JPH07332414A - ブレーキ用摩擦材およびその製造方法 - Google Patents

ブレーキ用摩擦材およびその製造方法

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JPH07332414A
JPH07332414A JP28837894A JP28837894A JPH07332414A JP H07332414 A JPH07332414 A JP H07332414A JP 28837894 A JP28837894 A JP 28837894A JP 28837894 A JP28837894 A JP 28837894A JP H07332414 A JPH07332414 A JP H07332414A
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fiber
volume
friction material
brake
friction
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Application number
JP28837894A
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English (en)
Inventor
Hirohisa Miura
宏久 三浦
Koji Shimoda
好司 霜田
Hiroki Usui
弘樹 臼井
Toru Honma
透 本間
Junichi Saito
淳一 斉藤
Yoshiteru Nakagawa
喜照 中川
Yoshiro Kusano
義朗 草野
Takayuki Azuma
隆行 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的摩擦係数が高く、フェードの発生しない
安定した摩擦係数をもつブレーキ用摩擦材を提供する 【構成】摩擦材全体の見掛け体積を100体積%とした
とき、炭素繊維を含む撚紐からなり20〜60体積%を
占める基材繊維と、残部が該基材繊維の繊維間を埋めて
繊維同志を一体化するとともに850℃で5時間加熱し
たときの加熱減量で全体を100重量%としたとき3〜
20重量%を占める450℃〜800℃の温度で不完全
炭化した高炭素化合物を含むマトリックス材とからなる
ブレーキ用摩擦材。および不完全炭化炭素繊維5〜40
体積%を基材繊維として含む摩擦材。鋳鉄を相手材とし
た場合にも通常のの炭素繊維強化炭素材にみられる低い
摩擦係数がなく、安定した比較的高い摩擦係数が得られ
る。また、耐磨耗性も優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に使用される
ブレーキ用摩擦材およびその製造方法に関する。本発明
の摩擦材は耐熱性に優れ、高温領域(300〜600
℃)の摩擦係数μが高くかつ摩擦係数が安定している。
このため高性能のブレーキシステムに使用できる。
【0002】
【従来技術】炭素材料をマトリックスとし、炭素繊維で
補強した、いわゆる炭素繊維強化炭素材料(C/C材
料)で製造した摩擦材は、C/C材製同士を摺動させた
場合に、低速低荷重域を除いて適度の摩擦係数がえられ
る。このため、デイスク、ロータ、パッドのいずれもC
/C材で製造し、航空機やレース用のブレーキシステム
に使用されている。しかし、自動車のデイスクとして常
時使用されている鋳鉄材を相手材として摺動させる場合
には、従来のC/C材で製造したパッドは摩擦係数が低
く、不安定で、かつ耐摩耗性が低い。このため従来のC
/C材で製造したパッドは自動車用に実用化されておら
ず、試験の報告も少ない。
【0003】最近、Daimler−Benz社より、
摩擦試験機(tribo−tester)での各種C/
C材の試験結果が報告されている(Advanced Materials
Tech. Inter. 1990, P123〜127, Sterring Publicatio
ns limited, K. Moregenthaler, I. Mawald-Hiller)。
この報告によると、各種C/C材の試験温度;330〜
640℃における摩擦係数は、現用フェノール樹脂を結
合材とするパッドに比較して低く、0.16〜0.31
程度である。また、摩擦面に対して炭素繊維が垂直であ
る場合のみ、摩擦係数が向上するが、この場合は耐摩耗
性が極端に悪く、現用パッドの10倍の摩耗量となると
報告されている。
【0004】また、基材繊維として炭素繊維を使用し、
フェノール樹脂を結合材とするモールドタイプの摩擦材
も知られているが、C/C材料製の摩擦材と同様摩擦係
数が低くしかも不安定である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在主として使用され
ている自動車用ブレーキは鋳鉄材料製のデイスク・ロー
タとレジン材料を主体としたパッド材から構成され、お
およそ3年程度の耐摩耗性を有している。しかし、この
レジン材料のパッド材は350℃以上となる高温領域で
このパッドを構成するフェノール材料が一部分解し、そ
の発生ガスにより摩擦係数が低下する場合(高温フェー
ド現象)がある。このため、高温領域で使用するブレー
キ材料としては、1000℃以上で焼成されたC/C材
料が推奨されている。しかし、先に述べたように、C/
C材料は鋳鉄製ロータと摺動した場合は摩擦係数が低
く、不安定で、かつ耐摩耗性が現用レジン材料の1/3
〜1/10と極端に悪い。
