JPH0736959A - 自由曲面光学系の設計方法 - Google Patents

自由曲面光学系の設計方法

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JPH0736959A
JPH0736959A JP5175320A JP17532093A JPH0736959A JP H0736959 A JPH0736959 A JP H0736959A JP 5175320 A JP5175320 A JP 5175320A JP 17532093 A JP17532093 A JP 17532093A JP H0736959 A JPH0736959 A JP H0736959A
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optical
optical system
optical path
aperture
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JP5175320A
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Hidekazu Seya
英一 瀬谷
Masaaki Ito
昌昭 伊東
Souichi Katagiri
創一 片桐
Minoru Hidaka
稔 日高
Tsuneo Terasawa
恒男 寺澤
Eiji Takeda
英次 武田
Norio Saito
徳郎 斉藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自由曲面光学系の設計で計算量を低減し、ま
た最適光学系を直接求める、光学面の位相回転の入射角
依存性を考えた設計法を得る。 【構成】 初期光路と初期光学面を定め、各光学面上に
複数点を定義し、設計光学系が望む結像特性フィールド
内に定義した複数設計点に対し、開口内に複数光路を定
義する。上記複数の設計点と光路に対し、光路長偏差分
布を計算、光学面と波面収差の関係係数群を求め、開口
内の根平均自乗収差の複数設計点にわたる自乗和を、極
小にする光学面修正量を計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光ないしX線用の結像光
学系に対する設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学系に広フィールド化や高NA
化あるいは光学面数の低減などが求められるにつれ、こ
れらを実現することができる非球面光学系の導入がなさ
れている。例えば、コンパクトディスクや光ディスクの
分野では、移動ヘッドの軽量化や小型化を目的として、
従来の組合せ球面レンズに代り、非球面単レンズが使用
されている。
【0003】一方、生体の微細構造観察用のX線顕微鏡
や半導体リソグラフィ用の露光装置などへの応用を目的
として、近年X線結像光学系技術が開発されている。上
記X線結像光学系においては、光学面における反射率に
理論的上限があるため、光線の減衰を防ぐ上で反射面数
を低減する必要があり、このため非球面光学系の利用が
不可欠であるとされている。
【0004】ところが、非球面光学系には形状の自由度
が球面に比較して多いため、設計が難しいという問題が
ある。このため、通常は光学面形状の定義のために、ま
ず球面からの形状偏差である非球面量を回転対象軸から
の距離の多項式などで与え、つぎに光線追跡法などによ
り収差を計算しながらパラメータである多項式の係数を
振って、最適化することにより設計を行っている。しか
し、光学的に最適な面は必ずしも上記パラメータのみで
定義できるわけではない。例えば、回転対象軸を持たな
いような非球面に関しては、上記パラメータによる表現
ができない。このため、面上の各位置に関する球面ある
いは平面からの高さの差をすべて数値で与えるような方
法に基づき、光学系設計において自由曲面の定義を可能
にしたいという要求が、光学系の高性能化をはかる上で
顕著になっている。
【0005】既に提案されている非球面光学系または単
体非球面形状の設計方法としては、例えば特開平03−
044609号公報に記載されたものや、特開平03−
174109号公報に記載されたものなどがある。上記
特開平03−044609号公報に記載のものでは、各
光学面に関して光学特性および製作コストを考慮したメ
リット関数を定義し、これらから光学系全体に関する総
合的なメリット関数を計算する。つぎに面の形状や配置
に関するパラメータをふりながら、この評価関数を計算
して最適化されたかどうかを逐次判断する。一方、特開
平03−174109号公報に記載のものでは、非球面
の設計において光線追跡法を利用し、光線が収束点に集
まるように面の傾きを決定しながら、面内で順次非球面
形状を求めていく方法を用いる。この方法では1パスで
形状を決定できるメリットがあり、また、非球面を自由
曲面として取り扱うため設計形状に制約がない特徴もも
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平03−04
4609号公報に記載された方法では、製作コストを含
めた最適構成が得られるメリットがあるものの、判断方
法は古典的な設計手法と同じであり、評価関数の極値を
与える形状を直接求めることができないため、パラメー
タを多くとると計算量が膨大になるという問題点があ
る。このため、面上の任意の部位が他の部位と無関係に
定義される自由曲面の取り扱いには、向いているとはい
えない。一方、特開平03−174109号公報に記載
のものでは、複数面からなる光学系に適用しようとする
と、光学面の間における面の傾きの配分に自由度が存在
