JPH0741078Y2 - 電気機器の取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は電気機器の取付装置に関するもので、特に回
路しゃ断器のようなベースとカバーとを有する電気機器
をベース・カバー共に貫通する取付孔に通した取付ねじ
によって取付板などに取付ける電気機器の取付装置の改
良に関するものである。

［従来の技術］ 従来、たとえば回路しゃ断器のような電気機器において
は、電気機器の高さ方向に大径部と小径部とを有する２
段構造の同心貫通取付孔を設け、この取付孔にすり割り
付小ねじなどのような取付ねじを挿通して、取付板に螺
着する取付装置がもっぱら用いられていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の取付装置は上記のような構成であったが、電気機
器（回路しゃ断器）の取付姿勢は取付孔が水平方向にな
るいわゆる垂直取付が多く、このため電気機器の取付
け、取外しのときに電気機器が少し斜めになると、取付
孔に挿入しておいた取付ねじが脱落して、作業性が悪い
という問題点があった。

この考案は、上記のような従来装置の問題点にかんがみ
てなされたもので、取付時電気機器が少し傾いても、取
付孔に挿通したねじが脱落することのない、作業性のよ
い取付装置を提供することを主目的としている。

［問題点を解決するための手段］ この考案に係る電気機器の取付装置は、電気機器の絶縁
物により成形されたベースと、絶縁物により成形された
カバーとを備え、カバーとベースとにわたって貫通する
取付孔を多段構造にすることを特徴とし、取付孔がカバ
ーに設けた取付ねじ頭部を挿通可能な大径孔部と、ベー
スに設けた取付ねじのねじ部径よりやや大きい径の小径
孔部と、上記大径孔部と小径孔部との間に設けられた上
記大径孔部の径より大径の拡大径孔部とからなるもので
ある。

［作用］ この考案によると、カバーとベースとを貫通する取付孔
が中央に一番径の大きい拡大径孔部を有するので、小径
孔部に取付ねじのねじ部を通すと、取付ねじ頭部は拡大
径孔部に位置し、電気機器が少しく傾いたとき、拡大径
孔部と大径孔部との境の段部が取付ねじ頭部を係止する
凸部として作用し、取付ねじがここで係止され、電気機
器から脱落することがない。

［実施例］ 以下、図示する実施例について、この考案を詳細に説明
する。

第１ないし第３図に示すように、電気機器は、絶縁物か
らなるカバー（１）と絶縁物からなるベース（２）とを
備え、カバー（１）とベース（２）とがまとまって電気
機器の筐体を構成するものとする。取付装置は電気機器
の（11）（第３図）を取付板（10）（第３図）などに取
付ねじ（３）と電気機器（11）のカバー（１）とベース
（２）とにわたって設けた貫通取付孔とからなり、この
考案によると取付孔はカバー（１）を貫通した大径孔部
（４）と、ベース（２）のカバー接合面と反対面側に設
けた小径孔部（５）と、ベース（２）のカバー接合面側
すなわちカバーの大径孔部（４）とベースの小径孔部
（５）との中間に設けた拡大径孔部（６）とからなる。
大径孔部（４）、小径孔部（５）及び拡大径孔部（６）
はほぼ同心に形成され、大径孔部（４）は取付ねじ
（３）の頭部（3a）及びこれに取付るか又は頭部と一体
の座金（９）の径よりやや大きい径を有し、小径孔部
（５）は取付ねじ（３）のねじ部（3b）の径よりやや大
きい径であり、拡大径孔部（６）は大径孔部（４）の径
より更に大径に形成する。なお（７）はベースの小径孔
部（５）と拡大径孔部（６）との間に設けた取付ねじ頭
部収納孔部、（6a）は拡大径孔部と頭部収納孔部（７）
との間の斜面、（８）は拡大径孔部（６）と大径孔部
（４）との境に形成される凸部（段部）である。

