JPH0728067A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置及びその製造方法

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JPH0728067A
JPH0728067A JP8685394A JP8685394A JPH0728067A JP H0728067 A JPH0728067 A JP H0728067A JP 8685394 A JP8685394 A JP 8685394A JP 8685394 A JP8685394 A JP 8685394A JP H0728067 A JPH0728067 A JP H0728067A
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JP
Japan
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liquid crystal
alignment
polyimide
alignment film
crystal display
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Application number
JP8685394A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Haruhara
一之 春原
Tsutomu Hasegawa
励 長谷川
Hiroyuki Osada
洋之 長田
Takeshi Yamamoto
武志 山本
Masumi Okamoto
ますみ 岡本
Takahiro Yamamoto
恭弘 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Publication of JPH0728067A publication Critical patent/JPH0728067A/ja
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1337Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers
    • G02F1/133753Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers with different alignment orientations or pretilt angles on a same surface, e.g. for grey scale or improved viewing angle

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  • Liquid Crystal (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 有効視野角の広い、表示異常の少ない液晶表
示装置を提供することを目的とする。 【構成】 表面に配向膜が形成された一対の基板間に液
晶を充填した液晶セルを具備する液晶表示装置であっ
て、表示画面内に形成された配向方位または液晶分子の
立ち上がり方向が異なる複数の配向領域を形成し、前記
配向膜材料を、300℃〜400℃のガラス転移温度を
有するポリイミド、骨格中に2回転対称軸を持たないポ
リイミド、非共役系炭素が骨格中のイミド結合部を除い
た全炭素数の10〜60%を占めるポリイミド、20℃
で周波数1kHでの比誘電率が4〜7であるポリイミ
ド、テトラカルボン酸二無水物部分が自由回転を起こさ
ないポリイミド、及びイミド化率90%以上のポリイミ
ドからなる群から選ばれたポリイミドにより構成したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置に係り、特
に、複数の異なる配向領域を有する液晶表示装置及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型化、低電圧駆動が
可能であるため、腕時計、電卓などの表示装置として広
く使用されている。液晶表示素子の表示方式として、ツ
イステッドネマチック(TN)型液晶表示方式とSTN
型液晶表示方式とがあるが、TN型液晶表示方式は、T
FTなどのアクティブスイッチ素子を組み込む事により
CRT並の優れた表示特性をもたせることができ、一
方、STN型液晶表示方式は、ハイデューティのマルチ
プレックス駆動を可能とするという特徴を有する。その
ため、両者共にワードプロセッサーやパーソナルコンピ
ューター等のディスプレイに広く使用されるようになっ
ている。
【0003】このうちTN型方式による液晶表示素子
は、駆動用電極や画素用電極等を配設し、表面に液晶組
成物のツイスト角やチルト角を制御するための配向層を
設けた透明基板と、同様に配向層を設けた対向基板とを
挾い間隔で対向配置させて液晶セルを構成し、これらの
基板間に液晶組成物を挾持し、最外層に2枚の、偏向方
向が直行した偏光板を配設する構造を有している。
【0004】しかし、TN型液晶表示方式は、液晶分子
が液晶セル内でねじれた構造をとり、その立上がりに方
向性があるため、見る方向により表示色やコントラスト
比が変化するといった視角依存性をもつという難点があ
る。更に、光利用効率が低いという欠点がある。特に、
視野角が狭いことは、TN型液晶表示では液晶分子の立
ち上がりに方向性があるため根本的な解決策はない。
【0005】この液晶分子の立ち上がり方向の影響は中
間調表示において特に顕著となり、立ち上がり方向によ
り一義的にコントラストが低下する方向と色反転が起き
る方向とが決まる。
【0006】この問題を解決するため、配向膜上の液晶
分子の立ち上がり方向を画素内で変化させることによ
り、面内方向での視野角の違いを相互補償させ、視野角
を広げる試みがなされている。即ち、プレチルト角の異
なる配向膜を複数設けることにより立ち上がり方向を変
化させる方法が提案されている
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法によ
ると、異種の配向膜を組み合わせることにより、交流駆
動にもかかわらず直流成分が発生し、アクティブマトリ
ックス駆動で最適コモン電位がドリフトする現象がみら
れ、フリッカーまたは焼き付きといった表示不良が生じ
る原因になっている。
【0008】更に、配向膜を一方の方向にラビング処理
した後、マスクを形成し、マスクを通して露出する配向
膜を異なる方向にラビング処理することにより、液晶分
子の立ち上がり方向を変化させた複数の配向領域を設け
る方法が提案されている。しかし、この方法では、マス
ク材料に含まれる溶媒、マスク材料そのもの、マスク材
料をパターニングする際の現像液、マスク材料を剥離す
る際の剥離液等の影響で配向膜が劣化したり、配向性が
低下するという現象が確認された。その上、マスク材料
によっては耐ラビング性が低く、マスクの剥がれや削れ
といった問題があることが明らかになり、マスク材料の
選定が非常に困難であった。
【0009】本発明は、このような事情の下になされ、
有効視野角の広い、表示異常の少ない液晶表示装置を提
供することを目的とする。
【0010】本発明の他の目的は、有効視野角の広い、
表示異常の少ない液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置
は、配向膜上の液晶分子の立ち上がり方向を画素内で変
化させることにより面内方向での視野角の違いを相互補
償させ、視野角を広げることを特徴とするものであり、
配向領域の分割にはマスクを用いた配向処理を複数回繰
り返すことにより行ない、配向膜の材料とマスク材料と
を限定するものである。
【0012】本発明の第1の態様によると、表面に配向
膜が形成された一対の基板間に液晶を充填した液晶セル
を具備する液晶表示装置であって、表示画面内に形成さ
れた配向方位または液晶分子の立ち上がり方向が異なる
複数の配向領域を具備し、前記配向膜材料が(a)30
0℃〜400℃のガラス転移温度を有するポリイミド、
(b)骨格中に2回転対称軸を持たないポリイミド、
(c)非共役系炭素が骨格中のイミド結合部を除いた全
炭素数の10〜60%を占めるポリイミド、(d)20
℃で周波数1kHでの比誘電率が4〜7であるポリイミ
ド、(e)テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物
とを反応させて得られるポリイミド、及び/又はこのポ
リイミドをイミド化したポリイミドであり、前記テトラ
カルボン酸二無水物部分が自由回転を起こさないもの、
及び(f)イミド化率90%以上のポリイミドからなる
群から選ばれたポリイミドを含むことを特徴とする液晶
表示装置が提供される。
【0013】本発明の第2の態様によると、一対の液晶
基板表面に配向膜を形成する工程と、この配向膜に第1
の方向に配向処理を施す工程と、配向膜上にマスクパタ
−ンを形成して選択的に配向膜を覆う工程と、前記マス
クパタ−ンを通して露出する配向膜に前記第1の方向と
は異なる第2の方向に配向処理を施す工程とを具備し、
前記マスクパタ−ンは、(a)引っ張り弾性率が20〜
500kgf/mm2 の感光性樹脂(b)感光波長30
0nm以上の感光性樹脂、(c)水溶性高分子、(d)
熱変形温度が50℃以上の感光性樹脂、(e)曲げ弾性
率が0.9〜5.1GPaの感光性樹脂、及び(f)ロ
ックウェル硬さがM50以上の感光性樹脂からなる群か
ら選ばれた物質を含む、表示画面内に配向方位または液
晶分子の立ち上がり方向が異なる複数の配向領域が形成
されている液晶表示装置の製造方法が提供される。
【0014】本発明の第3の態様によると、一対の液晶
基板表面に配向膜を形成する工程と、この配向膜に第1
の方向に配向処理を施す工程と、配向膜上に感光性樹脂
を塗布して現像液により現像し、マスクパタ−ンを形成
して選択的に配向膜を覆う工程と、前記マスクパタ−ン
を通して露出する配向膜に前記第1の方向とは異なる第
2の方向に配向処理を施す工程と、剥離液を用いて前記
マスクパタ−ンを除去する工程とを具備し、前記現像液
及び/又は剥離液は、130℃以下の沸点を有する有機
水溶液を含む、表示画面内に配向方位または液晶分子の
立ち上がり方向が異なる複数の配向領域が形成されてい
る液晶表示装置の製造方法が提供される。
【0015】本発明の第4の態様によると、一対の液晶
基板表面に配向膜を形成する工程と、この配向膜に第1
の方向に配向処理を施す工程と、配向膜上に感光性樹脂
を塗布して現像液により現像し、マスクパタ−ンを形成
して選択的に配向膜を覆う工程と、リンス液を用いて前
記現像液を除去する工程と、前記マスクパタ−ンを通し
て露出する配向膜に前記第1の方向とは異なる第2の方
向に配向処理を施す工程と、剥離液を用いて前記マスク
パタ−ンを除去する工程とを具備し、前記リンス液及び
/又は剥離液は、溶解度パラメ−タが8.7cal1/2
・cm-3/2未満、または10.0cal1/2 ・cm-3/2
を越える有機溶剤を含む、表示画面内に配向方位または
液晶分子の立ち上がり方向が異なる複数の配向領域が形
成されている液晶表示装置の製造方法が提供される。
【0016】
【作用】本発明者らは、マスク材料及び配向膜材料の選
定に当り、多くの実験を繰り返し、鋭意研究を重ねた結
果、以下に示すように、特定のポリイミド配向膜、及び
レジストマスク材料が有効であることを見出だした。
【0017】1.本発明者らは、レジストマスク材料と
ポリイミド配向膜について検討を重ねた結果、ポリイミ
ド配向膜の熱的性質とレジストマスクのパターニングに
使用する溶媒との間に一定の関係があることを見いだし
た。
【0018】即ち、マスク材料としては、パターニング
性が良好であるとともに、ラビング配向処理時に剥れや
削れが全くない材料として、ネガ型フォトレジスト、特
にブタジエン環化ゴム系のレジスト、またポジ型ホトレ
ジスト、特にアクリル系のレジストを選定した。ブタジ
エン環化ゴム系及びアクリル系材料は、弾力性に富む材
料であるため、前述したマスクの剥れや削れという問題
が生じないことがわかった。
【0019】ブタジエン環化ゴム系材料は、溶媒として
アルキルベンゼンを用い、現像もアルキルベンゼンを現
像剤として用いて行うことが出来る。更に、マスクの剥
離は、アルキルヒドロキシベンゼン、アルキルベンゼン
スルホン酸等の芳香族系酸性溶媒を用いて行なうことが
出来る。また、アクリル系材料は、溶媒としてセロソル
ブ系を用い、現像は有機アルカリ水溶液を用いて行い、
剥離はセロソルブ系溶媒を用いて行うこと出来る。
【0020】本発明者らは、これらの有機溶媒に対し完
全に不溶性であり、影響を受けない配向膜材料として種
々のポリイミドを検討した結果、ガラス転移点が450
℃の全芳香族系ポリイミドは前記溶媒の影響を受けるの
に対し、ガラス転移点が380℃の脂肪族直鎖を含むポ
リイミドは影響を受けにくいことを見出だした。
【0021】溶媒による影響の度合いをポリイミドのガ
ラス転移温度を変えて調べたところ、図1に示す結果を
得た。なお、図1に示すデ−タは、代表例としてラビン
グ後の配向膜の一部を前記ネガ型レジスト剥離液に1時
間浸漬し、液晶セルを形成し、液晶を注入した状態で、
浸漬しなかった部分の配向秩序度に対する浸漬した部分
の配向秩序度の割合を示すものである。図1に示す結果
から、ポリイミドのガラス転移温度が低い方が前記溶媒
の影響を受けにくいことがわかる。これは、ガラス転移
温度がポリイミドの骨格構造、さらには成形した場合の
内部構造の違いを反映しているためと考えられる。但
し、ガラス転移温度が300℃を下回ると、80℃で1
00時間後の通常状態での配向安定性が低下し始めるこ
とがわかった。初期配向に対するライフ試験後の配向の
配向秩序度の低下の度合いも、図1に示す結果と同様の
傾向を示した。
【0022】以上の結果より、ネガ型レジストマスク材
料に対し配向膜ポリイミドの構造が重要な意味合いを持
ち、実用的には、構造を反映した形でガラス転移温度が
300℃〜400℃、好ましくは350〜400℃とい
う熱的性質を有するポリイミドを用いることにより、配
向劣化なしに、同一配向膜上をマスクを用いてラビング
を複数回繰り返すことによる画素分割配向処理を行うこ
とが可能である。なお、マスク材料としてポジ型レジス
トを用いた場合にも、現像液としての有機アルカリ水溶
液のアルカリ濃度を薄くすることにより、以上の配向膜
材料を適用し得ることがわかっている。
【0023】2.本発明者らは、配向膜を構成するポリ
イミドの骨格とレジストマスクのパターニングに使用す
る溶媒との間に一定の関係を見いだした。
【0024】本発明者らは、これら有機溶媒に対し完全
に不溶性であり影響を受けない配向膜材料として種々の
ポリイミドを検討した結果、骨格が直鎖であるポリイミ
ドは前記溶媒の影響を受けるのに対し、脂環または脂肪
族側鎖を含むポリイミドは影響を受けにくいことを見出
だした。即ち、ポリイミドの骨格の屈曲性により影響の
受け方が異なることになる。
【0025】前記レジストに用いる溶媒は主として芳香
族系であり、極性が低いため、屈曲性の乏しく極性基が
膜表面に突出してこない骨格に対しては、その鎖内に溶
媒が浸透しやすく、配向処理の効果を減少させるものと
考えられる。特に、2回転対称軸を持ちながら溶媒可溶
のポリイミドは、可溶性を出すためにバルキーな側鎖を
有する。このような骨格では、膜化した後の膜内鎖構造
において、鎖と鎖の側面間距離が大きくなるため、先の
溶媒がさらに浸透しやすくなるため、配向劣化が著しく
起こる。
【0026】3.本発明者らは、配向膜を構成するポリ
イミドの骨格とレジストマスクのパターニングに使用す
る溶媒との間に一定の関係を見いだした。
【0027】本発明者らは、この溶媒に対し完全に不溶
性であり影響を受けない配向膜材料として種々のポリイ
ミドを検討した結果、骨格が全芳香族系であるポリイミ
ドが前記溶媒の影響を受けるのに対し、脂環または脂肪
族直鎖を含むポリイミドは影響を受けにくいことがわか
った。
【0028】影響の度合いを、ポリイミドの骨格構造中
におけるイミド結合部分の炭素をのぞき全炭素原子の
内、非共役系炭素の占める割合を変えて調べたところ、
図4に示す結果を得た。ここで、下記式(1)に示す代
表的ポリイミドを用いて、前記非共役系炭素の占める割
合を計算した例を示す。
【0029】
【化1】 (式中、nは、重合度) 式(1)に示すポリイミドにおいて、イミド結合部分の
炭素を除くと繰り返し単位当たりの全炭素数29内、ベ
ンゼン環等π電子を含有しない、共役系炭素でない炭素
数は4である。従って、この場合、非共役系炭素の占め
る割合は13.8%となる。図2に示すデ−タは、ラビ
ング後の配向膜の一部を前記レジスト剥離液に1時間浸
漬し、液晶セルを形成し、液晶を注入した状態で浸漬し
なかった部分の配向秩序度に対する浸漬した部分の配向
秩序度の割合を示す。
【0030】図4に示す結果から、非共役系炭素の割合
が大きい方が良好な結果が得られることがわかる。但
し、この割合が50%を越えると、80℃で100時間
後の通常状態での配向安定性が低下し始めることがわか
る。初期配向に対するライフ試験後の配向の配向秩序度
の低下の度合いも、図2に示す結果と同様の傾向を示し
た。
【0031】以上の結果よりレジストマスク材料に対し
配向膜ポリイミドの骨格組成が重要な意味合いを持ち、
実用的には、非共役系炭素が骨格中イミド結合部を除い
た全炭素組成の10〜60%,好ましくは20〜45%
をしめるポリイミドを用いることにより、配向劣化なし
に、同一配向膜上をマスクを用いてラビングを複数回繰
り返すことにより画素分割配向処理を行うことが可能で
ある。
【0032】4.本発明者らは、ポリイミド配向膜の電
気的性質とレジストマスクのパターニングに使用する溶
媒との間に一定の関係を見いだした。
【0033】本発明者らは、これら溶媒に対し完全に不
溶性であり、影響を受けない配向膜材料として種々のポ
リイミドを検討した結果、20℃周波数1kHzでの条
件下、比誘電率が3.5の全芳香族系ポリイミドは前記
溶媒の影響を受けるのに対し、比誘電率が4.2の脂肪
族直鎖を含むポリイミドは影響を受けにくいことを見出
だした。
【0034】影響の度合いをポリイミドの周波数1kH
zでの比誘電率を変化させて調べたところ、図3に示す
結果を得た。なお、図3に示す結果は、ラビング後の配
向膜の一部を前記レジスト剥離液に1時間浸し、液晶セ
ルを形成し、液晶を注入した状態で浸さなかった部分の
配向秩序度に対する浸した部分の配向秩序度の割合を示
す。
【0035】図3に示す結果から、比誘電率が大きい方
が前記溶媒の影響を受けにくいことがわかる。これは、
比誘電率がポリイミドの骨格構造さらには成膜した場合
の内部構造の違いを反映しているためであると考えられ
る。但し、誘導率が6を越えると80℃100時間後の
通常状態での配向安定性が低下し始めることがわかっ
た。初期配向に対するライフ試験後の配向の配向秩序度
の低下の度合いも、図3に示す結果と同様の傾向を示し
た。
【0036】以上の結果より、レジストマスク材料に対
し配向膜ポリイミドの構造が重要な意味合いを持ち、実
用的には、構造を反映した形で誘導率が4〜7,好まし
くは4.5〜6.5といった電気的性質を有するポリイ
ミドを用いることにより、配向劣化なしに、同一配向膜
上をマスクを用いてラビングを複数回繰り返すことによ
る画素分割配向処理を行うことが可能である。
