JPH0324273Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔本考案の技術分野〕 本考案は、ベルト式連続鋳造装置に関する。

〔従来のベルト式連続鋳造装置〕

従来のベルト式連続鋳造装置を第２〜４図に基
づいて説明すると、第２図は同装置の縦断面図、
第３図は第２図−線矢視図、第４図は同装置
の鋳型ベルト面の拡大詳細図である。この従来装
置において、対向している一対の鋳型ベルト４
は、対向している一対の短辺鋳型８をはさんで鋳
型を構成している。該鋳型上方には、図示せぬタ
ンデイシユが配設され、該鋳型下方には図示せぬ
鋳片引抜装置が配設されている。

一対の鋳型ベルト４の対向面４ａは、平滑な鋳
型面４ａであつて溶湯に接触する。鋳型面４ａの
裏側には、冷却水分配器７とフインロール６が配
設されている。冷却水分配器７には、鋳型ベルト
４の冷却水接触面４ｂに向かうノズル７ａが取付
けられている。フインロール６はその外周面が、
鋳型面の裏面である冷却水接触面４ｂに接するよ
うに位置ぎめされている。

鋳型ベルト４は、一対のプーリ５に巻掛けられ
ている。このプーリ５は図示しない駆動装置に連
結され、鋳型ベルト４の鋳型面４ａを鋳片３の移
動方向へ動かす。また、プーリ５は鋳型ベルト４
に張力を加え、鋳型面を平面に保つ。

鋳型上方には図示しないフラツクスパウダ供給
装置が設置され、その出口は鋳型上方開口をのぞ
き込むよう位置ぎめされている。

上記従来装置の作用を説明すると、ノズル７ａ
からの噴出水流は、鋳型ベルト４の冷却水接触面
４ｂに接触して鋳型面４ａから鋳型ベルト４へ入
る熱を奪う。また短辺鋳型８の内部の水路に高速
の冷却水流を通すことにより、その鋳型面も冷却
される。

鋳型上方のタンデイシユノズルから流出した溶
湯１は鋳型内に流入しそこで前記したような各鋳
型面の冷却作用によつて、凝固層３ａなどを生成
する。該凝固層３ａは、鋳型下方の鋳片引抜装置
によつて鋳型外に引出される。また、該凝固層３
ａに接する鋳型面４ａも、プーリ５の回転につれ
て、凝固層３ａと同方向に移動する。

鋳型ベルト４は、プーリ５を通過する際の曲げ
応力を抑制するために通常厚さ１mm前後の薄鋼板
で作られる。

更に、鋳型ベルト４の熱応力・熱変形を抑制す
るためにその過熱を防ぐ必要があり、そのため
に、冷却水接触面４ｂには高速水流を流し、該部
の熱伝達率を高めている。

これらの事柄は、鋳型ベルト４の冷却能力を著
るしく高めることになり、そのような急冷鋳型に
よつては鋳片３表面に湯じわ、割れなどが生じや
すい。このような鋳片３の表面品質の低下を防ぐ
ためには、鋳片３の急冷を避けなければならない
が、一方、前述の理由によつて鋳型ベルト４の過
熱は許せない。鋳型ベルト４の過熱を許さず、鋳
片３を緩冷却するには、鋳片３と鋳型ベルト４の
境界に熱抵抗を付与するのが有効である。

このために、鋳型内の溶湯表面にフラツクスパ
ウダを注入しその下層を溶湯の熱によつて溶融
し、(1)溶湯表面を浄化する、(2)フラツクス溶融体
を鋳片と鋳型の境界に導入して潤滑・離型作用と
共に熱抵抗を付与する、などの効果をもたらすい
わゆるパウダキヤステイング法は、従来から往復
動鋳型を用いた連続鋳造装置において公知であつ
て、その有効性を実証されている。

〔上記従来装置の欠点〕

然しながら、鋳型面４ａも鋳片３と同じく一方
向に移動するベルトを鋳型に用いるベルト式連続
鋳造装置では、フラツクス溶融体２ａ、鋳片３の
初期凝固層３ａ、鋳型面４ａは第４図のようにな
つて、初期凝固層３ａと鋳型面４ａの境界にフラ
ツクス溶融体２ａが導入されにくい。そして、鋳
型ベルト４の鋳型面４ａが平滑であるとき、鋳片
３の初期凝固層３ａと鋳型面４ａの境界に、フラ
ツクス溶融体２ａが導入されにくく、その断熱・
離型の能力を活用できない欠点を有している。

〔本考案の目的〕

本考案は、上記従来装置の欠点を解消すること
を目的とし、詳細には、本考案は、鋳型内の溶湯
面に供給されるフラツクスパウダが鋳片の初期凝
固層と鋳型ベルトの鋳型面との境界に容易に導入
されるようにしたベルト式連続鋳造装置を提供す
ることを目的とする。

