイプのHA分子中の
共通保存領域の位置を示す。図中A′領域、B′領域で
示す両ポリペプチド配列は、図2に示す様にHA分子中
の幹領域の中央で互に近接して位置しており、抗体の一
例のHybridomaAI3C(FERM BP−4516)
の生産するモノクローナル抗体AI3Cは、該HA分子
中の幹領域の配列表の配列番号3で表されるTGMRN
ポリペプチド配列と配列表の配列番号4で表されるQING
KLNR(L/V)IEKポリペプチド配列とを認識する。
領域に特有の共通保存領域を特異的に認識する抗体(以
下、AI3C型抗体と略す)を誘導するポリペプチドは
インフルエンザ用のワクチンとして使用することができ
る。すなわち、H3N2サブタイプのHA分子中の幹領
域と実質上同一の抗原性を有し、AI3C型抗体を誘導
するポリペプチドを免疫原として用いれば、H3N2サ
ブタイプのインフルエンザの流行を予防、治療すること
ができる。該免疫原性ポリペプチドとしては、H3N2
サブタイプより調製されるHA分子、遺伝子組換え技術
により調製されるHAポリペプチドを使用できるが、抗
原決定基となりやすく、かつ抗原変異の生じやすいHA
分子の球状部領域を欠失させたHA分子の幹領域を構成
成分とする幹領域ポリペプチドは、AI3C型抗体を特
異的に誘導する免疫原性ポリペプチドとして特に有効で
ある。
Aポリペプチドの球状部領域を酵素学的に限定分解、除
去し、得ることができる。例えばH3N2サブタイプの
ウイルス粒子より精製したHA分子を、プロテアーゼで
限定分解することにより、該幹領域ポリペプチドを調製
することができる。またウイルス粒子、ウイルス粒子を
不活性化して得られるスプリットワクチン、ウイルス粒
子を界面活性剤で処理した抽出物をそれぞれプロテアー
ゼで処理し、該幹領域ポリペプチドを調製、使用しても
良い。使用するプロテアーゼとしては、HA分子中の幹
領域の抗原性を欠失することなく、球状部領域を分解で
きるプロティナーゼが望ましい。本発明で使用できるプ
ロティナーゼとしては前述のプロティナーゼKが一例と
して挙げられる。このプロティナーゼKと同等の結果を
示すプロティナーゼを用いて、本発明の幹領域ポリペプ
チドを調製することができる。なお、プロティナーゼと
ペプチダーゼを組合せ、プロティナーゼ処理後に、ペプ
チダーゼ処理をしても良い。またHA分子は溶液中で強
固な3量体をとるため、プロテアーゼ消化を受け難く、
そのためHA分子をグアニジン塩酸、尿素等の変性剤の
存在下でHA分子のプロテアーゼ処理を行うことによ
り、効率よくHA分子のプロテアーゼ処理を行うことが
できる。変性剤の濃度としては、目的の幹領域ポリペプ
チドの不可逆的変性が生じず、かつプロテアーゼも作用
する濃度であれば良い。変性剤として尿素を使用する場
合は、0.1〜8Mの範囲、好ましくは1〜3Mの尿素の
存在下でプロテアーゼ消化を行えば良い。プロテアーゼ
処理は、セファロース等の樹脂にプロテアーゼを固定化
した樹脂を用いて行うこともでき、反応終了後、遠心分
離により簡便にプロテアーゼ固定化樹脂を除去すること
ができる。反応液中の変性剤、低分子物は透析処理によ
り除去することができ、HA分子のプロテアーゼ処理物
を調製することができる。HA分子のプロテアーゼ処理
物の分子量はゲル電気泳動を行うことにより測定するこ
とができる。
との結合性、プロテアーゼ処理物の血球凝集活性を測定
することにより、目的の幹領域ポリペプチドの確認を行
うことができる。プロテアーゼ処理によって得られる幹
領域ポリペプチドとはHA分子中の幹領域と実質上同一
の抗原性(AI3C型抗体への結合性)を有し、球状部
領域の生物活性(血球凝集活性)の欠失したポリペプチ
ドであり、HA分子中のHA1の幹領域由来のポリペプ
チド部分と、HA2由来のポリペプチド部分で構成され
ている。
り、天然のHA分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を
有し、HA分子中の球状部領域が欠失したポリペプチド
を調製し、使用しても良い。例えばH3N2サブタイプ
のウイルスのRNAより、HA遺伝子を調製し、該遺伝
子中の球状部領域をコードする部位を制限酵素により切
断、除去した後、ベクターに組込み、動物細胞、例えば
CV−1細胞で発現させることによって、目的のポリペ
プチドを得ることができる。また、HA遺伝子をベクタ
ーに組込んだ後、PCR法により、HA遺伝子中の球状
部領域をコードする部位を選択的に欠失させることもで
き、該遺伝子を含有するベクターを用い、動物細胞、例
えばCV−1細胞で幹領域ポリペプチドを発現させるこ
とによって、目的のポリペプチドを得ることができる。
これらの幹領域ポリペプチドの抗原性はAI3C型抗体
の結合性により確認することができる。
3N2サブタイプのHA分子の幹領域中の共通保存領域
を有し、AI3C型抗体を誘導できるものであれば良
い。共通保存領域を有する幹領域ポリペプチドとして
は、例えば分子内に配列表の配列番号3で表されるTG
MRNポリペプチド配列及び配列表の配列番号4で表さ
れるQINGKLNR(L/V)IEKポリペプチド配列を有
し、該配列の立体配置が天然のHA分子中の、これらの
配列と実質上同一の抗原性を有する立体配置であるポリ
ペプチドを調製し、使用しても良い。なお、幹領域ポリ
ペプチドとしては、その免疫原性に影響の無い範囲でア
ミノ酸の欠失、置換、挿入、転置、付加又は再配置され
たものでも良く、例えば幹領域ポリペプチドのC末端部
位及び/又はN末端部位ポリペプチドの一部が欠失した
ものでも良く、また、HA分子のシグナルペプチドや、
球状部領域の一部が付加されたものでも良い。
用する場合、適当なキャリアーを選択すれば、その抗原
性を上昇させることができる。キャリアーとしては例え
ばアルブミン、ポリアミノ酸等を用いれば良い。本発明
のワクチンは従来の能動免疫方式で投与され得、すなわ
ち投与調剤に適合可能な方法で、予防、治療に有効で免
疫原性を有する量を1回又は頻数回投与される。またワ
クチンは通常の製剤化を行えば良く、また、免疫応答を
向上するためのアジュバンドを含んでいても良い。投与
されるポリペプチドの投与量は、使用するワクチンの性
質、製剤中の濃度、投与経路等に依存するが、通常成人
に対して1μg〜100mg、好ましくは10μg〜10
mgを投与すれば良い。
ウイルス抗体につき参考例により説明する。 参考例A 1.ウイルスの調製 H1N1サブタイプとしてA/PR/8/34、A/Ba
ngkok /10/83、A/Yamagata/120/86、A
/Osaka /930/88、A/Suita /1/89、Al
/FM/1/47を用いた。H2N2サブタイプとして
A/Okuda /57、A/Adachi/2/57、A/Kumamo
to/1/65、A/Kaizuka /2/65、A/Izumi /
5/65を用いた。H3N2サブタイプとしてA2/Ai
chi /2/68、A/Fukuoka /C29/85、A/Si
chuan /2/87、A/Ibaraki/1/90、A/Suita
/1/90、A/Kitakyushu/159/93を用い
た。B型ウイルスとしてB/Nagasaki/1/87を用い
た。それぞれのウイルスを11日齢の発育鶏卵の尿膜腔
内に接種し、34℃で4日間培養後、各ウイルスを採取
した。
ルス(320HA単位)をフロイント完全アジュバント
に使用前に懸濁し、1か月間隔で、Balb/cマウス腹腔
内注射により、2度免疫し、その1か月後に、同抗原
(320HA単位)のPBS懸濁液を用い腹腔内注射し
ブーストした。その3日後に、マウスより脾臓を摘出
し、脾細胞を調製した。マウスミエローマとしてはp3
×63Ag8を10%牛胎児血清添加DME培地で継代
後2日間培養したものを、細胞融合前に生理食塩水で洗
浄し、調製した。次に脾細胞とミエローマ細胞を細胞数
1:5の割合で混合し、遠心分離して上清を除き、沈殿
した細胞塊を充分ほぐした後、かくはんしながら、1ml
の混合液〔ポリエチレングリコール−4000(2
g)、MEM(2ml)、ジメチルスルホキシド〕に加
え、5分間37℃に保温した後、液の全量が10mlにな
るようにゆっくりMEMを加えた。次に、遠心分離後、
上清を除き、ゆるやかに細胞をほぐした。これに正常培
地〔PRMI−1640に牛胎児血清10%を加えたも
の〕30mlを加え、メスピペットを用いてゆるやかに細
胞を懸濁した。
5%のCO2 を含む培養器中で、37℃で24時間培養
した。次にHAT培地を加え、10〜14日間培養し
た。続いて培養上清の一部を採り、ハイブリドーマのス
クリーニングを行った。
タイプ間で交さ反応するモノクローナル抗体を得るため
に、希釈していない、上記培養上清を1次抗体として用
い、3種のサブタイプ(H1N1、H2N2、H3N
2)のそれぞれに感染したMDCK細胞の染色試験を行
った。染色試験は前出のジャーナル オブ クリニカル
ミクロバイオロジーに記載の方法に準じて行った。すな
わち96穴マイクロタイタープレート(ファルコン30
72:ベクトン ディキンソン社製)上で、ヒトインフ
ルエンザA型ウイルスの各サブタイプ株(H1N1:A
/yamagata/120/86、H2N2:A/Okuda /5
7、H3N2:A/Fukuoka /C29/85)に感染さ