【0006】本発明は係る問題を解決することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、まず最初に
C/C材料の耐摩耗性の改善に取組み、炭素繊維等の基
材繊維を緻密な撚紐としてマトリックス中に埋設するこ
とにより解決した。しかし、単に基材繊維を撚紐として
マトリックス中に埋設して製造したパッド材料を鋳鉄製
ロータと摺動したところ次の問題があった。一つは、低
速低荷重域の摩擦係数が低めであった。つぎの問題は、
試験温度;400℃前後の摩擦係数が極端に下がる現象
が観察されたことである。これらの問題を解決するた
め、発明者は、C/C材料の原料と焼成温度との関係を
詳細に調べ、所定の組成範囲のもので、所定の熱処理を
施したC/C材料が、安定した摩擦係数と優れた耐磨耗
性を持つことを見出した。また先に述べた高温で摩擦係
数が減少する”高温フェード現象”に対しては、構成材
料の一部が高温で気化または液化するために生ずる現象
であるが、必ずしもC/C材料のように1000℃以上
で焼成し、完全に炭化している必要はなく、ある程度以
上の平均炭素量を有し、かつ一度450℃以上で焼成さ
れた重合芳香族化合物であれば、再度昇温された場合
で、液相が生じないのではないかという予想に基づき、
各種の実験を行い、本第一発明に至った。
【0008】すなわち、本第一発明のブレーキ用摩擦材
は、摩擦材全体の見掛け体積を100体積%としたと
き、炭素繊維を含む撚紐からなり20〜60体積%を占
める基材繊維と、残部が該基材繊維の繊維間を埋めて繊
維同志を一体化するとともに850℃で5時間加熱した
ときの加熱減量で全体を100重量%としたとき3〜2
0重量%を占める450℃〜800℃の温度で不完全炭
化した高炭素化合物を含むマトリックス材とからなるこ
とを特徴とする。
【0009】本第二発明は、第一発明のブレーキ用摩擦
材を製造する方法の発明である。すなわち、本第二発明
のブレーキ用摩擦材の製造方法は、炭素繊維を含む撚紐
からなる基材繊維原料にマトリックス材となる樹脂原料
を含む結合材を含浸させ、その後成形し、さらに450
℃〜800℃の温度で熱処理するものである。これによ
り、摩擦材全体の見掛け体積を100体積%としたと
き、炭素繊維を含む撚紐からなり20〜60体積%を占
める基材繊維と、残部が該基材繊維の繊維間を埋めて繊
維同志を一体化するとともに850℃で5時間加熱した
ときの加熱減量で全体を100重量%としたとき3〜2
0重量%を占める450℃〜800℃の温度で不完全炭
化した高炭素化合物を含むマトリックス材とをもつブレ
ーキ用摩擦材が製造できる。
【0010】また、本発明者は炭素繊維を基材繊維とし
熱硬化性樹脂で固めたマトリックス材をもつモールドタ
イプの摩擦材においても、炭素繊維として不活性雰囲気
中の500〜800℃で焼成した不完全炭化炭素繊維を
使用することにより、摩擦材の摩擦係数が高く安定する
ことを見いだし本第三発明に至った。本第三発明のブレ
ーキ用摩擦材は、基材繊維と該基材繊維を埋設固定する
熱硬化性樹脂で結合されたマトリックス材からなるブレ
ーキ用摩擦材であって、摩擦材全体の見掛け体積を10
0体積%としたとき、該基材繊維として、不活性雰囲気
中の500〜800℃で焼成した不完全炭化炭素繊維5
〜40体積%を含むことを特徴とする。
【0011】さらに、第一発明および第三発明を組み合
わせることにより次の第四発明を完成した。この第四発
明のブレーキ用摩擦材は、基材繊維と該基材繊維を埋設
固定する熱硬化性樹脂で結合されたマトリックス材から
なるブレーキ用摩擦材であって、摩擦材全体の見掛け体
積を100体積%としたとき、該基材繊維として、不活
性雰囲気中の500〜800℃で焼成した不完全炭化炭
素繊維5〜40体積%を含み、かつ該マトリックス材
は、850℃で5時間加熱したときの加熱減量で全体を
100重量%としたとき3〜20重量%を占める450
℃〜800℃の温度で不完全炭化した高炭素化合物を含
むことを特徴とする。
【0012】本発明のブレーキ用摩擦材を構成するマト
リックスは基材繊維の繊維間を埋めて繊維同志を一体化
するもので、基材繊維以外の摩擦材の残りの部分を構成
する。第一発明および第四発明のブレーキ用摩擦材を構
成するマトリックスは、450℃〜800℃の温度で不
完全炭化した高炭素化合物を含む。具体的には、ピッチ
類およびフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル
樹脂等の熱硬化性樹脂を不完全炭化した高炭素化合物を
含む。この不完全炭化した高炭素化合物を特定するのは
困難であるが平均炭素元素数が18以上の縮合多環芳香
族化合物であり、融点は450℃以上であると判断して
いる。この高炭素化合物は実質的にマトリックス材を一
体化しているものである。この高炭素化合物は、摩擦材
全体の見掛け体積を100体積%としたとき、20〜4
5体積%、より好ましくは25〜40体積%を占める。
この高炭素化合物の配合割合が多いと、高温時の分解組
成成分が多くなり、摩擦係数が低下する。逆に少ないと
強度が低く、磨耗量が増大する。
【0013】なお、間接的ではあるが不完全炭化した高
炭素化合物を窒素ガス雰囲気下での800℃で5時間の
熱処理による重量減少で捕らえることができる。本発明
のブレーキ用摩擦材では、吸水した水分を除いた乾燥時
の摩擦材を100重量%とすると、この熱処理による重
量減少が3〜20重量%の範囲にある。より好ましい熱
処理による重量減少の範囲は4〜18重量%である。
