JPH07265791A - 裏面アース性に優れたプレコート鋼板 - Google Patents

裏面アース性に優れたプレコート鋼板

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JPH07265791A
JPH07265791A JP5716894A JP5716894A JPH07265791A JP H07265791 A JPH07265791 A JP H07265791A JP 5716894 A JP5716894 A JP 5716894A JP 5716894 A JP5716894 A JP 5716894A JP H07265791 A JPH07265791 A JP H07265791A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (1)クロメート処理鋼板の裏面における表
面粗さ PPIを70〜150、Raが0.5〜2.0μmでな
る。 (2)裏面塗膜へのNiフィラー形態 粒径が0.1〜50μmにあって、その形状としてフレ
ーク状Ni/鎖状Niの比が固形分比として0.5〜1
0、総Ni量が固形分比で10〜70%を塗装として含
有する。 (3)裏面塗膜厚み (2)項で特定したNiフィラーを含有する高分子ポリ
エステル樹脂塗膜が(1)項の鋼板表面に0.5〜5.
0μm形成してなる。 【効果】 意匠性の高いトップ塗装面のコイル圧痕疵を
防止しつつ、裏面塗膜のアース性を安定して付与させ、
裏面アース性が要求されるオーディオ分野等への塗装鋼
板を安価に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板の裏面塗膜に導電
性機能を付与したプレコート鋼板に関し、主としてオー
ディオ製品に要求される裏面アース性を有したプレコー
ト鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電や自動車分野における表面処
理鋼板の低コスト化ニーズは高く、ポストコートのプレ
コート化が一段と進む中、鋼板表裏で塗膜性能を差別化
した高機能化要求も高い。特にオーディオやビデオ商品
の外板に多用される家電用プレコート鋼板にあっては、
裏面サービスコート面へのアース性を付与した塗装鋼板
の要求が高まりつつある。薄膜塗装して鋼板に導電化し
た従来技術としては、以下のように自動車用の溶接可能
塗装鋼板に例をみるが、家電用プレコート塗装鋼板の分
野では殆ど開示がない。例えば、導電性の金属粉を薄膜
塗装してなるものとして特開昭61−23766号、特
公昭62−20024号公報があり、これらの代表的市
場商品としてはジンクロメタルがある。しかし、これら
の塗膜性能は、例えば家電分野で要求される加工に対す
る塗膜のクラックフリーは基本的に達成できない欠点が
あり、生産性やコストを含めてあまり得策でない。
【0003】次に、水分散性樹脂にクロム化合物を混ぜ
て薄膜塗装した鋼板の高耐食性化を図った特開昭59−
162278号、特開昭61−584号公報などが提案
されているが、いずれも塗膜の導電性機能に乏しく裏面
アース性としては実用的でない。さらには、水分散性樹
脂にシランカップリング剤とシリカゾルをブレンドした
有機複合シリケート樹脂皮膜を薄膜塗装してなる特開昭
60−50181号、特開昭60−149786号公報
などがある。しかし、これらは印加電圧が高く、かつ高
加圧下で抵抗加熱されて塗膜が破壊するような鋼板のス
ポット溶接性としては実用に供するかも知れないが、印
加電圧と加圧力が小さい家電用途のアース性に対しては
塗膜破壊を伴わないソフトタッチでの接触抵抗が要求さ
れ、この場合、本開示事例は全く実用的でない。
【0004】以上のように、自動車分野では溶接可能塗
