JPH0735689B2 - 横葺き屋根構造における垂木装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、建築構造物の横葺き屋根構造に適用される
システム化された垂木装置に関する。

〔従来の技術〕 一般に、金属材料を用いた屋根構造としては、従来から
縦葺き形式による屋根構造と横葺き形式による屋根構造
とがある。

これらの各形式共に、屋根構造体面を構成する小屋組み
の棟方向に平行（以下，横方向とも呼ぶ）して所定の屋
根勾配を与えるべく配設された母屋材上にあって、比較
的幅の狭い長尺状でかつ、平坦な支持面をもった複数本
の垂木部材を、棟方向に直交（以下，縦方向とも呼ぶ）
するように所定間隔で平行に固定配置する。

そして、適宜，野地板などを介した状態で、前者縦葺き
屋根構造においては、長手縦方向の両側部に側縁係合
部，中央部に面板部を有する縦葺き屋根板を用い、隣接
する各垂木部材間に、この縦葺き屋根板の複数枚を横方
向に並列させた状態で、直接，又は適宜に係合部材など
を介在させて係合止着させることにより、縦方向に順次
に葺き上げる。又、後者横葺き屋根構造においては、長
手横方向の両側部に隣接同志で係合可能な軒側係合部及
び棟側係合部，中央部に面板部を有する横葺き屋根板を
用い、隣接する各垂木部材間に跨って支持させる状態
で、この横葺き屋根板の複数枚を縦方向に階段状，又は
鋸歯状をなすように段付きさせて相互に係合させ、か
つ、内部側で適宜に吊子部材を用いて引き留め止着させ
ることにより、横方向に順次葺き上げる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかして、従来の縦葺き屋根及び横葺き屋根の各構造
は、一般的な建築構造物への適用上，それぞれに一長一
短を有しており、対象となる建築構造物の目的用途及び
周辺環境などの各条件，ならびに外観形態などの要請に
基づき任意に選択して使用される。

ここで、横葺き屋根構造に用いる横葺き屋根板につい
て、縦葺き屋根構造の縦葺き屋根板と比較すれば、構造
上，屋根面に対する個個の屋根板単体当りの被覆面積範
囲が相対的に狭くなっており、このためにその有効幅寸
法（即ち，屋根面上での葺き幅寸法に相当して、長手縦
方向長さに該当する）が小さくされ、これによって十分
な構造強度及び効果的な水捌け作用などに併せて、良好
な形態の外観意匠を得ている。

しかしながら、一方で、前記構成による横葺き屋根構造
の場合には、前記した如く、横葺き屋根板の有効幅が被
覆面対応に狭くされているので、たとえ縦葺き屋根構造
の場合と構成部品が同一数ではあっても、単位面積当り
の葺き上げ作業工数が多くなるという不利があった。

又、その構造上，縦方向の上下各部で軒側係合部と棟側
係合部とを係合させてハゼ組み構成にすることから、必
然的に有効幅範囲の棟側係合部の上端部側に空間部が形
成され、外部から加えられる正圧によって対応する面板
部に撓みを生じ易く、従って、これを防止するために
は、葺き上げの各段毎に同棟側係合部の上端部側をバッ
クアップするいわゆる，バックアップ材（木毛セメント
板，ウレタン発泡板など）を、下地材としての野地板な
どとは別に挟入する必要があった。

更に、単一な葺き上げ支持平面をもった各垂木部材上に
あって、複数枚の横葺き屋根板を支持させ、かつ、吊子
部材によって引き留め止着させるだけであるので、必ず
しも葺き上げピッチ間隔が正確には規制されておらず、
この葺き上げピッチ間隔を正確に設定するためには、相
当程度の熟練を要するもので、これらの結果、別部材の
必要性を含め、施工時の作業工数が増加してコストアッ
プを招く要因になっていた。