【0014】この高炭素化合物を含むマトリックスに
は、高炭素化合物以外に、炭素材、充填材および摩擦調
整剤が混入できる。炭素材としては自己焼結性の炭素粉
末を完全に炭化した炭素粉末、自己焼結性の炭素粉末を
使用できる。充填材および摩擦調整材としては、通常の
摩擦材に使用されている炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、アルミナ、酸化クロム、黒鉛、二流化モリブデン等
が使用できる。自己焼結性の炭素材としてはメソカーボ
ンマイクロビーズ(MCMB)が適している。このMC
MBは揮発成分が少なく、炭化率が高く、かつ耐熱性に
優れるため添加することが望ましい。このMCMBは光
学的異方性の炭素材でありマトリックスの一部を構成す
る。MCMB由来の炭素材はマトリックス材を100体
積%としたとき、10〜55体積%を占めるのが好まし
い。より好ましい割合は30〜50体積%である。
【0015】摩擦調整材として金属粉末が適している。
この金属粉末は摩擦係数の変動を減少するのに効果があ
る。金属の種類としては銅、黄銅、鉄が推奨される。こ
の金属粉末はマトリックス材を100体積%としたと
き、3〜20体積%を占めるのが好ましい。金属粉末の
配合割合が少ないと摩擦係数の安定化効果が少ない、逆
に多くなると金属同志の摺動部分が多くなり、音特性等
で望ましくない。なお、金属は金属粉末としてマトリッ
クス中に配合しても、金属繊維として基材繊維中に配合
してもよい。また金属繊維と金属粉末を同時に配合して
も構わない。
【0016】なお、本第三発明のマトリックスは通常の
モールドタイプのマトリックスで、充填材および摩擦調
整剤およびそれらを固定する熱硬化性樹脂バインダーか
らなる。なお、マトリックスを形成する材料として上記
したメソカーボンマイクロビーズを配合することができ
る。本第一発明の基材繊維は炭素繊維を含む撚紐からな
る。炭素繊維としては種々の方法で得られる炭素繊維を
使用できる。具体的には石炭系ピッチを紡糸し300〜
1200℃で焼成した炭素繊維、黒鉛化繊維、又はPA
N(ポリアクリロニトリル)繊維を300℃以上で熱処
理した耐炎化繊維や炭素繊維、黒鉛化繊維が使用でき
る。炭素繊維は長繊維でも短繊維でもよい。基材繊維に
はこの炭素繊維以外に、有機繊維由来の炭化繊維、金属
繊維を使用できる。有機繊維としてはレーヨン、ポリエ
ステル、アクリル、ポリイミド、フェノール等の繊維を
挙げることができる。金属繊維としては銅、黄銅、鉄等
の繊維、アルミナ、炭化珪素等の無機繊維も使用でき
る。
【0017】この基材繊維は撚紐となっている。ここで
撚紐とは少なくとも3本以上の素線からなりかつ50回
/m以上の撚り回数で撚られているものを言う。撚紐を
構成する素線の数が少ないとか撚り回数が少ないと、撚
紐の強度が低く、耐磨耗性が低下する。撚紐を構成する
好ましい素線の数は3〜30本程度である。また好まし
い撚り回数は50〜100回/mである。
【0018】基材繊維は20〜60体積%、より好まし
くは25〜50体積%を占める。炭素繊維は基材繊維を
100体積%としたとき30〜100体積%、より好ま
しくは40〜90体積%を占める。合成繊維原料は10
〜30体積%程度、より好ましくは10〜20体積%を
占めるのがよい。金属繊維は3〜20体積%程度、より
好ましくは3〜15体積%を占めるのがよい。なお、炭
素短繊維は低コストであり望ましいが、紡糸時に粉状に
なり易い。これを防止するため、炭素短繊維を配合する
場合には基材繊維を100体積%としたとき合成繊維を
5体積%以上添加するのが望ましい。
【0019】本第三発明の基材繊維は、不活性雰囲気中
で500〜800℃で焼成した不完全炭化炭素繊維を含
む。具体的には、ポリアクリルニトリル系(以下、PA
N系と称する。)の合成繊維を不完全炭化した繊維を使
用できる。ピッチ系の不完全炭化炭素繊維も使用できる
が、PAN系の不完全炭化炭素繊維に比較して強度が低
い。
【0020】この不完全炭化炭素繊維は、通常強度が1
5〜100kg/mm2 、弾性率が500〜10,00
0kg/mm2 、伸びが1.5〜3.5%である。この
不完全炭化炭素繊維は通常の1200℃以上の温度で焼
成した炭素繊維に比較し、組成上水素、窒素および酸素
の炭素元素に対する割合が高い。この不完全炭化炭素繊
維は、その表面部分の分析値で、水素/炭素=0.1〜
0.4、窒素/炭素=0.1〜0.3、酸素/炭素=
0.03〜0.15である。通常の完全炭化炭素繊維は
水素/炭素、窒素/炭素および酸素/炭素の値がいずれ
も0.01未満である。
【0021】不完全炭化炭素繊維の配合量は、摩擦材全
体を100体積%としたとき、5〜40体積%となるの
が好ましい。不完全炭化炭素繊維の配合量が5体積%未
満では耐フェード性の向上効果が不十分であり、40体
積%を越えると基材繊維の分散性が悪化し、耐磨耗性が
低下する。最適な不完全炭化炭素繊維の配合量は5〜3
5体積%である。
【0022】基材繊維には、不完全炭化炭素繊維以外に
ケプラー繊維等の耐熱繊維、ブロンズ繊維等の金属繊維
を配合して使用することができる。本第一発明のブレー
キ用摩擦材は、炭素繊維を含む撚紐からなる基材繊維原
料にマトリックス材となる樹脂原料を含む結合材を含浸
させ、その後型成形し、さらに450℃〜800℃の温
度で熱処理して製造できる。
【0023】基材繊維原料としては前記した炭素繊維、
有機繊維および金属繊維が使用できる。これら繊維は束
状とした後撚りを掛けられ、撚紐とする。この撚紐にマ
