JPH07306016A - 塗装膜厚計測装置 - Google Patents

塗装膜厚計測装置

Info

Publication number
JPH07306016A
JPH07306016A JP6098334A JP9833494A JPH07306016A JP H07306016 A JPH07306016 A JP H07306016A JP 6098334 A JP6098334 A JP 6098334A JP 9833494 A JP9833494 A JP 9833494A JP H07306016 A JPH07306016 A JP H07306016A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
film thickness
roughness
image
calculating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6098334A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3326960B2 (ja
Inventor
Kiyoshi Yoshida
清 吉田
Osamu Tanaka
修 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP09833494A priority Critical patent/JP3326960B2/ja
Publication of JPH07306016A publication Critical patent/JPH07306016A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3326960B2 publication Critical patent/JP3326960B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/02Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness
    • G01B11/06Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material
    • G01B11/0616Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring length, width or thickness for measuring thickness ; e.g. of sheet material of coating
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05BSPRAYING APPARATUS; ATOMISING APPARATUS; NOZZLES
    • B05B12/00Arrangements for controlling delivery; Arrangements for controlling the spray area
    • B05B12/08Arrangements for controlling delivery; Arrangements for controlling the spray area responsive to condition of liquid or other fluent material to be discharged, of ambient medium or of target ; responsive to condition of spray devices or of supply means, e.g. pipes, pumps or their drive means
    • B05B12/084Arrangements for controlling delivery; Arrangements for controlling the spray area responsive to condition of liquid or other fluent material to be discharged, of ambient medium or of target ; responsive to condition of spray devices or of supply means, e.g. pipes, pumps or their drive means responsive to condition of liquid or other fluent material already sprayed on the target, e.g. coating thickness, weight or pattern
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B11/00Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
    • G01B11/30Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces
    • G01B11/303Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring roughness or irregularity of surfaces using photoelectric detection means

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Length Measuring Devices By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】塗装中に迅速、高精度で膜厚等の塗装状態を判
別できる塗装膜厚計測装置を提供する。 【構成】未乾燥塗装表面の粗さを複数個所で撮像する複
数の撮像手段100と、該画像情報を処理する画像処理
手段101と、該処理結果から塗装表面の粗さ度と凹凸
波形の波長を各個所毎に算出する粗さ演算手段102
と、塗装条件を入力する塗装条件入力手段103と、粗
さ度とその時間変化量と波長から垂れの有無を各個所毎
に判定する垂れ判定手段106と、粗さ度の時間変化量
と波長と塗装条件から膜厚を各個所毎に算出する膜厚演
算手段104と、該各膜厚を平均化する平均膜厚演算手
段105と、画像処理結果から塗装面の鮮映度を各個所
毎に演算する鮮映度演算手段108と、該各鮮映度を平
均化する平均鮮映度演算手段109と、平均膜厚と垂れ
判定結果と平均鮮映度から塗装品質の良否判定を行なう
塗装品質判定手段107と、を備えた構成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塗料を塗布した直後の
未乾燥状態で塗装の膜厚を計測することの出来る塗装膜
厚計測技術に関し、特に、塗装中に迅速かつ高精度で塗
装状態を判別し、以後の塗装条件にフィードバックでき
る計測技術に関する。
【0002】
【従来の技術】塗装直後の未乾燥状態で塗装膜厚を計測
する装置としては、例えば針ゲージを利用した接触式の
装置、或いは電磁式や渦電流式の非接触式の装置があ
る。図23は、上記のごとき従来装置のうち、磁気を用
いた計測装置の一例の原理を示す断面図である。図23
においては、まず(a)に示すように、鋼板の被塗装体
81の塗装表面に対向して非接触膜厚センサ82を近接
距離h0に予め位置決めする。そして非接触膜厚センサ
82内に設けられた送受信コイル(図示省略)によって
被塗装体81と非接触膜厚センサ82との間に磁界を生
成する。この状態で、被塗装体81の表面にウェット状
態の塗料83を塗布すると、塗装後の被塗装体81と非
接触膜厚センサ82との間の磁界は、塗装膜厚による電
磁気抵抗によって減衰し、塗装前よりも低下した状態で
送受信コイルに感知される。このように膜厚hに比例し
て減衰する磁束の変化を検出することにより、塗装膜厚
を測定することが出来る。しかし、上記のごとき従来の
膜厚測定装置においては、塗装前に被塗装体81と非接
触膜厚センサ82との距離を所定の近接距離に設定し、
塗装前後を通じてその位置関係を精密に保つ必要がある
ため、塗装中でもセンサを近接距離に設定したままにし
ておく必要があり、実用的でない。また、測定を塗装前
と塗装後との2回行なう必要があるので手間がかかると
共に、測定精度も悪い、等の問題があった。また、前記
針ゲージを用いた接触式の装置では、塗装面に傷を付け
るので、塗装品質が低下するという問題があった。
【0003】上記のごとき問題を解決するため、本出願
人は、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面の粗さに基
づいて、非接触で塗装膜厚を測定する装置を既に出願
(特願平4−306966号、未公開)している。上記
の測定装置は、光学的な表面粗さ計や撮像装置によって
塗装直後の未乾燥塗装表面の粗さと、塗装表面の凹凸波
形の波長とを計測し、それらに基づいて未乾燥状態にお
ける膜厚(ウェット膜厚)を測定し、さらに乾燥後の膜
厚(ドライ膜厚)を予測するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
接触式の装置では、塗装面に傷を付けるので、塗装品質