【0037】5.本発明者らは、配向膜を構成するポリ
イミドの骨格とレジストマスクのパターニングに使用す
る溶媒との間に一定の関係を見いだした。
【0038】すなわち、本発明者らは、マスク材料であ
るフォトレジストのための溶媒(希釈液)、現像液、リ
ンス液、剥離液、剥離後のリンス液に対し、完全に不溶
性であり、何ら影響を受けない配向膜材料として、種々
のポリイミドを検討した結果、テトラカルボン酸二無水
物とジアミン化合物とを反応させて得られるポリイミ
ド、及び/又はこのポリイミドをイミド化したポリイミ
ドであって、その構成成分であるテトラカルボン酸二無
水物が自由回転を起こすポリイミドは、上述の溶剤の影
響を受けるのに対し、テトラカルボン酸二無水物成部分
が自由回転を起こさないポリイミドは、上述の溶剤によ
り影響を受けないことを見出だした。
【0039】テトラカルボン酸二無水物部分が自由回転
を起こすポリイミドとは、下記一般式(2)において、
2つのイミド基を結合しているRが、−CH2 −、−C
2−CH2 −、−CO−、−CH2 −CO−、−CH
2 −CO−CH2 −、−CH2 −COO−、CF2 等の
単結合を含むポリイミド分子をいう。
【0040】
【化2】 テトラカルボン酸二無水物部分が自由回転を起こすポリ
イミドの具体例として、下記一般式(3)、(4)に示
すものが挙げられる。
【0041】
【化3】 これに対し、テトラカルボン酸二無水物部分が自由回転
を起こさないポリイミドとは、Rがシクロブタン環、ベ
ンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等の環
状構造や、二重結合や三重結合を含むポリイミド分子を
いう。
【0042】テトラカルボン酸二無水物部分が自由回転
を起こさないポリイミドの具体例として、下記一般式
(5)、(6)、(7)に示すものが挙げられる。
【0043】
【化4】 テトラカルボン酸二無水物部分の自由回転の有無が上述
の溶液からの影響を左右するということは、ポリイミド
の骨格の屈曲性により、溶剤の影響の受け方が異なると
いうことである。このように、ポリイミドの骨格の屈曲
性により、溶剤の影響の受け方が異なるのは、次のよう
な理由によるものと考えられる。
【0044】酸無水物部分の自由回転が起こるポリイミ
ド骨格は、分子の屈曲性が高いため、ポリイミド分子鎖
間の間隔が広く、溶剤が浸透し易い。溶剤分子がポリイ
ミド分子中に浸透すると、ラビング処理により配向した
ポリイミド分子鎖間の間隔を広げ、配向した分子鎖の緩
和(ランダム化)が生ずる。分子鎖がランダムになると
いうことは、ラビング効果が低下するということであ
り、液晶セルにおける液晶の配向度が下がり、配向不良
が発生してしまう。
【0045】これに対し、酸無水物部分の自由回転が起
こらないポリイミドは、分子鎖の間隔が密(層状構造を
とる場合が多い)で、溶剤分子の浸透が殆どなく、配向
したポリイミド分子鎖の緩和は起こらない。従って、配
向不良は生じない。
【0046】6.本発明者らは、ポリイミド配向膜のイ
ミド化率とレジストマスクのパターニングに使用する溶
媒との間に一定の関係を見いだした。
【0047】ポリイミド配向膜は、下記一般式(8)に
示すように、一般に酸二無水物またはその誘導体とジア
ミンとを主に非プロトン系極性溶剤中で反応させて得ら
れるポリアミック酸溶液を基板上に塗布して、このポリ
アミック酸(I )を脱水閉環してポリイミド(II)とし
ている。
【0048】
【化5】 (式中、R1 およびR2 は2価の有機基、nは重合度を
表す。)ここで、イミド化が不十分でポリイミド配向膜
中にポリアミック酸成分が存在すると、ポリアミック酸
成分のN−H結合が酸やアルカリに対して変化を起こし
やすい。一般に、ポジ型レジストでは現像液はアルカリ
性であり、ネガ型レジストでは剥離液は酸性である。し
たがって、イミド化が不十分でポリアミック酸成分が多
く残っているポリイミド配向膜が現像液あるいは剥離液
に触れるとN−H結合部分が反応し、ポリアミック酸成
分が変質しやすくなり、配向膜が劣化される。その結
果、液晶配向が不均一となり、表示品位を低下させると
の問題がある。 本発明者らは、これら現像液又は剥離
液に対し完全に不溶性であり、影響を受けない配向膜材
料として種々のポリイミドを検討した結果、配向膜とし
てイミド化率が90%以上、好ましくは95%以上のポ
リイミド膜を用いることにより、上述の問題を解決し得
ることを見出だした。
【0049】このポリイミド膜は、下記式(9)に示す
構造を有するポリイミド成分を90%以上含むポリイミ
ドであることが好ましい。また、この場合、マスク材料
としては、ビスアジド化合物を添加した環化ゴムからな
るネガ型レジストを用いることが好ましい。
【0050】
【化6】 ここで、イミド化が不十分でポリイミド配向膜中にポリ
アミック酸成分が存在すると、ポリアミック酸成分のN
−H結合が酸やアルカリに対して変化を起こしやすい。
一般に、ポジ型レジストでは現像液はアルカリ性であ
り、ネガ型レジストでは剥離液は酸性である。したがっ
て、イミド化が不十分でポリアミック酸成分が多く残っ
ているポリイミド配向膜が現像液あるいは剥離液に触れ
るとN−H結合部分が反応し、ポリアミック酸成分が変
質しやすくなり、配向膜が劣化される。その結果、液晶
配向が不均一となり、表示品位を低下させるとの問題が
ある。
【0051】本発明に係るポリイミド膜は、酸二無水物
またはその誘導体とジアミンとを主に非プロトン系極性
溶剤中で反応させて得られるポリアミック酸溶液を脱水
閉環して得られる。また、酸二無水物またはその誘導体
とジイソシアネートとを主に非プロトン系極性溶剤中で
反応させて得ることもできる。本発明に係わるポリアミ
ック膜またはポリイミドは、固有粘度(30℃、ジメチル
ホルムアミド中0.05g/dlで測定)が0.05g/dl以上、好ま
しくは0.05〜5g/dl であれば使用することができる。
【0052】上記ポリイミドを得るために使用できる酸
二無水物またはその誘導体は、2、3、5−トリカルボ
キシシクロペンチル酢酸二無水物、シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸
二無水物、5−(2、5−ジオキソテトラヒドロフリ
ル)−3−ミチル−シクロヘキセンジカルボン酸二無水
物、ビシクロ(2、2、2)−オクト−7−エン−2、
3、5、6−テトラカルボン酸二無水物、3、5、6−
トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物等の脂
環族テトラカルボン酸二無水物またはこれらの誘導体、
1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、
2、2、6、6−ヘプタンテトラカルボン酸二無水物等
の脂環族テトラカルボン酸二無水物またはこれらの誘導
体、ピロメリット酸二無水物、3、4、3´、4´−ベ
ンゾフエノンテトラカルボン酸二無水物、ビフエニルテ
トラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、ビス(ジカルボキシフェニル)プロパン二無
水物、ビス(ジカルボキシフェニル)スルホン二無水
物、ビス(ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、
3、4、3´、4´−ジメチルジフェニルシランテトラ
カルボン酸二無水物、パーフルオロイソプロピリデンテ
トラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二
無水物またはこれらの誘導体等を挙げることができる。
これらは単独でも混合物としても用いることができる。
【0053】これらの中でも、溶解性に優れ、低温処理
のできるポリイミド溶液が得られる2、3、5−トリカ
ルボキシシクロペンチル酢酸二無水物またはその誘導体
が好ましい。
【0054】使用できるジアミンは、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペ
ンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプ
タメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメ
チレンジアミン、4、4´−ジメチルヘプタメチレンジ
アミン、1、4−ジアミノシクロヘキサン、テトラヒド
ロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−
4、7−メタノインダニレンジメチレンジアミン等の脂
肪族または脂環族ジアミン、4、4´−ジアミノジフェ
ニルメタン、4、4´−ジアミノジフェニルエーテル、
2、6ージアミノトルイレン、2、4−ジアミノトルイ
レン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミ
ン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミ
ン、4、4´−ジアミノジフェニルスルホン、3、3´
−ジアミノジフェニルスルホン、4、4´−ジアミノジ
フェニルサルファイド、4、4´−ジアミノベンゾフェ
ノン、2、6−ジアミノナフタレン、1、5−ジアミノ
ナフタレン、4、4´−ジアミノジフェニル、3、3´
−ジメチル4、4´−ジアミノジフェニル、3、3´−
ジカルボキシ−4、4´−ジアミノジフェニルメタン、
3、3´−ジメチル4、4´−ジアミノジフェニルメタ
ン等の芳香族ジアミンおよび下記一般式(10)で表せ
るジアミノオルガノシロキサン等を挙げることができ
る。これらは単独でも混合物としても用いることができ
る。
【0055】
【化7】 (式中、R3 は炭素数1 〜50のメチレン基、フェニル
環、シクロヘキサン環を、R4 は炭素数1 〜20のアル
キレン基、フェニル基、シクロヘキシル基を、mは1 〜
100の整数を表す。) また、ジイソシアネートとしては、上述のジアミンのア
ミノ基をイソシアネート基で置換したものを使用でき
る。
【0056】上述の酸二無水物またはその誘導体とジア
ミンあるいはジイソシアネートとの反応溶媒としては、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホオキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、
N−メチル−2−ピロリドン、テトラメチルユリア、γ
−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒が単独ある
いは混合物として使用できる。また、アルコール、ケト
ン、エステル、炭化水素類などの一般的有機溶媒を混合
することもできる。
【0057】本発明に係るポリイミド膜では、イミド化
率が90%以上であるので、ポリアミック酸成分に存在
するN−H結合部分が少なくなり、レジストの現像・剥
離作用による配向膜表面の劣化を防ぐことができる。こ
こで、イミド化率とは、ポリアミック酸(I )成分とポ
リイミド (II) 成分の合計量に対するポリイミド(II)成
分の割合、または全成分中におけるポリイミド(II)成分
の割合をいう。このイミド化率は、たとえば、ポリアミ
ック酸(I) の脱水閉環に伴い生成するポリイミド(II)の
イミド環カルボニル基の赤外線吸収スペクトルの変化を
測定することによって容易に測定することができる。
【0058】配向層におけるイミド化率を90%以上と
する方法としては、有機溶媒可溶性ポリイミドを使用す
る方法やポリアミック酸溶液を塗布して熱的または科学
的手段により脱水閉環してポリイミドに変換する公知の
方法を使用することができる。
【0059】ポリイミド膜配向層に存在するポリアミッ
ク酸成分のN−H結合部分は、たとえば、レジスト剥離
液の酸性成分であるアルキルベンゼンスルフォン酸等と
酸一塩基反応を起こし易くなる。その結果、ポリアミッ
ク酸成分を含むポリイミド膜配向層はラビング方向に均
一に配向している配向膜の主鎖の乱れを生じさせるの
で、液晶の配向が不均一になる。
【0060】しかし、本発明のポリイミド膜配向層はポ
リアミック酸成分含有量を10%未満に抑えるので、レ
ジストの現像あるいは剥離による液晶表示素子の表示品
位の劣化を抑えることができる。その結果、全方位から
ほぼ均一な視野角特性を有する高品位な表示素子を得る
ことができる。
【0061】また、ポリイミド膜として、上述の一般式
(8)で表されるポリイミド成分を90%以上含むポリ
イミドを好適に使用するが、このポリイミドは溶解性に
優れ、γ−ブチロラクトン等の有機溶剤に容易にポリイ
ミドの状態で溶解し、安定した溶液となる。このため、
基板上に容易に塗布でき、カラーフィルタなど他の部材
を破壊することのない180℃程度の比較的低い温度で
完全にイミド化されたポリイミド膜を基板上に形成でき
る。
【0062】イミド化率が90%以上のポリイミド膜の
配向処理をするに際して、レジストがビスアジド化合物
を添加した環化ゴムからなるネガ型レジストを使用する
と、数ミクロンという微細なパターンが容易に形成でき
る。ビスアジド化合物を添加した環化ゴムからなるネガ
型レジストは紫外光の照射により高感度で架橋反応が進
むためである。さらに、このレジストはポリイミド膜と
同程度の硬度を有するため、ラビング法で配向処理をす
るに際してレジストの表面から剥離物や脱藩物が生じ、
これが配向膜表面を傷つけたり、クリーンルームを汚染
したりすることがない。
【0063】本発明では、マスク材料としてネガ型フォ
トレジスト、ポジ型のいずれのフォトレジストを用いて
もよいが、ネガ型フォトレジストを用いるのが好まし
い。なお、ポジ型フォトレジストを用いる場合には、以
下に説明するように、アクリル系ポジ型フォトレジスト
を用いるのが好ましい。
【0064】半導体の製造工程において、ポジ型レジス
トのベ−ス樹脂としてノボラック樹脂が最も広く用いら
れている。しかし、ノボラック樹脂は弾性が低いため、
ノボラック系のポジ型レジストを用いると、2回目のラ
ビングの際にレジスト表面からの剥離物や脱落物が生
じ、配向膜の表面に傷を付けたり、ゴミ(剥離物)が原
因で表示不良を起こすことがあった。
【0065】これに対し、ベ−ス樹脂としてアクリル樹
脂を用いたポジ型レジストを用いると、レジスト表面か
らの剥離物や脱落物が生じることがなく、ブタジエン環
化ゴム系ネガ型レジストを用いた場合と同様の良好な結
果が得られた。この理由は、ノボラック樹脂に比べアク
リル樹脂は弾性に富み、かつ下地であるポリイミド配向
膜との接着性にも優れているためである。
【0066】アクリル系ポジ型レジストのうち、化学増
幅型のものを用いると、非常に高感度でサブミクロン程
度の微細なパタ−ンを形成することが出来る。この化学
増幅型レジストは、ベ−ス樹脂であるアクリル樹脂やポ
リメチルメタクリレ−トに、オニウム塩やニトロベンジ
ルエステルやスルホン酸エステルなどの酸発生剤と、ア
セタ−ル化合物、ポリフタルアルデヒド、シリルエ−テ
ルポリマ−、脂肪酸エステル、メトキシメチルメラミン
等の溶解阻害剤を混合したものである。
【0067】なお、上述のように、配向膜にイミド化率
が90%以上のポリイミドを用いることにより、好まし
い結果が得られるのであるが、ポジ型レジストを用いる
場合には、配向膜にイミド化率が90%未満のポリイミ
ドを用いることも可能である。配向膜にイミド化率が9
0%未満のポリイミド膜を用いれば、ポジ型レジストの
現像液あるいは剥離液による表示品位の劣化という問題
を防止することが可能である。この作用を以下に説明す
る。
【0068】画素像分割配向処理法でポジ型レジストの
パターンを形成する際、配向膜表面にアルカリ性現像液
が接するため、配向膜表面を変質させ、液晶分子のプレ
チルト角を低減させてしまうことがわかった。しかし、
配向膜にイミド化率が90%未満%のポリイミド膜を用
いることにより、配向膜に含有されるポリアミック酸が
プレチルト角を上げる作用があるため、適当な(2〜1
0°)プレチルト角を得ることが可能である。この結
果、液晶配向は良好で、全方位からほぼ均一な視野角特
性を有する高品位な表示素子を得ることができた。
【0069】また、この場合、マスク材料は、クレゾー
ルノボラック系またはアクリル系ポジ型レジストであ
る。このレジストは、波長365nmや406nmのU
V光に高感度であり、数ミクロンといった微細なパター
ンが容易に形成できる。
【0070】7.本発明者らは、マスク材料について種
々検討を行った結果、マスク材料として、引っ張り弾性
率が20〜500kgf/mm2 、好ましくは100〜
400kgf/mm2 のものを用いることにより、より
良好な結果が得られることを見出だした。
【0071】一般に、マスク材料としては、そのパター
ニングの必要性からフォトレジスト材料、特に、現在一
般に広く使用されているレジスト材料として、クレゾー
ルノボラック系のポジ型レジストが使用される。このレ
ジストはビスアジド等の感光剤を含み、この感光剤がU
V照射により構造が変化することでクレゾールノボラッ
ク本来の水溶性が出てくることを利用した材料である。
そのため、水に溶けやすいように分子量を低く抑えてあ
る。
【0072】また、フェノール樹脂系の特徴として、硬
くもろく機械的ショックに弱いことが挙げられる。硬い
高分子は一般に弾性率が低く、塑成変形が始まる降伏点
を持たない。このレジスト上をラビングすると、布繊維
が当たったところが削れてしまう。この削れクズはゴミ
の原因になるだけでなく、ラビング布に付着し後の基板
を汚し、ラビング効果を著しく低下させた。
【0073】以上により、マスク材料には一定以下の弾
性を有するものでなければならない。本発明者らが種々
の高分子物質について検討したところ、下記表1に示す
ように、引っ張り弾性率が20kgf/mm2 以上の材
料の場合、ラビングによる膜剥がれや膜削れといった現
象が生じないことがわかった。さらに配向への影響を見
た場合、引っ張り弾性率が500kgf/mm2 を越え
ると、マスクの変形による配向パターンなまりが生じ、
さらにマスクの剥離残りも多いことがわかった。
【0074】
【表1】 そこでマスク材料として、引っ張り弾性率が20kgf
/mm2 以上500kgf/mm2 以下の材料を用いる
ことにより、はじめて配向処理効果を低減させることな
くレジストがパターニングでき、画素分割配向が工業的
に実現できた。
【0075】8.本発明者らは、マスク材料について、
種々検討を行った結果、マスク材料として感光波長30
0nm以上の感光性樹脂を用いることにより良好な結果
が得られることを見出だした。
【0076】マスク材料によっては耐ラビング性が低
く、マスクの剥がれや削れといった問題があることが明
らかになり、マスク材料の選定が非常に困難であった。
本発明者らは、これらマスク材料を検討した結果、マス
ク材料にはこれまで明らかにされていなかった条件が必
要であることがわかった。
【0077】マスク材料は配向領域を分割するために用
いることから、パターニングが必要となる。ここでミク
ロン単位のパタ−ニング精度を出すためにはフォトレジ
ストを用いたパターニングを行うことが最も好ましい。
パターニングはフォトレジストにi線、g線、電子線、
エキシマレーザービーム、X線等短波長の電磁波をフォ
トマスクを介して照射することにより行われる。ところ
が、ここでラビング配向処理を施した配向膜上に、g線
未満特に300nm未満の波長の光を照射すると、その
照射量に応じてさきに施した配向処理の効果が減少して
