JPH07278800A - 被膜形成装置及びその被膜形成方法 - Google Patents

被膜形成装置及びその被膜形成方法

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JPH07278800A
JPH07278800A JP9370194A JP9370194A JPH07278800A JP H07278800 A JPH07278800 A JP H07278800A JP 9370194 A JP9370194 A JP 9370194A JP 9370194 A JP9370194 A JP 9370194A JP H07278800 A JPH07278800 A JP H07278800A
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film
evaporation
evaporation source
coating
resistance heating
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JP9370194A
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Michio Minato
道夫 湊
Seiji Oishi
政治 大石
Masaru Sato
勝 佐藤
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Vacuum Metallurgical Co Ltd
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TAI GOLD KK
Vacuum Metallurgical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 [目的] 基材上のイオンプレーティングによるセラミ
ック被膜の上へ抵抗加熱によって密着性の良好な金属被
膜を形成させるための被膜形成装置及びその被膜形成方
法を提供すること。 [構成] 真空槽51内において、バイアス電源15に
接続された基材14に対し、先ず、反応ガスとしてのN
2 ガスの存在下にHCDガン21によってTiをイオン
プレーティングしてTiN被膜を形成させ、次いで抵抗
加熱によって蒸発したAu合金蒸気を出力調整したHC
Dガン21からのArイオンによってイオン化してAu
合金被膜を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック被膜の上へ金
属被膜を形成させる被膜形成装置及びその被膜形成方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】チタン窒化物(TiN)
は硬質であること、化学的に安定であることなどから、
多分野で応用されている。例えば装飾分野では、TiN
は金色を有し、密着性が良好なため、時計のケースやバ
ンドにおいて、ステンレス鋼を基材としてその上へTi
N被膜を形成させたものが多く製造されている。そし
て、このTiN被膜の形成には、イオンプレーティング
技術、中でも、イオン化率が40%前後と他に比較して
1桁以上に大きいホローカソード放電(HCD)による
イオンプレーティング技術が採用されており、緻密で密
着性の良好な被膜となっている。
【0003】しかし、TiNの色調は金(Au)の色調
とは若干異なること、また反射率もやや低いことから、
TiN被膜の上へ更にAu合金被膜を形成させる試みが
ある。然るに、Au合金被膜が抵抗加熱によるものであ
る場合は勿論、それがRFイオンプレーティングによる
ものであっても、Au合金被膜のTiN被膜への密着性
は十分でなく、現在までのところ、実用に耐えるものは
得られない。
【0004】すなわち、TiN被膜上に抵抗加熱によっ
て、例えばAuやAu合金等の金属を蒸発させて被膜を
形成させても、蒸発される金属蒸気は原子状または分子
状でありイオン化された状態ではない。従って、TiN
被膜上に堆積され被膜化する際の密着力はファンデアワ
ールス力のみによるので大きい値を期待できない。
【0005】そして、この金属蒸気をイオン化するには
