JPH076539U - ダンパー付ヒンジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 簡単な構造でダンパーの機構の機能を充分に
生かすことができ、これを洋式便器に適用した時に便座
や便蓋等を自立状態で安定的に保持し、閉成時にソフト
に閉じさせることのできる、ダンパー付ヒンジを提供す
る。 【構成】 装置本体上に固定させる構造の固定シャフト
１０と、開閉体を保持するために固定シャフトに該固定
シャフトを軸芯方向に挿通させて回転可能に取り付けら
れた回転ドラム１１と、固定シャフトと前記回転ドラム
との間に設けられたトルクダンパー機構１７と、固定シ
ャフトに摺動自在に取り付けられたスライダー２０と、
このスライダーを一方向へ摺動附勢させる為に該スライ
ダ−と回転ドラムとの間に弾設されたスプリング２１
と、スライダーと回転ドラムとの間に設けられたカム機
構２４で構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、とくに洋式便器の便座や便蓋等の開閉体の開閉用として用いて好 適なダンパー付ヒンジに関する。

【０００２】

【従来の技術】

この考案者は先の出願で、便器本体上に取り付けたブラケットへ一端部を取り 付ける構造のシャフトと、便座や便蓋を保持するために前記シャフトへ該シャフ トを軸芯方向に挿通させて回転可能に取り付けられた回転ドラムと、前記シャフ トに環巻きさせつつ該シャフトと前記回転ドラムとの間に弾設されたトーション スプリングと、前記シャフトと回転ドラムとの間に設けられたダンパー機構と、 前記回転ドラムの回転を制御するカム機構とからなり、このカム機構を、前記シ ャフトへコンプレッションスプリングによって一方向へ移動を附勢されて摺動可 能に取り付けられたスライダーと、このスライダーと接して回転する前記回転ド ラムとの間に設置した洋式便器の便座や便蓋等のダンパー付ヒンジを提案した。

【０００３】

【考案が解決すべき課題】

このダンパー付ヒンジは、トーションスプリングによってダンパー機能が充分 に生かされない上に、トーションスプリングの他にスライダーを一方向へ摺動附 勢させるコンプレッションスプリングを必要とし構造が複雑となって製作コスト が高くつくという問題があった。

【０００４】 この考案の目的は簡単な構造でダンパーの機構の機能を充分に生かすことがで き、これを洋式便器に適用した時に便座や便蓋等を自立状態で安定的に保持し、 閉成時にソフトに閉じさせることのできる、ダンパー付ヒンジを提供せんとする にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上述した目的を達成するためにこの考案は、装置本体上に固定させる構造の固 定シャフトと、開閉体を保持するために前記固定シャフトに該固定シャフトを軸 芯方向に挿通させて回転可能に取り付けられた回転ドラムと、前記固定シャフト と前記回転ドラムとの間に設けられたトルクダンパー機構と、前記固定シャフト に摺動自在に取り付けられたスライダーと、このスライダーを一方向へ摺動附勢 させる為に該スライダ−と前記回転ドラムとの間に弾設されたスプリングと、前 記スライダーと前記回転ドラムとの間に設けられたカム機構とで構成したもので ある。

【０００６】 その際にこの考案は、トルクダンパー機構を、前記固定シャフトの他端部に設 けたダンパードラムと、このダンパードラムを内部に収装すべく回転ドラムに設 けられたダンパー溝と、このダンパー溝と前記ダンパードラムとの間に充填され た粘性体とで構成することができる。

【０００７】 この考案はまた、カム機構をスライダーの一側端面側に設けた凹部及び凸部と 、この凹部及び凸部と回転角度によって衝接嵌合すべく回転ドラム側に設けた凸 部及び凹部とで構成することができる。

【０００８】

【作用】

便座や便蓋等を開くと、回転ドラムが同時に回転し、スプリングによって一方 向に摺動附勢されているスライダーと回転ドラムとの間に設けられたカム機構に よって便座や便蓋等は自立状態で自然落下することなく安定的に保持される。

【０００９】 便座や便蓋等を閉じると、トルクダンパー機構が機能して該便座や便蓋等は急 激に閉じられることなくソフトかつ静かに閉じられ、閉成状態で所謂浮きが生ず ることなく完全に閉じられる。

【００１０】

【実施例】

図面はこの考案を洋式便器の便座や便蓋等の開閉用として適用した実施例を示 す。図１において、１は洋式便器の装置本体、２は水タンクである。装置本体１ の上部後方の両側部には一対のブラケット３、３が固着されており、このブラケ ット３、３に一端部を固定させた一対のダンパー付ヒンジ（図示せず）を介して 便座５や便蓋６が開閉自在に装置本体へ取り付けられている。即ち、図１と図２ に示したように便座５及び便蓋６の各取付部５ａ、５ｂ・６ａ、６ｂのうち、便 座５の一方の取付部５ａは、図１に示した左側用のブラケット３に装備されるダ ンパー付ヒンジ４の回転ドラム１１の外周に突設した突条１１ａによって該回転 ドラム１１に固定されているが、便蓋６の一方の取付部６ａは回転ドラム１１の 外周に回転自在に軸支されている。このことによって、便座５の開閉操作時には 、一対のダンパー付ヒンジのうち一方のものの回転ドラム１１が共に回動し動作 することになる。図２の回転ドラム１１の外周に想像線で示した突条１１ｂは図 １に示した右側のブラケット３に装備されるダンパー付ヒンジの場合を示し、そ の場合にはこの突条１１ｂに便蓋６の取付部の一方の６ｂが固定され便座５のも う一方の取付部５ｂは回転自在に軸支されることになる。このようにブラケット ３、３に取り付けられた一対のダンパ−付ヒンジの回転シャフトは各一個づつが 便座と便蓋の開閉時に動作する。