トリックス材となる樹脂原料を含む結合材を含浸させ
る。この含浸を効率的に行うため、樹脂原料は溶媒に溶
解して液状とするのが好ましい。樹脂原料によっては粘
度調整のために使用する場合もある。また、MCMB等
の無機、有機の充填材、摩擦調整材等は液状の樹脂原料
中に分散させてもよいし、結合材を撚紐に含浸後添着さ
せてもよい。撚紐は液状の結合材に漬け、撚紐の内部お
よび表面に結合材を付着させる。その後、溶媒を揮散さ
せる。
【0024】このようにして得られる結合材をもつ撚紐
を成形型内に配置し、加熱加圧して熱成形する。なお、
成形型内に配置する前に、結合材を含有する撚紐を型の
形状に編織したり、ドーナツ状に巻き取ったりして成形
型内に配置するのが好ましい。この後、得られた成形体
を450〜800℃で熱処理し、成形体を構成する有機
成分を不完全炭化する。熱処理温度が450℃未満で
は、あとで詳述するブレーキの一般性能試験(JASO
C 406−82 相当)において、高温フェードを
生じる。これは、残存する多量の未炭化の炭素質分がブ
レーキ摺動時に液化、気化することで摩擦係数の低下を
生ずると思われる。かかる意味で、ブレーキ用摩擦材中
の炭素質分は液化され難い事が望ましく、平均炭素量;
18以上の縮合多環芳香族化合物である事が望ましい。
平均炭素量;17以下の化合物では液化し易く、高温フ
ェードを生じやすい。
【0025】一方800℃を越える温度で熱処理したブ
レーキ用摩擦材は、通常のC/C材の特性を示し、低速
・低荷重域の摩擦係数が低い。これはブレーキ用摩擦材
中の炭素質分がより完全に炭素化し、縮合多環芳香族化
合物として存在しないか或いはその存在量が少なすぎる
ためと考えられる。なお、熱処理して得られるブレーキ
用摩擦材に多量の気孔が発生している場合、この摩擦材
の気孔中に溶融ピッチ、合成樹脂等を含浸させ、再度5
00〜800℃で熱処理することができる。かかる場合
はブレーキ用摩擦材のマトリックスが強化され、耐磨耗
性が向上する。具体的には、結合材の種類またはMCM
Bの添加量が少ない場合では、焼成時に揮発分が多く、
熱処理により得られるブレーキ用摩擦材に隙間等の気孔
が多い場合がある。この場合には再度溶融ピッチ等に含
浸し、再度500℃〜800℃で焼成する事が、特に耐
摩耗性の上で推奨される。
【0026】本第三発明のブレーキ用摩擦材は、通常の
モールドタイプの摩擦材と同じ方法で製造できる。以
下、更に実施例により説明する。
【0027】
【実施例1】 (使用材料)ブレーキ用摩擦材の製造にあたり、下記す
る3種類の撚紐、2種類のバインダー、金属銅粉末(平
均粒径20μμm)およびMCMB(平均粒径6μm)
を準備した。
【0028】撚紐としては次のNo.1、No.2およ
びNo.3の3種類の撚紐を準備した。 No.1撚紐 (炭素短繊維のみによる撚紐) 大阪ガ
ス(株)製の炭素繊維束(商品名;ドナカーボS,繊維
長さ;30〜50mm)を撚糸して繊維束とし、この繊
維束3本を120回/mで撚り撚紐(1.9g/m、
φ;3mm)とした。
【0029】No.2撚紐 (炭素短繊維とレーヨンの
撚紐) 上記炭素繊維80部と東邦レーヨン製の短繊維
のレーヨン20部を紡糸して繊維束(0.1g/m)と
し、この繊維束8本を70回/mでより撚紐(0.8g
/m、φ;2.3 mm)とした。 No.3撚紐 (炭素短繊維、レーヨンおよび銅線の撚
紐) 純銅線(φ;0.32)1本をNo.2撚紐で使
用した炭素繊維80部と短繊維のレーヨン20部を紡糸
して繊維束とした繊維束8本と合撚し、撚紐(2.0g
/m、φ;2.3mm)とした。
【0030】バインダーとしてフェノール系およびピッ
チ系No.1およびピッチ系No.2の2種類、合計3
種類を準備した。フェノール系バインダー メタノール
/メチルエチルケトンの混合溶液60部にフェノール樹
脂40部を溶解した溶液。ピッチ系No.1バインダー
ナフタレンピッチ80部とタール20部の溶融液。
【0031】ピッチ系No.2バインダー ナフタレン
ピッチ80部、タール20部および重量%で15%のM
CMBの溶融分散液。 (ブレーキ用摩擦材の組成および熱処理温度)前記した
3種類の撚紐、3種類のバインダー、MCMBおよび金
属銅粉末を用いて7種類の組成の成形体を製造し、これ
ら成形体を400〜1600℃の範囲で6水準の熱処理
を施しブレーキ用摩擦材とした。これらの組成および熱
処理温度を表1に示す。
【0032】
【表1】 以下、各製造法を詳述する。 〔摩擦材1−1〕撚紐No.1をフェノール系バインダ
ーに浸漬し、撚紐を構成する各繊維素の表面にバインダ
ーを付着し、その後、撚紐の表面にMCMBを付着させ
た。次にこの撚紐を巻き取り機にかけ、直径130m
m、厚み30mmの渦巻状に成形し、その後85℃にて
3時間減圧乾燥し溶媒を除去し1次成形物を得た。な
お、この1次成形物の段階で各構成成分の割合を、体積
%で炭素繊維23.4%,フェノール樹脂53.4%,
MCMB23.2%と成るよう調整した。
【0033】次いで、この1次成形物を金型に入れ、圧
力100kg/cm2 、温度150℃で30分間加熱成
形後金型から取りだし、更に200℃の電気炉中で5時
間加熱硬化を行い2次成形物を得た。この2次成形物の
一部を窒素ガス雰囲気下で400℃、他の一部を600
℃、さらに他の一部を800℃で1時間熱処理した。6
00℃および800℃で熱処理したものはその後さらに
250℃に溶解したタールピッチ(軟化点110℃)に
浸漬し、30分間減圧下に保ち気孔中にピッチを含浸さ