別な装置や電源を必要とする。例えば、実公平2−38
926号公報では、図3に示した被膜形成装置を使用す
る実施例において、ガス導入系2から窒素ガスを導入し
つつ直流イオンプレーティング装置としての電子ビーム
蒸発装置4によって金属チタン5を蒸発させ、直流イオ
ン化電源6によりイオン化を行なう活性反応蒸着によっ
て基板3上に窒化チタン被膜を形成させ、次いで、窒化
チタン被膜形成を継続しつつ、抵抗加熱によって金7を
蒸発させて窒化チタン−金の合金被膜を形成させ、更に
はチタン蒸発と窒素ガス導入とを停止しガス導入系2よ
りアルゴンガスを導入して、金蒸発を継続させつつ、高
周波電極コイル8に高周波電力を印加して金のみの高周
波イオンプレーティングを行ない、金の被膜を形成させ
る技術が開示されている(同公報第3欄第12行〜第4
欄第11行)。そして、その直流イオンプレーティング
機構には活性反応蒸着のほかに、ホローカソード型イオ
ンプレーティングや熱陰極型イオンプレーティングが含
まれる(同公報第2欄第19行〜第22行)、としてい
る。しかし、この方法によって得られるAu膜の密着力
は未だ満足なものではない。
【0006】また、積層膜の形成手段として、特公平4
−147968号公報には、ホローカソード電子銃(1
1)ではAlや酸化物を蒸発させることができないが、
トランスバース型電子銃(12)ではこれが可能になる
ので、第2蒸発源(8)でこの種の材料を蒸発させ、第
1蒸発源(7)で他の材料を蒸発させて複合膜、積層膜
を形成できる(同公報第3頁右下欄第19行〜第4頁左
上欄第4行)とし、ホローカソード電子銃(11)によ
って第1蒸発源(7)内の蒸発材料(6)を蒸発させ、
これと同時に電子銃(12)によって第2蒸発源(8)
内の蒸発材料(6)を蒸発させている(同公報第3頁左
下欄第10行〜第20行)。
【0007】そして、イオンプレーティングの際に、第
1蒸発源(7)からTiを蒸発させると共に第2蒸発源
(8)からSiを蒸発させながら、反応ガスとしてO2
を導入すれば、基板(4)にTiO+SiOの複合膜を
形成できる(同公報第3頁右下欄第12行〜第16
行)、各蒸発材料を順次に蒸発させれば1工程のイオン
プレーティングで積層膜を形成出来る(同公報第3頁左
上欄第3行〜第5行)、としている。
【0008】すなわち、ここにおいて開示されているの
は、ホローカソード電子銃(11)と電子銃(12)と
の組み合わせ、及び蒸着膜としてのTiO、SiOであ
るが、反応ガスとしてO2 のほかN2 も開示されている
ので(同公報第3頁右下欄第10行)、TiNも含まれ
よう。しかし、セラミック被膜に対する金属被膜の密着
性の向上については何ら示唆するものではない。
【0009】その他、特開平1−96372号公報に
は、EBガンとプラズマ銃とを併用する技術が開示され
ている。その実施例によれば、EBガンは蒸発手段とし
て、またプラズマ銃はプラズマ発生機構に使用されてお
り(同公報第2頁右上欄第13行〜左下欄第5行)、こ
れは成膜材料の蒸発とイオン化を別々に行なう(同公報
第2頁左上欄第20行)ためのものであって、複数の成
膜材料を蒸発させるものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする問題点】本発明は上述の問題
に鑑みてなされ、基材上のセラミック被膜の上へ抵抗加
熱法によって密着性の良好な金属被膜を形成させるため
の被膜形成装置及びその被膜形成方法を提供することを
目的とする。なお、ここにおいてセラミックとは金属の
窒化物、酸化物、炭化物、硼化物であって、硬質で緻密
なものを指すものとする。
【0011】
【問題点を解決するための手段】以上の目的は、真空槽
内において、バイアス電源に接続された基材と、該基材
上にセラミック被膜を形成させるための、ホローカソー
ド放電電子銃により蒸発原料を蒸発させる第1蒸発源
と、反応ガスの導入口と、前記ホローカソード放電電子
銃にアシストされて前記セラミック被膜の上へ金属被膜
を形成させるための、抵抗加熱により蒸発原料を蒸発さ
せる第2蒸発源とからなることを特徴とする被膜形成装
置、によって達成される。
【0012】また以上の目的は、真空槽内において、バ
イアス電源に接続された基材に対し、反応ガスの共存下