せたMDCK細胞を、PBS(pH7.4)で洗浄後、無
水エタノールで室温下、10分間固定した。次にこれら
の細胞を4種類の抗体〔モノクローナル抗体を含有する
前記培養上清、ウサギ抗マウスイムノグロブリンG血清
(オルガノテクニカ社製)の1000倍希釈液、ヤギ抗
ウサギイムノグロブリンG血清(オルガノテクニカ社
製)の500倍希釈液、ペルオキシダーゼ−ウサギ抗ペ
ルオキシダーゼ複合体(オルガノテクニカ社製)の10
00倍希釈液〕で連続的に、40分間ずつ反応させ、処
理細胞をPBSで洗浄した。最後にペルオキシダーゼ反
応を、0.01%のH2 O2 と0.3mg/mlの3,3′−ジ
アミノベンジジン四塩酸のPBS溶液を用い、グラハ
ム、カルノフスキー( Graham、Karnovsky )の方法〔ジ
ャーナル オブ ヒストケミストリー アンド サイト
ケミストリー(J.Histochem. Cytochem. )、第14
巻、第291〜302頁(1966)〕で行った。染色
された細胞は通常の光学顕微鏡で観察し、H1N1サブ
タイプ感染のMDCK細胞及びH2N2サブタイプ感染
のMDCK細胞をそれぞれ認識する抗体を選抜した。次
に該抗体産生の確認された細胞が増殖している穴の細胞
を取り出し、限界希釈法を3回行い、目的の細胞をクロ
ーニングし、クローニングされたハイブリドーマ株をHy
bridoma C179、該ハイブリドーマが産生するモノク
ローナル抗体をモノクローナル抗体C179と命名し
た。
C179と表示して、工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM BP−4517として寄託されている。
に上記ハイブリドーマ株を5×106個/匹マウスの腹
腔内に投与した。10〜21日後に、腹水ガンが誘発さ
れたマウスから腹水を採り、3000rpm /5分の遠心
処理により固型成分を除去し、腹水液を調製した。腹水
液1ml中には約5mgのモノクローナル抗体C179(以
下、単にC179と略す)が含有されていた。C179
はプロテインA−セファロース4B(ファルマシア社
製)で精製され、IgG2aタイプの抗体であった。
釈液を段階希釈し、参考例A−2−(2)記載の染色試
験を行い、C179の抗原認識性を検討した。H1N1
サブタイプとしてはA/PR/8/34、A/Bangkok
/10/83、A/Yamagata/120/86、A/Osak
a /930/88、A/Suita /1/89、A1/FM
/1/47、H2N2サブタイプとしてはA/Okuda /
57、A/Adachi/2/57、A/Kumamoto/1/6
5、A/Kaizuka /2/65、A/Izumi /5/65、
H3N2サブタイプとしてA/Aichi /2/68、A/
Fukuoka /C29/85、A/Sichuan /2/87、A
/Ibaraki /1/90、A/Suita /1/90、A/Ki
takyushu/159/93、更にインフルエンザB型ウイ
ルスとしてB/Nagasaki/1/87を用いた。C179
はすべてのH1N1サブタイプ及びH2N2サブタイプ
を認識し、H3N2サブタイプ、B型ウイルスは認識し
なかった。
ルエンザウイルス迅速フォーカスリダクション中和試験
を、アーカイブズ オブ ビロロジー( Arch. Virol.
)、第86巻、第129〜135頁(1985)、ミク
ロバイオロジー アンド イムノロジー( Microbiol. I
mmunol. ) 、第29巻、第327〜335頁(198
5)に準じて行った。抗体としては参考例A−2−
(3)の腹水液を用い、該抗体は使用前に3倍容のレセ
プター分解酵素(RDE:武田薬品工業社製)溶液を加
え、37℃、18時間反応後、56℃、45分間の加熱
処理でRDEを失活させ、最終的に腹水液の16倍希釈
液として調製し、被検液とし、次の様に測定を行った。
K細胞を104 個/穴、分注し、翌日、前記抗体(16
倍希釈液)の4段階希釈液と、30フォーカス形成単位
/穴に調製した参考例A−3−(1)記載のそれぞれの
ウイルス液を等量混合し、37℃で1時間保温した。次
にこの混合液の25μlを、前記MDCK細胞の入った
マイクロタイタプレートの各穴に分注し、30分間、3
7℃で保温した。次に各穴中の溶液を除去し、PBSで
各穴を洗浄し、次に0.5%トラガカンスガム(和光純
薬)及び5μg/mlのトリプシンを含有するMEMを添
加した。37℃で20〜24時間、保温後、添加液を除
去し、各穴をPBSで洗浄後、細胞を、室温下、無水エ
タノールで10分間処理し、細胞を固定した。次に乾燥
し、参考例A−2−(2)記載の染色試験に準じ、細胞
の染色を行った。染色後、細胞を水道水で洗浄し、乾燥
後、光学顕微鏡下、染色されたフォーカス数を、計測し
た。
及びH2N2サブタイプのフォーカス形成を阻害し、強
いウイルス中和活性を示し、一方、H3N2サブタイ
プ、B型ウイルスのフォーカス形成には影響を与えなか
った。また、プラークリダクション中和試験においても
同様な結果を示した。
次の様に行った。参考例A−3−(2)と同様にRDE
処理した抗体(32倍希釈液)を用い、段階希釈液を調
製し、次に参考例A−3−(1)記載の各ウイルス(1
6HA単位)と混合し、室温で30分間反応させた。そ
の後、ニワトリ赤血球を加えよく混和し、各ウイルスの
血球凝集活性に及ぼす抗体の影響を検討した。C179
はすべてのサブタイプのウイルスの血球凝集活性に影響
を与えなかった。
ーチャー、第300巻、第658〜659頁(198
2)の方法を改変し行った。すなわち、CV−1細胞の
モノレーヤー培養物に、参考例A−3−(1)記載の各
ウイルス株をそれぞれ感染させた。24時間後に、細胞
をDMEMで2回洗浄し、次にトリプシン添加(10μ
g/ml)のDMEM中で15分間、37℃で保温した。
次に細胞をDMEMで2度洗浄後、参考例A−2−
(3)の腹水液のDMEM希釈液を添加し、37℃で3
0分間保温した。その後、細胞を、pH5.0に調整した
融合培地(Na2 CO3無添加のPRMI、0.2%ウシ
血清アルブミン、10mM MES、10mM HEPE
S)にて、37℃、2分間処理し、続いて、DMEMで
2回洗浄し、融合培地を除去した後、2%ウシ胎児血清
を含むDMEMで37℃、3時間保温した。次に、無水
メタノールで細胞を固定し、ギムザ染色した後、光学顕
微鏡でポリカリオン形成の有無を判定した。C179
は、すべてのH1N1サブタイプ及びH2N2サブタイ
プのポリカリオン形成を阻止し、H3N2サブタイプ及
びB型ウイルスのポリカリオン形成は阻止しなかった。
2N2サブタイプを特異的に認識し、ウイルスの膜融合
を阻害し、中和活性を示す抗体であった。これらの結果
を表1に示す。
液の希釈倍数であり、染色力価は染色試験で細胞を染色
可能な該腹水液の最大希釈倍数、中和活性においては対
照の抗体無添加区のフォーカス数の半分まで、フォーカ
スの出現を抑制可能な該腹水液の最大希釈倍数を示す。
また+はポリカリオン形成が1000倍希釈の該腹水液
の抗体溶液で完全に阻害されることを意味し、−は10
倍希釈の該腹水液を用いた時にも全く阻害がみられなか
ったことを意味する。また、32倍希釈の該腹水液を用
いてもHI活性は認められない。
を免疫沈降反応によって決定した。すなわち、H2N2
サブタイプのA/Okuda /57を30分間MDCK細胞
に吸着、感染させた後、培地中のメチオニンを10μCi
の「35S〕メチオニンで置換したMEMで24時間培養
し、感染細胞を標識した。次に該細胞を集め、次にRI
PA緩衝液〔50mMトリス(pH7.4)、150mM N
aCl、1mM EDTA、1%ノニデットP−40、1
%デオキシコール酸、0.1%SDS〕に再懸濁した。続
いて不溶物を遠心除去した後、上清を得た。次に該上清
をC179と混合し、1時間、4℃で保温した後、プロ
テインA−セファロースCL4Bビーズを添加し、室温
で2時間保持し、免疫沈降物をビーズに吸着させた。次
に該ビーズを集め、RIPA緩衝液で5回洗浄した後、
沸騰し、C179の結合タンパク質を遊離させた。次に
該タンパク質のSDS−12.5%ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動を行い、ゲルを固定し、1Mサリチル酸ナト
リウムに浸してから乾かし、オートラジオグラフィーを
行った。C179の結合する標識タンパク質は、その電
気泳動パターンより、A/Okuda /57のHA分子と同
定された。同様の試験をH1N1サブタイプ、他のH2
N2サブタイプ、H3N2サブタイプをそれぞれ用い行
った。C179はすべてのH1N1サブタイプ及びH2
N2サブタイプのHA分子と特異的に免疫沈降したが、
H3N2サブタイプのHA分子とは結合性を示さなかっ
た。
プ又はH2N2サブタイプで感染させたMDCK細胞を
培養し、C179に感受性を示さない抗原変異株を得
た。すなわち、親株としてH1N1サブタイプのA/Su
ita /1/89、H2N2サブタイプのA/Izumi /5
/65を用い、該ウイルスでそれぞれ感染させたMDC
K細胞をC179存在下で培養し、C179存在下でも
生育可能な変異株をそれぞれMDCK細胞のプラークよ