いくことがわかった。
【0078】図4に熱閉環型ポリイミド配向膜をラビン
グした後、照射量をかえて250nmから300nmの
光を照射し、液晶セルを形成した場合の配向秩序度変化
を示す。このような配向秩序度変化は、配向膜材料自身
がこの領域の波長の光を吸収し、材料骨格の一部が切れ
ることにより起こる現象である。波長250nmの光は
114kcal/molのエネルギーを持ち、これは通
常の炭素−炭素結合を切断するに十分な値である。従っ
て、レジストそのものをラビングマスクとして用いる場
合もフォトレジストを用いてマスク材料をパターニング
する場合においても、300nm未満の光を照射してパ
ターニングを行うことができない。
【0079】そこでレジスト材料には300nm以上に
感光波長を持つ材料を用いることにより、はじめて配向
処理効果を低減させることなくマスクをパターニングす
ることができ、画素分割配向が実現できる。
【0080】9.本発明者らは、マスク材料について種
々検討を行った結果、マスク材料として水溶性高分子を
用いることにより、良好な結果が得られることを見出だ
した。 即ち、本発明者らは、ポリイミド等の配向膜に
影響をあたえない耐ラビング性の高い材料として、ポリ
ビニルアルコール等の水溶性高分子が有効であることを
はじめて確認することができた。水溶性高分子は、ポリ
イミド等の配向膜材料を溶解する溶媒を使用することな
くパターニングと剥離が可能であり、配向膜のためのマ
スク材料として用いることができるだけの耐ラビング性
がある。
【0081】ただし、ポリビニルアルコール等水溶性高
分子自身はパターニング性を有していないため、フォト
レジスト等を用いてパターニングする必要がある。ポジ
・ネガ型ともにアルカリ水溶液で現像するフォトレジス
ト材料を用いる場合、この現像工程においてその水溶性
高分子ゆえにパターニング部分が溶解し、配向膜が直接
アルカリ現像液にふれ配向膜の配向性が低下する現像が
確認された。ポリビニルアルコール等水溶性高分子を配
向膜のマスクに使用するためには、配向膜がアルカリ現
像液に浸漬されないようにその水溶性を調整する必要が
ある。
【0082】本発明者らによる検討の結果、たとえばポ
リビニルアルコールの水溶性はケン化度と重合度、さら
に焼成温度により調整することが可能であることがわか
り、図5に示すように、ケン化度90%以上、重合度1
000以上、焼成温度120℃以上のポリビニルアルコ
ール(PVA2)が、室温における水に対する溶解度が
低下することを確認することができた。なお、PVA1
は、上記条件を満たさないポリビニルアルコールであ
る。これがアルカリ水溶液現像の際のポリビニルアルコ
ールの必須条件である。この条件を満たす水溶性高分子
を用いることで、配向膜の材料を選ばず配向部分をマス
クし複数回の配向処理を施すことがはじめて可能となっ
た。
【0083】さらに、ネガ型レジストを用いた場合、特
に2回目の配向処理を施した後のレジスト剥離時に配向
膜を溶解能が高い溶媒に高温といった条件下さらすこと
になるため、これが配向劣化の原因となるが、レジスト
材料を水溶性高分子上に形成することにより、温水中に
基板を浸すだけで水溶性高分子部分が溶解し、簡単にレ
ジスト部分を剥離することが可能である。ゆえに、水溶
性高分子層を設けることによりすべてのレジスト材料を
用いることができる。
【0084】この場合に用いる配向膜としては、ポリイ
ミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、
ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテ
ル、ポリスルフィド、ポリベンゾイミダゾピロロン、ポ
リフェニル、ポリナフタレン、ポリシアノアセチレン、
ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアニリン等
非水溶性高分子フィルム上をラビング等配向処理を施し
たもの、SiO等無機の斜方蒸着膜等があげられる。
【0085】10.本発明者らは、マスク材料について
種々検討を行った結果、マスク材料として熱変形温度が
50℃以上、好ましくは130℃以上である感光性樹脂
を用いることにより、良好な結果が得られることを見出
だした。
【0086】本発明者らは、ポリエチレンに感光基を結
合したエチレン系ポジ型レジストをマスク材料として用
いたところ、ラビング時にレジストが変質して変形する
という問題が生じた。これを調べたところ、ラビング時
にラビング布とレジストとの間に摩擦熱が発生し、この
熱がレジストの一部を分解し、その結果、レジストが変
形することがわかった。
【0087】レジストが変形すると、液晶分子の立上り
方向が互いに異なる複数の配向領域を正しく分割するこ
とが出来なくなってしまう。更に、摩擦熱によるレジス
ト分解物は、クリ−ンル−ムを汚染したり、ラビング布
に付着してラビング効果を低下させてしまう。従って、
マスク材料は、適当な耐熱性を有する必要がある。
【0088】本発明者らは、種々の高分子材料について
検討した結果、図6に示すように、耐熱温度が50℃以
上の場合、ラビング時のレジストの変形が生じないこと
を見出だした。
【0089】そこで、マスク材料として、熱変形温度が
50℃以上、好ましくは130℃以上の感光性樹脂を用
いることにより、感光性樹脂層は、配向効果を損なうこ
となくパタ−ニングされ、画素分割を適切に行うことが
可能となる。
【0090】11.本発明者らは、マスク材料について
種々検討を行った結果、マスク材料として曲げ弾性率が
0.9〜5.1GPa、好ましくは2.0〜4.0GP
aの感光性樹脂を用いることにより、良好な結果が得ら
れることを見出だした。
【0091】一般に、マスク材料としては、パタ−ニン
グの必要からフォトレジスト材料が用いられる。現在広
く使用されているレジスト材料として、クレゾ−ルノボ
ラック系のポジ型レジストがある。本発明者らは、クレ
ゾ−ルノボラック系ポジ型レジストをマスク材料として
利用したところ、ラビング時にレジストが削られるとい
う問題が生じた。この削れクズは、クリ−ンル−ムを汚
染するだけでなく、ラビング布に付着し、その後の基板
を汚し、ラビング効果を著しく低下させてしまう。この
クレゾ−ルノボラック系ポジ型レジストは、フェノ−ル
樹脂の範疇にあり、従って、フェノ−ル樹脂に特徴的な
もろさ、機械的ショックに対する弱さがある。そのた
め、マスク材料としては、適当な弾性を有するものでな
ければならない。
【0092】本発明者らが種々の高分子材料について検
討したところ、図7に示すように、曲げ弾性率が5.1
GPa以下の材料の場合、ラビングによる膜剥がれや膜
の削れといった現象が生じないことがわかった。一方、
曲げ弾性率が0.9GPa未満では、マスクが変形する
ため配向領域の分割が正しく行えなず、またマスクの剥
離残りも多いことがわかった。
【0093】そこで、マスク材料として、曲げ弾性率が
0.9〜5.1GPaの感光性樹脂を用いることによ
り、感光性樹脂層は、配向効果を損なうことなくパタ−
ニングされ、画素分割を適切に行うことが可能となる。
【0094】12.本発明者らは、マスク材料について
種々検討を行った結果、マスク材料としてロックウェル
硬度がM50以上、好ましくはM70以上の感光性樹脂
を用いることにより、良好な結果が得られることを見出
だした。
【0095】本発明者らがノボラック系ポジ型レジスト
をマスク材料として用いたところ、ラビング時にレジス
トが削れてしまうという問題が生じた。この削れクズ
は、クリ−ンル−ムを汚染するだけでなく、ラビング布
に付着し、その後の基板を汚し、ラビング効果を著しく
低下させてしまう。そのため、マスク材料としては、適
当な硬度を有するものでなければならない。
【0096】本発明者らが種々の高分子材料について検
討したところ、図8に示すように、ロックウェル硬度が
M50以上の感光性樹脂の場合、ラビングによる膜剥が
れや膜の削れといった現象が生じないことがわかった。
【0097】そこで、マスク材料として、M50以上の
感光性樹脂を用いることにより、感光性樹脂層は、配向
効果を損なうことなくパタ−ニングされ、画素分割を適
切に行うことが可能となる。
【0098】13.本発明者らは、ポリイミドからなる
配向膜を全く溶解せず、配向膜に何ら影響を与えない現
像液及び剥離液の物性について検討した。その結果、図
9に示すように、130℃以下の沸点を有する有機溶
液、特にアルカリ性溶液が、液晶の配向やセル特性に何
ら影響を与えないことを見出だした。
【0099】これに対し、130℃を越える沸点を有す
る有機溶液を現像液または剥離液として用いた場合に
は、配向膜表面に付着した現像液又は剥離液は揮発しな
いので、現像液又は剥離液が配向膜の表面を覆ってしま
い、これが液晶セル中で不純物となり、液晶セルの特
性、特に電圧保持率を低下させるものと考えられる。
【0100】なお、現像液及び/又は剥離液として、1
30℃以下、好ましくは120℃以下の沸点を有する有
機水溶液を用いた場合、この有機水溶液がポリイミドか
らなる配向膜中に微量に残留し、これが液晶分子のプレ
チルト角を増加させることが認められた。その結果、液
晶セルの応答速度が向上するという予想外の効果が認め
られた。
【0101】この場合に用いる現像液は、水素イオン濃
度が10-11.5 以上、すなわちpHが11.5以下であ
ることが好ましい。
【0102】図10に示すように、pHが11.5を越
える、すなわち強アルカリ性の現像液を用いると、ポリ
イミド配向膜がアルカリ加水分解されてしまう。その結
果、液晶表示素子の駆動時の残留DC成分が配向膜中に
電荷として溜まり、液晶にかかる実行電圧が変化するた
め、コントラストの低下やフリッカが生じてしまうもの
と考えられる。
【0103】pHは空気中の二酸化炭素の影響も受ける
ので、pHが11.5以下の現像液を作るには、酸解離
定数pKaが10.1以下のものを水溶液とするのがよ
い。 14.本発明者らは、ラビングしたポリイミド基板をリ
ンス液、剥離液等に用いられる種々の有機溶剤に浸透さ
せ、この基板を液晶セルに組み込んで液晶セルの特性を
調べた。その結果、図11に示すように、有機溶剤の溶
解度パラメ−タとプレチルト角には相関があることがわ
かった。すなわち、図11から、溶解度パラメ−タが
8.7〜10.0cal1/2 ・cm-3/2であると、液晶
分子のプレチルト角が低下していることがわかる。これ
は、有機溶剤の溶解度パラメ−タがポリイミドのそれと
近いため、ラビングされたポリイミド表面を溶解又は膨
潤させるため、ポリイミドの表面状態(凹凸や分子の配
向度)が変化したと考えられる。従って、レジストの溶
剤、現像液、剥離液、リンス液には、溶解度パラメ−タ
が8.7cal1/2 ・cm-3/2未満、好ましくは7.0
cal1/2 ・cm-3/2以下、または10.0cal1/2
・cm-3/2を越える、好ましくは12.0cal1/2
cm-3/2以上の溶剤を用いることが望ましい。そうする
ことにより、溶剤の浸透によるプレチルト角の変化はな
く、エッジリバ−スの発生を最小限にすることが可能で
ある。
【0104】本発明の液晶表示素子に用いる表示方式と
しては、ツイステッドネマティック表示(TN)を始め
として、STN、SBE、ECB等、電界印加状態で液
晶分子の立ち上がり方向との違いにより視野角を限定さ
れる表示方式全てに用いることが可能である。
【0105】また、本発明の液晶表示素子にTFT等の
アクティブスイッチ素子を組み込むことにより、より良
好な表示が可能となる。
【0106】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。
【0107】図12は、本発明の一実施例に係る90°
TN型液晶表示素子を示す断面図である。
【0108】図12において、対向配置された一対の透
明基板1a,1b上に透明電極2a,2bが形成され、
これら透明電極2a,2b上に配向膜3a,3bが形成
されている。そして、これら配向膜3a,3b間の空隙
に液晶4が充填されている。液晶4の液晶分子は、図示
するように配向膜3a上における紙面に平行な方向から
配向膜3b上における紙面に垂直な方向まで90°捩じ
れて配向されている。
【0109】図13(a)〜(e)は、本発明に係る液
晶表示素子の基板の配向処理工程を示す断面図である。
なお、図では一方の基板1aの配向処理についてのみ示
すが基板1bについても同様の配向処理が施される。
【0110】まず、図13(a)に示すように、ガラス
基板1a上に透明電極2a及び配向膜3aを形成した
後、配向膜3aの全面に矢印の方向に第1のラビング処
理を施す。次いで、図13(b)に示すように配向膜3
aの全面にフォトレジスト5を塗布し、所定のパタ−ン
に露光及び現像し、図13(c)に示すようにフォトレ
ジストパタ−ン5aを形成する。
【0111】その後、図13(d)に示すように、第1
のラビング処理の方向とは180°方向を変えて、即ち
逆方向に第2のラビング処理を施す。そして、フォトレ
ジストパタ−ン5aを剥離することにより、図13
(e)に示すように、一画素内で配向方向が180°異
なる領域を有する液晶基板が得られる。
【0112】次に、本発明の具体的な実施例と比較例を
示し、本発明の効果をより詳細に説明する。
【0113】以下の実施例1、2は、配向膜材料として
300〜400℃のガラス転位温度を有するポリイミ
ド、マスク材料としてネガ型フォトレジストを用いた例
である。 実施例1 それぞれ透明電極を形成した2枚の透明基板上に、ガラ
ス転移温度が400℃である熱閉環型ポリイミドを塗布
した。次いで280℃でポストベークを1時間行なって
ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0114】この配向膜上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)10000オングスト
ロ−ムを形成した後、画素に相当する部分の半分の領域
を露光し、専用現像液で現像することによりフォトレジ
ストをパターニングし、画素の半分を被うマスクを形成
した。そして、2回目のラビング処理を1回目のラビン
グ方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク
層を除去した。
【0115】このようにして得た2枚の配向処理基板の
マスクが設けられていた部分同士、2回目のラビング処
理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み合わ
せ、その間にNp液晶を挟み込み、電極間距離6μmの
液晶表示セルを作製した。この液晶表示セルは、初期状
態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角に
よる明暗の反転がない良好な表示がを行なうことが出来
た。
【0116】実施例2 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上に、全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。
【0117】次いで、両方の基板上にガラス転移温度3
80℃の溶媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。18
0℃でポストベークを1時間行い、ポリイミドからなる
配向膜を基板上に固着させた後、この配向膜に1回目の
ラビング処理を施した。ラビング処理された配向膜上に
ネガ型フォトレジスト層(OMR−85、東京応化社
製)を8000オングストロ−ムの厚さに形成した後、
画素に相当する部分の半分、即ちゲート線、信号線、補
助容量線に囲まれた部分を露光し、専用現像液での現像
を行なうことにより、フォトレジスト層をパターニング
し、画素の半分を被うマスクを形成した。
【0118】次に、2回目のラビング処理を1回目のラ
ビング方向と逆方向に行った後、専用剥離液によりマス
ク層を除去した。このようにして得た2枚の配向処理基
板のマスクが設けられていた部分同士、2回目のラビン
グ処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み
合わせ、両者の間の空隙にNp液晶を挟み込み、電極間
距離6μmの液晶表示セルを作製した。
【0119】この液晶表示セルは、初期状態で良好な配
向状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反
転がなく、チルトディスクリネーションラインが見えな
い良好な表示を行なうことが出来た。
【0120】以下の実施例3、4は、配向膜材料として
300〜400℃のガラス転位温度を有するポリイミ
ド、マスク材料としてポジ型フォトレジストを用いた例
である。
【0121】実施例3 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例1と同
様にして液晶表示セルを作製した。この液晶表示セル
は、初期状態で良好な配向状態を示し、中間調表示にお
いて視角による明暗の反転がない良好な表示を行なうこ
とが出来た。
【0122】実施例4 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてジメチルエタ
ノ−ルアミン(1.5重量%)を用いたことを除いて、
実施例2と同様にして液晶表示セルを作製した。
【0123】この液晶表示セルは、初期状態で良好な配
向状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反
転がなく、チルトディスクリネーションラインが見えな
い良好な表示を行なうことが出来た。
【0124】比較例1 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上にガラス転移温度が250℃の溶媒可溶性閉
環型ポリイミドを塗布した。
【0125】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理した。この配向膜上にネガ型フォトレ
ジスト層(OMR−85、東京応化社製)を8000オ
ングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部
分の半分言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に
囲まれた部分を露光し、専用現像液で現像することによ
りフォトレジストをパターニングし、画素の半分を被う
マスクを形成した。2回目のラビング処理を1回目のラ
ビング方向と逆方向から行った後専用剥離液によりマス
ク層を除去した。
【0126】このようにして得た2枚の配向処理基板の
レジスト層を設けた部分同士、2回目のラビング処理を
施した部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、
Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セル
を作製した。この液晶表示セルは初期状態で良好な配向
状態を示したが、100℃ライフ試験50時間後、著し
い配向劣化が観察された。
【0127】比較例2 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、ガラ
ス転移温度420℃の全芳香族型熱環型ポリイミドを塗
布した。280℃でポストベークを1時間行い、ポリイ
ミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回目の
ラビング処理を行なった。この配向膜上にネガ型フォト
レジスト層(OMR−85、東京応化社製)を1000
0オングストロ−ムの厚さに塗布形成した後、画素に相
当する部分の半分を露光し、専用現像液で現像すること
によりフォトレジストをパターニングした。
【0128】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液に80℃の条件
で基板を浸すことによりマスク層を除去した。この2枚
の配向処理基板を同様な配向処理を施した部分同士を対
向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込
み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。
【0129】このようにして得た液晶表示セルは、レジ
スト剥離液の影響を配向膜が受けているため、初期状態
で液晶注入による流れ後がはっきり見え、配向が不良で
あり、電圧印加による書き込みにより液晶分子の立ち上
がり方向が異なる2領域に分割することはできなかっ
た。
【0130】以下の実施例5〜8は、配向膜材料として
2回転対称軸を持たない骨格を有するポリイミド、マス
ク材料としてネガ型フォトレジストを用いた例である。
【0131】実施例5 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、下記
一般式(11)に示す構造式を有する熱閉環型ポリイミ
ドを塗布した。このポリイミドは2回転対称軸を持たな
い骨格を有するものである。
【0132】
【化8】 (式中、nは重合度) 280℃でポストベークを1時間行い、ポリイミドから
なる配向膜を基板上に固着させた後、1回目のラビング
処理を行なった。この膜上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を10000オングス
トロ−ムに厚さに塗布し、画素に相当する部分の半分を
露光し、専用現像液で現像し、かつ専用リンス液でリン
スを行うことによりフォトレジストをパターニングし、
画素の半分を被うマスクを形成した。
【0133】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。この製造工程において、配向膜は現像液等
溶媒に溶解することがなく、表面を斜光検査したところ
異常が認められなかった。これら2枚の配向処理基板を
レジスト層が設けられていた部分同士、及び2回目のラ
ビング処理を施した部分同士を対向させて90°TNに
組み合わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの
液晶表示セルを作製した。
【0134】このようにして得た液晶表示セルは、初期
状態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角
による明暗の反転がない良好な表示が可能であった。
【0135】実施例6 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上に全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上に下記一般式(12)に示す構造式を有する溶
媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。このポリイミド
は骨格に2回転対称軸を有さないものである。
【0136】
【化9】 (式中、nは重合度) 180℃でポストベークを1時間行い、基板上にポリイ
ミドからなる配向膜を固着させた後、1回目のラビング
処理を行なった。この配向膜上にネガ型フォトレジスト
層(OMR−85、東京応化社製)を8000オングス
トロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半
分言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれ
た部分を露光し、専用現像液で現像することによりフォ
トレジストをパターニングし、画素の半分を被うマスク
を形成した。
【0137】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。このようにして得た2枚の配向処理基板の
レジスト層を設けてあった部分同士、2回目のラビング
処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み合
わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表
示セルを作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良
好な配向状態を示し、中間調表示において視角による明
暗の反転がなく、チルトディスクリネーションラインが
見えない良好な表示が可能であった。
【0138】実施例7 下記一般式(13)に示す構造式を有する溶媒可溶性閉
環型ポリイミドを、実施例4で用いたのと同様の基板に
塗布し、同様の処理を行った。作製したTN液晶表示セ
ルは、初期状態で良好な配向状態を示し、中間調表示に
おいて視角による明暗の反転がなく、チルトディスクリ
ネーションラインが見えない良好な表示が可能であっ
た。
【0139】
【化10】 (式中、nは重合度) 実施例8 下記一般式(14)に示す構造式を有する溶媒可溶性閉
環型ポリイミドを、実施例2で用いたのと同様の基板に
塗布し、同様の処理を行った。作製したTN液晶表示セ
ルは、初期状態で良好な配向状態を示し、中間調表示に
おいて視角による明暗の反転がなく、チルトディスクリ
ネーションラインが見えない良好な表示が可能であっ
た。
【0140】
【化11】 (式中、nは重合度) 以下の実施例9,10,11,12は、配向膜材料とし
て2回転対称軸を持たない骨格を有するポリイミド、マ
スク材料としてポジ型フォトレジストを用いた例であ
る。
【0141】実施例9 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例5と同
様にして液晶表示セルを作製した。このようにして得た
液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、中
間調表示において視角による明暗の反転がない良好な表
示が可能であった。
【0142】実施例10 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例6と同
様にして液晶表示セルを作製した。
【0143】このようにして得た液晶表示セルは、初期
状態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角
による明暗の反転がなく、チルトディスクリネーション
ラインが見えない良好な表示が可能であった。
【0144】実施例11 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例7と同
様にして液晶表示セルを作製した。
【0145】このようにして得た液晶表示セルは、初期
状態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角
による明暗の反転がなく、チルトディスクリネーション
ラインが見えない良好な表示が可能であった。
【0146】実施例12 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例8と同
様にして液晶表示セルを作製した。
【0147】このようにして得た液晶表示セルは、初期
状態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角
による明暗の反転がなく、チルトディスクリネーション
ラインが見えない良好な表示が可能であった。
【0148】比較例3 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極で形成した200μm角の画素電極
を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線は
画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極と
配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方の
基板上に下記一般式(15)に示す構造式を有する溶媒
可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。このポリイミドは
骨格に2回転対称軸を鎖長軸方向に有するものである。
【0149】
【化12】 (式中、nは重合度) 180℃でポストベークを1時間行い、ポリイミドから
なる配向膜を基板上に固着させた後、1回目のラビング
処理を行なった。この配向膜上にネガ型フォトレジスト
層(OMR−85、東京応化社製)を8000オングス
トロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半
分言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれ
た部分を露光し、専用現像液で現像することによりフォ
トレジストをパターニングし、画素の半分を被うマスク
を形成した。
【0150】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。この製造工程において、剥離後に配向膜表
示を斜光検査したところ、膜の表面に溶媒の流れた跡が
全面に残っているのが認められた。
【0151】この2枚の配向処理基板をレジスト層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶
を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは初期状態でTN配向状態を示さ
ず、画素配向分割処理を施すことができなかった。
【0152】比較例4 下記一般式(16)に示す構造式を有する溶媒可溶性閉
環型ポリイミドを、比較例1で用いたのと同様の基板に
塗布し、同様の処理を行った。作製したTN液晶表示セ
ルは、初期状態でTN配向状態を示さず、画素配向分割
処理を施すことができなかった。
【0153】
【化13】 (式中、nは重合度) 比較例5 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、下記
一般式17に示す構造式を有する全芳香族型熱環型ポリ
イミドを塗布した。このポリイミドは骨格に2回転対称
軸を鎖長軸方向に有するものである。250℃でポスト
ベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基板
上に固着させた後、1回目のラビング処理した。この配
向膜上にネガ型フォトレジスト層(OMR−85、東京
応化社製)を10000オングストロ−ムの厚さに形成
した後、画素に相当する部分の半分を露光し、専用現像
液で現像することによりフォトレジストをパターニング
した。
【0154】
【化14】 (式中、nは重合度) 2回目のラビング処理を1回目のラビング方向と逆方向
から行った後、専用剥離液に80℃の条件で基板を浸す
ことによりマスク層を除去した。この2枚の配向処理基
板を、同様な配向処理を施した部分同士を対向させて9
0°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込み、電極距離
6μmの液晶表示セルを作製した。この液晶表示セル
は、レジスト剥離液の影響を配向膜が受けているため、
初期状態で液晶注入による流れ後がはっきり見え、配向
が不良であり、電圧印加による書き込みにより液晶分子
の立ち上がり方向が異なる2領域に分割することはでき
なかった。
【0155】以下の実施例13,14は、配向膜材料と
して、非共役系炭素数が骨格中にイミド結合部を除いた
全炭素数の10%〜60%を占めるポリイミド、マスク
材料としてネガ型フォトレジストを用いた例である。
【0156】実施例13 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、非共
役系炭素数が骨格中にイミド結合部を除いた全炭素数の
13.8%である熱閉環型ポリイミドを塗布した。28
0℃でポストベークを1時間行い、基板上にポリイミド
からなる配向膜を固着させた後、1回目のラビング処理
を行なった。この膜上にネガ型フォトレジスト層(OM
R−85、東京応化社製)を10000オングストロ−
ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分を露
光し、専用現像液で現像することによりフォトレジスト
をパターニングし、画素の半分を被うマスクを形成し
た。2回目のラビング処理を1回目のラビング方向と逆
方向から行った後、専用剥離液によりマスク層を除去し
た。この2枚の配向処理基板のレジスト層を設けてあっ
た部分同士、2回目のラビング処理を施した部分同士を
対向させて90°TNに組み合わせ、Np液を挟み込
み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。この
液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、中
間調表示において視角による明暗の反転がない良好な表
示が可能であった。
【0157】実施例14 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上に全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上に、非共役系炭素数が33.3%の溶媒可溶性
閉環型ポリイミドを塗布した。180℃ポストベークを
1時間行い、基板上にポリイミドからなる配向膜を固着
させた後、1回目のラビング処理を行なった。
【0158】この配向膜上に、ネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を8000オングスト
ロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半
分、言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲ま
れた部分を露光し、専用現像液で現像することによりフ
ォトレジストをパターニングし、画素の半分を被うマス
クを形成した。2回目のラビング処理を1回目のラビン
グ方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク
層を除去した。
【0159】これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
く、チルトディスクリネーションラインが見えない良好
な表示が得られた。
【0160】以下の実施例15,16は、配向膜材料と
して、非共役系炭素数が骨格中にイミド結合部を除いた
全炭素数の10%〜60%を占めるポリイミド、マスク
材料としてポジ型フォトレジストを用いた例である。
【0161】実施例15 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例13と
同様にして液晶表示セルを作製した。このようにして得
た液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がない良好な
表示が可能であった。
【0162】実施例16 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例14と
同様にして液晶表示セルを作製した。このようにして得
た液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がなく、チル
トディスクリネーションラインが見えない良好な表示が
得られた。
【0163】比較例6 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は、画素の中央に設けた。他方の基板上には、全面透
明電極と配線に対応したブラックマトリックスを設け
た。両方の基板上に非共役系炭素数が66.7%の溶媒
可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。180℃でポスト
ベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基板
上に固着させた後、1回目のラビング処理を行なった。
【0164】この配向膜上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を8000オングスト
ロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分
言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれた
部分を露光し、専用現像液で現像することによりフォト
レジストをパターニングし、画素の半分を被うマスクを
形成した。2回目のラビング処理を1回目のラビング方
向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層を
除去した。
【0165】これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示したが、100℃でのライフ試験によると、50時
間後に著しい配向劣化が観察された。
【0166】比較例7 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、全芳
香族型熱閉環型ポリイミドを塗布した。280℃でポス
トベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基
板上に固着させた後、1回目のラビング処理を行なっ
た。この配向膜上にネガ型フォトレジスト層(OMR−
85、東京応化社製)を10000オングストロ−ムの
厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分を露光
し、専用現像液で現像することのよりフォトレジストを
パターニングした。
【0167】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液に80℃の条件
で基板を浸すことによりマスク層を除去した。この2枚
の配向処理基板を、同様な配向処理を施した部分同士を
対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込
み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。この
液晶表示セルは、レジスト剥離液の影響を配向膜が受け
ているため、初期状態で液晶注入による流れ後がはっき
り見える等、配向が不良であり、電圧印加による書き込
みにより液晶分子の立ち上がり方向が異なる2領域に分
割することはできなかった。
【0168】以下の実施例17,18は、配向膜材料と
して、20℃で周波数1kHzにおける比誘電率が4以
上、7未満のポリイミド、マスク材料としてネガ型フォ
トレジストを用いた例である。
