JPH07317638A - 内燃機関の過渡ノック抑制制御装置 - Google Patents

内燃機関の過渡ノック抑制制御装置

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JPH07317638A
JPH07317638A JP6107052A JP10705294A JPH07317638A JP H07317638 A JPH07317638 A JP H07317638A JP 6107052 A JP6107052 A JP 6107052A JP 10705294 A JP10705294 A JP 10705294A JP H07317638 A JPH07317638 A JP H07317638A
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combustion engine
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temperature
ignition timing
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昌宣 金丸
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登 高木
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は車両用内燃機関の加速時に生ずる過
渡ノックを抑制する装置に関し、アイドル状態における
点火時期を遅角することで燃焼室内温度を比較的低温に
維持して過渡ノックの生じ難い状況を形成することを目
的とする。 【構成】 アイドル状態フラグXIDLにより内燃機関
がアイドル状態かを判別する(ステップ100)。アイ
ドル状態である場合は点火時期遅角判定フラグXABS
EIDLが1であるかを見る(ステップ102)。冷却
水温及び吸気温が所定値を越えてXABSEIDL=1
となっている場合は、内燃機関が過渡ノックを生じやす
いと判断してアイドル時の点火時期を通常時に比べて遅
角設定する(ステップ104)。XABSEIDL=1
でない場合は過渡ノックは本来的に生じ難いと判断して
通常の点火時期を設定する(ステップ106)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の過渡ノック
抑制制御装置に係り、特に車両用内燃機関の加速時に生
ずる過渡ノックの抑制に好適な、内燃機関の過渡ノック
抑制制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関の点火時期を制御す
ることによりノッキングを抑制する技術が知られてお
り、また内燃機関においては、所定の高温環境下におけ
るアイドル状態からの加速時にノッキングを生じ易いこ
とが知られている。
【0003】これに対して、例えば特開平3−1050
63号公報は、内燃機関の冷却水温、又は吸気温等によ
り検出される雰囲気温度が高温であり、かつアイドル状
態の内燃機関に所定水準を越える高負荷が要求された場
合、すなわちアイドル状態の内燃機関に対して加速要求
が生じた場合に、その後の点火時期を通常時に比べて遅
角して加速過渡期に生ずるノッキング(以下、過渡ノッ
クと称す)の抑制を図る装置が開示されている。
【0004】すなわち、高温環境下にある内燃機関がア
イドル状態から加速状態となると、急激な吸入空気量の
増加に伴って、ノッキングを生じ易い状態となるが、そ
の際に点火時期を遅角することで、燃焼室内における燃
料の燃焼速度を遅らせてノッキングを抑制しようとする
ものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、点火時期の遅
角は、燃焼室内における燃焼性の悪化を伴う。従って、
かかる点火時期遅角制御は、失火防止の観点等から適当
な範囲内で実行する必要がある。
【0006】このため、上記従来の装置は、例えばアイ
ドリング状態が長期間継続して燃焼室内の温度が上昇し
た場合、または内燃機関冷却用ファンの作動によりエン
ジンルーム内の雰囲気温度が上昇し、その結果吸気温が
更に上昇した場合等、発進時、加速時において特に過渡
ノックが生じやすい状況において、ノッキングの抑制に
十分な遅角量を確保することができず、過渡ノックを十
分に抑制できないという問題を有していた。
【0007】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、内燃機関の吸気温及び冷却水温が共に高い場合
には過渡ノックが生じやすい状況であると判断し、アイ
ドル状態における点火時期を遅角することにより加速要
求発生前における燃焼室内の昇温を防止し、若しくはア
イドル回転数を高めて、発進時の耐過渡ノック性の向上
を図ることにより、または加速時に行われる燃料の増量
補正を所定期間減量して行うことにより、上記の課題を
解決する内燃機関の過渡ノック抑制制御装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】図1乃至図3は、上記の
目的を達成する内燃機関の過渡ノック抑制制御装置の原
理構成図を示す。すなわち、上記の目的は、図1に示す
如く内燃機関がアイドル状態であることを検出するアイ
ドル状態検出手段M1と、内燃機関の吸気温を検出する
吸気温検出手段M2と、内燃機関の冷却水温を検出する
冷却水温検出手段M3と、前記吸気温及び前記冷却水温
が共に所定温度以上である場合に、アイドル状態におけ
る点火時期を遅角して定める点火時期演算手段M4と、
内燃機関の点火時期を、該点火時期演算手段M4が定め
た時期に制御する点火時期制御手段M5とを備える内燃
機関の過渡ノック抑制制御装置により達成される。
【0009】また、上記の目的は、図2に示すように、
内燃機関がアイドル状態であることを検出するアイドル
状態検出手段M1と、内燃機関の吸気温を検出する吸気
温検出手段M2と、内燃機関の冷却水温を検出する冷却
水温検出手段M3と、前記吸気温及び前記冷却水温が共
に所定温度以上である場合に、アイドル状態における機
関回転数を高回転に定めるアイドル回転数演算手段M6
と、機関回転数を、該アイドル回転数演算手段M6が定
めた回転数に制御するアイドル回転数制御手段M7とを
備える内燃機関の過渡ノック抑制制御装置によっても達
成される。
【0010】更に、上記の目的は、図3に示すように、
内燃機関の吸気温を検出する吸気温検出手段M2と、内
燃機関の冷却水温を検出する冷却水温検出手段M3と、
内燃機関の加速時に、燃料噴射量を増量補正する加速時
噴射量補正手段M9と、前記吸気温及び前記冷却水温が
共に所定温度以上である場合における加速時の増量補正
量を所定期間減量する補正量減量手段とを備える内燃機
関の過渡ノック抑制制御装置によっても達成される。
【0011】
【作用】請求項1記載の発明に係る内燃機関の過渡ノッ
ク抑制制御装置において、前記吸気温検出手段M2が検
出する吸気温が高温となるのは、空気の取り入れ口付近
及び吸気通路周辺等、内燃機関周辺が高温の場合であ
る。
【0012】また、吸気温が高温である場合、その空気
の供給を受ける内燃機関の燃焼室内は高温となり易い。
従って、前記吸気温検出手段M2により検出される吸気
温が高温であるほど、内燃機関は、過渡ノックの発生し
易い環境下に置かれていることになる。
【0013】一方、前記冷却水温検出手段M3が検出す
る冷却水温は、内燃機関本体の温度の代用特性値であ
る。従って、前記冷却水温検出手段M3により検出され
る冷却水温が高温であるほど内燃機関自体が過渡ノック
を生じやすい状態にあることになる。
【0014】これに対して、前記点火時期演算手段M4
は、吸気温及び冷却水温が所定温度以上である場合にア
イドル状態における点火時期を遅角して定める。そし
て、定められた点火時期は、前記点火時期制御手段M5
によって実現される。ここで、内燃機関の点火時期が遅
角されると、遅角しない場合に比べて燃焼室の内壁温度
が低下する。
【0015】このため、内燃機関自体、及び内燃機関の
環境が過渡ノックを生じ易い状況にあることが検出され
ると、その結果前記点火時期演算手段M4、及び前記点
火時期制御手段M5によりアイドル時において遅角され
た点火時期が実現されることになり、燃焼室の内壁温度