が低下するという問題があり、また、磁気を利用した非
接触の装置では測定に手間がかかると共に測定精度が悪
いという問題があった。また、上記のごとき従来装置の
問題を解決した本出願人の先行出願においては、非接触
で、しかも容易に正確な測定を行なうことが可能である
が、実際の塗装作業においては、次のごとき問題があ
る。
【0005】すなわち、自動車の車体塗装のように、塗
装自動化ラインで次々に塗装を行なう場合には、膜厚等
の塗装状態の良否を出来るだけ速やかにフィードバック
して次の塗装条件を改善し、常に最良の塗装状態に保つ
必要がある。また、自動車の車体のように、塗装面が広
く、かつ水平面と垂直面とのように状態の異なる面が存
在する被塗装体においては、それぞれの部分によって塗
装状態が必ずしも均一にはならないので、正確な計測を
行なうためには、それぞれの部分について計測する必要
がある。しかし、上記の先行出願においては、基本的に
は一つの撮像装置(または光学的計測器)によって塗装
の表面状態を観察するようになっていたので、精度の良
い計測をするには、次々に異なった部分の撮像と演算処
理を行なう必要がある。そのため、かなり長い計測処理
時間を要し、また、短い時間内に多数個所の撮像を行な
うことができず、特に水平面(エンジンフードやルーフ
のような車体上面)と垂直面(フェンダのような車体側
面)とのように、塗装条件の異なる多くの部分を同じ時
点で同一条件で観察して塗装の良否を判断することは出
来なかった。そのため、塗装状態の良否を出来るだけ速
やかにフィードバックして次の塗装条件を改善し、常に
最良の塗装状態に保つには不満足である、という問題が
あった。
【0006】本発明は、上記のごとき本出願人の先行出
願をさらに改良し、塗装中に迅速かつ高精度で膜厚等の
塗装状態を判別し、以後の塗装条件に直ちにフィードバ
ックできる塗装膜厚計測装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明においては、特許請求の範囲に記載するよう
に構成している。すなわち、請求項1に記載の発明は、
図1(a)に示すごとく、塗料を塗布した直後の未乾燥
塗装表面の粗さを、塗装面の異なった個所についてそれ
ぞれ撮像する複数の撮像手段100と、上記複数の撮像
手段からの画像情報をそれぞれ画像処理する画像処理手
段101と、上記画像処理手段で処理された画像処理デ
ータに基づいて、塗装表面の粗さ度と、塗装表面の凹凸
波形の波長とを上記各個所毎にそれぞれ算出する粗さ演
算手段102と、少なくとも塗料の粘度を含む塗装条件
を入力する塗装条件入力手段103と、上記粗さ演算手
段で算出された粗さ度から求めた粗さ度の時間変化量お
よび波長と、上記塗装条件入力手段からの塗装条件とに
基づいて、塗装の膜厚を上記各個所毎にそれぞれ算出す
る膜厚演算手段104と、上記膜厚演算手段の演算結果
に基づいて、塗装面の平均膜厚を算出する平均膜厚演算
手段105と、を備えている。なお、上記の各手段は、
例えば後記図2の実施例における下記の手段にそれぞれ
対応する。すなわち、撮像手段100は撮像部2−1〜
2−4に、画像処理手段101は画像処理部3−1〜3
−4に、粗さ演算手段102は第1演算部4−1〜4−
4に、塗装条件入力手段103は塗装条件入力部8に、
膜厚演算手段104は第3演算部6−1〜6−4に、平
均膜厚演算手段105は第4演算部7に、それぞれ相当
する。
【0008】次に、請求項2に記載の発明は、図1
(b)に示すごとく、上記請求項1に記載の発明に下記
の構成要素を追加したものである。すなわち、粗さ演算
手段102で算出された粗さ度と、該粗さ度から求めた
粗さ度の時間変化量と、上記波長とに基づいて、塗装面
の垂れの有無を上記各個所毎にそれぞれ判定する垂れ判
定手段106と、平均膜厚演算手段105で算出した平
均膜厚と、垂れ判定手段106の判定結果とに応じて、
予め定められた塗装品質の良否判定レベルに応じた良否
判定を行ない、かつ上記良否判定レベルに合わせた最適
な膜厚を算出する塗装品質判定手段107と、を追加し
たものである。なお、上記の各手段は、例えば後記図2
の実施例における下記の手段にそれぞれ対応する。すな
わち、垂れ判定手段106は第2演算部5−1〜5−4
に、塗装品質判定手段107は塗装品質判定部11に、
それぞれ相当する。
【0009】次に、請求項3に記載の発明は、上記請求
項1に記載の発明に下記の構成要素を追加してものであ
る。すなわち、粗さ演算手段102で算出された粗さ度
と、該粗さ度から求めた粗さ度の時間変化量と、上記波
長とに基づいて、塗装面の垂れの有無を上記各個所毎に
それぞれ判定する垂れ判定手段106と、画像処理手段
101で処理された画像処理データに基づいて、塗装面
の鮮映度を上記各個所毎にそれぞれ演算する鮮映度演算
手段108と、上記鮮映度演算手段の演算結果に基づい
て、塗装面の平均鮮映度を演算する平均鮮映度演算手段
109と、平均膜厚演算手段105で算出した平均膜厚
と、垂れ判定手段106の判定結果と、平均鮮映度演算
手段109で算出した平均鮮映度とに応じて、予め定め
られた塗装品質の良否判定レベルに応じた良否判定を行
ない、かつ上記良否判定レベルに合わせた最適な膜厚を
算出する塗装品質判定手段107と、を追加したもので
ある。なお、上記の各手段は、例えば後記図2の実施例
における下記の手段にそれぞれ対応する。すなわち、垂
れ判定手段106は第2演算部5−1〜5−4に、鮮映
度演算手段108は第5演算部9−1〜9−4に、平均
鮮映度演算手段109は鮮映度平均化処理部10に、塗
装品質判定手段107は塗装品質判定部11に、それぞ
れ相当する。
【0010】次に、請求項4に記載の発明は、請求項1
〜請求項3に記載の発明において、上記撮像手段100
として、被塗装体の水平面でない面を撮像する撮像手段
と、水平面を撮像する撮像手段とを備え、また、垂れ判
定手段106としては、水平でない面を撮像する撮像手
段による画像情報についてのみ垂れの有無の判定を行な
うように構成したものである。なお、上記水平面でない
面とは垂直面や斜面を意味する。次に、請求項5に記載
の発明は、請求項1〜請求項4に記載の発明において、
上記塗装条件入力手段103は、1回の吹き付けのみで
塗装を行なう1度吹き付け塗装と、1度目の塗装が不完
全に乾いた状態で2度目の塗装を行なう2度吹き付け塗
装とを区別する信号も入力するものであり、上記膜厚演
算手段104は、1度吹き付け塗装と2度吹き付け塗装
とで、異なった塗料粘度の値を用いて膜厚を演算するよ
うに構成したものである。また、請求項6に記載の発明
は、請求項5に記載の発明において、上記2度吹き付け
塗装における塗料粘度の値として、1度目の吹き付けに
よる下層の塗着粘度と、2度目の吹き付けによる上層の
塗着粘度との平均値を用いて膜厚を演算するように構成
したものである。
【0011】
【作用】請求項1に記載の発明は、複数の撮像部と、そ
れぞれが撮像した画像情報をそれぞれ演算処理する演算
部(画像処理手段、粗さ演算手段、膜厚演算手段、平均
膜厚演算手段)と、塗装条件を入力する塗装条件入力手
段と、を備え、被塗装体の複数個所を同時に撮像し、そ
れぞれ演算処理してそれぞれの個所における膜厚を求
め、さらにそれらの平均膜厚を求めるように構成してい
る。このように構成したことにより、塗装条件の異なる
多くの部分を同じ時点で同一条件で観察して被塗装体の
複数個所の膜厚と平均膜厚とを迅速に求めることが出来
る。また、このようにして求めた膜厚および平均膜厚
は、その数値をそのまま表示して利用することも出来る
し、或いは請求項2、3に記載のように塗装品質判定手
段107に自動制御用の数値として与えることも出来
る。
【0012】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明に、垂れ判定手段106と塗装品質判定手
段107とを追加し、平均膜厚と垂れの有無に基づい
て、予め定められた塗装品質の良否判定レベルに応じた
良否判定を行ない、かつ上記良否判定レベルに合わせた
最適な膜厚を算出するように構成したものである。この
構成においては、塗装条件の異なる多くの部分を同じ時
点で同一条件で観察して塗装の良否を判断することが出
来る。そのため、塗装状態の良否を速やかにフィードバ
ックして次の塗装条件を改善し、常に最良の塗装状態に
保つことが可能となる。また、請求項3に記載の発明
は、請求項1の発明に、垂れ判定手段106と、鮮映度
演算手段108と、平均鮮映度演算手段109と、塗装
品質判定手段107と、を追加し、平均膜厚と、垂れの
有無と、平均鮮映度とに応じて、予め定められた塗装品
質の良否判定レベルに応じた良否判定を行ない、かつ上
記良否判定レベルに合わせた最適な膜厚を算出するよう
に構成したものである。この構成においては、各個所の
膜厚、垂れ有無、鮮映度に基づいて塗装の良否判定を行
なうので、塗装の良否をさらに高精度に判断することが
出来る。そのため、塗装状態の良否を速やかにフィード
バックして次の塗装条件を改善し、常に最良の塗装状態
に保つことが可能となる。また、請求項4に記載の発明
は、被塗装体の水平面でない面(垂直面や斜面)と水平
面とをそれぞれ別個に撮像し、かつ垂れの判定は水平で
ない面の画像情報についてのみ行なうものである。すな
わち、垂れが発生するのは一般に垂直面や斜面であり、
水平面については垂れ判定の必要性が少ないので、その
部分を省略したものである。