【0169】実施例17 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、比誘
電率4である熱閉環型ポリイミドを塗布した。280℃
でポストベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向
膜を基板上に固着させた後、1回目のラビング処理を行
なった。これら配向膜上にネガ型フォトレジスト層(O
MR−85、東京応化社製)を10000オングストロ
−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分を
露光し、専用現像液で現像することによりフォトレジス
トをパターニングし、画素の半分を被うマスクを形成し
た。
【0170】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
い良好な表示が可能であった。
【0171】実施例18 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200m角の画素電
極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線
は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上に比誘電率4.5の溶媒可溶性閉環型ポリイミ
ドを塗布した。180℃でポストベークを1時間行い、
ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0172】この配向膜上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を8000オングスト
ロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分
言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれた
部分を露光し、専用現像液で現像することによりフォト
レジストをパターニングし、画素の半分を被うマスクを
形成した。2回目のラビング処理を1回目のラビング方
向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層を
除去した。
【0173】これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、及び2回目のラビング処理を施
した部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、N
p液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを
作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向
状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反転
がなく、チルトディスクリネーションラインが見えない
良好な表示が可能であった。
【0174】以下の実施例19,20は、配向膜材料と
して、20℃で周波数1kHzにおける比誘電率が4〜
7のポリイミド、マスク材料としてポジ型フォトレジス
トを用いた例である。
【0175】実施例19 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例17と
同様にして液晶表示セルを作製した。このようにして得
た液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がない良好な
表示が可能であった。
【0176】実施例20 マスク材料としてアクリルポジ型フォトレジスト(AR
C−1日本合成ゴム社製)、現像液としてNMD−3
(0.5重量%)を用いたことを除いて、実施例18と
同様にして液晶表示セルを作製した。このようにして得
た液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がなく、チル
トディスクリネーションラインが見えない良好な表示が
得られた。
【0177】比較例8 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に比誘電率7.2の溶媒可溶性閉環型ポリイ
ミドを塗布した。180℃でポストベークを1時間行
い、ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着させた
後、1回目のラビング処理を行なった。 この配向膜上
にネガ型フォトレジスト層(OMR−85、東京応化社
製)を8000オングストロ−ムの厚さに形成した後、
画素に相当する部分の半分、言い替えるとゲート線、信
号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、専用現像液
で現像することによりフォトレジストをパターニング
し、画素の半分を被うマスクを形成した。
【0178】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示したが、100℃でのライフ試験によると、50時
間後に著しい配向劣化が観察された。
【0179】比較例9 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、比誘
電率3.5の全芳香族型熱閉環型ポリイミドを塗布し
た。280℃でポストベークを1時間行い、ポリイミド
からなる配向膜を基板上に固着させた後、1回目のラビ
ング処理を行なった。これら配向膜上にネガ型フォトレ
ジスト層(OMR−85、東京応化社製)を10000
オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する
部分の半分を露光し、専用現像液で現像することにより
フォトレジストをパターニングした。2回目のラビング
処理を1回目のラビング方向と逆方向から行った後、専
用剥離液に80℃の条件で基板を浸すことによりマスク
層を除去した。
【0180】これら2枚の配向処理基板を、同様な配向
処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み合
わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表
示セルを作製した。この液晶表示セルは、レジスト剥離
液の影響を配向膜が受けているため、初期状態で液晶注
入による流れ後がはっきり見え、配向が不良であり、電
圧印加による書き込みにより液晶分子の立ち上がり方向
が異なる2領域に分割することはできなかった。
【0181】以下の実施例21〜30は、マスク材料と
してアクリル系ポジ型フォトレジストを用いた例であ
る。
【0182】実施例21 それぞれ透明電極を形成した2枚の透明基板上に、ガラ
ス転移温度が400℃である熱閉環型ポリイミドを塗布
した。次いで280℃でポストベークを1時間行なって
ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0183】この配向膜上にポリメタクリレ−ト、オニ
ウム塩、アセタ−ル化合物の混合物からなるポジ型フォ
トレジスト層10000オングストロ−ムを形成した
後、画素に相当する部分の半分の領域を露光し、専用現
像液で現像することによりフォトレジストをパターニン
グし、画素の半分を被うマスクを形成した。そして、2
回目のラビング処理を1回目のラビング方向と逆方向か
ら行った後、専用剥離液によりマスク層を除去した。
【0184】このようにして得た2枚の配向処理基板の
マスクが設けられていた部分同士、2回目のラビング処
理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み合わ
せ、その間にNp液を挟み込み、電極間距離6μmの液
晶表示セルを作製した。この液晶表示セルは、初期状態
で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角によ
る明暗の反転がない良好な表示がを行なうことが出来
た。
【0185】実施例22 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極を形成した200μm角の画素電極
を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線は
画素の中央に設けた。他方の基板上に、全面透明電極と
配線に対応したブラックマトリックスを設けた。
【0186】次いで、両方の基板上にガラス転移温度3
80℃の溶媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。18
0℃でポストベークを1時間行い、ポリイミドからなる
配向膜を基板上に固着させた後、この配向膜に1回目の
ラビング処理を施した。ラビング処理された配向膜上
に、ポリアクリレ−ト、スルホン酸エステル、ポリフタ
ルアルデヒドからなるポジ型フォトレジスト層を800
0オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当す
る部分の半分、即ちゲート線、信号線、補助容量線に囲
まれた部分を露光し、専用現像液での現像を行なうこと
により、フォトレジスト層をパターニングし、画素の半
分を被うマスクを形成した。
【0187】次に、2回目のラビング処理を1回目のラ
ビング方向と逆方向に行った後、専用剥離液によりマス
ク層を除去した。このようにして得た2枚の配向処理基
板のマスクが設けられていた部分同士、2回目のラビン
グ処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み
合わせ、両者の間の空隙にNp液晶を挟み込み、電極間
距離6μmの液晶表示セルを作製した。
【0188】この液晶表示セルは、初期状態で良好な配
向状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反
転がなく、チルトディスクリネーションラインが見えな
い良好な表示を行なうことが出来た。
【0189】実施例23 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、上記
化2に示す構造式を有する熱閉環型ポリイミドを塗布し
た。このポリイミドは2回転対称軸を持たない骨格を有
するものである。
【0190】280℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。この膜上にポリメタクリ
レ−ト、ニトロベンジルエステル、シリルエ−テルポリ
マ−から構成されるポジ型フォトレジスト層を1000
0オングストロ−ムに厚さに塗布し、画素に相当する部
分の半分を露光し、専用現像液で現像し、かつ専用リン
ス液でリンスを行うことによりフォトレジストをパター
ニングし、画素の半分を被うマスクを形成した。
【0191】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。この製造工程において、配向膜は現像液等
溶媒に溶解することがなく、表面を斜光検査したところ
異常が認められなかった。これら2枚の配向処理基板を
レジスト層が設けられていた部分同士、及び2回目のラ
ビング処理を施した部分同士を対向させて90°TNに
組み合わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの
液晶表示セルを作製した。
【0192】このようにして得た液晶表示セルは、初期
状態で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角
による明暗の反転がない良好な表示が可能であった。
【0193】実施例24 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極で形成した200μm角の画素電極
を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線は
画素の中央に設けた。他方の基板上に全面透明電極と配
線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方の基
板上に上記一般式9に示す構造式を有する溶媒可溶性閉
環型ポリイミドを塗布した。このポリイミドは骨格に2
回転対称軸を有さないものである。
【0194】180℃でポストベークを1時間行い、基
板上にポリイミドからなる配向膜を固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。この配向膜上に、ポリア
クリレ−トと、オニウム塩と、脂肪酸エステルの混合物
からなるポジ型フォトレジスト層を8000オングスト
ロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分
言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれた
部分を露光し、専用現像液で現像することによりフォト
レジストをパターニングし、画素の半分を被うマスクを
形成した。
【0195】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。このようにして得た2枚の配向処理基板の
レジスト層を設けてあった部分同士、2回目のラビング
処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組み合
わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表
示セルを作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良
好な配向状態を示し、中間調表示において視角による明
暗の反転がなく、チルトディスクリネーションラインが
見えない良好な表示が可能であった。
【0196】実施例25 上記一般式10に示す構造式を有する溶媒可溶性閉環型
ポリイミドを、実施例24で用いたのと同様の基板に塗
布し、同様の処理を行った。作製したTN液晶表示セル
は、初期状態で良好な配向状態を示し、中間調表示にお
いて視角による明暗の反転がなく、チルトディスクリネ
ーションラインが見えない良好な表示が可能であった。
【0197】実施例26 上記一般式11に示す構造式を有する溶媒可溶性閉環型
ポリイミドを、実施例12で用いたのと同様の基板に塗
布し、同様の処理を行った。作製したTN液晶表示セル
は、初期状態で良好な配向状態を示し、中間調表示にお
いて視角による明暗の反転がなく、チルトディスクリネ
ーションラインが見えない良好な表示が可能であった。
【0198】実施例27 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、非共
役系炭素数が骨格中にイミド結合部を除いた全炭素数の
13.8%である熱閉環型ポリイミドを塗布した。28
0℃でポストベークを1時間行い、基板上にポリイミド
からなる配向膜を固着させた後、1回目のラビング処理
を行なった。この膜上に、ポリメチルメタクリレ−ト、
ニトロベンジルエステル、メトキシメチルメラミンから
なるポジ型フォトレジスト層を10000オングストロ
−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分を
露光し、専用現像液で現像することによりフォトレジス
トをパターニングし、画素の半分を被うマスクを形成し
た。
【0199】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。この2枚の配向処理基板のレジスト層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液を
挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を
示し、中間調表示において視角による明暗の反転がない
良好な表示が可能であった。
【0200】実施例28 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極で形成した200μm角の画素電極
を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線は
画素の中央に設けた。他方の基板上に全面透明電極と配
線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方の基
板上に、非共役系炭素数が33.3%の溶媒可溶性閉環
型ポリイミドを塗布した。180℃ポストベークを1時
間行い、基板上にポリイミドからなる配向膜を固着させ
た後、1回目のラビング処理を行なった。
【0201】この配向膜上に、アクリル系ポジ型フォト
レジスト層を8000オングストロ−ムの厚さに形成し
た後、画素に相当する部分の半分、言い替えるとゲート
線、信号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、専用
現像液で現像することによりフォトレジストをパターニ
ングし、画素の半分を被うマスクを形成した。2回目の
ラビング処理を1回目のラビング方向と逆方向から行っ
た後、専用剥離液によりマスク層を除去した。
【0202】これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
く、チルトディスクリネーションラインが見えない良好
な表示が得られた。
【0203】実施例29 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、比誘
電率4である熱閉環型ポリイミドを塗布した。280℃
でポストベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向
膜を基板上に固着させた後、1回目のラビング処理を行
なった。これら配向膜上に、アクリル樹脂、スルホン酸
エステル、アセタ−ル化合物からなるポジ型フォトレジ
スト層を10000オングストロ−ムの厚さに形成した
後、画素に相当する部分の半分を露光し、専用現像液で
現像することによりフォトレジストをパターニングし、
画素の半分を被うマスクを形成した。
【0204】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した
部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液
晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製
した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態
を示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
い良好な表示が可能であった。
【0205】実施例30 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に比誘電率4.5の溶媒可溶性閉環型ポリイ
ミドを塗布した。180℃でポストベークを1時間行
い、ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着させた
後、1回目のラビング処理を行なった。
【0206】この配向膜上に、ポリメチルメタクリレ−
