JPH0759871A - 充填材脱落防止具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 構造体に設けた貫通孔内で被覆長尺体に第一
隙間をあけた状態に外嵌可能で、貫通孔内壁に対して第
二隙間をあけた状態に内嵌可能な筒状の貫通スリーブ５
を設けてある。貫通スリーブ５に外嵌係止自在な係止部
７ａを内周面に備え、且つ、構造体１の貫通孔開口面に
接当可能な接当部７ｂを備えた一対の板金製の鍔状スリ
ーブ固定部材７を設け、鍔状スリーブ固定部材７の鍔面
部８の複数箇所に、充填材注入孔８ａを形成する切欠線
Ｌを設け、切欠線Ｌで囲まれた折曲対象部１８を径方向
内方側に折曲した状態で、折曲対象部１８によって、被
覆長尺体３に外嵌した貫通スリーブ５の端部の開口を塞
ぐことができるように、切欠線Ｌを形成してある。 【効果】 構造体への取付け作業の作業性がよく、耐火
性能に優れ、経済性がよい充填材脱落防止具を提供する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、構造体に設けた貫通孔
に挿通した例えば電線や空調配管等の被覆長尺体と前記
貫通孔との間の空間に、その空間を閉塞するための充填
材を充填した状態で、前記貫通孔から前記充填材が脱落
するのを防止するための充填材脱落防止具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の充填材脱落防止具として
は、前記貫通孔の一端側から充填される充填材を受け止
めるための受け板を、前記貫通孔の他端部側の開口を閉
塞するように構造体に沿わせて配置し、その受け板を支
持棒で支持するものがあった。また、前記支持棒を設置
できない状況下においては、前記受け板を釘等によって
構造体に打ち付け固定していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の充填材脱落防止具によれば、支持棒の組付けや
釘等の打ち付けに手間がかかり、構造体への取付け作業
の効率が悪いという欠点があった。本発明の目的は、上
記従来の欠点を解消し、構造体への取付け作業を簡単に
行うことができる充填材脱落防止具を提供することにあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明における充填材脱落防止具の特徴構成は、貫通
孔内で被覆長尺体に対して第一隙間をあけた状態に外嵌
可能で、且つ、貫通孔内壁に対して第二隙間をあけた状
態に内嵌可能な筒状の貫通スリーブを設け、前記貫通ス
リーブに外嵌係止自在な係止部を内周面に備え、且つ、
構造体の貫通孔開口面に接当可能な接当部を備えた一対
の鍔状スリーブ固定部材を設け、前記鍔状スリーブ固定
部材を板金で形成し、前記鍔状スリーブ固定部材の鍔面
部の周方向複数箇所の部位に、それらの部位を前記鍔状
スリーブ固定部材の径方向内方側に折曲することによっ
て充填材注入孔を形成する切欠線を設け、前記切欠線で
囲まれた折曲対象部を前記径方向内方側に折曲した状態
で、前記折曲対象部によって、前記被覆長尺体に外嵌し
た前記貫通スリーブの端部の開口を塞ぐことができるよ
うに、前記切欠線を形成してある点にあり、その作用効
果は次の通りである。

【０００５】

【作用】つまり、上記の構成の貫通スリーブと鍔状スリ
ーブ固定部材とを設けてあるから、構造体の貫通孔内に
貫通スリーブを配置した状態で、鍔状スリーブ固定部材
を構造体の肉厚方向の両側に配置し、鍔状スリーブ固定
部材の接当部を貫通孔開口面に夫々接当させると共に、
鍔状スリーブ固定部材の係止部を貫通スリーブに夫々外
嵌係止させることで、貫通スリーブを構造体に取り付け
ることができる。そして、鍔状スリーブ固定部材を板金
で形成し、鍔状スリーブ固定部材の鍔面部の周方向複数
箇所の部位に、上記の構成の切欠線を設けてあるから、
この切欠線に囲まれた折曲対象部を鍔状スリーブ固定部
材の径方向内方側に折曲することによって充填材注入孔
を形成すれば、この充填材注入孔から貫通孔内壁と貫通
スリーブとの間の第二隙間に充填材を注入することがで
きる。また、被覆長尺体に外嵌した貫通スリーブの端部
の開口から被覆長尺体と貫通スリーブとの間の第一隙間
に注入した充填材に対しては、鍔状スリーブ固定部材の
径方向内方側に折曲された折曲対象部によって前記開口
を塞ぐことで、第一隙間内の充填材が脱落するのを防止
できる。以上に説明したように、本発明にかかる充填材
脱落防止具は、支持棒の組付け作業や釘等の打ち付け作
業をすることなく構造体に取付けることができるから、
構造体への取付け作業を簡単に行うことができる。