【0013】また、請求項5に記載の発明は、1度目の
塗装が不完全に乾いた状態で2度目の吹き付けを行な
う、いわゆる2度吹き付け塗装における膜厚演算に関す
るものであり、塗装条件入力手段103から入力する情
報として、1回の吹き付けのみで塗装を行なう1度吹き
付け塗装と、2度吹き付け塗装とを区別する信号を入力
し、かつ、1度吹き付け塗装と2度吹き付け塗装とで、
異なった塗料粘度の値を用いて膜厚を演算するものであ
る。このように構成することにより、1度吹き付けと2
度吹き付けとを区別して正確に膜厚を演算することが出
来る。また、請求項6に記載の発明は、2度吹き付け塗
装における塗料粘度の値として、1度目の吹き付けによ
る下層の塗着粘度と2度目の吹き付けによる上層の塗着
粘度との平均値を用いるようにしたものである。詳細を
後述するように、2度吹き付けの場合は、1度目に吹き
付けた下層と2度目に吹き付けた上層とでは、吹き付け
る時点が異なるため、原料として同じ組成の塗料を用い
ても、塗装後の或る時点における塗着粘度は異なった値
となる。そのため上記のように両者の平均値を塗料粘度
として用いることにより、2度吹き付けにおける膜厚を
正確に算出することが出来る。
【0014】
【実施例】図2は本発明の第1の実施例図であり、本発
明を車両の車体塗装ラインに適用した場合のブロック図
を示す。まず、図2に基づいて全体の構成の概略を説明
する。1は被塗装体の車体であり、塗装ライン上を所定
の速度で移動しながら塗装されるものである。2は塗装
直後におけるウエット状態の塗装表面を撮像する撮像部
である。この撮像部2としては、2−1〜2−4の4個
が設けられ、それぞれ車体の異なった個所を撮像するよ
うになっている。なお、この実施例では、車体の上面、
右側面および左側面などの各部位ごとに、それぞれ複数
の個所を撮像する例を示している。たとえば図2におい
ては、エンジンフード等の車体上面(水平面)を撮像す
る撮像部として2−1と2−2の2個、左側フェンダ等
の車体左側(垂直面)を撮像する撮像部として2−3と
2−4の2個を設けた場合(車体右側の分は図示省略)
を例示している。また、撮像する時点は、塗料を吹き付
けたのち所定時間(例えば1〜2分)後に行なう。その
ため、撮像部2は塗装ラインの移動速度に合わせて、例
えば1〜2分後に車体が到達する位置に設置されてい
る。
【0015】上記の各撮像部2−1〜2−4で撮像した
塗装表面の粗さ情報(詳細後述)は、それぞれの画像処
理部3−1〜3−4で画像処理される。なお、この画像
処理部は画像情報を記憶する画像メモリとコンピュータ
等の演算装置で構成される。
【0016】上記の各画像処理部で処理された画像処理
データは、それぞれの第1演算部4−1〜4−4に送ら
れる。これらの第1演算部4−1〜4−4では、入力し
た画像処理データから塗装表面の粗さ情報、すなわち塗
装表面の凹凸のピーク・ツウ・ピークの面平均値に対応
した粗さ度Ra(具体的には、後記のパワースペクトル
積分値Pを用いる)と凹凸波形の波長λ(具体的には、
後記の長波長領域のピーク波長λを用いる)を求め、さ
らに粗さ度Raの時間変化量ΔRaを算出する。これらの
値は、撮像した各個所ごとに独立して算出する。
【0017】また、第2演算部5−1〜5−4は、それ
ぞれの第1演算部で求めた粗さ情報(Ra、λ)と時間
変化量ΔRaとに応じて各個所における塗膜の垂れ状態
の有無を判別する。また、塗装条件入力部8は、例えば
キーボード等の塗装条件入力手段であり、塗料の種類、
揮発成分の含有量等の塗料の成分情報、塗料の粘度、温
度等の塗装条件を入力する。また、第3演算部6−1〜
6−4は、上記塗装条件入力部8からの塗装条件と、そ
れぞれの第1演算部で求めた粗さ情報(Ra、λ)と時
間変化量ΔRaとに応じて、それぞれの個所におけるウ
エット状態の塗装膜厚を演算する。なお、第2演算部の
演算結果、垂れ状態が生じている場合は、第3演算部に
おける膜厚演算を中止するように構成してもよい。ま
た、第4演算部7は、各第3演算部6−1〜6−4の結
果を入力し、複数個所のウエット膜厚の平均化処理を行
なう。例えば各部位毎に複数個所について算出したウエ
ット膜厚の平均値(例えばエンジンフードについての平
均膜厚)を算出する。また、車体全体の平均膜厚を算出
することもできる。
【0018】一方、第5演算部9−1〜9−4は、前記
画像処理部3−1〜3−4の画像処理データを入力し、
未乾燥状態における塗装面の鮮映度(詳細後述)を、撮
像した各個所毎に算出する。そして鮮映度平均化処理部
10は、上記各第5演算部9−1〜9−4の演算結果の
平均化処理を行ない、各部位毎の平均鮮映度を算出す
る。また、車体全体の平均膜厚を算出することもでき
る。次に、塗装品質判定部11は、上記第4演算部7で
算出した平均膜厚と、上記各第2演算部5−1〜5−4
で算出した垂れの有無と、上記鮮映度平均化処理部10
で求めた平均鮮映度とを入力し、それらに応じて塗装品
質、すなわち、塗装膜厚と鮮映度が所定の範囲であるか
否か、および垂れの有無を判定し、以後の塗装条件を最
適条件とするための指示信号を出力する。上記の指示信
号は、液晶表示装置やCRT表示装置等の表示器12で
表示して作業員に提示すると共に、塗装条件制御システ
ム13へ送られ、塗装ガン14の動作条件を最適条件に
保つように制御する。なお、上記の第1〜第5演算部、
鮮映度平均化処理部10および塗装品質判定部11は、
コンピュータ等の演算装置で構成されるが、演算処理速
度を向上させるためには、第1〜第5演算部をそれぞれ
各系統ごと(例えば4−1、5−1、6−1、9−1の
ような系統)に独立した演算装置で構成してもよいし、
或いは、各演算部ごとに独立した演算装置で構成しても
よい。
【0019】次に作用を説明する。まず、本発明におけ
る膜厚測定の原理について説明する。本発明における膜
厚測定方法は、塗料を塗布した直後の未乾燥状態、すな
わちウエット状態の塗装表面の平滑化現象に着目して塗
装膜厚を測定するものである。図3は、塗装後の塗膜の
断面図である。塗装直後には、(a)に示すように、塗
装表面は初期の付着粒子の結合によって凹凸状態になっ
ている。そして時間の経過と共に、(b)に示すよう
に、レベリング力によって次第に平滑化され、最終的に
は、(c)に示すように、平滑化状態となる。本発明に
おいては、このような平滑化現象に着目し、ウエット状
態における塗装表面の凹凸状態を測定し、それによって
平滑化後、或いは乾燥後の塗装膜厚を算出するものであ
る。上記のごときウエット状態における凹凸状態を測定
するには、光干渉式表面粗さ計など種々の方法(例えば
「機械工学便欄 日本機械学会1989年9月30日
新版3刷発行 B2編 207頁〜208頁」に記載)
があるが、ここでは撮像手段(例えばCCDカメラ)で
塗装表面を撮像し、その情報を画像処理する方法につい
て説明する。
【0020】図4は、撮像部2の一例を示す断面図であ
る。図4に示すように、撮像部の基本的構成は、光源3
1、明暗パタン板32、反射鏡33、レンズ34、CC
Dカメラ35から成る。上記の明暗パタン板32は、所
定間隔(例えば1mm間隔)で直線状のスリットが設け
られた不透明板(または透明板に所定間隔で不透明なス
トライプパタンを印刷したもの)である。そして光源3
1からの平行光線を上記明暗パタン板32と反射鏡33
とレンズ34とを介して塗装面に斜め方向から照射する
ことにより、被塗装体上にスリットに対応した縞模様を
つくる。この縞模様は、被塗装体上の凹凸に応じて歪ん
だ波形となる。その反射光をCCDカメラ35で撮像
し、上記の歪んだ縞模様、すなわち表面粗さの情報を入
力するようになっている。上記のごとき縞模様の画像情
報を画像処理し、パワースペクトル周波数分析(例えば
高速フーリエ変換処理:FFT)を行なってパワースペ
クトルPSを求める。
【0021】図5は、上記パワースペクトルPSの周波
数特性図であり、縦軸はパワースペクトルPS、横軸は
周波数f(波長λの逆数、f=1/λ)である。図5に
おいて、第1のピーク波形は、前記スリットに対応し
た基本縞による基本波形のパワースペクトル、第2のピ
ーク波形は、塗装表面の凹凸波形の長波長領域(10
〜1mm程度)に対応したパワースペクトル、第3のピ
ーク波形は、凹凸波形の中波長領域(1〜0.1mm
程度)に対応したパワースペクトル、第4のピーク波形
は、凹凸波形の短波長領域(0.1mm以下)に対応
したパワースペクトルを示す。上記のパワースペクトル
波形において、凹凸波形の長波長領域のピーク波長、す
なわち第2のピーク波形のピーク値に対応した波長λ
を求め、さらに表面の粗さを表示する値として、第2の
ピーク波形の積分値(斜線部分の面積)を求め、それ
をパワースペクトル積分値Pとする。上記の波長λ(長
波長領域のピーク波長)とパワースペクトル積分値Pと
は、下記のごとく膜厚と関係があり、これらの値に基づ
いて、下記の平滑化理論式を用いて膜厚を算出すること
が出来る。
【0022】まず、パワースペクトル積分値Pによる平
滑化特性を説明すると、表面の凹凸(ピーク・ツウ・ピ
ーク値)の面積平均値に相当する表面粗さRaとパワー
スペクトル積分値Pとは、図6に示すような関係にあ
り、下記(数1)式、(数2)式に示す関係がある。 P=Q+k×√Ra …(数1) Ra={(P−Q)/k}2 …(数2) ただし、上式において、Qは粗さ補正値、kは粗さ変換
係数である。パワースペクトル解析値による平滑化理論
式の導出では、まず、ウエット塗膜平滑化理論式(近似
