JPH0753102B2 - グルタチオン高含有酵母及びその製造法 - Google Patents

グルタチオン高含有酵母及びその製造法

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JPH0753102B2
JPH0753102B2 JP18732592A JP18732592A JPH0753102B2 JP H0753102 B2 JPH0753102 B2 JP H0753102B2 JP 18732592 A JP18732592 A JP 18732592A JP 18732592 A JP18732592 A JP 18732592A JP H0753102 B2 JPH0753102 B2 JP H0753102B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グルタチオン高含有
ッカロマイセス・セレビシエ、及びその製造法に関す
る。さらに詳しくは、遺伝子導入をしてグルタチオン生
産能を増強したサッカロマイセス・セレビシエに変異処
理を行い、菌体内にグルタチオンを著量生成して蓄積さ
せるサッカロマイセス・セレビシエ、及びその製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】グルタチオンは、グルタミン酸、システ
イン及びグリシンから成るペプチドであり、肝疾患の治
療薬、あるいは試薬として広く利用されている重要な化
合物である。従来、グルタチオンは、有機合成法や酵母
から抽出する方法によって製造されている。しかし、有
機合成法は反応工程の長さと工程の複雑さの点で、また
酵母からの抽出方法においては菌体から抽出されるグル
タチオンの量に限界があるという点で問題があった。
【0003】これらの欠点を解決すべく、これまで数々
の改良がなされてきている。例えばグルタチオン生成に
関係するアミノ酸を添加することによるグルタチオン製
造法(特公昭47−26314、特開昭53−94089、特公昭54−
997、特開昭48−44487、特開昭51−36357)などがあ
る。しかしながら、これらの方法はグルタチオンの生産
量の点で満足のいくものではない。また、突然変異株取
得によるグルタチオン製造法(特公昭56−46826、特開
昭48−61689、特公昭53−31956、特開昭61−209583) な
どがある。さらに、遺伝子操作を利用した微生物による
グルタチオン製造法(特開昭58−20188、特開昭58−201
96、特開昭61−52299、特開昭62−275685、特開昭64−5
1098)がある。
【0004】これらは、グルタチオン合成能を向上させ
てはいるが、グルタチオン合成に必要でかつ律速となる
L−システインの供給が十分に改良されておらず、グル
タチオン高生産には同アミノ酸添加が必要と考えられ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明では、
酵母サッカロマイセス・セレビシエに変異処理を行いア
ザセリン耐性株を造成することによって、律速となるL
−システインの菌体内合成系を強化し、従来の製法より
もグルタチオンの含有量の高い酵母サッカロマイセス・
セレビシエをアミノ酸(L−システイン)を添加するこ
となく取得することを目的とする。
【0006】また、変異処理によって得られたアザセリ
ン耐性株を接合、さらには細胞融合処理することによっ
て高度にグルタチオンを含有する酵母サッカロマイセス
・セレビシエを取得することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、γ−グルタミ
ルシステイン合成酵素遺伝子を導入したグルタチオン高
生産サッカロマイセス・セレビシエに、変異処理を行っ
てアザセリン耐性株を造成し、得られたアザセリン耐性
株を好気的培養することによって、好ましくは流加培養
することによって、菌体内にグルタチオンを著量に生成
することを特徴とするグルタチオン高含有サッカロマイ
セス・セレビシエの製造法である。
【0008】また、好ましくは、本発明はγ−グルタミ
ルシステイン合成酵素遺伝子を導入したグルタチオン高
生産サッカロマイセス・セレビシエに、変異処理を行っ
てアザセリン耐性株を造成し、得られたアザセリン耐性
株の1倍体を他のグルタチオン高生産株の1倍体と接合
して、多倍数体を造成し、得られた株を胞子形成させグ
ルタチオン生産能及び成育能の優れた株をスクリーニン
グして、得られた株を好気的培養することによって、好