が比較的低温に維持され、過渡ノックの生じ難い状況が
形成される。
【0016】また、請求項2記載の発明において、前記
アイドル状態検出手段M1の検出結果、前記吸気温検出
手段2の検出結果、及び前記冷却水温検出手段3の検出
結果は、前記アイドル回転数演算手段M6に供給され
る。
【0017】そして、これらの検出結果より、内燃機関
自体、及び内燃機関の環境が過渡ノックを生じ易い状態
にあると判断される場合、前記アイドル回転数演算手段
M6、及び前記アイドル回転数制御手段M7により、比
較的高いアイドル回転数が実現される。
【0018】内燃機関においては、点火時期の進角量が
同一であれば、アイドル回転数近傍領域ではその回転数
が高いほどノッキングが発生し難い。このため、上記の
如くアイドル回転数が高回転化されると、実質的に過渡
ノックが生じ難い状態が形成される。
【0019】更に、請求項3記載の発明において、前記
加速時噴射量補正手段M9は、内燃機関に加速要求が生
じた場合に、良好な加速特性を確保すべく燃料噴射量の
増量補正を行う。
【0020】一方、前記補正量減量手段M10は、前記
吸気温及び冷却水温が共に所定温度以上である場合に
は、前記加速時噴射量補正手段M9による加速時増量補
正を所定期間減量する。
【0021】従って、内燃機関が所定の高温状態であ
り、過渡ノックの生じ易い状況においては、加速開始後
の所定期間燃料がリーン側に補正され、過渡ノックが抑
制される。また、所定期間の経過後は通常の加速時増量
補正が行われるため、内燃機関の加速特性は、もたつき
のない適切な水準に維持される。
【0022】
【実施例】図4は本発明の一実施例である過渡ノック抑
制制御装置を備えた内燃機関10の全体構成図を示す。
内燃機関10の吸気通路12には、その内部を流通する
空気圧を検出する吸気圧センサ14、流通する空気の温
度を検出する吸気温センサ16、流通する空気量を制御
するスロットルバルブ18、及び吸気通路12内に燃料
を供給するインジェクタ20が設けられている。
【0023】スロットルバルブ18は、図示しないアク
セルペダルに連動して動作する弁体であり、その近傍に
はスロットルバルブ18の全閉状態を検出するアイドル
スイッチ22が設けられている。
【0024】また、吸気通路12には、スロットルバル
ブ18をバイパスするバイパス通路24が設けられてい
る。このバイパス通路24は、スロットルバルブ18が
全閉状態となった場合に、内燃機関10をアイドル状態
に維持し得る空気を流通させるべく設けられたものであ
り、例えばステップモータ等を駆動源とするアイドルス
ピードコントロールバルブ(ISCV)26によりその
導通状態が制御される。
【0025】内燃機関10のシリンダブロック28に
は、冷却水を流通させることにより機関の冷却を図るべ
くウォータジャケット30が設けられている。そして、
ウォータジャケット30の側壁には、その内部を流通す
る冷却水の温度を検出すべく水温センサ32が設けられ
ている。
【0026】シリンダブロック28内を上下に摺動する
ピストン31の上部には、点火プラグ34が突出して設
けられた燃焼室36が形成されている。この燃焼室36
は、吸気バルブ38を介して上記した吸気通路12に連
通し、また排気バルブ40を介して排気通路42に連通
する。
【0027】排気通路42には、その内部を流通する排
気ガス中に含有される酸素濃度を検出する酸素濃度セン
サ44、排気ガス中の未燃成分を浄化する触媒装置46
が設けられている。また、触媒装置46には、その内部
温度を検出する触媒床温センサ48が設けられている。
【0028】また、図4に示すイグナイタ50は、電子
制御装置(ECU)60から供給される駆動信号に基づ
いて、その上部に設置される点火コイル51の一次捲線
に供給される電流を遮断する。その結果、点火コイル5
1の2次捲線には、ECU60の駆動信号と同期して、
高圧の逆起電力が発生する。そして、このようにして点
火コイル51で発生した高圧信号は、点火信号としてデ
ィストリビュータ52に供給される。
【0029】また、ディストリビュータ52は、図示し
ないクランクシャフトに同期して作動し、点火コイル5
1から供給された点火信号を、その回転角に応じて特定
の気筒の点火プラグ34に分配する。従って、点火コイ
ル51で発生した点火信号は、内燃機関10のクランク
角に応じて、点火すべき気筒の点火プラグ34へのみ供
給されることになる。
【0030】ところで、ディストリビュータ52には、
クランクシャフトの基準位置検出信号を発生する気筒判
別センサ54と、内燃機関回転数信号を例えば30℃A
毎に発生する回転角センサ56とが設けられている。そ
して、ECU60は、これらから供給される気筒判別信
号点火信号、及び回転角信号に基づいて、イグナイタ5
0に適当なタイミングで駆動信号を発する。
【0031】また、本実施例の内燃機関10は、図4に
示す如く、冷却用ファンとして電動ファン58を備えて
おり、所定運転状況下、すなわち冷却水温THWが90
℃以上となった場合、又はエアコンのコンプレッサ圧力
が15kg/cm2以上となった場合に、内燃機関10を冷却
すべく電動ファン58を作動させることとしている更
に、本実施例においては、車速に応じた周期のパルス信
号を発生する車速センサ62,トランスミッション(オ
ートマチックトランスミッションの場合を含む)がニュ
ートラル状態であることを検出するニュートラルスイッ
チ64,エアコンディショナ(以下、エアコンと称す)
の作動状態を表すACスイッチ66,ブレーキペダルの
操作状況を検出するブレーキスイッチ67,エアコンの
コンプレッサ圧力を検出するAC圧力センサ68が、そ
れぞれECU60に接続されている。
【0032】図5は、ECU60周辺のハードウェア構
成を表すブロック構成図を示す。同図に示すように、E
CU60は、上記各種センサの出力信号を所定のディジ
タル信号に変換して取り込む入力ポート69、インジェ
クタ20,ISCV26,イグナイタ50に制御信号を
発する出力ポート70、CPU72、RAM74、RO
M76、バックアップRAM78、及びこれらを相互通
信可能に接続する共通バス80によって構成される。
【0033】ここで、本実施例の過渡ノック抑制制御装
置は、内燃機関10が過渡ノックを生じやすい状況であ
る場合に、アイドル時における点火時期を遅角すること
により、又はアイドル回転数を高回転化することによ
り、又は加速時に実行される燃料の増量補正を所定期間
減量することにより、その発生を抑制する点に特徴を有
しており、具体的にはCPU72がROM76に格納さ
れているプログラムに沿って所定の処理を実行すること
により上記の機能が実現される。
【0034】図6は、CPU76が上記の機能を実現す
べく実行する点火時期遅角ルーチンの一例のフローチャ
ートを示す。本ルーチンが起動すると、先ずステップ1
00においてアイドル状態フラグXIDLが“1”であ
るかを見る。
【0035】このXIDLは、アイドルスイッチ22が
オンとなっている場合に“1”がセットされるフラグで
あり、XIDL=1が成立しない場合、すなわち内燃機
関がアイドル状態でない場合は、ステップ101へ進ん
で内燃機関の負荷、及び機関回転数とに基づいて点火時
期を算出する処理を行う。
【0036】一方、上記ステップ100においてXID
L=1が成立すると判断された場合はステップ102へ
進む。ステップ102は、後述する点火時期遅角判定フ
ラグXABSEIDLが“1”であるかを判別するステ
ップである。ここでXABSEIDLは、吸気温、冷却
水温等に基づいて内燃機関10が過渡ノックを生じやす
い状態にあることが検出された場合に“1”がセットさ
れるフラグであり、XABSEIDL=1が成立すると
判別される場合は、以後ステップ104が実行される。
【0037】ステップ104は、内燃機関10のアイド
ル状態における点火時期を、通常時に比べて10°CA
遅角して設定するステップである。ここで、本ステップ
において点火時期の遅角を行うのは、アイドル時におい
て点火時期を遅角すると、燃焼室36内における燃料の
燃焼速度の低下等に伴い、全体として燃焼室36内の温
度上昇を抑制することができ、過渡ノックの防止に有効
だからである。
【0038】これに対して、上記ステップ102におい
てXABSEIDL=1が不成立であると判定された場