にホローカソード放電電子銃により第1蒸発源の蒸発原
料を蒸発させてセラミック被膜を形成させ、次いで抵抗
加熱により第2蒸発源の蒸発原料を蒸発させつつ、前記
ホローカソード放電電子銃からのプラズマによって前記
第2蒸発源の蒸発原料の蒸気をイオン化させて、前記セ
ラミック被膜の上へ金属被膜を形成させることを特徴と
する被膜形成方法、によって達成される。
【0013】また以上の目的は、真空槽内において、バ
イアス電源に接続された基材に対し、反応ガスの共存下
にホローカソード放電電子銃により第1蒸発源の蒸発原
料を蒸発させてセラミック被膜を形成させ、次いで前記
第1蒸発源からの蒸発を継続させつつ、抵抗加熱により
第2蒸発源の蒸発原料を蒸発させ、前記ホローカソード
放電電子銃からのプラズマによって前記第2蒸発源の蒸
気をイオン化させて、前記セラミック被膜の上へ前記第
1蒸発源の蒸発材料と前記第2蒸発源の蒸発材料との混
合被膜を形成させ、更に、前記第2蒸発源からの蒸発原
料の蒸発と前記イオン化のみを継続させて前記混合被膜
の上へ金属被膜を形成させることを特徴とする被膜形成
方法、によって達成される。
【0014】
【作用】バイアス電圧のかけられている基材に対し、反
応ガスの共存下にホローカソード放電電子銃によって金
属のイオンプレーティングを行ないセラミック被膜が形
成される。次いで、抵抗加熱で蒸発される金属蒸気はホ
ローカソード放電電子銃からのプラズマと荷電交換され
てイオン化され、バイアス電圧のかかっているセラミッ
ク被膜上に金属被膜を形成する。すなわち、金属蒸気に
与えられたエネルギはセラミック被膜との密着性の向上
に使用されるので、セラミック被膜の上へ密着性の優れ
た金属被膜が形成される。
【0015】更には、セラミック被膜と金属被膜との間
にセラミックと金属との混合被膜を介在させることによ
り、密着性の一層優れた金属被膜が形成される。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例による被膜形成装置及
びその被膜形成方法について、図面を参照して説明す
る。
【0017】図1は本発明の実施例による被膜形成装置
の概略断面図である。すなわち、概しては、ホローカソ
ード放電(HCD)によるイオンプレーティングと抵抗
加熱による蒸着とを行ない得る装置であり、これを詳述
すれば、真空槽51はその上部に図示しない真空ポンプ
と接続される真空排気口52を有し、かつ熱伝導真空計
53が設けられている。そして真空槽51の全体は接地
電極54によってアース電位にある。
【0018】真空槽51の内部上方には外部のバイアス
電源15と接続されて基材14が矢印pの方向に回転可
能に取り付けられている。内部下方には真空槽51の外
側から側壁を挿通してHCDガン(ホローカソード放電
電子銃)21が、HCD用蒸発源としてのHCD用坩堝
22と共に配設されており、HCDガン21は外部にお
いてHCD用電源23に接続され、更には直流電源26
によって、HCDガン21は負電位に、HCD用坩堝2
2は正電位とされている。HCD用坩堝22にはHCD
用の蒸発原料25が装填される。なお、HCDガン21
にはプラズマ用のアルゴン(Ar)ガス導入口24が設
けられている。また同じく内部下方には、外部の抵抗加
熱用電源33に接続された抵抗加熱用蒸発源としてのタ
ンタル(Ta)製の抵抗加熱用ボート32が配設され、
その中には抵抗加熱用の蒸発原料35が装填される。
【0019】更には、HCD用坩堝22の直上方には矢
印q方向に開閉されるHCD用シャッタ28が、また抵
抗加熱用ボート32の直上方には矢印r方向に開閉され
る抵抗加熱用シャッタ38が設けられており、図1では
両シャッタ28、38は共に閉の状態にある。そして、
HCD用シャッタ28が閉の状態にあり抵抗加熱用シャ
ッタ38が開の状態にある時には、HCD用坩堝22か
らは基材14は見えないようになっているが、HCD用
シャッタ28にはHCDガン21から出てHCD用坩堝
22上で反跳するプラズマ中のArイオンが抵抗加熱用
ボート32からの蒸発原料35の蒸気を照射してイオン
化させるための開口部分が設けられている。図2はその
様子を概念的に示す図である。
【0020】その他、真空槽51の底部には反応ガス導