ましくは流加培養することによって、菌体内にグルタチ
オンを著量に生成することを特徴とするグルタチオン高
含有サッカロマイセス・セレビシエの製造法である。
【0009】さらに好ましくは、本発明はγ−グルタミ
ルシステイン合成酵素遺伝子を導入したグルタチオン高
生産サッカロマイセス・セレビシエに、変異処理を行っ
てアザセリン耐性株を造成し、得られたアザセリン耐性
株の1倍体を他のグルタチオン高生産株の1倍体と接合
して多倍数体を造成し、得られた株を胞子形成させ、ス
クリーニングして得られたグルタチオン生産能及び成育
能の優れた1倍体株の2株を細胞融合させて得られた株
を好気的培養することによって、好ましくは流加培養す
ることによって、菌体内にグルタチオンを著量に生成す
ることを特徴とするグルタチオン高含有サッカロマイセ
ス・セレビシエの製造法である。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で用いる遺伝子導入グルタチオン高生産サッカロマ
イセス・セレビシエは、大竹らが確立した手法(1990年
度日本農芸化学会大会要旨集、145 頁、1990年) によっ
て得られるサッカロマイセス・セレビシエを用いること
ができる。すなわち、酵母由来のグルタチオン生合成系
酵素の一つであるγ−グルタミルシステイン合成酵素遺
伝子をサッカロマイセス・セレビエの強発現プロモー
タ△P8に接続し、サッカロマイセス・セレビエの染
色体trp1部位へ導入することによって遺伝子導入グ
ルタチオン高生産サッカロマイセス・セレビシエを造成
することができる。
【0011】このような酵母としては、ブタペスト条約
に定める国際寄託当局に受託番号微工研条寄第13012号
によって寄託されたものが好ましい。アザセリン耐性株
を得るため変異源は、通常変異源として一般的に用いら
れる方法であればよく、紫外線、エチルメタンスルフォ
ン酸、ニトロソグアニジン、X線等を用いることができ
る。
【0012】本発明でいうアザセリン耐性株とは、シス
テイン生合成に必要なセリン供給系が強化されることに
よりシステインの生合成が強化された変異株であり、本
発明においては、YPD培地に対して25μg/ml濃度にな
るようにアザセリンを添加した培地で成育可能な株をい
う。本発明で得られるアザセリン耐性株は、通常システ
インを培地に添加して培養した場合と同じようにグルタ
チオン生産量が増加する特徴を示した。
【0013】スクリーニングしたアザセリン耐性株の生
育能をさらに改良するための方法としては、アザセリン
耐性株との接合が可能な接合型の1倍体グルタチオン生
産優良株を得て、その1倍体とアザセリン耐性株を接合
して多倍数体を得ることができる。さらには、得られた
アザセリン耐性株の多倍数体を胞子形成させ、グルタチ
オン生産優良株をスクリーニングすることが可能であ
る。アザセリン耐性株との接合可能な1倍体優良株を得
るには、1倍体の優良株2株を接合させ、多倍数体株を
造成したのち胞子形成を行うという通常の方法をとるこ
とが出来る。
【0014】また、さらに、得られたアザセリン耐性株
のグルタチオン生産性を高めるために多倍数体を造成す
ることができる。多倍数体造成の手法としては、接合、
あるいは細胞融合によって行うことができる。本発明の
菌株の培養条件としては、一般に行われているように、
培養温度20〜34℃、培養pH4.5 〜6.5 で好気的に培養す
れば特段の限定はされないが、特にグルタチオンの生産
性を高めるには流加培養を行うのが望ましい。流加培養
の条件は、ジャーファメンターを用い、グルコース、尿
素、酵母抽出物および無機塩からなる培地に植菌し、通
気量1vvm、温度30℃、DOレベルを最少1〜5ppm とし
て、そこへグルコースと酵母抽出液の殺菌した混合液を
0.05 l/hの速度で植菌後12時間流加する。流加時間は約
12時間で初発液量の約1/40量を添加する。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、従来の製法よりもグル
タチオンの含有量の高いサッカロマイセス・セレビシエ
をアミノ酸(L−システイン)を添加することなく取得
することができ、また、変異処理によって得られたアザ
セリン耐性株を接合、さらには細胞融合処理することに
よって高度にグルタチオンを含有するサッカロマイセス
・セレビシエを取得できる。
【0016】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳しく説明す
るが、これに限定されるものではない。 (1) 遺伝子導入グルタチン高生産サッカロマイセス
・セレビシエの造成 グルタチオン生合成系の遺伝子群を効率よく発現させる
ために、まず、サッカロマイセス・セレビシエの染色体
から強転写プロモーターのクローニングを行った。クロ
ーニングには、プロモーター検出ベクターpMC1585 を用
いて、β−ガラクトシダーゼ活性を指標に行った。その
結果、活性の高いDNA断片としてP8プロモーター断
片(約3.8kb)が得られた。このP8プロモーター断片か
ら、機能領域のみの△P8(約0.4kb)を作成した。
【0017】次に、サッカロマイセス・セレビシエのγ
−グルタミルシステイン合成酵素遺伝子のクローニング
を行った。すなわち、S. cerevisiae YNN27 株 (α tr
p1 ura3) から、上記2種の酵素の欠損変異株を取得し
た。次にγ−グルタミルシステイン合成酵素欠損株(YH
1)を用いてγ−グルタミルシステイン合成酵素遺伝子の
クローニングを行った。YH1 株をYEp24 をベクターとす
る遺伝子ライブラリーで形質転換し、ニトロプルシッド
ソーダを用いてスクリーニングを行ったところ、目的の
遺伝子と思われる1種のプラスミド (pYOG1001) が得ら
れた。更に得られた遺伝子のサブクローニングを行った
ところ約4.4kb の断片上に目的の遺伝子(GSH1)が存在
した。そこでこの遺伝子断片の全塩基配列を決定したと
ころ、この断片は4.410 塩基からなっていた。
【0018】このクローニングしたGSH1遺伝子の転写プ
ロモーターを△P8と交換し、強発現化した△P8−GSH1
片をYNN27 株の染色体上のtrp1に挿入したYHT178 株
を作製した。YHT178 株のGSH-1 活性とグルタチオン
含量を測定したところ、GSH-1 活性は、0.29ユニットで
あり、グルタチオン含量は約1.5 %であった。
【0019】(2) アザセリン耐性株の造成 YPD寒天培地(酵母エキス1%、ペプトン1%、グル
コース2%、寒天1.5%)上で30℃、3日間培養したサ
ッカロマイセス・セレビシエYHT178 株をYPD液体
培地(YPD寒天培地から寒天を除いたもの)100ml の
入った500 ml容振盪フラスコに一白金耳接種し、30℃、
一晩振盪培養した。菌体を遠心分離(3000rpm、10分) で
集め、50mlの蒸留水で洗浄した。続いて20mlの燐酸バッ
ファー(pH7.5、0.1M)に懸濁し、エチルメタンスルフォ
ン酸 600μl を添加した。30℃で1時間振盪した後、20
mlの5%チオ硫酸ナトリウム溶液を加え5分間放置し
た。遠心分離で菌体を集め、20mlの蒸留水に再度懸濁し
た。この懸濁液をアザセリン25μg/mlを含むSD寒天培
地(ディフコ社製イーストナイトロジェンベースW/O
アミノ酸0.67%、グルコース2%、ディフコ社製寒天
1.5%) に接種し、30℃で3日間培養した。生育してき
たコロニーを選択し、5mlのYPD培地の入った試験管
に接種し30℃、30時間振盪培養した。遠心分離で菌体を
集め、蒸留水で洗浄後1mlの蒸留水に懸濁した。この懸
濁液を100 ℃、5分間加熱した後、遠心分離にて上清を
得た。上清中の抽出されたグルタチオンを比色定量に供
した。
【0020】0.7mM のEDTAを含む0.36M 、pH7の燐
酸バッファー2.5ml に、ジチオビス(2−ニトロ安息香
酸)4mg/ml 溶液100 μl 、NADPH 4mg/ml 溶液50
μl、グルタチオンリダクターゼ(オリエンタル酵母社
製) 0.5 ユニットを加え、光路長1cmのガラス製キュベ
ットへ入れ、25℃に加温した。そのキュベットへ適宜稀
釈しグルタチオンを測定レンジ濃度含むサンプルを10μ
l 添加して反応を開始した。日立自記分光光度計320 型
を用いて412nm の吸光度を連続的に1分間記録した。同
様にして濃度既知のグルタチオン標準溶液をサンプルと
して反応させ吸光度の増加を連続的に記録し、増加曲線
の勾配を用いて検量線を作り、サンプルの勾配からサン
プル中のグルタチオン含有を算出した。
【0021】約1000株のコロニーを処理しグルタチオン
生産量が多かった60株を選択した。選択した株を100ml
のYPD培地の入った500ml 容振盪フラスコに接種し、
30℃で3日間振盪培地した。培地終了後、試験管を用い
て培養した場合と全く同様にして、各菌株のグルタチオ
ン生産量を比較した。その結果、菌体あたりのグルタチ
オン含量が最も高い ASR6-32株を選択した。表1にYH
