JPH0891841A - 強誘電体膜の製造方法 - Google Patents

強誘電体膜の製造方法

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JPH0891841A
JPH0891841A JP6231786A JP23178694A JPH0891841A JP H0891841 A JPH0891841 A JP H0891841A JP 6231786 A JP6231786 A JP 6231786A JP 23178694 A JP23178694 A JP 23178694A JP H0891841 A JPH0891841 A JP H0891841A
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ferroelectric
film
ferroelectric film
alkoxide
precursor solution
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JP6231786A
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Sakiko Sato
咲子 佐藤
Masayoshi Koba
正義 木場
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 緻密で表面平滑性が良い強誘電体膜の製造方
法を提供することを目的としている。 【構成】 複合酸化物強誘電体を構成する金属元素の少
なくとも1種のアルコキシドを含有する有機溶液と、複
合酸化物強誘電体を構成する他の金属元素のアルコキシ
ド又は塩もしくはその水和物を含有する有機溶液とをそ
れぞれ調製し、これらの溶液を混合した後、加温下に所
定量の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆体溶液
を用いて強誘電体膜を形成させることからなる強誘電体
膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は強誘電体膜の製造方法に
関し、より詳細には記憶素子、焦電素子、圧電素子又は
電気光学素子等に用いられる強誘電体膜をゾル−ゲル法
により製造する強誘電体膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータ等に利用される不揮
発性の半導体記憶素子としては、ROM、PROM(Programmab
le ROM)、EPROM 又はEEPROM等があり、特にEEPROMは電
気的に記憶内容を書き換えることができるので、有望視
されている。このEEPROMにおいては、MIS (metal insu
lator semiconductor)電界効果型トランジスタのゲート
絶縁膜中のトラップ領域あるいはフローティングゲート
をシリコン基板からの電荷注入によって帯電させ、その
静電誘導によって基板の表面伝導度を変調する方法が知
られている。しかし、電子のトンネル効果を利用した素
子においては、シリコン基板からの電荷注入の際に大き
な電界が必要であったり、SiO2 絶縁膜中にトラップ
が発生して書換え回数が制限されるという問題があっ
た。
【0003】一方、EEPROMとは全く異なった方法で記憶
内容を書き換える不揮発性メモリとして、強誘電体の自
発分極を利用した方法も考えられている。強誘電体とし
ては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、PL
ZT〔(Pb1-y Lay )(Zrx Ti1-x )O3 〕、
PEZT〔(Pb1-y Ery )(ZrX Ti1-X
3 〕、PbTiO3 (チタン酸鉛)、BaTiO
3 (チタン酸バリウム)、BTO(Bi4 Ti3 12
等が挙げられるが、現在、最も有望な不揮発性メモリ用
材料としてPZT及びBTOが精力的に研究されてい
る。
【0004】Bi4 Ti3 12は、層状ペロブスカイト
構造を持つ強誘電体であり、そのPr及びEcはa軸方
向で50μC/cm2 、50Kv/cm、c軸方向で4
μC/cm2 、4Kv/cmと優れた強誘電性を示し、
PZTに遜色がなく、各種デバイス開発への適用が検討
