JPH0761935A - 静注用免疫グロブリン製剤の製造方法 - Google Patents

静注用免疫グロブリン製剤の製造方法

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JPH0761935A
JPH0761935A JP21049493A JP21049493A JPH0761935A JP H0761935 A JPH0761935 A JP H0761935A JP 21049493 A JP21049493 A JP 21049493A JP 21049493 A JP21049493 A JP 21049493A JP H0761935 A JPH0761935 A JP H0761935A
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immunoglobulin
treatment
supernatant
intravenous injection
fraction
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JP21049493A
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Naoto Furuhata
直人 古畑
Yutaka Hirao
豊 平尾
Kazuo Takechi
和男 武智
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 免疫グロブリンを含む画分を出発原料とし
て、夾雑するウィルスが不活化するのに充分な条件下、
pH4.5〜6.5でしかも安定化剤の存在下に液状で
加熱処理し、pH5.1〜5.4、イオン強度0.00
01〜0.1M、温度0〜4℃の条件下、分子量1,0
00〜10,000のポリエチレングリコール6〜10
w/v%で処理して上清を回収し、この上清をpH7〜
10、イオン強度0.0001〜0.1M、温度0〜4
℃の条件下、分子量1,000〜10,000のポリエ
チレングリコール10〜15w/v%で処理して沈殿を
回収する工程からなる静注用免疫グロブリン製剤の製造
方法。 【効果】 免疫グロブリンが殆ど不活化されておらず、
夾雑ウィルスが不活化され、グロブリン二量体の含有量
が極めて少なく、溶解性がよく、抗補体活性が充分に低
く、安全性と有効性の高い静注用免疫グロブリン製剤が
効率よく得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静注用免疫グロブリン
製剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血漿蛋白成分である免疫グロブリンのう
ち、特にIgGを主成分とする免疫グロブリン製剤は、
これまで広く感染症の予防および治療に用いられてき
た。
【0003】この免疫グロブリン製剤中の、肝炎ウィル
ス等の夾雑ウィルスの混在は必ずしも否認されていな
い。そこで、夾雑ウィルスの不活化法として液状加熱処
理法(特開昭61−191622号等)或いは乾熱処理
法(特開昭61−78730号、特開昭60−2701
95号等)が提案されている。
【0004】この加熱処理法を発展させて、ポリエチレ
ングリコール(以下、PEGという)分画処理、陰イオ
ン交換体処理等と組み合わせることにより、臨床上適用
できる製剤、すなわち、安全性と有効性の高い静注用免
疫グロブリン製剤を製造できる方法を確立した(特開昭
63−183539号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の静注
用免疫グロブリン製剤の製造方法についてさらに改良検
討を行い、収率改善・生産性の向上・夾雑蛋白のさらな
る除去等を課題とするものである。従って、本発明の目
的は、夾雑ウィルスを不活性化し、夾雑蛋白が極めて少
なく、臨床上適用できる製剤、すなわち、安全性と有効
性がさらに高い静注用免疫グロブリン製剤の効率的な製
造方法を提供することにある。
【0006】本発明者らは、この目的に沿って静注用免
疫グロブリン製剤の工業的な製法について検討し、ポリ
エチレングリコール(以下、PEGという)分画処理、
加熱処理等を組み合わせ、各工程の処理条件を設定して
本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、その特
許請求の範囲に記載した通りであり、特に免疫グロブリ
ンを含む画分を出発原料とする、以下の処理からなる静
注用免疫グロブリン製剤の製造方法に関する。
【0008】(a) 夾雑するウィルスが不活化するの
に充分な条件下、pH4.5〜6.5でしかも安定化剤
の存在下に液状で加熱処理する。 (b) pH5.1〜5.4、イオン強度0.0001
〜0.1M、温度0〜4℃の条件下、分子量1,000
〜10,000のPEG6〜10w/v%で処理して上
清を回収する。 (c) (b) の上清をpH7〜10、イオン強度0.0
001〜0.1M、温度0〜4℃の条件下、分子量1,
000〜10,000のPEG10〜15w/v%で処
理して沈殿を回収する。
【0009】(出発原料)本発明の出発原料としては、
免疫グロブリンを含む画分が使用され、これはヒト血漿
