JP2510201Y2 - 自動車のヘッドレスト - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 a.産業上の利用分野 本考案は、自動車のヘッドレストに関するものであ
る。

b.従来の技術 従来の自動車用シートとして、例えば第６図および第
７図に示すものがある。この自動車用シート51は、乗員
が着座するシートクッション52と着座した乗員の背部を
受けるシートバック53とからなり、該シートバック53の
上部には上下方向の位置調節可能なヘッドレスト54が取
付けられている。このヘッドレスト54は、シートバック
53に固着されたサポート部材（図示せず）に第８図に示
すような樹脂製のグロメット55を差込むと共に、該グロ
メット55内にヘッドレストステー56を挿入配置すること
によりシートバック53に取付けられている。なお、ヘッ
ドレスト本体54aの下部には、第９図に示すようなカバ
ー部材57が取付けられており、該カバー部材57によって
ヘッドレスト本体54aの表皮端末部を隠蔽するようにな
っている。

c.考案が解決しようとする課題 ところが、上述した従来のヘッドレスト54にあって
は、ヘッドレストステー56の外周部に設けた複数のノッ
チ（切欠き）58をグロメット55内のロック装置（図示せ
ず）にラッチさせてヘッドレスト本体54aの高さを調節
するように構成されているので、ヘッドレスト本体54a
を最下段に設置させたときに、ヘッドレスト本体54a側
のカバー部材57とシートバック53側のグロメット55とが
面一になるように設計すると、ノッチ位置の寸法精度の
バラツキによりカバー部材57がグロメット55に干渉して
も、まだヘッドレストステー56のノッチ58がグロメット
55内のロック装置と嵌合せず、ロックできないという不
具合を生ずることがあった。そこで、従来は上記カバー
部材57とグロメット55とが干渉する直前に、ヘッドレス
トステー56のノッチ58がロック装置と嵌合するように構
成しているが、これによるとヘッドレスト本体54aの最
下段においてもヘッドレストステー56の一部が第７図に
示す如く外部からチラチラ見えて外観を損なうおそれが
あった。

本考案はこのような実状に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、上述の如き欠点を解消し得る自動車の
ヘッドレストを提供することにある。

d.課題を解決するための手段 上記従来の有する課題を解決するために、本考案にお
いては、ヘッドレストステーが突設されたヘッドレスト
本体の下面にカバー部材を取付けると共に、シートバッ
クの上部にグロメットを設け、このグロメット内に前記
ヘッドレストステーを挿入することにより前記ヘッドレ
スト本体を上下方向の位置調節可能な状態でシートバッ
クに取付ける自動車のヘッドレストにおいて、前記ヘッ
ドレストステーが突出して配置されるカバー部材の箇所
に突起を設ける一方、前記グロメットの頭部に凹部を設
け、前記ヘッドレスト本体を最下段に設置させたとき
に、前記カバー部材の突起が前記グロメットの凹部内に
挿入配置されるように構成している。

e.実施例 以下、本考案を図示の実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図〜第５図は本考案の一実施例を示すもので、図
において１は自動車の室内前部などに配設される自動車
用シートであって、この自動車用シート１は車体に取付
けられるシートクッション２と、該シートクッション２
の後端部に立設されるシートバック３とから構成されて
いる。また、シートバック３の上部には、上下方向の位
置調節可能なヘッドレスト４が取付けられている。

しかして、上記ヘッドレスト４は、乗員の頭部を受け
るヘッドレスト本体５と、このヘッドレスト本体５の左
右両側に位置する下面に配設されるヘッドレストステー
6,6と、ヘッドレスト本体５の表皮端末部を隠蔽するカ
バー部材７とから成り、ヘッドレストステー６は第４図
に示す如くカバー部材７の下面を貫通しさらに下方へ突
出する長さに形成されている。また、ヘッドレストステ
ー６の外周部内側には、後述のロック装置と嵌合（ラッ
チ）する複数のノッチ８が軸方向に沿って一定の間隔で
設けられている。そして、ヘッドレストステー６が突出
して配置されるカバー部材７の箇所には、肉盛りをして
形成した平面略四角形状の突起９が設けられている。

一方、上記シートバック３の上部には、樹脂製のグロ
メット10が後述の軸部をシートバック３内のサポート部
材11に差込むことによってヘッドレストステー６と対応
する位置に取付けられている。このグロメット10は、第
３図および第５図に示す如く、シートバック３の上面か
ら突出して配置される平面略四角形状の頭部12と、シー
トバック３内に配置される軸部13とから成り、その内部
にはヘッドレストステー６を挿入する挿入孔14とロック
装置15が設けられている。