式)として、表面粗さ度Raは下記(数3)式で表され
る。 Ra=Ra0・exp(−t/τ) …(数3) ただし、Ra0はRaの初期値(時点0すなわち塗装直後
の値)、tは塗装後の経過時間である。また、τは粘性
流体の基本式から導出された時定数であり、後記(数
8)式に示すごときものである。上記(数2)式を(数
3)式に代入すると、下記(数4)式が得られる。 {(P−Q)/k}2={(P0−Q0)/k}2 exp(−t/τ) …(数4) ただし、P0はPの初期値(時点0における値)であ
り、Q0はQの初期値である。上記(数4)式におい
て、P、P0をそれぞれの補正値Q、Q0を含んだ値とし
て、(P0−Q0)→P0、(P−Q)→Pと示せば、
(数4)式は下記(数5)式のように表せる。 P=P0・exp(−t/2τ) …(数5) また、時定数τは下記(数6)式で示される。 τ=3ηλ4/16π4γh3 …(数6) ただし、ηは塗料の粘度、λは前記の長波長領域のピー
ク波長、γは塗膜の表面張力、hはウエット状態におけ
る膜厚(撮像部分の平均値)である。以上から、パワー
スペクトル解析値による塗装膜厚hは、下記(数7)式
で示すようになる。
【0023】
【数7】
【0024】ただし、P1は時点t1におけるパワースペ
クトル積分値Pの値、P2は時点t2(ただし−1<t2
におけるPの値である。なお、τ'iは下記(数8)式で
示される。 τ'i=3η(ti)・λ4/16π4γ …(数8) ただし、i=1,2であり、η(ti)は塗料の粘度が塗
装後の経過時間の関数であることを示す。すなわち、塗
装条件入力手段8から入力するのは、塗装前における塗
料の粘度ηであるが、塗装後の塗着粘度は、塗装後の経
過時間に応じて変化する値η(ti)となる。この値は、
塗料組成(塗料内の揮発成分の割合等)や温度などによ
って定まる値である。上記(数7)式から判るように、
塗料の粘度η、塗膜の表面張力γ、凹凸波形の長波長領
域のピーク波長λ、塗装後の2つの時点t1、t2におけ
るパワースペクトル積分値Pの値から、ウエット状態に
おける膜厚hを求めることが出来る。上記の各数値のう
ち、塗料の粘度ηと塗膜の表面張力γは、塗料の特性に
よって定まる値であるから、予め判っている値を入力
し、長波長領域のピーク波長λとパワースペクトル積分
値Pの値は、前記の画像情報を処理した値を用いる。
【0025】図7は、上記(数7)式を用いた平滑化理
論値と測定値を比較したウエット平滑化動特性(パワー
スペクトル積分値P)を示す特性図である。図7におい
て、横軸は塗装後の経過時間、縦軸はパワースペクトル
積分値Pである。上記の測定は、塗布直後の画像を撮像
部2で撮影し、パワースペクトル解析を行なったもので
ある。図7から、測定値は理論値とほぼ一致した平滑化
特性となっていることがわかる。また、表1は、膜厚6
0μmと54μmの2つのサンプルに対して、上記(数
7)式の推定式を用いて膜厚hを計測した結果を示す表
である。表1に示すように、数μmの精度で計測可能で
あることが判る。
【0026】
【表1】
【0027】図2の実施例においては、各撮像部2−1
〜2−4、各画像処理部3−1〜3−4、各第1演算部
4−1〜4−4、各第3演算部6−1〜6−4におい
て、上記のごとき処理を行ない、各撮像個所ごとの膜厚
hを求め、さらに第4演算部7において、それらの平均
値、すなわち平均膜厚haを求める。この平均膜厚h
aは、各部位(例えばエンジンフード)ごとの平均値
と、車体全体の平均値とを求める。なお、後記の第2演
算部4における垂れの判定において、垂れ有りと判定さ
れて場合には、精密な膜厚演算を行なっても無意味なの
で、塗装品質判定部11に膜厚が異常である旨の信号
(膜厚:大)を入力し、上記第4演算部7における膜厚
平均化処理を省略するように構成してもよい。また、前
記(数7)式においては、塗装後の2つの時点t1とt2
における2つの値P1、P2を用い、粗さ情報の時間変化
量を用いて演算している。そのため、塗装後に2つの時
点で同一個所を撮像する必要がある。このためには、塗
装ライン上の車体の移動に合わせて撮像部2を移動させ
る必要があるので、装置が複雑になる。それを避けるた
めには、次のような方法がある。すなわち、被塗装体で
ある車体の他に、テストピースを用意して被塗装体と同
じ条件で塗装を行ない、時点t1(例えばt1=10秒、
1<t2)における値P1は、テストピースの画像情報
を処理して求めた値を用いるようにする。このようにす
れば、各撮像部は時点t2(例えば塗装1〜2分後)に
おいて1回のみの撮像を行なえばよい。また、これまで
の計測は、ウエット状態の膜厚を算出するものである
が、ウエット状態の膜厚と乾燥後のドライ膜厚とには、
塗料中の揮発成分に応じた一定の相関関係がある。した
がって計測したウエット膜厚に塗料の内容に応じて定ま
る係数を乗算することにより、ドライ膜厚を容易に推定
することが出来る。
【0028】次に、本発明における垂れ判定の原理につ
いて説明する。塗装面が水平でなく、垂直または斜めの
面である場合には、塗料の性質(粘度不足)や塗布する
量(量が大き過ぎる場合)によっては垂れが発生する場
合がある。図8は、垂れのある場合と無い場合のウエッ
ト塗膜面の断面図であり、(a)は垂れが無い場合、
(b)は垂れが発生した場合を示す。図8(a)に示す
ごとき垂れの無い正常な場合には、前記図2で説明した
ごとく、塗装直後の塗膜面は比較的大きな凹凸が発生
し、時間の経過と共に、平滑化現象によって徐々に平坦
になる。しかし、図8(b)に示すごとき垂れが発生し
た場合は、塗膜面の状態は(a)とは大きく変わり、初
期の凹凸は小さく、凹凸の波長は長く、かつ平滑化速度
が非常に小さくなり、殆ど変化の無い状態となる。ま
た、垂れが発生した場合は、図示のごとく膜厚が大きく
なる。
【0029】図9は、塗装面の粗さを表すパワースペク
トル積分値Pの時間変化特性を示す図である。図9から
判るように、垂れの無い正常時にはパワースペクトル積
分値Pの初期値は大きく、しかも時間の経過と共に大幅
に減衰しているのに対し、垂れが発生した場合には、パ
ワースペクトル積分値Pの値は最初から小さく、かつ殆
ど変化していない。なお、上記の特性は、表面の粗さを
示す値としてパワースペクトル積分値Pを用いている
が、表面の凹凸(ピーク・ツウ・ピーク値)の面積平均
値に相当する表面粗さRaを用いても同様に判定でき
る。本発明においては、上記の現象を利用して垂れの有
無を判定するものである。
【0030】図10は、垂れ判定のフローチャートの一
実施例である。図10において、まず、ステップS1で
は、時点tにおける塗装面の凹凸波形の長波長領域のピ
ーク波長λの値が予め定めた所定値(通常のλの下限
値)以下であるか否かを判定する。例えば、基準の波長
をλsとした場合、λ≦λsであるか否かを判定する。正
常な塗装面における長波長領域のピーク波長λは、ほぼ
2〜6mm程度の範囲内に入るので、上記の基準波長λ
sは、例えば2mmに設定する。この判定が“yes”
であれば、垂れの無い正常状態と判断できる。次に、ス
テップS2では、塗膜面の粗さを示す値、例えばパワー
スペクトル積分値Pの値が予め定めた所定値(通常の粗
さの下限値)以上であるか否かを判定する。例えば、基
準のパワースペクトル積分値をPsとした場合、Ps≦P
であるか否かを判定する。そして“yes”であれば、
垂れの発生しにくい正常な塗装表面状態であると判断で
きる。次に、ステップS3では、表面粗さの時間変化量
が予め定めた所定値(通常の変化量の下限値)以上であ
るか否かを判断する。例えば、パワースペクトル積分値
Pの時間変化量ΔPは下記(数9)式で示される。
【0031】
【数9】
【0032】ただし、P(t1)、P(t2)は、それぞれ
時点t1、t2(ただしt1<t2)におけるパワースペク
トル積分値Pの値である。したがって、時間変化量の基
準値をΔPsとすれば、ΔPs≦ΔPか否かを判定し、
“yes”であれば、垂れの無い正常時であると判断す
る。上記のステップS1〜S3の判定が全て“no”で
あった場合には、垂れが発生していると判断する。図2
の実施例においては、各第2演算部5−1〜5−4は上
記演算処理を行ない、各撮像個所における垂れの有無を
判定する。
【0033】次に、本発明における塗装表面の鮮映性測
定の原理について説明する。塗装面の鮮映性とは、塗装
面の平滑感、肉持ち感、光沢感(艶性)からなるもので
ある。この3種類の各要素について更に詳しく説明する
と、平滑感は塗装面における比較的大きなうねり状の歪
みがどの程度であるかを示したものであり、肉持ち感は
塗装面における非常に細かな凹凸の存在がどの程度であ
るかを示したものであり、光沢感は塗装面における明暗
差がどの程度の大きさで再現されるかを示したものであ
る。以下、鮮映性の値を鮮映度Sと表示し、平滑感、肉
持ち感、光沢感のそれぞれの値を平滑度H、肉持ち度
N、光沢度Tと表示する。上記のごとき鮮映度Sを表す
諸量は、例えば次のようにして求めることが出来る。す
なわち、塗装面の平滑度Hおよび肉持ち度Nは、前記し
た縞模様の画像情報から抽出した輪郭線に一次元の画像
処理を施すことによって算出し、光沢度Tは入力画像の
明暗差を検出することによって算出することが出来る。
【0034】以下、鮮映度演算の一実施例を、図11に
示すフローチャートに基づき図12と図13を参照しな
がら説明する。まず、鮮映度の測定に際して最適な画像
が得られるように、測定画像を入力する前処理として、