由来であって、免疫グロブリン画分を含むものであれば
特に限定されない。具体的には、コーンのエタノール分
画により得られる画分II+III 、画分II、および免疫グ
ロブリンを含むこれらと同等の画分のペースト等が挙げ
られる。また、この出発原料は、ヒト血液型抗体、カリ
クレイン、プレカリクレイン、IgM、IgG重合体な
どを含んでいてもよい。
【0010】(製法)本発明による製造方法は、好まし
くは以下の処理よりなる。 低濃度PEG処理工程 本工程は出発原料を低濃度PEGで処理し、上清を回収
する工程である。出発原料を適当な水性溶媒に懸濁す
る。水性溶媒の溶質として、たとえば塩化ナトリウム、
リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酢酸、酢酸ナトリ
ウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム等を含ませてもよ
い。
【0011】この懸濁液を分子量1,000〜10,0
00(好適には約2,000〜6,000)のPEGで
処理する(例えば、両者を混合する)。処理条件は、P
EG濃度6〜10w/v%(特に8w/v%)、pH
5.1〜5.4(特に5.2〜5.3)、イオン強度
0.0001〜0.1M(特に、0.0001〜0.0
1M)とする。この際、蛋白濃度1〜20w/v%(特
に、1〜5w/v%)であることが好ましい。当該処理
は、0〜4℃程度で通常30分〜6時間程度攪拌するこ
とによって行われる。その後、例えば遠心分離(600
0〜8000rpm、10〜30分間)して上清を回収
する。
【0012】高濃度PEG処理工程 本工程はの工程で得られた上清を高濃度PEGで処理
し、沈殿を回収する工程である。上記上清を分子量1,
000〜10,000(好適には2,000〜6,00
0)のPEGにてさらに処理する(例えば、両者を混合
する)。処理条件は、PEG濃度10〜15w/v%
(特に、11〜13w/v%)、pH7〜10(特に8
〜9)、イオン強度0.0001〜0.1M(特に、
0.0001〜0.01M)とする。この際、蛋白濃度
1〜20w/v%(特に、1〜5w/v%)であること
が好ましい。当該処理は、0〜4℃程度で通常30分〜
6時間程度攪拌することによって行われる。その後、例
えば遠心分離(6000〜8000rpm、10〜30
分間)して沈殿を回収する。
【0013】陰イオン交換体処理工程 本工程はの工程で得られた沈殿画分を水性溶媒に溶解
後、または後記の工程の処理後陰イオン交換体で接触
処理して非吸着画分を回収する工程である。本工程は、
IgM、IgG重合体を除くために行われる。
【0014】(i)陰イオン交換体の調製 陰イオン交換体は、陰イオン交換基を不溶性担体に結合
したものであるが、陰イオン交換基としてはジエチルア
ミノエチル(DEAE)基、四級アミノエチル(QA
E)基等を、不溶性担体としてはアガロース、セルロー
ス、デキストラン、ポリアクリルアミド等を用いること
が出来る。その結合は公知の方法で行われる。
【0015】(ii)処理方法 の工程で得られた沈殿画分を適当な水性溶媒に溶解す
る。水性溶媒はpH5.8〜6.2(好ましくはpH
6.0)、イオン強度0.0001〜0.1Mの水溶液
とする。の工程と同様の溶質を含んでいてもよい。蛋
白質濃度としては、1〜15w/v%(特に、3〜10
w/v%)が好ましい。さらに、上記水性溶媒で平衡化
した陰イオン交換体と接触処理する。その処理に際して
はバッチ法、カラム法のどちらを用いてもよい。
【0016】たとえば、バッチ法では、陰イオン交換体
1mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度と混
合させ、0〜4℃で30分〜2時間程度攪拌した後、遠
心分離(6000〜8000rpm、10〜30分間)
して上清を回収する。カラム法でも、陰イオン交換体1
mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度を接触
させ、非吸着画分を回収する。なお、本の工程は所望
により省略することもできる。また、液状加熱処理を行
う場合にはの固定化ヒト血液型物質処理後に当該陰イ
オン交換体処理を実施することが好ましい。
【0017】固定化ジアミノ化合物による処理 本工程は、の工程で得られた沈殿画分またはの工程
で得られた非吸着画分を固定化ジアミノ化合物で接触処
理して、非吸着画分を回収する工程である。本工程はプ
レカリクレインまたはカリクレインを除くために行われ
る。
【0018】(i)固定化ジアミノ化合物の調製 固定化ジアミノ化合物は、ジアミノ化合物を不溶性担体
に固定化したものである。ジアミノ化合物としては、ア
ミノベンズアミジン、アミノベンズグアニジン、リジ
ン、アルギニン等を用いることができる。不溶性担体と
してはアガロース、セルロース、デキストラン、シリカ
ゲル、ガラス等が用いられる。固定化は公知の方法に準
じればよい。例えば、アガロース、セルロース等は、例
えばCNBr活性化法により、またシリカゲル、ガラス
等はオキシラン法により、ジアミノ化合物を固定化する
ことができる。
【0019】(ii)処理方法 処理対象物、例えばの工程の非吸着画分をpH5〜8
(特に、pH6〜7)、イオン強度0.0001〜0.
