JPH07309626A - ジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法 - Google Patents

ジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法

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JPH07309626A
JPH07309626A JP32474094A JP32474094A JPH07309626A JP H07309626 A JPH07309626 A JP H07309626A JP 32474094 A JP32474094 A JP 32474094A JP 32474094 A JP32474094 A JP 32474094A JP H07309626 A JPH07309626 A JP H07309626A
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pzt thin
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JP32474094A
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Koji Watabe
浩司 渡部
Chiharu Isobe
千春 磯辺
Kazuhiro Bessho
和宏 別所
Eiji Tanaka
栄次 田中
Naohiro Tanaka
均洋 田中
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゾル−ゲル法によるPZT薄膜の製造方法に
おいて、取扱いが容易で安定性が高い原料ゾル溶液の出
発原材料を見いだすとともに、PZT薄膜の結晶配向性
を制御することを目的とする。 【構成】 (111)軸方向に配向した白金基板上に、
酢酸鉛、テトライソプロポキシチタン及びテトラプロポ
キシジルコニウムを2−メトキシエタノールに溶解して
なる原料ゾル溶液を塗布し所定の乾燥温度にて乾燥させ
た後、熱処理を施してPZT薄膜を得る。ここでPZT
薄膜は、乾燥温度が150℃〜250℃の場合、(10
0)軸方向に配向し、250℃〜350℃の場合、特定
な配向性を有さず、350℃〜450℃の場合、(11
1)軸方向に配向する。このとき、白金基板の表面ラフ
ネスを10nm以下、原料ゾル溶液の濃度を0.25m
ol/l以下とすることにより、より強く配向性を持た
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電素子、光スイッ
チ、キャパシタ、不揮発性メモリ等に用いられるジルコ
ン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法に関し、特にその結晶配
向性の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電体薄膜であるジルコン酸チタン酸
鉛薄膜(以下、ジルコン酸チタン酸鉛を「PZT」と称
する。)は、強誘電体薄膜を用いる素子、例えば、圧電
素子、光スイッチ、キャパシタ、不揮発性メモリ等に用
いられる。
【0003】このようなPZT薄膜を成膜する方法とし
ては、(イ)スパッタリングによる方法、(ロ)金属有
機化合物等を原料とした化学的気相成長法であるMO−
CVD法、(ハ)相当する金属有機化合物等を有機溶媒
に溶解して作製された原料ゾル溶液を基板上に塗布して
乾燥させた後、熱処理して結晶化させるゾル−ゲル法等
が知られている。
【0004】このようなPZT薄膜を成膜する方法の中
でも、ゾル−ゲル法は、膜の特性が出発原材料の種類に
強く依存してしまう反面、低温でしかも簡便に所望の薄
膜を成膜することができる方法として特に注目されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】PZT薄膜を所望の素
子等に組み込み機能させる場合、通常、PZT薄膜の分
極反転現象が利用される。しかし、この分極反転は歪を
伴うため、分極反転を繰り返すと膜疲労が生じて、残留
分極値の減少やリーク電流値の増大等の好ましからぬ現
象が生じてしまうという問題がある。
【0006】その解決策の一つとして、分極反転に伴う
歪を抑えるために、PZT薄膜を分極方向へ配向成長さ
せる方法が検討されている。しかし、この配向膜成長に
関する報告は、スパッタリング法やMO−CVD法によ
って成膜されたPZT薄膜に関する報告はいくつか出さ
れているが、ゾル−ゲル法による報告は少なく、特に、
原料ゾル溶液の出発原材料と配向成長との関係や、PZ
T薄膜を成長させる際に用いられる下地基板の表面粗度
と配向成長との関係や、原料ゾル溶液の濃度と配向成長