り純粋分離し、A/Suita /1/89の変異株をA/Su
ita /1/89(R)、A/Izumi /5/65の変異株
をA/Izumi /5/65(R)とそれぞれ命名した。こ
の2変異株は染色試験、中和試験で全くC179に反応
性を示さなかった。また、この変異株は両株とも、MD
CK細胞でのプラーク形成能も弱く、実験動物マウスに
は病原性を示さず、培養細胞でのみ生育可能な、弱感染
株であった。
に、HA分子をコードする遺伝子(以下HA遺伝子と略
す)の解析を行った。 (a)プライマーの合成:プライマー5〜プライマー2
6をDNA合成機を用いて合成し、脱保護の後、イオン
交換HPLC(TSKゲル、DEAE−2SWカラム)
で精製し、セプ−パク(Sep−pak)C18で脱塩
し、各DNA約50μgを得た。
MDCK細胞を集め、グアニジンイソチオシアネートを
加え注射器で5回注入、注出を繰返し細胞を溶解させ
た。溶解後の細胞抽出液を塩化セシウム溶液に重層し、
超遠心分離を行った。遠心チューブの底の沈殿を緩衝液
に溶解し、フェノール、クロロホルム処理をしたのちエ
タノール沈殿を行い、回収したRNAをウイルスゲノム
RNAのサンプルとした。次にプライマー5を用いてc
DNAを合成し、続いて、プライマー5、プライマー6
を用いてPCR法により、該合成cDNAの増幅を行っ
た。次に増幅cDNAをアガロースゲル電気泳動で分離
し、HA遺伝子に対応する1.7kbp のcDNAのバンド
を溶出した。このcDNAをプライマー5、6を用い、
PCR法により更に増幅し、増幅フラグメントを20%
(w/v)ポリエチレングリコール6000、2.5M
NaCl溶液を60%(v/v)加え遠心分離し、沈殿
精製画分を得た。
1N1サブタイプのシークエンシング用プライマー、プ
ライマー7〜14を用い、精製された遺伝子の塩基配列
を、前述バイオテクニクス記載のサーマルサイクラーを
利用したジデオキシ法で次の様に行った。すなわち、2
pmolのプライマーと1pmolの精製フラグメントを95
℃、3分間加熱し、急冷することによりアニーリングさ
せた。次にタックポリメラーゼを加え、デオキシヌクレ
オチドとジデオキシヌクレオチドを含む緩衝液中で72
℃、10分間保温し、ポリメラーゼ伸長反応を行った。
その後伸長反応を完全に行うため、サーマルサイクラー
の反応へと移した。サーマルサイクラーの条件は90
℃、1分間、55℃、2分間、72℃、3分間のサイク
ルを10回行った。次にサイクル終了物をホルムアミド
存在下で95℃3分間加熱した後氷中で急冷したものを
8%変性ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。泳動
後のゲルは乾燥させX線フィルムによる露光の後、塩基
配列を読み取ってゆき、配列表の配列番号27に示すH
A遺伝子全体の塩基配列を決定した。
遺伝子の塩基配列の解析を、参考例A−4−(3)−
(b)の方法に準じて行い、そのHA遺伝子全体の塩基
配列を決定し、親株のHA遺伝子との比較を行った。変
異株のHA遺伝子には3か所のヌクレオチド置換があっ
た。すなわち、配列表の配列番号27で示した親株のH
A遺伝子の塩基番号627番のGがAに、塩基番号73
6番のGがAに、塩基番号1018番のCがAにそれぞ
れ変異していた。HA分子はプロテアーゼによって1か
所切断されることによって、ウイルスの感染性が活性化
されるが、該プロテアーゼ切断後の大きい方のポリペプ
チドをHA1、小さい方がHA2と呼ばれている。そし
てこれら両ポリペプチドはS−S結合により結ばれてい
るが、今回の変異は、HA1の189、225及び31
8番目においてアミノ酸置換を伴うものであった。アミ
ノ酸残基189番及び225番は高度に可変な領域にあ
り、318番目の置換、Thr→Lys(ヌクレオチド
レベルではACA→AAA)が変異株のC179への無
反応性を担っていた。なお、本明細書におけるHA分子
のアミノ酸番号は、ウイルス( Virus ) 、第11巻、第
257〜266頁(1961)に記載のH3番号法に基
づく。
i /5/65(R)のそれぞれのHA遺伝子の塩基配列
の解析を、参考例A−4−(3)−(b)の方法に準
じ、ただし、H2N2サブタイプのシークエンシング用
プライマー、プライマー15〜23を用い行った。A/
Izumi /5/65のHA遺伝子の塩基配列を配列表の配
列番号28に示す。変異株のHA遺伝子には1か所のヌ
クレオチド置換があった。配列番号28で示した親株の
HA遺伝子の塩基番号1197番のTがAに変異してお
り、この変異はHA2の52番目においてアミノ酸置換
を伴うものであり、この52番目の置換、Val→Gl
u(ヌクレオチドレベルではGTA→GAA)が変異株
のC179の無反応性を担っていた。
/34、A/Bangkok /10/83、A/Yamagata/1
20/86、A/Osaka /930/88、H2N2サブ
タイプのA/Okuda /57、A/Adachi/2/57、A
/Kumamoto/1/65、A/Kaizuka /2/65、H3
N2サブタイプのA2/Aichi /2/68、A/Fukuok
a /C29/85、A/Sichuan /2/87、A/Ibar
aki /1/90、A/Suita /1/90のHA分子のH
A1の318番目付近のアミノ酸配列、HA2の52番
目付近のアミノ酸配列を特定するために、各HA遺伝子
の一部の塩基配列の解析を行った。
−4−(3)−(b)の方法に準じ各ウイルスのRNA
ゲノムのcDNAを合成し、このcDNAに対してプラ
イマー9、13を用いてPCR増幅を行った。得られた
DNA断片を鋳型としてプライマー11、12を用い、
サーマルサイクラーを利用したジデオキシ法にて塩基配
列を決定した。
(3)−(b)の方法に準じ各ウイルスのRNAゲノム
のcDNAを合成し、このcDNAに対してプライマー
17、21を用いてPCR増幅を行った。得られたDN
A断片を鋳型としてプライマー19、20を用い、同様
にジデオキシ法にて塩基配列を決定した。
(3)−(b)の方法に準じウイルスゲノムRNAに対
するcDNAを合成し、このcDNAに対してプライマ
ー24、26を用いPCR増幅を行った。得られたDN
A断片を鋳型としてプライマー25、26を用い、同様
にジデオキシ法にて塩基配列を決定した。
には、配列表の配列番号1で表されるHA1領域の31
8〜322番のTGLRNポリペプチド配列(A領
域)、及び配列表の配列番号2で表されるHA2領域の
47〜58番のGITNKVNSVIEKポリペプチド配列(B領
域)が保存されており、一方、H3N2サブタイプに
は、配列表の配列番号3で表されるHA1領域の318
〜322番のTGMRNポリペプチド配列(A′領域)
と、配列表の配列番号4で表されるHA2領域の47〜
58番のQINGKLNR(L/V)IEKポリペプチド配列
(B′領域)が保存されている。A領域とA′領域は1
アミノ酸が異なり、B領域とB′領域は5〜6アミノ酸
残基の差が認められる。この両領域の差が抗体の抗原認
識性の差であり、血清学的及び融合阻害試験において、
抗体がH3N2サブタイプと反応できなかった原因であ
る。
号1で表されるTGLRNポリペプチド配列とB領域の
配列表の配列番号2で表されるGITNKVNSVIEKポリペプチ
ド配列は、HA分子の幹領域の中央で互いに近接して位
置しており、C179は該両配列を認識しており、該部
位がC179のエピトープである。C179は、このH
A分子の幹領域に結合し、HA分子の膜融合機能を阻害
し、ウイルスを中和する。
7に示したA/Suita /1/89のHA遺伝子の塩基番
号1017〜1031がA領域をコードし、塩基番号1
191〜1226がB領域をコードしている。配列表の
配列番号29はA/PR/8/34のHA遺伝子の一部
を示し、その塩基番号76〜90はA領域をコードし、
その塩基番号250〜285はB領域をコードしてい
る。配列表の配列番号30はA/Bangkok /10/83
のHA遺伝子の一部を示し、その塩基番号76〜90は
A領域をコードし、その塩基番号250〜285はB領
域をコードしている。配列表の配列番号31はA/Yama
gata/120/86のHA遺伝子の一部を示し、その塩
基番号76〜90はA領域をコードし、その塩基番号2
50〜285はB領域をコードしている。配列表の配列
番号32はA/Osaka /930/88のHA遺伝子の一
部を示し、その塩基番号76〜90はA領域をコード
し、その塩基番号250〜285はB領域をコードして
いる。
8で示したA/Izumi /5/65のHA遺伝子の塩基番
号1007〜1021がA領域をコードし、塩基番号1
181〜1216がB領域をコードしている。配列表の
配列番号33はA/Okuda /57のHA遺伝子の一部を
示し、その塩基番号94〜108はA領域をコードし、
その塩基番号268〜303はB領域をコードしてい
る。配列表の配列番号34はA/Adachi/2/57のH
A遺伝子の一部を示し、その塩基番号103〜117は
A領域をコードし、その塩基番号277〜312はB領
域をコードしている。配列表の配列番号35はA/Kuma
moto/1/65のHA遺伝子の一部を示し、その塩基番
号104〜118はA領域をコードし、その塩基番号2
