JPH07274826A - 魚臭が低減されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪 - Google Patents

魚臭が低減されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪

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JPH07274826A
JPH07274826A JP6088091A JP8809194A JPH07274826A JP H07274826 A JPH07274826 A JP H07274826A JP 6088091 A JP6088091 A JP 6088091A JP 8809194 A JP8809194 A JP 8809194A JP H07274826 A JPH07274826 A JP H07274826A
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tuna
bonito
orbital fat
fat
orbital
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Hiroaki Konishi
寛昭 小西
Kiyoshi Tatsumi
清 巽
Noribumi Sato
則文 佐藤
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚臭の発生を低減せしめると共にドコサヘキ
サエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)
などの高度不飽和脂肪酸を相当量含有するマグロおよび
/またはカツオ眼窩脂肪を提供する。 【構成】 油脂の脂肪酸残基中に含まれるドコサヘキサ
エン酸(DHA)濃度が25〜38%の範囲にあり、エイコ
サペンタエン酸(EPA)濃度が2〜8%の範囲にあっ
て、トランス異性体含有率が4%以上であるマグロおよ
び/またはカツオ眼窩脂肪。 【効果】 このマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪は
魚臭の発生が少なく、しかも、ドコサヘキサエン酸(D
HA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不
飽和脂肪酸を相当量含有しているので、食品素材に適し
たものであり、また、医薬品素材としても利用可能であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚臭が低減されたマグ
ロおよび/またはカツオ眼窩脂肪に関する。本発明のマ
グロおよび/またはカツオ眼窩脂肪は、魚臭や戻り臭が
低減されていると共にドコサヘキサエン酸(DHA)や
エイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪
酸を相当量含有しているので、一般の食品や医療食など
の油脂素材として有用である。
【0002】
【従来の技術】油脂は、蛋白質、炭水化物と並び食品の
三大栄養素の一つであって、エネルギー源として重要な
役割を果たしており、日本人においては食事中の総エネ
ルギーに占める脂肪エネルギーの比率は約25%に達して
いる現状にある。また、油脂は生体を構成する重要な成
分でもあり、食物からの脂肪摂取が欠乏すると様々な症
状や障害が現れることが多数報告されている。
【0003】また、油脂はグリセロール骨格に脂肪酸3
分子がエステル結合した構造を有しており、脂肪酸の種
類や組合せによって性状や生体内での役割を大きく左右
される。そして、この脂肪酸の中でも、高度不飽和脂肪
酸には、それ自体あるいはその代謝生産物に生体内で有
用な生理機能を示すものが多い。例えば、リノール酸や
α−リノレン酸は欠乏すると、皮膚異常、組織再生力の
減退、病気感染に対する感受性の増加などの症状をもた
らし、かつ、これらの脂肪酸は生体内で合成されず食事
から摂取しなければならないので、必須脂肪酸とされて
いる。
【0004】これらの必須脂肪酸と並んで、ドコサヘキ
サエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)
は、循環器系疾患やその他の成人病の予防および治療に
有効であるとされており、近年、注目を集めている高度
不飽和脂肪酸である。そして、特に血小板凝集能低下、
