JPH07293572A - 軸受装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易な構造で回転精度の向上を図る。 【構成】 スラスト軸受１３６を回転体１３１の重心位
置に近接して配置し、スラスト軸受１３６から発生する
モーメントの影響を最小限に抑えて安定した回転を得る
ように構成したもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ラジアル軸受及びスラ
スト軸受により回転体を回転自在に支承するように構成
された軸受装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、モータ等のような回転体を備え
た各種装置では、固定軸あるいは回転軸の一端側に相当
する部位に、ラジアル軸受を介して回転体が回転自在に
支承されるとともに、上記軸の他端側に相当する部位に
スラスト軸受が配置されることが多い。例えば、図４に
示されているハードディスク駆動用モータでは、フレー
ム１に立設された軸受ホルダー２内に、一対のラジアル
軸受３，３を介して回転軸４が回転自在に支承されてお
り、この回転軸４の一端側（図示上端側）に、ハブ５が
一体に回転するように連結されているとともに、上記回
転軸４の他端側（図示下端側）は、前記フレーム１にス
ラスト軸受を構成するように装着されたスラスト受板６
により支持されている。

【０００３】なお上記回転軸４の外周側空間には、潤滑
用の軸受流体が充填されており、その軸受流体の充填空
間を封止するように、上記回転軸４のハブ連結側（図示
上側）部分に磁性流体シール７が設けられている。また
上記回転軸４のスラスト支持側部分には抜止板８が固定
されており、この抜止板８によって回転体すなわちハブ
５の軸方向の脱落が防止されるように構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが上述したよう
に回転体（ハブ４）が、軸の一端側（図示上側）に連結
されていると、回転体の重心位置も軸の一端側（図示上
側）に偏って配置されることとなる。そしてスラスト軸
受（スラスト受板６）は、軸の反対側（図示下側）に離
れて配置されているため、スラスト軸受６から発生する
僅かなモーメントが、回転体に対して大きな振動となっ
て伝播していく。例えば前述したようなハードディスク
駆動用モータでは、ディスクに横揺れ等を生じて読取・
書込等の動作に支障を来すこともある。

【０００５】そこで本発明は、回転体をより安定して回
転支承することができるようにした軸受装置を提供する
ことを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
第１の発明は、回転体を回転自在に支承するラジアル軸
受及びスラスト軸受を有する軸受装置において、上記ス
ラスト軸受が、回転体の重心近傍に配置された構成を有
している。

【０００７】また第２の発明は、上記第１の発明の構成
に加えて、スラスト軸受が、回転体の抜止部材を兼用し
た構成を有している。

【０００８】

【作用】このような構成を有する第１発明においては、
スラスト軸受と回転体の重心とが近接配置されているた
め、スラスト軸受から発生するモーメントが回転体に与
える影響が低減され、従って安定した回転が得られるよ
うになっている。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず図１に示されている本発明の第１実施
例におけるＨＤＤスピンドルモータは、フレーム１１側
に組み付けられた固定部材としてのステータ組１２と、
このステータ組１２に対して、図示上側から積層状に組
み付けられた回転部材としてのロータ組１３とから構成
されている。このうちステータ組１２を構成しているス
テータコア１２１は、上記フレーム１１に位置決めして
設置された略円筒状のコアホルダー１２２の外周部に嵌
着されており、このステータコア１２１の突極部に巻線
１２３が巻回されている。

【００１０】また上記フレーム１１の中心部には、固定
軸１２４が図示上方側に向かって垂直に立設されてお
り、当該固定軸１２４の外周に固定された一対のラジア
ル滑り軸受１２５，１２５を介して、前記ロータ組１３
を構成するハブ１３１が回転自在に支承されている。上
記ハブ１３１は、磁気ディスクを外周部に装着する略円
筒形状の胴部１３１ａを有しているとともに、この胴部
１３１ａの図示下端縁に半径方向外周側に張り出すよう
に取付部１３１ｂを有しており、この取付部１３１ｂ
に、バックヨーク１３２を介して駆動マグネット１３３
が環状に装着されている。上記駆動マグネット１３３
は、前記ステータコア１２１の外周端面に対して環状に
対向するように配置されている。

【００１１】一方、前記固定軸１２４の外周に固定され
た両ラジアル滑り軸受１２５，１２５どうしの軸方向間
部分には、筒状の永久磁石体からなるスペーサ（軸受カ
ラー）１２６が介挿されており、両ラジアル滑り軸受１
２５，１２５どうしが軸方向に一定間隔離されるように
保持されている。上記両ラジアル滑り軸受１２５，１２
５の外周面は、ハブ１３１の中心孔に装着された円筒状
の滑り筒１３５の内周面に滑り接触するように配置され
ており、両者の間には、所定の潤滑材からなる軸受流体
が充填されている。すなわち上記ラジアル滑り軸受１２
５は、いわゆる動圧軸受を構成している。