78〜313はB領域をコードしている。配列表の配列
番号36はA/Kaizuka /2/65のHA遺伝子の一部
を示し、その塩基番号88〜102はA領域をコード
し、その塩基番号262〜297はB領域をコードして
いる。
7はA2/Aichi /2/68、配列番号38はA/Fuku
oka /C29/85、配列番号39はA/Sichuan /2
/87、配列番号40はA/Ibaraki /1/90、配列
番号41はA/Suita /1/90のそれぞれのHA遺伝
子の一部を示し、それぞれの塩基番号84〜98はA′
領域をコードし、それぞれの塩基番号258〜293は
B′領域をコードしている。
79の予防効果を調べた。10匹のBalb/cマウスにC
179のPBS溶液(1mg/ml)1匹当り1mlずつ腹腔
内に投与した。1日後に1000倍希釈したH1N1サ
ブタイプのA1/FM/1/47(4000HA単位)
を25μlずつ鼻腔内接種した。対照として12匹のマ
ウスにはウイルスだけを接種した。
亡(5日後に2匹、6日後に5匹、8日後に1匹)し
た。また、他の生存マウスは著しく、衰弱していた。一
方、C179を投与したマウスは正常であり、14日を
経過しても、すべて元気であった。図3はC179の投
与群、非投与群の生存率を示す図であり、縦軸は生存
率、横軸はウイルス感染後の日数を表す。
ane /476/83、H6N6サブタイプとしてはA/
whistling swan/shimane /37/80、H7N7サブ
タイプとしてはA/turfted duck/shimane /124R
/80、H8N4サブタイプとしてはA/turky /Onta
rio /6118/68、H10N7サブタイプとしては
A/chicken /Germany " N "/49を用い、それぞれ
のウイルスを11日齢の発育鶏卵の尿膜腔内に接種し、
34℃で4日間培養後、各ウイルスを採取した。これら
のウイルス株はいずれも大阪大学微生物病研究所保存株
であり、A/chicken /Germany " N "/49のHA分
子には配列表の配列番号3、4でそれぞれ表されるアミ
ノ酸配列が保存されている。
のウイルス(320HA単位)をフロイント完全アジュ
バントに使用前に懸濁し、1か月間隔で、Balb/cマウ
ス腹腔内注射により、2度免疫し、その1か月後に、同
抗原(320HA単位)のPBS懸濁液を用い腹腔内注
射しブーストした。その3日後に、マウスより脾臓を摘
出し、脾細胞を調製した。マウスミエローマとしてはp
3×63Ag8を10%牛胎児血清添加DME培地で継
代後2日間培養したものを、細胞融合前に生理食塩水で
洗浄し、調製した。次に脾細胞とミエローマ細胞を細胞
数1:5の割合で混合し、遠心分離して上清を除き、沈
殿した細胞塊を充分ほぐした後、かくはんしながら、1
mlの混合液〔ポリエチレングリコール−4000(2
g)、MEM(2ml)、ジメチルスルホキシド〕に加
え、5分間37℃に保温した後、液の全量が10mlにな
るようにゆっくりMEMを加えた。次に、遠心分離後、
上清を除き、ゆるやかに細胞をほぐした。これに正常培
地〔PRMI−1640に牛胎児血清10%を加えたも
の〕30mlを加え、メスピペットを用いてゆるやかに細
胞を懸濁した。
5%のCO2 を含む培養器中で、37℃で24時間培養
した。次にHAT培地を加え、10〜14日間培養し
た。続いて培養上清の一部を採り、ハイブリドーマのス
クリーニングを行った。
N2タイプに保存されているA′領域、B′領域に反応
するモノクローナル抗体を得るために、希釈していな
い、上記培養上清を1次抗体として用い、3種のサブタ
イプ(H3N2、H10N7、H1N1)のそれぞれに
感染したMDCK細胞の染色試験を行った。染色試験は
参考例A−2−(2)に記載の方法に準じて行った。す
なわち96穴マイクロタイタープレート(ファルコン3
072:ベクトン ディキンソン社製)上で、ヒトイン
フルエンザA型ウイルスの各サブタイプ株(H3N2:
A2/Aichi /2/68、H10N7:A/chicken /
Germany " N "/49、H1N1:A/PR/8/3
4)に感染させたMDCK細胞を、PBS(pH7.4)
で洗浄後、無水エタノールで室温下、10分間固定し
た。次にこれらの細胞を4種類の抗体〔モノクローナル
抗体を含有する前記培養上清、ウサギ抗マウスイムノグ
ロブリンG血清(オルガノテクニカ社製)の1000倍
希釈液、ヤギ抗ウサギイムノグロブリンG血清(オルガ
ノテクニカ社製)の500倍希釈液、ペルオキシダーゼ
−ウサギ抗ペルオキシダーゼ複合体(オルガノテクニカ
社製)の1000倍希釈液〕で連続的に、40分間ずつ
反応させ、処理細胞をPBSで洗浄した。最後にペルオ
キシダーゼ反応を、0.01%のH2 O2 と0.3mg/mlの
3,3′−ジアミノベンジジン四塩酸のPBS溶液を用
い、グラハム、カルノフスキー( Graham、Karnovsky )
の方法で行った。染色された細胞は通常の光学顕微鏡で
観察し、H3N2サブタイプ感染のMDCK細胞及びH
10N7サブタイプ感染のMDCK細胞をそれぞれ認識
する抗体を選抜した。次に該抗体産生の確認された細胞
が増殖している穴の細胞を取り出し、限界希釈法を3回
行い、目的の細胞をクローニングし、クローニングされ
たハイブリドーマ株をHybridoma AI3C、該ハイブリ
ドーマが産生するモノクローナル抗体をモノクローナル
抗体AI3Cと命名した。なお、該モノクローナル抗体
AI3Cの製品名はモノクローナル抗体F49(宝酒造
社製)である。
I3Cと表示して、工業技術院生命工学工業技術研究所
に、FERM BP−4516として寄託されている。
に上記ハイブリドーマ株を5×106個/匹マウスの腹
腔内に投与した。10〜21日後に、腹水ガンが誘発さ
れたマウスから腹水を採り、3000rpm /5分の遠心
処理により固型成分を除去し、腹水液を調製した。腹水
液1ml中には約5mgのモノクローナル抗体AI3C(以
下、単にAI3Cと略す)が含有されていた。AI3C
はプロテインA−セファロース4B(ファルマシア社
製)で精製された。
釈液を段階希釈し、参考例A−2−(2)記載の染色試
験を行い、AI3Cの抗原認識性を検討した。H1N1
サブタイプとしてはA/PR/8/34、A/Bangkok
/10/83、A/Yamagata/120/86、A/Osak
a /930/88、A/Suita /1/89、A1/FM
/1/47、H2N2サブタイプとしてはA/Okuda /
57、A/Adachi/2/57、A/Kumamoto/1/6
5、A/Kaizuka /2/65、A/Izumi /5/65、
H3N2サブタイプとしてA/Aichi /2/68、A/
Fukuoka /C29/85、A/Sichuan /2/87、A
/Ibaraki /1/90、A/Suita /1/90、A/Ki
takyushu/159/93、更にインフルエンザB型ウイ
ルスとしてB/Nagasaki/1/87を用い、参考例B−
1記載のウイルスも用いた。AI3CはすべてのH3N
2サブタイプ及びA/chicken /German" N "/49を
認識し、他のサブタイプ、B型ウイルスは認識しなかっ
た。
次の様に行った。参考例A−3−(2)と同様にRDE
処理した抗体(32倍希釈液)を用い、段階希釈液を調
製し、次に参考例B−3−(1)、及び参考例B−1記
載の各ウイルス(16HA単位)と混合し、室温で30
分間反応させた。その後、ニワトリ赤血球を加えよく混
和し、各ウイルスの血球凝集活性に及ぼす抗体の影響を
検討した。AI3Cはすべてのサブタイプのウイルスの
血球凝集活性に影響を与えなかった。
を免疫沈降反応によって決定した。すなわち、H3N2
サブタイプのA/Aichi /2/68を30分間MDCK
細胞に吸着、感染させた後、培地中のメチオニンを10
μCiの「35S〕メチオニンで置換したMEMで24時間
培養し、感染細胞を標識した。次に該細胞を集め、次に
RIPA緩衝液〔50mMトリス(pH7.4)、150mM
NaCl、1mM EDTA、1%ノニデットP−4
0、1%デオキシコール酸、0.1%SDS〕に再懸濁し
た。続いて不溶物を遠心除去した後、上清を得た。次に
該上清をAI3Cと混合し、1時間、4℃で保温した
後、プロテインA−セファロースCL4Bビーズを添加
し、室温で2時間保持し、免疫沈降物をビーズに吸着さ
せた。次に該ビーズを集め、RIPA緩衝液で5回洗浄
した後、沸騰し、AI3Cの結合タンパク質を遊離させ
た。次に該タンパク質のSDS−12.5%ポリアクリル
アミドゲル電気泳動を行い、ゲルを固定し、1Mサリチ
ル酸ナトリウムに浸してから乾かし、オートラジオグラ
フィーを行った。AI3Cの結合する標識タンパク質
は、その電気泳動パターンより、A2/Aichi /2/6
8のHA分子と同定された。同様の試験をH1N1サブ
タイプ、H2N2サブタイプ、他のH3N2サブタイプ
及び参考例B−1記載のウイルスをそれぞれ用い行っ
た。AI3CはすべてのH3N2サブタイプ及びA/ch
icken /Germany " N "/49のHA分子と特異的に免
疫沈降したが、H1N1サブタイプ及びH2N2サブタ
イプのHA分子とは結合性を示さなかった。