入口44が設けられており、基材14の直上方には余熱
用ヒータ16が、またHCD用坩堝22と抵抗加熱用ボ
ート32の直下方には補助加熱用ヒータ17が設けられ
ている。なお、ヒータ類の電源と接続の図示は省略され
ている。
【0021】本実施例による被膜形成装置は以上のよう
に構成されるが、次にその作用を、セラミック被膜とし
てのチタン窒化物(TiN)被膜の上へ金属被膜として
の金(Au)とパラジウム(Pd)とからなるAu合金
被膜を形成させる場合の実施例1によって示す。
【0022】(実施例1)基材14としてステンレス鋼
で作製された時計ケースを用意した。HCD用坩堝22
にはTi、抵抗加熱用ボート32にはAu合金を装填
し、基材14を真空槽51内に取り付けて1×10-3
a以下に真空排気すると共に予熱ヒータ16で基材14
を予熱し、かつ補助加熱ヒータ17にも通電を開始し
た。次いで真空槽51内にArガスを導入して1Paの
圧力とし、基材14に(−)3KVの負電圧を印加して
Arイオンによるスパッタクリーニングを行なった。
【0023】次に基材14にTiN被膜を形成させた。
すなわち、HCD用シャッタ28と抵抗加熱用シャッタ
38は共に閉のまま、プラズマ用のArガスをArガス
導入口24から20cc/minの流量で流入させた。
この時、熱伝導真空計53は真空槽51内の圧力が0.
1Paであることを示した。HCDガン21を作動させ
て出力を30V×150Aより大にすると、HCD用坩
堝22中のTiは熔融して蒸発を開始する。出力を30
V×200AとしてHCD用シャッタ28を開とした。
同時に窒素(N2 )ガスを反応ガス導入口44から20
0cc/minの流量で流入させ、基材14に(−)3
0Vの負電圧を印加した。このようにして、基材14上
にTiN被膜が0.3μm/minの成膜速度で堆積
し、10分間で3μmの厚さのTiN被膜が形成され
た。ここにおいてHCD用シャッタ28を閉とし、HC
Dガン21の出力を30V×140Aとした。また反応
ガスとしてのN2 ガスの流入を停止した。
【0024】次いで、Au合金被膜を形成させた。すな
わち、HCD用シャッタ28、抵抗加熱用シャッタ38
を共に閉としたまま、抵抗加熱用ボート32に通電し、
ジュール熱による加熱を開始した。30Vの電圧で電流
の大きさが100AにおいてAu合金は熔融した。ここ
において、HCDガン21の出力はTiを熔融させない
30V×140Aであり、HCD用シャッタ28は閉の
まま抵抗加熱用シャッタ38を開とした。この時点で、
熱伝導真空計53は圧力0.1Paを示していた。抵抗
加熱用ボート32から蒸発したAu合金の蒸気はTiN
被覆された基材14へ到達するまでに、HCDガン21
からのプラズマ中のArイオンと衝突し、荷電交換して
イオン化されるので、(−)30Vのバイアス電圧を印
加されているTiN被覆された基材14に到達して密着
性よく堆積する。こうして厚さ3μmのTiN被膜上に
厚さ0.5μmのAu合金被膜が形成された。
【0025】このAu合金被膜のTiN被膜に対する密
着性をJISH8504、15引きはがし試験方法、1
5.1テープ試験方法に拠って試験したが、セロハン粘
着テープの粘着面に剥がれて付着するものは認められ
ず、基材14側のAu合金被膜にも異常は認められなか
った。比較のために、TiN被膜上にイオン化を行なわ
ず抵抗加熱のみによってAu合金被膜を形成させたもの
について同じく密着性を調べたところ、セロハン粘着テ
ープの粘着面に剥がれが付着した。また、従来の技術と
して説明した実公平2−38926号公報に記載の方
法、すなわちTiN被膜上に高周波イオンプレーティン
グで形成させたAu合金被膜はセロハン粘着テープによ
る密着性試験で一部に剥離が認められた。
【0026】(実施例2〜10)実施例1と同様な手順
で基材14上に厚さ3μmのTiN膜を形成させ、その
上へ実施例1のAu合金に代えて、金(Au)、銀(A
g)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム
(Rh)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミ
ニウム(Al)、銅(Cu)をそれぞれ別個に厚さ0.