入力すべき画像の大きさと位置とを設定する処理が行な
われる。このような処理を行なう理由は、塗装面の曲率
に応じて、得られる入力画像が異なるため、その曲率に
影響されないような画像を入力するためである。この処
理は、以下のS11〜S15のステップにおいて行なわ
れる。まず、CCDカメラから入力された画像は、画像
メモリに記憶される。記憶される画像の一例としては、
図12(a)に示すように、塗装面で反射されたストラ
イプの反射光に応じた画像である。この画像は、塗装面
が平坦である場合には、出力されたストライプ画像の相
似型の画像となるが、塗装面が曲面である場合には、そ
の曲率に応じて拡大、縮小、さらには変型した画像とな
ってしまう。また、塗装面の曲率が大きい場合には、像
の位置がCCDカメラの視野内を移動し、この移動によ
って像の位置が視野内から外れると、測定に必要とされ
るデータの収集が不十分となって測定結果の信頼性に悪
影響を与えることになる。このため、以下に記載するよ
うに、ストライプ像の位置を追跡し、測定窓の大きさを
変えるという処理を行なう。まず、画像メモリに記憶さ
れた画像を呼び出して、図12に示してあるようなカメ
ラ視野Aの楕円度を演算し、同様に、カメラ視野A内に
存在しているストライプ像の光重心演算を行なう。楕円
度の演算は、測定窓の輪郭線を抽出してこの直径の最大
値と最小値とに基づいて行なっている。また、光重心演
算は、従来から行なわれている一般的な手法であるの
で、ここではその処理の説明は省略する(ステップS1
1、S12)。次に、この光重心演算の結果に基づいて
ストライプ画像の中心位置を求める。この演算を行なう
のは、次の測定窓の大きさを決定する処理において、そ
の測定窓の中心位置を決定するためである(ステップS
13)。次に、上記の処理において求めた楕円度とスト
ライプ画像の中心位置とに基づいて、測定窓の大きさと
位置とを決定する。例えば以上の測定の結果、カメラ視
野Aが図12(a)のようにほぼ円形である場合には、
測定窓Bは同図(a)のように設定される。一方、カメ
ラ視野(A)が図12(c)のように楕円である場合に
は、測定窓Bは同図(c)のように設定される(ステッ
プS14)。
【0035】以上の処理が終了すると、鮮映度測定処理
が行なわれることになる。まず、画像メモリに記憶され
ているストライプ画像を呼び出し、所定の閾値で二値化
する。例えばストライプ画像の一例としては、図13
(a)に示されているような画像である(ステップS1
5)。平滑度を求めるには、この二値化された画像から
輪郭線を抽出する処理を行ない、図13(b)に示すよ
うな画像を得る(ステップS16)。ただし、このまま
では非常にギザギザした線なので、これを平滑化する処
理を行なって図13(c)に示すような画像を得る(ス
テップS17)。次に、この平滑化した輪郭線の各構成
画素毎に法線の方向を求める。すなわち、図13(d)
に示すような方向の算出処理を行なう。さらに詳細に
は、輪郭線を構成する画素毎に法線の方向を求める。こ
の方向は、非常に多くのものとなる(ステップS1
8)。そして、このようにして求められた多数の方向を
統計処理して、全体として方向のばらつきが少ないも
の、すなわち収束性のあるものは平滑度Hが良好であ
り、一方、ばらつきの大きなもの、すなわち発散性が認
められるものは平滑度Hが不良であると判断する(ステ
ップS19、ステップS20)。
【0036】次に、肉持ち度Nを算出するには、上記の
二値化された画像から輪郭線の幅を抽出する処理を行な
う。正常であるならば、塗装面を反射したストライプと
同一の幅のものしか検出されないはずであるが、肉持ち
度Nが悪い場合には、細かな小島がストライプ内に混在
することになるので、その小島に対応した幅のものが検
出される。したがって、幅の抽出とは、どの程度の大き
さの小島が何個存在しているかを認識させるための前段
階の処理であるといえる(ステップS21)。次に、上
記の処理において抽出されたストライプ幅のデータか
ら、所定値以下、例えば0.5mm以下のものを取り出
してその数の存在割合を求める。この割合に基づいて肉
持ち度Nを算出する(ステップS22〜ステップS2
4)。上記の割合の小さい方が肉持ち度Nが大きい、す
なわち良好であることを示す。
【0037】次に、光沢度Tを測定するには、まず、測
定窓を介して入力した画像の各水平ライン毎に最も明る
い部分と最も暗い部分の輝度差を求める。すなわち、画
像に対して、位置と輝度との関係のグラフを作成し、そ
のグラフ中の輝度の最大のものと最少のものとの差を求
める(ステップS25)。この処理を全ての水平ライン
について行なって、測定窓の領域内におけるデータの平
均を求める(ステップS26)。以上の処理によって得
られた輝度差に応じて光沢度Tを求める。なお、輝度差
と光沢度Tとの関係は、相関関係が明らかとなっている
ので、その算出の演算は非常に単純である(ステップS
27)。すなわち、輝度差の大きい方が光沢度T(艶
性)が優れていることを示す。
【0038】次に、未乾燥状態のウエット塗装面と乾燥
後のドライ塗装面とにおける鮮映度の比較について説明
する。まず、鮮映度のうちの平滑度Hについて説明す
る。ウエット塗装面の平滑度Hは、図14に示すよう
に、塗装直後の数値は低いが、時間と共に前記の平滑化
理論に従って徐々に数値が上昇する。この傾向は乾燥後
においても基本的に継続する。したがってウエット塗装
面での平滑化目標値は、ドライ塗装面の値に対して小さ
くなる。例えば、ウエット塗装面の平滑度目標値を
w、ドライ塗装面の平滑度目標値をHdとすれば、下記
(数10)式に示すようになる。 Hd=k1・Hw …(数10) ただし、k1はウエット平滑度係数であり、k1>1の値
である。この係数は塗装色などの塗装条件に応じて予め
記憶させておく。また、ウエット塗装面の平滑度Hの目
標値Hwは、たとえば、Hw≧0.5程度の値である。
【0039】次に、肉持ち度Nについて説明する。ウエ
ット塗装面の肉持ち度Nは、図15に示すように、塗布
直後から数値が大きくなっているが、乾燥後は焼付け時
の肌荒れのために肉持ち度Nは低下する。したがってウ
エット塗装面の肉持ち度Nの目標値は、ドライ塗装面の
目標値よりも高くなる。例えば、ウエット塗装面の肉持
ち度Nの目標値をNw、ドライ塗装面の目標値をNdとす
れば、下記(数11)式に示すようになる。 Nd=k2・Nw …(数11) ただし、k2はウエット肉持ち度係数であり、k2<1の
値である。この係数は塗装色などの塗装条件に応じて予
め記憶させておく。また、ウエット塗装面の肉持ち度N
の目標値Nwは、例えば、Nw≧1.0程度の値である。
【0040】次に、光沢度T(艶性)について説明す
る。ウエット塗装面の光沢度Tは、図16に示すよう
に、肉持ち度Nと同様に塗布直後から数値が大きくなっ
ているが、乾燥後は焼付け時の肌荒れのために光沢度T
は低下する。したがってウエット塗装面の光沢度Tの目
標値は、ドライ塗装面の目標値よりも高くなる。例え
ば、ウエット塗装面の光沢度Tの目標値をTw、ドライ
塗装面の目標値をTdとすれば、下記(数12)式に示
すようになる。 Td=k3・Tw …(数12) ただし、k3はウエット光沢度T係数であり、k3<1の
値である。この係数は塗装色などの塗装条件に応じて予
め記憶させておく。また、ウエット塗装面の肉持ち度N
の目標値Twは、例えば、Tw≧0.6程度の値である。
【0041】なお、鮮映度S(H,N,T)の演算方法
には、ランレングス法(スリット幅の標準偏差、平均よ
り求める方法)、濃度勾配法(スリット縦縞の濃淡ベク
トルにより求める方法)、塗装表面画像の凹凸波形にお
けるパワースペクトル積分値Pを用いる方法などがあ
る。図2の実施例において、第5演算部9−1〜9−4
は上記のごとき演算処理を行ない、各撮像個所ごとの鮮
映度を計測する。また、鮮映度平均化処理部10は、上
記の各個所の鮮映度を、各部位ごとおよび車体全体につ
いて平均化し、平均鮮映度Sa(Ha,Na,Ta)を出力
する。
【0042】次に、図2に実施例における塗装品質判定
部11について詳細に説明する。塗装品質判定部11
は、上記第4演算部7で算出した平均膜厚haと、上記
各第2演算部5−1〜5−4で算出した垂れの有無と、
上記鮮映度平均化処理部10で求めた平均鮮映度Sa
を入力して、塗装品質を判定し、不良と判定した場合に
は、以後の塗装条件を最適条件とするために塗装条件を
変更する指令信号を出力する。塗装条件制御システム1
3は、上記の指示信号に応じて塗装ガン14を駆動し、
最適条件で塗装を行なう。
【0043】具体的には、下記のごとき判定を行なう。
まず、塗装品質としては、平均膜厚haが予め定めた所
定の範囲であるか否か、垂れの有無、および鮮映度Sa
(特にHa)が目標範囲内に有るか否か、を判断する。
平均膜厚haが所定範囲より薄い場合は塗装ガン14の
吐出量を増加させ、厚い場合は減少させる。また、垂れ
が発生した場合は、前記のように、塗料の粘度不足か塗
装量が多すぎる(膜厚が大)ことが考えられるので、前
記の膜厚測定を含めて判断する。すなわち、垂れが発生
し、かつ平均膜厚haが所定範囲よりも厚い場合は、塗
料の吐出量が多すぎる場合であり、平均膜厚が正常範囲
であれば、塗料の粘度不足であることを意味する。した
がって、その判定結果に応じて、塗装ガン14の吐出
量、ベル回転数、エア圧力、塗料の物性(粘度、密度な
ど)等を変更する。
【0044】また、平均鮮映度Saについては、次のよ