合は、ステップ106へ進んで、通常のアイドル状態に
おける点火時期を設定して今回の処理を終了する。
【0039】すなわち、本ルーチンは、内燃機関10が
アイドル状態から加速状態に移行する際に生ずる過渡ノ
ックを、上述の如くアイドル状態における燃焼室36内
の昇温を抑制して実現するものであり、内燃機関10が
アイドル状態でなければ点火時期の設定を変える必要が
なく、また点火時期の遅角制御は、爆発工程における燃
焼圧低下による燃費特性の悪化を伴うため、過渡ノック
が生じ易い状況でなければ敢えて行う必要がないからで
ある。
【0040】従って、本実施例の過渡ノック抑制制御装
置によれば、真に必要な場合にのみアイドル時における
点火時期遅角による燃焼室36内の昇温防止が図られ、
過渡ノック防止のために不当に燃費特性が悪化すること
がない。
【0041】また、内燃機関10が過渡ノックを生じ易
い状況にあることが検出された場合は、アイドル状態か
ら加速要求が生じて吸入空気量が急増するに先立って、
予め燃焼室36内を比較的低温にすることができ、実質
的に過渡ノックの生じ難い状況を形成することができ
る。
【0042】更に、過渡ノックを防止すべく実行する点
火時期の遅角を、車両の走行特性に影響しないアイドル
状態においてのみ実行することから、その点火時期の遅
角による内燃機関10の出力低下が、車両の運動特性に
悪影響を与えることがなく、適切な走行特性を維持した
まま過渡ノックの抑制を図ることができる。
【0043】このように、本実施例の過渡ノック抑制制
御装置によれば、燃費特性の不当な悪化、及び車両運動
特性の不当な低下を伴うことなく、確実に内燃機関の加
速時における過渡ノックを防止することができる。
【0044】図7は、上記したXABSEIDLフラグ
の設定を行うべくECU60が実行する点火時期遅角判
定ルーチンの一例のフローチャートである。
【0045】すなわち、本ルーチンが起動すると、先ず
ステップ200において吸気温THAが50℃以上かを
判別する。具体的には、吸気温センサ16の出力信号を
読み込み、その信号値に基づいて吸気温THAを算出
し、更にTHA≧50℃が成立しているかを判別する。
【0046】ここで、THA≧50℃となるのは、吸気
12の周辺、及び吸気通路12の空気採り入れ口付近が
高温となっている場合であり、車載用の内燃機関10に
おいては、エンジンルーム内に流速の生じないアイドル
状態が比較的長期間継続した場合等にその状態が形成さ
れる。
【0047】そして、かかる条件が成立する場合、内燃
機関10に供給される空気が高温であることから燃焼室
36内の温度は比較的高温となり、内燃機関10自体が
十分に暖機された状態である場合には、過渡ノックの生
じ易い状況が形成される。
【0048】このため、本ルーチンにおいては、上記ス
テップ200において条件成立が判別された場合は、以
後ステップ202へ進んで水温センサ32の検出値に基
づいて冷却水温THWが85℃以上か否かを判別し、T
HW≧85℃が成立している場合にはステップ204へ
進んでXABSEIDLに“1”をセットして処理を終
了することとした。
【0049】一方、上記ステップ200においてTHA
≧50℃が不成立であると判別された場合、又は上記ス
テップ200の条件は成立するものの、上記ステップ2
02においてTHA≧85℃が不成立であると判別され
た場合については、燃焼室36内の温度が過渡ノックを
生ずる程度に昇温していないと判断し、以後ステップ2
06へ進んでXABSEIDLをリセットして処理を終
了することとした。
【0050】従って、ECU60が、本ルーチンに従っ
てXABSEIDLのセット・リセットを行う場合、内
燃機関10が十分に暖機されるまでの間は点火時期が遅
角されず、また、内燃機関10が十分に暖機された状態
であってもエンジンルーム内全体が適当に冷却される定
常走行時等においては点火時期が遅角されず、過渡ノッ
ク抑制上、不必要な状況下で点火時期遅角制御が実行さ
れることがない。
【0051】尚、上記図6、及び図7に示すルーチンに
より実現されるアイドル時の点火時期遅角制御は、アイ
ドル時における点火時期を遅角した時期とするか(上記
ステップ104)、通常の時期とするか(上記ステップ
106)を、内燃機関10の状況に応じて選択する構成
としているが、例えば図8に示す如く冷却水温THW、
及び吸気温THAをパラメータとする遅角量マップを設
定し、個々の状況に応じて、THW及びTHAに対応し
た遅角量を設定する構成としてもよい。
【0052】この場合、図8に示す遅角量マップは、T
HWが高温であるほど、またTHAが高温であるほど、
遅角量が大きな値となるように設定されており、過渡ノ
ックが生じ易いほど大きな遅角量が設定され、効果的に
過渡ノックが抑制されることになる。
【0053】図9は、ECU60が実行する点火時期遅
角ルーチンの他第2の例のフローチャートを示す。尚、
同図において上記図6と同一の処理を行うステップに
は、同一の符号を付記してその説明を省略又は簡略化す
る。
【0054】すなわち、図9に示すルーチンにおいて
は、ステップ300においてXIDL=1が成立する
と、ステップ302においてニュートラルスイッチがオ
ンであることを表すフラグXNSWが“0”にクリアさ
れているか、すなわちシフト位置としてニュートラル以
外の位置が選択されているかを判別する。
【0055】車両がアイドル状態から加速状態に移行す
る場合、それに先立って必ず何れかのシフト位置が選択
され、その結果XNSW=“0”が成立するはずである
から、この条件が成立しない間は遅角制御を行わないこ
ととして一層の無駄排除を図るためである。
【0056】従って、本ルーチンでは、上記ステップ3
02の条件が不成立である場合、以後ステップ310へ
進んで通常の点火時期を設定して処理を終了し、上記ス
テップ302の条件が成立する場合に限りステップ30
4でXABSEIDLの判定を行う。
【0057】また、ステップ304においてXABSE
IDL=1が成立すると判別された場合は、次にステッ
プ306でブレーキスイッチ67の状態を表すフラグX
SWBの状態を判別する。
【0058】ニュートラルスイッチ64の場合と同様ブ
レーキスイッチ67についても、加速移行時には必ずオ
フとなることから、ブレーキスイッチ67がオンである
間、すなわちXSWB=0が不成立である間は、点火時
期を遅角しないこととして一層の無駄排除を図るためで
ある。
【0059】つまり、自動変速機付車両の場合、シフト
レバーをNレンジから駆動レンジ(Dレンジ、Rレン
ジ)にシフト操作する際には、通常ブレーキペダルを踏
んだ状態で操作することになり、その後発進のためにア
クセルペダルを踏み込むときブレーキがオフとなるた
め、単にニュートラルスイッチの状態をみて点火時期の
遅角制御を行うものに対して、遅角を行う状態を更に発
進直前に限定することができ、一層の無駄排除を図るこ
とができる。
【0060】このため、本ルーチンにおいては、上記ス
ッテップ306においてXSWB=0が不成立の場合は
ステップ310へ進んで通常の点火時期を設定し、XS
WB=0が成立する場合に限りステップ308へ進んで
アイドル時点火時期の遅角制御を行う。
【0061】従って、ECU60が上記図9に示す点火
時期遅角ルーチンを実行する場合、過渡ノックの抑制に
伴う内燃機関10の燃費特性の悪化を一層低減すること
が可能となる。
【0062】尚、上記した実施例においては、図6中ス
テップ100、及び図9中ステップ300が前記したア
イドル状態検出手段M1に、図7中ステップ200,2
02が、それぞれ前記した吸気温検出手段M2,冷却水
温検出手段M3に、図6中ステップ104,106、及
び図9中ステップ308,310が前記した点火時期演
算手段M4に、またイグナイタ50及びディストリビュ
ータ52が前記した点火時期制御手段M5に相当する。
【0063】ところで、内燃機関においてノッキングが
発生する領域は、点火時期により変動することは前記し
た通りであるが、スロットルバルブ18を全開として
(以下、この状況をWOTと称す)機関回転数とノッキ
ングが生ずる点火時期との関係を測定すると、一般に図
10に示す如く特性曲線が得られる。
【0064】すなわち、図10に示すように、内燃機関
においてノッキングの発生する領域は、機関回転数が高
いほど高進角側に移行し、同一の進角値に対しては機関
回転数が高いほどノッキングの抑制に有利であることが
判る。
【0065】一方、図11はオートマチックトランスミ
ッションを組み合わせた内燃機関についての過渡ノック
発生時期を表すノック信号(図11(A))、加速時に
おける吸入空気量変化(図11(B))、及び加速時に
おける機関回転数変化(図11(C))をそれぞれ表し
たタイムチャートを示したものであるが、同図において
過渡ノックの発生は(図中、時刻t3 )、加速開始後
(図中、時刻t1 )吸入空気量が急増し(図中、時刻t
2 )、その後未だ機関回転数が上昇する以前において検
出されている。
【0066】つまり、アイドル状態にある内燃機関を加
速状態に移行する際に生ずる過渡ノックを抑制するため
には、アイドル回転数における内燃機関の耐ノッキング
性を向上させる必要があり、上記した実施例は、その耐
ノック性の向上を、加速要求に先立って予め燃焼室36
内を比較的低温に維持することで実現していた。
【0067】この場合、アイドル状態における耐ノック
性を高める手法としてアイドル回転数を高めることが有
効なことは、上記図10に示す特性曲線より明らかであ
り、過渡ノックの生じやすい状況に限りアイドル回転数
を上昇することとすれば、上記した点火時期遅角制御に
よる場合と同様の効果を得ることができる。
【0068】図12は、かかる原理に従って過渡ノック
の抑制を図るべくECU60が実行するアイドル回転数
設定ルーチンの一例のフローチャートを示す。尚、同図
において上記した実施例と同様の処理を行うステップに
は、同一の符号を付記してその説明を省略または簡略化
する。
【0069】ところで、内燃機関10における過渡ノッ
クは、その周辺温度が高温である場合に特に生じ易いこ
とは前記した通りである。そして、内燃機関10の周辺
温度は、車両に搭載されるエアコンが作動し、熱交換に
より生じた熱がエンジンルーム内に放熱される際に特に
高温となり易い。
【0070】このため、本ルーチンでは、エアコンの作
動中を過渡ノックの抑制が必要な状況として把握し、か
かる状況下におけるアイドル回転数NTACONを、過渡ノ
ック抑制の手段として制御することとしている。
【0071】すなわち、図12に示すルーチンにおい
て、ステップ400では、THA≧50℃の成立性が判
断される。また、ステップ402では、THW≧85℃
の成立性が判断される。
【0072】そして、これら何れのステップにおいても
条件が成立する場合は、内燃機関10が過渡ノックを生
じやすい状況にあると判断され、以後ステップ404に
おいてNTACONに650rpm をセットして処理を終了す
る。
【0073】一方、上記ステップ400、又は402の
何れかの条件が不成立である場合は、内燃機関10は過
渡ノックを生じやすい状況にはないと判断され、以後ス
テップ406においてNTACONに550rpm をセットし
て処理を終了する。
【0074】尚、このようにして設定されたNT
ACONは、図13に示す如きアイドル回転数フィードバッ
クルーチンに従ってECU60が発する制御信号に基づ
いてISCV26が開弁状態を変化させることにより実
現される。
【0075】すなわち、図13に示すルーチンが起動す
ると、先ずステップ410において、上記の如く設定し
た目標のアイドル回転数(550rpm 又は650rpm 、
以下単に目標回転数と称す)を読み込む。
【0076】次に、ステップ412では、回転角センサ
54の出力パルスに基づいて、実機関回転数(以下、単
に実回転数と称す)を読み込む。そして、ステップ41
4で目標回転数と実回転数とを比較し、目標回転数>実
回転数が成立する場合はステップ416へ進んでISC
V26の開度を増加させ、目標回転数>実回転数が成立
しない場合はステップ418へ進んでISCV26の開
度を減少させて処理を終了する。
【0077】尚、本実施例においては、上述の如くIS
CV26をステップモータで駆動することとしているた
め、上記ステップ416、418においては、容易かつ
高精度にISCV26の増減開度を制御することができ
る。
【0078】その結果、内燃機関10自体の温度、すな
わちTHW、及び内燃機関10の周辺温度、すなわちT
HAが共に高温である場合はNTACONが比較的高回転に
設定され、エアコンの作動に伴って周辺温度が昇温し易
い状況にあるにも関わらず、適切な耐ノック性を確保す
ることができ、一方、内燃機関10が本来的に過渡ノッ
クを生じやすい状況にない場合には、燃費特性上有利で
ある低いアイドル回転数が実現される。
【0079】従って、ECU60が本ルーチンを実行す
る場合においても、上記図6〜図9に示すルーチンを実
行する場合と同様、高い燃費高率の維持と有効な過渡ノ
ックの抑制とを両立することができる。
【0080】図14〜図16は、ECUがアイドル回転
数NTACONを適宜制御して、過渡ノックの抑制を図るべ
く実行するアイドル回転数設定ルーチンの他の例のフロ
ーチャートを示す。尚、同図において上記した実施例と
同様の処理を行うステップには、同一の符号を付記して
その説明を省略または簡略化する。
【0081】すなわち本実施例は、図14に示すルーチ
ンにおいてNTACONの設定を行うに先立って、アイドル
回転数設定判定フラグXATRNAの判別を行う点に特
徴を有しており、このXATRNA=1である場合はス
テップ502においてNTAC ONに650rpm が、XAT
RNA=0である場合はステップ504においてNT
ACONに550rpm がそれぞれ設定される。
【0082】図15、及び図16は、XATRNAのセ
ット・リセットを行うサブルーチンである。
【0083】すなわちXATRNAは、図15中ステッ
プ600において、アイドル状態継続時間タイマCID
Lが180sec に達したことが検出され、次いでステッ
プ602が実行される場合に“1”にセットされる。そ
して、上記ステップ600においてCIDL≧180se
c が不成立であることが判別された場合、以後ステップ
604においてリセットされる。
【0084】アイドル状態継続時間タイマCIDLは、
図16に示す1sカウントルーチンによってカウントア
ップ、又はリセットされる。この1sカウントルーチン
は、1sec 毎に実行される定時割り込みルーチンであ
り、起動後先ずステップ700においてTHW≧85℃
の成立性を判別する。
【0085】THW≧85℃が成立する場合、すなわち
内燃機関10た十分に暖機されていると判断された場合
は、ステップ702へ進んで車速センサ62の出力信号
SPDが3km/hに達しない微速ないし停車状態を示して
いるかを判別する。
【0086】そして、この条件も成立している場合は、
エンジンルーム内の流速が微弱であり、内燃機関10が
過渡ノックを生じやすい状態になり得ると判断してステ
ップ704へ進む。
【0087】ステップ704では、XIDLの値に基づ
いて内燃機関10がアイドル状態か否かの判別を行う。
そして、XIDL=1が成立する、すなわち内燃機関1
0がアイドル状態であると判別された場合は、内燃機関
10が徐々に過渡ノックを生じやすい状態に移行してい
ると判断してステップ706へ進み、CIDLをインク
リメントして処理を終了する。
【0088】また、上記ステップ704においてXID
L=1は不成立である、すなわち内燃機関10は低速状
態ではあるがアイドル状態ではないと判断された場合
は、その耐過渡ノック性に変化がないと判断してステッ
プ708へ進み、CIDLをホールドして今回の処理を
終了する。
【0089】これに対して、上記ステップ700におい
てTHW≧85℃が不成立であると判別された場合、及
びステップ702においてSPD<3km/hが不成立であ
ると判別された場合は、それぞれ内燃機関10が本質的
に過渡ノックを生ずる状態にまで昇温していないと判断
し、又は車両の走行に伴って内燃機関10周辺の冷却が
促進されていると判断し、以後ステップ710へ進んで
CIDLをリセットして今回の処理を終了する。
【0090】従って、本実施例のCIDLは、内燃機関
10が継続的に3km/h未満の微速ないし停車状態を維持
し、かつ適当にアイドル状態となる場合にのみインクリ
メントされる。そして、アイドル状態の累積時間が18
0sec に到達した場合にのみXATRNAに“1”がセ
ットされ、アイドル回転数NTACONの高回転化が図られ
る。
【0091】このため、上記図12に示す実施例の如く
THWとTHAとに基づいて内燃機関10の耐過渡ノッ
ク性を判断する場合に比べて、その判断に車両の走行状
態をより詳細に反映させることができ、無駄にアイドル
回転数を高回転化することのない過渡ノック抑制制御を
実現することができる。
【0092】ところで、上記図12〜図16に示す実施
例においては、エアコンが作動する際に内燃機関10の
環境が特に過渡ノック上不利となるため、エアコン作動
時のアイドル回転数に限って制御する構成としている
が、これに限るものではなく、エアコンが非作動の場合
にも、過渡ノックが発生し易い高温時にアイドル回転数
を高回転化する制御を行う構成としてもよい。
【0093】尚、ECU60が上記図12〜図16に示
すルーチンを実行する場合、上記図12中ステッップ4
04,406、図14中ステップ502,504により
前記したアイドル回転数演算手段M6が実現され、また
ISCV26により前記したアイドル回転数制御手段M
7が実現されることになる。
【0094】ところで、本実施例のECU60は、吸気
圧センサ14、アイドルスイッチ22等のセンサ出力に
基づいて内燃機関10が加速状態であることが検出され
た場合に、燃料の加速増量補正、及び加速非同期噴射補
正(以下、これらを総称する場合には、単に増量補正と
称す)を行う機能を備えている。
【0095】ここで、燃料の加速増量補正とは、加速時
における内燃機関の運転状態に基づいて演算した適当な
燃料増量分を通常の燃料噴射量に加えて噴射する燃料増
量補正であり、加速非同期噴射とは、内燃機関に加速要
求が生じた場合に、各気筒の回転角と無関係に、すなわ
ち各気筒の吸気行程とは非同期に、所定量の燃料噴射を
行う燃料増量補正である。
【0096】つまり燃料噴射量を電子制御する機能を備
える内燃機関においては、内燃機関の負荷、機関回転数
等に基づいて基本燃料噴射量を演算し、その演算結果を
基礎に燃料噴射を行うが、加速過渡時には、負荷を検出
するセンサの応答遅れ、燃料噴射量の演算に伴う演算遅
れ等に起因して、現実に要求される燃料噴射量に対して
基本噴射量が不足する事態を生ずる。
【0097】これに対して、上述の如き増量補正を行
い、加速要求が生じた直後における燃料噴射量を増量す
ることとした場合、加速過渡時における燃料噴射量を十
分に確保することができ、優れた加速特性を得ることが
できる。
【0098】しかしながら、加速時に増量補正を行った
場合、加速初期において過渡ノックが生じ易い状況が形
成されることが経験的に知られている。すなわち、内燃
機関におけるノッキングに対する余裕度は、一般に理論
空燃比付近において最も少なく、その前後に離れるほど
高い余裕度を得ることができる。
【0099】これに対して、上記の如き加速増量補正を
施した場合、混合気の空燃比は、加速初期において最も
ノッキングを生じ易い理論空燃比付近を通過する。この
ため、内燃機関の冷却水温度が高く、かつ吸気温が高い
状況において内燃機関が加速した場合、その加速初期に
おいて特にノッキングが生じ易い状況が形成される。
【0100】また、本実施例の内燃機関10において
は、冷却水温THWが90℃以上となった場合、又はA
C圧力センサ68のセンサ出力、すなわちエアコンのコ
ンプレッサ圧力が15kg/cm2以上となった場合に作動す
る電動ファン58を備えていることは前記した通りであ
るが、電動ファン58が作動して内燃機関10の熱が放
熱されると、その後エンジンルーム内の雰囲気温度が全
体として上昇する。
【0101】そして、このようにエンジンルーム内の雰
囲気温度が全体として上昇すると、エンジンルーム内に
配設されたエアフィルタを介して吸入される吸入空気の
温度、すなわち吸気温THAが上昇することになり、内
燃機関10は、一層過渡ノックを生じ易い状況となる。
【0102】そこで、本実施例においては、THW及び
THAが共に所定温度以上であり、かつ電動ファン58
の作動条件が成立した場合には、加速初期における燃料
の増量補正を所定期間だけ減量して行うこととして、良
好な加速特性を確保しつつ、かかる状況における過渡ノ
ックの抑制を図ることとした。
【0103】尚、本実施例においては、電動ファン58
の作動条件が成立した場合、電動ファン58を作動させ
ると共にアイドル回転数を高める処理(以下、アイドル
アップと称す)を行っている。冷却水温の低下を図ると
共に、アイドルアップによって内燃機関の運転状態の安
定化を図るためである。
【0104】また、この場合において、THW≧90℃
が成立する場合に加え、エアコンのコンプレッサ圧力≧
15kg/cm2が成立する場合にも電動ファン58を作動さ
せ、アイドルアップを行うこととしているのは、かかる
状況下では内燃機関10の負荷が大きく、回転数の低下
を阻止する必要があるからである。
【0105】図17〜図21は、上記の機能を満たすべ
くECU60が実行するルーチンのフローチャートを示
す。以下、その具体的内容について説明する。図17
は、過渡ノックが発生し易い状況であると判別された場
合に加速増量を減量補正する加速増量補正ルーチンのフ
ローチャートである。また、図18は、加速増量の減量
補正を実行すべきか否かを判断する条件判定ルーチンの
フローチャート、図19は、条件判定ルーチンの実行に
先立って実行される初期化ルーチンのフローチャート、
そして、図20は、条件判定ルーチンにおいて用いるフ
ラグのセットを行うフラグ処理ルーチンのフローチャー
トである。
【0106】すなわち、ECU60の作動が開始する
と、先ず図19に示す初期化ルーチンが起動する。そし
て、ステップ800において、フラグXCFMに“0”
をセットし、次いでステップ802において、1msカウ
ンタCKNKに上限値FF(255ms)をセットして今
回の処理を終了する。
【0107】尚、フラグXCFMは、後述の如く電動フ
ァン58の作動が開始された場合に、その状態を記憶す
るためのフラグであり、CKNKは、上限値FFに向け
て1ms毎にカウントアップされるカウンタである。
【0108】このようにして初期化処理が終了したら、
図17に示す加速増量補正ルーチン、及び図18に示す
条件判定ルーチンの実行が開始される。
【0109】ここで、図17に示す加速増量補正ルーチ
ンは、上述のカウンタCKNKについて、CKNK≦2
00msが成立する場合に加速増量を減量補正するルーチ
ンである。尚、本ルーチンは、回転各センサ54により
各気筒の燃料噴射時期前の所定回転各が検出されること
により、例えば4気筒内燃機関においては、180°C
A毎に起動される。
【0110】本ルーチンにおいて、ステップ900で
は、例えば1〜2ms毎にAD変換される吸気圧センサ1
4の計測値PMと、前回(すなわち180°CA前)検
出された吸気圧PM0との差DLPMを、過渡的な圧力
変化分を表す特性値として演算する。尚、吸気圧センサ
14の計測値PMは、図示しないフィルタ回路またはソ
フトウェア上の処理により平滑化されている。
【0111】ステップ902では、圧力変化DLPMに
よる燃料増量分を検出するときの重み係数K1における
冷却水温寄与分K1THWWを算出する。このK1TH
Wの値は、冷却水温THWに応じて変化する値であり、
ECU60のROM76内には、THWに対するK1T
HWの値を示すマップが格納されている。そして、水温
センサ32により実測されるTHWによりそのマップを
参照して、対応するK1THWが演算される。
【0112】ステップ904では、圧力変化DLPMに
よる燃料増量分を算出する際の重み係数K1における機
関回転数の寄与分K1NEが算出される。このK1NE
は、機関回転数NEに応じて変化する値であり、ECU
60のROM76内には、NEに対するK1NEの値を
示すマップが格納されている。そして、気筒判別センサ
54等から出力されるパルス信号を下に検出したNEの
実測値によりそのマップを参照して、対応するK1NE
が演算される。
【0113】ステップ906では、上記ステップ90
2、904においてそれぞれ算出されたK1THW,K
1NEの和を、圧力変化による燃料増量分算出用の重み
係数K1として演算する。
【0114】次に、ステップ908では、圧力変化DL
PMの時間積分項による燃料増量分を算出する際の重み
係数K2における冷却水温寄与分K2THWWを算出す
る。K2THWの値は、冷却水温THWに応じて変化す