5μmの金属被膜として形成させた。また、これらの金
属被膜を抵抗加熱のみによって形成させたもの、実公平
2−38926号公報に記載の方法で形成させたものも
作成し、実施例1と同様に、セロハン粘着テープによる
密着性試験を行なった。その結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】表1におけるコードは次の内容を表示す
る。 ×・・・・・剥離あり △・・・・・一部剥離あり ○・・・・・剥離せず なお、TiN被膜上に、Au、Ag、Pt、Pd、R
h、Ni、Cr、Al、Cuから選んだ2〜3種の金属
からなる合金被膜を実施例1と同様の手順で作成した
が、何れも良好な密着性試験結果を与えた。
【0029】(実施例11)実施例1における反応ガス
としてのN2 ガスに代えて、酸素(O2 )ガス、メタン
(CH4 )ガス、(N2 /O2 )混合ガス、(CH4
2)混合ガス、(CH4 /N2 /O2 )混合ガスをそ
れぞれ別個に導入して、実施例1におけるTiN被膜に
代わるTiO2 被膜(青色)、TiC被膜(灰白色)、
TiCmn 被膜(金色、茶色)、TiCxyz
膜(青色から黄色、黒)のセラミック被膜を形成させ
た。なお、上記においてm+n=1、x+y+z=1で
あり、以下の記述においても同様である。
【0030】そして、これらのセラミック被膜上に、A
u、Ag、Pt、Pd、Rh、Ni、Cr、Al、Cu
の中の1種単独、または2〜3種の合金からなる金属被
膜を形成させたものは良好な密着性を示した。
【0031】(実施例12)実施例1においてHCD用
坩堝22に装填したTiに代えてCrを装填し、かつ反
応ガスはN2 、CH4 、(CH4 /N2 )、または(C
4/N2 /O2 )として実施例1におけるTiN被膜
に代わるCrN被膜(灰白色)、CrC被被膜(灰白
色)、CrCmn 被膜(灰色)、またはCrCxy
z 被膜を形成させた。
【0032】そして、これらセラミック膜上に、Au、
Ag、Pt、Pd、Rh、Ni、Cr、Al、Cuの中
の1種単独、または2〜3種の合金からなる金属被膜を
形成させたが、何れも良好な密着性を示した。
【0033】(実施例13)実施例1のHCD用坩堝2
2に装填したTiに代えてジルコニウム(Zr)を装填
し、反応ガスはN2 として基材14上にZrN被膜(薄
金色)を形成させ、その上へ実施例1と同様の手順でA
u、Ag、Pt、Pd、Rh、Ni、Cr、Al、Cu
の中の1種単独、または2〜3種の合金からなる金属被
膜を形成させたが、これら金属被膜は何れも良好な密着
性を示した。
【0034】(実施例14)実施例1のTiに代えてハ
フニウム(Hf)を装填し、反応ガスをN2 としてHf
N被膜(薄金色)を形成させ、その上へ実施例1と同様
の手順でAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Ni、Cr、
Al、Cu中の1種単独、または2〜3種の合金からな
る金属被膜を形成させたが、これらの金属被膜は何れも
良好な密着性を示した。
【0035】以上の各種セラミック被膜と各種金属被膜
との組み合わせの中で、同系統の色調を示す好ましいも
のとして次の組み合わせがある。 TiN(金色) + Au(金色) CrN(灰白色)+ Pt(プラチナ色) CrCmNn(灰色) + Rh(ロジウム色) ZrN(薄金色)+ Au・Pd合金(薄金色)
【0036】(実施例15)実施例1におけるAu合金
被膜の形成プロセスにおいて、抵抗加熱用ボート32に
30Vの電圧で100Aの電流を流してAu合金を熔融
させる迄は全く同様な操作を行なった。Au合金が熔融
した後、HCDガンの出力を30V×160AとしてH
CD用シャッタ28と抵抗加熱用シャッタ38とを共に
開とした。この時、真空槽51内の圧力は0.1Paで
あった。