うに処理する。鮮映度Sのうちの平滑度Hは、前記のご
とく塗装表面の大きなうねり状の歪み(凹凸波形の長波
長)の程度を表すものである。この平滑度Hは、図17
に示すごとく、膜厚hと相関関係があり、同一の塗装膜
面波長分布であれば、膜厚が大きいほど平滑度も大きく
なる。したがって平均平滑度Haを所定の管理範囲HL0
〜HUPと比較し、HL0≦Ha≦HUPの場合は現状の塗装
品質はOKと判断して膜厚変更指示値Δh=0とする。
また、Ha<HL0の場合は平滑度不足であると判断し、
膜厚変更指示値Δh=Kh'(HLO−Ha)として膜厚を増
加させる。また、HUP<Haの場合は過剰品質であると
判断し、膜厚変更指示値Δh=−Kh(Ha−HUP)とし
て膜厚を減少させるように制御する。なお、上記の係数
hおよびKh'は、図17に示す特性の傾きに相当す
る。また、図17において、H0は標準膜厚であり、H
0-10は標準より10μmだけ薄い場合、H0+10は標準よ
り10μmだけ厚い場合を示す。また、図18に示すよ
うに、平滑度Hの値は塗装後の経過時間に応じて変化す
るので、塗装品質OKと判断する管理範囲も経過時間に
応じて異なった値となる。図18においては、塗布後6
0秒の時点で良否を判定する場合のOK範囲を示してい
る。
【0045】次に、鮮映度のうちの肉持ち度Nおよび光
沢度Tは、主として塗料の性質および焼付け温度に影響
される値である。したがってこれらの値については、表
示器12に表示して作業員に指示し、塗料の内容や焼付
け温度等を変更させる。なお、鮮映度Sを構成する各要
素、平滑度H、肉持ち度N、光沢度Tのうち、鮮映度全
体に及ぼす影響の割合は、平滑度Hが約70%程度と最
も大きい。したがって前記塗装品質判定部11において
は、平均鮮映度Saのうち、平均平滑度Haのみを用いて
判断してもほぼ目標とする制御を行なうことが出来る。
そして肉持ち度Nと光沢度Tに関しては、表示器12で
表示するか、若しくは記録しておき、適当な時期に塗料
の内容や焼付け温度等を変更するようにしてもよい。
【0046】上記のように、本実施例においては、複数
の撮像部と、それぞれが撮像した画像情報をそれぞれ演
算処理する演算部とを備え、被塗装体の複数個所を同時
に撮像し、それぞれ演算処理し、各個所の膜厚、垂れ有
無、鮮映度を求め、さらにそれらを平均化した値を用い
て塗装の良否を判定するように構成している。そのた
め、短い時間内に多数個所の撮像を行なうことができ、
塗装条件の異なる多くの部分を同じ時点で同一条件で観
察して塗装の良否を判断することが出来る。そのため、
塗装状態の良否を速やかにフィードバックして次の塗装
条件を改善し、常に最良の塗装状態に保つことが可能と
なる。なお、図2の実施例においては、膜厚測定、垂れ
の有無判定、鮮映度測定および塗装品質判定の全てを行
なう場合を例示したが、それぞれの部分、すなわち、膜
厚の測定、垂れの有無判定、鮮映度測定の各部分のみを
独立して行なう装置として構成することも出来る。ま
た、本実施例においては、基本的な測定を塗装面の撮像
と画像処理によって行ない、塗装表面の粗さの情報とし
てパワースペクトル積分値Pと長波長領域のピーク波長
λとを用いて演算を行なう場合を例示した。しかし、塗
装表面の粗さ情報としては、例えば、前記本出願人の先
行出願(特願平4−306966号)に記載のように、
光干渉式表面粗さ計を用い、凹凸のピーク・ツウ・ピー
クと凹凸の波長λに基づいて演算する方法、或いは上記
光干渉式表面粗さ計の測定結果から表面の平均粗さ度R
aと凹凸の平均波長λaとを用いて演算する方法などがあ
り、いずれを用いてもよい。
【0047】次に、図19は、本発明の第2の実施例の
ブロック図である。この実施例は、水平面の画像情報に
対する垂れの判定を省略したものである。一般に、水平
面で垂れが発生することは稀であり、第2演算部5−1
〜5−4における垂れの判定は、主として垂直面や傾斜
面で有効なものであるから、水平面の画像情報に関して
は、第2演算部を省略するように構成してもよい。この
実施例においては、4個の第2演算部のうち5−1と5
−2を省略している。その他の構成は、前記図2と同様
である。
【0048】次に、図20は、本発明の第3の実施例の
ブロック図である。この実施例は、鮮映度の測定と塗装
品質判定部を省略し、膜厚と垂れの有無のみによって塗
装条件制御システム13を制御するように構成したもの
である。前記のように、鮮映度のうちで最も重要な平滑
度は、膜厚と相関関係があるので、膜厚を所定の標準範
囲に保つように制御するだけでも或る程度良好な塗装品
質を保つことが出来る。なお、その他の構成は、前記図
2と同様である。
【0049】次に、図21は、本発明の第4の実施例の
ブロック図である。この実施例は、水平面の撮像部を1
個にし、かつその水平面の画像情報については、垂れの
判定を省略したものである。一般に、水平面よりも垂直
面の方が垂れの発生等の障害が生じやすいので、垂直面
のみに複数の撮像部を設け、比較的良好に保ちやすい水
平面については撮像部を1個に省略することにより、構
成を簡略化することが出来る。なお、その他の構成は、
前記図2と同様である。また、撮像部2において、塗装
後の複数の時点で撮像を行ない、それぞれで求めた膜厚
等の値を用いて塗装品質を判定するように構成してもよ
い。
【0050】次に、本発明の第5の実施例について説明
する。この実施例は、2度吹き付け塗装、すなわち1度
目の塗装が不完全に乾いた状態(例えば1度目の1〜2
分後)で2度目の塗装を行なう方法を用いた場合におけ
る塗装膜厚を計測するものである。1度目の塗装が完全
には乾いていない状態で2度目の吹き付けを行なう方
法、いわゆる2度吹き付け方法は、1回の吹き付けで塗
装を行なう方法よりも一般に塗着効率が優れているとさ
れている。しかし、上記のごとき2度吹き付けの場合に
は、図22に示すように、1回目の吹き付けによる下層
と2回目の吹き付けによる上層とで粘度の異なる2層に
よって塗装膜が形成されることになる。ところが、前記
の膜厚演算においては、1度吹き付けを基準としている
ので、2度吹き付けにそのまま適用すると演算結果に誤
差を生じることになる。すなわち、2度吹き付けの場合
には、前記(数8)式に示したτ'iを示す式 τ'i=3η(ti)・λ4/16π4γ …(数8) において、塗装後における塗料の粘度(塗着粘度)を表
すη(ti)の値を、1度吹き付けの場合とは異なった値
にする必要がある。
【0051】以下、詳細に説明する。まず、時間tの関
数であるη(ti)は、下記(数13)式で示される。 η(ti)=(η0+k1T)+(η1+k2T)t+k32 …(数13) ただし、η0、η1:初期粘度係数 T:塗料温度 k1、k2:温度補正係数 k3:t2補正係数 したがって、1度目の吹き付けによる下層の塗着粘度η
s(t)は、下記(数14)式で示される。 ηs(t)=(η0+k1T)+(η1+k2T)t+k32 …(数14) また、2度目の吹き付け開始時間を1度目に対してt0
秒後とすれば、上層の塗着粘度ηd(t−t0)は、下記
(数15)式で示される。 ηd(t−t0)=(η0+k1T)+(η1+k2T)(t−t0)+k3(t−t …(数15) したがって上下2層を合わせた合成の塗着粘度ηは、
2度目のt0を基準時点(t0=0)とし、かつ下層と上
層の膜厚を同一とすれば、下記(数16)式で示され
る。 ηg(t)≒〔ηs(t+t0)+ηd(t)〕/2 …(数16) ただし、2度目のt0を基準時点としたことにより、ηs
とηdは下記のようになる。 ηs(t+t0)=(η0+k1T)+(η1+k2T)(t+t0)
+k3(t+t0)2 ηd(t)=(η0+k1T)+(η1+k2T)t+k32 上記のように、(数8)式におけるη(ti)の値とし
て、(数16)式で示すηg(t)を用いることにより、
2度吹き付けにおける塗装膜厚の計測精度向上させるこ
とが出来る。具体的には、例えば、塗装膜厚が50〜6
0μm程度の場合で、計測精度を3〜5μm程度向上さ
せることが出来る。このような2度吹き付けの計測を行
なう場合には、例えば、前記図2の実施例において、塗
装条件入力部8から入力する塗装条件の中に、1度吹き
付けと2度吹き付けの区別を含ませておき、2度吹き付
けの場合には、上記(数16)式の値を用いて演算する
ように構成すればよい。
【0052】
【発明の効果】以上説明したごとく本発明においては、
複数の撮像部と、それぞれが撮像した画像情報をそれぞ
れ演算処理する演算部とを備え、被塗装体の複数個所を
同時に撮像し、それぞれ演算処理し、各個所の膜厚、垂
れ有無、鮮映度を求め、さらにそれらを平均化した値を
用いて塗装の良否を判定するように構成したことによ
り、短い時間内に多数個所の撮像を行なうことができ、
塗装条件の異なる多くの部分を同じ時点で同一条件で観
察して塗装の良否を判断するが出来る。そのため、塗装
状態の良否を速やかにフィードバックして次の塗装条件
を改善し、常に最良の塗装状態に保つことが可能になる
という効果が得られる。また、2度吹き付けの条件を入
力するものにおいては、塗着効率のよい2度吹き付けを
行なった場合でも塗装膜厚を正確に計測することが出来
るという効果が得られ、これによっても塗装品質の向上
を達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能ブロック図。
【図2】本発明の第1の実施例のブロック図。
【図3】塗装後の塗膜の状態を示す断面図。
