JPH07269691A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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Publication number
JPH07269691A
JPH07269691A JP6058390A JP5839094A JPH07269691A JP H07269691 A JPH07269691 A JP H07269691A JP 6058390 A JP6058390 A JP 6058390A JP 5839094 A JP5839094 A JP 5839094A JP H07269691 A JPH07269691 A JP H07269691A
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JP
Japan
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shift
hydraulic pressure
clutch
automatic transmission
predetermined
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP6058390A
Other languages
English (en)
Inventor
Ikuo Maruyama
育男 圓山
Katsutoshi Usuki
克俊 臼杵
Tetsuo Ikebuchi
徹雄 池渕
Yasuhiro Nakajima
泰裕 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 車両の自動変速機のパワーオンアップシフト
時において、結合側の摩擦係合要素の結合遅れにより発
生するタービン吹き上がりを防止するために、一旦油圧
を解放した解放側摩擦係合要素を再結合する際の、再結
合に伴うショックの伝播を防止し、変速フィーリングを
向上させる。 【構成】 第一変速段から第二変速段への変速時に、第
一摩擦係合要素の解放開始後に所定の運転状態が検出さ
れたら、第一摩擦係合要素へ油圧の再供給を実施して再
結合を行うが、学習により油圧の再供給が実施されるこ
となく変速が終了する所定の変速終了状態が達成される
までの間は、第一変速段においてロックアップクラッチ
の結合を禁止して流体継手の入力側と出力側とが直結と
ならないようにする(S104,S108) 。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等に用いられる
自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の自動変速機では、一般にプラ
ネタリギヤによる変速機構が用いられており、油圧式の
湿式多板クラッチ等の油圧摩擦係合要素によりサンギヤ
やプラネタリキャリヤ等の連結あるいは固定を行って所
望の変速段を得るようにしている。また、エンジンと変
速機構との間には流体継手であるトルクコンバータが介
装されており、発進時等においてエンジンのトルクを増
大させて変速機構に伝達したり、変速時や急加減速時等
におけるショックを吸収するようになっている。
【0003】近年の自動変速機の変速機構では、ECU
(電子制御ユニット)により油圧制御用のソレノイド弁
を駆動制御するようにして、油圧摩擦係合要素の解放と
結合とを行う電子制御式のものが多くなっている。この
ような自動変速機は、変速制御がスロットル開度と車速
とをパラメータとするシフトマップに基づいて行われ
る。すなわち、運転状態がシフトマップ上のダウンシフ
トタイミングやアップシフトタイミングとなった時点で
変速指令が出力され、この変速指令に応じて結合側摩擦
係合要素に供給される作動油圧、あるいは解放側摩擦係
合要素から排出される作動油圧を制御してギヤの掴み換
えを行うことになる。
【0004】この変速制御は、例えば特開平3−617
57公報、特開平3−282018公報、特開平4−1
51063公報あるいは特公平5−17979公報等に
記載されているように、結合側の摩擦係合要素の結合に
要する時間の調整、あるいはデューティ駆動されるソレ
ノイド弁のデューティ率等の補正による作動油圧の調整
を行うことにより、結合側と解放側の摩擦係合要素が同
時に結合することなくスムースな変速を実現し、より変
速フィーリングを高めるようにしている。
【0005】また、トルクコンバータには、ロックアッ
プ用のクラッチ(以下、ダンパクラッチと記す)を設け
て、所定の運転域では入力軸(すなわち、エンジン側の
出力軸)と出力軸(すなわち、変速機構側の入力軸)と
を直結するものが多くなっている。ダンパクラッチの作
動領域としては、比較的高回転のパワーオン走行時に入
力軸と出力軸とを剛結合してスリップ損失を防ぐ完全直
結域の他、比較的低回転のパワーオン走行時に数十回転
程度のスリップをさせながら結合してエンジンのトルク
変動が変速機に伝達され難くするスリップ直結域と、パ
ワーオフ走行時に微小なスリップを伴わせながら結合し
てエンジンストールを防ぎつつ燃料噴射を停止させる減
速直結域とがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な変速機構を持つ自動変速機の変速制御は、掴み換えの
タイミングを微妙なところで設定するため、解放側摩擦
係合要素を解放しても結合側摩擦係合要素の油圧立ち上
がりが遅れるようなことがあると、摩擦係合要素が全く
結合せず、変速機がニュートラルと同様の状態に近くな
ってしまうという不都合が発生し得る。このような場合
には、トルクコンバータの出力側のタービンおよび変速
機のインプットシャフト等は動力を伝達することなく空
転することになり、特にエンジンの駆動力が供給されて
いるパワーオン状態のもとでの変速時(パワーオンアッ
プシフト)においてはエンジン回転とともにタービンが
吹き上がり、結合側の摩擦係合要素が結合するときのト
ルク変動が大になって変速衝撃(シフトショック)がよ
り大きなものとなってしまう。
【0007】このようなパワーオンアップシフト中にお
けるタービンの吹き上がりを防止するために、タービン
回転速度が所定回転速度より大きく上昇したことが確認
されたら、再結合制御を実行するようにして一旦解放し
た解放側摩擦係合要素に油圧を再供給し、該摩擦係合要
素を再結合させる再結合制御を実行するようにして、タ
ービン回転速度の上昇を抑制している。しかし、この再
結合制御による油圧の再供給を行うと、解放側摩擦係合
要素を再結合させる際、上昇したタービンの回転エネル
ギが瞬間的ではあるが急激に変速機の出力軸側に伝達さ
れることになり、出力軸トルクが一時的に大きく変動す
るような現象がおこる。この一時的なトルク変動によっ
て、運転者は、車両が前方に押し出されるようなショッ
クを感じ、変速フィーリングが悪化することになる。
【0008】特に、この解放側摩擦係合要素への油圧の
再供給が実施されるときに、上述したダンパクラッチの
作動領域が完全直結域あるいはスリップ直結域にあり、
ダンパクラッチが結合された状態にある場合には、この
ショックがダンパクラッチを介してエンジン側にまで伝
わることになり、さらに変速フィーリングが悪化するこ
とになる。
【0009】本発明は、上述した事情に基づいてなされ
たもので、その目的とするところは、特にパワーオン状
態でのアップシフト時において、タービンの吹き上がり
防止のために実行される再結合制御の油圧再供給によっ
て発生するシフトショックが、広範囲に伝播して大きく
ならないような自動変速機の変速制御装置を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の自動変速機の変速制御装置では、流体継手
と、該流体継手の入力側と出力側とを結合可能なクラッ
チと、第一摩擦係合要素の係合により達成される第一変
速段を含む複数の変速段が達成可能な歯車変速機構と、
少なくとも前記第一変速段において前記クラッチが結合
可能である自動変速機の変速制御装置において、前記第
一変速段から前記第一摩擦係合要素の解放により達成さ
れる第二変速段への変速時に、前記第一摩擦係合要素の
解放後、所定の運転状態となったとき、前記第一摩擦係
合要素へ油圧を再度供給する油圧再供給手段と、前記油
圧の再供給を伴わずに前記第一変速段から前記第二変速
段への変速が終了する所定の変速終了状態を検出する変