【００１２】このとき上記ハブ１３１の胴部１３１ａ
は、固定軸１２４の軸方向外側（図示上側）に相当する
部位に偏って配置されており、従って回転体としてのハ
ブ１３１の重心位置も、固定軸１２４の軸方向外側（図
示上側）に偏って配置されている。

【００１３】また上記ハブ１３１の中心孔には、前記滑
り筒１３５の軸方向外側端面（図示上側端面）に当接す
るようにして、横断面略Ｌ字状のスラスト軸受１３６が
固定されている。このスラスト軸受１３６は、上記ハブ
１３１の中心孔の内周面から中心側に向かって半径方向
に延出するスラスト受板１３６ａを有しており、このス
ラスト受板１３６ａの図示下面側が、図示上側のラジア
ル滑り軸受１２５の端面に当接している。このとき上記
スラスト受板１３６ａは、前述した永久磁石体からなる
スペーサ１２６の吸引力によって図示下側の軸方向に常
時引っ張られており、これにより停止時には、上記スラ
スト受板１３６ａがラジアル軸受１２５の端面に密着し
て軸受流体が衝撃によって飛散するのを防ぐとともに、
回転時には、スラスト軸受の隙間を適当の量に保つスラ
スト軸受が構成されている。このようにスラスト軸受１
３６は、軸方向外側（図示上側）部分、すなわち上述し
たハブ１３１の重心位置の近傍に配置されている。

【００１４】さらに上記スラスト軸受１３６の軸方向外
側（図示上側）部分において、前記固定軸１２４には、
同じく横断面略Ｌ字状の係止板１２７が固定されてい
る。この係止板１２７は、半径方向外側に向かって延出
する鍔部１２７ａを有しており、この鍔部１２７ａの軸
方向内側面（図示下側面）が、上記スラスト軸受１３６
のスラスト受板１３６ａと軸方向に対面するように配置
されている。そしてこれによってハブ１３１の軸方向の
脱落が防止されるように構成されている。すなわち上記
スラスト軸受１３６は、抜止板を兼用するように構成さ
れている。

【００１５】また上記係止板１２７には、前述した軸受
流体の流出を防止するための磁性流体シール１２８が配
置されている。この磁性流体シール１２８は、上記スラ
スト軸受１３６との間を封止するための磁性流体を有し
ている。さらに前記ハブ１３１の中心孔の開口には、磁
性流体の飛散等を防止するためのシール板１３７が取り
付けられている。

【００１６】このように本実施例装置では、スラスト軸
受１３６と、回転体としてのハブ１３１の重心位置とが
近接して配置されているため、スラスト軸受１３６から
発生するモーメントがハブ１３１に与える影響は最小限
に抑えられることとなり、従って安定した回転が得られ
るようになっている。

【００１７】また特に本実施例では、スラスト軸受１３
６が抜止板を兼用するように構成されており、従来別々
の部品であったものが一体の部品となされているため、
モータ内のスペースが縮小されるようになっている。

【００１８】また上記図１に示した実施例に対応する構
成物を同一の符号で表した図２にかかる実施例では、ラ
ジアル滑り軸受１２５，１２５が、ハブ１３１側に固定
されており、各ラジアル滑り軸受１２５の内周面と固定
軸１２４の外周面とが、滑り摺動面に形成されている。
また固定軸１２４に取り付けられた係止板１２７の鍔部
１２７ａは、ハブ１３１側に固定されたスラスト軸受１
３６のスラスト受板１３６ａの軸方向内側（図示下側）
に配置されている。このような実施例においても上記実
施例と同様な作用・効果を得ることができる。

【００１９】一方、図３に示した実施例は、本発明を軸
回転型のＨＤＤスピンドルモータに適用した例であっ
て、フレーム２１側に組み付けられた固定部材としての
ステータ組２２と、このステータ組２２に対して、図示
上側から積層状に組み付けられた回転部材としてのロー
タ組２３とから構成されている。このうちステータ組２
２を構成しているステータコア２２１は、上記フレーム
２１に位置決めして設置された略円筒状の軸受ホルダー
２２２の外周部に嵌着されており、このステータコア２
２１の突極部に巻線２２３が巻回されている。