1M(特に0.0001〜0.01M)の条件下で固定
化ジアミノ化合物と接触処理する。その際、蛋白濃度1
〜15w/v%(特に、3〜10w/v%)であること
が好ましく、またバッチ法、カラム法のいずれもが好適
に使用される。
【0020】例えばバッチ法では、固定化ジアミノ化合
物1mlに対して上記画分10〜100ml程度を混合
させ、0〜10℃、好ましくは0〜4℃で30分〜4時
間、好ましくは30分〜2時間程度攪拌した後、遠心分
離(6,000〜8,000rpm、10〜30分間)
して上清を回収する。カラム法でも、固定化ジアミノ化
合物1mlに対して上記画分10〜100ml程度を接
触させ、非吸着画分を回収する。本の工程は所望によ
り省略することも可能である。
【0021】固定化ヒト血液型物質処理工程 本工程はの工程の沈殿画分またはの非吸着画分また
はの非吸着画分を固定化ヒト血液型物質で接触処理し
て、非吸着画分を回収する工程である。本工程はヒト血
液型抗体を除くために行われる。
【0022】(i)固定化ヒト血液型物質の調製 固定化ヒト血液型物質は、ヒト血液型物質を不溶性担体
に固定化したものである。ヒト血液型物質の調製は、公
知の方法を用いればよい。例えば、ヒトA、B、ABま
たはO型の赤血球を低張溶液中で溶血、または超音波処
理した後、硫安分画法またはPEG分画法により精製す
ること等により得られる。ヒト血液型物質としては合成
抗原(糖鎖)を用いることもできる〔Human Blood Grou
ps and Carbohydrate Chemistry(1978) Chem.Soc.Rev.
p423〜452 を参照〕。
【0023】さらにこのヒト血液型物質は生理的食塩液
に溶解後、夾雑するウィルスの不活性化に有効とされて
いる、例えば、約50〜70℃、好ましくは約60℃
で、7〜13時間、好ましくは約10時間、または約8
0〜130℃、好ましくは95〜121℃で約1〜40
分、好ましくは約2〜30分間加熱処理する。その後、
遠心分離して不溶物を除去し、蒸留水に対して透析し
て、各ヒト血液型物質を得る。不溶性担体としてはアガ
ロース、セルロース、デキストラン、シリカゲル、ガラ
ス等が用いられる。固定化は公知の方法に準じればよ
い。例えば、アガロース、セルロース、等はCNBr活
性化法により、シリカゲル、ガラス等はオキシラン法に
よりヒト血液型物質を固定化できる。
【0024】(ii)処理方法 処理対象物、例えばの工程の非吸着画分をpH5〜8
(特にpH6〜7)、イオン強度0.0001〜0.1
M(特に0.0001〜0.01M)の条件下で、上記
水性溶媒で平衡化した固定化ヒト血液型物質と接触処理
する。その際、蛋白濃度1〜15w/v%(特に、3〜
10w/v%)であることが好ましく、またバッチ法、
カラム法のどちらを用いてもよい。
【0025】例えば、バッチ法では、固定化ヒト血液型
物質1mlに対して処理対象溶液10〜100ml程度
と混合させ、0〜10℃、好ましくは0〜4℃で、30
分〜4時間、好ましくは30分〜2時間程度攪拌した
後、遠心分離(6,000〜8,000rpm、10〜
30分間)して上清を回収する。カラム法でも、固定化
ヒト血液型物質1mlに対して処理対象溶液10〜10
0ml程度を接触させ、非吸着画分を回収する。
【0026】加熱処理工程 本工程は、所望の段階で安定化剤の存在下に免疫グロブ
リンの抗体活性の減少は最小限にとどめるが、夾雑する
ウィルス、例えばHBウィルス、AIDSウィルス等は
完全に不活性化する条件下で加熱処理する工程である。
加熱処理は溶液状態、即ち免疫グロブリンの水溶液状態
(即ち、液状加熱処理)で行う。安定化剤としては、二
糖類(例、サッカロース、マルトース)、糖アルコール
(例、ソルビトール、マンニトール)、より好ましくは
ソルビトールが好適に例示される。安定化剤の添加量
は、二糖類、糖アルコール等を10w/v%以上(好ま
しくは10〜50w/v%)を用いることが好適に例示
される。
【0027】加熱の対象となる免疫グロブリンの量は、
蛋白質として0.1〜30w/v%(好ましくは5〜2
0w/v%)に調整することが好ましい。液状加熱処理
は水溶液のpHを4.5〜6.5、好ましくはpH5〜
6に調整し、例えば50〜70℃(好ましくは60℃程
度)で10分〜20時間(好ましくは10時間程度)処
理される。また、水溶液のイオン強度としては、0.0
001〜0.1M(特に好ましくは0.0001〜0.