するため、複数の非球面からなる光学系の設計におい
て、結像フィールド内の収差分布の最適化などを含めた
意味での、最適値を求めることができないという問題が
ある。
【0007】また、これら従来の方法では幾何学的な光
路長変化のみしか考慮されていないため、X線結像光学
系のように多層反射膜の入射角による反射光位相変化が
ある場合には、精密な最適設計ができないという問題が
ある。
【0008】本発明が解決しようとする課題は、自由曲
面による光学系の設計において、カットアンドトライの
設計方法によると、最適値にいたるまでに数多くの計算
が必要になるという問題点を解決することにある。ま
た、本発明の別の課題は、複数の自由曲面による光学系
の設計において、最適値を与える光学系の設計方法を与
えることにある。また、本発明のさらに別の課題は、光
学面における透過光ないし反射光位相の入射角依存性を
考慮した、最適値を与える光学系の設計方法を与えるこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、初期光路お
よび初期光学面を定める工程と、光学面形状および位置
の修正量を得る工程とからなる、光またはX線用の結像
光学系の設計方法であって、上記光学面形状および位置
の修正量を得る工程が、各光学面上に複数の点を定義
し、設計する光学系に対し有効なフィールド内に複数の
設計点を定義し、各設計点に対する開口内に複数の光路
を定義する工程と、上記複数の設計点のそれぞれに対す
る複数の各光路に対応して、各開口内の光路長偏差分布
を計算する工程と、開口内の根平均自乗収差の上記複数
の各設計点にそれぞれ対応する自乗和を、極小にする光
学面修正量を計算する工程と、からなることにより解決
される。
【0010】すなわち、結像光学系を設計するために、
まず初期光路と初期光学面を定め、つぎに光学面形状お
よび位置の修正を行う。上記光学面形状および位置の修
正では、まず各光学面上に複数の点を定義し、設計する
光学系が望ましい結像特性をもつべきフィールド内に複
数の設計点を定義し、各設計点に関し開口内に複数の光
路を定義する。つぎに上記複数設計点や上記複数光路に
対し、開口内の光路長偏差分布を計算する。さらに、開
口内の根平均自乗収差の上記複数の設計点に対応する自
乗和を極小にする光学面修正量を計算する。
【0011】また、上記光学面形状および位置の修正に
おいて、まず各光学面上に複数の点を定義し、設計する
光学系が望ましい結像特性を持つべきフィールド内に複
数の設計点を定義し、各設計点に関し開口内に複数の光
路を定義する。つぎに上記定義に基づき光学面修正量を
計算する。この計算では、上記複数設計点、上記複数光
路に関し開口内の光路長偏差分布を計算し、開口内の根
平均自乗収差の上記複数の設計点にわたる自乗和を極小
にする光学面修正量を計算し、繰り返しの打切り判定を
行って、修正された光学面に基づく修正光路を決定する
という一連の操作を、良好な結果が得られるまで繰り返
す。
【0012】また、上記開口内の根平均自乗収差の上記
複数設計点にわたる自乗和を極小にする光学面修正量を
計算する場合に、まず定義された光学面と光路の幾何学
的配置関係から、光学面の位置変化と波面収差の間の関
係を線形関係に近似してその係数群を計算し、つぎに上
記係数群を並べたマトリクスと、上記光路長偏差分布を
開口内の光線位置に関して並べたベクトルと、定数マト
リクスと、定数ベクトルとスカラー定数との積和によ
り、各光学素子面上の上記複数の点における面位置修正
量を与える連立方程式の係数および定数項を得る。そし
て、数値計算によりこの連立方程式の解を求める。
【0013】また、上記複数の設計点で開口内の光路長
偏差分布を計算する際に、光学面における透過光または
反射光位相の入射角依存特性の影響による位相変化量を
光路長差に換算し、幾何学的に求められる光路長に加算
する。
【0014】さらにまた、本発明の別の一形態では、上
記自由曲面光学系の設計値を表現するために、各光学面
の配置および形状を与える数値表現と、光学系で有効な
フィールド内の複数点の位置を与える数値表現と、上記
複数点それぞれに関する開口内の複数の光線位置を与え
る数値表現とを組み合わせて用い、開口内の複数の高源
位置を与える上記数値表現に、光学面間での上記複数の
光線位置における各光路方向を与える数値表現を含め、
また各光学面の配置および形状を与える上記数値表現と
して、平面、球面または球面以外の2次曲面である基準
面の位置および形状を与える数値表現と、面上に配置さ
れた格子点における上記基準面と光学面との形状差を与
える数値列を用いる。
【0015】
【作用】つぎに、図3に示すX線縮小投影光学系の設計
を例として、具体的に本発明の作用を説明する。図3の
光学系は半導体リソグラフィ用のパタン露光用途に用い
るものであり、波長13nmのX線を用い、縮小倍率1
/5、解像度0.1μmのパタン露光を行う。光が反射
または屈折を行う本光学系の光学面は4面の反射鏡で構
成される。
【0016】下記の説明のために若干の用語について記
載する。図5は開口と光線の関係を示す図であり、ここ
で開口とは光源面3上の光源位置または結像面1上の結
像点位置からみた立体角のうちで、光源から出た光線5
2が光学系を通じて結像点に到達する範囲を示す。ま
た、光線位置とは上記開口内の任意の光線が光源から結
像点に至る道筋を示し、上記光線位置を示すために、開
口の中心に位置する光線と直交する平面または球面を想
定し、これらの面と光線との交点位置で上記光線の位置
を想定するものとする。
【0017】まず、反射面の位置変化と光路長変化との
関係を図7(a)を用いて示す。波面収差は光線位置に