〔本考案の構成〕

そして、本考案は、上記目的を達成する手段と
して、鋳型ベルトの鋳型面に微細な凹凸を設ける
点にある。すなわち、本考案は、少くとも１個が
エンドレスの鋳型ベルトからなる鋳型の上方開口
から溶湯を注入し、該鋳型の下方開口から鋳片を
引き出すようにしたベルト式連続鋳造装置におい
て、鋳型ベルトの鋳型面に30〜100μm凹凸を設
け、かつ、該鋳型内の溶湯面にフラツクスパウダ
を供給する手段を配設してなることを特徴とする
ベルト式連続鋳造装置である。

本考案において、鋳型ベルトの鋳型面に微細な
凹凸を設ける手段としては、硬鋼又はアルミナの
グリツト、＃20〜＃80を用いたグリツトプラステ
イング（grit blasting）が好適である。これによ
つて表面あらさ30〜100μmの微細な凹凸が得るこ
とができる。また、本考案において、鋳型内の溶
湯面にフラツクスパウダを供給する手段として
は、該溶湯面近傍にフラツクスパウダ供給管を配
設するなど従来から採用されている周知の手段が
採用できるものである。

以下、本考案を第１図に基づいて詳細に説明す
る。第１図は本考案の実施例であつて、ベルト式
連続鋳造装置における鋳型ベルト面の拡大詳細図
である。第１図において、 鋳型内溶湯１０１の湯面上にフラツクスパウダ
１０２が堆積しており、その下層は溶湯の熱を受
けて溶融状態にある。

鋳型内溶湯１０１は、鋳型面１０４ａの冷却作
用を受けて初期凝固層１０３ａを生成している。

鋳型ベルトの鋳型面１０４ａにはグリツドプラ
ステイングによつて形成した微細な凹凸が付いて
いる。その裏面１０４ｂは、フインロール１０６
の外周面によつて支えられている。また冷却水接
触面１０４ｂには冷却水が常に接触している。

初期凝固層１０３ａは、図示せぬ引抜装置によ
つて下方に引抜かれ、鋳型ベルト１０４は、図示
せぬプーリによつて鋳片引抜方向に移動する。

フラツクス溶融体１０２ａは、鋳型面１０４ａ
の微細凹凸に引掛けられ、初期凝固層１０３ａ、
鋳型ベルト１０４が下降するとき、両者の界面に
引込まれ、界面導入層１０２ｂを形成する。な
お、フラツクス溶融体１０２ａは、鋳型面１０４
ａに近い部分が冷却作用を受けて流動性が低下し
ており、このため、鋳型面１０４ａに形成されて
いる微細凹凸による引掛け作用は非常に効果的で
ある。

〔本考案の効果〕 本考案は、以上詳記したように、鋳型ベルトの
鋳型面に微細な凹凸を設けたものであるから、該
鋳型面にフラツクスパウダの溶融体が極めて容易
に被覆される効果が生じ、その結果、表面品質の
良好な鋳片が得られる効果が生ずるものである。
また、従来往復動鋳型式連続鋳造装置で採用され
ているパウダキヤステイング法の効用（潤滑・離
型及び熱抵抗性付与の効用）がベルト式連続鋳造
装置にも生ぜしめることが出来る効果が生ずるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例であるベルト式連続鋳
造装置における鋳型ベルト面の拡大詳細図であ
る。第２〜４図は従来のベルト式連続鋳造装置を
示す図であつて、第２図は同装置の縦断面図、第
３図は第２図−線矢視図、第４図は同装置の
鋳型ベルト面の拡大詳細図である。 １０１……溶湯、１０２……フラツクスパウ
ダ、１０２ａ……フラツクスパウダの溶融層、１
０２ｂ……界面導入層、１０３ａ……鋳片の初期
凝固部、１０４……鋳型ベルト、１０４ａ……鋳
型面、１０４ｂ……冷却水接触面、１０６……フ
インロール、１……溶湯、２……フラツクスパウ
ダ、２ａ……フラツクス溶融体、３……鋳片、３
ａ……初期凝固層、４……鋳型ベルト、４ａ……
鋳型面、４ｂ……冷却水接触面、５……プーリ、
６……フインロール、７……冷却水分配器、７ａ
……ノズル、８……短辺鋳型。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも１個がエンドレスの鋳型ベルトから
   なる鋳型の上方開口から溶湯を注入し、該鋳型の
   下方開口から鋳片を引き出すようにしたベルト式
   連続鋳造装置において、鋳型ベルトの鋳型面に30
   〜100μmの凹凸を設け、かつ、該鋳型内の溶湯面
   にフラツクスパウダを供給する手段を配設してな
   ることを特徴とするベルト式連続鋳造装置。