されている。特に最近では、DRAM等の半導体メモリ
と組み合わせることで、高密度かつ高速に動作する強誘
電メモリ(FRAM)の開発が行われている。
【0005】これらの強誘電体膜の下地電極としては、
耐酸化性や格子の整合性等を考慮して白金電極が用いら
れることが多い。このような、強誘電体膜を利用した記
憶素子として、MFS(metal ferroelectric semiconducto
r )−FET 構造とキャパシタ構造とよばれるものがあ
る。MFS-FET 構造は、MIS-FET のゲート絶縁膜を強誘電
体膜としたもので、強誘電体の自発分極の向き及び大き
さ等に応じてその自発分極を補償するように半導体表面
に誘起される電荷によって半導体表面の伝導度が変調さ
れることを利用してメモリ内容の読み出しをするもので
ある。MFS-FET 構造では、読み出し時にメモリ内容を破
壊しない非破壊読み出しが可能であるが、シリコン半導
体に直接強誘電体膜を形成するため、界面準位密度が定
まりにくかったり、半導体表面に酸化膜等が形成される
などという問題もあり、安定な素子作製が困難であると
いう欠点があった。
【0006】また、キャパシタ構造は、強誘電体膜を電
極で挟んだ構造をしており、強誘電体の自発分極の分極
反転による反転電流の有無を検出してメモリ内容の読み
出しをするものである。キャパシタ構造では、読み出し
時に蓄積されたメモリ内容を破壊してしまうので読み出
し後にもう一度メモリ内容を書き直すという動作(リラ
イト動作)を行わなければならないという欠点がある
が、白金電極等の上に強誘電体膜を形成するため、比較
的良質の膜が得られやすく、現在製品化に向けて盛んに
開発が進められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】現在このような不揮発
性メモリ素子に用いられる強誘電体膜は、グレインサイ
ズの大きな結晶粒からなり、表面凹凸が激しい。よって
Bi4 Ti3 12の薄膜化はゾル−ゲル法やMOCVD
法、スパッタ法により行われているが、膜厚の低減に伴
いリ−ク電流が大きくなり、充分な強誘電性が得られな
いという問題があった。更に、メモリ素子を作製するに
は、微細加工によるキャパシタ形成が必要であるが、将
来の高集積化を考えた時に、1μm2 程度のキャパシタ
サイズが想定されている。強誘電体膜のグレインサイズ
が大きい場合、上述の微小キャパシタ形成にあたり、均
一な微細加工が困難になるため、各メモリ素子の特性が
ばらつき、歩留りに大きな影響を与えるという問題が予
想される。
【0008】本発明は、上記問題に鑑みなされたもので
あり、微結晶粒子により、緻密で表面平滑性を有する強
誘電体膜の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の強誘電体膜の製
造方法によれば、複合酸化物強誘電体を構成する金属元
素の少なくとも1種のアルコキシドを含有する有機溶液
と、複合酸化物強誘電体を構成する他の金属元素のアル
コキシド又は塩もしくはその水和物を含有する有機溶液
とをそれぞれ調製し、これらの溶液を混合した後、加温
下に所定量の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆
体溶液から強誘電体膜を形成させることからなる強誘電
体膜の製造方法が提供される。
【0010】本発明の強誘電体膜の製造方法における複
合酸化物強誘電体とは、2種の金属元素が共存する酸化
物を意味し、例えば、BTO(Bix Tiy Z )、P
bTiO3 (チタン酸鉛)、BaTiO3 (チタン酸バ
リウム)、SrTiO3 (チタン酸ストロンチウム)、
LiNbO3 (ニオブ酸リチウム)、KNbO3 (ニオ
ブ酸カリウム)及びLiTaO3 (タンタル酸リチウ
ム)等を挙げることができる。
【0011】本発明において溶液を調製する際、複合酸
化物強誘電体を構成する複数金属元素の少なくとも1種
をアルコキシドとして用いられる。この金属元素アルコ
キシドは、有機溶剤に溶解して用いられる。アルコキシ
ドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、
ブトキシド等の低級アルコキシドが好ましい。具体的に
は、Pb(OCH3 2 、Zr(OCH3 2 、Ti
(OCH3 2 、Mg(OCH3 2 、Bi(OC