【０００６】しかも、この作用効果に加えて以下のよう
な作用効果を奏することができる。 貫通スリーブの長手方向での鍔状スリーブ固定部材
の係止位置を変化させるだけで、構造体表面側への貫通
スリーブの出しろを、施工現場の状況に合わせて簡単に
調節することができる。 構造体の厚みより長さが長い貫通スリーブを用いる
ことができるから、構造体の厚みが薄い場合であって
も、貫通スリーブを長くすることによって、耐火構造上
における貫通孔の必要充填長さを充分確保することがで
きる。 例えば、被覆長尺体と貫通スリーブとの間の充填材
の脱落を防止する手段として、被覆長尺体に外嵌した貫
通スリーブの端部の開口を塞ぐ蓋部材を、貫通スリーブ
に外嵌係止自在に設けた場合に比べると、部品点数を少
なくすることができる。しかも、鍔状スリーブ固定部材
に、貫通スリーブの端部の開口を塞ぐための折曲片や充
填材貫通孔を予めプレス機械等で折曲加工しておく場合
に比べると、鍔状スリーブ固定部材の加工コストの低廉
化を図ることができる。

【０００７】

【発明の効果】従って、支持棒の組付け作業や釘等の打
ち付け作業をすることなく、構造体に取付けることがで
き、しかも、その取付け作業においては、貫通スリーブ
の出しろを、施工現場の状況に合わせて簡単に調節する
ことができる（上記）から、構造体への取付け作業の
作業性がよく、また、構造体の厚みが薄い場合であって
も、耐火構造上における貫通孔の必要充填長さを充分確
保することができる（同）から耐火性能に優れ、さら
に、部品点数を少なくすることができ、鍔状スリーブ固
定部材の加工コストの低廉化を図ることができる（同
）から、経済性がよい充填材脱落防止具を提供するこ
とができた。

【０００８】

【実施例】以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。

【０００９】図１に示すように、構造体の一例であるコ
ンクリート壁１の貫通孔２に挿通する空調配管３（被覆
長尺体の一例）を、充填材脱落防止具Ａと、モルタル
Ｍ、熱膨張性耐火パテ４（共に、充填材の一例）とで貫
通孔２に密閉状態に固定して耐火構造を構成してある。

【００１０】前記空調配管３は、銅管からなる配管本体
３ａを発泡樹脂製断熱部材３ｂで被覆して構成してあ
る。

【００１１】前記充填材脱落防止具Ａは板金製で、詳述
すると、図１、図２に示すように、外周面に雄ネジ部５
ａを備え、且つ、貫通孔２に挿通した空調配管３に、貫
通孔２内で第一隙間Ｄを備えた状態に外嵌可能で、貫通
孔内壁Ｗに対して第二隙間Ｎをあけた状態に内嵌可能な
筒状の貫通スリーブ５を設け、前記雄ネジ部５ａに螺合
自在な雌ネジ部７ａ（前記貫通スリーブ５に外嵌係止自
在な係止部の一例）を内周面に備える円筒部９と、前記
雌ネジ部７ａを前記雄ネジ部５ａに螺合させた状態で、
貫通孔２の開口部周りのコンクリート壁１に接当して前
記第二隙間Ｎを覆うリング状の鍔面部８とからなる鍔状
スリーブ固定部材７を一対設けて前記充填材脱落防止具
Ａを構成してある。