関する結像光の位相分布であり、光源から結像点に至る
光路長の開口内における光線位置の変動分布を、光波長
で除したものと等価である。反射面の法線方向の位置変
化Eと光路長変化ΔLとの関係は、光線の入射角θを用
いて次式で表わすことができる。
【0018】
【数1】
【0019】なお厳密には、反射面の傾き変化により光
路に横ずれを生じるための光路長変化の発生も考えられ
るが、位置変化量を微少と仮定すると、その影響は式
(1)の関係で示される光路長変化に比較して無視でき
る程度に小さいものになる。
【0020】自由曲面では上記位置変化Eが面上の位置
の関数として任意に与えられるから、これにより引き起
こされる光路長の変動も光線位置の関数になる。すなわ
ち、反射面の形状修正量の分布によって、開口内の分布
としての光路長偏差が変化する。したがって、初期の光
路長偏差または波面収差をもとに、それを打ち消すよう
な反射面の位置変化Eの分布を求めれば、望ましい特性
を与えるような反射面形状および位置の修正量が得られ
ることになる。しかしながら、設計する光学系は4枚の
反射面の組み合わせであり、それぞれの反射面の修正量
の総和によって波面収差が決まるわけであるから、初期
の波面収差から直ちに各面の修正量が求まるわけではな
い。
【0021】そこで本発明では、光源位置がフィールド
内で移動することにより、反射面上で開口の像が移動す
るのを利用して各反射面の最適修正量を計算する。図6
はフィールド内で光源および結像点位置が移動すると、
反射面上での開口の像が移動することを示す図である。
図6(a)はフィールドを示し、(b)は光源位置が移
動した場合の開口位置を示し、また(c)は第1反射面
上での開口の像をそれぞれ示す図である。なお、ここで
開口の像とは、光源位置を定めた場合に反射面上で開口
内の光線を反射する領域を示すものとする。
【0022】本光学系はアパーチャのための部材を特に
設けず、開口を定めるために第2反射面を用いている。
すなわち、図5において光源側開口51および結像側開
口53は、第2反射面12の外形で規定されている。こ
のため、図6(a)においてフィールド41内の位置4
2および43を考えると、それぞれの開口は第2反射面
で規定されるから、図6(b)における開口44および
45のようになる。その結果、第1反射面上の開口像は
図6(c)における開口像46および47のようにな
る。すなわち、開口像はフィールド内の光源位置に依存
して反射面上を移動することがわかる。
【0023】図8はフィールド内で光源および結像点位
置が移動することにより、面上の位置変化がおよぼす光
路長変化の開口内位置が移動することを示す図である。
ここでは1つの面の形状修正による収差の変化状況につ
いて説明する。図8においてa列とb列とはそれぞれ反
射面の形状修正量分布、反射面上における開口像の移動
状態を示し、c列とd列とは図6におけるフィールド内
の点43および42を、測定の光源位置にした場合にお
ける開口内の光路長変化分布をそれぞれ示す。1行から
4行までの各行は、それぞれ第1反射面から第4反射面
に対応する。本光学系では第2反射面を開口に用いてい
るため、a列2行に示す第2反射面の形状変化は、その
ままの位置でc列およびd列に示す光路長変化に反映さ
れ、測定点によって動くことはない。一方、第1反射
面、第3反射面および第4反射面の形状変化は測定点の
位置に応じてb列に示す開口像が移動するため、c、d
列の光路長変化に現われる位置が変化する。1行と3行
とを比較すると、開口像の移動方向が逆であり、それに
つれて光路長に影響が現われる位置も逆方向に移動して
いるが、これは、反射面が第2反射面より光源側にある
か否かによるものである。さらに第3反射面より第4反
射面の方が移動量が大きくなっているのは、後者の方が
第2反射面から遠いことによる。
【0024】これらの関係から、フィールド内の各位置
における収差を0にするような各面の形状修正量が満す
べき、連立方程式を立てることができることが判る。つ
ぎに、連立方程式による具体的な計算方法について説明
する。なお、つぎの説明では、ベクトルおよびマトリク
スを表わすために、頭にそれぞれvおよびxをつけるも
のとする。例えば、ベクトルEをvE、マトリクスMを
xM、などと書く。また一般的な説明にするため、反射
面の枚数をrと書く。さらに反射面上に点群をとり、点
の数をnとする。ここで隣合う点同士の間隔を、考えら
れる形状うねり横周期より小さくなるように取れば、面
の形状および姿勢の変化は、この点群における反射面の
高さ位置の変化によってほぼ一意に記述できる。そこ
で、反射面位置修正量の分布は、式2に示すように各点
上の位置修正量を並べたn次元のベクトルで表記する。
【0025】
【数2】
【0026】式2において、位置修正量ベクトルvEの
添字iは反射面を表わす。また位置修正ベクトルの要素
の2番目の添字は面上の点の番号を表わすものとする。
【0027】初期光路における光路長は開口内にs本の
光線群を考え、各光線ごとの光路長変化を並べたs次元
のベクトルで表記する。同一の光学系でもフィールド内
の光源位置により異なるから、光源位置の数をmとして
式3のように表わす。この値は光学面の形状および配置
や光路の配置の初期値から、計算により求めることがで
きる。
【0028】
【数3】
【0029】式3において光路長ベクトルvLの添字k
はフィールド内の光源位置を表わし、また要素の2番目
の添字は開口内の光源位置を表わすものとする。波面収
差は光路長の開口内の変動分に相当するから、式4で定
義される定数マトリクスxCを用いて、式5に示すよう
にベクトルで表わすことができる。
【0030】
【数4】
【0031】
【数5】
