JPH0763814B2 - 単ベルト式連続鋳造装置用ベルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、走行する金属ベルトと、金属ベルト上に設け
たサイド堰と後面堰とにより、金属ベルト表面上に形成
した湯溜まり部に、金属溶湯を注湯し、金属ベルトを介
した抜熱によって金属溶湯を凝固せしめて金属薄帯を製
造する、単ベルト式連続鋳造装置において使用する金属
ベルトに関する。

〔従来の技術〕

最近、溶鋼等の溶融金属から最終形状に近い数mm〜数十
mm程度の厚みをもつ薄帯を直接的に製造する連続鋳造方
法が注目されている。この方法によるとき熱延工程を必
要とすることがないか、または大幅に簡易化でき、工程
及び設備の簡略化が図られる。

この連続鋳造方法の一つとして、単ベルト方式がある。
この方式においては、たとえば無端走行するベルトの上
に湯溜り部を形成し、ここに注湯された溶融金属をベル
トを介した抜熱によって冷却・凝固し、生成したシェル
をベルトの走行に伴って湯溜り部から送り出し、金属薄
帯を製造している。このベルト方式によるとき、溶融金
属は、一方向から冷却され、ベルトと反対側の面は開放
されている。そのため、タンディシュ等の容器から溶融
金属をベルト上の湯溜り部に供給するノズルの配置に対
する制約が少なくなる。

本発明者等は、この単ベルト方式において、湯溜り部の
側面を仕切る堰を移動可能にした鋳造装置を開発し、こ
れを特願昭60−155247号として出願した。

第４図は、この先願で提案されたベルト方式の装置を示
す。

該装置においては、金属製のベルト１が一対のプーリ2
a,2bに掛け渡されており、無限軌道を走行するようにな
っている。そして、一方のプーリ2aを高く保持すること
により、ベルト１の無限軌道は、プーリ2aに向かって上
昇するものとなる。このベルト１の周囲には、チェーン
等によって連結した複数の耐熱ブロック３が配置され、
これら耐熱ブロック３は、ベルト１の走行に同期して移
動する。

耐熱ブロック３は、ベルト１が直線状に走行する上部で
湯溜り部４の側部を仕切るサイド堰５となる。他方、湯
溜り部４の後方には、固定堰６が設けられている。これ
によって、ベルト１の進行方向のみが開放された湯溜り
部４が形成される。この湯溜り部４に、注湯装置７から
溶融金属８が注湯される。

注湯された溶融金属８は、ベルト１の裏面に配置されて
いる冷却装置９により抜熱され、冷却・凝固して凝固シ
ェル10となる。この凝固シェル10は、ベルト１の移動に
伴って、第４図において右方向に搬送される。この搬送
の過程で抜熱が継続しているので、凝固シェル10は所定
の厚みをもつ薄帯11に成長し、湯溜り部４から送り出さ
れる。

この薄帯11は、次いで加圧ロール12によって目標板厚に
圧延され、巻取り装置13によって薄板コイル14として巻
き取られる。

〔発明が解決しようとする問題点〕

この連続鋳造装置における湯溜り部４では、ベルト１の
表面における凝固シェル10の生成・成長の外に、固定堰
６に接触する部分における凝固が生じる。第５図は、こ
の部分での溶融金属の凝固状態を示す。すなわち、湯溜
り部４の溶融金属は、その保有熱が固定堰６を介しても
放散する。その結果、固定堰６に接触する部分に凝固物
15が付着する。この凝固物15は、時間経過と共に成長
し、本来の目的とする凝固シェル10に連続するようにな
る。凝固物15が凝固シェル10に連続すると、凝固シェル
10を搬出しているベルト１の走行力が凝固物15に加わ
り、固定堰６から凝固物15が剥離される。凝固物15が剥
離された後の固定堰６内壁には、凝固物15が再度付着す
る。このようにして、凝固物15の剥離が断続的に行わ
れ、これが薄帯11において皺，波内等の表面欠陥となっ
て現れる、いわゆるコールドシャットが生じる。