3 3 、Nb(OCH3 5 、LiOCH3 、Ta
(OCH3 5 、Sr(OCH3 5 、Pb(OC2
5 2 、Zr(OC2 5 2 、Ti(OC
2 5 2 、Mg(OC2 5 2 Bi(OC2
5 3 、Nb(OC2 5 5 、LiOC2 5 、Ta
(OC2 5 5 、Sr(OC2 5 5 、Pb(OC
3 7 2 、Zr(OC3 7 2 、Ti(OC
3 7 2 、Mg(OC3 7 2 、Bi(OC
3 7 3 、Nb(OC3 7 5、LiOC3 7
Ta(OC3 7 5 、Sr(OC3 7 5 等が挙げ
られる。
【0012】また、複合酸化物強誘電体を構成する他の
金属元素はアルコキシド、又は塩もしくは塩の水和物と
して用いられる。これらは、上記と同様に有機溶剤に溶
解して用いられる。アルコキシドとしては、上記に挙げ
たものと同様のものを使用することができる。塩又はそ
の水和物としては、有機酸塩(例:酢酸塩等)、無機酸
塩(例:硝酸塩等)及びこれらの塩の水和物が挙げられ
る。具体的には、Pb(CH3 COO)2 、Zr(CH
3 COO)2 、Ti(CH3 COO)2 、Mg(CH3
COO)2 、Bi(CH3 COO)3 、Nb(CH3
OO)5 Li(CH3 COO)、Ta(CH3 COO)
5 、Sr(CH3 COO)5 、Pb(NO3 2 、Zr
(NO3 2 、Ti(NO3 2 、Mg(NO3 2
Bi(NO3 3 、Nb(NO3 5 、LiNO3 、T
a(NO3 5 、Sr(NO3 5 等又はそれら存在し
うる水和物が挙げられる。
【0013】有機溶剤としては、上記金属アルコキシド
等を溶解することができる有機溶剤であれば特に限定さ
れるものではないが、例えば、低級アルコール類(例:
メタノール、エタノール、プロパノール)、多価アルコ
ール類(例:エチレングリール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、グリセリン等)、ケトン
類(例:メチルエチルケトン、アセチルケトン、アセト
ン等)、エステル類(例:酢酸メチル、酢酸エチル
等)、エーテル類(例:ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル等)、シクロアルカン類(例:シクロヘキサン、
シクロヘキサノール等)、アミド類(例:ホルムアミ
ド)、芳香族炭化水素(例:トルエン、キシレン等)が
挙げられる。なかでも、使用する金属アルコキシドのア
ルコキシド成分と同じ炭素数を有するアルコールであっ
て、80℃以上の沸点を有するものが好ましい。
【0014】本発明の製造方法においては、ゾル−ゲル
法を利用する。例えば、上記の金属アルコキシド、塩等
を含有する有機溶液をそれぞれ調製したのち、一方の溶
液を他方の溶液に加える。この際、複合酸化物強誘電体
を構成する一方の金属元素のアルコキシドを含有する有
機溶液と、他方の金属元素のアルコキシドを含有する有
機溶液とを混合した場合には、適宜酸等を添加すること
が必要である。また、一方の金属元素のアルコキシドを
含有する有機溶液と、他方の金属元素の塩等を含有する
有機溶液とを混合した場合には、さらに酸等を添加しな
くてもよい。酸としては、例えば、酢酸、蟻酸、プロピ
オン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸や、しゅう酸、マ
ロン酸、コハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、硝酸等
を挙げることができる。
【0015】上記のように、金属アルコキシド等を含む
溶液を混合したのち、加温下に所定量の水を添加して前
駆体溶液を調製する。これにより、縮重合が行われ、所
望の前駆体溶液を得ることができる。つまり、一定の温
度に加温しながら所定量の水を加えるか、一定の温度に
加温し、その温度で一定の時間保持した後、その温度を
保持しながら所定量の水を加える。その際の加温の温度
は35〜100℃が好ましく、40℃〜80℃が特に好
ましい。また、溶液は、上記一定の温度に10〜120
分間、好ましくは30〜40分間保持することが好まし
い。溶液に添加する水の量は、強誘電体膜の組成に合わ
せて適宜調製されるが、その添加量は、複合酸化物強誘
電体の前駆体溶液のモル数の0.01〜5当量、好まし