ト、ニトロベンジルエステル、メトキシメチルメラミン
の混合物からなるアクリル系ポジ型フォトレジスト層を
8000オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に
相当する部分の半分言い替えるとゲート線、信号線、補
助容量線に囲まれた部分を露光し、専用現像液で現像す
ることによりフォトレジストをパターニングし、画素の
半分を被うマスクを形成した。2回目のラビング処理を
1回目のラビング方向と逆方向から行った後、専用剥離
液によりマスク層を除去した。
【0207】これら2枚の配向処理基板のレジスト層を
設けてあった部分同士、及び2回目のラビング処理を施
した部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、N
p液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを
作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向
状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反転
がなく、チルトディスクリネーションラインが見えない
良好な表示が可能であった。
【0208】以下の実施例31,32は、配向膜材料と
して、イミド化率が90%以下のポリイミドを用いた例
を示す。
【0209】実施例31 透明共通電極が形成されたガラス基板と、画素電極およ
びTFT駆動素子が形成されたガラス基板を用意した。
TFT駆動素子は、画素サイズ110×330μmのI
TO電極に接続されている。2枚のガラス基板上にポリ
イミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液、SE−314
0(日産化学製))を印刷法で1000オングストロー
ムの厚さに形成した。これら基板をオーブン中に入れ、
200℃で30分間焼成した。その結果、イミド化率7
5%のポリイミドからなる配向膜を得た。
【0210】これらポリイミド配向膜に1回目のラビン
グ配向処理を行なった。これらラビング処理された配向
膜上に、クレゾールノボラック系のポジ型レジスト(O
FPR−5000(東京応化社製))を塗布し、露光
し、現像することによりパタ−ニングし、画素毎に区切
られた交互に隣接するストライプ状のマスクを形成し
た。なお、現像は、3%テトラメチルアンモニウムハイ
ドロオキサイド水溶液に3分間浸すことにより行った。
【0211】次に、第1回目のラビング方向と180°
方向を変えた第2回目のラビング配向処理を行った。マ
スクを剥離後、2枚の基板のラビング配向処理数の同じ
配向膜同士が対向するようにスペーサを介して配置し、
シール剤によりシールして液晶セルを作製した。この液
晶セルに液晶組成物ZLI−1132(E.Merck
社製)を注入し、TN型の液晶表示素子を作製した。
【0212】この液晶表示素子について液晶の配向を調
べたところ、90°ツイストの均一な配向が得られた。
この液晶表示素子を駆動したところ、全方位よりほぼ均
一な高品位表示が得られた。
【0213】本実施例ではイミド化率が75%のポリイ
ミドを使用したが、イミド化率と表示品位との関係を調
べた結果、イミド化率が90%以下であれば、良好な表
示品位が得られることがわかった。これは、配向膜に含
有されるポリアミック酸がプレチルト角を上げる作用が
あるため、適当な(2〜10°)プレチルト角を得るこ
とができ、アルカリ性現像液の接触にもかかわらず素子
としての表示品位が影響しなかったものと考えられる。
【0214】実施例32 透明共通電極が形成されたガラス基板と、画素電極およ
びTFT駆動素子が形成されたガラス基板を用意した。
TFT駆動素子は、画素サイズ110×330μmのI
TO電極に接続されている。2枚の基板上にポリイミド
前駆体溶液(ポリアミック酸溶液、SE−3140(日
産化学製))を印刷法で900オングストロームの厚さ
に形成した。この基板をオーブン中に入れ、240℃で
50分間焼成した。その結果、イミド化率90%のポリ
イミドからなる配向膜を得た。
【0215】得られたポリイミド配向膜を1回目のラビ
ング配向処理を行なった。これら基板のラビング処理し
た配向膜上に、ポジ型レジスト(OFPR−800、東
京応化社製)を塗布し、露光し、現像することによりパ
タ−ニングし、各画素を2分したストライプ状のマスク
を形成した。次いで、第1回目のラビング方向と180
°方向を変えた第2回目のラビング配向処理を行った。
【0216】マスクを剥離後、2枚の基板のラビング配
向処理数の同じ配向膜同士が内側になるようにスペーサ
を介して配置し、シール剤によりシールして液晶セルを
作製した。この液晶セルに液晶組成物ZLI−1695
(E.Merck社製:Δn=0.0625)を注入
し、液晶層厚d=4.0μmにて液晶表示素子を作製し
た。この際、本実施例では、一画素内で配向方向が異な
っているため、ディスクリネーションラインが発生した
ため、ディスクリネーション発生箇所にブラックマトリ
ックスを配設した。
【0217】この液晶表示素子について液晶の配向を調
べたところ、均一な配向が得られた。この液晶表示素子
を駆動し、コントラストの視角依存性を測定したとこ
ろ、全方位よりほぼ均一な高品位表示が得られた。図1
4に等コントラスト曲線を示す。 以下の実施例33,
34は、マスク材料として、引っ張り弾性率が20〜5
00kgf/mm2 のものを用いた例である。
【0218】実施例33 2枚の透明基板の一方にTFTスイッチ素子を設けると
ともに、透明電極により形成した200μm角の画素電
極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線
は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上に、溶媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。
180℃でポストベークを1時間行い、ポリイミドから
なる配向膜を基板上に固着させた後、1回目のラビング
処理を行なった。
【0219】これら配向膜上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を8000オングスト
ロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半分
言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれた
部分を露光し、専用現像液で現像することによりパター
ニングし、画素の半分を被うマスクを形成した。このフ
ォトレジストマスクの弾性率は100kgf/mm2
あった。
【0220】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。この際ラビングによる膜剥がれ削れは観察
されなかった。これら2枚の配向処理基板のレジスト層
を設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施し
た部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np
液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作
製した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状
態を示し、中間調表示において視角による明暗の反転が
なく、チルトディスクリネーションラインが見えない良
好な表示が可能であった。
【0221】実施例34 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、溶媒可溶性閉環型ポリイミド(AL−1
051日本合成ゴム社製)を塗布した。180℃でポス
トベークを1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基
板上に固着させた後、1回目のラビング処理を行なっ
た。
【0222】ケン化度95%の重合度1500のポリビ
ニルアルコール4%水溶液を配向膜上に塗布し、120
℃で5分、ホットプレート上でベークし、6000オン
グストロ−ムの膜厚のマスク層を形成した。このマスク
層上にポジ型フォトレジスト層(OFPR−5000、
東京応化社製)を8000オングストロ−ムの厚さに形
成した後、画素に相当する部分の半分言い替えるとゲー
ト線、信号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、ア
ルカリ現像液(NMD−3、東京応化社製)で30秒現
像することによりフォトレジストをパターニングした。
【0223】次いで、65℃の温水に10秒間基板を浸
すことによりマスク層をパターニングした後、フォトレ
ジスト層をエチルセロソルブアセテートで除去すること
により、画素の半分を被うマスクを形成した。このPV
Aマスクの弾性率は150kgf/mm2 であった。2
回目のラビング処理を1回目のラビング方向と逆方向か
ら行った後、温水によりマスク層を除去した。この際ラ
ビングによる膜剥がれ削れは観察されなかった。
【0224】これら2枚の配向処理基板のマスクを設け
てあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部分
同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を
挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を
示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
く、チルトディスクリネーションラインが見えない良好
な表示が可能であった。
【0225】比較例10 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、熱閉
環型ポリイミドを塗布した。280℃でポストベークを
1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着
させた後、1回目のラビング処理を行なった。これら配
向膜上にポジ型フォトレジスト層(NMD−3、東京応
化社製)を8000オングストロ−ムの厚さに形成した
後、画素の半分に相当する部分を露光し、アルカリ現像
液(NMD−3、東京応化社製)で30秒現像すること
によりフォトレジストをパターニングし、画素の半分を
被うマスクを形成した。このフォトレジストの弾性率は
10kgf/mm2 であった。
【0226】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。ラビングの際、膜の表面が削れ、ラビング
布への付着が観察された。
【0227】実施例35 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、熱閉
環型ポリイミドを塗布した。280℃でポストベークを
1時間行い、ポリイミドからなる配向膜を基板上に固着
させた後、1回目のラビング処理を行なった。これら配
向膜上にポジ型フォトレジスト層(OFPR−500
0、東京応化社製)を8000オングストロ−ムの厚さ
に形成した後、画素に相当する部分の半分を露光し、ア
ルカリ現像液(NMD−3、東京応化社製)で30秒現
像することによりフォトレジストをパターニングし、画
素の半分を被うマスクを形成した。このレジストマスク
は感光波長をi線(365nm)に持っている。
【0228】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板のマスクを設け
てあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部分
同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を
挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を
示し、中間調表示において視角による明暗の反転がない
良好な表示が可能であった。
【0229】実施例36 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに透明電極により形成した200μm角の画素電
極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線
は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上にガラス転移温度380℃の溶媒可溶性閉環型
ポリイミドを塗布した。
【0230】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。これら配向膜上にネガ型
フォトレジスト層(OMR−85、東京応化社製)を8
000オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相
当する部分の半分言い替えるとゲート線、信号線、補助
容量線に囲まれた部分を露光し、専用現像液で現像する
ことによりフォトレジストをパターニングし、画素の半
分を被うマスクを形成した。このレジストマスクは、感
光波長をi線に持っている。
【0231】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板のマスクを設け
てあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部分
同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を
挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を
示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
く、チルトディスクリネーションラインが見えない良好
な表示が可能であった。
【0232】比較例11 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に溶媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。
【0233】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。この配向膜上にポジ型フ
ォトレジスト層(ポリフルオロブチルメタクリラート)
を8000オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素
に相当する部分の半分言い替えるとゲート線、信号線、
補助容量線に囲まれた部分を240nmの光で露光し、
現像することによりフォトレジストをパターニングし、
画素の半分を被うマスクを形成した。
【0234】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスク層
を除去した。これら2枚の配向処理基板をマスクを設け
てあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部分
同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を
挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態でTN配向を示さ
ず、電圧印加による表示そのものができなかった。
【0235】比較例12 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、ガラ
ス転移温度420℃の全芳香族型熱閉環型ポリイミドを
塗布した。280℃でポストベークを1時間行い、ポリ
イミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回目
のラビング処理を行なった。これら配向膜上にポジ型フ
ォトレジスト層(EBR−9、東レ社製)を10000
オングストロ−ムの厚さに形成したのち、画素に相当す
る部分の半分を20kVの加速電圧で電子線露光し、専
用現像液で現像することによりフォトレジストをパター
ニングし、マスクを形成した。
【0236】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液に80℃の条件
で基板を浸すことによりマスクを除去した。これら2枚
の配向処理基板を、同様な配向処理を施した部分同士を
対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込
み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。この
液晶表示セルは、初期状態でTN配向を示さず、電圧印
加による表示そのものができなかった。
【0237】以下の実施例37〜39は、マスク材料と
して水溶性高分子を用いた例を示す。
【0238】実施例37 それぞれ透明電極を形成した一対の透明基板上に、熱閉
環型ポリイミド(SE−4140、日産化学社製)を塗
布した。280℃でポストベークを1時間行い、ポリイ
ミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回目の
ラビング処理を行なった。ケン化度95%、重合度15
00のポリビニルアルコールの4%水溶液をポリイミド
上に塗布し、140℃で5分ホットプレート上でベーク
し、4000オングストロ−ムの膜厚のマスク層を形成
した。
【0239】これらマスク膜上にポジ型フォトレジスト
層(OFPR−5000、東京応化社製)を8000オ
ングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部
分の半分を露光し、アルカリ現像液(NMD−3、東京
応化社製)で30秒現像することによりフォトレジスト
をパターニングした。65℃の温水に10秒間基板を浸
し、マスク層をパターニングした後、フォトレジスト層
をエチルセロソルブアセテートで除去することにより画
素の半分を被うマスクを形成した。
【0240】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、温水によりマスク層を除去
した。これら2枚の配向処理基板のマスク層を設けてあ
った部分同士、2回目のラビング処理を施した部分同士
を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み
込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。こ
の液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がない良好な
表示が可能であった。
【0241】実施例38 2枚の透明基板の一方にTFTスイッチ素子を設けると
ともに、透明電極により形成した200μm角の画素電
極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線
は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極