この発明は、従来のこのような問題点を改善しようとす
るものであって、その目的とするところは、建築構造物
に対して横葺き屋根構造を適用する場合，この屋根構造
での横葺き屋根板の葺き上げ基礎構成手段となる垂木部
材をユニット化して、必ずしもバックアップ板などの介
在を必要とせずに、しかも、施工の際の複数枚の横葺き
屋根板による葺き上げピッチ間隔を正確かつ、容易に設
定し、かつ、これを係止できるようにして、作業性の向
上，コストの低減化を図り、併せて、構造強度ならびに
外観意匠性に優れたこの種の横葺き屋根構造における垂
木装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するため、この発明に係る横葺き屋根構
造における垂木装置は、各母屋材上に跨って所定の屋根
勾配で配設され、かつ、横断面上開き略コ字状をなして
長手方向に延びる溝部を有し、この溝部左右の各側壁部
の内側上部に係止鉤条部を条設した垂木部材と、上面部
に横葺き屋根板を受支し、かつ、上下に隣接する各横葺
き屋根板相互の係合部を係止する係止部を軒側に折曲形
成させた面板受支部を設けると共に、この面板受支部の
両側を、横葺き屋根板の葺き上げピッチ間隔対応の長
さ，及び葺き上げ傾斜角対応の傾斜により下方に対向折
曲させて、前記溝部内に長手方向任意の位置で着脱自在
に嵌入され、かつ、前記係止鉤条部によって嵌入位置に
係着固定される係止鉤部を突設してなる複数の受支係止
部材とを組み合わせて構成した。

〔作用〕

この発明においては、各母屋材上に跨って所定の屋根勾
配で垂木部材を配設固定し、まず、軒側に対応させる下
段側の横葺き屋根板の棟側係合部を、上段側の受支係止
部材の係止部により係止させるようにして、この上段側
の受支係止部材を垂木部材の溝部内に嵌入させることに
より、その係止鉤部を係止鉤条部により係着して嵌入位
置に固定する。

ついで、この下段側の横葺き屋根板の棟側係合部に対し
て、棟側に対応される上段側の横葺き屋根板の軒側係合
部を係合させると共に、先に固定されている上段側での
前記受支係止部材の各面板受支部を受支させるように
し、以後，この操作を繰り返すことによって所期の横葺
き屋根構造を軒側から棟側にかけて葺き上げることがで
きる。

そして、このように葺き上げた状態では、各横葺き屋根
板が、各受支係止部材の面板受支部に受支されて、棟側
係合部の上端部側から補強支持されるために、必ずしも
バックアップ板などを介在させなくとも、この横葺き屋
根板での中央面板部の外圧による撓みなどを良好に解消
できる。

かつ同時に、このようにして葺き上げられた各横葺き屋
根板は、設定された所定の葺き上げピッチ間隔通りに正
確に維持されて、何らの熟練も必要とせずに所期通りの
形態を確保し得る。

また、葺き上げに際しては、各面板受支部の軒側に形成
された係止部により、隣接する各横葺き屋根板相互の係
合部を係止でき、かつ葺き上げ後は、垂木部材での溝部
内を雨樋として効果的に活用することができる。

〔実施例〕

以下，この発明に係る横葺き屋根構造における垂木装置
の実施例につき、第１図ないし第４図を参照して詳細に
説明する。

第１図はこの発明の第１実施例の垂木装置における垂木
部材と受支係止部材の概要構成を示す斜視図及び全体概
念図、第２図は同上垂木装置に使用される横葺き屋根板
の概要構成を示す斜視図、第３図（ａ），（ｂ）は同上
垂木装置による横葺き屋根構造の概要構成を示す縦断側
面図及び横断正面図である。

これらの第１図ないし第３図構成において、この第１実
施例の垂木部材（11）は、例えば、アルミ押し出し型材
などを用いることで、後述するように所定の断面形状を
有して長尺に成形されている。

この垂木部材（11）は、屋根構造体面を構成する小屋組
みの棟方向に平行して所定の屋根勾配を与えるべく配設
された各母屋材（Ａ）上にあって、棟方向に直交して所
定の配設ピッチ間隔（Ｐ）で平行に止着して配設させ
る。

又、第１実施例による受支係止部材（21）は、例えば、
比較的厚目の金属鋼板をプレス成形，又はロール成形，
或いはこれらを併用して成形，もしくは適宜に押し出し
成形後のプレス成形などによって、後述するように所定
の断面形状に成形されており、その複数個を所定の葺き
上げピッチ間隔（Ｗ）で前記垂木部材（11）に組み合わ
せて使用する。

これらの第１実施例による垂木部材（11）及び各受支係
止部材（21）を用いて葺き上げられる横葺き屋根構造
は、各受支係止部材（21）上にあって、やや薄目の金属
鋼板を同様に成形してなる各横葺き屋根板（41）を直
接，受支係止させることにより、下段軒側から上段棟側
にかけて、所定の葺き上げピッチ間隔（Ｗ）でそれぞれ
に葺き上げて構成する。