【図4】撮像部2の一例を示す断面図。
【図5】パワースペクトルPSの周波数特性図。
【図6】表面の凹凸の面積平均値に相当する表面粗さR
aとパワースペクトル積分値Pと関係の関係を示す特性
図。
【図7】(数7)式を用いた平滑化理論値と測定値を比
較したウエット平滑化動特性を示す特性図。
【図8】垂れのある場合と無い場合のウエット塗膜面の
状態を示す断面図。
【図9】塗装面の粗さを表すパワースペクトル積分値P
の時間変化特性を示す特性図。
【図10】垂れ判定のフローチャートの一実施例図。
【図11】鮮映度演算を示すフローチャートの一実施例
図。
【図12】撮像部で読み込んだストライプ画像の一例
図。
【図13】平滑度演算における画像処理を示す図。
【図14】塗装後の経過時間と平滑度Hとの関係を示す
特性図。
【図15】塗装後の経過時間と肉持ち度Nとの関係を示
す特性図。
【図16】塗装後の経過時間と光沢度Tとの関係を示す
特性図。
【図17】ウエット膜厚hとウエット平滑度Hとの関係
を示す特性図。
【図18】塗装後の経過時間とウエット平滑度Hとの関
係を示す特性図。
【図19】本発明の第2の実施例のブロック図。
【図20】本発明の第3の実施例のブロック図。
【図21】本発明の第4の実施例のブロック図。
【図22】2度吹き付け塗装における経過時間と塗着粘
度との関係を示す特性図。
【図23】従来装置の一例の断面図。
【符号の説明】
1…被塗装体(ボディ) 2−1、2−2、2−3、2−4…撮像部 3−1、3−2、3−3、3−4…画像処理部 4−1、4−2、4−3、4−4…第1演算部(粗さ計
測) 5−1、5−2、5−3、5−4…第2演算部(垂れ判
定) 6−1、6−2、6−3、6−4…第3演算部(膜厚演
算) 7…第4演算部(平均膜厚演算) 8…塗装条件入力部 9−1、9−2、9−3、9−4…第5演算部(鮮映度
演算) 10…鮮映度平均化処理部 11…塗装品質判定部 13…塗装条件制
御システム 12…表示器 14…塗装ガン 100…撮像手段 105…平均膜厚
演算手段 101…画像処理手段 106…垂れ判定
手段 102…粗さ演算手段 107…塗装品質
判定手段 103…塗装条件入力手段 108…鮮映度演
算手段 104…膜厚演算手段 109…平均鮮映
度演算手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面の粗
    さを、塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する
    複数の撮像手段と、 上記複数の撮像手段からの画像情報をそれぞれ画像処理
    する画像処理手段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の粗さ度と、塗装表面の凹凸波形の波長と
    を上記各個所毎にそれぞれ算出する粗さ演算手段と、 少なくとも塗料の粘度を含む塗装条件を入力する塗装条
    件入力手段と、 上記粗さ演算手段で算出された粗さ度から求めた粗さ度
    の時間変化量および波長と、上記塗装条件入力手段から
    の塗装条件とに基づいて、塗装の膜厚を上記各個所毎に
    それぞれ算出する膜厚演算手段と、 上記膜厚演算手段の演算結果に基づいて、塗装面の平均
    膜厚を算出する平均膜厚演算手段と、 を備えたことを特徴とする塗装膜厚計測装置。
  2. 【請求項2】塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面の粗
    さを、塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する
    複数の撮像手段と、 上記複数の撮像手段からの画像情報をそれぞれ画像処理
    する画像処理手段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の粗さ度と、塗装表面の凹凸波形の波長と
    を上記各個所毎にそれぞれ算出する粗さ演算手段と、 少なくとも塗料の粘度を含む塗装条件を入力する塗装条
    件入力手段と、 上記粗さ演算手段で算出された粗さ度と、該粗さ度から
    求めた粗さ度の時間変化量と、上記波長とに基づいて、
    塗装面の垂れの有無を上記各個所毎にそれぞれ判定する
    垂れ判定手段と、 上記粗さ演算手段で算出された粗さ度から求めた粗さ度
    の時間変化量および上記波長と、上記塗装条件入力手段
    からの塗装条件とに基づいて、塗装の膜厚を上記各個所
    毎にそれぞれ算出する膜厚演算手段と、 上記膜厚演算手段の演算結果に基づいて、塗装面の平均
    膜厚を算出する平均膜厚演算手段と、 上記平均膜厚演算手段で算出した平均膜厚と、上記垂れ
    判定手段の判定結果とに応じて、予め定められた塗装品
    質の良否判定レベルに応じた良否判定を行ない、かつ上
    記良否判定レベルに合わせた最適な膜厚を算出する塗装
    品質判定手段と、 を備えたことを特徴とする塗装膜厚計測装置。
  3. 【請求項3】塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面の粗
    さを、塗装面の異なった個所についてそれぞれ撮像する
    複数の撮像手段と、 上記複数の撮像手段からの画像情報をそれぞれ画像処理
    する画像処理手段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装表面の粗さ度と、塗装表面の凹凸波形の波長と
    を上記各個所毎にそれぞれ算出する粗さ演算手段と、 少なくとも塗料の粘度を含む塗装条件を入力する塗装条
    件入力手段と、 上記粗さ演算手段で算出された粗さ度と、該粗さ度から
    求めた粗さ度の時間変化量と、上記波長とに基づいて、
    塗装面の垂れの有無を上記各個所毎にそれぞれ判定する
    垂れ判定手段と、 上記粗さ演算手段で算出された粗さ度から求めた粗さ度
    の時間変化量および上記波長と、上記塗装条件入力手段
    からの塗装条件とに基づいて、塗装の膜厚を上記各個所
    毎にそれぞれ算出する膜厚演算手段と、 上記膜厚演算手段の演算結果に基づいて、塗装面の平均
    膜厚を算出する平均膜厚演算手段と、 上記画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
    て、塗装面の鮮映度を上記各個所毎にそれぞれ演算する
    鮮映度演算手段と、 上記鮮映度演算手段の演算結果に基づいて、塗装面の平
    均鮮映度を演算する平均鮮映度演算手段と、 上記平均膜厚演算手段で算出した平均膜厚と、上記垂れ
    判定手段の判定結果と、上記平均鮮映度演算手段で算出
    した平均鮮映度とに応じて、予め定められた塗装品質の
    良否判定レベルに応じた良否判定を行ない、かつ上記良
    否判定レベルに合わせた最適な膜厚を算出する塗装品質
    判定手段と、 を備えたことを特徴とする塗装膜厚計測装置。
  4. 【請求項4】上記撮像手段は、被塗装体の水平面でない
    面を撮像する撮像手段と、水平面を撮像する撮像手段と
    を備え、 上記垂れ判定手段は、上記水平でない面を撮像する撮像
    手段による画像情報についてのみ垂れの有無の判定を行
    なうものである、ことを特徴とする請求項1乃至請求項
    3のいずれかに記載の塗装膜厚計測装置。
  5. 【請求項5】上記塗装条件入力手段は、1回の吹き付け
    のみで塗装を行なう1度吹き付け塗装と、1度目の塗装
    が不完全に乾いた状態で2度目の吹き付けを行なう2度
    吹き付け塗装とを区別する信号も入力するものであり、 上記膜厚演算手段は、1度吹き付け塗装と2度吹き付け
    塗装とで、異なった塗料粘度の値を用いて膜厚を演算す
    るものである、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4
    のいずれかに記載の塗装膜厚計測装置。
  6. 【請求項6】上記2度吹き付け塗装における塗料粘度の
    値は、1度目の吹き付けによる下層の塗着粘度と、2度
    目の吹き付けによる上層の塗着粘度との平均値を塗料粘
    度として膜厚を演算するものである、ことを特徴とする
    請求項5に記載の塗装膜厚計測装置。
JP09833494A 1994-05-12 1994-05-12 塗装膜厚計測装置 Expired - Fee Related JP3326960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09833494A JP3326960B2 (ja) 1994-05-12 1994-05-12 塗装膜厚計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09833494A JP3326960B2 (ja) 1994-05-12 1994-05-12 塗装膜厚計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07306016A true JPH07306016A (ja) 1995-11-21
JP3326960B2 JP3326960B2 (ja) 2002-09-24

Family

ID=14217011