装鋼板として開示される従来技術は、いづれも家電分野
のプレコート鋼板、就中オーディオやビデオ製品等で要
求される表ノンガード/裏面導電性といった鋼板表裏で
塗膜機能が異なるプレコート鋼板の開示事例は殆どない
のが現状である。加えて、上記する従来技術であって、
導電性金属粉の種類に対する開示については一元的に挙
げられるに止どまり、各金属粉毎の性状の違いと塗膜性
能上での特徴の差についても何等開示がない。
【0005】また、特に商品外観を最も重要視するプレ
コート鋼板の取扱い疵は商品価値を大きく下げるため、
その防止には頭を痛めるところである。例えば高生産性
ラインでのコイル塗装においては、製品の一次保管やス
リターライン等での二次加工されるまでの間コイル状態
にある。この状態にあって意匠性の高いトップ塗膜と裏
面塗膜は必然的に接触するが、この際、コイル自重から
くるトップ塗装面に裏面塗膜外観が板巾方向への線状マ
ークとなって転写され、これがコイル長手方向で一定ピ
ッチに圧痕疵として現れ、生産性を大きく低下させる現
象があるが、このプレッシャーマーク防止対策(以下、
単に耐PM性という。)について裏面の塗膜性状から提
案された開示事例も全くない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術に対
し、本願発明は高生産性ラインのコイル塗装において、
ガラス転移点(Tg)が50℃以上の高Tg型トップ塗
膜を有するプレコート鋼板の裏面塗膜にアース性を付与
することを課題とし、特にコイル塗装にあって意匠性の
高いトップ塗膜への耐PM性に支障をきたすことなく、
裏面塗膜に安定したアース性を付与しようとするもので
ある。そのためには、塗膜の導電化に対して各種導電性
顔料を事前選定し、塗料化及び塗装性の両面から金属N
iフィラーが最適とする知見に立ち、この金属Niフィ
ラーの形状、粒径及びその配合比について膜厚を含めた
適性範囲を検討するとともに、さらには、適用原板の裏
面塗装面側の表面粗さの特定によってトップ塗膜の耐P
M性を維持しつつ、裏面塗膜のアース性を安定して付与
しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明は上記の課題解
決に当り、以下に定める技術思想にもとづき、プレコー
ト鋼板の裏面アース性付与にあたっての原板表面粗さを
含めた塗膜設計について詳細検討し、随時適性化を図っ
たものである。 常温で塗膜破壊を伴わない状態での塗膜抵抗として、
接触抵抗が1Ω以下であって、それがバラツキなく安定
して得られること(表面アース性の確保)。 塗装コイル自重を約5トンとし、コイル自重による意
匠性の高いトップ塗膜面への裏面塗膜外観の転写がない
こと(耐PM性の確保)。 及びを両立した裏面塗膜形成にあたり、導電性金
属Niフィラーの形態と配合比の適性化さらには、その
塗膜厚みの適性化についてバインダー樹脂の高分子ポリ
エステル樹脂との整合性の究明。
【0008】対象面となる下地原板の表面粗さとして
制御すべき粗さ要素の抽出。すなわち、プレコート鋼板
の裏面アース性付与にあたっては、トップ塗装面への耐
PM性を十分考慮した裏面設計が必要である。このため
には前提条件としてトップ塗膜の耐PM性をあくまで確
保することが必要であり、この上に立った適性膜厚や裏
面塗膜の導電体となる金属Niフィラーの形状、粒径と
いったフィラー形態及びその配合比の適性化を図る必要
がある。加えて、その裏面アース性を安定して確保する
には下地原板の表面粗さ形態、特にPPI及びRaの適
性制御が必要等について詳細検討を行ったものである。
【0009】以下、本願発明の裏面塗膜構成について先
ず説明する。本願発明鋼板の裏面アース性の付与につい
ては、先ず鋼板裏面がPPIで70〜150、Raで