【００１１】 図２乃至図１０はダンパー付ヒンジの内部構造とその機能を示す。以下に図１ の左側のダンパー付ヒンジ４のみを説明するが、右側のダンパー付ヒンジも後述 するように一部の構造が相違するのみで他は同じである。

【００１２】 １０は上述したブラケット３に固定される固定シャフトであり、フランジ部１ ０ａを挟んで一側部に取付部１０ｂを、他側部に極大径部１０ｃ、大径部１０ｄ 、変形中径部１０ｅ、及び変形小径部１０ｆをそれぞれ設けてある。この固定シ ャフト１０の取付部１０ｂは、図１に示した洋式便器の装置本体１の後部上方に 取り付けたブラケット３に固定される。１１は固定シャフト１０を内部に収容さ せた回転ドラムであり、該固定シャフト１０の回りに回転可能に取り付けられて いる。この回転ドラム１１は外周に突条１１ａを設けてあり、上述したように便 蓋６の取付部６ａは回動ドラム１１とは共に回転しないように軸支されているが 、便座５の取付部５ａは突条１１ａと係合することになり該回転ドラム１１と共 に回転するように固定されている。

【００１３】 極大径部１０ｃと回転ドラム１１との間には、シール部材１２が介在せられ、 主として外部より湿気や汚水が回転ドラム１１内に浸入するのを防止している。 固定シャフト１０の変形小径部１０ｆには、ダンパードラム１３が固定され、ゴ ム等の弾性ワッシャー１４を介してビス１５によって固着されると共に、回転ド ラムの軸方向に回転ドラム１１のドラム部１３ａを収容させて深く設けた周溝１ １ｃとドラム部１３ａとの間には、例えばシリコンオイルのような粘性体１６が 充填されることによってトルクダンパー機構１７が形成されている。１８と１９ はこの粘性体１６が漏れ出さないようにシールするシール部材である。

【００１４】 変形中径部１０ｅにはスライダー２０が非回転かつ摺動自在に取り付けられて おり、このスライダー２０と固定シャフト１０の極大径部１０ｃとの間には大径 部１０ｄに環巻きさせてコンプレッションスプリング２１が弾設され、スライダ ー２０を常に一方向（図面では右方向）へ摺動附勢させている。このスライダー ２０はフランジ部２０ａと筒部２０ｂから成り、とくに図８乃至図１０に示した ようにフランジ部２０ａには、軸方向に図示した角度ごとに形状の異なる凹部と 凸部から成る摺動カム部２２が形成されると共に、この摺動カム部２２はとくに 図６乃至図７に示したように、回転ドラム１１の内周部の軸方向へ突設した一対 の凸部２３ａ、２３ａを有する回転カム部２３と対向衝接して図２に示したよう にカム機構２４を構成している。

【００１５】 したがって、回転ドラム１１に便座の取付部５ａを固定させ、便座５を開閉さ せると、回転ドラム１１が固定シャフト１０の回りで回転し、便座５の開閉操作 の全行程に渡ってトルクダンパー機構１７が作用する。便座５を閉じた状態にお いては図２と図１０に示したように、摺動カム部２２の凸部である始端部２２ａ が回転カム部２３の凸部２３ａ、２３ａと衝接しているので、スライダー２０は コンプレッションスプリング２１の弾力に抗して左方向へ押された状態にあるが 、便座５を開いて行くと回転ドラム１１が回転することにより回転カム部２３の 凸部２３ａ、２３ａが摺動カム部２２の緩傾斜部２２ｂ上を移動し、回転抑止力 を減じつつ便座５の開成を促進許容し、約８５°の開成角度より凸部２３ａ、２ ３ａが急傾斜部２２ｃより凹部２２ｄに落ち込むことにより自動的に開かれ１３ ０°で停止する。図１１はこの状態を説明するためのものである。そして、この 自立姿勢は凸部２３ａ、２３ａが凹部２２ｄ、２２ｄを脱する際の抵抗によって 保持され、自然落下することなく維持される。

【００１６】 図１２は便座を開閉する際のトルク曲線図を示し、図面によれば便座の回転モ ーメント（ａ）は０°から２０°の間でカム機構のモーメント（ｂ）より勝って いるが、ダンパー機構のモーメント（ｃ）より劣っているので、閉じられる便座 は２０°からはダンパー機構が作用して静かに閉じられることが解る。そして、 開かれる便座の回転モーメントは９０°の開成角度の少し前からカム機構のモー メント（ｂ）より劣り始めるので、自動的に開かれることが解る。