血中コレステロール低下、血糖値低下などの血液循環器
系への作用、肝中性脂肪低下やリウマチの治療および予
防効果、各種悪性腫瘍発生率低下作用、アトピー、喘
息、花粉症などに対する免疫調整作用、さらには、最近
注目されている作用として、学習機能や記憶力の向上お
よび改善、痴呆症抑制、視力向上あるいは低下抑制など
の神経系に関する作用が報告されている〔「機能性脂質
の開発と応用」佐藤清隆他監修、シーエムシー「食品と
開発」1992年8月号、健康産業新聞社発行〕。
【0005】このように各種の生理機能が報告されてい
るドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン
酸(EPA)は、多くの魚類や鯨の脂肪中に存在してお
り、魚種や鯨、または、それらの部位により、あるいは
漁獲の場所と時期により、これらの含有量が異なる。そ
して、イワシ、アジなどの小型魚の脂肪中にはエイコサ
ペンタエン酸(EPA)が、カツオ、マグロ、カジキ、
カンパチ、サメなどの大型魚の脂肪中にはドコサヘキサ
エン酸(DHA)が、それぞれ多量に含まれていること
が知られている〔油脂化学便覧第4版〕。
【0006】これらの魚種や鯨の中で、特にマグロやカ
ツオの体脂肪中には高度不飽和脂肪酸が多量に含有され
ている。
【0007】スズキ目サバ科Scombridaeマグロ属に属
し、ラテン名を Thunnusと称するマグロは、ドコサヘキ
サエン酸(DHA)を20〜30%、エイコサペンタエン酸
(EPA)を3〜10%含有している。このマグロは、熱
帯および温帯海域のほぼ全域に分布しており、Tuna
〔英〕、Thon〔仏〕、Thun〔独〕などと呼ばれ、漁業の
対象になっている。そして、日本における漁獲量はマグ
ロ総量として約34万トン(1992年)であり、この他に約
25万トンを輸入している現状にある〔「1993年度版、食
品・生産・輸入・消費(水産・水産加工品編)」、食品
流通研究会発行、1993年発行〕。中でもメバチマグロと
キハダマグロは、漁獲量、輸入量共に多い。
【0008】また、スズキ目サバ科Scombridaeカツオ属
に属し、ラテン名をKatsuwonusと称するカツオは、ドコ
サヘキサエン酸(DHA)を20〜25%、エイコサペンタ
エン酸(EPA)を5〜10%含有している。このカツオ
は、熱帯および温帯海域のほぼ全域に分布しており、Sk
ipjack、Bonito〔英〕、Bonite、Listao〔仏〕、Bonito
〔独〕などと呼ばれ、漁業の対象になっている。そし
て、日本における漁獲量は約32万トン(1992年)であ
り、この他に約3万トンを輸入している現状にある
〔「1993年度版、食品・生産・輸入・消費(水産・水産
加工品編)」、食品流通研究会発行、1993年発行〕。
【0009】そして、マグロおよびカツオの眼球の背後
部に存在する脂肪である眼窩脂肪には、高度不飽和脂肪
酸、特にドコサヘキサエン酸(DHA)が非常に高濃度
に存在している。これらの眼窩脂肪の高度不飽和脂肪酸
含有率は、魚種、捕獲海域、捕獲時期により変動する
が、マグロ眼窩脂肪およびカツオ眼窩脂肪においては、
ドコサヘキサエン酸(DHA)が30〜43%、エイコサペ
ンタエン酸(EPA)が4〜10%存在している。このマ
グロもしくはカツオから採取した眼窩脂肪は、通常、酸
処理、脱ガム、脱酸などの処理を受けた後、遠心分離な
どの処理により油分から水溶性画分を除去して得られ
る。
【0010】一方、食品素材にとって香りは重要な因子
である。一般的に魚油は、ドコサヘキサエン酸(DH
A)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽
和脂肪酸を相当量含有していて利用価値の高い油脂であ
るが、特有の臭気(魚臭)を有しているので、食品素材
としての利用が制限されている。これはマグロ眼窩脂肪
やカツオ眼窩脂肪においても同様である。
【0011】現在、魚臭については、活性炭、活性白
土、珪藻土などへの吸着、分子蒸留、あるいは水蒸気蒸
留により、その除去が試みられている。しかし、このよ
うな脱臭処理を行ったマグロ眼窩脂肪やカツオ眼窩脂
肪、あるいはこれらの眼窩脂肪を配合した食品は保存中
に魚臭が発生する。この魚臭は、主に高度不飽和脂肪酸
であるドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタ
エン酸(EPA)などが酸化劣化を受けて発生するもの
であって、臭気成分としては、ノナジエナール、デカト