0.5〜2.0μmに粗さ制御され、ついで適宜な化成
処理された後、この裏面に粒径0.1〜50μmの形状
の異なるNiフィラーが樹脂分総重量比で10〜200
%、該フィラーの形状比としてフレーク状Ni/鎖状N
iの比が樹脂分重量比で1〜10でなる高分子ポリエス
テル樹脂塗料が固形皮膜として0.5〜5μm形成され
てなることを特徴とする。その骨子は、コイル製品とし
てトップ塗装面への耐PM性と裏面塗膜のアース性とを
安定して両立させる点にあり、裏面塗膜の導電体である
金属Niのフィラー形態と配合比を特定し、該裏面塗膜
の膜厚を特定して、さらには下地原板の表面粗さを特定
した点にある。
【0010】尚、本発明に適用される鋼板は裸鋼板又は
亜鉛系めっき鋼板の何れであってもよいが、亜鉛系めっ
き鋼板としては公知のめっき方法によって得られるもの
の何れであってもよく、例えば電気めっき系では、Zn
めっき、合金元素がNi,Cr,Feの何れか1種以上
からなるZn系合金めっき鋼板が用いられてよい。ま
た、電気分散めっき系においては、Zn−Ni,Zn−
FeをベースにSiO2,TiO2 ,ZrO2 ,BaC
rO4 等の金属酸化物を均一分散析出させてなるZn系
分散合金めっき鋼板が用いられてよい。さらに、溶融め
っき系において溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−Al系合金
めっき鋼板、及びそれらの合金化処理した亜鉛めっき鋼
板が適用されてよい。
【0011】
【作用】以下に本願発明鋼板の裏面を構成する各制御因
子に対する作用限界について述べる。 (1)原板の表面粗さ トップ塗膜面の耐PM性に支障がなく、本願発明の裏面
塗装面のアース性を安定して得るには、先ず対象とする
原板裏面の表面粗さとして、特にPPIとRaの制御が
必要である。又、PPIが70未満では原板表面が平滑
化し過ぎて裏面塗膜厚が過剰に平滑になり易く、塗膜中
の導電性Niがもともと不均一分布することもあって安
定したアース性が得られにくくなるため、生産性のライ
ン下ではあまり得策でない。一方PPIが150超では
ロール粗度寿命と原板コストの観点から安定した原板の
粗度管理が困難となり、トップ塗膜面の耐PM性の低下
もあってコスト的にも得策でない。従って、原板粗度の
PPIとしては70〜150がよく、就中90〜120
が好ましい。
【0012】次に、Raが0.5μm未満では、裏面塗
膜のアース性付与に必要な金属Niフィラーの配合比を
過剰に上げる必要があり、塗料パン内での該Niフィラ
ーの均一分散性や加工密着性の低下、或は、Niフィラ
ーによる裏面塗膜表面の肌荒れがトップ塗膜表面に転写
され易くなり、所謂トップ塗膜の耐PM性をも両立した
裏面アース性の付与は難しく、コストを含めてあまり得
策でない。又、Raが2.0μm超では、ロール粗度寿
命と原板コストの観点から安定した原板の粗度管理が難
しくなり、トップ塗膜面の耐PM性の低下もあってあま
り得策でない。従って、原板粗度としてRaは0.5〜
2.0μmがよく、就中0.8〜1.5μmが好まし
い。
【0013】(2)裏面塗膜の導電性を付与するNiフ
ィラーの形態とその配合比 先ず、本願発明の裏面塗膜を形成するバインダー樹脂の
高分子ポリエステル系樹脂としては、従来技術の範疇で
得られるものであればよい。またこの裏面塗膜に着色す
る場合は従来技術の範疇で適宜な着色顔料を配合するこ
ともできる。裏面塗膜の導電性付与にあたって用いる金
属Niフィラーの形状、粒径及びその配合割合について
は以下の特定範囲に制御することが肝要である。Niフ
ィラーの形態のうち、その形状はコイル塗装にあって意
匠性の高いトップ塗膜への裏面塗膜外観の転写、つまり
耐PM性を安定して得る上で燐片状が最も好ましく、フ