くは0.5〜2当量であることが好ましい。なお、水を
添加する前に、溶液における各元素の濃度を調製するた
めに、上記有機溶剤を加えてもよい。
【0016】前駆体溶液を調製する際の複合酸化物強誘
電体を構成する金属元素のアルコキシド、塩又はその塩
の水和物、これらを溶解するための有機溶剤等の使用量
は特に限定されるものではなく、最終的に形成される強
誘電体膜の組成により、適宜調製することができ、通常
ゾル−ゲル法による前駆体溶液を調製する際に使用する
混合量を使用することができる。
【0017】上記のようにして前駆体溶液を調製した
後、この前駆体溶液を、基板上あるいは電極上に塗布
し、公知の工程を経て強誘電体膜を形成することができ
る。例えば、基板上又は電極上等に、上記前駆体溶液
を、スピンコート法により塗布することができる。その
際の条件は、特に限定されるものではなく、所望の回転
数等を適宜設定することができる。塗布する場合の膜厚
は特に限定されるものではないが、100〜200nm程
度が好ましい。また、この塗布膜を酸素雰囲気下、30
0〜450℃程度の温度範囲で、30〜90分間程度仮
焼成を行ってもよい。上記の操作を複数回繰り返した
後、酸素雰囲気中で500〜800℃程度の温度範囲
で、5〜20秒間程度高速熱処理(RTA)により結晶
化を行い、所望の膜厚、所望の配向を有する強誘電体膜
を形成することができる。
【0018】このように強誘電体膜を形成することによ
り、所望の素子、例えばキャパシタ等を形成するとがで
きる。用いる基板は特に限定されるものではなく、シリ
コン基板、化合物半導体基板、ポリカーボネート等の絶
縁性基板等を使用することができる。また、キャパシタ
を構成する場合には、例えば、シリコン基板上に所望の
絶縁膜、酸化膜等及び電極を形成した上に強誘電体膜を
形成し、さらにその上に、上部電極を形成することがで
きる。上部及び下部電極としては、公知の方法、例えば
スパッタリング法、蒸着法等により形成することができ
る。また、電極材料としては公知の材料を用いることが
でき、特に限定されるものではないが、Ti、Ta、P
t、Pt/Ti、Pt/Ta等を用いることができる。
その際の電極の膜厚も特に限定されるものではない。
【0019】強誘電体膜が微小なグレインサイズを有す
る場合には、微細加工が容易となり、均一なキャパシタ
を得ることができる。つまり、グレインサイズがキャパ
シタサイズに比較して大きい場合には、グレイン形状が
加工形状に大きく影響するため、直線状にエッチングを
行ってもエッチング端部がギザギザとなって均一な微細
加工ができない。従ってグレインサイズが微細であれ
ば、均一な微細加工ができ、キャパシタ形状が均一とな
り、キャパシタ特性の高信頼性が保証されることとな
る。
【0020】
【作用】本発明の強誘電体膜の製造方法によれば、ゾル
−ゲル法で強誘電体膜を作製する際、複合酸化物強誘電
体を構成するアルコキシドを含有する有機溶液等をそれ
ぞれ調製した後、それら溶液を混合し、加熱下に所定量
の水を添加することにより、溶液の縮重合反応の進行度
が変わる。それにより、後工程における前駆体溶液の塗
布膜の仮焼成による有機成分の除去されやすさに違いが
生じ、作製された強誘電体薄膜の緻密さに影響を及ぼす
こととなる。また、溶液に水を添加する際、40℃〜8
0℃に加熱することにより、溶液における縮合反応が促
進されることとなる。
【0021】
【実施例】本発明に係る強誘電体膜の製造方法として、
Bi4 Ti3 12膜の製造方法の実施例を以下に詳述す
る。 実施例1 本実施例においては、図1に示したように、N型シリコ
ン基板1を用い、シリコン基板1表面に膜厚200nm
の熱酸化膜2を形成し、さらにこの熱酸化膜2上に膜厚
30nmのTi膜3をスパッタ法で形成した。このTi
膜3上に膜厚200nmの白金膜4を下部電極として同
様にスパッタ法で形成した。
【0022】次いで、Bi4 Ti3 12膜を製造するた
めに用いるBi4 Ti3 12前駆体溶液を合成した。ま
ず、硝酸ビスマス5水和塩(Bi(NO3 3 5H
2 O)3.88g(0.88モル)を氷酢酸10mlに
溶解した。その後、Bi:Ti=4:3の組成になるよ
うに、1モル/リットルのチタンイソプロポキサイド
(Ti(i−OC3 7 4 )の2−メトキシエタノー
ル溶液6mlを添加し、1時間室温で攪拌した。