リエナール、ヘキセナール、ヘプテナールなどのアルデ
ヒドやオクタジエノンなどのケトンであると報告されて
いる〔Karahadian and Linsay, J. of Am. Oil Chemist
s' Society, Vol.66, no.7, p.953, 1989 〕。
【0012】マグロ眼窩脂肪やカツオ眼窩脂肪について
も、これらの臭気成分の除去や発生の抑制が重要な課題
であり、前述したように、活性炭、活性白土、珪藻土な
どへの吸着、分子蒸留、あるいは水蒸気蒸留による魚臭
の除去が試みられている。しかし、これらの方法により
処理したマグロ眼窩脂肪やカツオ眼窩脂肪も保存中に魚
臭を発生するので、ビタミンE、アスコルビン酸および
その誘導体、レシチン、その他、各種の酸化防止剤を多
量に用いて酸化劣化を抑制することが不可欠となってい
る現状にある。
【0013】一方、還元処理により安定化された魚油と
して、イワシ油やサバ油を原料とした硬化魚油が従来か
ら製造されており、融点が20〜45℃、好ましくは35℃以
上に上昇した硬化魚油は食品素材として使用し易いとさ
れている〔油脂・油糧ハンドブック、阿部芳郎監修、幸
書房発行〕。しかし、このような硬化魚油では、魚油中
に含まれている高度不飽和脂肪酸が還元され消失してい
る。したがって、現在入手可能な硬化魚油中には、ドコ
サヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(E
PA)が含まれていないか、ごく僅かに残存しているの
みである。この状況は、マグロ眼窩脂肪やカツオ眼窩脂
肪の場合も同様であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑みなされたものであって、その目的は、多くの生理
活性を有するので有用な食品素材となり得るが、特有の
臭気を発生するが故に食品素材としての利用が困難であ
るか、もしくは、その利用が限定されているマグロ眼窩
脂肪やカツオ眼窩脂肪から、魚臭の発生を低減せしめる
と共にドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタ
エン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸を相当量含有
するマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪を提供するこ
とにある。
【0015】本発明者らは、係る目的を達成するため
に、マグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪の還元処理を
行い、その保存試験を実施した結果、魚臭の発生が顕著
に抑制されると共に優れた風味安定性を示すことを見出
した。そして、この結果に基づき、鋭意研究を重ねた結
果、魚臭の発生を低減せしめると共にドコサヘキサエン
酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの
高度不飽和脂肪酸を相当量含有するマグロおよび/また
はカツオ眼窩脂肪を製造するための還元条件を見出し、
本発明を完成するに至った。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の魚臭が低減され
たマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪は、マグロやカ
ツオから得られたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪
を還元処理することにより得ることができる。原料とな
るマグロ眼窩油は、マグロ(スズキ目サバ科Scombridae
マグロ属)の眼球背後部から搾油されたものを用いる。
また、カツオ眼窩脂肪は、カツオ(スズキ目サバ科Scom
bridaeカツオ属)の眼球背後部から搾油されたものを用
いる。
【0017】本発明の魚臭が低減されたマグロおよび/
またはカツオ眼窩脂肪を得るために行う還元処理は触媒
存在下で行うが、ここで用いることのできる触媒とし
て、還元ニッケル、ギ酸ニッケル、ラネーニッケル、ホ
ウ化ニッケルなどのニッケル触媒やリチウムアルミニウ
ムハイドライド、水素化ホウ素ナトリウム、さらにプラ
チナ、パラジウム、鉄、銅などから構成される金属触
媒、ランタン系やカルシウム系の水素貯蔵(吸蔵)合金
などを例示することができる。これらの触媒について
は、その触媒活性や要求される反応条件に応じて適宜選