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09833494A Expired - Fee Related JP3326960B2 (ja) 1994-05-12 1994-05-12 塗装膜厚計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3326960B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08122024A (ja) * 1994-10-24 1996-05-17 Nissan Motor Co Ltd 塗装膜厚計測装置
JPH09262533A (ja) * 1996-03-27 1997-10-07 Nissan Motor Co Ltd 塗装品質解析装置
JP2001296117A (ja) * 2000-04-14 2001-10-26 Dyflex Corp 防水施工および保証方法
WO2006101041A1 (ja) * 2005-03-22 2006-09-28 Honda Motor Co., Ltd. 塗膜外観の評価方法及び塗装物
CN102989611A (zh) * 2012-10-18 2013-03-27 吴江市元通纺织品有限公司 一种均匀涂布机
JP5238916B1 (ja) * 2012-04-05 2013-07-17 豊田通商株式会社 車両の塗膜厚さ算定システム、塗膜厚さ算定方法及びコンピュータプログラム
WO2013150666A1 (ja) * 2012-04-05 2013-10-10 豊田通商 株式会社 車両の塗膜厚さ算定システム、塗膜厚さ算定方法及びコンピュータプログラム
CN115445813A (zh) * 2022-09-29 2022-12-09 安徽柳溪智能装备有限公司 电脑机箱喷粉膜厚自动检测及控制***

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01164463A (ja) * 1987-12-21 1989-06-28 Toyota Auto Body Co Ltd 塗料吐出量制御方法
JPH0450714A (ja) * 1990-06-20 1992-02-19 Nissan Motor Co Ltd 塗装表面の鮮映性評価方法
JPH0590371A (ja) * 1991-09-27 1993-04-09 Nec Corp 膜厚測定方法及びその装置
JPH05141941A (ja) * 1991-11-26 1993-06-08 Kawasaki Steel Corp 薄塗装用金属板の評価方法及び薄塗装塗膜鮮映性に優れた薄塗装用金属板
JPH05256773A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Nissan Motor Co Ltd 塗装面性状検査装置
JPH06160029A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd 塗膜厚測定装置
JPH06160071A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd ウェット塗膜厚測定装置
JPH06160300A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd ウェット鮮映性測定装置
JPH06265316A (ja) * 1993-03-16 1994-09-20 Nissan Motor Co Ltd ウェット塗膜厚測定装置
JPH0783852A (ja) * 1993-09-17 1995-03-31 Nissan Motor Co Ltd 塗装面の垂れ計測装置及び塗装膜厚計測装置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01164463A (ja) * 1987-12-21 1989-06-28 Toyota Auto Body Co Ltd 塗料吐出量制御方法
JPH0450714A (ja) * 1990-06-20 1992-02-19 Nissan Motor Co Ltd 塗装表面の鮮映性評価方法
JPH0590371A (ja) * 1991-09-27 1993-04-09 Nec Corp 膜厚測定方法及びその装置
JPH05141941A (ja) * 1991-11-26 1993-06-08 Kawasaki Steel Corp 薄塗装用金属板の評価方法及び薄塗装塗膜鮮映性に優れた薄塗装用金属板
JPH05256773A (ja) * 1992-03-11 1993-10-05 Nissan Motor Co Ltd 塗装面性状検査装置
JPH06160029A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd 塗膜厚測定装置
JPH06160071A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd ウェット塗膜厚測定装置
JPH06160300A (ja) * 1992-11-17 1994-06-07 Nissan Motor Co Ltd ウェット鮮映性測定装置
JPH06265316A (ja) * 1993-03-16 1994-09-20 Nissan Motor Co Ltd ウェット塗膜厚測定装置
JPH0783852A (ja) * 1993-09-17 1995-03-31 Nissan Motor Co Ltd 塗装面の垂れ計測装置及び塗装膜厚計測装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08122024A (ja) * 1994-10-24 1996-05-17 Nissan Motor Co Ltd 塗装膜厚計測装置
JPH09262533A (ja) * 1996-03-27 1997-10-07 Nissan Motor Co Ltd 塗装品質解析装置
JP2001296117A (ja) * 2000-04-14 2001-10-26 Dyflex Corp 防水施工および保証方法
WO2006101041A1 (ja) * 2005-03-22 2006-09-28 Honda Motor Co., Ltd. 塗膜外観の評価方法及び塗装物
JP5238916B1 (ja) * 2012-04-05 2013-07-17 豊田通商株式会社 車両の塗膜厚さ算定システム、塗膜厚さ算定方法及びコンピュータプログラム
WO2013150666A1 (ja) * 2012-04-05 2013-10-10 豊田通商 株式会社 車両の塗膜厚さ算定システム、塗膜厚さ算定方法及びコンピュータプログラム
CN102989611A (zh) * 2012-10-18 2013-03-27 吴江市元通纺织品有限公司 一种均匀涂布机
CN115445813A (zh) * 2022-09-29 2022-12-09 安徽柳溪智能装备有限公司 电脑机箱喷粉膜厚自动检测及控制***

Also Published As

Publication number Publication date
JP3326960B2 (ja) 2002-09-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07306016A (ja) 塗装膜厚計測装置
EP2577265B1 (en) Apparatus and method for locating the centre of a beam profile
JP2000111490A (ja) 塗装面の検出装置
JP3257182B2 (ja) 塗装処理装置及び塗装処理方法
US10024775B2 (en) Method and device for determining the abrasion properties of a coated flat product
JP3326962B2 (ja) 塗装品質解析装置
JP3322034B2 (ja) 塗装品質解析装置
JP3006321B2 (ja) ウェット鮮映性測定装置
JP2964800B2 (ja) ウェット塗膜厚測定装置
US20220196389A1 (en) Method for examining a coating of a probe surface
JPH07306017A (ja) 塗装膜厚計測装置
JP3326961B2 (ja) 塗装膜厚計測装置
JP3252555B2 (ja) 塗装面の垂れ計測装置及び塗装膜厚計測装置
JP3478443B2 (ja) 自動塗装機の制御装置
JPH06160029A (ja) 塗膜厚測定装置
JPH05143717A (ja) 地合計測方法
JP2950084B2 (ja) ウェット塗膜厚測定装置
JP3358434B2 (ja) 塗装品質解析装置
JP2950083B2 (ja) ウェット塗膜厚測定装置
JPH09113462A (ja) 塗装品質解析装置
JP3327000B2 (ja) 塗装膜厚計測装置
JP2616090B2 (ja) 塗面の光沢度測定装置
JP3511764B2 (ja) 自動塗装機の制御装置
JPH08334320A (ja) 塗装品質解析装置
JPH0699143A (ja) 青果物の形状測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees