JPH075886U - 車両用表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 開閉部材の制御により、表示光の透過遮断が
選択され、これによって複数かつ異なる結像距離を有す
る虚像の何れかを結像させるもので、走行状態や表示内
容に適した表示を行う車両用表示装置を提供する。 【構成】 車両室内に設置されて表示器４からの表示光
５を光学部材６により運転者８の前方に設置した反射部
材７に照射して運転者８の前方に虚像９を結像させる車
両用表示装置に関する。表示器４は指向性が広いものを
用い、光学部材６は虚像９が複数かつ異なる結像距離Ｌ
ａ，Ｌｂを有するように異なる種類のミラー６ａ，６ｂ
を用い、この光学部材６と反射部材７との間に表示光５
の透過遮断を制御する開閉部材１０を設けた。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両用表示装置に関し、特に表示器からの表示光を運転者の前方の 反射部材で反射させ、運転者の視野内前方に虚像として結像させる、いわゆるヘ ッドアップディスプレイと呼ばれるものに好適な車両用表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、車両の表示装置として、表示器からの運転情報を虚像として運転者の前 方に結像させるヘッドアップディスプレイが各種提案され、実用化されており、 かかる装置としては、例えば特開平５−８５２２４号公報に記載されているもの がある。

【０００３】 図３は、従来例を示し、１はフロントガラス、２はダッシュボード３内に埋設 されたプロジェクタで、このプロジェクタ２は、ドットマトリクス型ＬＣＤやＣ ＲＴ等の表示器４やこの表示器４からの表示光５を所定方向へ導くミラーやレン ズ等の光学部材６を含み、表示光５はフロントガラス１の内面に設けたコンバイ ナである反射部材７で運転者８方向へ反射され、運転者８の視野内前方（例えば ２ｍ前方）に結像された虚像９を運転情報として運転者８が見るものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来の虚像９の結像位置すなわち表示位置は一定であった。このた め、走行状態の変化に対応できず、すなわち車両の走行速度の上昇に伴う運転者 ８の焦点の遠方化において、運転者８の焦点と虚像９の表示位置との間の差が大 きくなり走行速度が大きい程虚像９が見にくくなるという不具合が生じていた。 また、表示内容によっては、運転者８に対して表示位置は近くの方が見やすかっ たり、逆に遠くの方が見やすかったりするもので、例えば文字や数字等の内容を 判読させる必要のあるものは運転中の焦点に近い表示位置となるように後者が望 ましく、図形等のパターン認識で十分なものは迫力ある表示を行うように前者が 適している。

【０００５】 このような不具合を解消することを目的として、虚像９の表示位置を変化させ るものが、例えば実開昭６１−１３３１２５号，同６１−１３４４３７号，同６ ３−４５５２６号，同６３−７２２３８号の各公報で開示されているが、構成が 大がかりとなる問題を有していた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、前記課題を解決するため、車両室内に設置されて表示器からの表示 光を光学部材により運転者の前方に設置した反射部材に照射して前記運転者の前 方に虚像を結像させる車両用表示装置において、前記表示器は指向性が広いもの を用い、前記光学部材は前記虚像が複数かつ異なる結像距離を有するように異な る種類のミラーを用い、この光学部材と前記反射部材との間に前記表示光の透過 遮断を制御する開閉部材を設けたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

開閉部材の制御により、表示光の透過遮断が選択され、これによって複数かつ 異なる結像距離を有する虚像の何れかを結像させるもので、走行状態や表示内容 に適した虚像を得ることができる。

【０００８】

【実施例】

本考案を図１，２に記載した各実施例に基づき説明する。なお、前記従来例と 同一もしくは相当個所には同じ符号を付してその詳細な説明は省く。

【０００９】 図１は、実施例の要部であるプロジェクタ２の構成を示しており、表示器４と 光学部材６と開閉部材１０とを含んでいる。

【００１０】 表示器４は、指向性が広い例えばＣＲＴを用い、図示しない駆動回路及びセン サと電気的に接続され、車両の運転情報を表示光５として照射する。

【００１１】 光学部材６は、２枚のミラー６ａ，６ｂから成り、１枚は通常の平板状，１枚 は凹面状であって、後者６ｂは前者６ａの前方に位置して配置してあり、表示器 ４からの表示光５を受けて反射部材７方向へ反射させる。

【００１２】 開閉部材１０は、光学部材１０と反射部材７との間に位置して設けられ、光学 部材６の各ミラー６ａ，６ｂに対応して夫々のミラー６ａ，６ｂで反射された表 示光５を個別に透過遮断できるように２個のＬＣＤ１０ａ，１０ｂから成り、図 示しない駆動回路による制御で光透過率を変化させて前記透過遮断を行う。