と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方
の基板上に、溶媒可溶性閉環型ポリイミド(AL−10
51、日本合成ゴム社製)を塗布した。
【0242】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。ケン化度95%、重合度
1500のポリビニルアルコールの4%水溶液をポリイ
ミド上に塗布し、120℃で5分ホットプレート上でベ
ークし、6000オングストロ−ムの膜厚のマスク層を
形成した。これらマスク層上にポジ型フォトレジスト層
(OPPR−5000、東京応化社製)を8000オン
グストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分
の半分言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲
まれた部分を露光し、アルカリ現像液(NMD−3、東
京応化社製)で30秒現像することによりフォトレジス
トをパターニングした。
【0243】65℃の温水に10秒間基板を浸してマス
ク層をパターニングした後、フォトレジスト層をエチル
セロソルブアセテートで除去することにより、画素の半
分を被うマスクを形成した。2回目のラビング処理を1
回目のラビング方向と逆方向から行った後、温水により
マスク層を除去した。これら2枚の配向処理基板のマス
ク層を設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を
施した部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、
Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セル
を作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配
向状態を示し、中間調表示において視角による明暗の反
転がなく、チルトディスクリネーションラインが見えな
い良好な表示が可能であった。
【0244】実施例39 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、溶媒可溶性閉環型ポリイミド(AL−1
051、日本合成ゴム社製)を塗布した。
【0245】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。ケン化度95%、重合度
1500のポリビニルアルコールの4%水溶液をポリイ
ミド上に塗布し、120℃で5分ホットプレート上でベ
ークし、8000オングストロ−ムの膜厚のPVA層を
形成した。このPVA層上にネガ型フォトレジスト層
(OMR−85、東京応化社製)を10000オングス
トロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当する部分の半
分言い替えるとゲート線、信号線、補助容量線に囲まれ
た部分を露光し、専用現像液で現像しすることによりフ
ォトレジストをパターニングした。
【0246】65℃の温水に10秒間基板を浸してPV
A層をパターニングし、画素の半分を被うマスクを形成
した。2回目のラビング処理を1回目のラビング方向と
逆方向から行った後、85℃温水によりマスク層を除去
した。これら2枚の配向処理基板のマスク層を設けてあ
った部分同士、2回目のラビング処理を施した部分同士
を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み
込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。こ
の液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を示し、
中間調表示において視角による明暗の反転がなく、チル
トディスクリネーションラインが見えない良好な表示が
可能であった。
【0247】比較例13 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極で形成した200μm角の画素電極
を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配線は
画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電極と
配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両方の
基板上に、溶媒可溶性閉環型ポリイミド(AL−105
1、日本合成ゴム社製)を塗布した。
【0248】180℃でポストベークを1時間行い、ポ
リイミドからなる配向膜を基板上に固着させた後、1回
目のラビング処理を行なった。これら配向膜上にポジ型
フォトレジスト層(OFPR−5000、東京応化社
製)を12000オングストロ−ムの厚さに形成した
後、画素に相当する部分の半分言い替えるとゲート線、
信号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、アルカリ
現像液(NMD−3、東京応化社製)で30秒現像する
ことによりフォトレジストをパターニングした。この
際、アルカリ現像液に配向膜が完全に溶解した。
【0249】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、マスク層を除去した。これ
ら2枚の配向処理基板を90°TNに組み合わせ、Np
液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作
製した。この液晶表示セルは、一部配向膜が欠落してい
るため初期状態で配向が不良であり、電圧印加による書
き込みにより液晶分子の立ち上がり方向が異なる2領域
に分割することはできなかった。
【0250】比較例14 それぞれ透明電極を形成した透明基板上に、熱閉環型ポ
リイミド(SE−4140、日産化学社製)を塗布し
た。280℃でポストベークを1時間行い、ポリイミド
からなる配向膜を基板上に固着させた後、1回目のラビ
ング処理をp行なった。これら配向膜上にネガ型フォト
レジスト層(OMR−85、東京応化社製)を1000
0オングストロ−ムの厚さに形成した後、画素に相当す
る部分の半分を露光し、専用現像液で現像することによ
りフォトレジストをパターニングした。
【0251】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液に80℃の条件
で基板を浸すことによりマスク層を除去した。これら2
枚の配向処理基板を同様な配向処理を施した部分同士を
対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込
み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。この
液晶表示セルは、レジスト剥離液の影響を配向膜が受け
ているため、初期状態で液晶注入による流れ後がはっき
り見え、配向が不良であり、電圧印加による書き込みに
より液晶分子の立ち上がり方向が異なる2領域に分割す
ることはできなかった。
【0252】実施例40 透明共通電極が形成されたガラス基板Aと画素電極およ
びTFT駆動素子が形成されたガラス基板Bとを用意し
た。TFT駆動素子には画素サイズが110 ×330 μmの
ITO電極が接続されている。ガラス基板A、Bとも
に、上述の一般式(I) で表されるイミド成分からなるイ
ミド化率が100 %のポリイミドであるAL−1051
(日本合成ゴム社製、商品名)を印刷法で1000オングス
トロームの厚さに形成した。
【0253】このようにして得られたガラス基板A、B
をポリイミド配向膜上で液晶分子が90°捩じれになるよ
うに第1回目のラビング配向処理を行った。
【0254】この第1回目のラビング配向処理を行った
ガラス基板A、Bの配向膜上にビスアジド化合物を添加
した環化ゴムからなるネガ型レジストOMR−83(東
京応化社製、商品名)を一画素毎に区切られた交互に隣
接するストライプ状に形成し、第1回目のラビング配向
処理方向と180 °方向を変えて第2回目のラビング配向
処理を行った。
【0255】このネガ型レジストを剥離後、ガラス基板
AとBとのラビング配向処理数の同じ配向膜同士が内側
になるようにスペーサを介して配置し、シール剤により
シールして液晶セルを作製した。この液晶セルにZLI
−1131(E.Merck社製、商品名)を注入して
液晶表示素子を作製した。
【0256】なお、ネガ型レジストの剥離はアルキルベ
ンゼンスフォン酸を30wt% 含有する剥離液を使用した。
この剥離液は酸性の溶液であるが、配向膜がイミド化率
100%のポリイミドであるため、配向膜表面の劣化が生
じなかった。
【0257】得られた液晶表示素子について液晶の配向
を調べたところ、90°ツイストの均一な配向が得られ
た。さらにこの液晶表示素子を駆動したところ、全方位
によりほぼ均一な高品位表示が得られた。
【0258】実施例41 透明共通電極が形成されたガラス基板Aと画素電極およ
びTFT駆動素子が形成されたガラス基板Bとを用意し
た。TFT駆動素子には画素サイズが110 ×330 μmの
ITO電極が接続されている。ガラス基板A、Bにポリ
アミック酸溶液を塗布し、190 ℃で1時間焼成すること
でイミド化率が92%のポリイミドを1000オングストロー
ムの厚さに形成した。
【0259】このようにして得られたガラス基板A、B
をポリイミド配向膜上で液晶分子が90°捩じれになるよ
うに第1回目のラビング配向処理を行った。
【0260】この第1回目のラビング配向処理を行った
ガラス基板A、Bの配向膜上にネガ型レジストOMR−
83(東京応化社製、商品名)を各画素を1分したスト
ライプ状に形成し、第1回目のラビング配向処理方向と
180 °方向を変えた第2回目のラビング配向処理を行っ
た。
【0261】このネガ型レジストを実施例1と同一の剥
離液を使用して剥離後、ガラス基板AとBとのラビング
配向処理数の同じ配向膜同士が内側になるようにスペー
サを介して配置し、シール剤によりシールして液晶セル
を作製した。この液晶セルにZLI−1131(E.M
erck社製、商品名、△n=0.0635)を注入し,液晶
層厚d=4.0 μmにて液晶表示素子を作製した。この
際、本実施例では、一画素内で配向方向が異なっている
ため、ディスクリネーションラインが発生したので、こ
のディスクリネーションラインの発生箇所にブラックマ
トリックスを配設した。
【0262】得られた液晶表示素子について液晶の配向
を調べたところ、90°ツイストの均一な配向が得られ
た。さらにこの液晶表示素子を駆動し、コントラストの
視角依存性を測定した。その結果を図14に等コントラ
スト曲線として示す。全方向にわたり優れた等コントラ
スト曲線が得られ、均一な高品位表示を有する液晶表示
素子が得られた。
【0263】比較例15 透明共通電極が形成されたガラス基板Aと画素電極およ
びTFT駆動素子が形成されたガラス基板Bとを用意し
た。TFT駆動素子には画素サイズが110 ×330 μmの
ITO電極が接続されている。ガラス基板A、Bにポリ
アミック酸溶液を塗布し、170 ℃で 30 分焼成すること
でイミド化率が88%のポリイミドを1000オングストロ
ームの厚さに形成した。以下、実施例2と同一の条件お
よび方法で液晶表示素子を作製した。
【0264】得られた液晶表示素子について液晶の配向
を調べたところ、配向膜表面が剥離液によって浸され、
液晶の配向乱れが生じた。さらにこの液晶表示素子を駆
動したところ、コントラストの低下や、品位表示の低下
が認められた。
【0265】実施例42 2枚の透明電極を形成した透明基板上に、上述の一般式
(2)に示すポリイミドにおいて、2つのイミド基を結
合するRがシクロブタン基である熱閉環型ポリイミドを
塗布した。200℃でポストベ−クを1時間行ない、基
板上に固着させた後、1回目のラビング処理を行なっ
た。
【0266】この膜上にネガ型フォトレジスト膜を10
000オングストロ−ムの厚さに形成した。このフォト
レジスト膜の画素に相当する部分の半分を露光し、現像
液で現像して、画素の半分を覆うマスクパタ−ンを形成
した。現像液としては0.75%のメチルピペリジン水
溶液(pH:11.5、沸点:106℃、pKa:1
0.08)を用いた。
【0267】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、剥離液によりマスクパタ−
ンを除去した。剥離液としては酢酸−n−ブチル(溶解
度パラメ−タ−:8.5cal1/2 ・cm-3/2)を、剥
離液のリンス液としてエタノ−ル(溶解度パラメ−タ
−:12.7cal1/2 ・cm-3/2)を用いた。
【0268】これら2枚の配向処理基板の2回目のラビ
ング処理を施した部分同士を対向させて90°TNに組
み合わせ、Np液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液
晶表示セルを作製した。この液晶表示セルは、初期状態
で良好な配向状態を示し、中間調表示において視角によ
る明暗の反転がなく、チルトディスクリネーションライ
ンが見えない良好な表示が可能であった。
【0269】本実施例で用いたフォトレジストの熱変形
温度(耐熱温度)は150℃、引っ張り弾性率は2.7
GPa、曲げ弾性率は2.8GPa、ロックウェル硬さ
がM85であり、2回目のラビングの際に、フォトレジ
スト膜の剥がれや削れという問題は全く発生しなかっ
た。
【0270】実施例43 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRがシクロペンタン
基である溶媒可溶性閉環型ポリイミド(オプトマ−AL
シリ−ズ:日本合成ゴム社製)を塗布した。180℃で
ポストベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、
1回目のラビング処理を行なった。
【0271】この配向膜上にポジ型フォトレジスト膜を
8000オングストロ−ムの厚さに形成した。この配向
膜上の画素に相当する部分の半分言い替えるとゲート
線、信号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、現像
液で現像することにより画素の半分を覆うマスクパタ−
ンを形成した。現像液としては0.5%のトリメチルア
ミン水溶液(pH:11.4、沸点:3℃、pKa:
9.81)を用いた。
【0272】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、剥離液によりマスクパタ−
ンを除去した。剥離液としてはシクロヘキサン(溶解度
パラメ−タ−:8.2cal1/2 ・cm-3/2)を、剥離
液のリンス液としてプロパノ−ル(溶解度パラメ−タ
−:11.9cal1/2 ・cm-3/2)を用いた。
【0273】これら2枚の配向処理基板のマスク層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶
を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向状態を
示し、中間調表示において視角による明暗の反転がな
く、チルトディスクリネーションラインが見えない良好
な表示が可能であった。本実施例で用いたフォトレジス
トの熱変形温度(耐熱温度)は140℃、引っ張り弾性
率は2.0GPa、曲げ弾性率は2.0GPa、ロック
ウェル硬さがM117であり、2回目のラビングの際
に、フォトレジスト膜の剥がれや削れという問題は全く
発生しなかった。
【0274】比較例16 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRが−CO−基であ
る溶媒可溶性閉環型ポリイミドを塗布した。180℃で
ポストベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、
1回目のラビング処理を行なった。
【0275】この配向膜上にネガ型フォトレジスト膜を
8000オングストロ−ムの厚さに形成した。この配向
膜上の画素に相当する部分の半分言い替えるとゲート
線、信号線、補助容量線に囲まれた部分を露光し、専用
現像液で現像することにより画素の半分を覆うマスクパ
タ−ンを形成した。
【0276】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、専用剥離液によりマスクパ
タ−ンを除去した。これら2枚の配向処理基板のマスク
層を設けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施
した部分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、N
p液晶を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを
作製した。この液晶表示セルは、初期状態で良好な配向
状態を示したが、100℃での50時間のライフ試験の
後、著しい配向劣化が観察された。
【0277】比較例17 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRが−CH2 −基で
ある熱閉環型ポリイミドを塗布した。220℃でポスト
ベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、1回目
のラビング処理を行なった。
【0278】この配向膜上にフェノ−ル系ポジ型フォト
レジスト膜を10000オングストロ−ムの厚さに形成
した。この配向膜上の画素に相当する部分の半分を露光
し、専用現像液で現像することにより画素の半分を覆う
マスクパタ−ンを形成した。2回目のラビング処理を1
回目のラビング方向と逆方向から行った後、80℃の専
用剥離液に浸すことによりマスクパタ−ンを除去した。
これら2枚の配向処理基板のマスク層を設けてあった部
分同士、2回目のラビング処理を施した部分同士を対向
させて90°TNに組み合わせ、Np液晶を挟み込み、
電極間距離6μmの液晶表示セルを作製した。
【0279】この液晶表示セルは、配向膜がレジスト剥
離液の影響を受け、レジストの削れ粒子(ダスト)が再
付着するいう問題が発生したため、初期状態で液晶の注
入による流跡がはっきり見える等、配向が不良であり、
電圧印加による書き込みにより液晶分子の立上り方向が
異なる2領域に分割することが出来なかった。
【0280】なお、本比較例で用いたレジストの熱変形
温度(耐熱温度)は45℃、引っ張り弾性率は0.4G
Pa、曲げ弾性率は0.8GPa、ロックウェル硬さが
M45であり、2回目のラビングの際に、フォトレジス
ト膜が削れるという問題が発生した。
【0281】比較例18 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRがシクロペンタン
基である熱閉環型ポリイミドを塗布した。200℃でポ
ストベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0282】この配向膜上にネガ型フォトレジスト膜を
10000オングストロ−ムの厚さに形成した。この配
向膜上の画素に相当する部分の半分を露光し、現像液で
現像することにより画素の半分を覆うマスクパタ−ンを
形成した。現像液としては0.07%のテトラメチルア
ンモニウムハイドロオキサイド水溶液(pH:11.