しかして、前記垂木部材（11）は、第１図に示されてい
るように、底壁部（12）及び両側に立ち上げた左右の各
側壁部（13），（13）を有して横断面上開き略コ字状の
溝型に成形されている。

これらの各側壁部（13），（13）の内側上部にあって
は、それぞれに上端縁から距離（Ｈ）の範囲で下向き鉤
状をなして内面側に案内傾斜条面（14a），（14a）をも
つ各係止鉤条部（14），（14）が一連に条設されてあ
り、かつ、溝内部にあっては、雨水などを流下させる樋
空間（19）を形成してある。

又、前記受支係止部材（21）は、第１図に示されている
ように、上部側にあってその上面部の全面で前記横葺き
屋根板（41）を受支する面板受支部（22）を設けると共
に、この面板受支部（22）の軒側に、その幅一杯を十分
に活用して、下段側，上段側に隣接する相互間で葺き上
げ係合されるところの、各横葺き屋根板（41），（41）
の係合部を、棟側係合部の上端部側から係止するための
鉤部（24）を下方へ屈曲させた係止部（23）を一連に形
成している。

又、この面板受支部（22）の両側は、横葺き屋根板（4
1）の葺き上げピッチ間隔（Ｗ）対応の長さ，及び葺き
上げ傾斜角（θ）対応の傾斜によって、下方に対向する
ように垂下させた左右の各側部膨出部（25），（25）
と、それぞれ内側へ向う各段部（26），（26）を残して
同様に垂下させて左右の各側部（27），（27）とをそれ
ぞれに形成させ、これによって傾斜が開く軒側を各軒側
相当端面（28），（28）とし、傾斜が閉じる棟側を各棟
側相当端面（29），（29）としている。

かつ前記左右の各側部（27），（27）のそれぞれ前端部
及び後端部にあっては、前記各段部（26），（26）との
間に前記距離（Ｈ）に対応する間隔（Ｈ＋ΔＨ）を隔て
た位置で、上向き鉤状をなして外面側に案内傾斜面（30
a），（30a）をもつ各係止鉤部（30），（30）を打ち出
し突設させてある。

前記横葺き屋根板（41）は、第２図に示されているよう
に、葺き上げ状態で棟方向に平行する長手方向に所定の
長さを有しており、かつ葺き上げ状態で棟方向に直交す
る短手方向に葺き上げピッチ間隔（ｗ）に一致する有効
幅の中央面板部（42）を残し、一方の側縁部に棟側係合
部（43），他方の側縁部に軒側係合部（44）をそれぞれ
に成形して形成する。

ここで、前記横葺き屋根板（41）における長手方向上下
側の棟側係合部（43）及び軒側係合部（44）について
は、葺き上げに際し各横葺き屋根板（41）を隣接させた
とき、相互間で所定の係合段差によって係合可能にした
構成であればよい。

この第１実施例においては、具体的な係合構成の一例と
して、前者棟側係合部（43）は、係合のために上方内側
に折返された端部折返し係合部（45）と、この端部折返
し係合部（45）から上方内側に膨出させた上端部（46）
とにより形成されており、また、後者軒側係合部（44）
は、下方へ折曲されて前記上端部（46）を内部に包括し
得るようにした前縁垂下部（47）と、この前縁垂下部
（47）から内側に折曲されて前記端部折返し部（45）に
挿入係合し得るようにした一部に上方への膨出部（48
a）のある端部係合縁部（48）とにより形成されてい
る。

従って、前記第１実施例による各部材の構成において
は、第３図（ａ），（ｂ）に示されているように、各母
屋材（Ａ）間に跨って、個個の各垂木部材（11），（1
1）を所定のピッチ間隔（Ｐ）によりそれぞれに配設さ
せておき、この状態で、まず最初に、以下に述べるのと
同様な手段で受支配置されるところの，軒側に対応され
る下段側の横葺き屋根板（41）の棟側係合部（43）の上
端部（46）に対して、棟側に対応される上段側の受支係
止部材（21）での係止部（23）の鉤部（24）を、その幅
一杯の範囲の十分な活用で強力に係止させる状態で、こ
の受支係止部材（21）自体を前記垂木部材（11）の溝部
内に嵌入する。

ここでの垂木部材（11）の溝部内に対する前記受支係止
部材（21）の嵌入は、前記垂木部材（11）の左右の各側
壁部（13），（13）間への受支係止部材（21）の左右の
各側部（27），（27）の嵌入を意味している。