択して用いる。
【0018】次に、還元処理の手順について説明する。
まず、マグロやカツオから得られた眼窩脂肪と適宜選択
した触媒とを反応容器に注入する。なお、眼窩脂肪と触
媒の割合は、用いる触媒種により異なるので、用いる触
媒種に応じて決定する。また、眼窩脂肪と触媒とは、必
ずしも一緒に反応容器に注入する必要はなく、先に眼窩
脂肪を注入して所定の条件に到達した後、触媒を注入し
ても良いし、その逆の操作を行っても構わない。さら
に、反応容器は、耐圧式で撹拌装置が装備されているも
のが好ましいが、その形状やサイズについては特に限定
されず、バッチ式であっても構わないし、また、連続式
であっても構わない。
【0019】反応容器に供給された眼窩脂肪と触媒につ
いては、撹拌しながら減圧操作(5torr以下)を行うこ
とにより、十分脱気、脱水を行う。なお、用いる眼窩脂
肪が十分脱水されている場合には、必ずしもこの減圧操
作を行う必要はない。この操作が完了した後、反応容器
を所定の反応温度まで昇温する。この反応温度域は、用
いる触媒種により異なるので、用いる触媒種に応じて決
定する。そして、所定反応温度に達したならば、必要に
応じて水素ガスを反応容器に供給し、還元反応を開始す
る。
【0020】還元反応を開始してから所定の時間が経過
した後、撹拌を止め、水素ガスを用いた場合には水素ガ
スを反応容器から除去することにより、あるいは、用い
た触媒種によっては、水、酸、もしくはアルカリを加え
ることにより、還元反応を停止する。また、急激な温度
操作が可能な反応容器を用いている場合には、反応容器
内の眼窩脂肪の温度を速やかに50℃以下、望ましくは10
℃以下に冷却することにより、還元反応を停止すること
もできる。
【0021】その後、還元処理を行った眼窩脂肪を反応
容器から取り出すが、その際には、酸化劣化を避けるた
め、眼窩脂肪を20℃以下に冷却しておくことが好まし
い。そして、反応容器から取り出した眼窩脂肪から触媒
および水分などの夾雑物を除去する。これらを除去する
方法として、固形物を除去するには、濾過操作が有効で
ある。この濾過操作を行うに際しては、必要に応じ濾過
助剤として活性白土や珪藻土を用いても構わない。ま
た、活性白土や珪藻土に、シリカゲルやフロリジルなど
の吸着剤を混合して用いても構わない。一方、水分を除
去するには、減圧乾燥を行うことが簡便であるが、凍結
乾燥を行ったり、脱水剤を用いても構わない。
【0022】このような操作を行うことにより、本発明
の魚臭が低減されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂
肪を得ることができるが、必要に応じて水蒸気蒸留など
の脱臭操作を行っても構わない。なお、得られた眼窩脂
肪については、保存中の酸化劣化を防止するために、酸
化防止剤を添加し、不活性ガスを吹き込んだ後、冷蔵保
存することが好ましい。
【0023】この還元処理により、マグロ眼窩脂肪やカ
ツオ眼窩脂肪に含まれる前述した魚臭成分やそれらの前
駆体は、還元、異性化もしくは分解を受け、魚臭を発生
しない化学成分に変換されるので魚臭の発生は低減され
るが、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタ
エン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸は相当量残存
している。なお、本発明の魚臭が低減されたマグロおよ
び/またはカツオ眼窩脂肪については、ドコサヘキサエ
ン酸(DHA)を25〜38%の範囲で含有し、かつ、エイ
コサペンタエン酸(EPA)を2〜8%の範囲で含有し
ている。また、本発明の魚臭が低減されたマグロおよび
/またはカツオ眼窩脂肪のトランス異性体含有率は4%
以上であり、十分安定化された眼窩脂肪となっていた。
一方、通常のマグロ眼窩脂肪およびカツオ眼窩脂肪は、
位置異性体を殆ど含まず、トランス異性体含有率は1〜
2%以下であった。なお、トランス異性体含有率の測定
は、日本油化学協会制定、基準油脂分析試験法 2.4.24
、あるいは、Official andTentative Methods of the
American Oil Chemists' Society, Official Method
Cd 14-61に従って行った。
【0024】なお、必要に応じて、本発明の魚臭が低減
されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪と他の食用