この凝固物15の剥離に起因する欠陥を防止するための手
段としては、固定堰６を介した放熱を抑制するため、固
定堰６内面に断熱性の良好な耐火物層を設けることが考
えられる。しかし、この耐火物ライニングによっても、
その放熱を完全に無くすことはできず、依然として凝固
物15の生成がみられ、コールドシャットを防止すること
ができない。また、固定堰６に振動を与える手段を付設
する方法も考えられるが、この場合には振動付与手段を
別途配置することが必要となるため、装置の構成が複雑
となる。

また、湯溜り部４で生成する凝固シェル10はベルト１の
表面状態によって、その生成・成長速度が異なる。たと
えば、平坦な表面をもつベルト１を使用するとき、第５
図に示す凝固開始点16は、制御できない溶鋼の流動，ベ
ルト−溶鋼間の熱伝導率，ベルト−溶鋼間の濡れ性の差
異により板幅方向に不規則に変化し、これが連なって鋳
片に不規則な表面皺が形成される。

そこで、本発明は、別途の振動付与手段を配置する必要
なく、ベルト自体の形状に改良を加えることによって、
コールドシャット及び不規則表面皺の発生を防止し、表
面性状の優れた金属薄帯を製造することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の単ベルト式連続鋳造装置用ベルトは、その目的
を達成するために、走行する金属ベルトと、金属ベルト
上に設けたサイド堰と後面堰とにより、金属ベルト表面
上に形成した湯溜まり部に、金属溶湯を注湯し、金属ベ
ルトを介した抜熱によって金属溶湯を凝固せしめて金属
薄帯を製造する、単ベルト式連続鋳造装置に使用される
ベルトであって、幅方向又は斜め方向に延在する凹部及
び／又は凸部を連続的又は断続的に設けたことを特徴と
する。

〔実施例〕

以下、図面を参照しながら、実施例により本発明の特徴
を具体的に説明する。

第１図は、本発明実施例のベルトを使用して湯溜り部を
形成したときの、凝固シェル及び凝固物の生成状況を説
明する図である。なお、第１図において、第５図に対応
する部材等については、同一の符番で指示している。

本例のベルト１には、多数の凸部1a及び凹部1bが交互に
一定の間隔で設けられている。この凹凸のあるベルト１
を鋳造方向Ｘに走行させるとき、凸部1a及び凹部1bが周
期的に固定堰６の下面に当接する。これによって、固定
堰６はベルト１と直角な方向Ｙに振動する。また、固定
堰６の下面からベルト１表面までの距離が周期的に変わ
ることにより、固定堰６内壁に付着生成した凝固物15が
湯溜り部４にある溶融金属によって加熱され、再度溶融
する。この距離の周期的変化が、固定堰６の振動と相俟
って、固定堰６内壁に付着生成した凝固物15を大きくな
り過ぎないうちに固定堰６の内壁から剥離する。

また、ベルト１の表面に設けた凹凸は、第５図に示すよ
うに、凝固開始点16を幅方向に揃える作用を及ぼし、そ
の上に形成される凝固シェル10に不規則な表面皺が発生
することが防止される。すなわち、凝固シェル10には、
ベルト１表面の凹凸に対応した規則的な凹凸があるに過
ぎない。この凹凸は充分に小さなものであるので、必要
に応じて加圧ロール12による圧下により除去することが
できる。この圧下時の金属薄帯は依然として高温の柔ら
かい状態にあるため、圧下力は僅かなもので済む。或い
は、この凹凸を残したままの金属薄帯を製品として使用
することもできる。たとえば、塗装の下地としてこの凹
凸を使用することにより、塗料の付着性が向上する。

凸部1a及び凹部1bは、第２図（ａ）に示すように、ベル
ト１の幅方向に沿って設けることができる。或いは、同
図（ｂ）に示すように、その幅方向に対して傾斜させた
状態で設けることもできる。