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
鎖RNAの3′末端に相補的な配列を含有するオリゴヌ
クレオチドプライマー(プライマー27、プライマー2
8)、及び(+)鎖RNAの3′末端に相補的な配列を
含有するオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー2
9、プライマー30)をDNA合成機を用いて合成し、
脱保護の後、イオン交換HPLC(TSKゲル、DEA
E−2SWカラム)で精製し、セプ−パク(Sep−p
ak)C18で脱塩し、各DNA約50μgを得た。プ
ライマー27〜30のそれぞれの塩基配列を配列表の配
列番号42〜45に示す。
CK細胞を集め、グアニジンイソチオシアネートを加え
注射器で5回注入、注出を繰返し細胞を溶解させた。溶
解後の細胞抽出液を塩化セシウム溶液に重層し、超遠心
分離を行った。遠心チューブの底の沈殿を緩衝液に溶解
し、フェノール、クロロホルム処理をしたのちエタノー
ル沈殿を行い、回収したRNAをウイルスゲノムRNA
のサンプルとした。次にプライマー5を用いてcDNA
を合成し、続いて、プライマー27、プライマー29を
用いてPCR法により、該合成cDNAの増幅を行っ
た。次に増幅cDNAをアガロースゲル電気泳動で分離
し、HA遺伝子に対応する1.8kbp のcDNAのバンド
を溶出した。このcDNAをプライマー28、30を用
い、PCR法により更に増幅し、1.8kbp の2次増幅D
NAフラグメントを20%(w/v)ポリエチレングリ
コール6000、2.5M NaCl溶液を60%(v/
v)加え遠心分離し、沈殿精製画分を得た。
基配列の解析を、参考例A−4−(3)−(b、d)の
方法に準じて行った。A/Okuda /57のHA遺伝子の
塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号46に示
す。配列番号46において、塩基番号1〜5はプライマ
ー30由来の配列、塩基番号6〜48はノンコーディン
グ領域、塩基番号49〜93はシグナルペプチドをコー
ドする領域、塩基番号94〜231は、幹領域のN末端
側をコードする領域、塩基番号232〜873は球状部
領域をコードする領域、塩基番号874〜1734は幹
領域のC末端側をコードする領域、塩基番号1735〜
1775はノンコーディング領域、塩基番号1776〜
1783はプライマー30由来の配列である。
DNAフラグメントの末端をT4DNAポリメラーゼを
用いて平滑化した。次に平滑化フラグメントと、プラス
ミドpHSG299(宝酒造社製)のSmaI切断物
(2.7kbp )を、T4DNAリガーゼでライゲーション
し、HA遺伝子の組込まれたプラスミドを作製した。次
に該プラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、得ら
れたカナマイシン耐性の形質転換株よりプラスミドを分
離した。該プラスミドはプラスミドpH2−299と命
名した。
大腸菌JM109株はEscherichiacoli JM109/pH2-299
と命名、表示され、工業技術院生命工学工業技術研究
所にFERM P−13431として寄託されている。
クレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Rese
arch)、第18巻、第5322頁(1990)〕のAa
tII切断物と、プラスミドpMAMneo-s (クロンテッ
ク社製)をBamHIで切断して得られる2.6kbp のB
amHI DNA断片を、T4DNAリガーゼでライゲ
ーションし、2.6kbp のBamHI DNA断片が組込
まれた動物細胞、大腸菌用シャトルベクターのプラスミ
ドを作製した。次に該プラスミドで大腸菌JM109を
形質転換し、得られたアンピシリン耐性の形質転換株よ
りプラスミドを分離し、分離プラスミドをプラスミドpE
F-BOS/NeoAと命名した。
断し、配列表の配列番号46で表されるcDNAの塩基
番号4〜1780の配列の1.8kbp のDNA断片を調製
した。次に該DNA断片と、プラスミドpEF-BOS/NeoAの
XbaI切断物(7.9kbp )を、T4DNAリガーゼで
ライゲーションし、HA遺伝子の組込まれたシャトルベ
クターを作製した。次に該ベクターで大腸菌JM109
株を形質転換し、得られたアンピシリン耐性の形質転換
株よりプラスミドを分離した。該プラスミドはプラスミ
ドpEBNaH2と命名した。また該プラスミドで形質
転換した大腸菌JM109株をEscherichia coli JM109
/pEBNaH2と命名した。
れるオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー31、
プライマー32)をDNA合成機を用いて合成し、脱保
護の後、イオン交換HPLC(TSKゲル、DEAE−
2SWカラム)で精製し、セプ−パク(Sep−pa
k)C18で脱塩し、各DNA約50μgを得た。プラ
イマー31は配列表の配列番号46で表されるHA遺伝
子の塩基番号207〜231のDNA配列に相当するm
RNAに対しアンチセンス鎖のプライマーであり、プラ
イマー32は塩基番号874〜899のDNA配列に相
当するmRNAに対してセンス鎖のプライマーである。
ることにより、プラスミドpH2−299よりHA遺伝
子の球状部領域をコードする領域のみを除いた3.8kbp
のDNAフラグメントのPCR法での増幅を試みた。Es
cherichia coli JM109/pH2-299(FERM P−134
31)よりプラスミドpH2−299を調製し、該プラ
スミド0.05pmol、プライマー31、プライマー32各
50pmolを用いPCRを行った。PCRの条件は90
℃、1分間、55℃、2分間、72℃、3分間のサイク
ルを25回行い、3.8kbp のDNA増幅物を調製した。
次にこの3.8kbp のDNAフラグメントをT4カイネー
スを用いてリン酸化し、T4DNAポリメラーゼで平滑
末端化後、T4DNAリガーゼでライゲーションし、環
状プラスミドを調製した。次に該プラスミドで大腸菌J
M109を形質転換し、得られたカナマイシン耐性の形
質転換株よりプラスミドを分離した。該プラスミドはプ
ラスミド p299H2Sn-c と命名した。
することにより、HA遺伝子より、球状部領域をコード
する領域(配列番号46の塩基番号232〜873に相
当)が除去された1.1kbp のDNAフラグメントを調製
した。該フラグメントの塩基配列を配列表の配列番号4
9に、該フラグメントがコードするアミノ酸配列を配列
表の配列番号50に示す。次にこの1.1kbp のDNAフ
ラグメントと、シャトルベクターのプラスミドpEF-BOS/
NeoAのXbaI切断物(7.9kbp )をT4DNAリガー
ゼでライゲーションし、HA遺伝子の幹領域のN末端側
をコードする領域と、C末端側をコードする領域が直接
結合したDNAが組込まれたプラスミドを作製した。次
に該プラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、得ら
れたアンピシリン耐性の形質転換株よりプラスミドを分
離した。該プラスミドはpENH2dHO1 と命名した。
腸菌JM109株はEscherichia coli JM109/pENH2dHO1
と命名、表示され、工業技術院生命工学工業技術研究所
にFERM BP−4190として寄託されている。
coli JM109/pENH2dHO1(FERM BP−4190)よ
り、HA分子の球状部領域を欠失したポリペプチドをコ
ードする遺伝子を組込んだプラスミドpENH2dHO1 を調製
し、Escherichia coli JM109/pEBNaH2より、HA分子を
コードする遺伝子を組込んだプラスミドpEBNaH2 をそれ
ぞれ調製した。約5×106 個のCV−1細胞をトリプ
シンで処理後、10%FCS−MEM(ダルベッコ社
製)20mlで1回、PBSで2回洗浄し、1mlのPBS
に懸濁した。そのうちの0.8mlをバイオラッド社の遺伝
子導入装置ジーンパルサー用のキュベットに入れ、プラ
スミドpENH2dHO1 を30μg加え、パスツールピペット
にてかくはんし、0℃で10分間静置した。キュベット
を遺伝子導入装置ジーンパルサーにセットし、250
V、960μFDの条件で処理した後、0℃で10分間
静置し、CV−1細胞の形質転換を行った。次にこの形
質転換細胞を30mlの10%FCS−MEMに入れ、5
mlずつ直径6cmのシャーレで2日間培養した。培養した
CV−1細胞を、PBS(pH7.4)で洗浄後、無水エ
タノールで室温下、10分間固定した。次にこれらの細
胞を4種類の抗体〔C179、ウサギ抗マウスイムノグ
ロブリンG血清(オルガノテクニカ社製)の1000倍
希釈液、ヤギ抗ウサギイムノグロブリンG血清(オルガ
ノテクニカ社製)の500倍希釈液、ペルオキシダーゼ
−ウサギペルオキシダーゼ複合体(オルガノテクニカ社
製)の1000倍希釈液〕で連続的に、40分間ずつ反
応させ、処理細胞をPBSで洗浄した。最後にペルオキ
シダーゼ反応を、0.01%のH2 O2 と0.3mg/mlの
3,3′−ジアミノベンジジン四塩酸のPBS溶液を用