【0037】HCDガン21からのArイオンとHCD
用坩堝22からのTiイオンとが真空槽51内に十分に
廻り込み、抵抗加熱用ボート32からのAu合金の蒸気
はTiN被覆された基材14に到達する迄の間に、Ar
イオン、Tiイオンと衝突し荷電交換してイオン化さ
れ、イオン化されたAu合金の蒸気とTiイオンとが
(−)30Vのバイアス電圧をかけた基材14に衝突し
て、密着性よく付着して混合層を形成した。この混合層
の厚さは0.1μm程度でよく、層形成の所要時間は約
1分間であった。
【0038】この後、再度、実施例1と同じように、す
なわち、HCD用シャッタ28を閉とし、HCDガン2
1の出力を30V×140Aとして、Au合金の蒸気を
イオン化させ、基材14に堆積させた。
【0039】このようにして、厚さ3μmのTiN被膜
の上へ厚さ0.1μmの混合層を形成させ、更にその上
へ厚さ0.5μmのAu合金被膜を形成させた。このA
u合金被膜の密着性は実施例1の場合と同等以上であっ
た。しかし、この方法によるものはAu合金被膜が削り
取られると色調の異なる混合層が現出するという欠点が
あった。混合層中のTiの色調である。
【0040】(実施例16)実施例1におけると同様な
手順で、TiN被膜上にAu被膜を形成させる場合の、
抵抗加熱して発生したAu蒸気をイオン化させる時の、
HCDガン21の出力の大きさと形成されるAu被膜の
耐摩擦性について調べたところ、出力の最適値は30V
×110A〜30V×150Aの範囲にあることが判明
した。その結果を表2に示した。なお、耐摩擦性はAu
被膜の表面を綿棒で500回以上こすってTiN被膜が
露出されるか否かを見た。
【0041】
【表2】
【0042】以上、本発明の各実施例について説明した
が、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発
明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0043】例えば、実施例の被膜形成装置において
は、HCDガン21からのプラズマの先端をHCD用坩
堝22に向けたものとし、抵抗加熱によって生成される
Au合金の蒸気のイオン化に当ってはHCDガン21の
出力をHCD用坩堝22中のTiが蒸発しない値に下げ
たが、HCDガン21からのプラズマの先端の向きを変
化させ得るようにすれば、Tiのイオンプレーティング
とAu合金蒸気のイオン化とに応じて最適の向きとし
て、出力を調整しないで被膜形成を行なうことができ
る。
【0044】また、被膜形成の各実施例においてはセラ
ミック被膜として金属の窒化物、炭化物、酸化物、ない
しはこれらの混合系を例示したが、反応ガスにボラン
(B26 )ガスを使用してセラミック被膜を金属の硼
化物とすることも可能である。
【0045】また、被膜形成の各実施例においては、基
材14としてステンレス鋼の時計ケースを使用したが、
ステンレス鋼以外の各種金属やセラミックスも基材14
として使用され得る。
【0046】また、被膜形成の各実施例においては、セ
ラミック被膜の上へ金属被膜を形成させる2層の構造を
例示したが、これらを交互に積層した多層構造の被膜を
形成させることも可能である。
【0047】更にまた、例えば被膜形成の実施例1にお
いては、N2 ガスが共存下でのTiのイオンプレーティ
ングによってTiN被膜、すなわちセラミック被膜を形
成させ、その上へ抵抗加熱によるAu合金蒸気をイオン
化してAu合金被膜を形成させたが、N2 ガスを導入せ
ずにTiのイオンプレーティングを行なってTiの金属
被膜を形成させ、その上へ抵抗加熱で蒸発させ、イオン
化させたAu合金蒸気でAu合金被膜を形成させるよう
な場合にも本発明の被膜形成装置は適用され得る。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の被膜形成装