【００１２】前記貫通スリーブ５は、前記貫通孔２より
も長い円筒体で構成してある。前記鍔状スリーブ固定部
材７の鍔面部８の外周側の端部は、軸芯方向に全周にわ
たって折曲してあり、その折曲した端部を、前記コンク
リート内壁Ｗに対する接当部７ｂにしてある。そして、
図２、図３（イ）、（ロ）に示すように、前記鍔面部８
の周方向複数箇所の部位に、それらの部位を鍔状スリー
ブ固定部材７の径方向内方側に折曲することによってモ
ルタル注入孔（充填材注入孔の一例）８ａを形成する切
欠線Ｌを設け、切欠線Ｌで囲まれた折曲対象部１８を前
記径方向内方側に折曲した状態で、折曲対象部１８の端
縁が空調配管３に接当して、その折曲対象部１８が、空
調配管３に外嵌状態の貫通スリーブ５の端部の開口を塞
ぐことができるように、前記切欠線Ｌを形成してある。

【００１３】図１は、折曲対象部１８を、鍔状スリーブ
固定部材７の径方向内方側に夫々折曲してモルタル注入
孔８ａを形成すると共に、折曲対象部１８の端縁を空調
配管３に接当させ、折曲対象部１８によって、空調配管
３に外嵌した貫通スリーブ５の端部の開口を塞いだ状態
を示している（図３（ロ）参照）。折曲対象部１８の端
縁を空調配管３に接当させることで、貫通スリーブ５に
対する空調配管３の径方向の位置を決めることができ
る。なお、空調配管３に対する折曲対象部１８の接当部
は、空調配管３の横断面形状に沿った円弧状になってい
る。前記鍔状スリーブ固定部材７の円筒部９には、前記
貫通孔２に対する貫通スリーブ５の径方向の位置決めを
行う弾性突起１０を、前記貫通孔内壁Ｗ側に向けて周方
向に複数設けてある。この弾性突起１０は、貫通孔２内
において先端部側が貫通孔内壁Ｗに接当するように形成
してあり、夫々の接当力によって前記貫通スリーブ５を
前記貫通孔２のほぼ中央に配置するように構成してあ
る。また、弾性突起１０の先端部は円弧状に屈曲させ
て、貫通孔内壁Ｗに対して前記弾性突起１０が引っ掛か
り難く、且つ、内径が少々異なる貫通孔にも対応できる
ように構成してある。なお前記雌ねじ部７ａは、円筒部
９の内周面の周方向複数箇所にのみネジ山を形成してあ
る。

【００１４】モルタルＭと耐火パテ４との注入は次のよ
うにして行う。まず、鍔状スリーブ固定部材７の複数の
折曲対象部１８のうちの一つを、鍔状スリーブ固定部材
７の径方向内方側に折曲してモルタル注入孔８ａを一つ
だけ形成する。そして、このモルタル注入孔８ａから、
貫通スリーブ５と貫通孔内壁Ｗとの間の第二隙間Ｎにモ
ルタルＭを注入する。モルタルＭが半固化状態になった
ら、複数の折曲対象部１８の一つを残してその他の全て
を前記径方向内方側に折曲し、折曲対象部１８の端縁を
空調配管３に接当させて、その折曲対象部１８で、空調
配管３に外嵌状態の貫通スリーブ５の端部の開口を塞
ぐ。まだ折曲されていない残り一つの折曲対象部１８が
塞ぐべき開口から耐火パテ４を注入し、注入が終わった
ら前記残りの一つの折曲対象部１８を折曲して前記端部
の開口の全てを塞ぐ。なお、折曲対象部１８の二つ以上
を折曲してモルタル注入孔８ａを二つ以上形成したり、
モルタルＭが半固化状態になった後、複数の折曲対象部
１８の二つ以上を残してその他の全てを前記径方向内方
側に折曲し、耐火パテ４を注入するための開口を二つ以
上形成したりするようにしてもよい。

【００１５】上述の貫通スリーブ５、スリーブ固定部材
７は金属によって形成してあるために、火災が生じた場
合にも、前記耐火パテ４、モルタルＭと共に、前記貫通
孔２の密閉状態を維持し、貫通孔２を通した炎や煙の流
通を防ぐことができる。