速終了状態検出手段と、前記所定の変速終了状態が検出
されるまで、前記第一変速段での前記クラッチの結合を
禁止するクラッチ結合禁止手段とを具えたことを特徴と
する。
【0011】
【作用】第一変速段から第一摩擦係合要素の解放を行っ
て第二変速段へ変速させるときに、第一摩擦係合要素の
解放開始後に所定の運転状態となったら、第一摩擦係合
要素へ油圧の再供給を実施して再結合を行うが、次回の
変速制御時にこの油圧の再供給が実施される状態にある
場合には、第一変速段でのクラッチの結合を禁止して流
体継手の入力側と出力側とが直結とならないようにす
る。このクラッチの結合禁止は、次回の変速制御以降に
おいて第一変速段から第二変速段への変速時に、油圧の
再供給が実施されることなく終了する所定の変速終了状
態となるまで維持されることになり、これにより油圧の
再供給が引き起こすショックがクラッチを介してエンジ
ン側まで伝達することがなくなる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の一実施例を
詳細に説明する。図1には、本発明に係る変速制御装置
を適用した乗用車のパワープラントの概略構成を示して
ある。同図において、エンジン1の後端には自動変速機
2が接続されており、出力が自動変速機2を介して駆動
輪(図示せず)に伝達される。自動変速機2は、トルク
コンバータ3、変速機本体4、油圧コントローラ5から
構成されており、車室内等に設置された自動変速機制御
用のECU(電子制御ユニット)6により駆動制御され
る。変速機本体4は複数組のプラネタリギヤの他、油圧
クラッチや油圧ブレーキ等の油圧摩擦係合要素を内蔵し
ている。また、油圧コントローラ5には、一体に形成さ
れた油圧回路の他、ECU6によってデューティ駆動さ
れる複数のソレノイド弁(後述の図4には第2ソレノイ
ド弁71だけを例示してある)が収納されている。尚、
このソレノイド弁は、後述する複数の摩擦係合要素毎に
それぞれ設けられている。また、自動変速機2には切換
レバー(図示せず)が装着されており、運転者が該切換
レバーを操作することにより、パーキングレンジ、走行
レンジ(例えば、1速段〜4速段)、ニュートラルレン
ジおよび後退レンジ等の変速レンジの選択を手動で行え
るようになっている。
【0013】ECU6は、図示しない入出力装置、多数
の制御プログラムを内蔵した記憶装置(不揮発性RA
M,ROM,等)、中央処理装置(CPU)、タイマカ
ウンタ等を具えており、その入力側には、トルクコンバ
ータ3のタービン30のタービン回転速度NT を検出す
るNT センサ7、車速Vを検出する車速センサ8、図示
しないスロットルバルブの開度θTHを検出するスロット
ルセンサ9、フライホイールのリングギヤ38を介して
エンジン回転速度NE を検出する電磁ピックアップ式の
NE センサ39等が接続されている。一方、出力側に
は、前述の油圧コントローラ5に収納された前述の複数
のソレノイド弁が接続されている。尚、ECU6にはこ
れらのセンサの他、変速レンジの切換え位置を検出する
インヒビタスイッチ、スロットルバルブの閉鎖状態を検
出するアイドルスイッチ等、種々のセンサやスイッチ類
が接続されている。
【0014】トルクコンバータ3は、ハウジング37、
ケーシング34、ポンプ31、ステータ32、タービン
30等から流体継手が構成されており、ポンプ31はケ
ーシング34を介して入力軸たる駆動軸36に連結され
ている。また、ステータ32はワンウェイクラッチ33
を介してハウジング37に連結され、タービン30は出
力軸たる変速機本体4のインプットシャフト11に連結
されている。更に、トルクコンバータ3内には、ケーシ
ング34とタービン30との間に湿式単板型のダンパク
ラッチ35が介装され、同ダンパクラッチ35の係合に
より駆動軸36とインプットシャフト11とが直結可能
となっている。ダンパクラッチ35は、油路65、66
を介して、油圧コントローラ5内のダンパクラッチ油圧
制御回路40から供給される作動油により駆動される。
【0015】ダンパクラッチ油圧制御回路40の中心を
なすダンパクラッチコントロールバルブ41は、常閉型
のダンパクラッチソレノイド弁42により駆動されてダ
ンパクラッチ35への供給油圧を制御するスプール弁4
3、該スプール弁43の両端に位置する左端室44と右
端室45、両室44、45にパイロット圧を導入する油
路46、47、スプール弁43を図中右方向に付勢する
スプリング48等から構成されている。左端室44側へ
の油路46は分岐油路49を介してソレノイド弁42に
接続されており、ソレノイド弁42が閉鎖状態(すなわ
ちOFF位置)の場合には、左端室44と右端室45と
のパイロット圧が均衡して、スプリング48に付勢され
たスプール弁43が右方向に移動する。また、ソレノイ
ド弁42が解放状態(すなわちON位置)の場合には、
左端室44側のパイロット圧が抜かれ、右端室45側の
パイロット圧に付勢されることによりスプール弁43が
左方向に移動する。尚、油路46、分岐油路49にはそ
れぞれオリフィス46a、49aが形成されており、パ
イロット圧の急激な変動が防止される。
【0016】スプール弁43が右方向に移動すると、油
路65を介してケーシング34とダンパクラッチ35と
の間にトルクコンバータ潤滑油圧(リリース圧)が供給
され、同時に油路66を介してケーシング34から作動
油が排出される。すると、ダンパクラッチ35が解放状
態(非直結状態)となり、駆動軸36の回転はポンプ3
1の吐出圧によってタービン30が回転することにより
インプットシャフト11に伝達されるようになる。一
方、スプール弁43が左方向に移動すると、油路65を
介してケーシング34とダンパクラッチ35との間の作
動油が排出され、同時に油路66を介してケーシング3
4内にコントロールバルブ41の調圧に基づくアプライ
圧が供給される。すると、ダンパクラッチ35が結合状
態(完全直結状態)となり、駆動軸36の回転は直接に
インプットシャフト11に伝達されるようになる。
【0017】このように、ダンパクラッチ35の断接と
供給油圧とは、スプール弁43の位置すなわち左端室4
4と右端室45とに供給されるパイロット圧の圧力差よ
り決定され、この圧力差はソレノイド弁42をデューテ
ィ駆動することにより制御される。例えば、ECU6が
ソレノイド弁42を100%のデューティ率で駆動する
と、左端室44内のパイロット圧が分岐油路49、ソレ
ノイド弁42を介して排出され、スプール弁43は左端
に移動し、上述したアプライ圧の作用によりダンパクラ
ッチ35が完全直結状態となる。また、ソレノイド弁4
2を0%のデューティ率で駆動すると(すなわち、全く
駆動させなければ)、左端室44と右端室45内のパイ
ロット圧が均衡するためスプリング48に付勢されてス
プール43は右端に移動し、上述したリリース圧の作用
によりダンパクラッチ35が非直結状態となる。そし
て、所定のデューティ率(例えば、25〜35%)で駆
動すれば、低いアプライ圧状態を作り出すことができ、
ダンパクラッチ35は所謂減速直結あるいはスリップ直
結状態に設定できる。尚、コントロールバルブ41の出
力圧であるリリース圧およびアプライ圧の入力圧には、
後述するレギュレータ弁により調圧されたライン圧が使
用される。
【0018】通常、ECU6は変速制御中である場合を
除き、図2に示したマップに基づいて、ダンパクラッチ
35の駆動制御を行う。このマップにおいて、横軸はタ
ービン回転速度NT であり、縦軸はスロットル開度θTH
である。同図に示したように、タービン回転速度NT が
比較的高く、かつスロットル開度θTHがパワーオンライ
ンLPOより大きいパワーオン状態の場合は、殆どの領域
が完全直結域となり、ダンパクラッチ35は完全直結制
御される。すなわち、前述したようにコントロールバル
ブ41からケーシング34内にアプライ圧が供給される
一方、ダンパクラッチ35とケーシング34との間から
リリース圧が排出され、ダンパクラッチ35が結合す
る。尚、パワーオンラインLPO上では、理論的にはエン
ジン回転速度NE とタービン回転速度NT とが一致し、
加速も減速も行われない。但し、実際にはエンジン出力
のばらつきにより、若干は加速されたり、減速されたり
することがある。
【0019】また、スロットル開度θTHがパワーオンラ
インLPOより小さいパワーオフ状態の場合は、タービン
回転速度NT がアイドル回転速度より若干高い領域(本
実施例では、1200rpm 以上)が全て減速直結域とな