【0032】式4において右辺の第1項はs次の単位行
列、第2項はすべての要素が1/sであるようなs次の
正方行列である。また、式5において上線が付いたLk
はベクトルvLkの各要素の平均値を示す。
【0033】また、光学面の修正による光路長の変化
は、式3と同次元の光路長変化ベクトル式6で表わせ
る。
【0034】
【数6】
【0035】上記のように位置修正量ベクトル、光路長
ベクトルおよび波面収差ベクトル、光路長変化ベクトル
を定めると、式1の関係が線形関係であることから、位
置修正量ベクトルと光路長変化ベクトルの間の関係は式
7のように書くことができる。
【0036】
【数7】
【0037】式7は各反射面の位置修正量分布が光路長
変化の分布におよぼす影響の、全反射面にわたる総和
が、光路長変化を与えることを示している。式7におい
てマトリクスxMは、位置修正量ベクトルと光路長変化
ベクトルの関係を示すs×r次元のマトリクスであり、
1番目の添字は反射面を、2番目の添字は測定点を表わ
す。その要素は反射面上の各点上に存在する単位大きさ
の反射面修正量が、それぞれ光路長変化ベクトルの各要
素に与える影響の大きさを並べた縦ベクトルを、さらに
反射面上の点の順番に横に並べたものである。したがっ
て、光路長変化ベクトルの各要素に対応する光線につい
て、反射面上で反射される位置がその反射面上の上記点
群の何番目の点に一番近いか、またそこでの入射角がど
うなるかをすべて調べれば、この関係係数マトリクスは
式1によって求めることができる。ここで波面収差の変
化は、光路長変化分布の開口内での変動部分に等しいこ
とに注意すると、式8の関係が得られる。
【0038】
【数8】
【0039】式8は位置修正量ベクトルと波面収差変化
ベクトルの関係を示す式である。波面収差を0にするに
は、初期値における波面収差を打ち消すような位置修正
量を求めればよいのであるから、式9に示す関係が成立
すればよいことが判る。
【0040】
【数9】
【0041】式9は各測定点に関するm本の式からな
る、位置修正量ベクトルvE1からvErに関するベクト
ル連立方程式である。したがって、式9を解き各位置修
正量ベクトルの値を求めることができれば、目的とする
各面の位置修正量が求められることになる。
【0042】ところが実際にはいくつかの問題点があ
る。未知数の個数と条件式の本数を考えると、上記未知
数は位置修正量ベクトルの次元数と面の枚数との積にな
るからn×r個であり、式の本数は波面収差ベクトルの
次元数と測定点数との積であるからs×m本である。r
は反射面の枚数であって既定であるから、n×r=s×
mの関係を満たすように、あらかじめn、s、mを定め
ておく必要がある。すなわち、位置修正量ベクトルの次
元、波面収差ベクトルの次元と測定点数は任意に決める
ことができないという問題がある。また、パタン転写用
結像光学系の設計においては、一般にフィールド内の領
域すべてに関し完全に無収差の特性が得られるように設
計することが、不可能であることはよく知られている。
すなわち、収差を完全に0にするような解はもともと存
在しないのであって、例え上記のようにn、s、mを定
めたとしても、式9の方程式は当然解けないことが予想
される。
【0043】そこで、本発明ではフィールド内での根平
均自乗収差分布の自乗積分値を評価関数とし、それを最
小にする最適値としての解を求める。実際の計算におい
ては点群が十分に細かく、かつ均一に分布する条件のも
とでは、波面収差ベクトルのノルムが根平均自乗収差の
定数倍にほぼ等しくなること、さらに全測定点にわたっ
て上記ノルムの自乗和を作ると、これが上記フィールド
内での根平均自乗収差分布の自乗積分値の定数倍に概ね
等しくなることを利用し、式10に示す評価関数Gを用
いる。
【0044】
【数10】
【0045】上記評価関数Gは位置修正量ベクトルの二
次形式になるから、公知の手法により極小値を与える位
置修正量ベクトルを求めることができる。すなわちvE
iに関する二次形式Gの値を最小にするvEiの値を求め
る問題を解けばよいことになる。ただし、ここで注意す
べきことは、極小値を与える解の組は反射面の枚数r分
の自由度を持っていて一意には定まらないことである。
これは波面収差が光路長の偏差分に相当することによ
る。すなわち、開口の全面にわたって光路長を一定量だ
け増減するような解の変化は、波面収差および評価関数
Gに影響を与えないから、各面についてのこのような変
化が自由度として残ってしまうのである。本発明では最
終的に数値計算によって解を求めるから、解が一意的で
ないと計算が発散し望ましくない。解を一意化させるた
めには何らかの拘束条件が必要になるが、ここで本発明
では、光学面の概形や光路の配置に関する設計仕様が初
期値に含まれることに着目すると、解のうちで修正量ベ
クトルvEiが最も小さくてすむようなもの、すなわち
初期値にもっとも近い形状を与えるものを選ぶことによ
り、上記の拘束条件を実現するのが望ましいことが判
る。このような解を得るための手法はいくつかあるが、
ここではコスト関数を用いる手法について記載する。す
なわち、評価関数Gの代りに、式11に示すようなGと
ベクトルvEiのノルム総和の定数倍との和G1を評価関
数として用いる方法である。
【0046】
【数11】
【0047】ここで定数γは正の実数であって、第2項
の存在による解の最適値からのずれ量が十分に小さく、
しかも下記の数値計算の精度が低下しない程度に、解が
一意性をもつような適当な大きさに選ぶ必要がある。
【0048】つぎに最適修正ベクトルvEiを求める。
評価関数G1の極小条件は、位置修正量ベクトルvEi
各要素Eijによる偏微分∂G1/∂Eijが0になること
から式12に示すようになる。