せ、その後窒素ガス雰囲気下で再度同じ600、800
℃で1時間の熱処理を行い熱処理温度を変えた3種類の
摩擦材を得た。 〔摩擦材1−2〕撚紐NO.1をフェノール系バインダ
ーに浸漬し、撚紐を構成する各繊維素の表面にバインダ
ーを付着し、その後、撚紐の表面にMCMBおよび金属
銅粉を付着させた。次にこの撚紐を巻き取り機にかけ、
直径130mm、厚み30mmの渦巻状に成形し、その
後85℃にて3時間減圧乾燥し溶媒を除去し1次成形物
を得た。なお、この1次成形物の段階で各構成成分の割
合を、体積%で炭素繊維28.0%,フェノール樹脂4
7.7%,MCMB19.7%、銅粉末4.6%と成る
よう調整した。この1次成形品を用い、摩擦材1−2と
同じ方法で2次成形品および3次成形品を得た。なお、
加熱処理温度400℃、600℃および800℃の摩擦
材以外に500℃で熱処理した摩擦材も製造した。この
500℃で熱処理した摩擦材は400℃で熱処理したも
のと同様に、熱処理後のピッチの含浸および熱処理を行
わなかった。これにより熱処理温度を変えた4種類の摩
擦材を得た。 〔摩擦材2−2〕摩擦材1−1の撚紐No.1に代えて
撚紐No.2を使用した以外は摩擦材1−1と同じ方法
で摩擦材を製造した。なお、この摩擦材では熱処理温度
として400℃のみとした。 〔摩擦材2−5および摩擦材2−6〕摩擦材1−2の撚
紐No.1に代えて撚紐No.2を使用し、金属銅粉を
摩擦材2−5については5.1%、摩擦材2−6につい
ては12.9%とした以外は摩擦材1−2と同じ方法で
摩擦材を製造した。なお、熱処理温度としては、摩擦材
2−5では400℃、500℃および600℃の3種
類、摩擦材2−6では500℃の1種類とした。 〔摩擦材3−1〕釘の間隔を約65mmとした2本の釘
を打った平板を準備した。次に撚紐No.3をフェノー
ル系バインダー浸漬し、撚紐を構成する各繊維素の表面
にバインダーを付着し、その後、撚紐の表面にMCMB
を付着させた。次にこの撚紐を前記した平板の2本の釘
に巻きかけ、小判状(長径;130mm、短径;65m
m),厚み30mmの長円形渦巻板状に成形した。その
後、85℃にて3時間減圧乾燥して溶媒を除去し1次成
形物を得た。なお、この1次成形物の段階で各構成成分
の割合を、体積%で炭素繊維29.2%,フェノール樹
脂50.4%,MCMB16.6%、銅3.8%と成る
よう調整した。
【0034】次いで、この1次成形物を金型に入れ、圧
力100kg/cm2 、温度150℃で30分間加熱成
形後金型から取りだし、更に200℃の電気炉中で5時
間加熱硬化を行い2次成形物を得た。その後、この2次
成形物の一部を窒素雰囲気下で400℃、他の一部を6
00℃で各1時間熱処理を行い摩擦材を得た。なお、6
00℃で熱処理した摩擦材は更に250℃に溶解したタ
ールピッチ(軟化点110℃)に浸漬しつつ30分間減
圧保持しピッチを含浸後、再度600℃、1時間の熱処
理を行い摩擦材とした。 〔摩擦材PY−1〕撚紐No.1をピッチ系No.1バ
インダーに浸漬し、撚紐を構成する各繊維素の表面にバ
インダーを付着させ、その後直径300mmφ、厚さ3
0mmの渦巻状に巻き取って1次成形物を得た。この1
次成形物の段階で各構成成分の割合を、体積%で炭素繊
維12%,ピッチ68%,タール20%と成るよう調整
した。次いで、この1次成形物を金型に入れ、圧力50
0kg/cm2 、温度600℃で5時間加熱成形後金型
から取りだし2次成形物を得た。この2次成形物の一部
を、更に800℃で1時間熱処理し、その後、250℃
に加熱溶解したタールピッチ(軟化点110℃)に浸漬
し30分間減圧保持してピッチを含浸させた。そしてそ
の後、再度800℃で1時間の熱処理を行い摩擦材を得
た。
【0035】2次成形物の他の一部は更に1000℃で
1時間熱処理し、その後、250℃に加熱溶解したター
ルピッチ(軟化点110℃)に浸漬し30分間減圧保持
してピッチを含浸させた。そしてその後、再度1000
℃で1時間の熱処理を行い摩擦材を得た。 〔摩擦材PY−2〕摩擦材PY−1のピッチ系No.1
バインダーに代えてピッチ系No.2バインダーを使用
したことと熱処理温度を1600℃とした以外は摩擦材
PY−1の方法と同じ方法で摩擦材を製造した。なお、
この摩擦材PY−2の1次成形物の段階で各構成成分の
割合を、体積%で炭素繊維15.3%,ピッチ56.9
%,タール16.8%、MCMB11.0%と成るよう
調整した。 (ブレーキ用パッドとしての加工)ダイナモ試験機用の
ブレーキパッドとして、各摩擦材より機械加工により、
テスト材料を製作した。
【0036】また、1/1ダイナモ試験機用として、各
摩擦材より小型乗用車用ブレーキパッドのサイズに機械
加工後、鋼板製の裏金に接着した。 (評価1、ブレーキ性能試験(その1);一般性能試
験)製作したブレーキ用摩擦材;16種をダイナモ試験
機にて、JASO C406−82相当のブレーキ一般
性能試験を実施した。なお相手材(ブレーキロータ材)
としては自動車用として良く使用されているねずみ鋳鉄
材(JIS G5501 FC20相当)を使用した。
【0037】試験結果の内、低速・低荷重域のデータと
して、速度;20km/h,面圧;8kg/cm2 から
15kg/cm2 までの摩擦係数測定結果を表2に示
す。
【0038】
【表2】
【0039】通常の鋳鉄製ロータと摺動した場合では、
1000℃で熱処理した摩擦材PY−1−1000、1
600℃で焼成した摩擦材PY−2−1600の摩擦係
数が0.2以下と極めて低く、実用に使用できない。熱