T178 と ASR6-32の比較を示す。
【0022】
【表1】 数値は、100ml YPD培地を含む 500ml容坂口フラスコ
で30℃、3日間培養した時の値である。
【0023】(3) アザセリン耐性株 ASR6-32の改良1
倍体株の造成 次に、この変異株の生育能を改善するために接合によっ
て多倍体株とすることを試みた。まず、YHT178 株と
サッカロマイセス・セレビシエの実験室株 AH22 株(AT
CC38626)を接合させた。前者はトリプトファン、ウラシ
ル要求性であり、後者はヒスチジン、ロイシン要求性を
有しているので、両者が接合した株は最少培地(SD培
地)で生育できるが、接合していない株は生育できない
ことを利用して接合株を選択した。得られた株を胞子形
成培地(酵母エキス 0.1%、グルコース0.05%、酢酸カ
リウム1.0 %、寒天2.0 %) に接種し、30℃で約10日間
培養した。胞子を形成している接合株を一白金耳取り、
0.1mg/mlのザイモリエース(生化学工業、10万ユニット
/g) 水溶液1mlに懸濁し、30℃で15分間静置した。この
懸濁液をナリシゲ株式会社製マイクロマニュピレータ、
MN-188/MD-188 型を用いて形成している胞子を分離し
た。分離した胞子の中から接合型がaでありかつグルコ
ース生産性がYHT178 同程度の株YHT182 を選択し
た。YHT182 とASR6-32 を同様にして接合、胞子形
成、胞子分離を行い、得られた株約100 株をYPD培地
で培養して、グルタチオン生産能及び生育を比較した。
しかして、生育とグルタチオン生産能の両方を満足する
株 62D株を習得した。両株を100ml のYPD培地の入っ
た 500ml容フラスコに接種し、30℃で3日間振盪培養
し、実施例1に示した方法と全く同様にしてグルタチオ
ン含量、菌体量等を比較した。結果を表2に示した。表
2は、YHT178 株と62D株の比較を示す。62D株は微
工研条寄第13010号によって寄託された。
【0024】
【表2】
【0025】(4) アザセリン耐性株 62D株の多倍体株
の造成 得られたグルタチオン高生産サッカロマイセス・セレビ
シエ62D株(ura3、 his3)をさらに改変した。まず、
プラスミド YEp24を制限酵素 HindIIIで、またプラスミ
ド YIo1 を制限酵素 BamHIで各々完全消化した。アガロ
ースゲル電気泳動に供し URA3 遺伝子断片を含むDNA
断片及び HIS3 遺伝子を除去した残りのYIp1 プラスミ
ド断片を分離した。マニアチス(Maniatis、T.) ら、
{モレキュラー・クローニング(Molecular cloning) 、
コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold
Spring Harbor Laboratory) 、1982年}の方法に準処し
て URA3 遺伝子を HIS3 遺伝子を除去した YIpベクター
へ連結してプラスミド pYI-U3 を作製した。
【0026】62D株をYPD培地に接種し、30℃、16時
間振盪培養し、遠心分離にて菌体を集めた。洗浄後、菌
濃度約1×1010cells/mlになるように氷冷した1Mソル
ビトールに懸濁した。この懸濁液40μl に先に調製した
プラスミド pYI-U3 を約20μl/ml濃度含む溶液5μl を
加え、氷冷した。氷冷しておいたエレクトロポレーショ
ン用キュベット(バイオラッド社製165-2086) へ菌及び
プラスミドが混合している懸濁液を入れた。このキュベ
ットをジーンパルサー(バイオラッド社製)ヘセットし
た。装置を1kV、25μF に設定し、パルスコントローラ
ーを 200Ωとした。タイムコンスタントを4msecとして
エレクトロポレーションを行った。氷冷しておいた1M
ソルビトール溶液1mlをキュベットへ添加し、良く攪拌
した。その後、ヒスチジンを20μg/ml含むSD寒天培地
に接種し、30℃で約3日間培養した。生育してきたコロ
ニーをYPD寒天培地へ移植した。同様にして、62D株
にYIp1を導入し、形質転換を行った。しかして、62D(h
is3)及び 62D (ura3)を得た。
【0027】次に作成した上記2株の細胞融合を行っ
た。YPD培地 100mlを含む 500ml容振盪フラスコに上
記の菌株を接種し、30℃で約16時間培養した。菌を遠心
分離で集め無菌水で洗浄後、STEバッファー(1Mソ
ルビトール、20mMEDTA、10mMトリス−塩酸(pH7.