置及びその被膜形成方法によれば、反応ガスの存在下の
ホローカソード放電法によるイオンプレーティングで形
成されるセラミック膜上に、抵抗加熱によって密着性の
良好な各種の金属被膜、合金被膜を形成させることがで
きるので装飾分野で多方面の応用が期待される。また、
同一真空槽内でホローカソード放電法によるイオンプレ
ーティングと抵抗加熱法による蒸着とを行なうので、生
産効率の高い被膜形成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による被膜形成装置の概略縦断
面図である。
【図2】同装置の概略縦断面図であるが、抵抗加熱用シ
ャッタを開とした時の状況を示す。
【図3】第1従来例としての被膜形成装置の概略縦断面
図である。
【図4】第2従来例としての複合イオンプレーティング
装置の概略縦断面図である。
【符号の説明】
14 基材 15 バイアス電源 21 HCDガン 22 HCD用坩堝 24 Arガス導入口 28 HCD用シャッタ 32 抵抗加熱用ボート 38 抵抗加熱用シャッタ 44 反応ガス導入口 51 真空槽

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内において、バイアス電源に接続
    された基材と、該基材上にセラミック被膜を形成させる
    ための、ホローカソード放電電子銃により蒸発原料を蒸
    発させる第1蒸発源と、反応ガスの導入口と、前記ホロ
    ーカソード放電電子銃にアシストされて前記セラミック
    被膜の上へ金属被膜を形成させるための、抵抗加熱によ
    り蒸発原料を蒸発させる第2蒸発源とからなることを特
    徴とする被膜形成装置。
  2. 【請求項2】 真空槽内において、バイアス電源に接続
    された基材に対し、反応ガスの共存下にホローカソード
    放電電子銃により第1蒸発源の蒸発原料を蒸発させてセ
    ラミック被膜を形成させ、次いで抵抗加熱により第2蒸
    発源の蒸発原料を蒸発させつつ、前記ホローカソード放
    電電子銃からのプラズマによって前記第2蒸発源の蒸発
    原料の蒸気をイオン化させて、前記セラミック被膜の上
    へ金属被膜を形成させることを特徴とする被膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】 前記第2蒸発源の蒸発原料の蒸気をイオ
    ン化させる時の前記ホローカソード放電電子銃の出力を
    前記第1蒸発源の蒸発原料が蒸発されないレベルの出力
    とする請求項2に記載の被膜形成方法。
  4. 【請求項4】 真空槽内において、バイアス電源に接続
    された基材に対し、反応ガスの共存下にホローカソード
    放電電子銃により第1蒸発源の蒸発原料を蒸発させてセ
    ラミック被膜を形成させ、次いで前記第1蒸発源からの
    蒸発を継続させつつ、抵抗加熱により第2蒸発源の蒸発
    原料を蒸発させ、前記ホローカソード放電電子銃からの
    プラズマによって前記第2蒸発源の蒸気をイオン化させ
    て、前記セラミック被膜の上へ前記第1蒸発源の蒸発材
    料と前記第2蒸発源の蒸発材料との混合被膜を形成さ
    せ、更に、前記第2蒸発源からの蒸発原料の蒸発と前記
    イオン化のみを継続させて前記混合被膜の上へ金属被膜
    を形成させることを特徴とする被膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記金属被膜の形成時の、前記イオン化
    における前記ホローカソード放電電子銃の出力を前記第
    1蒸発源の蒸発原料が蒸発されないレベルの出力とする
    請求項4に記載の被膜形成方法。
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