処理温度;400〜800℃で処理した他の14種類の
摩擦材は、0.25〜0.6程度の比較的高い摩擦係数
を示した。摩擦係数は、熱処理温度が800℃から40
0℃へと低くなる程その摩擦係数が高くなる傾向にあっ
た。なお、摩擦材PY−2−1600の内、PY−2は
摩擦材の前記した種類を、1600はその摩擦材の熱処
理温度を示す。
【0040】次に、高温フェード時の摩擦係数測定結果
を図1〜図5に示す。これらの図はいずれも縦軸に摩擦
係数、横軸にロータ温度を採ったものである。図中の符
号、例えば、1−1−800の始めの1−1は摩擦材の
前記した種類を最後の800は熱処理温度を示す。図1
の摩擦材1−1−400、図2の摩擦材1−2−40
0、図3の摩擦材2−2−400、図4の摩擦材3−1
−400の熱処理温度400℃のものはいずれも摩擦係
数が0.2以下となりフェード現象を起こした。これら
の摩擦材は高温でフェード(μ減少)を生じ、実用に値
しない。なお図5に示す摩擦材PY−1−1000およ
びPY−2−1600は全域でフェードを生じ、通常の
鋳鉄製ロータと摺動した場合では実用性が無い。
【0041】一方、摩擦材1ー2ー500、摩擦材2ー
5ー500、摩擦材2ー5ー600、摩擦材1ー1ー8
00は制動前ロ−タ温度で500℃まで摩擦係数が安定
し、0.25以上の摩擦係数を示した。現用の樹脂モー
ルドタイプの摩擦材料では250℃を越えると、摩擦係
数が減少傾向となり、0.20程度になる。この現用の
摩擦材料と比較すると、本発明の摩擦材1ー2ー50
0、摩擦材2ー5ー500、摩擦材2ー5ー600、摩
擦材1ー1ー800がいかに耐フェード性に優れている
か納得できる。
【0042】次に、この一般性能試験後の摩耗量を表3
に示す。
【0043】
【表3】
【0044】現用のレジンモールドタイプの摩擦材の摩
耗量が0.85〜0.90程度であることと比較する
と、ここで製造したC/C材料の摩擦材は、1000℃
焼成の摩擦材PY−1−1000を除き、優れた耐摩耗
性を示す。 (評価2、ブレ−キ性能試験(その2);摩耗試験)ダ
イナモ試験機によるブレ−キ一般性能試験では良好なμ
特性、摩耗特性示した摩擦材2ー5ー500、摩擦材3
ー1ー600について、ダイナモ試験機で摩耗試験(4
00℃、500℃)を実施した。試験結果を表4、に示
す。
【0045】
【表4】 現用のレジンモールドタイプの摩擦材のの400℃の摩
耗率が10(10-4mm3 /kgm)程度であることか
ら、両摩擦材とも優れた耐摩耗性を有すると判断され
る。 (摩擦材製造時の熱処理温度と諸特性)得られた摩擦材
の密度を表5に示す。いずれの摩擦材の密度も1.12
〜1.98で、良好である。
【0046】
【表5】
【0047】また、得られた摩擦材の気孔率は、摩擦材
の真比重とかさ密度より計算で求めた。(1−かさ密度
/真比重)×100=気孔率 その結果を表6に示す。
なお、一部の摩擦材では熱処理後ピッチ含浸処理を行
い、再度熱処理した摩擦材がある。これらの摩擦材につ
いてはピッチ含浸前の気孔率も合わせて示す。
【0048】
【表6】
【0049】(熱処理温度と摩擦材の重量減少)熱処理
温度と摩擦材の重量減少との関係を図6に示す。得られ
た摩擦材は共通して、熱処理温度400℃で12重量%
程度、600℃で20重量%、800℃で22〜25重
量%の減少を示す。ここには表示しないが、摩擦材PY
−1−1000、摩擦材PY−2−1600℃の重量減
少はそれぞれ1.5、1.2%であった。
【0050】この図6より、熱処理温度400℃では得
られる摩擦材にはまだ10重量%以上の希散成分を含む
ことである。これらの希散成分が低分子成分を含め、ブ
レ−キ摺動時に液化し、摩擦係数の低下を招くものと推
定される。また熱処理温度600℃、800℃で処理し
た摩擦材1ー1−600、摩擦材1ー1−800をブレ
−キテスト後、更に800℃の電気炉で窒素雰囲気中で
3時間の熱処理を施したところ、それぞれ11.9%、
8.93%の重量減少を見た。この事より、800℃×
1時間の熱処理ではフェノール樹脂は高分子化はしてい
るが、更に重縮合化が可能かもしくは分解し得る未炭化
物質が8%以上存在することが分かる。 また、摩擦材
の曲げ強さを表6に示す。ブレーキ用摩擦材は曲げ強さ
として200kgf/cm2 が要求されるが、いずれの
摩擦材も200kgf/cm2 以上で良好であった。
【0051】
【実施例2】本実施例では不完全炭化炭素繊維として、
アクリロニトリル繊維を空気中で300〜400℃に加
熱して処理する不融化処理したものをさらに窒素ガス雰
囲気中で600℃、1時間焼成して部分的に炭化した不
完全炭化炭素繊維としたものを長さ1〜5mmに切断し
て用いた。
【0052】また、不完全炭化炭素として大阪ガス
(株)のMCMBで直径6μmの球状のものを、窒素雰
囲気中600℃で1時間焼成したものを使用した。な
お、比較のため完全炭化炭素繊維として1600℃で焼
成した大阪ガス(株)の炭素繊維(商標:ドナカーボ
S、ピッチ系、長さ1〜5mm)を用いた。その他、ア
ラミド繊維(商標:ケプラー繊維、長さ1〜5mm)、
黒鉛粉末(窒素雰囲気中2,000℃で焼成したも
の)、カシューダスト、硫酸バリウム、銅繊維、バイン
ダーとしてフェノール樹脂を用いた。
【0053】これらの原料を使用し、表7に示す配合組
成として秤量し、乾式で混粉したものをモールド原料と
した。そして各モールド原料を、160℃、40kgf
/cm2 、5分の加圧時間で通常通りに成形した。
