JPH0738024Y2 - シートベルトのショルダー位置調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案は、例えばシートベルトのショルダー位置調整
装置に関する。

（従来の技術） 従来のシートベルトのショルダー位置調整装置として
は、例えば第３図乃至第５図に示す車両のフロントシー
トに用いられる三点式のものがある。同図において、ウ
エビング100のショルダー部を支持するスルーアンカ101
は、センタピラー103に対して上下移動自在となってい
る。センタピラー103にはガイドレール105がセンタピラ
ー103の上下方向に沿って設けられている。

ガイドレール105には上下方向に沿って直線状のリード
スクリュ107が設けられ、リードスクリュ107の一端は駆
動モータ・ギヤユニット109に連結され、他端はガイド
レール105に回動自在に支持されている。

スルーアンカ101はガイドブロック111に取付けられ、ガ
イドブロック111はガイドレール105に沿って直線状に上
下動自在となっている。ガイドブロック111の本体113に
はリードスクリュ107の軸方向と直交する方向に延設さ
れた凹部113aが形成され、この凹部113aにはスクリュナ
ット115が一体的に係合している。スクリュナット115は
リードスクリュ107に螺合され、駆動モータ・ギヤユニ
ット109を駆動することによりスクリュナット115がリー
ドスクリュ107の回転により上下動する。

そして、駆動モータ・ギヤユニット109を駆動すること
により、スクリュナット115及びガイドブロック111を介
して、スルーアンカ101が上下動し、シートベルトのシ
ョルダー位置を乗員の座高に合わせて最適な位置に自動
調整し、肩外れや首掛り等を抑えることができる。

（実開昭61−20452号公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） ところで、このような従来の装置にあっては、センタピ
ラー103が全体的に車幅方向に対し所定の曲率を有して
いるのに対し、ガイドレール105は直線状となってい
る。従って、センタピラーインナ103aをガイドレール10
5の直線に沿って略直線的に形成しなければならずセン
タピラー103の幅寸法（第４図中でＤ寸法）が大きくな
っていた。

このため、車体形状が車幅寸法に制約されていることか
ら車室内スペースが制約されるばかりか、後席乗員に対
するより充分な視界を確保するには限界がある。また、
センタピラー103の幅寸法が大きくなると見栄えが悪
い。

この考案は、上記課題に着目してなされたもので、ショ
ルダー位置を自動調整できる構成でありながら、車室内
スペースが大きく確保できると共に側面視界を向上させ
ることができ、見栄えの向上を図ることのできるシート
ベルトのショルダー位置調整装置の提供を目的とする。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を達成するためにこの考案は、上下方向に所定
の曲率で一様に形成されたセンタピラーインナの上下方
向に沿って設けられ且つ前記センタピラーインナの曲率
と略同じ曲率に形成されたガイドレールと、このガイド
レールの上下方向に沿って設けられた直線状のリードス
クリュと、このリードスクリュを正逆回転させるための
駆動モータと、前記リードスクリュに螺合しリードスク
リュの正逆回転により上下移動する移動子と、前記ガイ
ドレールに沿って上下動自在に設けられると共に前記移
動子を上下方向に相互に係止し且つ車幅方向に相対移動
自在なるように配設してなると共に室内側にシートベル
トのスルーアンカが取付けられたガイドブロックとより
構成した （作用） 上記構成において、駆動モータを駆動するとリードスク
リュが回転して移動子が上下移動し、シートベルトのス
ルーアンカが取付けられるガイドブロックが移動子の移
動方向と交差する方向へ相対移動しつつ曲率を有するガ
イドレールに沿って上下動する。

（実施例） 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。

第１図及び第２図は、この考案の一実施例に係わるシー
トベルトのショルダー位置調整装置として車両のフロン
トシートに用いられる三点式のものを示している。

まず構成を説明すると、ウエビング１のショルダー部を
支持するためのスルーアンカ３は、車体の上下方向に延
設されたセンタピラー５に対して上下動自在となってい
る。センタピラー５はセンタピラーアウタ5a及びセンタ
ピラーインナ5bより成って閉断面を構成し、横転時の車
体変形を抑えるとともに耐久強度を確保するために車体
の左右方向に対し所定の曲率R1を有している。

センタピラー５の閉断面内には断面略コの字状のガイド
レール７が上下方向に沿って取付けられている。ガイド
レールアウタ5aには車幅方向外側の上端及び下端よりに
ブラケット8,8が固定され、センタピラーアウタ5aには
このブラケット8,8と対応する位置に取付用のブラケッ
ト10,10が溶接等により固定されている。ブラケット10,
10にはウエルドナット12が固着され、締結用ボルト14,1
4がブラケット8,8を貫通してウエルドナット12に螺合さ
れている。この結果、センタピラーアウタ5aにガイドレ
ール７が取付けられる。

ガイドレール７は、車体の左右方向に対しセンタピラー
５の曲率R1と略同じ曲率R2を有している。ガイドレール
７は内側に直線状のリードスクリュ９を備え、リードス
クリュ９の一端はガイドレール７の上部に設けられた駆
動モータ・ギヤユニット11に連結され、他端はガイドレ
ール７の下部に設けられた軸受部13に回動自在に取付ら
れている。このようなリードスクリュ９の中間部には、
リードスクリュ９の正逆回転により上下移動する移動子
として例えば円柱形状のスクリュナット15が螺合されて
いる。

