JPH07285815A - 水中有害付着生物防除剤 - Google Patents
水中有害付着生物防除剤Info
- Publication number
- JPH07285815A JPH07285815A JP8191894A JP8191894A JPH07285815A JP H07285815 A JPH07285815 A JP H07285815A JP 8191894 A JP8191894 A JP 8191894A JP 8191894 A JP8191894 A JP 8191894A JP H07285815 A JPH07285815 A JP H07285815A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- controlling
- sarasinoside
- controlling agent
- active ingredient
- injurious
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- Pending
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 式（Ｉ）で示されるサラシノサイドＣ1 を有
効成分として含有することを特徴とする水中有害付着生
物防除剤。 【化１】 【効果】 従来の重金属化合物を用いた防除剤と同等以
上の効果を保ちつつ、環境にも安全性の高い水中有害付
着生物防除剤を提供する。
効成分として含有することを特徴とする水中有害付着生
物防除剤。 【化１】 【効果】 従来の重金属化合物を用いた防除剤と同等以
上の効果を保ちつつ、環境にも安全性の高い水中有害付
着生物防除剤を提供する。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶の船底、養殖およ
び定置用漁網、ブイ等の海中に置かれる設備、原子力お
よび火力発電所の復水器冷却用水あるいは石油化学工業
の熱交換器冷却用水の取水路等に有害な海中生物が付着
し繁茂することを防止する水中有害付着生物防除剤に関
する。
び定置用漁網、ブイ等の海中に置かれる設備、原子力お
よび火力発電所の復水器冷却用水あるいは石油化学工業
の熱交換器冷却用水の取水路等に有害な海中生物が付着
し繁茂することを防止する水中有害付着生物防除剤に関
する。
【０００２】
【従来の技術】船舶の船底部、海中構築物および冷却用
水の取水路など常時海水と接触する部分には、フジツ
ボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、
コケムシ類、アオサ、アオノリ、シオミドロ等の貝類や
藻類が付着繁茂し、これらの生物は船舶の底部に付着す
ることにより流体抵抗の増加を引き起こし、燃料の損失
をもたらしている。また冷却用設備部分に付着すると熱
伝導性の低下を起こし設備機器の能力を低下させるなど
経済的に多大な被害を与えている。
水の取水路など常時海水と接触する部分には、フジツ
ボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、
コケムシ類、アオサ、アオノリ、シオミドロ等の貝類や
藻類が付着繁茂し、これらの生物は船舶の底部に付着す
ることにより流体抵抗の増加を引き起こし、燃料の損失
をもたらしている。また冷却用設備部分に付着すると熱
伝導性の低下を起こし設備機器の能力を低下させるなど
経済的に多大な被害を与えている。
【０００３】従来このような海中有害生物の付着繁茂を
防止するための各種の防除剤が使用されている。このよ
うな防除剤の有効成分としては亜酸化銅、有機スズ化合
物などが従来から知られており現在も多く用いられてい
る。これらの有効成分は塗料中に10〜50重量％含有せし
め、これを船底等に塗布し、海水中で連続的に溶出させ
ることにより有害生物の付着を防止している。
防止するための各種の防除剤が使用されている。このよ
うな防除剤の有効成分としては亜酸化銅、有機スズ化合
物などが従来から知られており現在も多く用いられてい
る。これらの有効成分は塗料中に10〜50重量％含有せし
め、これを船底等に塗布し、海水中で連続的に溶出させ
ることにより有害生物の付着を防止している。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし最近、重金属や
有害元素により河川もしくは海水などの環境が汚染され
たり、また難分解化合物であったり蓄積性の高い化合物
であるため魚介類を媒介とし人体の健康を害する恐れが
あることから、最も多くもちいられてきた有機スズ化合
物についてはその使用に対し指導がなされている状況で
ある。したがって、従来の防除剤に代わる安全な有効成
分の開発が望まれている。
有害元素により河川もしくは海水などの環境が汚染され
たり、また難分解化合物であったり蓄積性の高い化合物
であるため魚介類を媒介とし人体の健康を害する恐れが
あることから、最も多くもちいられてきた有機スズ化合
物についてはその使用に対し指導がなされている状況で
ある。したがって、従来の防除剤に代わる安全な有効成
分の開発が望まれている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】このような現状に鑑み、
本発明者らは、有機スズ化合物以外の化合物であって、
安全性が高く優れた防除効果を有する化合物を開発すべ
く鋭意研究を重ねた結果、サラシノサイドＣ1 (sarasin
oside Ｃ1)が有害な海中付着生物の防除作用を有する事
を見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至っ
た。
本発明者らは、有機スズ化合物以外の化合物であって、
安全性が高く優れた防除効果を有する化合物を開発すべ
く鋭意研究を重ねた結果、サラシノサイドＣ1 (sarasin
oside Ｃ1)が有害な海中付着生物の防除作用を有する事
を見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至っ
た。
【０００６】すなわち本発明の防除剤は、式（Ｉ）で示
されるサラシノサイドＣ1 を有効成分として含有するこ
とを特徴とする水中有害付着生物防除剤である。
されるサラシノサイドＣ1 を有効成分として含有するこ
とを特徴とする水中有害付着生物防除剤である。
【０００７】
【化２】
【０００８】以下、本発明を詳細に説明する。サラシノ
サイドＣ1 (sarasinoside Ｃ1)は、公知物質であり（I.