油脂を混合して用いることもできるし、また、予めマグ
ロおよび/またはカツオ眼窩脂肪と他の食用油脂を混合
した後、還元処理を行って、本発明の魚臭が低減された
マグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪を製造することも
できる。
【0025】さらに、本発明の魚臭が低減されたマグロ
および/またはカツオ眼窩脂肪について、保存試験を実
施し、官能評価を行ったところ、魚臭の発生が少なく、
風味の点においても優れていることが確認された。した
がって、本発明の魚臭が低減されたマグロおよび/また
はカツオ眼窩脂肪は、食品素材としての利用に適したも
のであり、ミルクセーキ、コーヒー飲料、乳酸菌飲料な
どの飲料、アイスクリーム、ゼリー、ムース、ヨーグル
トなどのデザート類、味噌、畜肉、魚肉製品、粉ミルク
類、チーズフード、ファットスプレッドなどの乳製品や
離乳食など、あらゆるタイプの食品の原料素材として有
用であり、医薬品の原料としても利用可能である。ま
た、本発明の魚臭が低減されたマグロおよび/またはカ
ツオ眼窩脂肪を用いることにより、従来マグロ眼窩脂肪
やカツオ眼窩脂肪の風味安定性を確保するために用いて
いた抗酸化剤の添加量についても、その使用を低減する
ことが可能である。以下に実施例を示し、本発明をさら
に詳しく説明する。
【0026】
【実施例1】精製マグロ眼窩脂肪(DHA:35.5%、E
PA: 7.2%、トランス異性体含有率: 1.4%)500gを
反応容器(2l)に充填し、還元ニッケル触媒 0.50g(0.
10重量%)添加した。そして、攪拌しながら5torr以下
となるよう脱気、脱水操作を行った後、水素圧力が3kg
/cm2の雰囲気下、 130℃で10分間還元反応を行った。そ
の後、水素ガスを反応容器から除去して還元反応を停止
し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理し、本発明
の魚臭が低減されたマグロ眼窩脂肪378gを得た。なお、
このマグロ眼窩脂肪のDHA含有率は29.3%、EPA含
有率は 4.9%であった。また、トランス異性体含有率は
6.3%であった。
【0027】次に、原料として用いた精製マグロ眼窩脂
肪とこの実施例で得られたマグロ眼窩脂肪の保存試験を
実施した。それぞれの眼窩脂肪 50gを容量 100mlのガラ
ス製蓋付き容器に入れ、酸化防止剤としてトコフェロー
ル20mgを添加し、50±1℃に保たれたオーブンに保存し
て、強制劣化試験を行った。なお、官能評価は、訓練を
受けた専門パネラー10人により行い、魚臭の強度および
好ましさについて、表1に示す基準により行った。
【0028】
【表1】 ──────────────────────────────────── 評価点 魚臭強度 好ましさ ──────────────────────────────────── 0 全く感じない 極めて悪い 1 ほとんど感じない 悪い 2 微かに感じる やや悪い 3 臭気を感じる どちらでもない 4 やや強く感じる 良い 5 強く感じる 極めて良い ────────────────────────────────────
【0029】パネラー全員の評価点の平均値を官能評価
点とし、強制劣化試験を行ったそれぞれのマグロ眼窩脂
肪についての結果を表2に示す。
【0030】
【表2】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ─────────────────────── 0日目 3日目 0日目 3日目 ──────────────────────────────────── 精製マグロ眼窩脂肪 0.9 2.9 4.1 3.3 本発明のマグロ眼窩脂肪 0.6 1.5 4.5 3.9 ────────────────────────────────────
【0031】本発明のマグロ眼窩脂肪は、精製マグロ眼
窩脂肪に比較して、保存0日目から魚臭強度が弱く、好
ましさの評価が高かった。また、保存3日目において
も、本発明のマグロ眼窩脂肪において魚臭の発生は抑制
されており、好ましさの評価も高かった。
【0032】
【実施例2】精製カツオ眼窩脂肪(DHA:36.5%、E
PA: 9.8%、トランス異性体含有率: 1.7%)300gを
反応容器(1l)に充填し、ラネーニッケル触媒 0.15g
( 0.050重量%)を添加した。そして、攪拌しながら5
torr以下となるよう脱気、脱水操作を行った後、水素圧