る。減速直結域においては、ダンパクラッチ35には学
習により必要最小限のアプライ圧が供給され、エンジン
1と変速機本体4とが所定のスリップ量をもってダンパ
クラッチ35を介して直結される一方、急制動時等には
ダンパクラッチ35がすばやく解除されエンジンストー
ルが回避できる。尚、減速直結時には、エンジン1の回
転を維持しながら燃料供給を停止できるため、燃費の向
上には多大な効果を奏する。
【0020】図3は、前進4段、後進1段が達成可能な
自動変速機本体4内のギヤトレーンを示した概略図であ
る。この図において、ポンプ31と流体継手を成すター
ビン30にはインプットシャフト11が接続されてお
り、変速機構10として、第1、第2プラネタリギヤ1
2、13の他、第1プラネタリギヤ12のサンギヤ14
をインプットシャフト11に結合する第1クラッチ1
5、第2プラネタリギヤ13のピニオンキャリア16を
インプットシャフト11に結合する第2クラッチ17、
第2プラネタリギヤ13のサンギヤ18をインプットシ
ャフト11に結合する第3クラッチ19が保持されてい
る。また、変速機本体4のケーシング20には、第1プ
ラネタリギヤ12のインターナルギヤ21を固定し、反
力要素となる第1ブレーキ22と、第2プラネタリギヤ
13のサンギヤ18を固定し、反力要素となる第2ブレ
ーキ23とが取り付けられている。インプットシャフト
11の回転は、第1プラネタリギヤ12のピニオンキャ
リア24、ピニオンキャリア24に連結されたドライブ
ギヤ26、ドリブンギヤ27を介してカウンターシャフ
ト28に伝達され、更にデファレンシャルキャリア29
に伝達される。
【0021】尚、第1プラネタリギヤ12のインターナ
ルギヤ21と第2プラネタリギヤ13のピニオンキャリ
ア16、第1プラネタリギヤ12のピニオンキャリア2
4と第2プラネタリギヤ13のインターナルギヤ25は
それぞれ結合されており、それらは一体に回転する。図
4は摩擦係合要素の油圧制御回路の一部を示し、該油圧
回路は、摩擦係合要素、例えば第2クラッチ17への油
圧の給排を制御するソレノイド弁、例えば第2ソレノイ
ド弁71を具えている。この第2ソレノイド弁71は、
常閉型の2位置切換え弁で、3箇所にポート71a、7
1b、71cを有している。
【0022】第1ポート71aには、オイルパン68か
ら作動油を汲み上げるオイルポンプ69に延びる第1油
路60が接続されており、この第1油路60には、調圧
弁(レギュレータ弁)70が介在され、所定圧に調圧さ
れた作動油圧(ライン圧)がソレノイド弁や前述したコ
ントロールバルブ41等に供給されている。また、第2
ポート71bには、第2クラッチ17に延びる第2油路
61が、第3ポート71cには、オイルパン68へ作動
油を排出する第3油路62がそれぞれ接続されており、
第2油路61には、アキュムレータ73が介在されてい
る。
【0023】ソレノイド弁71は、ECU6に電気的に
接続されており、ECU6からの駆動信号により、デュ
ーティ制御が実行される。そして、ソレノイド71eが
消勢されている場合には、弁体71fは、リターンスプ
リング71gに押圧されて第1ポート71aと第2ポー
ト71bの連通を遮断するとともに、第2ポート71b
と第3ポート71cを連通させる。一方、ソレノイド7
1eが付勢されている場合には、弁体71fは、リター
ンスプリング71gに抗してリフトし、第1ポート71
aと第2ポート71bを連通させるとともに、第2ポー
ト71bと第3ポート71cとの連通を遮断する。
【0024】ECU6からソレノイド弁、例えば第2ソ
レノイド弁71に供給されるデューティ率が100%の
場合には、摩擦係合要素、例えば第2クラッチ17に供
給される作動油圧は調圧弁70により調圧されたライン
圧となる。一方、デューティ率が減少するのに応じて第
2クラッチ17に供給される油圧は小になり、デューテ
ィ率0%の場合には、弁体71fはリターンスプリング
71gにより第1ポート71aと第2ポート71bとの
連通を遮断するとともに、第2ポート71bと第3ポー
ト71cとを連通させ、第2クラッチ17から作動油を
排出することになる。
【0025】図5は、ブレーキまたはクラッチ等の摩擦
係合要素、例えば第2クラッチ17の断面詳細を示して
いる。この第2クラッチ17は、多数の摩擦係合板50
を具えている。これら摩擦係合板50は、インプットシ
ャフト11と一体に回転するクラッチプレート50a
と、ピニオンキャリア16と一体に回転するクラッチデ
ィスク50bとから構成されている。この第2クラッチ
17の結合時には、第2ソレノイド弁71によって油圧
制御された作動油が、第1油路61からポート51を介
して第2クラッチ17に供給され、ピストン52が往動
して各摩擦係合板50のクラッチプレート50aとクラ
ッチディスク50bとが結合する。一方、解放時には、
リターンスプリング53によりピストン52が押し戻さ
れることにより、作動油がポート51、第一油路61、
第2ソレノイド弁71、第2油路62を介して排出さ
れ、クラッチプレート50aとクラッチディスク50b
との摩擦係合は解放される。
【0026】この第2クラッチ17のクラッチプレート
50aとクラッチディスク50bとの間には、解放時に
おいて引きずり現象が発生することなく、完全に解放状
態になるように、充分なクリアランス(ガタ)が設けら
れている。従って、結合時にあっては、クラッチプレー
ト50aとクラッチディスク50bとが結合状態に入る
前に、先ず、該クリアランス(ガタ)を略ゼロにするた
め、無効ストロークを解消するための所謂ガタ詰め操作
が実施される。
【0027】尚、第1クラッチ15、第3クラッチ19
等については、第2クラッチ17と略同一の構成である
から、それらの説明は省略する。以上のような構成の変
速機本体4を持つ自動変速機2では、切換レバーが走行
レンジに選択されて走行しているときには、車速センサ
7で検出される車速Vおよびスロットルセンサ8で検出
されるスロットル開度θTHに応じて上述の第1〜第3ク
ラッチ15、17、19および第1〜第2ブレーキ2
2、23等の摩擦係合要素が、各々に設定されたソレノ
イド弁によってデューティ駆動制御され、表1に示すよ
うな結合あるいは解放の組み合わせにより、自動的に各
変速段が確立されるようになっている。表1の○印が各
クラッチあるいは各ブレーキの結合を示している。
【0028】
【表1】
【0029】変速時においては、所定のデューティ率で
設定された駆動信号が所定の出力パターンで油圧コント
ローラ5のソレノイド弁に供給され、変速フィーリング
の良い最適な変速制御が実行される。図6乃至図11
は、パワーオンアップシフト時にECU6が実行するア
ップシフト制御を示すフローチャートであり、また、図
12は、これらのフローチャートの解放側制御および結
合側制御に基づく、タービン回転速度NT 、解放側摩擦
係合要素のソレノイド弁への供給信号デューティ率DR
、結合側摩擦係合要素のソレノイド弁への供給信号デ
ューティ率DC および出力軸トルクTの時間変化を示し
たグラフであり、以下アップシフト変速制御を図6乃至
図12に基づいて説明する。
【0030】尚、アップシフト時の結合側摩擦係合要素
(第二摩擦係合要素)とは、表1から明らかなように、
1速段から2速段への1−2アップシフトに関しては第
2ブレーキ23を、2速段から3速段への2−3アップ
シフトに関しては第2クラッチ17を、3速段から4速
段への3−4アップシフトに関しては第2ブレーキ23
をそれぞれ示し、解放側摩擦係合要素(第一摩擦係合要
素)とは、1−2アップシフトに関しては第1ブレーキ
22を、2−3アップシフトに関しては第2ブレーキ2
3を、3−4アップシフトに関しては第1クラッチ15
をそれぞれ示す。
【0031】図6は、例えば2速段(第一変速段)から
3速段(第二変速段)へのパワーオンアップシフト時の
主制御であるアップシフト制御ルーチンを示しており、
以下この2−3アップシフトを例に説明する。先ず、ス
テップS10において、解放側のデューティ率DR を制
御する解放側制御が実施され、図7のサブルーチンが実
行される。
【0032】図7では、先ず、2速段から3速段への変
速指令(SS)が出力されてから、所定時間tC が経過
したか否かを判別する(ステップS21)。所定時間t
C は、図12に示すように、第2ブレーキ(第一摩擦係
合要素)23からの油圧解放時間tR と第2クラッチ
(第二摩擦係合要素)17へ油圧を供給し、ガタ詰め操
作を行うガタ詰め時間(所定時間)tF との差として設