【0049】
【数12】
【0050】まず式11における右辺第1項の位置修正
量ベクトルvEiの各要素Eijによる偏微分をvEqの関
数として求めると式13のようになる。
【0051】
【数13】
【0052】式13において、vejは第j項が1であ
るような単位ベクトルを示す。また同じく式11におけ
る右辺第2項の位置修正量ベクトルvEiの各要素Eij
による偏微分は、式14のように求められる。
【0053】
【数14】
【0054】式13と式14を用いると式12が表わす
方程式群は式15のように変形することができる。
【0055】
【数15】
【0056】上記式15の左辺に含まれる未知数は各面
に関する修正量ベクトルvEqのみであり、式の値は各
vEqと定数ベクトルの内積だから、式15の左辺は各
vEqの要素の線形結合であるのは明らかである。すな
わち、式15の方程式群は各vEiの要素を未知数とす
る連立1次方程式となることがわかる。上記連立1次方
程式においては、未知数の個数と式の本数とが、ともに
n×r個となるから、通常の連立方程式の解法で解くこ
とができる。
【0057】ここで式16に示すように、縦ベクトルで
ある各vEiをさらに縦に並べたn×r次元の縦ベクト
ルvEを定義する。
【0058】
【数16】
【0059】また、式15は1からrまでの整数i、1
からnまでの整数jについて成立するから、p=n(i
−1)+jなる整数pを考え、式15のn×r個の方程
式群をpの順に縦に並べると、式17に示すようなマト
リクス形式に書き換えることができる。
【0060】
【数17】
【0061】(ここに、cpはvCの第p要素、apw
xAの第(p,s)要素であって、i,jはn(i−
1)+j=p、1≦j≦nを満たす整数、t、uはn
(t−1)+u=w、1≦u≦nを満たす整数である)
式17において、係数行列xAはapwを与える式で示さ
れるとおり、ある行列と単位行列の実数倍の和となるか
ら、係数γを適当に選べば必ず正則にすることができ
る。すなわち、式17の方程式は、その条件のもとで数
値計算により必ず一意に解くことができるのがわかる。
なお、既に記したとおりγは過大に取ると解に含まれる
変化の増大を招き、過小に取ると解の一意性の低下によ
る上記数値計算の発散を招く。したがって、上記計算を
係数γを減少させながら繰り返し、発散する直前の解を
もって正しい解とするのが、計算修正量を小さくする点
からは望ましい。
【0062】上記のように式17が示す連立方程式の解
が波面収差を極小にする最適解を与えること、およびこ
れらの方程式が数値計算により実際に解けることを示し
た。すなわち、初期の波面収差の計算結果と、光学系の
幾何学的配置に基づく反射面位置変化と波面収差変化の
関係から、光学系の根平均自乗収差の自乗積分値を評価
関数として、反射面の最適修正量を得る方法が示された
わけである。
【0063】なお、X線光学系においては、光学素子表
面における反射率を稼ぐために多層膜を用いる。図9は
多層膜の構造を示す図である。モリブデンなどの重元素
の層103とシリコンなどの軽元素の層104とを50
層以上積み重ねた構造であり、積み重ねの周期hはブラ
ッグの回折条件を満たすように、次式18のように決め
られる。
【0064】
【数18】
【0065】式18において、λは使用光の波長、θ0
は設計入射角である。
【0066】多層膜による反射波は各層界面からの反射
波の重ね合わせになる。式18から直ちに判るように、
入射角が設計入射角に等しい場合は各層界面からの反射
波の位相がすべて等しくなるから、反射波の位相は表面
反射光の位相と一致する。ところが、入射角が設計入射
角に等しくない場合には、各層界面からの反射波の位相
が少しづつずれるので、総和としての反射波の位相は表
面反射波の位相に対してずれを生じる。この表面反射に
おける位相のずれは光路長の変化と等価であるから、波
面収差にも当然影響を与える。
【0067】多層膜の設計においては、通常フィールド
中央に光源を置いた場合を想定して、反射面上の各部位
への入射角を求める。ところが比較的大きなフィールド
を実現しようとする場合には、上記フィールド端部から
の入射光の入射角は上記の値に対してずれたものにな
る。しかも上記ずれの方向は、反射面上の部位に依存し
て変化する。したがって、精密に波面収差を計算しよう
とする場合には、初期の光路長を求めるに当って入射角
ずれの影響を考慮しなければならない。
【0068】反射光の位相のずれは、設計入射角θ0
実際の入射角θと1層当りのX線透過率α、層対の総数
Nから計算することができる。まず1層対当りの位相回
転量Δφsを求めると式19のようになる。
【0069】
【数19】
【0070】反射光の位相ずれΔφは複素公比をもつ等
比数列の和の偏角になるから式20のように求められ
る。
【0071】
【数20】
【0072】式20において、Nは層対の総数、αは1
層対当りのX線透過率であり、jは虚数単位、eは自然
対数の底を表わす。
【0073】式20により得られた位相ずれΔφを光路
長差に換算すると式21のようになり、
【0074】
【数21】
【0075】したがって、初期光路長Lは、精密には幾
何学的関係により定まる光路長Lgと位相ずれによる光
路長差ΔLmを用いて式22のようになることが判る。
【0076】
【数22】
【0077】すなわち、式22を適用することにより、
反射光の位相変化を考慮した光学系の設計が可能にな
る。
【0078】なお上記説明では、反射光学系を例にあげ
て説明したが、本発明は屈折光学系への適用も当然可能
である。屈折光学系に適用する場合は、光学面位置変化
と光路との関係が図7(b)に示すようになる。反射面