い、グラハム、カルノフスキー( Graham、Karnovsky)の
方法で行った。プラスミドpENH2dHO1 で形質転換したC
V−1細胞は茶色に染色され、この細胞はHA分子の球
状部領域は欠失したが、幹領域の高次構造は正常に保持
したポリペプチドを発現した。
やすく、かつ抗原性変異の生じやすい球状部領域を欠失
しているため、H1N1サブタイプ、H2N2サブタイ
プの幹領域を特異的に認識し、ウイルスを中和する抗体
を誘導するワクチンとして使用することができる。
1細胞を形質転換し、形質転換体の培養を行い、培養細
胞のC179を用いた染色試験を行った。プラスミドpE
BNaH2 で形質転換したCV−1細胞は茶色に染色され、
この細胞も幹領域において正常な高次構造を持つHAポ
リペプチドを発現していた。
鎖RNAの3′末端に相補的な配列を含有するオリゴヌ
クレオチドプライマー(プライマー33)、及び(+)
鎖RNAの3′末端に相補的な配列を含有するオリゴヌ
クレオチドプライマー(プライマー34、プライマー3
5)をDNA合成機を用いて合成し、脱保護の後、イオ
ン交換HPLC(TSKゲル、DEAE−2SWカラ
ム)で精製し、セプ−パク(Sep−pak)C18で
脱塩し、各DNA約50μgを得た。プライマー33〜
35のそれぞれの塩基配列を配列表の配列番号51〜5
3に示す。
たMDCK細胞を集め、グアニジンイソチオシアネート
を加え注射器で5回注入、注出を繰返し細胞を溶解させ
た。溶解後の細胞抽出液を塩化セシウム溶液に重層し、
超遠心分離を行った。遠心チューブの底の沈殿を緩衝液
に溶解し、フェノール、クロロホルム処理をしたのちエ
タノール沈殿を行い、回収したRNAをウイルスゲノム
RNAのサンプルとした。次にプライマー5を用いてc
DNAを合成し、続いて、プライマー33、プライマー
34を用いてPCR法により、該合成cDNAの増幅を
行った。次に増幅cDNAをアガロースゲル電気泳動で
分離し、HA遺伝子に対応する1.8kbp のcDNAのバ
ンドを溶出した。このcDNAをプライマー33、35
を用い、PCR法により更に増幅し、1.8kbp の2次増
幅DNAフラグメントを20%(w/v)ポリエチレン
グリコール6000、2.5M NaCl溶液を60%
(v/v)加え遠心分離し、沈殿精製画分を得た。
子の塩基配列の解析を、参考例A−4−(3)−(b、
d)の方法に準じ行った。A2/Aichi /2/68のH
A遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番
号54に示す。配列番号54において、塩基番号1〜8
はプライマー33由来の配列、塩基番号9〜36はノン
コーディング領域、塩基番号37〜84はシグナルペプ
チドをコードする領域、塩基番号85〜246は、幹領
域のN末端側をコードする領域、塩基番号247〜90
3は球状部領域をコードする領域、塩基番号904〜1
734は幹領域のC末端側をコードする領域、塩基番号
1735〜1769はノンコーディング領域、塩基番号
1770〜1777はプライマー35由来の配列であ
る。
DNAフラグメントの末端をT4DNAポリメラーゼを
用いて平滑化した。次に平滑化フラグメントと、プラス
ミドpUC118(宝酒造社製)のHincII切断物(1.8
kbp )を、T4DNAリガーゼでライゲーションし、H
A遺伝子の組込まれたプラスミドを作製した。次に該プ
ラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、得られたア
ンピシリン耐性の形質転換株よりプラスミドを分離し
た。該プラスミドはプラスミド pU118H3xxn と命名し
た。
腸菌JM109株はEscherichia coli JM109/ pU118H3
xxn と命名、表示され、工業技術院生命工学工業技術研
究所にFERM P−13567として寄託されてい
る。
れるオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー36、
プライマー37)をDNA合成機を用いて合成し、脱保
護の後、イオン交換HPLC(TSKゲル、DEAE−
2SWカラム)で精製し、セプ−パク(Sep−pa
k)C18で脱塩し、各DNA約50μgを得た。プラ
イマー36は配列表の配列番号54で表されるHA遺伝
子の塩基番号227〜246のDNA配列に相当するm
RNAに対しアンチセンス鎖のプライマーであり、プラ
イマー37は塩基番号904〜923のDNA配列に相
当するmRNAに対してセンス鎖のプライマーである。
ることにより、プラスミド pU118H3xxn よりHA遺伝子
の球状部領域をコードする領域のみを除いた4.3kbp の
DNAフラグメントのPCR法での増幅を試みた。Esch
erichia coli JM109/pU118H3xxn ( FERM P−13
567)よりプラスミド pU118H3xxn を調製し、該プラ
スミド0.05pmol、プライマー36、プライマー37各
50pmolを用いPCRを行った。PCRの条件は90
℃、1分間、55℃、2分間、72℃、3分間のサイク
ルを25回行い、4.3kbp のDNA増幅物を調製した。
次にこの4.3kbp の増幅DNAフラグメントをT4カイ
ネースを用いてリン酸化し、T4DNAポリメラーゼで
平滑末端化後、T4DNAリガーゼでライゲーション
し、環状プラスミドを調製した。次に該プラスミドで大
腸菌JM109を形質転換し、得られたアンピシリン耐
性の形質転換株よりプラスミドを分離した。該プラスミ
ドはプラスミドp118H3dHO1xxn と命名した。
heIで切断することにより、HA遺伝子より、球状部
領域をコードする領域(配列番号54の塩基番号247
〜903に相当)が除去された1.1kbp のDNAフラグ
メントを調製した。該フラグメントの塩基配列を配列表
の配列番号57に、該フラグメントがコードするアミノ
酸配列を配列表の配列番号58に示す。次にこの1.1kb
p のDNAフラグメントと、シャトルベクターのプラス
ミドpEF-BOS/NeoAのXbaI切断物(7.9kbp)をT4
DNAリガーゼでライゲーションし、HA遺伝子の幹領
域のN末端側をコードする領域と、C末端側をコードす
る領域が直接結合したDNAが組込まれたプラスミドを
作製した。次に該プラスミドで大腸菌JM109を形質
転換し、得られたアンピシリン耐性の形質転換株よりプ
ラスミドを分離した。該プラスミドはpENH3dHO1 と命名
した。
菌JM109株はEscherichia coliJM109/pENH3dHO1と
命名、表示され、工業技術院生命工学工業技術研究所に
FERM BP−4518として寄託されている。
coli JM109/pENH3dHO1(FERM BP−4518)よ
り、HA分子の球状部領域を欠失したポリペプチドをコ
ードする遺伝子を組込んだプラスミドpENH3dHO1 を調製
した。約5×106 個のCV−1細胞をトリプシンで処
理後、10%FCS−MEM(ダルベコ社製)20mlで
1回、PBSで2回洗浄し、1mlのPBSに懸濁した。
そのうちの0.8mlをバイオラッド社の遺伝子導入装置ジ
ーンパルサー用のキュベットに入れ、プラスミドpENH3d
HO1 を30μg加え、パスツールピペットにてかくはん
し、0℃で10分間静置した。キュベットを遺伝子導入
装置ジーンパルサーにセットし、250V、960μF
Dの条件で処理した後、0℃で10分間静置し、CV−
1細胞の形質転換を行った。次にこの形質転換細胞を3
0mlの10%FCS−MEMに入れ、5mlずつ直径6cm
のシャーレで2日間培養した。
4)で洗浄後、無水エタノールで室温下、10分間固定
した。次にこれらの細胞を4種類の抗体(AI3C、ウ
サギ抗マウスイムノグロブリンG血清(オルガノテクニ
カ社製)の1000倍希釈液、ヤギ抗ウサギイムノグロ
ブリンG血清(オルガノテクニカ社製)の500倍希釈
液、ペルオキシダーゼ−ウサギペルオキシダーゼ複合体
(オルガノテクニカ社製)の1000倍希釈液〕で連続
的に、40分間ずつ反応させ、処理細胞をPBSで洗浄
した。最後にペルオキシダーゼ反応を、0.01%のH2
O2 と0.3mg/mlの3,3′−ジアミノベンジジン四塩
酸のPBS溶液を用い、グラハム、カルノフスキー( Gr
aham、Karnovsky ) の方法で行った。プラスミドpENH3d
HO1 で形質転換したCV−1細胞は茶色に染色され、こ
の細胞はHA分子の球状部領域は欠失したが、幹領域の
高次構造は正常に保持したポリペプチドを発現した。こ
の発現ポリペプチドは抗原決定基となりやすく、かつ抗
原性変異の生じやすい球状部領域を欠失しているため、
H3N2サブタイプの幹領域を特異的に認識する抗体を
誘導するワクチンとして使用することができる。
イルス粒子(40mg)を27mlの5mMトリス−HCl
(pH8.0)に懸濁し、3mlの20%NP−40を加え
た後、30分間37℃に保温した。次に遠心分離後、上
清を集め、0.8μmフィルターユニット(マイレクス−
PF:ミリポア社製)を用いてろ過を行った。次いで、
5mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したイオン交