定される。これらの油圧解放時間tR 、ガタ詰め時間t
F は学習により常に補正されるものであり、詳細は後述
する。
【0033】ステップS21の判別結果がNo(否定)
で未だ所定時間tC が経過していないと判定される場合
には、次にステップS28に進んでデューティ率DR を
100%に保持し、作動油圧をレギュレータ弁70から
のライン圧として、図6のステップS12に戻る。一
方、判別結果がYes(肯定)の場合には、次のステッ
プS22に進んで再結合制御を実行する。
【0034】ステップS22の再結合制御では、後述す
るように、制御開始直後には再結合制御による油圧再供
給がすぐに実施されるようなことはないため、この場合
には、次のステップS24において、フラグf(BB)の値
を判別して、判別結果がNo(否定)であればステップ
S26に進む。ここで、フラグf(BB)は、油圧再供給が
実施されたか否かを記憶するためのプログラム制御変数
であり、油圧再供給が実施されたときに値1に設定され
る。尚、値1に設定されたフラグf(BB)は、この2−3
アップシフトが終了すると再び値0にリセットされる。
【0035】ステップS26では、デューティ率DR を
0%に設定し、第2ブレーキ23から油圧の解放を開始
し、ステップS12へ戻る。油圧の解放が開始される
と、図12に示すように100%に設定されていたデュ
ーティ率DR がECU6からの指令を受けて0%とな
り、ソレノイド弁を消勢して作動油圧の解放が開始され
る。
【0036】図6のステップS12においては、結合側
のデューティ率DC を制御する結合側制御が実行され
る。結合側制御は、図12に示すように、ECU6から
変速指令信号SSが出力されると、先ず、前述したクラ
ッチプレートとクラッチディスク間のクリアランス(ガ
タ)を詰めるために、所定のガタ詰め時間tF だけガタ
詰め操作を行う。このガタ詰め操作は、第2クラッチ1
7の無効ストロークを解消するためのものであることか
ら、その動作が最も速くなるようデューティ率DC は1
00%に設定され、第2クラッチ17には、ライン圧の
作動油が供給される。ガタ詰め時間tF は、前述したよ
うに学習によって補正されるものであり、詳細は後述す
る。ガタ詰め時間tF が経過すると、デューティ率DC
を100%から所定値DA まで低下させ、第2クラッチ
17のピストンを略ガタ詰め完了位置に保持するととも
に、タービン回転速度NT が2速段でのタービン回転速
度NTIから外れ、実際の変速が開始されたと判定された
とき、この所定値DA を初期デューティ率値として3速
段の達成が検出されるまでフィードバック制御を実行す
る(このフィードバック制御は既に公知であるため、詳
細な説明は割愛する)。このとき第2ブレーキ23側
は、再結合制御による油圧再供給の終了後該第2ブレー
キ23から油圧を排出するようデューティ率DR が0%
に維持される。
【0037】以後、タービン回転速度NT が3速段達成
とみなせる回転速度(NTJ)に到達したとき、第2クラ
ッチ17へライン圧を供給して完全係合させ、この2−
3アップシフトを終了させる。尚、結合側制御について
は、説明を省略する制御ルーチンを実行する。次にステ
ップS14において本2−3アップシフトが終了したか
否か(タービン回転速度NT が3速段での回転速度(N
TJ)に到達したか否か)を判別し、判別結果がNo(否
定)であれば、ステップS10に戻る。また、ステップ
S14の判別結果がYes(肯定)であれば、後述する
ガタ詰め時間tF および油圧解放時間tR の学習を実行
し、ステップS10に戻る。
【0038】解放側制御のステップS21において、所
定時間tC が経過したと判定されたとき、図7のステッ
プS22の再結合制御、詳しくは図8のサブルーチンを
実行する。このサブルーチンでは、ステップS30にお
いてフラグf(BB)が値1であるか否かを判別することに
なるが、解放側制御開始直後には前述したように値1を
とらないことが多く(f(BB)=0)、判別結果はNo
(否定)となるため、解放側制御開始直後には次のステ
ップS32が実行される。ステップS32は第2ブレー
キ23に油圧再供給を実施し、再結合を行う必要がある
か否かを判別するステップであり、この判別は、タービ
ン30が所定のタービン回転速度よりも所定偏差ΔNSA
だけ上昇したか否かで判別する。
【0039】図12に示すように、第2クラッチ17の
ガタ詰め操作が終了し、デューティ率DC が所定値DA
に低下させられると、タービン30の回転速度NT が2
速段の同期回転速度NTIよりも上昇し、出力軸トルクT
が急激に減少し始める場合がある(図12に示すY
点)。これが、所謂タービン30等の無負荷空転開始状
態(吹き上がり)であり、第2ブレーキ23の油圧再供
給を必要としているときである。尚、同期回転速度NTI
は、自動変速機2の出力軸回転速度No に変速前変速段
のギヤ比を乗算して演算される。
【0040】そこで、ステップS32では、タービン3
0が吹き上がり、タービン回転速度NT が同期回転速度
NTIよりも所定偏差ΔNSAを越えて上昇したか否かの判
別を行う。尚、NTIは運転状態に応じて時々刻々と変化
するので、実際のタービン回転速度NT との比較を行う
ときは、変速指令(本実施例では2−3アップシフト指
令)を検出したときのNTIを用いるとより確実である。
判別結果がNo(否定)で速度差(NT −NTI)が所定
偏差ΔNSA以下であれば、変速作動は良好に進行してお
り、油圧再供給は必要でないと判定でき、当該ルーチン
を終了する。一方、判別結果がYes(肯定)で速度差
(NT −NTI)が所定偏差ΔNSAより大きい場合には、
次にステップS34に進み、図12に示すように、デュ
ーティ率DR を再び100%に設定して作動油圧をライ
ン圧とし、第2ブレーキ23の油圧再供給を実施する。
そして、ステップS36において、前述のフラグf(BB)
に値1を設定してこれを記憶する。
【0041】一旦再結合が実施され、フラグf(BB)が値
1に設定されると、次回の当該ルーチン実行時には、ス
テップS30でのフラグf(BB)の判別結果がYes(肯
定)となるため、ステップS40に進む。ステップS4
0では、ステップS34でデューティ率DR を100%
としたことで第2ブレーキ23の再結合が実施された
後、タービン30の吹き上がりが抑えられ、再結合を終
了しても良いか否かを判断するステップであり、速度差
(NT −NTI)が減少して所定偏差ΔNSB(図13X詳
細参照)よりも小さくなったか否かで判別する。ここに
所定偏差ΔNSBは、所定偏差ΔNSAより小さい正の値で
ある。判別結果がNo(否定)の場合には、未だ油圧再
供給の効果が現れておらず、タービン30が吹き上がっ
たままの状態であるため、ステップS44においてデュ
ーティ率DR を100%に維持する。従って、タービン
30の速度差(NT −NTI)が所定偏差ΔNSBよりも小
さくならない限りは、第2ブレーキ23の油圧再供給状
態は維持されることになる。
【0042】一方、ステップS40の判別結果がYes
(肯定)で速度差(NT −NTI)が所定値ΔNSBよりも
小さくなったことが確認されたら、油圧再供給の効果が
充分に現れたと判断でき、ステップS42においてデュ
ーティ率DR を0%に戻し、作動油圧を抜くようにして
第2ブレーキ23の再結合制御を終了する。ところで、
速度差(NT −NTI)が所定偏差ΔNSBよりも小さくな
り、一旦デューティ率DR を0%に戻した後に、第2ク
ラッチ17の結合が進まず、再度タービン30が吹き上
がるような場合には、速度差(NT −NTI)が所定偏差
ΔNSBよりも小さくなるまで、油圧再供給は繰り返し実
施されることになる。
【0043】再結合制御を終了すると、図7の解放側制
御に戻り、ステップS24を実行することになるが、一
旦再結合制御により第2ブレーキ23の油圧再供給が実
施され、フラグf(BB)が値1になると、判別結果はYe
s(肯定)となり、ステップS26を実行しないため、
デューティ率DR は再結合制御において設定された値に
支配される。
【0044】図12に示すように、第2クラッチ17の
結合が進行すると、タービン回転速度NT は減少し始
め、もはやタービン回転速度NT の吹き上がりがなくな
るので、以後の変速制御は、上述した如く第2クラッチ
17のフィードバック制御により実行される。ところ
で、第2クラッチ17の結合遅れにより駆動力が伝達さ
れずに出力軸トルクTが減少し始めたときに、上述のよ