【0054】
【表7】 (なお、体積%は、各原料成分の真比重の値より計算し
て体積%を求めた。また、いずれの炭素繊維および炭素
粉末も真比重を1.45g/ccとして計算した。) 各摩擦材より機械加工で1/1ダイナモ試験機用のブレ
ーキパッドに加工し、鋼板製の裏金に接着してテスト材
料を製作した。
【0055】製作したブレーキ用摩擦材4種をダイナモ
試験機にて、JASO C40 6−82相当のブレー
キ一般性能試験を実施した。なお相手材(ブレーキロー
タ材)としては自動車用として良く使用されているねず
み鋳鉄材(JIS G5501 FC20相当)を使用
した。試験結果の内、制動前ロータ温度と最小摩擦係数
の関係を図7に示す。また、第3効力としての速度20
〜130km/h、面圧30〜50kg/cm2 の摩擦
係数、および一連の試験後の磨耗量を表8に示す。
【0056】
【表8】 図7より、摩擦材20−1、20−2および20−3の
不完全炭化炭素繊維を使用した摩擦材は、それらの最小
摩擦係数がいずれも0.22以上で、完全炭化炭素繊維
を使用した摩擦材20−4の最小摩擦係数約0.16に
比べて著しく最小摩擦係数が高い。また、不完全炭化炭
素繊維を使用した摩擦材の中で、さらに不完全炭化炭素
であるMCMBを使用した摩擦材20−1および20−
2は、完全炭化炭素である黒鉛を使用した摩擦材20−
3より最小摩擦係数が高く、耐フェード性に優れてい
る。特に摩擦材20−2は、摩擦係数が安定しており最
も耐フェード性に優れている。
【0057】また、表8に示す第3効力の変動範囲にお
いても、摩擦材20−1、20−2および20−3の不
完全炭化炭素繊維を使用した摩擦材は、摩擦係数が0.
33から0.36の範囲にあり、完全炭化炭素繊維を使
用した摩擦材20−4の摩擦係数が0.34から0.4
0の範囲にあるのと比較し、摩擦係数の安定性に優れて
いるといえる。なお、磨耗量は摩擦材20−2および2
0−3が低い磨耗量を示した。
【0058】
【発明の作用・効果】本発明のブレーキ用摩擦材は、マ
トリックス成分として450℃〜800℃で熱処理した
高炭素化合物からなる3〜15体積%不完全炭化分ある
いは不完全炭化炭素繊維を含む。このため通常の800
℃を越える高温で炭化したマトリックスをもつC/C材
に見られる摩擦係数が低いという問題がない。また、本
発明のブレーキ用摩擦材は通常のレジンモールド摩擦材
にみられるフェード現象が生じない。このため本発明の
ブレーキ用摩擦材は、相手材が高温であっても安定した
比較的高い摩擦係数をもつ。しかも耐摩擦性にも優れて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロータ温度と試験例の摩擦材1−1の摩擦係数
の関係を示す線図。
【図2】ロータ温度と試験例の摩擦材1−2の摩擦係数
の関係を示す線図。
【図3】ロータ温度と試験例の摩擦材2−2および摩擦
材2−5の摩擦係数の関係を示す線図。
【図4】ロータ温度と試験例の摩擦材3−1の摩擦係数
の関係を示す線図。
【図5】ロータ温度と試験例の摩擦材PY−1および摩
擦材PY−2の摩擦係数の関係を示す線図。
【図6】熱処理温度と試験例の摩擦材の関係を示す線
図。
【図7】摩擦材20−1〜20−4の制動前ロータ温度
と最小摩擦係数の関係を示す線図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 臼井 弘樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 本間 透 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 斉藤 淳一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中川 喜照 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 草野 義朗 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 (72)発明者 東 隆行 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摩擦材全体の見掛け体積を100体積%と
    したとき、炭素繊維を含む撚紐からなり20〜60体積
    %を占める基材繊維と、残部が該基材繊維の繊維間を埋
    めて繊維同志を一体化するとともに850℃で5時間加
    熱したときの加熱減量で全体を100重量%としたとき
    3〜20重量%を占める450℃〜800℃の温度で不
    完全炭化した高炭素化合物を含むマトリックス材とから
    なることを特徴とするブレーキ用摩擦材。
  2. 【請求項2】該高炭素化合物は平均炭素量18以上の縮
    合多環芳香族化合物である請求項1記載のブレーキ用摩
    擦材。
  3. 【請求項3】該高炭素化合物は熱硬化樹脂およびピッチ
    の少なくとも1つを450℃〜800℃の温度で不完全
    炭化したものである請求項1記載のブレーキ用摩擦材。
  4. 【請求項4】該マトリックス材としてメソカーボンマイ
    クロビーズ(MCMB)に由来する光学的異方性の炭素
    材を含み、該マトリックス材を100体積%としたと
    き、該光学的異方性の炭素材は10〜55体積%を占め
    る請求項1記載のブレーキ用摩擦材。
  5. 【請求項5】該マトリックス材として金属粉末を含み、