力が4kg/cm2の雰囲気下、 110℃で30分間還元反応を行
った。その後、水素ガスを反応容器から除去して還元反
応を停止し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理
し、本発明の魚臭が低減されたカツオ眼窩脂肪225gを得
た。なお、カツオ眼窩脂肪のDHA含有率は30.3%、E
PA含有率は 7.6%であった。また、トランス異性体含
有率は 7.5%であった。
【0033】次に、原料として用いた精製カツオ眼窩脂
肪とこの実施例で得られたカツオ眼窩脂肪の保存試験を
実施した。それぞれのカツオ眼窩脂肪 50gを容量 100ml
のガラス製蓋付き容器に入れ、酸化防止剤としてトコフ
ェロール20mgを添加し、30±1℃に保たれたオーブンに
保存して、強制劣化試験を行った。なお、官能評価は、
訓練を受けた専門パネラー10人により行い、魚臭の強度
および好ましさについて、表1に示す基準により実施例
1と同様に行った。その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ─────────────────────── 0日目 10日目 0日目 10日目 ──────────────────────────────────── 精製カツオ眼窩脂肪 1.0 3.6 4.0 2.2 本発明のカツオ眼窩脂肪 0.7 2.5 4.4 3.4 ────────────────────────────────────
【0035】本発明のカツオ眼窩脂肪は、精製カツオ眼
窩脂肪に比較して、保存0日目から魚臭強度が弱く、好
ましさの評価が高かった。また、保存10日目において
も、本発明のカツオ眼窩脂肪において魚臭の発生は抑制
されており、好ましさの評価も高かった。
【0036】
【実施例3】十分に脱気および脱水を行った精製マグロ
眼窩脂肪(DHA:35.5%、EPA: 7.2%、トランス
異性体含有率: 1.4%)200gをヘキサン 500mlに溶解し
て反応容器(2l)に充填し、パラヂウム触媒 (Pd-CaC
O3) 10gを添加した。そして、1kg/cm2の水素雰囲気
下、室温(25℃)で1時間還元反応を行った。その後、
眼窩脂肪を反応容器から取り出し、濾過により触媒を除
去した後、減圧乾燥を行ってヘキサンを除去し、活性白
土で処理して本発明の魚臭が低減されたマグロ眼窩脂肪
149gを得た。なお、このマグロ眼窩脂肪のDHA含有率
は32.5%、EPA含有率は 3.3%であった。また、トラ
ンス異性体含有率は 7.6%であった。
【0037】次に、原料として用いた精製マグロ眼窩脂
肪とこの実施例で得られたマグロ眼窩脂肪について、大
豆油と混合し、保存試験を実施した。なお、精製マグロ
眼窩脂肪およびこの実施例で得られたマグロ眼窩脂肪中
のDHA含有率およびEPA含有率については、混合油
中で10.0%になるように大豆油と混合した。それぞれの
混合油 50gを容量 100mlのガラス製蓋付き容器に入れ、
酸化防止剤としてトコフェロール20mgを添加し、50±1
℃に保たれたオーブンに保存し、強制劣化試験を行っ
た。なお、官能評価は、訓練を受けた専門パネラー10人
により行い、魚臭の強度および好ましさについて、表1
に示す基準により実施例1と同様に行った。その結果を
表4に示す。
【0038】
【表4】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ──────────────────── 0日目 14日目 0日目 14日目 ──────────────────────────────────── 精製マグロ眼窩脂肪混合油 0.9 2.7 4.1 3.0 本発明のマグロ眼窩脂肪混合油 0.6 1.6 4.4 3.6 ────────────────────────────────────
【0039】本発明のマグロ眼窩脂肪混合油は、精製マ
グロ眼窩脂肪混合油に比較して、保存0日目から魚臭強
度が弱く、好ましさの評価が高かった。また、保存14日
目においても、本発明のマグロ眼窩脂肪混合油において
魚臭の発生は抑制されており、好ましさの評価も高かっ
た。
【0040】
【実施例4】精製マグロ眼窩脂肪(DHA:36.0%、E
PA: 7.0%、トランス異性体含有率: 1.4%)および
精製カツオ眼窩脂肪(DHA:34.5%、EPA: 8.9
%、トランス異性体含有率: 2.1%)を重量にして50対
50の比率で混合した混合脂肪(DHA:35.3%、EP