9、沸点:200℃以上、pKa:11.9)を用い
た。
【0283】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、剥離液によりマスクパタ−
ンを除去した。剥離液としては酢酸n−ブチル(溶解度
パラメ−タ−:8.5cal1/2 ・cm-3/2)を用い
た。
【0284】これら2枚の配向処理基板のマスク層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶
を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、現像液が配向膜表面に触れた
部分(ラビングを2回行った領域)の電圧保持特性が8
0%とかなり悪く、また、100時間の点灯後フリッカ
が生じ、表示不良を起こした。
【0285】比較例19 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRがシクロペンタン
基である熱閉環型ポリイミドを塗布した。200℃でポ
ストベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0286】この配向膜上にネガ型フォトレジスト膜を
10000オングストロ−ムの厚さに形成した。この配
向膜上の画素に相当する部分の半分を露光し、現像液で
現像することにより画素の半分を覆うマスクパタ−ンを
形成した。現像液としては1.5%のジメチルエタノ−
ルアミン水溶液(pH:13、沸点:134℃)を用い
た。
【0287】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、剥離液によりマスクパタ−
ンを除去した。剥離液としては酢酸n−ブチル(溶解度
パラメ−タ−:8.5cal1/2 ・cm-3/2)を、剥離
液のリンス液としては、エタノ−ル(溶解度パラメ−タ
−:12.7cal1/2 ・cm-3/2)を用いた。
【0288】用いた。
【0289】これら2枚の配向処理基板のマスク層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶
を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、現像液が配向膜表面に触れた
部分(ラビングを2回行った領域)の電圧保持特性が8
5%とかなり悪く、また、500時間の点灯後フリッカ
が生じ、またコントラストが低下し、表示不良を起こし
た。
【0290】比較例20 2枚の透明基板の一方に、TFTスイッチ素子を設ける
とともに、透明電極により形成した200μm角の画素
電極を配線に対しマトリックス状に設けた。補助容量配
線は画素の中央に設けた。他方の基板上には全面透明電
極と配線に対応したブラックマトリックスを設けた。両
方の基板上に、上述の一般式(2)に示すポリイミドに
おいて、2つのイミド基を結合するRがシクロペンタン
基である熱閉環型ポリイミドを塗布した。200℃でポ
ストベ−クを1時間行ない、基板上に固着させた後、1
回目のラビング処理を行なった。
【0291】この配向膜上にネガ型フォトレジスト膜を
10000オングストロ−ムの厚さに形成した。この配
向膜上の画素に相当する部分の半分を露光し、現像液で
現像することにより画素の半分を覆うマスクパタ−ンを
形成した。
【0292】2回目のラビング処理を1回目のラビング
方向と逆方向から行った後、剥離液によりマスクパタ−
ンを除去した。剥離液としてはエチレングリコ−ルモノ
エチルエ−テルアセテ−ト(溶解度パラメ−タ−:8.
7cal1/2 ・cm-3/2)を、剥離液のリンス液として
は、アセトン(溶解度パラメ−タ−:9.9cal1/ 2
・cm-3/2)を用いた。
【0293】用いた。
【0294】これら2枚の配向処理基板のマスク層を設
けてあった部分同士、2回目のラビング処理を施した部
分同士を対向させて90°TNに組み合わせ、Np液晶
を挟み込み、電極間距離6μmの液晶表示セルを作製し
た。この液晶表示セルは、液晶分子のプレチルト角が低
く、エッジリバ−スが生じ、コントラストが低いもので
あった。
【0295】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
配向劣化なしに、有効視野角の広い良好な表示特性の液
晶表示装置を得ることが可能である。
【0296】即ち、本発明の第1の態様によれば、配向
処理の異なる部分を複数回の配向処理により表示画面内
に設ける際、配向膜の材料として所定のポリイミドを用
いることにより、配向劣化なしに、有効視野角の広い良
好な表示特性の液晶表示装置を得ることが可能である。
【0297】また、本発明の第2の態様によれば、配向
処理の異なる部分を複数回の配向処理により表示画面画
素内に設ける際、マスク材料として所定の材料を用いる
ことにより、配向劣化なしに、有効視野角の広い良好な
表示特性の液晶表示装置を得ることが可能である。
【0298】更に、本発明の第3の態様によれば、配向
処理の異なる部分を複数回の配向処理により表示画面画
素内に設ける際、現像液及び/又は剥離液として130
℃以下の沸点を有する有機水溶液を用いることにより、
配向劣化なしに、有効視野角の広い良好な表示特性の液
晶表示装置を得ることが可能である。
【0299】更にまた、本発明の第4の態様によれば、
配向処理の異なる部分を複数回の配向処理により表示画
面画素内に設ける際、リンス液及び/又は剥離液とし
て、溶解度パラメ−タが8.7cal1/2 ・cm-3/2
満、または10.0cal1/2・cm-3/2を越える有機
溶剤を用いることにより、配向劣化なしに、有効視野角
の広い良好な表示特性の液晶表示装置を得ることが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の配向膜を構成するポリ
イミドのガラス転移温度と配向秩序度変化の関係を示す
特性図。
【図2】本発明の液晶表示装置の配向膜を構成するポリ
イミドの非共役系炭素の割合と配向秩序度変化の関係を
示す特性図。
【図3】本発明の液晶表示装置の配向膜を構成するポリ
イミドの比誘電率と配向秩序度変化の関係を示す特性
図。
【図4】本発明の液晶表示装置における配向膜への紫外
線の露光量と配向秩序度変化の関係を示す特性図。
【図5】本発明の液晶表示装置の製造に用いたマスク材
料であるPVAの溶解性を示す特性図。
【図6】本発明の液晶表示装置の製造に用いたマスク材
料であるフォトレジストの耐熱温度とレジスト変形によ
る不良発生の割合の関係を示す特性図。
【図7】本発明の液晶表示装置の製造に用いたマスク材
料であるフォトレジストの曲げ弾性率とレジスト変形に
よる不良発生の割合の関係を示す特性図。
【図8】本発明の液晶表示装置の製造に用いたマスク材
料であるフォトレジストのロックウェル硬さとレジスト
変形による不良発生の割合の関係を示す特性図。
【図9】本発明の液晶表示装置の製造に用いた現像液で
ある有機物の沸点と電圧保持率の関係を示す特性図。
【図10】本発明の液晶表示装置の製造に用いた現像液
のpHとコントラスト比の関係を示す特性図。
【図11】本発明の液晶表示装置の製造に用いた現像液
の溶解度パラメ−タと液晶分子のプレチルト角の関係を
示す特性図。
【図12】本発明の一実施例に係る液晶表示装置を示す
断面図。
【図13】本発明の一実施例に係る液晶表示装置の製造
工程を示す断面図。
【図14】本発明の一実施例に係る液晶表示装置におけ
る、視角に依存せずに均一なコントラストを示す等コン
トラスト曲線図。
【符号の説明】
1a,1b…透明基板 2a,2b…透明電極 3a,3b…配向膜 4…液晶 5…フォトレジスト 5a…フォトレジストパタ−ン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 武志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 岡本 ますみ 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 山本 恭弘 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に配向膜が形成された一対の基板間
    に液晶を充填した液晶セルを具備する液晶表示装置であ
    って、表示画面内に形成された配向方位または液晶分子
    の立ち上がり方向が異なる複数の配向領域を具備し、前
    記配向膜材料が (a)300℃〜400℃のガラス転移温度を有するポ
    リイミド、 (b)骨格中に2回転対称軸を持たないポリイミド、 (c)非共役系炭素が骨格中のイミド結合部を除いた全
    炭素数の10〜60%を占めるポリイミド、 (d)20℃で周波数1kHでの比誘電率が4〜7であ
    るポリイミド、 (e)テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを
    反応させて得られるポリイミド、及び/又はこのポリイ
    ミドをイミド化したポリイミドであり、前記テトラカル
    ボン酸二無水物部分が自由回転を起こさないもの、及び (f)イミド化率90%以上のポリイミドからなる群か
    ら選ばれたポリイミドを含むことを特徴とする液晶表示
    装置。
  2. 【請求項2】 一対の液晶基板表面に配向膜を形成する
    工程と、この配向膜に第1の方向に配向処理を施す工程
    と、配向膜上にマスクパタ−ンを形成して選択的に配向
    膜を覆う工程と、前記マスクパタ−ンを通して露出する
    配向膜に前記第1の方向とは異なる第2の方向に配向処
    理を施す工程とを具備し、前記マスクパタ−ンは、 (a)引っ張り弾性率が20〜500kgf/mm2
    感光性樹脂 (b)感光波長300nm以上の感光性樹脂、 (c)水溶性高分子、 (d)熱変形温度が50℃以上の感光性樹脂、 (e)曲げ弾性率が0.9〜5.1GPaの感光性樹
    脂、及び (f)ロックウェル硬さがM50以上の感光性樹脂から
    なる群から選ばれた物質を含む、表示画面内に配向方位
    または液晶分子の立ち上がり方向が異なる複数の配向領
    域が形成されている液晶表示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 一対の液晶基板表面に配向膜を形成する
    工程と、この配向膜に第1の方向に配向処理を施す工程
    と、配向膜上に感光性樹脂を塗布して現像液により現像
    し、マスクパタ−ンを形成して選択的に配向膜を覆う工
    程と、前記マスクパタ−ンを通して露出する配向膜に前
    記第1の方向とは異なる第2の方向に配向処理を施す工
    程と、剥離液を用いて前記マスクパタ−ンを除去する工
    程とを具備し、前記現像液及び/又は剥離液は、130
    ℃以下の沸点を有する有機水溶液を含む、表示画面内に
    配向方位または液晶分子の立ち上がり方向が異なる複数
    の配向領域が形成されている液晶表示装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 一対の液晶基板表面に配向膜を形成する
    工程と、この配向膜に第1の方向に配向処理を施す工程
    と、配向膜上に感光性樹脂を塗布して現像液により現像
    し、マスクパタ−ンを形成して選択的に配向膜を覆う工
    程と、リンス液を用いて前記現像液を除去する工程と、
    前記マスクパタ−ンを通して露出する配向膜に前記第1
    の方向とは異なる第2の方向に配向処理を施す工程と、
    剥離液を用いて前記マスクパタ−ンを除去する工程とを
    具備し、前記リンス液及び/又は剥離液は、溶解度パラ
    メ−タが8.7cal1/2 ・cm-3/2未満、または1
    0.0cal1/2 ・cm-3/2を越える有機溶剤を含む、
    表示画面内に配向方位または液晶分子の立ち上がり方向
    が異なる複数の配向領域が形成されている液晶表示装置
    の製造方法。
JP8685394A 1993-04-23 1994-04-25 液晶表示装置及びその製造方法 Pending JPH0728067A (ja)

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JP9802893 1993-04-23
JP11189393 1993-05-13
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9128328B2 (en) 2012-09-19 2015-09-08 Seiko Epson Corporation Liquid crystal device and projector
WO2020175517A1 (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 日産化学株式会社 膜及びその製造方法

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