第１図の例では、凸部1a及び凹部1bを交互に断続的に設
けている。しかし、ベルト１表面に設ける凹凸は、この
例に拘束されるものではなく、たとえば第３図に示すよ
うに種々の凸部1a又は凹部1bとすることが可能である。

同図（ａ）の例では、連続する波状の凸部1a及び凹部1b
をベルト１表面に設けている。同図（ｂ）の例では、凸
部1aを断続的にベルト１の表面に設けている。また、同
図（ｃ）の例では、凹部1bを断続的にベルト１表面に設
けている。これらの凹凸によっても、第１図の例と同様
に、固定堰６に振動を付与しコールドシャットを防止す
ることができる。

第３図（ａ）において、凹部1bから凸部1aまでの高さＡ
を0.1〜2mmとし、隣接する凸部1aの距離Ｂを40mm以下と
することが好ましい。この高さＡが0.1mm未満である
と、凹凸形成による効果が薄らぎ、コールドシャット及
び不規則表面皺が発生し易くなる。他方、高さＡが2mm
を越えるとき得られた金属薄帯に深い横皺が発生し、加
圧ロールによってその横皺を除去することができなくな
る。同様な意味において、第３図（ｂ）における凸部1a
の高さＣ又は第３図（ｃ）における凹部1bの深さＥを0.
2〜3mmとし、隣接する凸部1aの距離Ｄ又は凹部1bの距離
Ｆを100mm以下とすることが好ましい。

次いで、具体的な操業条件及び得られた金属薄帯の性状
を示す。

ベルト１としては、第３図（ａ）に示した凹凸を連続的
に形成したものを使用した。このベルト１には、凹凸の
高さＡが0.3mmで隣接凸部1a間の距離Ｂが1.2mmの凸部1a
及び凹部1bが設けられている。そして、湯溜り部４に普
通鋼組成をもち温度1570℃の溶融金属を240kg/分の流量
で注入し、幅250mmで肉厚7mmの金属薄帯を20m/分の速度
で鋳造した。このとき、ベルト１に不規則な形状変化は
みられなかった。また、得られた金属薄帯には、コール
ドシャットに起因する亀裂や表面荒れ等の欠陥が皆無で
あった。

他方、平坦なベルト１を使用した場合、得られた金属薄
帯の平坦度も悪いものであった。また、表面には２本/3
mの割合でコールドシャットが発生していた 〔発明の効果〕 以上に説明したように、本発明においては、単ベルト式
連続鋳造装置において、用いられる、規則的な凹凸を設
けた表面をもつベルトを使用することにより、固定堰に
振動を付与すると共に、ベルトに加わる応力を分散させ
ている。その結果、コールドシャットに起因する亀裂や
表面荒れが防止され、形状特性の優れた金属薄帯が得ら
れる。また、ベルトに大きな力が働くことがないので、
ベルトの耐久性も向上する。このように、本発明による
とき、単ベルト式連続鋳造法の実施が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例のベルトを使用して鋳造を行って
いるときの湯溜り部の状況を説明する図であり、第２図
は凹凸を設けたベルトの平面図、第３図は他の実施例に
おける凹凸の形状を示す。他方、第４図は本発明者等が
先に提案した単ベルト式連続鋳造装置を示し、第５図は
従来の装置においてコールドシャットが生じることを説
明する図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】走行する金属ベルトと、金属ベルト上に設
   けたサイド堰と後面堰とにより、金属ベルト表面上に形
   成した湯溜まり部に、金属溶湯を注湯し、金属ベルトを
   介した抜熱によって金属溶湯を凝固せしめて金属薄帯を
   製造する、単ベルト式連続鋳造装置に用いるベルトにお
   いて、幅方向又は斜め方向に延在する凹部及び／又は凸
   部を連続的又は断続的に設けたことを特徴とする単ベル
   ト式連続鋳造装置用ベルト。