【００１６】本実施例の充填材脱落防止具Ａによれば、
貫通スリーブ５に螺合させた両スリーブ固定部材７によ
ってコンクリート壁１を挟みこむだけで、貫通孔２のほ
ぼ中央に充填材脱落防止具Ａを取り付けることができ、
耐火パテ４・モルタルＭを第一隙間Ｄ・第二隙間Ｎに各
別に充填するだけで、簡単に空調配管３を貫通孔２に固
定することができ、例えば、火災が生じて空調配管３の
断熱部材３ｂが燃焼しても、その部分は熱膨張した耐火
パテ４が埋めつくし、貫通孔２内に炎や煙が通過する隙
間を発生させない状態を維持することができる。また、
前記耐火パテ４の前記空調配管３長手方向への熱膨張作
用を、鍔状スリーブ固定部材７の折曲状態の折曲対象部
１８によって阻止できるから、耐火パテ４の熱膨張のほ
とんどを、空調配管３の径方向に沿った内側（配管本体
３ａ）へ向けて作用させることができる。

【００１７】〔別実施例〕以下に別実施例を説明する。

【００１８】〈１〉 前記構造体１は、先の実施例で説
明したコンクリート壁に限らず、他の材質で形成してあ
るものや、スラブ・梁・柱等であってもよく、且つ、中
空構造のものであってもよい。それらを総称して構造体
という。また、前記被覆長尺体３は、空調配管に限ら
ず、例えば、電線や給湯配管等であってもよく、それら
を含めて被覆長尺体と総称する。

【００１９】〈２〉 前記充填材４は、耐火パテ４に限
らず、例えば、モルタルや一般的なパテ等であってもよ
い。

【００２０】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】構造体への断熱材脱落防止具の取付状態を表す
断面図

【図２】断熱材脱落防止具を表す分解斜視図

【図３】（イ）鍔状スリーブ固定部材に充填材注入孔を
形成する前の状態を表す斜視図 （ロ）鍔状スリーブ固定部材に充填材注入孔を形成した
状態を表す斜視図

【符号の説明】

１ 構造体 ２ 貫通孔 ３ 被覆長尺体 ４ 充填材 ５ 貫通スリーブ ７ スリーブ固定部材 ７ａ 係止部 ７ｂ 接当部 ８ 鍔面部 ８ａ 充填材注入孔 １８ 折曲対象部 Ｄ 第一隙間 Ｌ 切欠線 Ｎ 第二隙間 Ｍ 充填材 Ｗ 貫通孔内壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 構造体（１）に設けた貫通孔（２）に挿
   通した被覆長尺体（３）と前記貫通孔（２）との間の空
   間に、その空間を閉塞するための充填材（４，Ｍ）を充
   填した状態で、前記貫通孔（２）から前記充填材（４，
   Ｍ）が脱落するのを防止するための充填材脱落防止具で
   あって、 前記貫通孔（２）内で前記被覆長尺体（３）に対して第
   一隙間（Ｄ）をあけた状態に外嵌可能で、且つ、貫通孔
   内壁（Ｗ）に対して第二隙間（Ｎ）をあけた状態に内嵌
   可能な筒状の貫通スリーブ（５）を設け、前記貫通スリ
   ーブ（５）に外嵌係止自在な係止部（７ａ）を内周面に
   備え、且つ、前記構造体（１）の貫通孔開口面に接当可
   能な接当部（７ｂ）を備えた一対の鍔状スリーブ固定部
   材（７）を設け、前記鍔状スリーブ固定部材（７）を板
   金で形成し、前記鍔状スリーブ固定部材（７）の鍔面部
   （８）の周方向複数箇所の部位に、それらの部位を前記
   鍔状スリーブ固定部材（７）の径方向内方側に折曲する
   ことによって充填材注入孔（８ａ）を形成する切欠線
   （Ｌ）を設け、前記切欠線（Ｌ）で囲まれた折曲対象部
   （１８）を前記径方向内方側に折曲した状態で、前記折
   曲対象部（１８）によって、前記被覆長尺体（３）に外
   嵌した前記貫通スリーブ（５）の端部の開口を塞ぐこと
   ができるように、前記切欠線（Ｌ）を形成してある充填
   材脱落防止具。
2. 【請求項２】 前記折曲対象部（１８）を前記径方向内
   方側に折曲した状態で、前記折曲対象部（１８）の端縁
   が前記被覆長尺体（３）に接当するように前記切欠線
   （Ｌ）を形成してある請求項１記載の充填材脱落防止
   具。