【0023】次いで、この溶液を加熱し、40℃×30
分間に保ちながらBi4 Ti3 12のモル数に対して2
当量(288μl)のH2 Oを添加し、2−メトキシエ
タノ−ルをさらに添加することにより粘度調製し、前駆
体溶液を合成した。なお、ゾル安定化剤としてはジエタ
ノ−ルアミン(DEA)を用いた。続いて、Ti膜3及
び白金膜4等が形成された基板1上に、上記Bi4 Ti
312前駆体溶液を滴下し、スピンコーティングを50
00rpm×20秒で行い、乾燥ゲルを大気中115℃
×15分間の熱処理で作製し、最後に有機物の熱分解を
400℃×60分間の熱処理で行った。これらの工程で
得られる膜厚は、50nmである。この一連の操作を4
回繰り返すことにより、強誘電体膜として、膜厚200
nmのBi4 Ti3 12膜5をゾル−ゲル法によって形
成した。
【0024】その後、Bi4 Ti3 12膜5に、赤外線
ランプが装備されたアニーリング装置を用いて熱処理を
施して結晶化を行った。熱処理条件は、大気圧、100
%酸素雰囲気中で、アニーリング温度は650℃、アニ
ーリング時間は15秒間であった。得られたBi4 Ti
3 12膜5のX線回折パターンを図2に示す。これによ
るとBi4 Ti3 12の回折ピ−クのみが認められ、ラ
ンダム配向の結晶膜であることが分かった。
【0025】また、得られたBi4 Ti3 12膜5の表
面構造の走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したと
ころ、水の添加により、結晶粒の微小化とBi4 Ti3
12膜の緻密化が実現していることが分かった。このB
4 Ti3 12膜5のグレインサイズは0.1μm であ
った。さらに、得られたBi4 Ti3 12膜5表面の平
均粗さ(Ra)を原子間力顕微鏡により触針法で測定を
行った。その結果を表1に示す。
【0026】これによると水の添加により表面平滑性の
向上が確認できた。
【0027】
【表1】
【0028】また、得られたBi4 Ti3 12膜5上
に、膜厚100nmの白金膜6を上部電極としてスパッ
タ法で形成し、強誘電体不揮発性メモリを形成した。こ
の強誘電体不揮発性メモリの電流−電圧(I−V)特性
を、水を添加せずに形成した強誘電体膜による強誘電体
不揮発性メモリの比較とともに図3に示す。この強誘電
体不揮発性メモリのリ−ク電流は2V印加時に10-7
/cm2 台であり、水添加無し(10-3A/cm2 台)
のものより低減することができた。
【0029】さらに、得られた強誘電体不揮発性メモリ
の9V印加時のヒステリシスを測定した結果を図4に示
す。この強誘電体不揮発性メモリの残留分極の値は約1
2μC/cm2 であり、従来報告されている(P.C.Josh
i and S.B.Krupanidhi:J.Appl.Phys.72(1992)5827)よ
りも非常に大きい値が得られた。表1に水の添加量と5
V印加時の残留分極の関係を示す。これにより水の添加
量が多くなるにつれ、残留分極の値が大きくなっている
ことが分かる。 実施例2 実施例1と同様の方法で調製した2つの溶液に、Bi4
Ti3 12のモル数に対して0.5、1当量(72μ
l,144μl)のH2 Oを添加してBi4 Ti 3 12
前駆体溶液をそれぞれ調製した。これらの前駆体溶液を
用いて、実施例1と同様方法で、同様の基板に強誘電体
膜であるBi4 Ti3 12膜を形成し、次いで強誘電体
不揮発性メモリを作製した。
【0030】また、これらの水の各添加量に対するBi
4 Ti3 12膜の表面の平均粗さ(Ra)と5V印加時
の残留分極を表1に示す。また、0.5当量又は1当量
の水を添加した前駆体溶液を用いて得られた強誘電体不
揮発性メモリの電流−電圧(I−V)特性をそれぞれ図
5及び図6に示す。 比較例1 実施例1と同様の方法で調製した溶液に、水を添加せ
ず、Bi4 Ti3 12前駆体溶液を調製した。この前駆
体溶液を用いて、実施例1と同様方法で、同様の基板に
強誘電体膜であるBi4 Ti3 12膜を形成し、強誘電
体不揮発性メモリを作製した。
【0031】また、このBi4 Ti3 12膜の表面構造
を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記
実施例のものよりも粗く平滑性が好ましくないBi4
312膜であった。このBi4 Ti3 12膜のグレイ
ンサイズは0.3μmであった。また、このBi4 Ti
3 12膜の表面の平均粗さ(Ra)の測定結果を表1に
示す。
【0032】この強誘電体不揮発性メモリのリ−ク電流
は2V印加時に大きすぎてヒステリシスの観測は不可能
であった。 実施例3 水を添加する際の溶液の加熱温度を25〜80℃まで種
々変化させる以外は実施例1と同様の方法で前駆体溶液
を調製し、各前駆体溶液の様子を観察した。その結果を
表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】なお、水を添加しない場合の前駆体溶液
は、空気に接する状態で放置すると、2、3日で白色沈
殿が観察された。これは、空気中の水が溶液中に取り込
まれ、使用したチタンイソプロポキサイドが加水分解
し、Ti(OH)4 が形成されたためであると考えられ
る。一方、上記のように溶液を40℃以上で加熱した場
合には、空気に接する状態で保存しても、2、3ヵ月後
でも白色沈殿は観察されず、成膜に使用可能であること
が確認された。これは、加熱によりチタンイソプロポキ
サイドの加水分解が行なわれる前に硝酸ビスマスとチタ
ンイソプロポキサイドがすみやかに縮重合されたためと
考えられる。
【0035】
【発明の効果】本発明の強誘電体膜の製造方法によれ
ば、グレインサイズの小さい結晶粒の強誘電体、即ち、
緻密かつ平滑な薄膜が再現性良く製造できることから、
当該材料が本来有する優れた強誘電性を薄膜状態でも有
効に得ることが可能となる。従って、強誘電体不揮発性
メモリ等への応用にも十分対応可能な強誘電体薄膜が提
供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電体膜の製造方法により形成され
た強誘電体膜を用いたキャパシタを示す要部の概略断面
図である。
【図2】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例1によ
り形成した強誘電体膜のX線回折パターン図である。
【図3】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例1及び
比較例1により形成した強誘電体膜の電流−電圧(I−
V)特性を示すグラフである。
【図4】本発明の強誘電体膜の製造方法の実施例1によ
り形成した強誘電体膜のヒステリシスル−プを示す図で
ある。
【図5】本発明の強誘電体膜の製造方法により水を0.
5当量添加して形成した強誘電体膜の電流−電圧(I−
V)特性を示すグラフである。
【図6】本発明の強誘電体膜の製造方法により水を1当
量添加して形成した強誘電体膜の電流−電圧(I−V)
特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 シリコン熱酸化膜 3 Ti膜 4 Pt下部電極 5 強誘電体層 6 Pt上部電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合酸化物強誘電体を構成する金属元素
    の少なくとも1種のアルコキシドを含有する有機溶液
    と、複合酸化物強誘電体を構成する他の金属元素のアル
    コキシド又は塩もしくはその水和物を含有する有機溶液
    とをそれぞれ調製し、これらの溶液を混合した後、加温
    下に所定量の水を添加して前駆体溶液を調製し、該前駆
    体溶液から強誘電体膜を形成させることからなる強誘電
    体膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 複合酸化物強誘電体がBi4 Ti3 12
    である請求項1記載の強誘電体膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 水の添加量が複合酸化物強誘電体の前駆
    体溶液のモル数の0.01当量以上5当量以下であり、
    溶液の加温温度が40℃以上80℃以下である請求項1
    又は2のいずれか1つに記載の強誘電体膜の製造方法。
JP6231786A 1994-09-27 1994-09-27 強誘電体膜の製造方法 Pending JPH0891841A (ja)

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