ガイドレール７にはガイドブロック17が上下動自在に係
合され、ガイドブロック17はスクリュナット15の上下方
向に対して連動自在に係合している。そして、スクリュ
ナット15とガイドブロック17とは、後述するようにスク
リュナット15の移動方向すなわち上下方向Ｂと交差する
方向である車幅方向Ａに相対移動自在となっている。ガ
イドブロック17はガイドブロック本体19及びカバー部21
の二体よりなっている。従って、ガイドブロック17の取
付けは容易になされる。ガイドブロック本体19及びカバ
ー部21の車体前後方向の両縁部には、係合部23,25が上
下方向に沿って延設され、本体19の係合部23はガイドレ
ール７の車幅方向外側縁7aに係合し、カバー部21の係合
部25はガイドレール７の同内側面7bに係合している。

なお、ガイドレール７の上端より及び下端よりには、ガ
イドブロック17の上下移動の最上位置又は最下位置を規
制するためのストッパ部26,28がそれぞれ形成されてい
る。

ガイドブロック本体19には、リードスクリュ９を挿通す
るための凹部27が上下方向に長く形成され、その中間部
にはスクリュナット15の回転を規制してスクリュナット
15に対して車幅方向Ａに相対移動するための凹部29が形
成されている。

スルーアンカ３はアンカボルト30によりガイドブロック
17に取り付けられている。センタピラーインナ5bには上
下方向のガイド32が形成され、ガイドブロック本体19に
はガイドレール７のスリット7cから突出する凸部31が形
成され、カバー部21にはガイド孔32より車室内側に若干
突出して凸部31と当接するエンボス部33が形成されてい
る。本体19の凸部31にはねじ穴35が形成され、カバー部
21のエンボス部33には貫通孔37が形成されている。スル
ーアンカ３にはアンカボルト30より大径の貫通孔39が形
成されている。そして、アンカボルト30がスルーアンカ
３の貫通孔39及びカバー21の貫通孔37を貫通し、本体19
のねじ穴35にて螺合されている。

次に作用を説明する。

上記構成において、駆動モータ11を駆動してリードスク
リュ９を回転させると、スクリュナット15がガイドブロ
ック17の凹部29に回転を規制されて上下動し、ガイドブ
ロック17がスクリュナット15に対して車幅方向（矢印Ａ
方向）に相対移動しつつ上下方向（矢印Ｂ方向）に連動
し曲率を有するガイドレール７に沿って上下動する。こ
の結果、スルーアンカ３が上下動して乗員の座高に合わ
せた最適位置にウエビング１を掛けることができ、肩外
れや首掛り等を抑えることができる。

また、スルーアンカ３はガイド孔32より車室内側に若干
突出するエンボス部33上に取付けられているため、ガイ
ドレールインナ5bが曲率R1を有していてもウェビング１
がガイドレールインナ5bのガイド孔32エッジ部と干渉す
るのを抑えることができ損傷を抑制することができる。
しかも、スルーアンカ３はウェビング挿通孔1aが車室内
側に折曲形成されているため、ウェビング１とエッジ部
との干渉をさらに良好に抑えることができる。

この実施例では、ウェビング１のショルダー位置を駆動
モータ11の駆動により自動的に調整できる構成でありな
がら、ガイドレール７がセンタピラー５の曲率と略同じ
曲率を有しているためセンタピラー５の幅寸法を小さく
することができて車室内スペースを大きく確保すること
ができる。また、センタピラー５の幅寸法を小さくでき
るので、側面視界を向上させることができるばかりか見
栄えを向上させることができる。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案によれば、シートベルト
のスルーアンカが取付けられるガイドブロックが上下動
自在に支持されたガイドレールをセンタピラーの曲率と
略同じ曲率を有する構成とした。このため、自動的にシ
ートベルトのショルダー位置を調整できる構成でありな
がら、センタピラーの幅寸法が小さくなって車室内スペ
ースを大きく確保できると共に、側面視界が向上するば
かりか見栄えが向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係わるシートベルトのシ
ョルダー位置調整装置の断面図、第２図は第１図のガイ
ドブロックの斜視図、第３図は従来例に掛るショルダー
調整装置の斜視図、第４図は、第３図のIV−IV断面図、
第５図は従来例の全体的斜視図である。 ３……スルーアンカ ５……センタピラー ７……ガイドレール ９……リードスクリュ 11……駆動モータ・ギヤユニット 15……スクリュナット（移動子） 17……ガイドブロック

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上下方向に所定の曲率で一様に形成された
   センタピラーインナの上下方向に沿って設けられ且つ前
   記センタピラーインナの曲率と略同じ曲率に形成された
   ガイドレールと、このガイドレールの上下方向に沿って
   設けられた直線状のリードスクリュと、このリードスク
   リュを正逆回転させるための駆動モータと、前記リード
   スクリュに螺合しリードスクリュの正逆回転により上下
   移動する移動子と、前記ガイドレールに沿って上下動自
   在に設けられると共に前記移動子を上下方向に相互に係
   止し且つ車幅方向に相対移動自在なるように配設してな
   ると共に室内側にシートベルトのスルーアンカが取付け
   られたガイドブロックとより構成したことを特徴とする
   シートベルトのショルダー位置調整装置。