Kitagawa, et. al., Chem. Pharm. Bull. 35(12) 5036
-5039 (1987)）、生物から抽出することができるほか、
化学的に合成することも可能である。例えば、カイメン
の一種であるAsteropus sarasinosumのメタノール抽出
液を精製することにより得ることができる。
サイドＣ1 (sarasinoside Ｃ1)は、公知物質であり（I.
Kitagawa, et. al., Chem. Pharm. Bull. 35(12) 5036
-5039 (1987)）、生物から抽出することができるほか、
化学的に合成することも可能である。例えば、カイメン
の一種であるAsteropus sarasinosumのメタノール抽出
液を精製することにより得ることができる。
【０００９】本発明において有効成分として使用するサ
ラシノサイドＣ1 は単独で使用してもよいし他の防除剤
と混合して使用することもできる。本発明の防除剤は、
塗料、溶液、乳剤などの形に調製して使用され、これら
の調製は通常行われる一般的な処方を採用して問題なく
実施できる。例えば塗料として使用する場合は、前記有
効成分を塗料調製剤に配合して防汚塗料を調製し、これ
を船底、海中構築物および冷却用取水路に塗布すること
ができる。防汚塗料は有効成分と塗膜形成剤および所望
に応じた一般的な溶剤、体質顔料、着色顔料、添加剤を
配合することによりできあがる。この際使用される塗膜
形成剤としては、たとえば塩化ゴム樹脂、酢酸ビニル樹
脂、アクリル樹脂、天然樹脂等があげられる。この場
合、前記有効成分は塗料の重量に基づき１〜45％、好ま
しくは５〜20％の割合で配合される。
ラシノサイドＣ1 は単独で使用してもよいし他の防除剤
と混合して使用することもできる。本発明の防除剤は、
塗料、溶液、乳剤などの形に調製して使用され、これら
の調製は通常行われる一般的な処方を採用して問題なく
実施できる。例えば塗料として使用する場合は、前記有
効成分を塗料調製剤に配合して防汚塗料を調製し、これ
を船底、海中構築物および冷却用取水路に塗布すること
ができる。防汚塗料は有効成分と塗膜形成剤および所望
に応じた一般的な溶剤、体質顔料、着色顔料、添加剤を
配合することによりできあがる。この際使用される塗膜
形成剤としては、たとえば塩化ゴム樹脂、酢酸ビニル樹
脂、アクリル樹脂、天然樹脂等があげられる。この場
合、前記有効成分は塗料の重量に基づき１〜45％、好ま
しくは５〜20％の割合で配合される。
【００１０】本発明の防除剤を溶液として使用する場合
は、たとえば前記有効成分を塗膜形成剤に配合し、溶媒
に溶解した溶液とし、これを海中生物の付着繁茂を防止
する目的で養殖漁網、定置漁網などへ塗布することがで
きる。塗膜形成剤としては、たとえば塩化ゴム樹脂、酢
酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、天然樹脂等があげられ
る。溶媒としてはトルエン、キシレン、クメン、メチル
イソブチルケトンなどが使用される。また溶液は必要に
応じ、可塑剤などの添加剤を加えることができる。溶液
として使用される場合、前記有効成分は溶液の重量に基
づき２〜50重量％、好ましくは15〜30重量％の割合で配
合される。
は、たとえば前記有効成分を塗膜形成剤に配合し、溶媒
に溶解した溶液とし、これを海中生物の付着繁茂を防止
する目的で養殖漁網、定置漁網などへ塗布することがで
きる。塗膜形成剤としては、たとえば塩化ゴム樹脂、酢
酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、天然樹脂等があげられ
る。溶媒としてはトルエン、キシレン、クメン、メチル
イソブチルケトンなどが使用される。また溶液は必要に
応じ、可塑剤などの添加剤を加えることができる。溶液
として使用される場合、前記有効成分は溶液の重量に基
づき２〜50重量％、好ましくは15〜30重量％の割合で配
合される。