A: 7.8%、トランス異性体含有率: 1.8%)500gを反
応容器(1l)に充填し、還元ニッケル触媒0.5g (0.10重
量%) を添加した。そして、攪拌しながら5torr以下と
なるよう脱気、脱水操作を行った後、水素圧力が3kg/c
m2の雰囲気下、 130℃で15分間還元反応を行った。その
後、水素ガスを反応容器から除去して還元反応を停止
し、20℃以下に冷却した後、活性白土で処理し、本発明
の魚臭が低減されたマグロおよびカツオ眼窩脂肪380gを
得た。なお、このマグロおよびカツオ眼窩脂肪のDHA
含有率は27.9%、EPA含有率は 4.3%であった。ま
た、トランス異性体含有率は 6.8%であった。
【0041】次に、原料として用いたマグロおよびカツ
オ精製眼窩脂肪とこの実施例で得られたマグロおよびカ
ツオ眼窩脂肪の保存試験を実施した。マグロおよびカツ
オ眼窩脂肪のDHA含有率が25%となるようコーン油を
添加して調製したそれぞれの油脂 50gを容量 100mlのガ
ラス製蓋付き容器に入れ、酸化防止剤としてトコフェロ
ール20mgを添加し、50±1℃に保たれたオーブンに保存
して、強制劣化試験を行った。なお、官能評価は、訓練
を受けた専門パネラー10人により行い、魚臭の強度およ
び好ましさについて、表1に示す基準により実施例1と
同様に行った。その結果を表5に示す。
【0042】
【表5】 ──────────────────────────────────── 魚臭強度 好ましさ 油 脂 ──────────────────── 0日目 5日目 0日目 5日目 ──────────────────────────────────── 精製眼窩脂肪混合油脂 1.0 3.4 4.0 2.8 本発明の眼窩脂肪混合油脂 0.6 1.8 4.3 3.7 ────────────────────────────────────
【0043】本発明のマグロおよびカツオ眼窩脂肪は、
マグロおよびカツオ精製眼窩脂肪に比べ、保存0日目か
ら魚臭強度が弱く、好ましさの評価が高かった。また、
保存5日目においても、本発明のマグロおよびカツオ眼
窩脂肪において魚臭の発生は抑制されており、好ましさ
の評価も高かった。
【0044】
【発明の効果】本発明の魚臭が低減されたマグロおよび
/またはカツオ眼窩脂肪は、官能的に悪影響を及ぼす魚
臭の発生が少なく、しかも、ドコサヘキサエン酸(DH
A)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽
和脂肪酸を相当量含有しているので、食品素材としての
利用に適したものであり、また、医薬品素材としても利
用が可能である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の特性を有する魚臭が低減されたマグ
    ロおよび/またはカツオ眼窩脂肪。 (1)油脂の脂肪酸残基中に含まれるドコサヘキサエン
    酸(DHA)濃度が25〜38%の範囲にある。 (2)油脂の脂肪酸残基中に含まれるエイコサペンタエ
    ン酸(EPA)濃度が2〜8%の範囲にある。 (3)トランス異性体含有率が4%以上である。
JP6088091A 1994-01-27 1994-03-31 魚臭が低減されたマグロおよび/またはカツオ眼窩脂肪 Pending JPH07274826A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005535733A (ja) * 2002-07-08 2005-11-24 アドバンスト ビジョン リサーチ ドライアイ、マイボーム腺炎及び口内乾燥症の治療用epa及びdha富化オメガ−3補給剤
JP2013517234A (ja) * 2010-01-12 2013-05-16 インデナ エッセ ピ ア センシンレン(Andrographicspaniculata)抽出物と、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物とを含む組成物
JP2017002015A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 北海道水産工業株式会社 サプリメント及びその製造方法
CN115305144A (zh) * 2022-08-25 2022-11-08 浙江平太荣生物科技有限公司 一种tg型金枪鱼眼窝油的提取方法

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