次に、取付装置の作用を説明する。電気機器（11）はカ
バー（１）をベース（２）に接合して、ねじなどで両者
を固定することで組立てられる。電気機器がこのように
組立てられると、第２図に示すように、カバー（１）に
設けた大径孔部（４）とベース（２）に設けた拡大径孔
部（６）、小径孔部（５）等が同心に連続して一本の取
付孔となる。このように組立が完了した電気機器（11）
を取付板（10）に取付ける場合、取付ねじ（３）をカバ
ー（１）の大径孔部（４）から挿入し、取付ねじ（３）
のねじ部（3b）を小径孔部（５）に通して、ねじ部（3
b）を第３図に示すように、ベース（２）の底面から突
出させ取付板（10）のねじ孔に螺着する。この際斜面
（6a）は取付ねじ（３）の頭部（3a）と座金（９）が、
収納孔部（７）に滑らかに落込むのに役立つ。このよう
に取付を行う過程において、例えば高い場所への取付の
場合などには、第３図に示すように、電気機器が取付前
に傾けた状態になる場合がある。このような傾斜状態に
なると、取付ねじ（３）は自重によってカバー側に抜け
出ようとするが、この考案の取付装置では、取付孔は大
径孔部（４）と拡大径孔部（６）とで形成された凸部
（段部）（８）を有するのでこれが取付ねじ（３）の頭
部（3a）を係止するか又は、頭部（3a）と座金（９）と
が一体形成された座金組込みねじ（セムスねじ）の場合
は、第３図下部に示すように座金（９）を係止する係止
部となって、取付ねじ（３）が抜け出して脱落するのを
防止する。

なお、第１ないし３図の実施例では拡大径孔部（６）を
ベース（２）に設けているが、第４図に示すように、拡
大径孔部（６）はカバー（１）に大径孔部（４）に続い
て設けてもよい。

さらに、上記実施例では取付孔をねじ頭部収納孔部を有
する４段構造として説明したが小径孔部（５）、拡大径
孔部（６）、大径孔部（４）を有する３段構造であって
もよい。

［考案の効果］ 以上のように、この考案によると、カバーとベースとに
貫通して設ける取付孔を大径孔部と拡大径孔部との境に
よって凸部を形成するように構成したので、取付ねじの
脱落を防止し、作業性の優れた効果がある。また、ベー
スとカバーとの接合面部に拡大径孔部を形成したので、
例えばカバー、ベースのモールド成形の金型において、
中子を抜くことにより簡単に拡大径孔部を形成すること
ができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による電気機器の取付装置の一実施例
を備えた電気機器を示す分解斜視図、第２図は第１図に
示す実施例の要部断面図、第３図は第１図の取付装置を
有する電気機器取付過程状態を示す側面図、第４図はこ
の考案の電気機器の取付装置の他の実施例を示す第２図
と同様の断面図である。 図において、（１）は電気機器のカバー、（２）は電気
機器のベース、（３）は取付ねじ、（3a）は取付ねじ頭
部、（４）は大径孔部、（５）は小径孔部、（６）は拡
大径孔部、（８）は凸部である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

フロントページの続き (72)考案者 久常 文之 広島県福山市緑町１番８号 三菱電機株式 会社福山製作所内 (72)考案者 山本 清美 広島県福山市緑町１番８号 三菱電機株式 会社福山製作所内 (56)参考文献 実開 昭58−9521（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭55−162845（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭51−39078（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁物により成形されたベースと、このベ
   ースに接合される絶縁物により成形されたカバーとを備
   え、上記カバーとベースとにわたって貫通する取付孔に
   挿通する取付ねじによって取付板に取付ける電気機器の
   取付装置において、上記取付孔は上記カバーに設けられ
   上記取付ねじを挿通可能な大径孔部と、上記ベースに上
   記大径孔部と同心に設けられ上記取付ねじのねじ部径よ
   りやや大きい径の小径孔部と、上記大径孔部と上記小径
   孔部との間に設けられ上記大径孔部より大径の拡大径孔
   部とを有し、上記大径孔部と上記拡大径孔部とによって
   上記取付ねじの脱落を防止する凸部が形成されることを
   特徴とする電気機器の取付装置。
2. 【請求項２】取付ねじの脱落を防止する凸部が取付ねじ
   の頭部又は頭部と一体形成の座金を係止する実用新案登
   録請求の範囲第１項記載の電気機器の取付装置。
3. 【請求項３】取付孔の拡大径孔部がベースに形成されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載の電気機器の取
   付装置。
4. 【請求項４】取付孔の拡大径孔部がカバーに形成されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載の電気機器の取
   付装置。