との関係について、明確に示した報告に至っては、未だ
報告されていない。
【0007】また、ゾル−ゲル法でPZT薄膜を成膜す
る場合、原料ゾル溶液の溶媒として酢酸が用いられるこ
とがある。しかし、酢酸は揮発性が高いため安定性が悪
く、沈澱物が生じて組成が変化してしまうという問題が
あった。
【0008】そこで本発明は、従来のこのような実情に
鑑みて提案されたものであり、ゾル−ゲル法によってP
ZT薄膜を成膜するに際して、原料ゾル溶液の出発原材
料として、取扱いが容易で安定性が高く組成が変化する
ことのない材料を見いだすとともに、このような原料ゾ
ル溶液を用いてPZT薄膜の結晶配向性を制御し特定軸
方向へ配向成長させる方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに完成された本発明のPZT薄膜の製造方法は、(1
11)軸方向に配向した白金基板上に、酢酸鉛、テトラ
イソプロポキシチタン、テトラプロポキシジルコニウム
を2−メトキシエタノールに溶解してなる原料ゾル溶液
を塗布した後、150℃〜450℃で乾燥し、その後、
550℃〜750℃で熱処理して結晶化するものであ
る。
【0010】上記(111)軸方向に配向した白金基板
としては、(111)軸方向に配向した白金そのものを
基板としても、任意の基板上に(111)軸方向に配向
した白金薄膜を成膜したものを基板としてもよい。
【0011】ここで、基板に白金を用いたのは、PZT
薄膜の下地基板は、高温でもPZTと反応しないこと
と、電導性が大きく下部電極として利用できることが必
要であり、白金はこの条件に非常によく適しているから
である。
【0012】なお、上記製造方法において、キャパシタ
や不揮発性メモリ等の省電力駆動が望まれる素子に用い
るPZT薄膜を成膜する場合は、PZT薄膜の膜厚は薄
い方が良く、具体的には300nm以下の膜厚であるこ
とが好ましい。ただし、省電力駆動の点ではなるべく薄
い方が良いが、あまり薄いと均一な膜を成膜するのが困
難なため、100nm以上の膜厚であることが好まし
い。したがって、PZT薄膜の膜厚は、100nm〜3
00nmであることが好ましい。
【0013】上記製造方法において、乾燥温度が150
℃〜250℃の場合、PZT薄膜は、(100)軸方向
に配向されたペロブスカイト型PZT薄膜となる。ま
た、乾燥温度が250℃〜350℃の場合、PZT薄膜
は、特定な配向性を有していないペロブスカイト型PZ
T薄膜となる。また、乾燥温度が350℃〜450℃の
場合、PZT薄膜は、(111)軸方向に配向されたペ
ロブスカイト型PZT薄膜となる。
【0014】なお、上記製造方法において、乾燥温度を
150℃〜450℃としたのは、乾燥温度が150℃未
満の場合は、乾燥が不十分となってしまうため好ましく
なく、乾燥温度が450℃を越える場合は、乾燥温度が
結晶化のための熱処理温度に近くなるため好ましくない
からである。また、熱処理温度を750℃以下としたの
は、結晶化のための熱処理温度が750℃を越える場合
は、PZT中の鉛成分が蒸発しやすくなり、PZT薄膜
の組成が変動しやすく好ましくないからである。
【0015】また、上記PZT薄膜の配向性は、下地と
なる白金基板の表面粗さの平均である表面ラフネスにも
依存しており、表面ラフネスの値が小さいほど、すなわ
ち白金基板の表面が滑らかなほど、配向性が強く現れる
傾向にある。具体的には、白金基板の表面ラフネスを1
0nm以下とすることにより、より強く配向したPZT
薄膜を得ることができる。
【0016】また、上記PZT薄膜の配向性は、原料ゾ
ル溶液の濃度にも依存しており、原料ゾル溶液の濃度が
薄いほど、配向性が強く現れる傾向にある。具体的に
は、原料ゾル溶液の濃度を0.25mol/l以下とす
ることにより、より強く配向したPZT薄膜を得ること
ができる。
【0017】
【作用】本発明によれば、PZT薄膜の結晶配向性を制
御し、特定軸方向へ配向成長させることができる。
【0018】具体的には、原料ゾル溶液の乾燥温度が1
50℃〜250℃の場合、PZT薄膜は、(100)軸
方向に配向されたペロブスカイト型PZT薄膜となる。
また、乾燥温度が250℃〜350℃の場合、PZT薄
膜は、特定な配向性を有していないペロブスカイト型P
ZT薄膜となる。また、乾燥温度が350℃〜450℃
の場合、PZT薄膜は、(111)軸方向に配向された
ペロブスカイト型PZT薄膜となる。
【0019】さらには、下地となる白金基板の表面ラフ
ネスや原料ゾル溶液の濃度を変えることによっても、P
ZT薄膜の結晶配向性を制御することができる。具体的
には、下地となる白金基板の表面ラフネスの値が小さい
ほど、あるいは原料ゾル溶液の濃度が薄いほど配向性が
強く現れる傾向にある。
【0020】また、原料ゾル溶液の溶媒である2−メト