うに再結合制御による油圧再供給が実施されると、図1
2に示すように出力軸トルクTが急激に上昇し、大きく
変動することがある。これは、回転速度の上昇したター
ビン30とともに空転状態にあるプラネタリギヤ等を、
第2ブレーキ23が急激に掴むことによって起こるもの
であり、この変動によって乗員は車両が急に前方に押さ
れるようなシフトショックを感じることになる。このよ
うなシフトショックを軽減するには、アップシフト時に
おいて、摩擦係合要素のスムースな掴み換えを実現する
ために必要である再結合制御が、新たなシフトショック
を頻繁に発生させないようにしてやればよく、その手段
として、上述した結合側のガタ詰め時間(所定時間)t
F と解放側の油圧解放時間tR とを所定の学習により最
適値に補正するようにしている。以下これらの学習につ
いて説明する。
【0045】図6のステップS16では、ガタ詰め時間
F の学習を行い、図9および図10のサブルーチンを
実行することになるが、このガタ詰め時間tF 学習サブ
ルーチンは、2−3アップシフトの変速制御が終了する
毎に実行される。尚、このガタ詰め時間tF の学習は、
2−3アップシフトの他に1−2、3−4アップシフト
等のモード毎に実行され、学習値もそれぞれのモード毎
に記憶される。この学習は、上述の再結合制御の実施に
より発生するシフトショックを低減させるべく、結合側
の第2クラッチ17のピストンのガタ詰めピストンスト
ローク量SCTに基づいて、ガタ詰め時間tF を適正な値
に学習補正するというものである。
【0046】そもそも、再結合制御は、結合側の第2ク
ラッチ17のガタ詰めの遅れに起因して発生する不都合
を解消するために実施するものであり、ガタ詰め時間t
F を初めから長くして結合遅れが無いようにしておけ
ば、タービンの吹き上がりはなく、再結合制御を実行す
る必要はないはずである。しかしながら、必要以上にガ
タ詰め時間tF を長くしすぎてしまうと、デューティ率
DC 100%の高油圧で結合が急激になされることにな
り、自動変速機2の故障に繋がる大きなシフトショック
を発生させる虞がある。
【0047】そこで、油圧再供給が実施されるか否か、
すなわち、タービン30の回転速NT が(NT +ΔNS
A)を越えて吹き上がるのと略同時に、結合側の第2ク
ラッチ17のガタ詰めが終わるようにしてやれば、油圧
再供給の発生をなくすことができ、ひいてはこの油圧再
供給によるシフトショックを抑止することができること
から、第2クラッチ17の結合開始タイミングを支配す
るガタ詰め時間tF を最適値に補正すべく、このような
ガタ詰め時間tF 学習を実施するようにしている。
【0048】このガタ詰め時間tF の補正の特徴は、例
えば、本2−3アップシフトにおいて油圧再供給が実施
されたときにはガタ詰め時間tF を学習補正するが、油
圧再供給が実施されることなくシフトが終了したときに
は、以後の2−3アップシフトが所定回数(設定回数)
終了するまでガタ詰め時間tF の学習を中止し、所定回
数経過後は故意に油圧再供給が実施されるようガタ詰め
時間tF を補正する(tF 値を短くする)ことである。
これにより、油圧再供給が実施されるか否かの微妙なと
ころでガタ詰め時間tF の値が安定するため、上述した
タービン回転速度NT の吹き上がり(ΔNSA)の発生す
る時間が略ゼロとなり、トルク変動が防止され、変速フ
ィーリングが向上するものである。
【0049】以下、図9および図10のフローチャート
に沿ってガタ詰め時間tF 学習を説明する。ガタ詰め時
間tF 学習では、先ず、図9のステップS50におい
て、ガタ詰め時間tF の学習を実行しても良い条件が成
立しているか否かを判別する。学習を実行するために
は、作動油温TOIL 、車速V、スロットル弁開度θTHお
よびエンジン負荷(一吸気行程当たりの吸気量A/N等
によって表される)がそれぞれ所定の範囲内にあり、出
力トルク等が安定している必要がある。判別結果がNo
(否定)で学習条件が満たされていない場合には、出力
トルク等が未だ安定していないと判定でき、ガタ詰め時
間tF の学習を実行しない。一方、判別結果がYes
(肯定)で学習条件成立の場合には、次にステップS5
2に進む。
【0050】ステップS52は、今回のアップシフト変
速制御で油圧再供給が実施されたか否かを、前述したフ
ラグf(BB)が値1であるか否かで判別するステップであ
る。ここで、判別結果がYes(肯定)で再結合制御に
よる油圧再供給が実施された場合には、後述する図10
のステップS60以降を実行することにより、ガタ詰め
時間tF を油圧再供給が実行されなくなるように補正す
る一方、制御開始直後のように判別結果がNo(否定)
となり今回のアップシフト変速制御で油圧再供給が実行
されていなければ、次にステップS54以降を実行す
る。
【0051】ステップS54は、油圧再供給が実行され
なかった回数をカウントする油圧再供給無カウンタIN
が、ゼロ(IN=0)であるか否かを判別するステップ
である。カウンタ値INがIN=0である場合とは、バ
ッテリ電源を初めてオン状態(不揮発性RAMの記憶値
を初期値にリセットした状態)にした制御開始直後の場
合である。この初期状態のときに油圧再供給が実行され
ず、先のステップS52でNo(否定)と判定された場
合のみ、該ステップS54の判別結果はYes(肯定)
となる。通常制御開始直後には油圧再供給は実行されな
いことが多く、この場合には、ステップS54の判別結
果はYes(肯定)となり、次にステップS70に進
み、第2クラッチ17のピストンのガタ詰めピストンス
トロークの補正量ΔSCTに所定の補正値LTFB を設定す
る。この補正値LTFB は、油圧再供給が実行され易くな
るように負の値に設定してある(ΔSCT=LTFB <
0)。そして、ステップS79において、次式(A1)に
よって算出されるガタ詰め時間補正量ΔtF だけ、ガタ
詰め時間tF を次式(A2)によって補正し、油圧再供給
が実施されるようにする。この式において、Kはストロ
ーク補正量ΔSCTを補正時間に換算する比例定数であ
る。
【0052】 ΔtF =K×ΔSCT/(デューティ率100%)…(A1) tF =(tF n +ΔtF …(A2) ここで、(tF n は、前回2−3アップシフトにおい
て学習されて今回のアップシフトで使用されたガタ詰め
時間を示す。このステップS70での補正は、先のステ
ップS52の判別結果がNo(否定)でフラグf(BB)が
値1にならない限り、すなわち再結合制御による油圧再
供給が少なくとも一回実行されるまで繰り返されること
になる。
【0053】ステップS70の補正によって、一旦再結
合制御が実行されると、次の制御周期で同ステップを実
行したときには、その判別結果はYes(肯定)とな
り、図10のステップS60以降を実行することにな
る。ステップS60では、先ず、カウンタINを値1に
設定する(IN=1)。このカウンタ値は、一旦値1に
設定されるとバッテリ電源が外されることがない限り、
再び値0にリセットされることはなく、再結合制御によ
る油圧再供給が実施される毎に値1にリセットされるこ
とになる。
【0054】ステップS62以降は、油圧再供給の実施
を抑制するように第2クラッチ17のガタ詰めピストン
ストローク量SCTを学習補正するステップであり(学習
手段)、ステップS62において、今回2−3アップシ
フトでのピストンストローク量(SCT)n を測定した今
回のガタ詰め時間(tF ) N と駆動デューティ率とに基
づいて式(A3)により算出し、次に、ステップS64
で、前回2−3アップシフトでのピストンストローク量
(SCT)n-1 を前回使用したガタ詰め時間(tF) n-1
と駆動デューティ率とに基づいて式(A4)により同様に
算出する。
【0055】 (SCT)n =K×デューティ率×(tF ) N …(A3) (SCT)n-1 =K×デューティ率×(tF ) n-1 …(A4) ここに、Kは前述の式(A1)で用いた比例定数と同じ値
が用いられる。そして、ステップS66で、これらの値
の差を求めることによりストローク補正量ΔSCTn (Δ
SCTn >0)を設定する。
【0056】 ΔSCTn =(SCT)n-1 −(SCT)n …(A5) ステップS68においては、この差ΔSCTn を次式(A
6)に基づいてΔSCTを補正する。ΔSCT=C1×ΔSCT
n …(A6)ここに、C1は補正定数(0<C1<1)であ
り、実験等により良好な結果が得られる値、例えば0.