4)) 100ml に懸濁した。そこへβ−メルカプトエタノー
ル39μl を加え30℃で10分間処理した。遠心分離で集菌
し、0.1mg/ml濃度のザイモリエース(生化学工業製、10
万ユニット/g) を含むSTバッファー(1Mソルビトー
ル、10mMトリス−塩酸(pH7.4))10mlに懸濁し30℃で20
分間反応させてプロトプラストとした。遠心分離で集菌
し、STバッファーで1回洗浄した。その後、10mMのCa
Cl2 を含むSTバッファー(STCバッファー)10mlに
懸濁した。各々の懸濁液中の細胞数を血球計算盤で数
え、1×107 個を混合した。遠心分離で集菌した後、10
mM CaCl2を含むSTバッファー1mlに懸濁し、30℃で15
分間加温した。再び、遠心分離で集菌し、1mlのPCT
バッファー(35%PEG4000、10mMトリス−塩酸(pH7.
4)、10mM CaCl2) に懸濁し30℃、10分間融合を行わせ
た。集菌し、STバッファーで洗浄し、1mlのSTCバ
ッファーに懸濁した。1Mソルビトールを含むSD寒天
培地へ、この懸濁液 100μl を接種、30℃で約5日間培
養した。生育してきたコロニーを約 100株、YPD培地
へ移し、さらに7日間30℃で培養した。
【0028】上記の約 100株を5mlのYPD培地を含む
試験管で30℃、3日間振盪培養し、グルタチオン含量及
び生育を選択指標として優良株を選択した。しかして、
62D/62D株を選んだ。62D/62D株は微工研条寄第13
011号で寄託された。表3に各菌株をYPD培地を用い3
0℃、3日間振盪培養した時の結果を示す。
【0029】
【表3】 (5) グルタチオン高含有サッカロマイセス・セレビシ
の培養、その1 グルコース2%、イーストイクストラクト(ディフコ社
製)1%、バクトペプトン(ディフコ社製)1%よりな
る培地を調製し、500 ml振盪フラスコに100mlにて24時
間振盪培養し、種菌液とした。5Lジャーファメンター
(丸菱バイオエンジ社 MDL500 型) に、グルコース
2%、尿素0.6 %、酵母抽出物(ミースト、アサヒビー
ル社製)0.4 %、KH2PO4 0.15%、MgSO4・7H2O 0.05
%、Na2SO4 0.2%、CaCl2・2H2O 0.03 %、ZnSO4・7H
2O 1.32ppm 、FeCl3・6H2O 1.45ppm 、CuSO4・5H2O
0.2ppmからなる培地2400mlを入れ、120 ℃、15分間殺菌
後、上記種菌液100mlを接種し、通気量1.0vvm、攪拌数4
00rpm、30℃、2%アンモニア水によりpH5.0 に制御
し、1%のシリコーン消泡剤(東芝シリコーン社、TSA7
37F)を使用し、48時間培養した。培養中、グルコース15
%、ミースト3%からなる培地600ml を接種後8時間よ
り0.05l/hの速度で12時間流加した。
【0030】酵母菌体を含む培養液1mlを熱水抽出処理
し、遠心分離後、得られた菌体抽出液のグルタチオン生
産量は、Titze 法 (Anal. Biochem., 27, 502 (1969))
に従い412nm の吸収増加で測定した。凍結乾燥により乾
燥菌体重量を測定し、グルタチオン生産量からグルタチ
オン含有率を算出した。培養35時間のグルタチオン生産
量は、700mg/L、グルタチオン含有率は、4.22%、乾燥
菌体重量16.6mg/ml であった。同様な条件によるYHT
178 株との比較は表4に示す。表4は62D/62D株とY
HT178株の比較を示す。
【0031】
【表4】 (6) グルタチオン高含有サッカロマイセス・セレビシ
の培養、その2 グルコース2%、イーストイクストラクト(ディフコ社
製)1%、バクトペプトン(ディフコ社製)1%よりな
る培地を調製し、2000ml振盪フラスコに500ml注入し
た。120 ℃、15分間殺菌後、62D/62D株を接種し、30
℃にて24時間振盪培養し、種菌液とした。
【0032】3台の5Lジャーファメンター(丸菱バイ
オエンジ社 MDL500 型) に、グルコース2%、尿素
0.6 %、酵母抽出物(ミースト、アサヒビール社製)0.4
%、KH2PO4 0.15 %、MgSO4・7H2O 0.05%、Na2SO4 0.
