JPH0742074B2 - 自動車等重量物体に装着される牽引装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、重量物を吊上げる当該
重量物より重い自動車、土台、ベース等の重量物体に装
着される牽引装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、重量物吊上げ用の牽引装置に設け
られる回転自在の滑車としては、先ず、吊上げ方式（吊
下げ方式）の滑車が知られており、例えば、特開平３−
２６７２９９号の可動フレーム付滑車装置の発明におい
ては、滑車を転動自在に架承したベースフレームに吊環
（フック）を回転自在とした公知の回転構造が、また特
公昭６３−１５２３８号の気球への吊上物引上げ法の発
明においては、回転自在でかつ揺動自在なユニバーサル
ジョイントを利用した構造が、それぞれ開示されてい
る。

【０００３】また、次に、設置方式（誘導方式）の滑車
としては、特開平３−９５０９８号の牽引装置の発明に
おいては、フレームの上面に滑車を回転自在に、設置し
た構造が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】以上で説明した吊上げ
方式は、本発明が目的とする重量物、例えば、家具、
畳、家庭用の品物、電化製品、その他機械、等の重量物
を、ワイヤーの吊上げを介して建屋の２階以上の室内に
搬送する際には、採用できない構造となっている。

【０００５】また特開平３−９５０９８号は、本発明が
目的とする重量物を、ワイヤーの吊上げを介して、搬送
できる構造となっており、採用できる発明である。

【０００６】しかしながら、この発明は、巻取ドラムと
モータとが、この巻取ドラムの軸心方向に連設されてい
ないことから、装置が大型化、又は複雑となる課題が考
えられる。また前記大型化することから各車軸の荷台フ
レームに取付け、例えば、荷物を、建屋の２階以上の室
内に搬送するには不向きであり、また同目的で、簡易か
つ多方面において、有効に利用するには不向であるこ
と、また構造が複雑となれば、その取扱いも熟練が要求
され、何人も簡易に使用できないこと、等の課題があ
る。更に滑車にはワイヤー妄動防止用のガイド杆が設け
られておらず、ワイヤーが滑車より外れる虞れがあり、
安全面で課題を残す処である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、車輛
の荷台フレームに簡易に取付けできる構造、即ち、小型
であること、構造が簡単であること、取扱いが簡便であ
ること等を目的として、下記の構成を採用した。

【０００８】即ち、本発明の自動車等重量物体に装着さ
れる牽引装置は、自動車等重量物体に取付ける取付部材
と、この取付部材が設けられた巻取ユニット・動力ユニ
ット用のケーシングと、このケーシングの上面に設けら
れた、当該の水平方向において回転自在な滑車、及び当
該上面に固止されたワイヤー用のフック係止用の止具
と、前記ケーシング内の下方で、かつ前記滑車の接線方
向直下に中心部位が位置し、かつ前記滑車を経由して導
かれたワイヤーを巻取る巻取ドラムと、この巻取ドラム
を駆動する前記ケーシング内に設けられたモータと、前
記滑車と巻取ドラムとの間に設けられたワイヤートラバ
ース用の距離と、前記巻取ドラムに捲装されたワイヤー
を弾性的に押圧する押え部材と、で構成されている。

【０００９】

【作用】次に、本発明の作用を、図４の例を中心として
（一例であり限定されず。）説明する。

【００１０】即ち、マンションの４階又は５階等の上方
の階に重量物体を搬送する（持ち上げる）際は、先ず、
重量物体Ｗを収容する階のベラングＡに、吊上げ装置の
ポールＢを立設し、そのアームＢ１をベラングＡ外に突
出する。そして、このアームＢ１の先端に設けた吊下げ
滑車Ｃを利用して、ワイヤー引上げ用のロープＤ（ロー
プ使用に限定されず）の一方を牽引装置に向って降下さ
せ、またこのロープＤの他方を地上（床面を含む）Ｅに
案内する。

【００１１】このようにして、ロープＤが降下した時点
で、当該ロープＤの一方に止具より離脱したフックを係
止する。この係止後、ロープＤの他方（即ち、地上側の
ロープ端）を引き寄せると、これによりロープＤの一方
に係止されたフック及びワイヤーが吊上げ滑車Ｃに向っ
て引き上げられる。