【００１１】乳剤として使用する場合は、溶媒中に前記
有効成分を溶解し、さらに界面活性剤を添加して常法に
より乳剤を調製する。界面活性剤としては、普通一般の
ものが用いられる。乳剤として用いる場合、前記有効成
分は乳剤の重量に基づき５〜50重量％、好ましくは20〜
40重量％の割合で配合される。また本発明防除剤は漁網
などの高分子樹脂素材コンクリートなどの海中使用物素
材に練り込んで使用することもできる。
有効成分を溶解し、さらに界面活性剤を添加して常法に
より乳剤を調製する。界面活性剤としては、普通一般の
ものが用いられる。乳剤として用いる場合、前記有効成
分は乳剤の重量に基づき５〜50重量％、好ましくは20〜
40重量％の割合で配合される。また本発明防除剤は漁網
などの高分子樹脂素材コンクリートなどの海中使用物素
材に練り込んで使用することもできる。
【００１２】
【実施例１】ポンペイにて採集したカイメン（Asteropu
s sarasinosum）の表皮部分10ｇを細断した後、メタノ
ール50mlを加えて室温で成分を抽出した。抽出液をろ過
して残渣を除去後、ろ液を減圧下室温にて濃縮し、メタ
ノールを留去した。これに酢酸エチル50mlと水50mlを加
えて分配し、下層である水分画を分離し、減圧下濃縮し
て、凍結乾燥し、淡黄色粉末約0.1ｇを得た。これを逆
相カラムクロマトにて分画し、減圧下室温にて濃縮しサ
ラシノサイドＣ1 （sarasinoside Ｃ1 : I. Kitagawa,
et. al., Chem. Pharm. Bull. 35(12) 5036-5039 (198
7)) を約40mg得た。サラシノサイドＣ1 の同定は、ＮＭ
Ｒ（核磁気共鳴法）による構造解析とＭＳ（質量分析）
による分子量の一致により行った。ＮＭＲによる分析に
おいては、糖鎖のカーボンに帰属された吸収ピークの化
学シフト値を文献値と比較し、矛盾がないことを確かめ
た。
s sarasinosum）の表皮部分10ｇを細断した後、メタノ
ール50mlを加えて室温で成分を抽出した。抽出液をろ過
して残渣を除去後、ろ液を減圧下室温にて濃縮し、メタ
ノールを留去した。これに酢酸エチル50mlと水50mlを加
えて分配し、下層である水分画を分離し、減圧下濃縮し
て、凍結乾燥し、淡黄色粉末約0.1ｇを得た。これを逆
相カラムクロマトにて分画し、減圧下室温にて濃縮しサ
ラシノサイドＣ1 （sarasinoside Ｃ1 : I. Kitagawa,
et. al., Chem. Pharm. Bull. 35(12) 5036-5039 (198
7)) を約40mg得た。サラシノサイドＣ1 の同定は、ＮＭ
Ｒ（核磁気共鳴法）による構造解析とＭＳ（質量分析）
による分子量の一致により行った。ＮＭＲによる分析に
おいては、糖鎖のカーボンに帰属された吸収ピークの化
学シフト値を文献値と比較し、矛盾がないことを確かめ
た。
【００１３】サラシノサイドＣ1 について、もっとも重
要な付着生物の一つであるムラサキイガイを用いた付着
阻止効果をムラサキイガイ足刺激活性法（林 豊、幹
渉、第２回マリンバイオテクノロジー研究発表会要旨
集、pp.55 (1993)) で測定した。即ち供試化合物を人工
海水に種々の濃度に溶解し、それを閉殻筋を切って足を
露出させたムラサキイガイの足の先端に滴下し、足が退
避行動を示す最低の濃度を測定することにより付着阻止
効果の判定を行った。結果を図１に示す。
要な付着生物の一つであるムラサキイガイを用いた付着
阻止効果をムラサキイガイ足刺激活性法（林 豊、幹
渉、第２回マリンバイオテクノロジー研究発表会要旨
集、pp.55 (1993)) で測定した。即ち供試化合物を人工
海水に種々の濃度に溶解し、それを閉殻筋を切って足を
露出させたムラサキイガイの足の先端に滴下し、足が退
避行動を示す最低の濃度を測定することにより付着阻止
効果の判定を行った。結果を図１に示す。
【００１４】
【実施例２】サラシノサイドＣ1 について、ムラサキイ
ガイを用いた付着阻止効果を伊奈らの方法（K. Ina et.