【００１３】 かかる構成により、例えば車両の走行速度が低い時には、ＬＣＤ１０ａをオー プン状態，ＬＣＤ１０ｂをクローズ状態と選択することにより、表示器４からの 表示光５は、ミラー６ａで反射されたもののみがＬＣＤ１０ａを透過して反射部 材７に照射され、虚像９ａを運転者８の前方に結像し、走行速度が高い時には、 ＬＣＤ１０ｂをオープン状態、ＬＣＤ１０ａをクローズ状態と選択することによ り、表示器４からの表示光５は、ミラー６ｂで反射されたもののみがＬＣＤ１０ ｂを透過して反射部材７に照射され、虚像９ｂを運転者８の前方に結像するよう に制御できる。この場合、表示光５の光路が長くミラー６ｂが凹面状であること により、虚像９ａの結像位置Ｌａと虚像９ｂの結像位置Ｌｂは、Ｌａ（例えば２ ｍ）＜Ｌｂ（例えば５ｍ）の関係となり、走行速度に応じた見やすい表示位置を 得ることができる。

【００１４】 あるいは、図２で示すように、図形等のパターン認識で十分なものを表示する 時は、迫力ある表示を行うように近い虚像９ａ（図２（ａ））、文字や数字等の 内容を判読させる必要のあるものを表示する時は、運転中の焦点に近い表示位置 となるように遠い虚像９ｂ（図２（ｂ））を、夫々選択することにより、表示内 容に応じた見やすい表示位置を得ることもできる。

【００１５】 なお、本考案は、その要旨の範囲無いで種々の変更が可能であり、例えば開閉 部材１０は１個のＬＣＤで構成することもでき、あるいは、開閉可能なメカニカ ルルーバのような機械的に表示光５の透過遮断を制御するものでも良い。

【００１６】 また、表示光５を同一の反射部材７に照射して虚像９（９ａ，９ｂ）を結像さ せる他、実開平２−１１２５３６号公報で示されているように、反射部材７を分 けて、一部はフロントガラス１の内面に、一部はフロントガラス１と運転者８と の間に、夫々独立して設け、夫々の反射部材７でミラー６ａ，６ｂからの表示光 ５を受けるように構成しても良い。

【００１７】 また、反射部材７のうち、ミラー６ｂで反射された表示光５を受ける部分は、 入射角が大きくなって運転者８方向へ反射されないことが考えられるが、実開平 ３−８８８３３号公報で示されているように、反射部材７として入射角と反射角 とを異ならせることのできるホログラフィク部材を用いることにより、入射角に 依存せずに反射角を所望角度に設定することができる。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は、車両室内に設置されて表示器からの表示光を光学部材により運転者 の前方に設置した反射部材に照射して前記運転者の前方に虚像を結像させる車両 用表示装置において、前記表示器は指向性が広いものを用い、前記光学部材は前 記虚像が複数かつ異なる結像距離を有するように異なる種類のミラーを用い、こ の光学部材と前記反射部材との間に前記表示光の透過遮断を制御する開閉部材を 設けたものであり、開閉部材の制御により、表示光の透過と遮断が選択され、こ れによって複数かつ異なる結像距離を有する虚像の何れかを結像させるもので、 走行状態の変化や表示内容に適した虚像を得ることができる。特に大きく稼動す るものを有さないため、構成が大がかりとならず、容易に実現し得るという実用 に際して極めて効果が大きいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の構成を示す概略図。

【図２】同上実施例の表示例を示す説明図。

【図３】従来例の構成を示す概略図。

【符号の説明】

４ 表示器 ５ 表示光 ６ 光学部材 ６ａ 平板状ミラー ６ｂ 凹面状ミラー ７ 反射部材 ８ 運転者 ９ 虚像 ９ａ 近い虚像 ９ｂ 遠い虚像 １０ 開閉部材 １０ａ ＬＣＤ １０ｂ ＬＣＤ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両室内に設置されて表示器からの表示
   光を光学部材により運転者の前方に設置した反射部材に
   照射して前記運転者の前方に虚像を結像させる車両用表
   示装置において、前記表示器は指向性が広いものを用
   い、前記光学部材は前記虚像が複数かつ異なる結像距離
   を有するように異なる種類のミラーを用い、この光学部
   材と前記反射部材との間に前記表示光の透過遮断を制御
   する開閉部材を設けたことを特徴とする車両用表示装
   置。