の場合と同様に光学面位置変化Eと光路長変化ΔLとの
関係を線形化して表わせば式23のようになる。
【0079】
【数23】
【0080】ただし、nsは出射側と入射側との屈折率
比、θ1は出射角である。すなわち、式23を式1の代
りに用いることによって、上記の方法はそのまま屈折光
学系にも適用できることが判る。
【0081】
【実施例】つぎに本発明の実施例を図面とともに説明す
る。図1は本発明による自由曲面光学系の設計方法にお
ける設計手順の一例を示す図、図2は上記設計手順の他
の例を示す図、図3は設計される光学系の初期配置およ
び面形状の例を示す図、図4は設計データの構造例を示
す図である。本発明による自由曲面光学系の設計方法
を、図3に示すX線用の反射結像光学系に適用して説明
する。図1は本発明による自由曲面光学系設計の処理方
法を示す流れ図である。本設計法では図1に示すとおり
まず初期光路および初期光学面を決め、つぎに、光学面
上の点群、フイールド内の設計点群、開口内の光路群の
配置を定義する。ついで、初期光路長の分布および初期
の波面収差を計算し、さらに、反射面位置変化と波面収
差の変化の関係を示す関係係数マトリクスを計算し、波
面収差の根平均自乗和を極小にする修正量ベクトルが満
たすべき連立方程式の係数および定数項を求め、数値計
算により上記連立方程式を解いて光学面の最適修正値を
求める。
【0082】初期光路と初期光学面の決定工程において
は、結像側開口数、光源側開口数および結像倍率、結像
側中心光軸および光源側中心光軸、光学面の枚数および
寸法、光学系全体の配置および寸法の概略値をまず与え
る。これらの値は互いに矛盾しないように決める必要が
あるので、初期値は光学系として機能するレベルの球面
光学系とするのが計算量の低減の見地からは望ましい。
ただし、本発明においては例えば光学面がすべて平面で
あるような最適値と大きく異なる系から出発しても、初
期光路が適当に定められていれば、後述するような手順
で繰り返し計算することにより、2〜3回程度の繰り返
しで最適値に到達できる。公知の技術である光源追跡法
による光路長の計算と異なり、本設計法では各光路がな
す角を、光学面の初期形状に基づく面の傾きと無関係に
初期値で与える。この際光路と面の傾きの間には矛盾が
あっても差し支えはない。というのは、開口内に光路長
偏差がないような面形状が最終的に得られたとすると、
最短経路に関する幾何学の定理から、光路と面の傾きと
の関係は正しいものになるからである。言い替えると、
光路の配置が優先され面形状は後から確定するため、初
期値は大まかな値としても計算が可能であるという特徴
を、本発明は有している。
【0083】光学面上の点群の定義工程においては、各
反射面の面位置変化のベクトル表記を可能にするため、
各反射面上の点群の面上における位置と番号を定める。
各反射面の形状および配置や姿勢は、すべてこの点群上
での反射面の法線方向移動量で表現されることになる。
点群の総数は大きすぎると計算量の増大を招き、一方小
さ過ぎると精密な面形状および姿勢の定義ができないの
で、適当な値に定める必要がある。なお、点群の密度は
面内で一様にするのが望ましい。
【0084】フィールド内の設計点群の定義工程におい
ては、光源面上での有効なフィールド内に均一に分布す
るように波面収差を極小化すべき設計点の位置と番号を
定める。なお、結像面上のフィールドで定義を行うこと
も可能であり、同様の結果が得られる。また、開口内の
光路位置の定義工程においては、開口内の光路長分布ま
たは波面収差のベクトル表記を可能にするため、開口内
の光源位置群の位置と番号を定義する。さらに、初期光
学面や初期光路にしたがって、個別の設計点に関し上記
各光線位置に対応する光路を具体的に定める。
【0085】初期光路長の計算工程においては、上記の
ように定義されたそれぞれの光路に関し、光源から結像
点に至る光路長を計算する。ここで、光学面における透
過光または反射光位相の入射角依存特性の影響が無視で
きない大きさであると予想される場合には、それによる
位相変化量を光路長差に換算して幾何学的配置に基づく
光路長に加える。開口内でのこれら光路長の変動分を求
めることにより、各設計点における波面収差が得られ
る。
【0086】光学面位置と波面収差の関係係数マトリク
スの計算工程においては、定義された光学面と光路の幾
何学的配置関係から、光学面上の点群における面位置変
化と波面収差の間の関係を線形関係に近似してその係数
群を計算し、これらの係数群を並べた係数マトリクスを
求める。反射光学系においては式1に示したとおり、こ
の係数は光路の面への入射角にのみ依存する。なお、屈
折光学系においては式23に示したとおり、光路の面へ
の入射角と入射側および出射側の屈折率比に依存する
が、上記屈折率比は通常は面内で変化することがないの
で、入射角によって係数群が定まることに変りはない。
この係数マトリクスを構成する各縦ベクトルは、ある光
学面のある点における単位大きさの法線方向での面位置
変化が開口内の光線群に与える光路長変化を示す。同時
に、上記係数マトリクスを構成する各横ベクトルは、開
口内のある光線位置における光路長が、反射面上の各点
における単位大きさの面位置変化によりどのように変化
するか示す。実際の計算にあたっては、想定している設
計点に関する想定している光路が、想定している反射面
上の点群のうちでどの点の一番近くで反射されるかを求
め、さらにそこでの入射角θを求めて、横ベクトルの上
記光学面上の点に相当する要素を式1にしたがって2co
sθとする。反射面上の別の点における面位置変化は、
想定している光線位置の光路長を変化させないから、横
ベクトルの他の要素はすべて0としてよい。ただし、2