al., Agric. Biol. Chem., 53, 3319-3321 (1989)) に
より試験した。即ち供試化合物をメタノール１mlに溶解
し、それを直径４cmの試験用紙に塗布した。乾燥後ムラ
サキイガイ４匹を塗布円の外側に接着し、20℃の流水中
に静置した。３時間後にムラサキイガイは新たな付着足
糸を形成した。その付着足糸数を調べ、付着阻止効果を
判定した。また、比較例として硫酸銅５mgと２mg（比較
例１）及びメタノールのみ（比較例２）を使用し同様の
試験を行った。結果を表１に示す。
ガイを用いた付着阻止効果を伊奈らの方法（K. Ina et.
al., Agric. Biol. Chem., 53, 3319-3321 (1989)) に
より試験した。即ち供試化合物をメタノール１mlに溶解
し、それを直径４cmの試験用紙に塗布した。乾燥後ムラ
サキイガイ４匹を塗布円の外側に接着し、20℃の流水中
に静置した。３時間後にムラサキイガイは新たな付着足
糸を形成した。その付着足糸数を調べ、付着阻止効果を
判定した。また、比較例として硫酸銅５mgと２mg（比較
例１）及びメタノールのみ（比較例２）を使用し同様の
試験を行った。結果を表１に示す。
【００１５】 表 １ ────────────────────────── 試験区 有効成分 使用量 判定 ────────────────────────── 試験例１ サラシノサイドＣ1 10mg ++ 比較例１ 硫酸銅 5mg ++ 硫酸銅 2mg ++ 比較例２ メタノール − ────────────────────────── 判定：++：円内に全く付着せず強い効力を認められる。 +：円内に付着するものも見られるが、ほとんど円外に
付着し、効力が認められる。
付着し、効力が認められる。
【００１６】
【実施例３】本発明の防除剤を防汚塗料として使用する
場合の処方例を以下に示す。 ──────────────────────── 成 分 重量％ ──────────────────────── サラシノサイドＣ1 １０ ロジンＷＷ ６ ＶＹＨＨ（ビニル系合成樹脂） ６ リン酸トリクレシル ２ タルク ２０ 硫酸バリウム １５ 弁柄 １０ メチルイソブチルケトン １１ キシレン ２０ ──────────────────────── １００ ────────────────────────
場合の処方例を以下に示す。 ──────────────────────── 成 分 重量％ ──────────────────────── サラシノサイドＣ1 １０ ロジンＷＷ ６ ＶＹＨＨ（ビニル系合成樹脂） ６ リン酸トリクレシル ２ タルク ２０ 硫酸バリウム １５ 弁柄 １０ メチルイソブチルケトン １１ キシレン ２０ ──────────────────────── １００ ────────────────────────
【００１７】
【発明の効果】本発明は、従来の重金属化合物を用いた
防除剤と同等以上の効果を保ちつつ、環境にも安全性の
高い水中有害付着生物防除剤を提供する。
防除剤と同等以上の効果を保ちつつ、環境にも安全性の
高い水中有害付着生物防除剤を提供する。
【図１】 サラシノサイドＣ1 の付着阻止効果を示す
図。
図。
フロントページの続き (72)発明者 溝渕 重幸 静岡県清水市袖師町1900番地 株式会社海 洋バイオテクノロジー研究所清水研究所内
Claims (1)
- 【請求項１】 式（Ｉ）で示されるサラシノサイドＣ1
を有効成分として含有することを特徴とする水中有害付
着生物防除剤。 【化１】
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8191894A JPH07285815A (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 水中有害付着生物防除剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8191894A JPH07285815A (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 水中有害付着生物防除剤 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07285815A true JPH07285815A (ja) | 1995-10-31 |
Family
ID=13759842
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8191894A Pending JPH07285815A (ja) | 1994-04-20 | 1994-04-20 | 水中有害付着生物防除剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07285815A (ja) |
-
1994
- 1994-04-20 JP JP8191894A patent/JPH07285815A/ja active Pending
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