【００２０】また上記軸受ホルダー２２２の内周部に
は、一対のラジアル滑り軸受２２３，２２３が、軸方向
に所定間隔離して設けられており、それら一対のラジア
ル滑り軸受２２３，２２３によって、回転軸２３１が回
転自在に支承されている。すなわち上記両ラジアル滑り
軸受２２３，２２３の内周面は、回転軸２３１の外周面
に対し、所定の潤滑材からなる軸受流体を介して摺動可
能に滑り接触されており、上記各ラジアル滑り軸受２２
３の内周面と回転軸２３１の外周面とは互いに滑り面を
構成している。

【００２１】上記回転軸２３１の軸方向外側端（図示上
側端）には、前記ロータ組２３を構成するハブ２３２が
一体に回転するように固定されている。上記ハブ２３２
は、磁気ディスクを外周部に装着する略円筒形状の胴部
２３２ａを有しているとともに、この胴部２３２ａの図
示下端縁に半径方向外周側に張り出すように取付部２３
２ｂを有しており、この取付部２３２ｂに、バックヨー
ク２３３を介して駆動マグネット２３４が環状に装着さ
れている。上記駆動マグネット２３４は、前記ステータ
コア２２１の外周端面に対して環状に対向するように配
置されている。

【００２２】一方、上記ハブ２３２の胴部２３２ａは、
回転軸２３１の軸方向外側（図示上側）に接続されてお
り、従って回転体としてのハブ２３２の重心位置も、回
転軸２３１の軸方向外側（図示上側）に偏って配置され
ている。

【００２３】また上記軸受ホルダー２２２の図示上端側
の開口部分には、横断面略Ｌ字状のスラスト軸受２２４
が取り付けられている。このスラスト軸受２２４は、中
心側に向かって半径方向に延出するスラスト受板２２４
ａを有している。さらに上記スラスト軸受２２４の軸方
向外側（図示上側）部分において、前記回転軸２３１に
は、同じく横断面略Ｌ字状の摺動板２３６が固定されて
いる。この摺動板２３６は、半径方向外側に向かって延
出する鍔部２３６ａを有しており、この鍔部２３６ａの
軸方向内側面（図示下側面）が、上記スラスト軸受２２
４のスラスト受板２２４ａに滑り接触するように配置さ
れている。そしてこれによってハブ２３２が、スラスト
方向に支持されるように構成されている。

【００２４】さらにまた上記摺動板２３６には、前述し
た軸受流体の流出を防止するための磁性流体シール２３
８が配置されている。この磁性流体シール２３８は、上
記スラスト軸受２２４との間を封止するための磁性流体
を有している。一方、上記回転軸２３１の軸方向内側端
部分（図示下端部分）には、抜止板２３７が固定されて
おり、この抜止板２３７によって回転体すなわちハブ２
３２の軸方向の脱落が防止されるように構成されてい
る。

【００２５】このように本実施例装置では、スラスト軸
受２２４と、回転体としてのハブ２３２の重心位置とが
近接して配置されているため、スラスト軸受２２４から
発生するモーメントがハブ２３２に与える影響は最小限
に抑えられることとなり、従って安定した回転が得られ
るようになっている。

【００２６】以上本発明者によってなされた発明を実施
例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で
種々変形可能であるというのはいうまでもない。例え
ば、上記実施例のような動圧軸受以外の各種軸受装置に
対しても、本発明は同様に適用することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上述べたように本発明にかかる軸受装
置は、スラスト軸受を回転体の重心位置に近接して配置
し、スラスト軸受から発生するモーメントの影響を最小
限に抑えて安定した回転を得るように構成したものであ
るから、簡易な構造で回転精度及び装置の信頼性を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例におけるＨＤＤモータの構造
を表した半横断面説明図である。

【図２】本発明の他の実施例におけるＨＤＤモータの構
造を表した半横断面説明図である。

【図３】本発明のさらに他の実施例におけるＨＤＤモー
タの構造を表した半横断面説明図である。

【図４】従来におけるＨＤＤモータの構造例を表した半
横断面説明図である。

【符号の説明】

１１，２１ フレーム １２，２２ ステータ組 １３，２３ ロータ組 １３６，２２４ スラスト軸受 １３１，２３２ ハブ（回転体）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転体を回転自在に支承するラジアル軸
   受及びスラスト軸受を有する軸受装置において、 上記スラスト軸受が、回転体の重心近傍に配置されてい
   ることを特徴とする動圧軸受装置。
2. 【請求項２】 スラスト軸受が、回転体の抜止部材を兼
   用していることを特徴とする請求項１記載の軸受装置。