る値であり、上記K1THWと同様に、ROM74内に
格納されるマップを実測したTHWで参照することで演
算される。
【0115】ステップ910では、圧力変化DLPMの
時間積分項による燃料増量分を算出する際の重み係数K
2における機関回転数の寄与分K2NEが算出される。
このK1NEも、機関回転数NEに応じて変化する値で
あり、上記K1NEと同様に、ROM74内に格納され
るマップをNEの実測値で参照することで演算される。
【0116】また、ステップ912では、上記ステップ
908、910においてそれぞれ算出されたK2TH
W,K2NEの積を、圧力変化DLPMの積分項による
燃料増量分算出用の重み係数K2として演算する。
【0117】ステップ914では、圧力差積分値DLP
i が、DLPM+K3×DLPM i-1 によって算出さ
れる。ここで、K3は、前回処理時までの積分値のため
の重み係数であり、0.9程度の値である。
【0118】上記の式は、物理的には前回までの圧力変
化(すなわち、吸入空気量変化)の総和の意味を持って
いる。つまり、図22(イ)において実線は過渡状態に
おける吸気管圧力の実際の変化を示しており、破線はな
まし後の吸気管圧力PMを示す。
【0119】ここで、本ルーチンにおいては、このなま
された吸気管圧力値により燃料噴射量の算出が行われる
ことになるが、なまし値により燃料噴射量を算出する
と、過渡的には空燃比が荒れることになる。そこで、実
際の吸気管圧力となまし値の差の分だけ補正する必要が
あり、具体的には図22(ロ)に示す如き差分を補正す
る必要がある。
【0120】本実施例においては、加算方式の増量を行
ってその補正を行うこととしている。すなわち、吸気管
圧力の変化分を算出し、これによって基本噴射量に加算
すべき補正量を算出している。
【0121】図22(ハ)において、DLPMは今回と
前回との吸気管圧力の差を示す。この値は、前回の噴射
と今回の噴射とでの噴射量の増加に対応する。一方、D
LPMi は、前回までの燃料噴射量の総和に相当する。
従って、DLPM,DLPM i のそれぞれに対応する重
み係数K1,K2を掛け算したものの和、“K1×DL
PM+K2×DLPMi ”が過渡時におけるそれまでの
全圧力変化となる。そして、吸気管圧力から燃料噴射量
への変換係数をCとすれば、“C×(K1×DLPM+
K2×DLPMi ”が、過渡増量値となる。
【0122】ところで、内燃機関が過渡ノックの生じや
すい状態である場合には、加速時の燃料増量により、一
時的に過渡ノックが生じ易い状態となることは前記した
通りである。このため、本実施例においては、内燃機関
が過渡ノックを生じ易い状態にある場合には、加速時の
過渡増量値を減量することとしており、具体的には、以
下のステップ916〜922を実行することで、上記の
機能を実現している。
【0123】すなわち、ステップ916では、上述した
カウンタCKNKについて、CKNK≦200msが成立
するか否かを判別する。そして、CKNK≦200msが
成立する場合はステップ918へ進んで、補正係数tK
KNKに0.25をセットし、一方CKNK≦200ms
が不成立の場合は、ステップ920へ進んで、補正係数
tKKNKに1.0をセットする。
【0124】そして、ステップ922では、基本の過渡
増量値として演算される“C×(K1×DLPM+K2
×DLPMi ”に、上記の如く演算した補正係数tKK
NKを乗算して、最終的な加速増量TPAEWを算出す
る。
【0125】つまり、本実施例においては、CKNK≦
200msが成立する場合、この条件が成立しない場合に
比べて1/4に加速増量TPAEWが減量補正されるこ
とになる。
【0126】尚、カウンタCKNKには、上記の如く初
期値としてFFがセットされているため、後述の如くそ
の値がリセットされていない限り上記ステップ916の
条件は不成立となり、補正係数tKKNKには1.0が
セットされることになる。
【0127】ところで、初期値としてFFがセットされ
たCKNKは、図18に示す条件判定ルーチンにおいて
所定の実行条件の成立が判定された場合にリセットされ
る。
【0128】すなわち、図18に示すルーチンが起動す
ると、先ずステップ1000においてCKNK≧200
msの成立性を判別する。そして、CKNK≧200msが
成立する場合はステップ1002へ進み、一方上記条件
が成立しない場合は、以後何ら処理を行うことなく今回
のルーチンを終了する。
【0129】尚、本実施例においては、CKNKに初期
値としてFFがセットしてあるため、その値がリセット
されていない限り、上記条件は成立する。また、CKN
K≧200msが不成立の場合に以後何ら処理を行わない
のは、リセットされたCKNKが200msに達する間に
繰り返しリセットされるのを防止するためである。
【0130】ステップ1002では、吸気温THAが3
0℃以上であるかを判別する。また、ステップ1004
では、冷却水温THWが85℃以上であるかを判別す
る。これらの成立性に基づいて内燃機関10が過渡ノッ
クを生じ易い状況であるかを判定するためである。
【0131】そして、上記ステップ1002、及び10
04の条件が共に成立する場合は過渡ノックが生じ易い
と判断してステップ1006へ進み、一方何れかの条件
が不成立の場合は、以後何ら処理を行うことなく今回の
処理を終了する。
【0132】ステップ1006は、初期化の際に“0”
をセットしたXCFMフラグに“1”がセットされてい
るかを見るステップである。このXCFMフラグは、図
20に示すフラグ処理ルーチンによってセットされる電
動ファン58作動記憶フラグであり、電動ファン58が
作動した場合、吸気温THAの上昇に伴って一層過渡ノ
ックが生じ易くなることから、過渡ノックを生じ易いか
否かを判別するに当たって判断の基礎としたものであ
る。
【0133】すなわち、本実施例の内燃機関10におい
ては、THWが90℃以上、またはエアコンのコンプレ
ッサ圧力が15kg/cm2以上となった場合に電動ファン5
8が作動し、またアイドルアップが行われることは前記
した通りであるが、かかる処理の実行中は、その作動状
態を表すべくフラグXCFに“1”がセットされる。
【0134】これに対して、図20に示すルーチンにお
いては、先ずステップ1100においてXFC=“1”
が成立するかを判別し、XFC=“1”が成立する場合
には、以後ステップ1102に進んで上記フラグXCF
Mに“1”をセットして処理を終了する。
【0135】つまり、ECU61が始動を開始した後、
電動ファン58の作動が開始する以前においてはXFC
Mが“0”であるため上記ステップ1006の条件は不
成立となり、その後電動ファン58の作動条件が一旦成
立すると、以後XFCMが“1”に保持されて上記ステ
ップ1006の条件が常に成立することになる。
【0136】尚、上記判定に際して電動フラグの作動状
態を表すフラグXCFを直接使用せず、その記憶フラグ
XCFMを用いたのは、XCFは電動ファン58の停止
後即座に“0”に戻るが、電動ファン58の作動に伴っ
て昇温した吸気温が低下するにはある程度の時間を要
し、XCFと過渡ノックの発生し易さとは必ずしも一致
していないことを考慮したものである。
【0137】ステップ1006において上記条件が成立
すると判別された場合は、ステップ1008に進んで車
速SPDが15km/h以下であるか否かの判別を行う。そ
して、SPD≦15km/hが不成立の場合は、走行時の流
速により内燃機関10が冷却され、また吸気温THAが
低下するため過渡ノックが生じ難いと判断して何ら処理
を行うことなく今回の処理を終了する。
【0138】一方、SPD≦15km/hが成立する場合
は、ステップ1010においてフラグXTRNに“1”
がセットされているかを判別し、XTRN=1が成立す
る場合はステップ1012へ進み、XTRN=1が成立
しない場合は、そのまま今回の処理を終了する。
【0139】XTRNは、内燃機関10が加速に伴う過
渡期である場合に“1”となるフラグであり、具体的に
は、吸気管圧力PMのディジタル変換値PMADの変化
量ΔPMが、PMの関数として設定される判定値LVL
TRN以上である場合に“1”がセットされる。
【0140】ここで、PMは300mmHg〜760mmHg程
度に変化する値であり、例えばPM=600mmHgに対し