【００１７】 図１３乃至図１５は洋式便器の装置本体１の上部右側のブラケット３に取り付 けられるダンパー付ヒンジに用いられるスライダー３０の構造を示し、このもの は便蓋６の開閉用のものであるので、摺動カム部３１の形状が先の実施例のもの と若干相違し、８５°近辺で***する第２の凸部３１ａが設けられているが、後 のフランジ部３０ａと筒部３０ｂの形状等は先の実施例のものと同じである。

【００１８】 図１６はこの図１３乃至図１５に示したスライダーを用いたダンパー付ヒンジ で便蓋を開閉する場合のトルク曲線図を示し、便蓋が開成状態においてとくに落 下してしまわないように、さらに閉じようとする際のカム機構の抵抗が大きくな るようにスライダー３０の摺動カム部の形状が選択されている。

【００１９】 尚、以上の実施例は洋式便器の便座や便蓋等を開閉するものとして説明したが 、この考案に係るダンパー付ヒンジはこれ以外の例えば複写機や印刷機の原稿圧 着板開閉装置やピアノの蓋の開閉装置としても利用することができるものである 。

【００２０】

【考案の効果】

この考案は以上のように構成したので、部品点数を省略した簡単で安価に製造 することのできる構造で、カム機構とダンパー機構の相乗効果により洋式便器の 便座や便蓋、或は複写機や印刷機等の原稿圧着板、ピアノの蓋等を開成状態で自 然落下しないように安定保持し、閉成時には急激にではなくソフトかつ静かに閉 じさせることができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るダンパ−付ヒンジを用いた洋式
便器の平面図である。

【図２】この考案に係るダンパー付ヒンジの使用状態を
示す横断面図である。

【図３】図２のダンパー付ヒンジの部分のＡーＡ線断面
図である。

【図４】図２のＢーＢ線断面図である。

【図５】図２のＣーＣ線断面図である。

【図６】回転ドラムの平面図である。

【図７】図６の回転ドラムの左側面図である。

【図８】スライダーの横断面図である。

【図９】スライダーの摺動カム部の形状を説明するため
の右側面図である。

【図１０】スライダーの摺動カム部の展開図である。

【図１１】この考案に係るダンパー付ヒンジの動作を説
明する説明図である。

【図１２】図２乃至図１１に示したダンパ−付ヒンジを
洋式便器の便座開閉用に用いた場合のトルク曲線図であ
る。

【図１３】スライダーの他の実施例を示す横断面図であ
る。

【図１４】スライダーに設けた摺動カム部の形状を説明
する説明図である。

【図１５】スライダーの摺動カム部の展開図である。

【図１６】図１３乃至図１５に示したスライダーを用い
たダンパー付ヒンジを洋式便器の便蓋開閉用に用いた場
合のトルク曲線図である。

【符号の説明】

１ 装置本体 ３ ブラケット ４ ダンパー付ヒンジ ５ 便座 ６ 便蓋 １０ 固定シャフト １１ 回転ドラム １３ ダンパードラム １６ 粘性体 １７ トルクダンパー機構 ２０ スライダー ２１ スプリング ２２ 摺動カム部 ２２ａ 始端部 ２２ｂ 緩傾斜部 ２２Ｃ 急傾斜部 ２２ｄ 凹部 ２３ 回転カム部 ２３ａ 凸部 ２４ カム機構 ３０ スライダー ３１ 摺動カム部 ３１ａ 凸部

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 装置本体上に固定させる構造の固定シャ
   フトと、開閉体を保持するために前記固定シャフトに該
   固定シャフトを軸芯方向に挿通させて回転可能に取り付
   けられた回転ドラムと、前記固定シャフトと前記回転ド
   ラムとの間に設けられたトルクダンパー機構と、前記固
   定シャフトに摺動自在に取り付けられたスライダーと、
   このスライダーを一方向へ摺動附勢させる為に該スライ
   ダ−と前記回転ドラムとの間に弾設されたスプリング
   と、前記スライダーと前記回転ドラムとの間に設けられ
   たカム機構とで構成したことを特徴とする、タンパー付
   ヒンジ。
2. 【請求項２】 前記トルクダンパー機構を、前記固定シ
   ャフトの一端部に設けたダンパードラムと、このダンパ
   ードラムを内部に収装すべく前記回転ドラムに設けられ
   たダンパー溝と、このダンパー溝と前記ダンパードラム
   との間に充填された粘性体とで構成したことを特徴とす
   る、請求項１記載のダンパー付ヒンジ。
3. 【請求項３】 前記カム機構を前記スライダーの一側端
   面側に設けた凹部及び凸部と、この凹部及び凸部と回転
   角度によって衝接嵌合すべく前記回転ドラム側に設けた
   凸部及び凹部とで構成したことを特徴とする、請求項１
   記載のダンパー付ヒンジ。