キシエタノールは、揮発性が低く安定性が高いため、取
扱いが容易で、組成が安定したものとなる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。た
だし、以下の実施例において、配向性の同定はASTM
カードを用いて行った。
【0022】実施例1 本実施例では、基板として、シリコンの(100)面ウ
エハー上に(111)軸方向に配向した白金薄膜を成膜
したものを用いた。そして、この白金薄膜上に、酢酸鉛
とテトライソプロポキシチタンとテトラプロポキシジル
コニウムを、2−メトキシエタノールに溶解してなる原
料ゾル溶液を塗布した。そして、200℃の温度で15
分乾燥させた後、650℃の温度で1時間かけて結晶化
させてPZT薄膜を成膜した。なお、PZT薄膜の膜厚
は、300nmとした。
【0023】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンを図1に示す。図1に示す回折パターンか
ら、本実施例で作製されたPZT薄膜は、(100)軸
方向に優先的に配向していることが分かる。
【0024】実施例2 本実施例では、基板として、シリコンの(100)面ウ
エハー上に(111)軸方向に配向した白金薄膜を成膜
したものを用いた。そして、この白金薄膜上に、酢酸鉛
とテトライソプロポキシチタンとテトラプロポキシジル
コニウムを、2−メトキシエタノールに溶解してなる原
料ゾル溶液を塗布した。そして、300℃の温度で15
分乾燥させた後、650℃の温度で1時間かけて結晶化
させてPZT薄膜を成膜した。なお、PZT薄膜の膜厚
は、300nmとした。
【0025】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンを図2に示す。図2示す回折パターンから、
本実施例で作製されたPZT薄膜は、特定な配向性を有
していないことが分かる。
【0026】実施例3 本実施例では、基板として、シリコンの(100)面ウ
エハー上に(111)軸方向に配向した白金薄膜を成膜
したものを用いた。そして、この白金薄膜上に、酢酸鉛
とテトライソプロポキシチタンとテトラプロポキシジル
コニウムを、2−メトキシエタノールに溶解してなる原
料ゾル溶液を塗布した。そして、400℃の温度で15
分乾燥させた後、650℃の温度で1時間かけて結晶化
させてPZT薄膜を成膜した。なお、PZT薄膜の膜厚
は、300nmとした。
【0027】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンを図3に示す。図3に示す回折パターンか
ら、本実施例で作製されたPZT薄膜は、(111)軸
方向に優先的に配向していることが分かる。
【0028】実施例4 本実施例では、先ず、下地電極として、シリコンの(1
00)面ウエハー上に、(111)軸方向に配向した白
金薄膜を成膜した。ここで、白金薄膜は、デポレートを
0.1nm/秒以下に設定した電子ビーム蒸着にて、膜
厚が100nmとなるように成膜した。そして、このよ
うに成膜した白金薄膜の表面を走査トンネル顕微鏡(以
下、「STM」という。)で観察したところ、この白金
薄膜の表面ラフネスは10nm以下であった。ここで、
STMで観察された白金薄膜の表面状態を示す表面ST
M像は図4に示す通りである。
【0029】次に、酢酸鉛三水和物、テトライソプロポ
キシチタン及びテトラプロポキシジルコニウムを溶媒に
溶解してなる原料ゾル溶液を、上記白金薄膜上に塗布し
た。ここで原料ゾル溶液は、Pb、Zr及びTiのモル
比が、Pb:Zr:Ti=1.0:0.53:0.47
となるように調整するとともに、溶媒に2−メトキシエ
タノールを用いて、原料ゾル溶液の濃度が0.2mol
/lとなるように調整した。そして、原料ゾル溶液は、
この原料ゾル溶液から作製されるPZT薄膜の膜厚が3
00nmとなるように白金薄膜上に塗布した。
【0030】次に、白金薄膜上に塗布された原料ゾル溶
液を、200℃にて15分乾燥させた後、酸素雰囲気中
で650℃で1時間かけて熱処理を行って結晶化させ
た。
【0031】以上の処理により、表面ラフネスが10n
m以下の白金薄膜上に成膜された、膜厚300nmのP
ZT薄膜が得られた。
【0032】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンを図5に示す。図5に示す回折パターンか
ら、本実施例で作製されたPZT薄膜は、(100)軸
方向に非常に強く配向していることが分かる。
【0033】実施例5 本実施例では、先ず、下地電極として、シリコンの(1
00)面ウエハー上に、(111)軸方向に配向した白
金薄膜を成膜した。ここで、白金薄膜は、デポレートを
0.1nm/秒以下に設定した電子ビーム蒸着にて、膜
厚が100nmとなるように成膜した。そして、このよ