01M)が例示される。液状加熱処理の工程は、出発原
料に対して、またはの工程の後に行うのが好適であ
る。なお、の工程の後に行う場合は、及びの処理
を再度行うことが夾雑物除去の点でより好ましい。
【0028】(液状製剤の調製)得られた免疫グロブリ
ン組成物を常套手段によって1〜10w/v%(好まし
くは3〜7w/v%)になるように水溶液に調整しさら
に安定化剤、例えば、二糖類(ショ糖、マルトース
等)、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール
等)、さらに好ましくはソルビトール1〜20w/v%
(好ましくは、2〜10w/v%)、pH5〜6(好ま
しくはpH5.3〜5.7、特に好ましくは約5.
5)、低電導度、好ましくは電導度1mmho以下(特
に、0.6mmho以下、共に8℃換算)になるよう
に、自体既知の手段にて調整したのち、通常の製剤化技
術に基づいて、除菌濾過、分注等を行う。かくして、静
脈内投与可能な免疫グロブリン製剤が調製される。
【0029】
【作用・効果】本発明においては、上記のような方法に
より静注用グロブリン製剤を製造したため、得られた製
剤中に、IgG重合体が検出されなくなり、また、製造
工程中におけるIgGの収率が向上した。
【0030】本発明により得られた製剤は免疫グロブリ
ンが殆ど不活化されておらず、しかも、抗ヒト血液型物
質抗体等の夾雑物は含まれず、加熱処理を施しているの
で夾雑ウィルスも不活化され、溶解性もよく、抗補体活
性も充分に低い等の性質を有し、昭和60年度発行の日
本国生物学的製剤基準(以下、生基準)をパスできる安
全な製剤である。
【0031】また、本発明により得られた製剤は、用
時、適当な溶媒(例えば、注射用蒸留水)に溶解して、
静脈内投与、点滴等により、感染症等の予防または治療
に用いられる。即ち、本発明は静注用免疫グロブリン製
剤の工業的製法として有益である。
【0032】
【実施例・実験例】本発明をより詳細に説明するために
実施例及び実験例を挙げるが、本発明は、これらによっ
て何ら限定されるものではない。
【0033】(実験例1) 各pHでの低濃度PEG分
画処理 実施例1において、8%PEG分画処理による上清回収
工程を各pHで行い、IgG収率、IgG重合体の有
無、上清濁度を測定した。IgG収率は抗IgG抗血清
を用いた免疫比濁法(ディナクアントaIgG、ベーリ
ンガーマンハイム社製)によるIgG量を測定後に収率
を算出した。IgG重合体はHPLCによるゲル濾過法
(担体はTSKgel G3000SWXL、東ソー社製、溶離液
は0.3 %塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液、pH
6.7)を用いて測定した。上清濁度は目視によった。
結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】低値にpHを設定したものは(pH5.1
〜5.3、サンプル2〜4)、従来法(pH5.0、サ
ンプル5)に比べてIgGの収率が増加し、しかも、遠
心上清は澄明であり、IgG重合体はHPLC分析によ
り検出されなかった。pHを5.0に調整したサンプル
1では、遠心上清が白濁して、IgG重合体がHPLC
分析により検出された。
【0036】(実験例2) 各pHでのDEAE処理 実施例1において、DEAE処理時のpHを5.5(従
来法)と6.0(本発明)で行って比較し、IgG収
率、免疫電気泳動法による沈降線を測定した。また、免
疫電気泳動法では、異常沈降線の濃淡によりIgG以外
の夾雑蛋白の存在を確認できる。免疫電気泳動法は以下
の手順によった。
【0037】寒天板の作製 ベロナール緩衝液にアガロースを1%となるように溶解
し、溶解液を5.5mlずつ試験管に分注し、水平台の上
でガラス板(50 ×75mm) に注いだ。室温で放置してゲル
が固化後に、予め作製した平面図上で寒天板に抗血清を