【００１２】その後、さらにロープＤを引き寄せると、
フック及びワイヤーは吊上げ滑車Ｃを経由して地上Ｅに
達する。

【００１３】このようにして、地上Ｅに達したフックの
先端に重量物体挾持用の挾持具Ｆを介して、重量物体Ｗ
を挾持する。

【００１４】以上の操作を介して、重量物体Ｗが挾持さ
れたならば、牽引装置のモータをＯＮし、このモータの
出力軸に止着されている巻取ドラムを回転させると、ワ
イヤーはケーシングに回転自在に架承されている滑車を
経由して（前述の如く、この滑車は、このケーシングの
上面に於ける水平方向での自由回転を介して、いずれの
方向のワイヤーも、正確に後述する巻取ドラムに誘導で
きる。）、当該巻取ドラムに順次巻取られていき、かつ
ワイヤーの自由端側が順次引き上げられ、当該重量物体
Ｗは矢印方向に順次吊り上げられていく。

【００１５】尚、ワイヤーは滑車を介して、順次巻取ド
ラムに巻き取られていくが、この際、滑車より降下する
ワイヤーの直下に巻取ドラムの中心部位が位置している
こと、及び滑車と巻取ドラムとの間には十分なトラバー
ス空間（距離）が形成されていること、及びワイヤー
は、ワイヤー押え具により適宜の弾性力で押圧されてい
ること（一定の箇所に。重畳捲装されることが防止され
る。）から、ワイヤーには適宜のトラバースが付与さ
れ、当該巻取ドラムの周辺にほぼ均等に巻き取られてい
く。また前記巻取ドラムに捲装されたワイヤーはワイヤ
ー押え具により押圧されており、その弛緩が防止されて
いる。

【００１６】以上のような操作を介して、当該重量物体
Ｗが、所定の階のベランダＡの近傍に到達したならば、
この重量物物体ＷをベランダＡに導き、ついで挾持具Ｆ
を開放して、当該重量物体Ｗを室Ａ１に取り入れる。

【００１７】尚、当該室Ａ１より他の重量物体（図示せ
ず）を地上Ｅに下ろす場合は、当該挾持具Ｆに挾止する
とともに、ワイヤーの巻き戻しを介して、この他の重量
物体を降下し、その後、当該挾持具Ｆより他の重量物体
を解放する。

【００１８】一方、前記室Ａ１より降ろす物品がない場
合は、例えば、モータのクラッチを外し、ワイヤー、フ
ック及び挾止具Ｆ等の自重で、順次当該ワイヤー、フッ
ク等を地上Ｅに導くこともできる。

【００１９】また前記ロープＤは、重量物体Ｗの上下、
及びワイヤーの昇降用のガイドとして、その都度活用さ
れる。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００２１】１は車輛１００等の重量物体に取付けられ
る取付部材（図示せず）を有する下方に開閉蓋２を有す
る薄くて方形状をなす巻取ユニット・動力ユニット用の
ケーシングで、このケーシング１は極めてコンパクトに
形成されている。

【００２２】このケーシング１の上面で、かつその一方
端部には、当該上面の水平方向において回転自在な滑車
３が設けられているとともに、その他方端部には適宜の
弾性を有するゴム環を備えた止具４が設けられている。
尚滑車３には後述するワイヤーの妄動を防止するガイド
杆３１が設けられている。図中３２は滑車３を架承する
滑車ベースである。

【００２３】またケーシング１の下方のチャンバー１１
にはモータ５及び当該モータ５の出力軸と直結する巻取
ドラム６とが設けられており、また当該巻取ドラム６の
後方にはこの巻取ドラム６に捲装されたワイヤー７を弾
性的に押圧するワイヤー押え具８が設けられている。

【００２４】尚、前記ワイヤー押え具８は、巻取ドラム
用のブラケット間に枢着した取付軸８１と、この取付軸
８１にバネ８３を介して揺動自在に軸承されたストッパ
ー８２とで構成されており、前記ストッパー８２がバネ
８３の反発力を介して、ワイヤー７に弾性に衝止される
構造となっていて、当該ワイヤー７の妄動又は戻り等を
防止している（構成は一例であり限定されない。）。ま
た前述の如く、ワイヤー７が滑車３を介して、順次巻取
ドラム６に巻き取られていく際に、滑車３より降下する
ワイヤー７の直下に巻取ドラム６の中心部位が位置して
いること、及び滑車３と巻取ドラム６との間には十分な
トラバース空間（距離、後述する）が形成されているこ
と、及びワイヤー７は、ワイヤー押え具８により適宜の
弾性力で押圧されていることから、ワイヤー７には適宜
のトラバースが付与され、当該巻取ドラム６の周辺にほ
ぼ均等に巻き取られていき、前記トラバース用のトラバ
ースガイド及びその付帯設備並びに動力等を要さず、機
構の簡略化、装置の小型化、更にはコストの低減又は取
扱いの容易化等に、大いに役立つ処である。