即ち、各側壁部（13），（13）の内側上部に一連に条設
された係止鉤条部（14），（14）の上広がりとなってい
る案内傾斜条面（14a），（14a）に沿って、各側部（2
7），（27）の外面前後に突設された係止鉤部（30），
（30）の下広がりとなっている案内傾斜面（30a），（3
0a）が、これらの両者相互の弾性に抗して押し込まれる
ことになって、結果的には、各段部（26），（26）によ
り制限拘束を受けたままで、一連に形成された左右の各
形止成鉤条部（14），（14）に対し、個個に突出された
左右の各形止鉤部（30），（30）が固定状態に係着され
る。

そして、このように垂木部材（11）の溝部内に前記受支
係止部材（21）を嵌入係着させた状態においては、垂木
部材（11）の上部に半ば突き出されている受支係止部材
（21）により、その係止部（23）が、下段側の横葺き屋
根板（41）での棟側係合部（43）の上端部（46）を、正
確な葺き上げピッチ間隔（Ｗ）のもとに係止して、その
葺き上げ位置に固定確保することになる。

また、この下段側の横葺き屋根板（41）に対しては、同
一段の横葺き屋根板（41）を従来通りに接続用の捨て板
（図示省略）などにより相互に連接，接続させて、順
次，全く同様に係止させる。

この場合、長手方向における相互連接のための接続を個
個の各垂木部材（11）の長手方向中央部で行わせること
により、たとえこの接続部からの漏水があったとして
も、これを同垂木部材（11）での溝内部，つまり、樋空
間（19）を通して外部に流出させることができる。

続いて今度は、棟側に対応される上段側の横葺き屋根板
（41）の軒側係合部（44）の端部係合縁部（48）を、前
記下段側の横葺き屋根板（41）の棟側係合部（43）の端
部折返し係合部（45）内に挿入するようにして係合させ
ると共に、この上段側の横葺き屋根板（41）の中央面板
部（42）を、先に垂木部材（11）に嵌入係着されている
受支係止部材（21）での上面の面板受支部（22）上に受
支させた状態にする。

この状態では、各側部（27），（27）に与えられている
傾斜角（θ），ひいては、相対的に垂木部材（11）に対
する面板受支部（22）の傾斜角度を意味する傾斜角
（θ）によって、この上段側の横葺き屋根板（41）を設
定されている葺き上げ傾斜角（θ）通りに受支させるこ
とができる。

そして、ここでもまた、前記上段側の横葺き屋根板（4
1）を、再度，前記と全く同様にして、前記受支係止部
材（21）よりも上段側の受支係止部材（21）により係止
させるが、このとき、この上段側の受支係止部材（21）
の軒側相当端面（28）を前記受支係止部材（21）の棟側
相当端面（29）に突き合わせるようにすることで、設定
されている葺き上げピッチ間隔（Ｗ）が正しく確保され
るのであり、以下，この作業操作を繰り返して、各段の
横葺き屋根板（41）を葺き上げるのである。

即ち，このようにして所期通りの横葺き屋根構造を棟側
から軒側にかけて順次に葺き上げ得るのであり、この葺
き上げ状態では、上，下各段の横葺き屋根板（41）が、
これらの各段対応の個個の受支係止部材（21）により受
支係止できるもので、各横葺き屋根板（41）について
は、それ自体が受支係止部材（21）での各係止部（23）
により、予め設定された葺き上げピッチ間隔（Ｗ）のも
とに係止されるために、何らの熟練も必要とせずに設定
された所定の葺き上げピッチ間隔（Ｗ）通りに正確に葺
き上げることができる。

かつ又、その中央面板部（42）が受支係止部材（21）で
の上面の面板受支部（22）により、予め設定された葺き
上げ傾斜角（θ）のもとに受支されて、棟側係合部の上
端部側から補強支持されているために、この中央面板部
（42）の外圧による撓みなどを効果的に解消できるので
ある。

次に、第４図は前記垂木装置での第１実施例による受支
係止部材を一部変形してなる第２実施例による受支係止
部材の概要構成を示す斜視図である。

この第２実施例による受支係止部材（21）では、まず第
１実施例におけるところの，それぞれに各段部（26），
（26）を中間部に介した上部側での左右の各側部膨出部
（25），（25）及び下部側での左右の各側部（27），
（27）を、上下一連にされた左右の各側部（31），（3
1）とする。