5に設定される。
【0057】次いで、前述したステップS79に進み、
ストローク補正量ΔSCTn に対応するガタ詰め時間補正
量ΔtF を前式(A1、A2)により改めて算出し、ガタ詰
め時間tF を補正する。ここで、測定したガタ詰め時間
(tF ) N および前回使用したガタ詰め時間(tF )
n-1 を一旦ピストンストローク量(SCT)n および(S
CT)n-1 に換算して補正量ΔSCTを求め、改めてガタ詰
め時間補正量ΔtF を求めるようにしたが、これはステ
ップS68の補正後のガタ詰め時間補正量ΔtFが必ず
しもガタ詰め時間tF の測定値の差だけによって求めた
値ΔtF ' ((t F ) n-1 −(tF ) N )と一致しない
ことによるものである。
【0058】このようにして、ガタ詰め時間tF を補正
することにより、次回アップシフト時には、油圧再供給
が発生し難くなることを期待できる。そして、実際に次
回2−3アップシフト時において、油圧再供給が発生せ
ず、先のステップS52の判別結果がNo(否定)とな
りフラグf(BB)が値1でない場合には(f(BB)=0)、
前述したステップS54に進む。今回は、前回ステップ
S60において油圧再供給無カウンタINを値1に設定
しているため、ステップS54の判別結果はNo(否
定)となり、次にステップS56に進む。
【0059】ステップS56は、カウンタINのカウン
ト値が、所定値SN(例えば、10)を越えたか否かを
判別するステップである。判別結果がNo(否定)で未
だ所定値SNに達していない場合には、この2−3アッ
プシフト変速制御において、油圧再供給が実行されずに
変速を終了した回数が連続する限り、次のステップS5
8において、油圧再供給無カウンタINを所定値SNに
達するまでカウントアップし続ける(IN=IN+
1)。すなわち、このカウンタ値INがカウントアップ
され続けている間(アップシフト10回分)は、油圧再
供給は実行されることがないため、以降の2−3アップ
シフトにおいて出力トルクT変動によるシフトショック
は起こらず、変速フィーリングは暫時最良状態に保持さ
れることになる。
【0060】ステップS56の判別結果がYes(肯
定)でカウンタ値INが所定値SNを越えたことが確認
されたら、ステップS75に進んでカウンタ値INを値
1にリセットし、次にステップS77において、ストロ
ーク補正量ΔSCTに、油圧再供給が実施され易くなるよ
うに所定の負の補正値LTFA を設定する(補正手段)。
尚、補正値LTFA は、前述した補正値LTFB と同じ値に
設定してもよいが、これより大きい値(LTFB <LTFA
<0)に設定することが好ましい。そして、前述したス
テップS79において、ストローク補正量ΔSCTに応じ
たガタ詰め時間補正量ΔtF だけ、ガタ詰め時間tF
負側に補正する。
【0061】このように、ガタ詰め時間tF が、油圧再
供給が実施されることのない値で安定し、第2クラッチ
17の結合制御が良好なものであっても、所定の周期
(2−3アップシフト10回分)で油圧再供給を起こさ
せ、ガタ詰め時間tF を学習してこれを更新することに
より、ガタ詰め時間tF を最良値近傍に常に安定させ続
けることが可能となる。
【0062】ガタ詰め時間tF 学習を終了したら、次に
図6のステップS17において油圧解放時間tR 学習を
実行する。この学習では、図11の油圧解放時間tR
習サブルーチンをガタ詰め時間tF 学習と同様に2−3
アップシフト毎に実行する。この学習は、解放側の第2
ブレーキ23の油圧解放開始タイミングから油圧再供給
実施タイミングまでの油圧解放時間tR を、ガタ詰め時
間tF と照らしながら、補正しようというものである。
これは、すなわち、SS発生時から油圧解放開始時点ま
での時間tc を補正することである。SSから油圧解放
開始までの時間tc と油圧解放時間tR 、ガタ詰め時間
F との関係式は、tF >tR の場合には、次式(1) の
ようになる。
【0063】tc =tF −tR (tF >tR )…(1) 一方、tF ≦tR の場合には、第2ブレーキ23の油圧
の解放をSSが発生したと同時に開始する必要があり、
次式(2) により時間tc を値0に設定する。 tc =0 (tF ≦tR ) …(2) この油圧解放時間tR の学習補正は、油圧再供給が実施
された後、ガタ詰め時間tF の学習が進行して時間tF
が適正値になるまでの間は、第2ブレーキ23からの油
圧解放開始タイミングが最適な値となるように、前回2
−3アップシフトにおいて学習補正され、今回アップシ
フトで使用された油圧解放時間(tR n を用いて油圧
解放時間tR を学習補正する。
【0064】その後、油圧再供給が実施されなくなれ
ば、そのときのガタ詰め時間tF および油圧解放時間t
R が最適値であるということになるから、ガタ詰め時間
F の学習中止に合わせて油圧解放時間tR もその学習
を一旦中止する。さらにガタ詰め時間tF の学習が再開
されれば、油圧解放時間tR も学習を再開する。油圧解
放時間tR の学習では、先ず、図11のステップS80
において、今回の2−3アップシフト変速制御において
油圧再供給が実施されたか否かをフラグf(BB)が値1で
あるか否かで判別する。油圧再供給が実施されていない
場合には、ステップS80の判別結果はNo(否定)と
なり、次にステップS82に進む。一方、判別結果がY
es(肯定)で油圧再供給が実施された場合には、ガタ
詰め時間tF の補正学習を実行する必要があるが、油圧
解放時間tR も学習を実行すべくステップS90に進
む。これにより、油圧解放時間tR の補正学習を開始す
る。
【0065】ステップS90では、今回のアップシフト
制御時の油圧解放時間を演算し、これを今回油圧解放時
間tRCとして記憶する。今回油圧解放時間tRCの演算
は、今回制御時の油圧解放時点から油圧再供給実施時点
間の時間を読み出すことによって行うことができる。次
にステップS92において、前回アップシフト時に使用
した油圧解放時間(tR n-1 を記憶装置から読み出
し、ステップS94において、今回油圧解放時間tRC
前回油圧解放時間(tR n-1 との差ΔtRCを求める
(ΔtRC=tRC−(tR n-1 )。そして、ステップS
96において、この差ΔtRCから次式(4) に基づいて補
正値ΔtR を求める。
【0066】ΔtR =C2×ΔtRC…(4) ここに、C2は補正定数であり、実験等により良好な結果
が得られる値、例えば0.5に設定される。このように
設定された補正値ΔtR に基づいて、油圧解放時間tR
は、ステップS88において補正される。ここでは、油
圧解放時間tR は、前回補正され今回使用された
(tR n と上述した補正値ΔtR とから次式(5) の通
り演算される。
【0067】tR =(tR n +ΔtR …(5) 尚、nが0、つまり今回初めてtR の学習が行われる場
合には、(tR n は(tR 0 となり、このとき(t
R 0 には予め記憶装置に記憶された基準値が用いられ
る。ガタ詰め時間tF の学習が進み、油圧再供給が実施
されることなく今回の2−3アップシフトが終了する
と、フラグf(BB)は値1ではなくなり(f(BB)=0)、
ステップS80の判別結果はNo(否定)となるため、
次にステップS82を実行する。ステップS82は、ガ
タ詰め時間tF がゼロ(tF =0)であるか否かを判別
するステップであるが、再結合制御による油圧再供給が
なく、且つこのガタ詰め時間tF がゼロとなるというよ
うな場合は通常は起こらないため、殆どの場合は、判別
結果がNo(否定)となる。しかし、異常等の何らかの
原因により第2クラッチ17が、ガタ詰め操作なしに結
合を開始したときには、結合側と解放側の両方の摩擦係
合要素が同時に結合された、所謂インタロック状態とな
ることが考えられるため、これを防止すべくこのような
判別ステップを設けるようにしている。
【0068】判別結果がYes(肯定)となるような場
合には、次にステップS86に進む。ステップS86で
は、油圧解放時間tR の補正値ΔtR をある程度大きな
所定の正の補正値XTR(例えば、24ms)に設定す
る。そして、ステップS88において、油圧解放時間t
R を所定の補正値XTRだけ補正する。このようにすれ
ば、解放側の油圧解放開始タイミングを早くすることが
できるため、第2クラッチ17のガタ詰め操作が実施さ
れない場合でもインタロック状態とならず、変速ショッ
クを防止できる。また、この間に、ガタ詰め操作が正常
に実施されるようになり、ガタ詰め時間tF が発生する