換膜(memSep DEAE :ミリポア社製)にろ過液を負荷
し、同緩衝液にて洗浄した。更に、1M NaClを含
む同緩衝液を用いて、HA分子を溶出させた。
−エチルモルホリン緩衝液(pH7.5)中で、各々4pm
olのリジルエンドペプチダーゼ(和光純薬工業社製)、
V8プロテアーゼ(シグマ社製)、キモトリプシン(ベ
ーリンガー社製)を用いて37℃で1時間、消化を行っ
た。実施例3−(1)で調製したHA分子(2.6μg)
を2Mの尿素存在下、1時間、42℃に保温し変性させ
た。次にリジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアー
ゼ、キモトリプシン、ズブチリシン(ベーリンガー社
製)、プロティナーゼK(ベーリンガー社製)、プロナ
ーゼ(ベーリンガー社製)、サーモライシン(ベーリン
ガー社製)の4pmolを用い、50mMトリス−塩酸緩衝液
(pH7.6)中で、37℃、12時間消化を行った後、
PBSに対して透析を行った。これら消化液の一部をと
り、C179を用いたドットブロット法、SDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動法により消化断片の解析を
行った。ドットブロット法は以下の様に行った。ニトロ
セルロースフィルター(MSI社製)上に、消化液1μ
lを負荷し、乾燥させた。同様の操作を5回繰返し、計
5μlの消化液を負荷した後、ブロックエース(雪印社
製)を用いてブロッキングを行った。次いで、これらを
C179溶液の500倍希釈液と室温で1時間ずつ反応
させた。0.02%トゥイーン(Tween)20を含むトリス
−塩酸緩衝液(pH7.6)で洗浄し、更にトリス−塩酸
緩衝液(pH7.6)で10分間の洗浄を3回行った。更
に、これらをアルカリホスファターゼ標識ヤギ抗マウス
イムノグロブリンG溶液(オルジェニクス社製)の50
0倍希釈液と室温で1時間反応させ、同様に洗浄を行っ
た。最後に、アルカリホスファターゼ反応を、5−ブロ
モ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートと、ニト
ロブルーテトラゾリウムの炭酸−炭酸ナトリウム溶液
(pH9.0)を用いて、1mM MgCl2 の存在下で行
った。その結果、尿素非存在下ではいずれのプロテアー
ゼを用いた場合でも、HA分子の大部分が未消化であっ
た。尿素により変性させたHA分子を基質とした場合、
V8プロテアーゼ、サーモライシン、プロナーゼでは消
化されなかった。リジルエンドペプチダーゼ、キモトリ
プシン、ズブチリシンでは過度に消化が進み、C179
に対する抗原性は完全に消失した。一方、プロティナー
ゼKを用いた場合、HA分子が消化を受け、C179と
の結合能を有する断片ポリペプチドの生成が認められ
た。
400μl)に100μlの1Mトリス−HCl(pH
7.6)、500μlの8M尿素を各々加え、1時間、4
2℃に保温した。この溶液に2000μlの固定化プロ
ティナーゼKゲルを加え、振とうしながら7時間、37
℃に保温した。次に、遠心分離によって得られる反応液
をPBSに対して12時間透析し、幹領域ポリペプチド
を得た。なお固定化プロティナーゼKゲルの調製は下記
の通りに行った。4mgのプロティナーゼKを1mlのH2
Oに溶解し、0.1N HClを用いてpH5.0に調製
し、1mlのECH−セファロース(ファルマシア社
製)、1mlの0.2M EDC(pH5.0)を加えた後、
24時間4℃に保温した。ゲルを10mlのPBSで3回
洗浄し、固定化プロティナーゼKゲルを得た。
として、C179に対する抗原性を ELISA法により検討
した。すなわち、マイクロタイタープレート(マキシソ
ープ:ヌンク社製)上に、幹領域ポリペプチドの希釈液
を加え、37℃で1時間30分固定した後、ブロックエ
ース(雪印社製)を用いてブロッキングを行った。次い
でこれらを2種類の抗体〔C179溶液(10mg/ml)
の200倍希釈液、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス
イムノグロブリンG溶液(カッペル社製)の500倍希
釈液〕で連続的に、1時間30分ずつ反応させ、PBS
で洗浄した。最後にペルオキシダーゼ反応を0.03%の
H2 O2 と1mg/mlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩
のクエン酸−リン酸溶液(pH5.2)を用いて行った。
反応液の492nmにおける吸光度から抗原量を算出し
た。標準物質として実施例3−(1)記載のHA分子を
用いた。ELISA法の結果から、幹領域ポリペプチドはH
A分子と同等の抗原性を示すことが明らかとなった。幹
領域ポリペプチドの血球凝集活性(HA価)は以下のよ
うに測定した。U型底96穴プレート(ファルコン39
11:ベクトン ディキンソン社製)上で、PBSを用
いて試料液の2倍段階希釈を行い、これに等量の0.5%
ニワトリ赤血球懸濁液を加えてよくかくはんした。室温
で1時間反応させた後に赤血球の凝集を観察した。凝集
の認められた最大希釈倍率をHA価とした。幹領域ポリ
ペプチドのHA価は、HA分子が有するHA価の1/1
000以下であった。
領域ポリペプチドは、HA分子と同等の抗原性を有し、
かつ球状部領域に由来する血液凝集活性は実質的に消失
していることが明らかとなった。このポリペプチドは抗
原決定基となりやすく、かつ抗原性変異の生じやすい球
状部領域が消化されているため、H1N1サブタイプ、
H2N2サブタイプの幹領域を特異的に認識し、ウイル
スを中和する抗体を誘導するワクチンとして使用するこ
とができる。
のウイルス粒子(40mg)を27mlの5mMトリス−HC
l(pH8.0)に懸濁し、3mlの20%NP−40を加
えた後、30分間37℃に保温した。次に遠心分離後、
上清を集め、0.8μmフィルターユニット(マイレクス
−PF:ミリポア社製)を用いてろ過を行った。次い
で、5mMトリス−HCl(pH8.0)で平衡化したイオ
ン交換膜(memSep DEAE :ミリポア社製)にろ過液を負
荷し、同緩衝液にて洗浄した。更に、1M NaClを
含む同緩衝液を用いて、HA分子を溶出させた。
N−エチルモルホリン緩衝液(pH7.5)中で、各々4
pmolのリジルエンドペプチダーゼ、V8プロテアーゼ、
キモトリプシンを用いて37℃で1時間、消化を行っ
た。実施例4−(1)で調製したHA分子(2.6μg)
を、2Mの尿素存在下、1時間、42℃に保温し、変性
させた。次に、リジルエンドペプチダーゼ、V8プロテ
アーゼ、キモトリプシン、ズブチリシン、プロティナー
ゼK、プロナーゼ、サーモライシンの4pmolを用い、5
0mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.6)中で、37℃、1
2時間消化を行った後、PBSに対して透析を行った。
これら消化液の一部をとり、AI3Cを用いたドットブ
ロット法、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
により消化断片の解析を行った。その結果、尿素非存在
下では、いずれのプロテアーゼを用いた場合でもHA分
子の大部分が未消化であった。尿素により変性させたH
A分子を基質とした場合、V8プロテアーゼ、サーモラ
イシン、プロナーゼでは消化されなかった。リジルエン
ドペプチダーゼ、キモトリプシン、ズブチリシンでは過
度に消化が進み、AI3Cに対する抗原性は完全に消失
した。一方、プロティナーゼKを用いた場合、HA分子
が消化を受け、AI3Cとの結合能を有する断片ポリペ
プチドの生成が認められた。
400μl)に100μlの1Mトリス−HCl(pH
7.6)、500μlの8M尿素を各々加え、1時間、4
2℃に保温した。この溶液に2000μlの固定化プロ
ティナーゼKゲルを加え、振とうしながら7時間、37
℃に保温した。次に、遠心分離によって得られる反応液
をPBSに対して12時間透析し、幹領域ポリペプチド
を得た。
として、AI3Cに対する抗原性を ELISA法により検討
した。すなわち、マイクロタイタープレート(マキシソ
ープ:ヌンク社製)上に、幹領域ポリペプチドの希釈液
を加え、37℃で1時間30分固定した後、ブロックエ
ース(雪印社製)を用いてブロッキングを行った。次い
でこれらを2種類の抗体〔AI3C溶液(10mg/ml)
の200倍希釈液、ペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス
イムノグロブリンG溶液(カッペル社製)の500倍希
釈液〕で連続的に、1時間30分ずつ反応させ、PBS
で洗浄した。最後にペルオキシダーゼ反応を0.03%の
H2 O2 と1mg/mlのo−フェニレンジアミン二塩酸塩
のクエン酸−リン酸溶液(pH5.2)を用いて行った。
反応液の492nmにおける吸光度から抗原量を算出し
た。標準物質として実施例4−(1)記載のHA分子を
用いた。ELISA法の結果から、幹領域ポリペプチドはH
A分子と同等の抗原性を示すことが明らかとなった。幹
領域ポリペプチドの血球凝集活性(HA価)は以下のよ
うに測定した。U型底96穴プレート(ファルコン39