注ぐ溝と試料を入れる穴を作った。 試料および抗血清の調製 試料を5%濃度(70A280 )に調製した。泳動距離の
指標とするため血漿にはブロムフェノールブルー(以
下、BPB)を添加した。 電気泳動 ベロナール緩衝液を両側に満たした泳動槽に寒天板を設
置し、試料穴に試料を5μl添加後に2号濾紙を用いて
寒天板と緩衝液のブリッジを作った。寒天板1cm当たり
1〜2mAの割合で通電し、BPBで着色したアルブミン
の位置が陽極側より1.5cmの所にきた時( 約1時間)
に泳動を終了した。 抗血清の添加 電気泳動後に予め作製しておいた上記の溝に抗血清60
μlを添加した。 翌日、沈降線の観察を行った。結果を表2に示した。
IgG収率は、DEAE処理前のIgG量を100%と
して表した。
【0038】
【表2】
【0039】DEAE処理時にpH5.5で処理したサ
ンプル6は、異常沈降線物質が検出されたが、DEAE
処理時にpH6.0で処理したサンプル7及び8は、電
気泳動法による確認の結果、異常沈降線物質及びトラン
スフェリンが検出限界以下まで除去されていることが分
かった。また、pH6.0で処理したサンプル7及び8
のIgG収率は、サンプル9(従来法)に比べて改善さ
れていた。
【0040】(実施例1)コーン画分II+III ペースト
1kgを蒸留水10lにて懸濁し、pHを5.5に調整し
た後、遠心分離を行い、上清を回収し、上清100ml当
たりソルビトールを50g(終濃度33w/v%)添加
し、60℃で10時間加熱処理した。加熱終了後、pH
を5.3に調整した後、PEG#4000を終濃度が8
%になるように添加し、2℃で遠心分離を行った。得ら
れた上清を1N−水酸化ナトリウムを用いpH8.8と
した後、PEG#4000を終濃度が12%になるよう
に加え、2℃で遠心分離を行い、沈殿画分にIgG画分
を得た。この溶液をpH6に調整した上で、DEAE−
セファデックスを添加(50ml溶液当たり1ml)し、0
〜4℃の条件下、約1時間接触処理し、処理後遠心分離
(7000rpm 、約20分間)して上清(IgG溶液)
を回収した。このIgG溶液を蒸留水で5%IgG溶液
に調整し、酢酸ナトリウムで溶液のpHを約5.5にし、
さらにソルビトールを終濃度5%まで添加した。この水
溶液(電導度約1mmho)を除菌濾過し静注用免疫グロブ
リン液状製剤を得た。
【0041】本製剤は実質的にIgG単量体のみを含
み、抗補体価も10〜15CH50程度であり、静注用グ
ロブリンとしての生基準にも合格した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 免疫グロブリンを含む画分を出発原料と
    する、以下の工程を含む処理からなることを特徴とする
    静注用免疫グロブリン製剤の製造方法: (a) 夾雑するウィルスが不活化するのに充分な条件
    下、pH4.5〜6.5でしかも安定化剤の存在下に液
    状で加熱処理する。 (b) pH5.1〜5.4、イオン強度0.0001
    〜0.1M、温度0〜4℃の条件下、分子量1,000
    〜10,000のポリエチレングリコール6〜10w/
    v%で処理して上清を回収する。 (c) (b) の上清をpH7〜10、イオン強度0.0
    001〜0.1M、温度0〜4℃の条件下、分子量1,
    000〜10,000のポリエチレングリコール10〜
    15w/v%で処理して沈殿を回収する。
  2. 【請求項2】 工程(c) で得られた沈殿を水性溶媒に溶
    解し、pH5.8〜6.2、イオン強度0.0001〜
    0.1Mの条件下、陰イオン交換体で処理して非吸着画
    分を回収する工程を含んでなる請求項1に記載の静注用
    免疫グロブリン製剤の製造方法。
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Cited By (2)

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