てLVLYRN=60mmHg、PM=759mmHgに対して
LVLYRN=120mmHg程度が設定されている。つま
り、加速時においてPMが増加した場合、それにつれて
判定値LVLYRNも増加するように構成されており、
通常の加速時には、一回の加速操作につき一回だけXT
RNに“1”がセットされるように構成されている。
【0141】ステップ1012においては、機関回転数
NEが3000rpm 未満であるか否かが判別され、NE
<3000rpm が成立する場合に限りステップ1014
へ進む。NEが3000rpm 以上となる高回転領域で
は、さほど過渡ノックが問題となることはないからであ
る。
【0142】ステップ1014は、PMAD≧600mm
Hgが成立するか否かを判別するステップであり、上記条
件が成立する場合に限り次いでステップ1016が実行
される。過渡ノックは、スロットルが大きく開弁された
際に生ずる現象であることから、PMAD≧600mmHg
が成立しない領域は、過渡ノックが生じ易い状況から除
外することができるからである。
【0143】また、ステップ1016は、他のサブルー
チンにおいて演算された加速増量tTPAEWの値が正
の値であるかを判別するステップである。本ルーチン
は、内燃機関10の加速時において通常の噴射量に付加
される加速増量を減量することで、過渡ノックの抑制を
図るルーチンであり、加速増量tTPAEWが正の値で
あることが前提だからである。
【0144】そして、上記ステップ1000〜1018
の条件が全て成立する場合に限り、ステップ1018に
おいて、CKNKをリセットする処理を行い、何れかの
ステップで条件が成立しない場合は、1ms毎にカウント
アップされるCKNKに対して、何ら処理を施すことな
く今回の処理を終了する。
【0145】この結果、ECU60が始動した後、ステ
ップ1000〜1018の条件が全て成立するまでの間
は、CKNKには上限値FFが保持され、従って、上記
図17に示す加速増量補正ルーチンにおいては、常に補
正係数tKKNKとして1.0が選択され、上記ステッ
プ922では、減量補正されない加速増量TPAEWが
演算される。
【0146】そして、上記ステップ1000〜1018
の条件が全て成立すると、その後200msの間は、上記
図17に示す加速増量補正ルーチンにおいて、補正係数
tKKNKとして0.25が選択され、上記ステップ9
22では、通常時の1/4に減量補正された加速増量T
PAEWが演算されることになる。
【0147】尚、図17に示すルーチンにおいては、上
記ステップ922の処理が終了すると、次にステップ9
24において、基本燃料噴射量TPが算出される。周知
のように、基本燃料噴射量は、吸気管圧力と機関回転数
とに基づいて、理論空燃比を実現すべく演算される。
【0148】ECU60のROM76には、吸気管圧力
と機関回転数との組み合わせに対する基本燃料噴射量の
マップが格納されており、補間によりそのときの吸気管
圧力と機関回転数とに対する基本燃料噴射量の算出が行
われる。
【0149】そして、ステップ926において、最終燃
料噴射量TAUが、“TAU=(TP+TPAEW)×
α+β”によって算出される。ここで、α、βは、内燃
機関の燃料噴射量を演算するに際して採用される種々の
補正量を総括的に表した補正係数である。
【0150】また、ステップ928では、燃料噴射信号
が形成される。、この燃料噴射信号は、上記ステップ9
26で算出される燃料噴射量が得られるような継続時間
に形成され、インジェクタ20に向けて出力される。
【0151】そして、ステップ930において現在のP
M値がPM0に移され、次いでステップ932で、次回
の処理のため、現在のDLPMi がDLPMi-1 にセッ
トされ、今回の処理が終了する。
【0152】ところで、本実施例の内燃機関10は、加
速時における燃料の増量補正として加速増量噴射を行う
と共に加速非同期噴射を行うことは前記した通りであ
る。ここで、加速非同期噴射も、加速時において燃料を
リッチ化する点で加速増量噴射と同様、過渡ノックを抑
制する観点からは好ましくない補正である。
【0153】そこで、本実施例においては、内燃機関1
0が過渡ノックを生じ易い状況にある場合は、加速非同
期噴射についても減量補正を行うこととしている。
【0154】図21は、かかる機能を満たすべくECU
60が実行する非同期噴射量補正ルーチンのフローチャ
ートであり、以下、その具体的処理内容について説明す
る。尚、図21中、図18と同一の処理を行うステップ
には、同一の符号を付してその説明を省略、又は簡略化
する。
【0155】すなわち、図21に示すルーチンにおいて
は、ステップ1200においてXTRN=1が成立する
か、すなわち内燃機関が加速中であるかを判断し、ステ
ップ1202においてTHA≧30℃の成立性を判断
し、ステップ1204においてTHW≧85℃の成立性
を判断し、ステップ1206においてSPD<15km/h
の成立性を判断し、更にステップ1208においてXC
FM=1の成立性を判断し、これらが全て成立する場合
はステップ1210の処理を実行し、何れかの条件が成
立しない場合はステップ1212の処理を実行して処理
を終了するルーチンである。
【0156】ここで、上記ステップ1200〜1208
の条件は、上記図18に示すルーチンと同様に、内燃機
関10が過渡ノックを生じ易い状況にあるか否かを判断
するための条件である。
【0157】そして、これらが全て成立する場合に実行
されるステップ1210は、加速非同期噴射の噴射時間
tTAUASYを0.5msに設定するステップであり、
一方何れかの条件が不成立の場合に実行されるステップ
1212は、加速非同期噴射の噴射時間tTAUASY
を2.0msに設定するステップである。
【0158】従って、ECU60によって本ルーチンが
実行される場合、内燃機関10が過渡ノックを生じ易い
状況でなければ、通常の加速非同期噴射(2ms)によっ
て良好な加速特性が確保され、また過渡ノックが生じ易
い状況であれば、過渡ノックの生じ難い加速非同期噴射
が実行されることになる。
【0159】ところで、本実施例においては、加速非同
期噴射量を一定値としたが、加速の程度(例えばΔP
M)、内燃機関の状態(例えば冷却水温THW)に応じ
て算出しても良く、この場合でも上述したような過渡ノ
ックを生じ易い状況にある場合には、算出された非同期
噴射量から一定量減量したり、あるいは算出された非同
期噴射量がある量以上にならないように制限したり(い
わゆるガード処理)、場合によっては非同期噴射量を禁
止するようにしてもよい。
【0160】ここで、図23、図24は、上記した加速
増量及び加速非同期噴射の減量補正制御を実行した場
合、及びかかる補正制御を実行することなく加速時の増
量補正を行った場合のそれぞれについて、過渡ノックの
発生状況を測定した結果を示す図である。
【0161】尚、図23、図24中、横軸は、車両にお
いてブレーキを踏み込んだ状態で、自動変速機をDレン
ジにセットし、アクセルペダルを踏み込む試験(以下、
ストール試験と称す)を行ったサイクル数を示し、図中
実線が冷却水温THWの変動状況、破線が吸気温THA
の変動状況、一点鎖線が発生したノッキングの強度を、
それぞれ示している。
【0162】この場合、THW≧90℃が成立して電動
ファン58が作動を開始する以前においては、図23、
及び図24共に“ノック無し”又は“微”レベルのノッ
キングが、ほぼ同程度の頻度で発生しているが、電動フ
ァン58が作動を開始する領域においては、本実施例の
制御の実行を伴う図22においては、“微”又は“小”
レベルのノッキングが発生するに止まっているのに対
し、かかる制御の実行を伴わない図23においては、
“中”又は“大”レベルのノッキングが頻繁に発生して
いる。
【0163】また、図25は、かかる傾向を異なる補正
係数tKKNKにつき測定した結果を表したグラフであ
り、ストール試験に対して発生したノッキングの強度分
布を示している。
【0164】この場合、図25は、補正係数が小さいほ
ど、すなわち加速時における増量補正が少量であるほ
ど、発生するノッキング強度は小さく、その頻度も低い
ことを表しており、本実施例において採用するtKKN
K=0.25によれば、良好な加速特性を維持しつつ、
有効に過渡ノックを抑制することが可能である。
【0165】ところで、本実施例においては、加速時の