2%、CaCl2・2H2O 0.03%、ZnSO4・7H2O 1.32ppm、Fe
Cl3・6H2O 1.45ppm、CuSO4・5H2O 0.2ppm からなる培
地2400mlを入れ、120 ℃、15分間殺菌した。上記種菌液
1750mlを3000rpm 、5分間遠心分離後、上清を捨て、殺
菌水500ml で洗浄し、再度同条件で遠心分離した。得ら
れた沈澱物に殺菌水を加え875ml とし、この2倍濃縮種
菌液を3台のジャーファメンターに各々125 ml、250 m
l、500 ml、接種した。接種時の生菌数は各々2.75×107
cells/ml、6.25×107cells/ml、9.00×107cells/ml
であった。通気量1.0vvm、攪拌数600rpm、30℃、2%ア
ンモニア水によりpH5.0 に制御し、1%のシリコーン消
泡剤(東芝シリコーン社 TSA737F)を使用し、48時間培
養した。培養中、グルコース15%、ミースト3%からな
る培地 600mlを接種後12時間より0.05 l/hの速度で12時
間流加した。
【0033】酵母菌体を含む培養液1mlを熱水抽出処理
し、遠心分離後得られた菌体抽出液のグルタチオン生産
量は、Titze 法 (Anal. Biochem., 27, 502 (1969)) に
従い412nm の吸収増加で測定した。凍結乾燥により乾燥
菌体重量を測定し、グルタチオン生産量からグルタチオ
ン含有率を算出した。培養48時間のグルタチオン生産
量、グルタチオン含有率、乾燥菌体重量は、表5に示
す。表5は62D/62D株のグルタチオン生産量を示す。
【0034】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:865)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 γ−グルタミルシステイン合成酵素遺伝
    子を導入したグルタチオン高生産サッカロマイセス・セ
    レビシエ(Saccaromyces cerevisiae)に変異処理を行
    ってアザセリン耐性株を造成し、得られたアザセリン耐
    性株を好気的培養することによって菌体内にグルタチオ
    ンを著量に生成することを特徴とするグルタチオン高含
    サッカロマイセス・セレビシエの製造法。
  2. 【請求項2】 遺伝子導入グルタチオン高生産サッカロ
    マイセス・セレビシエ、YHT178 株(微工研条寄第
    13012号)であることを特徴とする請求項1に記載のグ
    ルタチオン高含有サッカロマイセス・セレビシエの製造
    法。
  3. 【請求項3】 グルタチオン高含有サッカロマイセス・
    セレビシエ、62D株(微工研条寄第13010号)である
    ことを特徴とする請求項1のグルタチオン高含有サッカ
    ロマイセス・セレビシエの製造法。
  4. 【請求項4】 グルタチオン高含有サッカロマイセス・
    セレビシエ、62D/62D株(微工研条寄第13011号)
    であることを特徴とする請求項1のグルタチオン高含有
    サッカロマイセス・セレビシエの製造法。
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