点あるいはそれ以上の点が同程度に最も反射位置に近い
場合には、上記2cosθを対応する要素の間で配分して
もよい。この際、横ベクトルの各要素の和は、想定して
いる反射面全面が単位大きさだけ法線方向に移動した場
合の光路長変化量である2cosθに等しくなければなら
ない。
【0087】上記操作によって係数マトリクスを決める
と、既に記したように係数マトリクスの縦ベクトルは、
ある点での面位置誤差が開口内の光線群に与える光路長
変化を示す。その点が反射面上の開口の像の外にある場
合には、面位置変化が光路長変化を引き起さないから上
記縦ベクトルの要素は当然すべて0になる。ところが逆
に、開口像の内部の点が必ず0でない要素をもつ保証は
ない。なぜなら、光線の反射位置の分布密度が反射面上
の点群の分布密度より低い場合は、想定する点がどの光
線の反射位置にも最も近い点ではないということが起り
うる。この場合は縦ベクトルの要素がすべて0になるか
ら、この点における面位置変化が開口内の光路長分布に
影響しないという、誤った近似がなされてしまうことに
なる。このようなことが起るのを防ぐため、開口像の内
部にある点には、必ずその点が反射位置に最も近い点に
なるような光線が存在するように、光線位置の密度を高
めてやる必要がある。すなわち、上記光線位置の定義に
おいては、任意の反射面における開口像内部の反射位置
の分布密度が点群の分布密度と少なくとも同等以上にな
るように、光線位置の密度あるいは総数を決める必要が
ある。上記操作によって、面位置変化と光路長変化との
関係が線形に近似されて求められることになる。
【0088】連立方程式係数マトリクスおよび定数項ベ
クトルの計算工程においては、式17に従い開口内の根
平均自乗収差のフィールド内の複数点にわたる自乗和を
極小にする、光学面修正量を与える連立方程式の係数マ
トリクスおよおび定数項ベクトルの計算をする。最適修
正値の計算工程では、上記連立方程式を解くが、既に説
明したとおりこの連立方程式は必ず解くことができる。
公知の掃き出し法などによる数値計算によって上記連立
方程式の解を求め、最適修正量を得る。
【0089】なお、初期値の精度が悪い場合などには、
さらに上記光学面修正量の計算を繰り返すことで計算精
度を向上することができる。すなわち、図2に示す手順
により光学面修正量を計算し、これにより修正された光
学面に基づく修正光路を決定したのち、これを初期値と
して再び開口内の光路長偏差分布、係数群、最適解の計
算を繰り返す。繰り返しの打切り判定は計算結果の一定
値への収束を見るのが望ましいが、根平均自乗収差の自
乗和が仕様値よりも小さくなったところで計算を打ち切
っても構わない。
【0090】図4は光学系設計値を表わすデータの構成
例を示す図である。光学系データを構成する表現群は、
データファイル中においては、図中で上に示されている
ものから下に示されているものに向かって順に並べてい
る。データは、光学系の名称および仕様等、光源面配置
の表現、結像面配置の表現、光学面のデータ、フィール
ド内設計点配置の表現、設計点のデータからなる。この
うち、光学面のデータは、基準面形状および配置の表
現、点群位置の表現、基準面と光学面の形状偏差値の表
現からなる、各光学面に関するデータを並べたものであ
る。また設計点のデータは、開口内の光線群配置の表現
と、光源面、各反射面および結像面間の光路の表現とか
らなる、各設計点に関するデータを並べたものである。
【0091】本発明による光学系設計では、既に説明し
たような手順で各設計点における根平均自乗収差を最適
化する計算を行い、その結果として自由曲面光学系の設
計値を得るわけであるから、設計値の表現としては各光
学面の配置および形状を与える数値表現の他に、図4に
示す例のように、計算の前提にした設計点の位置を与え
る数値表現、および各設計点に関する開口内の光線位置
群を与える数値表現を含むことが望ましい。
【0092】また、開口内の光線位置群を与える上記数
値表現に、光学面間での上記複数の光線位置における各
光路の方向を与える数値表現を含めると、上記設計計算
における初期値の定義と内容が共通化するので、繰り返
し計算における記憶場所の確保や検算の取り扱いが容易
になる。
【0093】また、本発明では初期値として平面や球面
などの形状を用い、光学特性を最適化する面形状修正量
を、点群上での位置修正量として計算で求めるから、各
光学面の配置および形状を与える上記数値表現として、
平面や球面などの基準面と光学面の形状差を与える数値
列を用いると、座標変換などの必要がなくなるため合理
的である。
【0094】
【発明の効果】上記のように本発明による自由曲面光学
系の設計方法は、初期光路および初期光学面を定める工
程と、光学面形状および位置の修正量を得る工程とから
なる、光ないしX線用の結像光学系の設計方法であっ
て、上記光学面形状および位置の修正量を得る工程が、
各光学面上に複数の点を定義し、設計する光学系に対し
有効なフィールド内に複数の設計点を定義し、各設計点
に対する開口内に複数の光路を定義する工程と、上記複
数の設計点のそれぞれに対する複数の各光路に対応し
て、各開口内の光路長偏差分布を計算する工程と、開口
内の根平均自乗収差の上記複数の各設計点にそれぞれ対
応する自乗和を、極小にする光学面修正量を計算する工
程とからなることにより、自由曲面による光学系の設計
に対して、カットアンドトライの設計方法に比較し、最
適値に至るまでの計算量を低減することができる。ま
た、本発明によれば、複数の自由曲面による光学系の設
計において、最適値を与える光学系の設計方法を得るこ
とができる。さらにまた、光学面における透過光または
反射光位相の入射角依存性を考慮した最適値を与える光