増量補正として加速増量噴射、及び加速非同期噴射を採
用し、かつこれらの補正について共に減量補正を施すこ
ととしたが、これに限るものではなく、加速時の増量補
正として何れか一方のみを採用する構成について適用す
ることも可能であり、また、両増量補正を採用し、何れ
か一方についてのみ減量補正を施すことも可能である。
【0166】尚、上記実施例においては、電動ファン5
8の作動状態を記憶する上記ステップ1006、又は1
208が前記したファン作動状態検出手段M8に相当
し、過渡ノックの発生し易さに応じて適当に加速時の補
正量を演算する上記ステップ902〜906、又は12
10,1212が、前記した加速時噴射量補正手段M9
及び補正量減量手段M10の相当している。
【0167】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、アイドル状態において内燃機関自体、及びその環境
が、過渡ノックを生じ易い状況である場合には、加速要
求の発生に先立ってアイドル状態における燃焼室内壁温
度の上昇が抑制される。
【0168】このため、本発明に係る内燃機関の過渡ノ
ック抑制制御装置によれば、アイドル状態で現実に加速
の要求が生じた際に、内燃機関及びその環境温度が高温
である場合であっても、有効に過渡ノックの発生を抑制
することができる。
【0169】また、請求項2記載の発明によれば、アイ
ドル状態において過渡ノックが生じ易い状況が形成され
た場合、アイドル回転数が高回転化され、ノッキングが
発生し難い状況が実現される。このため、本発明に係る
内燃機関の過渡ノック抑制制御装置においても、上記請
求項1記載の発明と同様に、有効に過渡ノックの発生を
抑制することができる。
【0170】更に、請求項3記載の発明によれば、内燃
機関が所定の高温状態であって、冷却ファンの作動に伴
い更に吸気温が上昇するような場合には、加速開始後所
定期間における燃料の増量補正が、通常時に比べて減量
されて行われる。このため、本発明に係る内燃機関の過
渡ノック抑制制御装置によれば、加速初期の所定期間に
おいてのみ空燃比をリーン傾向とすることができ、良好
な加速特性を維持しつつ、有効に発進時、及び加速時に
おける過渡ノックを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の原理構成図である。
【図2】請求項2記載の発明の原理構成図である。
【図3】請求項3記載の発明の原理構成図である。
【図4】本発明の一実施例である内燃機関の過渡ノック
抑制制御装置の全体構成図である。
【図5】本実施例の過渡ノック抑制制御装置のECU周
辺のブロック構成図である。
【図6】本実施例においてECUが実行する点火時期遅
角ルーチンの一例のフローチャートである。
【図7】本実施例においてECUが実行する点火時期遅
角判定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図8】本実施例において点火時期遅角ルーチンにおい
て参照するマップの一例である。
【図9】本実施例においてECUが実行する点火時期遅
角ルーチンの他の例のフローチャートである。
【図10】内燃機関においてノッキングを生ずる進角値
と機関回転数との関係を表す特性曲線である。
【図11】内燃機関の過渡ノックの発生時期を説明する
ためのタイムチャートである。
【図12】本実施例においてECUが実行するアイドル
回転数設定ルーチンの一例のフローチャートである。
【図13】本実施例においてECUが実行するアイドル
回転数フィードバック制御ルーチンの一例のフローチャ
ートである。
【図14】本実施例においてECUが実行するアイドル
回転数設定ルーチンの他の例のフローチャートである。
【図15】本実施例においてECUが実行するアイドル
回転数設定判定ルーチンの一例のフローチャートであ
る。
【図16】本実施例においてECUが実行するアイドル
状態継続時間カウントルーチンの一例のフローチャート
である。
【図17】本実施例においてECUが実行する加速増量
補正ルーチンの一例のフローチャートである。
【図18】本実施例においてECUが実行する条件判定
ルーチンの他の例のフローチャートである。
【図19】本実施例においてECUが実行する初期化ル
ーチンの一例のフローチャートである。
【図20】本実施例においてECUが実行するフラグ処
理ルーチンの一例のフローチャートである。
【図21】本実施例においてECUが実行する非同期噴
射量補正ルーチンの一例のフローチャートである。
【図22】本実施例における加速時増量補正量の演算方
法を説明するための図である。
【図23】本実施例の過渡ノック抑制制御装置の効果を
説明するための図(その1)である。
【図24】本実施例の過渡ノック抑制制御装置の効果を
説明するための図(その2)である。
【図25】本実施例の過渡ノック抑制制御装置の効果を
説明するための図(その3)である。
【符号の説明】
M1 アイドル状態検出手段 M2 吸気温検出手段 M3 冷却水温検出手段 M4 点火時期演算手段 M5 点火時期制御手段 M6 アイドル回転数演算手段 M7 アイドル回転数制御手段 M8 ファン作動状態検出手段 M9 加速時噴射量補正手段 M10 補正量減量手段 10 内燃機関 12 吸気通路 16 吸気温センサ 26 ISCV 32 水温センサ 34 点火プラグ 36 燃焼室 60 電子制御装置(ECU) 62 車速センサ 64 ニュートラルスイッチ 66 ACスイッチ 67 ブレーキスイッチ XIDL アイドル状態フラグ XABSEIDL 点火時期遅角判定フラグ THA 吸気温 THW 冷却水温 XNSW ニュートラルスイッチフラグ XSWB ブレーキスイッチフラグ NTACON エアコン作動時アイドル回転数 XATRNA アイドル回転数設定判定フラグ CIDL アイドル状態継続時間カウンタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 41/10 330 A 41/16 E 45/00 312 P Q F02P 5/15 F02P 5/15 F

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関がアイドル状態であることを検
    出するアイドル状態検出手段と、 内燃機関の吸気温を検出する吸気温検出手段と、 内燃機関の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、 前記吸気温及び前記冷却水温が共に所定温度以上である
    場合に、アイドル状態における点火時期を遅角して定め
    る点火時期演算手段と、 内燃機関の点火時期を、該点火時期演算手段が定めた時
    期に制御する点火時期制御手段とを備えることを特徴と
    する内燃機関の過渡ノック抑制制御装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関がアイドル状態であることを検
    出するアイドル状態検出手段と、 内燃機関の吸気温を検出する吸気温検出手段と、 内燃機関の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、 前記吸気温及び前記冷却水温が共に所定温度以上である
    場合に、アイドル状態における機関回転数を高回転に定
    めるアイドル回転数演算手段と、 機関回転数を、該アイドル回転数演算手段が定めた回転
    数に制御するアイドル回転数制御手段とを備えることを
    特徴とする内燃機関の過渡ノック抑制制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の吸気温を検出する吸気温検出
    手段と、 内燃機関の冷却水温を検出する冷却水温検出手段と、 内燃機関の加速時に、燃料噴射量を増量補正する加速時
    噴射量補正手段と、 前記吸気温及び前記冷却水温が共に所定温度以上である
    場合における加速時の増量補正量を所定期間減量する補
    正量減量手段とを備えることを特徴とする内燃機関の過
    渡ノック抑制制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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