ことも期待できる。
【0069】ステップS82の判別結果がNo(否定)
でガタ詰め時間tF がゼロではない場合には、次にステ
ップS84に進む。ステップS84は補正値ΔtR を設
定するステップであるが、この場合には、ステップS8
0の判別結果がNo(否定)でありフラグf(BB)は値1
ではないことから、ガタ詰め時間tF が安定していると
判定でき、補正値ΔtR を値0に設定する。これによ
り、第2ブレーキ23からの油圧解放開始タイミングと
第2クラッチ17の結合開始タイミングとの関係は良好
に保持される。
【0070】最後に、図6のフローチャートに戻り、ス
テップS18において、再結合制御の実施毎に値1に設
定されるフラグf(BB)を値0にリセットし(f(BB)=
0)、一連の2−3アップシフト制御の実行を終了す
る。以上のように、ガタ詰め時間tF 学習ルーチンおよ
び油圧解放時間tR 学習ルーチンを、2−3アップシフ
ト変速制御が実施される毎に実行するようにし、ガタ詰
め時間tF を、再結合制御による油圧再供給が実施され
るか否かの微妙な値に安定させ、暫時これを保持し、所
定の周期で今度は油圧再供給を強制的に発生させるよう
にガタ詰め時間tF を僅かに変化させ、再びガタ詰め時
間tF の学習を行わせることにより、シフトショックの
発生を少なくし、変速フィーリングを向上させることが
できる。
【0071】尚、ここでは、2−3アップシフト変速制
御について例示したが、1−2アップシフト、3−4ア
ップシフト等についても上記変速制御は同様に実行さ
れ、ガタ詰め時間tF 学習、油圧解放時間tR 学習はそ
の変速モード毎に行われる。ところで、通常の変速制御
中にあっては、前述したようにダンパクラッチ35は非
直結状態となるが、変速時の微妙なタイミングの遅れに
よっては、変速制御が実行されてもダンパクラッチ35
が解放状態に達せずに直結状態を保持する場合がある。
このような場合において、上述したような油圧再供給を
伴う再結合制御が実行されると、ポンプ31とタービン
30が作動油を介して流体継手を形成する非直結状態の
ときと異なり、油圧再供給によるショックが直接駆動軸
36を介してエンジン1に伝達される。これにより、シ
フトショックが広範囲に広がり、変速フィーリングがよ
り悪化するとともに、エンジン1に余計な負担をかける
ことになる。
【0072】そこで、再結合制御による油圧再供給が実
施されるときには、ダンパクラッチ35が直結状態(完
全直結状態、スリップ直結状態)とならないように規制
する制御(クラッチ結合禁止制御)を、油圧再供給実施
の対象となるアップシフト制御が実施される変速段にお
いて実行するようにしている。図14は、例えば、対象
となるアップシフト制御が2−3アップシフト制御であ
り、変速段が2速段にあるときのダンパクラッチ直結禁
止制御ルーチンを示し、以下このフローチャートに基づ
いて説明する。
【0073】先ず、ステップS100において、1−2
アップシフト制御あるいは3−2ダウンシフト制御等の
変速制御が終了して変速段が2速段となり、ダンパクラ
ッチ35を作動させられる状態にあるか否かを判別す
る。ここで、変速制御が1−2アップシフト制御であっ
た場合には、上述したガタ詰め時間tF 学習および油圧
解放時間tR 学習が終了したか否かで判別する。一方、
3−2ダウンシフト制御であった場合には、図示しない
ダウンシフト制御ルーチンの実行を終了したか否かで判
別する。判別結果がNo(否定)の場合には、変速制御
が未だ完了していないと判定でき、当該直結禁止制御ル
ーチンは実行しない。一方、判別結果がYes(肯定)
の場合には、変速制御が終了したと判定でき、次にステ
ップS102に進む。
【0074】ステップS102においては、ダンパクラ
ッチ35をパワーオンアップシフトにおける直結、すな
わち減速直結を除く完全直結またはスリップ直結として
もよい状況であるか否かを、前述の図2のマップに基づ
いて判別する。判別結果がNo(否定)で判別値が直結
領域の範囲から外れる場合には、ステップS70に進
み、ダンパクラッチ35を非直結とする。一方、判別結
果がYes(肯定)で判別値が直結領域にある場合に
は、次にステップS104に進む。
【0075】ステップS104では、上述したガタ詰め
時間tF の学習の実行により、2−3アップシフト制御
における第2ブレーキ23と第2クラッチ17との掴み
換えタイミングが良好に安定し、再結合制御による油圧
再供給が実施されなくなった状態(所定の変速終了状
態)が確実であるか否かを判別する。ここでは、上述の
ガタ詰め時間tF 学習において油圧再供給が実施されな
かった変速回数をカウントする油圧再供給無カウンタ値
INが、油圧再供給が確実に実施されないとみなせる所
定回数値XN以上(例えば、IN≧3)であるか否かに
よって判別する。カウンタ値INの判別閾値XNは、値
1または値2ではなく、例えば値3に設定されるが、こ
れは値1ではカウンタ値INのリセット値であり、その
後油圧再供給が実施されないという保証が全くなく、ま
た値2においても未だ不安定な状態であり、油圧再供給
非実施の確実性が必ずしも高くないためである。
【0076】ステップS104の判別結果がYes(肯
定)でカウンタ値INが所定回数値XN以上であれば、
再結合制御は確実に実行されないことになり、ステップ
S106に進み、ダンパクラッチ35を図2のマップに
基づいて直結状態(完全直結状態、スリップ直結状態)
とする。一方、判別結果がNo(否定)の場合、すなわ
ちカウンタ値INが所定回数値XNより小さい値(例え
ば、値0乃至2)の場合には、2−3アップシフト制御
中に再結合制御による油圧再供給が実施されているか、
あるいは次回実施される可能性のある状況であるため、
次にステップS108に進みダンパクラッチ35を非直
結状態に保持する。
【0077】このように、油圧再供給の実施時にはダン
パクラッチ35を非直結状態とすることにより、第2ブ
レーキ23の再結合に伴って発生するショックが、ダン
パクラッチ35を介してエンジン1側にまで伝達しない
ようにでき、変速フィーリングの悪化を防止することが
できる。以上、2速段におけるダンパクラッチ直結禁止
制御について説明したが、他の変速段、例えば3速段の
場合においても同様に適用できる。但し、2、3速段以
外のうち1速段においては、運転性能確保のために通常
直結制御は実施されることがなく、また、4速段におい
ては、これ以上高速段が無くアップシフトが発生しない
ため対象とはならない。
【0078】尚、上記実施例では、前進4段が達成可能
な自動変速機2について説明したが、上記各制御は少な
くとも前進3段以上の変速段を有する自動変速機であれ
ば同様に適用することが可能であり、また、ここではア
ップシフト制御を対象に説明したが、上記各制御をダウ
ンシフト制御に適用させるようにしてもよい。
【0079】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
自動変速機の変速制御装置によれば、第一変速段から第
一摩擦係合要素の解放により達成される第二変速段への
変速時に、第一摩擦係合要素の解放後、所定の運転状態
となったとき、第一摩擦係合要素へ油圧を再度供給する
油圧再供給手段と、油圧の再供給を伴わずに第一変速段
から第二変速段への変速が終了する所定の変速終了状態
を検出する変速終了状態検出手段と、所定の変速終了状
態が検出されるまで、第一変速段でのクラッチの結合を
禁止するクラッチ結合禁止手段とを具えるようにしたの
で、タービンの吹き上がりを防止すべく実行される再結
合制御の油圧再供給の実施時には、クラッチを結合され
ない状態に保持でき、油圧再供給により発生するショッ
クがクラッチを介してエンジン側に伝播して変速フィー
リングを悪化させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る変速制御装置が適用されるパワー
プラントおよびトルクコンバータの油圧制御回路の概略
構成図である。
【図2】ダンパクラッチの制御領域を示したマップであ
る。
【図3】図1の変速機本体内のギヤトレーンの概略構成
図である。
【図4】図3のギヤトレーンの摩擦係合要素の油圧制御
回路の概略構成図である。
【図5】図3のギヤトレーンの摩擦係合要素であるクラ
ッチまたはブレーキを示す断面図である。
【図6】図1のECU(電子制御ユニット)が実行する