【００２５】また前記滑車３と巻取ドラム６との位置関
係は、次の構成となっており、本発明の大切な構成とな
っております。即ち、滑車３の接線方向直下に、巻取ド
ラム６の中心部位が位置し、滑車３を経由して導かれた
ワイヤー７が、前記ワイヤー押え具８の矯正力を介し
て、巻取ドラム６にほぼ均等に捲装される構成となって
いる。また滑車３と巻取ドラム６との間にはワイヤー７
がトラバースするに最適な距離９が形成される。

【００２６】図中１０はワイヤー用のガイド環、１１は
ケーシング１の上面に開設したワイヤー用の透孔、１２
はワイヤー７の自由端側に設けたフックである。また１
３はケーシング１の上面に設けられるカバー体である。

【００２７】

【発明の効果】本発明は、以上で詳述した如く、重量物
に取付けられる薄くて方形状をなすケーシングの上方に
回転自在の滑車を設け、この滑車の接線方向直下に巻取
ドラムの中心部位が位置し、かつこの巻取ドラムをモー
タ連結方式としたので、下記のような効果を有する。

【００２８】（１）コンパクトとなり、例えば、自動車
（車輛）の荷台フレームにも簡易に取付けできる。

【００２９】（２）例えば、自動車に装置すれば、滑車
の水平方向における自由回転を利用して、あらゆる方向
にワイヤーを引き出すことができること、又自動車の位
置に関係なくワイヤーを引き出すことができる。また狭
隘な場所でも、重量物体の引き上げ、又は降下作業がで
きる。

【００３０】（３）滑車の接線方向直下に、巻取ドラム
の中心部位が位置することと、ワイヤー押え具を設ける
構成であるので、ワイヤーを巻取ドラムにほぼ均等に捲
装できる。

【００３１】（４）殊に、ワイヤー押え具を装備するこ
とから、ワイヤートラバース用の装置を要さず、構成の
簡単化、装置の小型化、取扱いの簡便化等に役立つ。

【００３２】（５）低コストである。

【００３３】（６）例えば、自動車等に装備しても、荷
台の邪魔とならない。

【００３４】（７）故障が少なく、安全である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一部欠載正面図である。

【図２】滑車の拡大正面図である。

【図３】巻取ドラムとワイヤー押え具との関係を示す拡
大断面図である。

【図４】上方階への重量物体の吊上げ状態の一例を示す
模式図である。

【符号の説明】

１ ケーシング １１ チャンバー ２ 開閉蓋 ３ 滑車 ３１ ガイド杆 ３２ 滑車ベース ４ 止具 ５ モータ ６ 巻取ドラム ７ ワイヤー ８ ワイヤー押え具 ９ 距離 １０ ガイド環 １１ 透孔 １２ フック １３ カバー体 １００ 車輛

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車等重量物体に取付ける取付部材
   と、 この取付部材が設けられた巻取ユニット・動力ユニット
   用のケーシングと、 このケーシングの上面に設けられた、当該の水平方向に
   おいて回転自在な滑車、及び当該上面に固止されたワイ
   ヤー用のフック係止用の止具と、 前記ケーシング内の下方で、かつ前記滑車の接線方向直
   下に中心部位が位置し、かつ前記滑車を経由して導かれ
   たワイヤーを巻取る巻取ドラムと、 この巻取ドラムを駆動する前記ケーシング内に設けられ
   たモータと、 前記滑車と巻取ドラムとの間に設けられたワイヤートラ
   バース用の距離と、 前記巻取ドラムに捲装されたワイヤーを弾性的に押圧す
   る押え部材と、 で構成されている自動車等重量物体に装着される牽引装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１のモータが巻取ドラムの軸心方
   向に連設されている請求項１の自動車等重量物体に装着
   される牽引装置。
3. 【請求項３】 請求項１のケーシング上面に設けた滑
   車、止具、フック等を隠蔽する当該ケーシングに着脱自
   在設けられるカバー体を装備してなる請求項１の自動車
   等重量物体に装着される牽引装置。
4. 【請求項４】 請求項１の滑車のワイヤー巻取り側にワ
   イヤー妄動防止用のガイド杆を設けてなる請求項１の自
   動車等重量物体に装着される牽引装置。