    該マトリックス材を100体積%としたとき、該金属粉
    末は3〜20体積%を占める請求項1記載のブレーキ用
    摩擦材。
  6. 【請求項6】該炭素繊維は炭素短繊維である請求項1記
    載のブレーキ用摩擦材。
  7. 【請求項7】該基材繊維として合成繊維を450℃〜8
    00℃の温度で加熱処理された炭素化繊維を含み、該基
    材繊維を100体積%としたとき、該炭素化繊維は1〜
    15体積%を占める請求項1記載のブレーキ用摩擦材。
  8. 【請求項8】該基材繊維として金属繊維を含み、該基材
    繊維を100体積%としたとき、該金属繊維は3〜20
    体積%を占める請求項7記載のブレーキ用摩擦材。
  9. 【請求項9】気孔率が5〜40体積%を占める請求項1
    記載のブレーキ用摩擦材。
  10. 【請求項10】炭素繊維を含む撚紐からなる基材繊維原
    料にマトリックス材となる樹脂原料を含む結合材を含浸
    させ、その後成形し、さらに450℃〜800℃の温度
    で熱処理し、摩擦材全体の見掛け体積を100体積%と
    したとき、炭素繊維を含む撚紐からなり20〜60体積
    %を占める基材繊維と、残部が該基材繊維の繊維間を埋
    めて繊維同志を一体化するとともに850℃で5時間加
    熱したときの加熱減量で全体を100重量%としたとき
    3〜20重量%を占める450℃〜800℃の温度で不
    完全炭化した高炭素化合物を含むマトリックス材とをも
    つブレーキ用摩擦材の製造方法。
  11. 【請求項11】結合材としてメソカーボンマイクロビー
    ズを含む請求項10記載のブレーキ用摩擦材の製造方
    法。
  12. 【請求項12】結合材として金属粉末を含む請求項11
    記載のブレーキ用摩擦材の製造方法。
  13. 【請求項13】該炭素繊維は炭素短繊維であり、該基材
    繊維原料として該炭素短繊維とともに合成繊維を含み、
    該基材繊維原料を100体積%としたとき、該炭素繊維
    は70〜90体積%を占め、該合成繊維は10〜30体
    積%を占める請求項10記載のブレーキ用摩擦材の製造
    方法。
  14. 【請求項14】該基材繊維原料として金属繊維を含む請
    求項10記載のブレーキ用摩擦材の製造方法。
  15. 【請求項15】該熱処理の後、被熱処理体の気孔中に溶
    融ピッチを含浸し、再度500〜800℃で熱処理する
    請求項10記載のブレーキ用摩擦材の製造方法。
  16. 【請求項16】気孔率が5〜40体積%である請求項1
    0記載のブレーキ用摩擦材の製造方法。
  17. 【請求項17】基材繊維と該基材繊維を埋設固定する熱
    硬化性樹脂で結合されたマトリックス材からなるブレー
    キ用摩擦材であって、 摩擦材全体の見掛け体積を100体積%としたとき、該
    基材繊維として、不活性雰囲気中の500〜800℃で
    焼成した不完全炭化炭素繊維5〜40体積%を含むこと
    を特徴とするブレーキ用摩擦材。
  18. 【請求項18】該不完全炭化炭素繊維以外の該基材繊維
    としてアラミド繊維を含む請求項17記載のブレーキ用
    摩擦材。
  19. 【請求項19】該マトリックス材としてメソカーボンマ
    イクロビーズ(MCMB)に由来する光学的異方性の炭
    素材を含み、該マトリックス材を100体積%としたと
    き、該光学的異方性の炭素材は10〜55体積%を占め
    る請求項18記載のブレーキ用摩擦材。
  20. 【請求項20】基材繊維と該基材繊維を埋設固定する熱
    硬化性樹脂で結合されたマトリックス材からなるブレー
    キ用摩擦材であって、 摩擦材全体の見掛け体積を100体積%としたとき、該
    基材繊維として、不活性雰囲気中の500〜800℃で
    焼成した不完全炭化炭素繊維5〜40体積%を含み、か
    つ該マトリックス材は、850℃で5時間加熱したとき
    の加熱減量で全体を100重量%としたとき3〜20重
    量%を占める450℃〜800℃の温度で不完全炭化し
    た高炭素化合物を含むことを特徴とするブレーキ用摩擦
    材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010150391A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Akebono Brake Ind Co Ltd 湿式摩擦材
JP2016089903A (ja) * 2014-10-31 2016-05-23 日立オートモティブシステムズ株式会社 ブレーキ装置
US11209063B2 (en) 2016-11-02 2021-12-28 Akebono Brake Industry Co., Ltd. Friction material composition and friction material
WO2023167119A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 オイレス工業株式会社 摺動用炭素繊維及び摺動用炭素繊維の製造方法
WO2024128275A1 (ja) * 2022-12-16 2024-06-20 三菱ケミカル株式会社 粒子含有繊維束の製造方法および粒子含有繊維束

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