アップシフト制御ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図7】図6に示す解放側制御のサブルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図8】図7に示す再結合制御のサブルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図9】図6に示すガタ詰め時間tF 学習制御のサブル
ーチンを示すフローチャートの一部である。
【図10】図6に示すガタ詰め時間tF 学習制御のサブ
ルーチンを示すフローチャートの残部である。
【図11】図6に示す油圧解放時間tR 学習制御のサブ
ルーチンを示すフローチャートである。
【図12】タービン回転速度NT 、解放側ソレノイド弁
のデューティ率DR 、結合側ソレノイド弁のデューティ
率DC および出力軸トルクTの時間的変化を示す図であ
る。
【図13】図12のタービン回転速度NT の吹き上がり
による偏差量を示す詳細図である。
【図14】本発明に係る、図1のECUが実行するダン
パクラッチの直結禁止制御ルーチンを示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 自動変速機 3 トルクコンバータ(流体継手) 4 変速機本体 5 油圧コントローラ 6 ECU(電子制御ユニット) 7 NT センサ 8 車速センサ 9 スロットルセンサ 10 変速機構 15 第1クラッチ 17 第2クラッチ(第二摩擦係合要素) 19 第3クラッチ 22 第1ブレーキ 23 第2ブレーキ(第一摩擦係合要素) 30 タービン 35 ダンパクラッチ 41 ダンパクラッチコントロールバルブ 42 ダンパクラッチソレノイド弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中嶋 泰裕 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体継手と、 該流体継手の入力側と出力側とを結合可能なクラッチ
    と、 第一摩擦係合要素の係合により達成される第一変速段を
    含む複数の変速段が達成可能な歯車変速機構と、 少なくとも前記第一変速段において前記クラッチが結合
    可能である自動変速機の変速制御装置において、 前記第一変速段から前記第一摩擦係合要素の解放により
    達成される第二変速段への変速時に、前記第一摩擦係合
    要素の解放後、所定の運転状態となったとき、前記第一
    摩擦係合要素へ油圧を再度供給する油圧再供給手段と、 前記油圧の再供給を伴わずに前記第一変速段から前記第
    二変速段への変速が終了する所定の変速終了状態を検出
    する変速終了状態検出手段と、 前記所定の変速終了状態が検出されるまで、前記第一変
    速段での前記クラッチの結合を禁止するクラッチ結合禁
    止手段とを具えたことを特徴とする自動変速機の変速制
    御装置。
  2. 【請求項2】 前記所定の変速終了状態が所定回数以上
    検出されたとき、前記第一変速段での前記クラッチの結
    合を許可することを特徴とする請求項1記載の自動変速
    機の変速制御装置。
  3. 【請求項3】 前記自動変速機は、オイルポンプからの
    油圧を調圧するレギュレータ弁を具え、前記第一摩擦係
    合要素へ再供給する油圧は該レギュレータ弁吐出圧であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の自動変速機
    の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 前記自動変速機は、タービン回転速度検
    出手段を具え、前記所定の運転状態は、前記タービン回
    転速度検出手段により検出される変速指示後のタービン
    回転速度と前記第一変速段でのタービン回転速度との偏
    差が所定の回転速度だけ越えた状態であることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか記載の自動変速機の変速
    制御装置。
  5. 【請求項5】 前記第二変速段は、前記第一摩擦係合要
    素の解放と第二摩擦係合要素の係合とにより達成され、 前記第一変速段から前記第二変速段への変速時におい
    て、前記第二摩擦係合要素を駆動するピストンの無効ス
    トロークを解消するよう該第二摩擦係合要素へ所定油圧
    を所定時間だけ供給する無効ストローク解消手段と、 前記所定時間を学習補正する学習手段とを具えたことを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の自動変速機
    の変速制御装置。
  6. 【請求項6】 前記自動変速機は、オイルポンプからの
    油圧を調圧するレギュレータ弁を具え、前記所定油圧は
    該レギュレータ弁吐出圧であることを特徴とする請求項
    5記載の自動変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】 前記無効ストローク量は、前記所定油圧
    と前記所定時間とに基づいて演算されることを特徴とす
    る請求項5または6記載の自動変速機の変速制御装置。
  8. 【請求項8】 前記油圧再供給手段はデューティソレノ
    イド弁を含み、前記所定油圧は、前記デューティソレノ
    イド弁を駆動するデューティ率に基づいて設定されるこ
    とを特徴とする請求項7記載の自動変速機の変速制御装
    置。
  9. 【請求項9】 前記学習手段は、前記無効ストローク量
    に基づいて前記所定時間を補正することを特徴とする請
    求項5乃至8のいずれか記載の自動変速機の変速制御装
    置。
  10. 【請求項10】 前記学習手段は、前記無効ストローク
    量と記憶手段に記憶された無効ストローク量との偏差に
    基づいて前記所定時間を補正することを特徴とする請求
    項9記載の自動変速機の変速制御装置。
  11. 【請求項11】 さらに、前記第一変速段から前記第二
    変速段への変速を含む複数の変速モードを有し、前記学
    習手段による補正は、前記変速モード毎に行われること
    を特徴とする請求項5乃至10のいずれか記載の自動変
    速機の変速制御装置。
  12. 【請求項12】 前記所定の変速終了状態が検出された
    とき、以後の変速において前記油圧の再供給が行われな
    い変速制御が続く限り、設定回数だけ前記学習手段によ
    る学習補正を中止させる学習中止手段と、 変速回数が前記設定回数を越えた後、前記所定時間を補
    正する補正手段とを具えたことを特徴とする請求項5乃
    至11のいずれか記載の自動変速機の変速制御装置。
  13. 【請求項13】 前記補正手段は、前記所定時間を予め
    設定された所定値だけ補正することを特徴とする請求項
    12記載の自動変速機の変速制御装置。
  14. 【請求項14】 前記補正手段は、前記油圧再供給手段
    による油圧の再供給が一度も行われずに前記所定の変速
    終了状態が検出されたとき、前記所定時間を予め設定さ
    れた所定値だけ補正することを特徴とする請求項12ま
    たは13記載の自動変速機の変速制御装置。
  15. 【請求項15】 前記補正手段は、前記所定時間を減ら
    すように補正することを特徴とする請求項12乃至14
    のいずれか記載の自動変速機の変速制御装置。
JP6058390A 1994-03-29 1994-03-29 自動変速機の変速制御装置 Withdrawn JPH07269691A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100350122B1 (ko) * 1999-12-30 2002-08-22 현대자동차주식회사 차량용 자동 변속기의 피드백 제어 방법
US7381151B2 (en) 2003-12-05 2008-06-03 Hyundai Motor Company Upshift control system of automatic transmission and method thereof
WO2009116318A1 (ja) * 2008-03-21 2009-09-24 ジヤトコ株式会社 無段変速機の制御装置
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