更に、これらの各側部（31），（31）にあって、前端部
及び後端部の各下方に打ち出し突設されている外面側に
案内傾斜面（30a），（30a）をもった上向き鉤状の各係
止鉤部（30），（30）に対向するように、前記各段部
（26），（26）に代えて、その上方前後に外面側に案内
傾斜面（32a），（32a）をもった下向き鉤状の各係止鉤
部（32），（32）を、間隔（Ｈ＋ΔＨ）を隔てて外面側
に打ち出して突設している。

この第２実施例による受支係止部材（21）においては、
第１実施例での各段部（26），（26）付きの左右の各側
部膨出部（25），（25）及び各側部（27），（27）に比
較するとき、各係止鉤部（32），（32）付きの左右の各
側部（31），（31）の成形が容易になる。

第５図示のものは、第４図に示す実施例のものの側部
（31），（31）に示す形状とは異り、側部（31），（3
1）が長方形に形成されている点、及び各係止鉤部（3
0），（30）の突出位置を、棟側を高く，軒側を低くさ
せた点、及び、各軒側相当端面（28），（28）の下部に
折曲部（50），（50）がある点が異るだけであって、前
記実施例と共通する分については、同一符号をつけて説
明を省略する。

ここで、前記所定の屋根勾配を与えて配設されている各
母屋材（Ａ）に対する各垂木部材（11）の取付け固定態
様の数例を第６図に基づいて説明する。

第６図（ａ）では、垂木部材（11）での左右の各側壁部
（13），（13）に取付け穴（15），（15）をそれぞれに
形成しておき、母屋材（Ａ）上に固定される各固定金具
（51），（51）によって取付ける固定態様を示してい
る。

又、第６図（ｂ）では、同各側壁部（13），（13）の下
部に取付けフランジ部（16），（16）をそれぞれに折返
し形成しておき、母屋材（Ａ）上に固定される各固定金
具（52），（52）によって取付ける固定態様を示してい
る。

又、第６図（ｃ）では、垂木部材（11）での底壁部（1
2）の中央に突条部（17）を上方に突出するように条設
させておき、この突条部（17）を通して取付けビス又は
ボールト（53）によって取付ける固定態様を示してい
る。

更に、第６図（ｄ）では、同底壁部（12）の中央に下面
が逆蟻溝状をした突条部（18）を上方に突出するように
条設させておき、この突条部（18）の逆蟻溝状凹部内を
利用して、対応形状の頭部をもつ取付けボールト・ナッ
ト（54）いより取付ける固定態様を示している。

これらの各取付け固定態様によれば、垂木部材（11）の
溝内部を流下する雨水などの流れを妨げずに、かつ、又
母屋材（Ａ）側への漏水を防止した取付けが可能にな
る。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、この発明によれば、横葺き屋根構
造に適用される垂木部材において、各母屋材上に跨って
所定の屋根勾配で配設され、かつ、横断面上開き略コ字
状をなして長手方向に延びる溝部を有し、この溝部左右
の各側壁部の内側上部に係止鉤条部を条設した垂木部材
と、上面部に横葺き屋根板を受支し、かつ、上下に隣接
する各横葺き屋根板相互の係合部を係止する係止部を軒
側に折曲形成させた面板受支部を設けると共に、この面
板受支部の両側を、横葺き屋根板の葺き上げピッチ間隔
対応の長さ，及び葺き上げ傾斜角対応の傾斜により下方
に対向折曲させて、垂木部材の溝部内に長手方向任意の
位置で着脱自在に嵌入されて、かつ、係止鉤条部によっ
て嵌入位置に係着固定される係止鉤部を突設してなる複
数の受支係止部材とを組み合わせて構成したから、下段
側での横葺き屋根板の棟側係合部を、上段側の受支係止
部材の係止部により係止させた状態で、この上段側の受
支係止部材を垂木部材の溝部内に嵌入させて、その係止
鉤条部を係止鉤部で係着して嵌入位置に固定させた後、
この下段側での横葺き屋根板の棟側係合部に対して、上
段側での横葺き屋根板の軒側係合部を係合させ、かつそ
の中央面板部を上段側の受支係止部材の面板受支部に受
支させ、この操作を繰り返して横葺き屋根板を軒側から
棟側にかけて葺き上げることができる。