うに成膜した白金薄膜の表面をSTMで観察したとこ
ろ、この白金薄膜の表面ラフネスは10nm以下であっ
た。ここで、STMで観察された白金薄膜の表面状態を
示す表面STM像は、実施例4の場合と同様であり、図
4に示す通りである。
【0034】次に、酢酸鉛三水和物、テトライソプロポ
キシチタン及びテトラプロポキシジルコニウムを溶媒に
溶解してなる原料ゾル溶液を、上記白金薄膜上に塗布し
た。ここで原料ゾル溶液は、Pb、Zr及びTiのモル
比が、Pb:Zr:Ti=1.0:0.53:0.47
となるように調整するとともに、溶媒に2−メトキシエ
タノールを用いて、原料ゾル溶液の濃度が0.5mol
/lとなるように調整した。そして、原料ゾル溶液は、
この原料ゾル溶液から作製されるPZT薄膜の膜厚が3
00nmとなるように白金薄膜上に塗布した。
【0035】次に、白金薄膜上に塗布された原料ゾル溶
液を、200℃にて15分乾燥させた後、酸素雰囲気中
で650℃で1時間かけて熱処理を行って結晶化させ
た。
【0036】以上の処理により、表面ラフネスが10n
m以下の白金薄膜上に成膜された、膜厚300nmのP
ZT薄膜が得られた。
【0037】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンを図6に示す。図6に示す回折パターンか
ら、本実施例で作製されたPZT薄膜の配向性はランダ
ムになっていることが分かる。
【0038】したがって、本実施例から、原料ゾル溶液
の濃度が濃い場合には、下地となる白金薄膜の表面ラフ
ネスが良くても、PZT薄膜の配向性はランダムになる
ことが分かる。
【0039】実施例6 本実施例では、先ず、下地電極として、シリコンの(1
00)面ウエハー上に、(111)軸方向に配向した白
金薄膜を成膜した。ここで、白金薄膜は、デポレートが
0.1nm/秒を越えるように設定した電子ビーム蒸着
にて、膜厚が100nmとなるように成膜した。そし
て、このように成膜した白金薄膜の表面をSTMで観察
したところ、この白金薄膜の表面ラフネスは10nmを
越えるものであった。ここで、STMで観察された白金
薄膜の表面状態を示す表面STM像は図7に示す通りで
ある。
【0040】次に、酢酸鉛三水和物、テトライソプロポ
キシチタン及びテトラプロポキシジルコニウムを溶媒に
溶解してなる原料ゾル溶液を、上記白金薄膜上に塗布し
た。ここで原料ゾル溶液は、Pb、Zr及びTiのモル
比が、Pb:Zr:Ti=1.0:0.53:0.47
となるように調整するとともに、溶媒に2−メトキシエ
タノールを用いて、原料ゾル溶液の濃度が0.2mol
/l又は0.5mol/lとなるように調整した。そし
て、原料ゾル溶液は、この原料ゾル溶液から作製される
PZT薄膜の膜厚が300nmとなるように白金薄膜上
に塗布した。
【0041】次に、白金薄膜上に塗布された原料ゾル溶
液を、200℃にて15分乾燥させた後、酸素雰囲気中
で650℃で1時間かけて熱処理を行って結晶化させ
た。
【0042】以上の処理により、表面ラフネスが10n
mを越える白金薄膜上に成膜された、膜厚300nmの
PZT薄膜が得られた。
【0043】本実施例で作製されたPZT薄膜のX線回
折パターンは、原料ゾル溶液の濃度が0.2mol/l
の場合と、原料ゾル濃度の濃度が0.5mol/lの場
合とで違いが認められず、ともに図8に示すようなX線
回折パターンが得られた。そして、図8に示す回折パタ
ーンから、本実施例で作製されたPZT薄膜の配向性は
ランダムになっていることが分かる。
【0044】したがって、本実施例から、下地となる白
金薄膜の表面ラフネスが悪い場合には、原料ゾル溶液の
濃度に関係なく、PZT薄膜の配向性はランダムになる
ことが分かる。
【0045】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
によれば、PZT薄膜の結晶配向性を制御することがで
き、所望する配向性を有するPZT薄膜を得ることがで
きる。
【0046】具体的には、原料ゾル溶液の乾燥温度が1
50℃〜250℃の場合、PZT薄膜は、(100)軸
方向に配向されたペロブスカイト型PZT薄膜となる。
また、乾燥温度が250℃〜350℃の場合、PZT薄
膜は、特定な配向性を有していないペロブスカイト型P
ZT薄膜となる。また、乾燥温度が350℃〜450℃
の場合、PZT薄膜は、(111)軸方向に配向された
ペロブスカイト型PZT薄膜となる。
【0047】さらには、下地となる白金基板の表面ラフ
ネスや、原料ゾル溶液の濃度を変えることによっても、
PZT薄膜の結晶配向性を制御することができる。具体
的には、下地となる白金基板の表面ラフネスの値が小さ
いほど、あるいは原料ゾル溶液の濃度が薄いほど、配向
性が強く現れる傾向にある。
【0048】そして、本発明によって特定軸方向へ配向