学系の設計方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自由曲面光学系の設計方法におけ
る設計手順の一例を示す図である。
【図2】上記設計手順の他の例を示す図である。
【図3】設計される光学系の初期配置および面形状の例
を示す図である。
【図4】設計データの構造例を示す図である。
【図5】光学系の開口および光線の関係を示す図であ
る。
【図6】露光フィールド内位置と反射面上の開口像との
関係を示す図である。
【図7】反射面位置変化と光路長変化との関係を示す図
である。
【図8】各反射面の形状変化と波面収差との関係を示す
図である。
【図9】多層膜の構造を示す図である。
【符号の説明】
1 結像面 3 光源面 7 光路 41 露光フィール
ド 44 計測点42に対する開口 45 計測点43に対する開口 90 実際の光学面 91 理想的な光学
面 93 実際の光路 94 理想的光路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日高 稔 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 寺澤 恒男 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 武田 英次 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 斉藤 徳郎 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】初期光路および初期光学面を定める工程
    と、光学面形状および位置の修正量を得る工程とからな
    る、光またはX線用の結像光学系の設計方法であって、
    上記光学面形状および位置の修正量を得る工程が、
    (1)各光学面上に複数の点を定義し、設計する光学系
    に対し有効なフィールド内に複数の設計点を定義し、各
    設計点に対する開口内に複数の光路を定義する工程と、
    (2)上記複数の設計点のそれぞれに対する複数の各光
    路に対応して、各開口内の光路長偏差分布を計算する工
    程と、(3)開口内の根平均自乗収差の上記複数の各設
    計点にそれぞれ対応する自乗和を、極小にする光学面修
    正量を計算する工程と、からなる自由曲面光学系の設計
    方法。
  2. 【請求項2】上記定義に基づき光学面修正量を計算する
    工程は、(1)上記複数の設計点のそれぞれに対する複
    数の各光路に対応して、各開口内の光路長偏差分布を計
    算する工程と、(2)上記開口内の根平均自乗収差の上
    記複数の各設計点にそれぞれ対応する自乗和を、極小に
    する光学面修正量を計算する工程と、(3)上記計算の
    繰り返しに対し打切り判定をする工程と、(4)上記修
    正された光学面に基づく修正光路を決定する工程と、か
    らなることを特徴とする請求項1記載の自由曲面光学系
    の設計方法。
  3. 【請求項3】上記開口内の根平均自乗収差の上記複数の
    各設計点にそれぞれ対応する自乗和を、極小にする光学
    面修正量を計算する工程は、(1)定義された光学面と
    光路の幾何学的配置関係から、光学面上の複数点におけ
    る面の位置変化と波面収差との間の関係を、線形関係に
    近似してその係数群を計算する工程と、(2)上記係数
    群を並べたマトリクスと、上記光路長偏差分布を開口内
    の光線位置に応じて並べたベクトルと、定数マトリクス
    と、定数ベクトルとスカラー定数との積和により、各光
    学素子面上の上記複数の点における面位置修正量を与え
    る連立方程式の、係数および定数項を得る工程と、
    (3)数値計算により上記連立方程式の解を求める工程
    と、からなることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の自由曲面光学系の設計方法。
  4. 【請求項4】上記複数の設計点で各開口内の光路長偏差
    分布を計算する工程は、光学面における透過光または反
    射光の位相が、入射角依存特性の影響による位相変化量
    を光路長に換算して、幾何学的配置に基づく光路長また
    は光路長差に加える工程を含むことを特徴とする請求項
    1または請求項2記載の自由曲面光学系の設計方法。
  5. 【請求項5】自由曲面光学系の数値表現であって、
    (1)各光学面の配置および形状を与える数値表現と、
    (2)上記光学系の有効なフィールド内における複数の
    設計点の位置を与える数値表現と、(3)上記複数の設
    計点のそれぞれに対応する、開口内の複数の光線位置を
    与える数値表現と、を含む自由曲面光学系の数値表現。
  6. 【請求項6】上記開口内の複数の光線位置を与える数値
    表現は、光源面や光学面または結像面の相互間における
    上記複数の光線位置に対して、各光路の方向を与える数
    値表現を含むことを特徴とする請求項5記載の自由曲面
    光学系の数値表現。
  7. 【請求項7】上記各光学系の配置および形状を与える数
    値表現は、平面や球面または球面以外の2次曲面である
    基準面の位置および形状を与える数値表現と、上記面上
    に配置された複数の点位置における上記基準面と光学面
    との形状差を与える数値列からなることを特徴とする請
    求項5記載の自由曲面光学系の数値表現。
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