そして、このように葺き上げた状態では、横葺き屋根板
が受支係止部材の面板受支部に受支されて、この面板受
支部により棟側係合部の上端部側から補強支持されるた
めに、必ずしもバックアップ板などを介在させなくて
も、横葺き屋根板の外圧による撓みなどを良好に解消で
きる。

又、各横葺き屋根板での係合部の係止は、受支係止部材
を垂木部材の溝部内に押し込んで嵌着させるだけの極め
簡単な操作を行うのみで、設定された所定の葺き上げピ
ッチ間隔通りに正確に維持されて、何らの熟練も必要と
せずに所期通りの形態を確保し得る。

更に、同一段の各横葺き屋根板での長手方向の接続を垂
木部材の長手方向中央部で行わせるときは、その葺き上
げ後、この垂木部材の溝内部を雨樋として効果的に活用
でき、しかも、構造的にも極めて簡単で容易かつ、安価
に提供し得るなどの優れた特長を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の第１実施例の垂木装置における垂木
部材と受支係止部材の概要構成を示す斜視図及び全体概
念図、第２図は同上垂木装置に使用される横葺き屋根板
の概要構成を示す斜視図、第３図（ａ），（ｂ）は同上
垂木装置による横葺き屋根構造の概要構成を示す縦断側
面図及び横断正面図、第４図及び第５図は同上垂木装置
での他の実施例による受支係止部材の概要構成を示す斜
視図であり、又、第６図（ａ）ないし（ｄ）は同上垂木
装置の母屋材に対する取付け固定態様を例示する部分断
面図である。 （11）……垂木部材、（25）……左右の各側部膨出部 （12）……底壁部、（26）……左右の各段部 （13）……左右の各側壁部、（27），（31）……左右の
各側部 （14）……左右の各係止鉤条部、（28）……左右の軒側
該当端面 （14a）……各案内傾斜条面、（29）……左右の棟側該
当端面 （15）……取付け穴、（30），（32）……左右の各係止
鉤部 （16）……取付けフランジ部、（30a），（32a）……各
案内傾斜面 （17），（18）……突条部、（Ｗ）……葺き上げピッチ
間隔，長さ （19）……樋空間、（Ｈ＋ΔＨ）……間隔 （Ｈ）……間隔距離、（θ）……葺き上げ傾斜角 （Ｐ）……配設ピッチ間隔、（41）……横葺き屋根板 （Ａ）……母屋材、（42）……中央面板部 （21）……受支係止部材、（43）……棟側係合部 （22）……面板受支部、（44）……軒側係合部 （23）……係止部、（45）……端部折返し係合部 （24）……鉤部、（46）……上端部 （47）……前縁垂下部 （48）……端部係合縁部 （50）……折曲部 （51），（52）……固定金具 （53）……取付けビス，ボールト （54）……取付けボールト・ナット （Ｗ）……有効幅

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各母屋材上に跨って所定の屋根勾配で配設
   され、かつ、横断面上開き略コ字状をなして長手方向に
   延びる溝部を有し、この溝部左右の各側壁部の内側上部
   に係止鉤条部を条設した垂木部材と、 上面部に横葺き屋根板を受支し、かつ、上下に隣接する
   各横葺き屋根板相互の係合部を係止する係止部を軒側に
   折曲形成させた面板受支部を設けると共に、 この面板受支部の両側を、横葺き屋根板の葺き上げピッ
   チ間隔対応の長さ，及び葺き上げ傾斜角対応の傾斜によ
   り下方に対向折曲させて、前記溝部内に長手方向任意の
   位置で着脱自在に嵌入され、かつ、前記係止鉤条部によ
   って嵌入位置に係着固定される係止鉤部を突設してなる
   複数の受支係止部材とを組み合わせて構成した ことを特徴とする横葺き屋根構造における垂木装置。
2. 【請求項２】受支係止部材における左右の各側部にあっ
   て、下部の係止鉤部に対向する上部の段部又は係止鉤部
   を形成し、下部の係止鉤部と上部の段部又は下部の係止
   鉤部と上部の係止鉤部との間で、垂木部材の係止鉤条部
   に対する係着をなし得るようにした請求項１に記載の横
   葺き屋根構造における垂木装置。
3. 【請求項３】受支係止部材における面板受支部の軒側に
   延出される係止部には、上下に隣接する各横葺き屋根板
   相互の係合部を係止する鉤部を形成させた請求項１又は
   ２に記載の横葺き屋根構造における垂木装置。