成長させたPZT薄膜を成膜し、このPZT薄膜を強誘
電体薄膜を利用する素子に用いることにより、PZT薄
膜の分極反転に伴う歪を抑えることができ、強誘電体薄
膜を利用する素子の性能を飛躍的に向上することでき
る。
【0049】また、PZT薄膜の膜厚を100nm〜3
00nmとした場合、容易に均一な膜が成膜できるとと
もに、キャパシタや不揮発性メモリ等の素子に適した省
電力駆動が可能なPZT薄膜を得ることができる。
【0050】さらに、本発明においては、原料ゾル溶液
の溶媒に、揮発性が低く安定性が高い2−メトキシエタ
ノールを用いているため、取扱いが容易で、組成が安定
したものとなる。したがって、PZT薄膜の成膜を容易
に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
【図2】実施例2のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
【図3】実施例3のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
【図4】実施例4、5の白金薄膜の表面STM像の一例
を示す図である。
【図5】実施例4のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
【図6】実施例5のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
【図7】実施例6の白金薄膜の表面STM像の一例を示
す図である。
【図8】実施例6のPZT薄膜のX線回折パターンであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 田中 栄次 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 田中 均洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (111)軸方向に配向した白金基板上
    に、酢酸鉛、テトライソプロポキシチタン、テトラプロ
    ポキシジルコニウムを2−メトキシエタノールに溶解し
    てなる原料ゾル溶液を塗布した後、150℃〜450℃
    で乾燥し、その後、550℃〜750℃で熱処理して結
    晶化することを特徴とするジルコン酸チタン酸鉛薄膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 ジルコン酸チタン酸鉛薄膜の膜厚が10
    0nm〜300nmであることを特徴とする請求項1記
    載のジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 乾燥温度が150℃〜250℃であり、
    ジルコン酸チタン酸鉛薄膜が(100)軸方向に配向さ
    れたジルコン酸チタン酸鉛薄膜であることを特徴とする
    請求項1記載のジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 乾燥温度が350℃〜450℃であり、
    ジルコン酸チタン酸鉛薄膜が(111)軸方向に配向さ
    れたジルコン酸チタン酸鉛薄膜であることを特徴とする
    請求項1記載のジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記白金基板の表面ラフネスが10nm
    以下であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載のジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記原料ゾル溶液の濃度が0.25mo
    l/l以下であることを特徴とする請求項1、2、3、
    4又は5記載のジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法。
JP32474094A 1994-03-24 1994-12-27 ジルコン酸チタン酸鉛薄膜の製造方法 Withdrawn JPH07309626A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10219460A (ja) * 1997-02-04 1998-08-18 Seiko Epson Corp セラミックス薄膜及びその製造方法

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10219460A (ja) * 1997-02-04 1998-08-18 Seiko Epson Corp セラミックス薄膜及びその製造方法

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