グロメット10の頭部12上面には、カバー部材７の突起
９の外径寸法よりもやや大きく形成した同形状の凹部16
が設けられており、この凹部16内に突起９の下部が円滑
に挿入できるように構成されている。また、ロック装置
15は、最上段に位置するヘッドレストステー６のノッチ
８が嵌合した状態で突起９の下部が凹部16内に配置され
かつ凹部16の底面と接触しないような位置に設けられて
おり、これによってカバー部材７の突起９がグロメット
10の頭部12に接触する前に上記ノッチ８とロック装置15
とが互いに嵌合し、最下段の位置にあるヘッドレスト本
体５がロックされるようになっている。

このように構成したヘッドレスト４においては、従来
のようにヘッドレストステー６のノッチ８位置の寸法精
度のバラツキによりカバー部材７がグロメット10に干渉
してもロックされない不具合を回避するため、ヘッドレ
スト本体５を最下段に設置させたとき、カバー部材７の
突起９がグロメット10の頭部12に接触する前にヘッドレ
ストステー６のノッチ８がロック装置15と嵌合してロッ
クされる。したがって、カバー部材７の突起９とグロメ
ット10の頭部12との間に隙間が生じヘッドレストステー
６の一部が露出されることになるが、上記突起９は第１
図〜第３図に示す如く頭部12の凹部16内に挿入配置され
るため、ヘッドレストステー６はグロメット10の頭部12
によって覆われ、外部からは見ることができない。

以上、本考案の一実施例につき述べたが、本考案は既
述の実施例に限定されるものではなく、本考案の技術的
思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。

例えば、既述の実施例においては、カバー部材７の突
起９やグロメット10の頭部12および凹部16を平面略四角
形状に形成したが、適用車種に応じて平面円形その他の
形状を適宜選択することができることは言う迄もない。

f.考案の効果 上述の如く、本考案に係る自動車のヘッドレストは、
ヘッドレストステーが突出して配置されるカバー部材の
箇所に突起を設ける一方、グロメットの頭部に凹部を設
け、ヘッドレスト本体を最下段に設置させたときに、前
記カバー部材の突起が前記グロメットの凹部内に挿入配
置されるように構成したので、ヘッドレストステーのノ
ッチ位置の寸法精度にバラツキがあっても最下段の位置
にあるヘッドレスト本体を確実にロックできると共に、
ヘッドレストステーの一部が外部からチラチラ見えると
いうことはなくなり、良好な外観が得られる。しかも、
本考案のヘッドレストは、新規な部品を用いておらず、
既存の構成部材の形状のみを変更させた簡単な構造であ
るので、部品のコスト高を招くということはなく、経済
的にも有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の一実施例を示すものであっ
て、第１図はヘッドレストを取付けた自動車用シートの
全体斜視図、第２図は突起がグロメット頭部の凹部内に
挿入配置されている状態のカバー部材の斜視図、第３図
は第１図におけるＡ−Ａ線断面図、第４図は下方から見
たカバー部材の斜視図、第５図はグロメットの斜視図、
第６図〜第９図は従来例を示すものであって、第６図は
ヘッドレストを取付ける自動車用シートの全体斜視図、
第７図はシートバックの上部に取付けた状態のヘッドレ
ストの側面図、第８図はグロメットの斜視図、第９図は
下方から見たカバー部材の斜視図である。 ３……シートバック、４……ヘッドレスト、５……ヘッ
ドレスト本体、６……ヘッドレストステー、７……カバ
ー部材、８……ノッチ、９……突起、10……グロメッ
ト、12……頭部、13……軸部、14……挿入孔、15……ロ
ック装置、16……凹部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッドレストステーが突設されたヘッドレ
   スト本体の下面にカバー部材を取付けると共に、シート
   バックの上部にグロメットを設け、このグロメット内に
   前記ヘッドレストステーを挿入することにより前記ヘッ
   ドレスト本体を上下方向の位置調節可能な状態でシート
   バックに取付ける自動車のヘッドレストにおいて、前記
   ヘッドレストステーが突出して配置されるカバー部材の
   箇所に突起を設ける一方、前記グロメットの頭部に凹部
   を設け、前記ヘッドレスト本体を最下段に設置させたと
   きに、前記カバー部材の突起が前記グロメットの凹部内
   に挿入配置されるように構成したことを特徴とする自動
   車のヘッドレスト。