11:ベクトン ディキンソン社製)上で、PBSを用
いて試料液の2倍段階希釈を行い、これに等量の0.5%
ニワトリ赤血球懸濁液を加えてよくかくはんした。室温
で1時間反応させた後に赤血球の凝集を観察した。凝集
の認められた最大希釈倍率をHA価とした。幹領域ポリ
ペプチドのHA価は、HA分子が有するHA価の1/1
000以下であった。
領域ポリペプチドは、HA分子と同等の抗原性を有し、
かつ球状部領域に由来する血液凝集活性は実質的に消失
していることが明らかとなった。該ポリペプチドは抗原
決定基となりやすく、かつ抗原性変異の生じやすい球状
部領域が消化されているため、H3N2サブタイプの幹
領域を特異的に認識する抗体を誘導するワクチンとして
使用することができる。
−4190)より、A/Okuda /57(H2N2)のH
A分子の球状部領域を欠失したポリペプチドをコードす
る遺伝子を組込んだプラスミドpENH2dH01 を調製した。
約5×106 個のCV−1細胞をトリプシンで処理後、
10%FCS−MEM(ダルベッコ社製)20mlで1
回、PBSで2回洗浄し、1mlのPBSに懸濁した。そ
のうちの0.8mlをバイオラッド社の遺伝子導入装置ジー
ンパルサー用のキュベットに入れ、プラスミドpENH2dH0
1 を30μg加え、パスツールピペットにてかくはん
し、0℃で10分間静置した。キュベットを遺伝子導入
装置ジーンパルサーにセットし、250V、960μF
Dの条件で処理した後、0℃で10分間静置し、CV−
1細胞の形質転換を行った。次にこの形質転換細胞を6
0mlの10%FCS−MEMに入れ、5mlずつ直径6cm
のシャーレで培養した。培養3日目にポリペプチドの発
現をC179を用いた染色試験で確認し、ポリペプチド
発現細胞はトリプシンを含むPBSで処理し、次に遠心
により該細胞を集めた。次に集めた細胞をPBSに懸濁
し、4週令の雌のBALB/cマウス10匹にそれぞれ
1×105 個ずつワクチンとして腹腔内投与した。2週
間後に2回目の免疫を同様にして行った。なお対照とし
てpENH2dH01 で形質転換していないCV−1細胞を用
い、同様に10匹のマウスにそれぞれ1×105 個を2
回腹腔内投与した。最終免疫から1週間後にAl/FM
/1/47(H1N1)をマウス1匹当り25μl(8
×104 FFU)ずつ鼻腔内接種し、以後、毎日マウス
の生死を調べた。結果を図4に示す。図4に示すように
抗原ポリペプチドを発現したCV−1細胞で免疫した、
ワクチン投与マウス群(図4中、黒丸で示す)は、強毒
株であるAl/FM/1/47の接種後15日目におい
て、10匹中7匹が生存していた。一方、対照マウス群
(図4中、黒三角で示す)は、10匹中9匹が死亡し
た。図4は抗原ポリペプチドの投与群、非投与群の生存
率を示す図であり、縦軸は生存率、横軸はウイルス感染
後の日数を表す。
原ポリペプチドは、それがH2N2サブタイプ由来であ
っても、H1N1サブタイプのウイルスに対するワクチ
ンとなり得ることが判明した。この抗原ポリペプチドは
抗原決定基となりやすく、かつ抗原性変異の生じやすい
球状部領域を欠失しているため、H1N1サブタイプ、
H2N2サブタイプの幹領域を特異的に認識し、ウイル
スを中和する抗体を誘導するワクチンとして使用するこ
とができる。
て、インフルエンザウイルスに対する感染防御効果を検
討した。幹領域ポリペプチドをPBSに懸濁し、4週令
の雌のBALB/cマウスに10μg/0.5mlずつ腹腔
内投与した。1週間の間隔で同量を腹腔内投与し合計3
回の免疫を行った。対照群にはPBSのみを投与した。
最終免疫から10日後にA1/FM/1/47(H1N
1)ウイルスをマウス1匹当り25μl(2.0×103
FFU)ずつ鼻腔内接種し、マウスの生死、生存マウス
の体重変化を観察した。図5に示すように、幹領域ポリ
ペプチドで免疫したマウスの平均体重の減少率は、対照
群に対して有意に低かった。また、図6に示すように対
照群の11匹のマウスのうち5匹がウイルス接種後7日
以内に死亡したが、幹領域ポリペプチドで免疫したマウ
ス10匹のうち8匹はウイルス接種後14日後において
も生存し、ウイルス接種後14日後の生存率は80%で
あった。一方、対照群のウイルス接種後14日後の生存
率は55%であった。なお図5は、幹領域ポリペプチド
投与群、対照群の体重変化を示す図であり、縦軸は各群
生存マウスの平均体重、横軸はウイルス接種後の日数を
示す。また図6は、幹領域ポリペプチド投与群、対照群
の生存率を示す図であり、縦軸は生存率、横軸はウイル
ス接種後の日数を示す。以上、幹領域ポリペプチドはイ
ンフルエンザウイルスに対するワクチンとなり得ること
が判明した。
イルスのサブタイプHA分子の幹領域に特異的に結合す
る抗体産生能を有する免疫原性ポリペプチド、及び該ポ
リペプチドをコードする遺伝子が提供される。該ポリペ
プチドは遺伝子工学的、酵素学的に大量に供給すること
ができ、HA分子球状部領域の変化に起因する抗原性変
化の影響も無いためインフルエンザ予防用のワクチンと
して特に有用である。
ブタイプ、H2N2サブタイプ間のHA分子中の共通保
存領域の位置を示す図である。
ブタイプのHA分子中の共通保存領域の位置を示す図で
ある。
図である。
図である。
す図である。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ヒトインフルエンザA型ウイルスのヘマ
グルチニン分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有
し、ヘマグルチニン分子中の球状部領域が欠失した免疫
原性人工ポリペプチド。 - 【請求項2】 分子内に少なくとも配列表の配列番号1
で表されるTGLRNポリペプチド配列と、配列表の配
列番号2で表されるGITNKVNSVIEKポリペプチド配列を有
し、該両配列の立体配置がH1N1サブタイプ及びH2
N2サブタイプのヘマグルチニン分子中の幹領域と実質
上同一の抗原性を有することを特徴とする請求項1記載
の免疫原性人工ポリペプチド。 - 【請求項3】 分子内に少なくとも配列表の配列番号3
で表されるTGMRNポリペプチド配列と、配列表の配
列番号4で表されるQINGKLNR(L/V)IEKポリペプ
チド配列を有し、該両配列の立体配置がH3N2サブタ
イプのヘマグルチニン分子中の幹領域と実質上同一の抗
原性を有することを特徴とする請求項1記載の免疫原性
人工ポリペプチド。 - 【請求項4】 ヒトインフルエンザA型ウイルスのヘマ
グルチニン分子のプロテアーゼ処理物より分離してなる
ことを特徴とする請求項1記載の免疫原性人工ポリペプ
チド。 - 【請求項5】 ヒトインフルエンザA型ウイルスのヘマ
グルチニン分子中の幹領域と実質上同一の抗原性を有
し、ヘマグルチニン分子中の球状部領域が欠失した免疫
原性人工ポリペプチドをコードする遺伝子。
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
JP6070194A JP3037554B2 (ja) | 1993-04-20 | 1994-03-16 | 免疫原性人工ポリペプチド |
CA 2121559 CA2121559C (en) | 1993-04-20 | 1994-04-18 | Immunogenic artificial polypeptide |
US08/229,781 US5589174A (en) | 1992-09-17 | 1994-04-19 | Anti-human influenza virus antibody |
DE1994628735 DE69428735T2 (de) | 1993-04-20 | 1994-04-20 | Immunogene Polypeptide des menschlichen Influenza-A-Virus Haemagglutinin |
EP94302819A EP0621339B1 (en) | 1992-09-17 | 1994-04-20 | Immunogenic human influenza A virus haemagglutinin polypeptides |
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US09/918,568 US6720409B2 (en) | 1992-09-17 | 2001-08-01 | Anti-human influenza virus antibody |
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---|---|---|---|
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JP11521693 | 1993-04-20 | ||
JP6070194A JP3037554B2 (ja) | 1993-04-20 | 1994-03-16 | 免疫原性人工ポリペプチド |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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