レーク状及び鎖状のNiフィラーの併用がよい。
【0014】先ず該Niフィラーの総量については、樹
脂分重量比で10〜200%が許容される。このNi総
量が10%未満では裏面アース性の低下を招く。なお、
この状態でアース性を確保するには塗膜厚を0.5μm
未満にする必要があるが、この膜厚では塗膜切れを生じ
て裏面塗膜外観を含めてコイル製品としてのトップ塗膜
の耐PM性の両立は難しい。また200%を超えては塗
料中での該Niフィラーの均一分散性が損なわれ、肝心
の裏面アース性の低下は否めず、高生産性のライン下で
は作業性及びコストを含めてあまり得策でない。従っ
て、Niフィラーの塗膜での総量としては樹脂分重量比
で10〜200%がよく、就中20〜100%がよい。
【0015】次にNiフィラーの適性形態とその配合比
についてであるが、フレークNi/鎖状Niの形状比が
樹脂分重量比で1未満では、鎖状Niの割合が過剰とな
り、比重差から塗料中での均一分散性に支障が生じ、塗
膜中へのNi転写率の低下から裏面塗膜のNiによる電
気回路形成機能が低下し、塗膜抵抗の上昇を招いてアー
ス性の低下を呈するため、あまり好ましくない。また該
Niの比が10を超えてはフレーク状Niが塗膜の表層
に偏析し易くなって鎖状Niとの導電回路形成が短絡し
易くなって、結局は安定した裏面塗膜のアース性が得ら
れ難くなり、あまり好ましくない。従って、フレーク状
Ni/鎖状Niの形状比としては樹脂分重量比で1〜1
0がよく、就中3〜7が好ましい。
【0016】このような形態の異なるNiフィラーにあ
って、その粒径も適性範囲に制御が必要である。該Ni
の粒径が0.1μm未満ではNiが細か過ぎて塗膜表面
に偏析し易く、肝心のNiによる塗膜の電気回路形成に
支障を生じ、引いてはこれが裏面のアース性を不安定に
するため、あまり好ましくない。また、該Niの粒径が
50μmを超えては裏面塗膜が肌荒れし易く、これがコ
イル製品としてのトップ塗装面に対する耐PM性の低下
を招き、商品価値の上からあまり好ましくない。従って
該Niフィラーの粒径としては0.1〜50μmがよ
く、就中5〜20μmが好ましい。
【0017】(3)裏面の適性塗膜厚 裏面塗膜に安定したアース性を付与するには、上述のよ
うな特定性状でなるNiフィラーを適性配合することが
必要であるが、その膜厚においても自ずと限界がある。
塗膜厚が0.5μm未満にあっては、例えばロール塗装
などでは塗膜切れなどから均一塗装性に欠け生産性に乏
しい。又、コイル製品としてのトップ塗装面への耐PM
性の両立が難しくなるため、あまり得策でない。また、
5μm超にあっては裏面塗膜としてのアース性と密着性
が不安定化し、コストを含めてあまり得策でない。従っ
て、トップ塗装面への耐PM性と裏面アース性を両立す
るための適性裏面塗膜厚としては0.5〜5.0μmが
よく、好ましくは1〜3μmがよい。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明の効果を詳述す
る。鋼板裏面が特定範囲に粗度制御された板厚0.7m
m、板巾914mmの鋼板両面に対し、ライン速度70
m/分の下で下地処理として総クロム付着量が50mg
/m2 のシリカゾル含有クロメート処理が施された後、
直ちに2C2B(2コート2ベーク)のロール塗装工程
に入る。意匠性の高いトップ塗装(2C2B)はプライ
マー塗装及びトップ塗装とも、いづれも有機溶剤系の高
分子ポリエステル樹脂塗料を用い、プライマー塗膜とし
てはフレキコート600EUプライマー(日本ペイント
製)を固形皮膜として5μm塗装し、その上層にトップ
塗膜としてフレキコート500塗料(日本ペイント製)
が固形皮膜で17μmになるよう膜厚制御され、標準条
件で焼付され、水冷乾燥される。
【0019】一方、特定粗度に制御された鋼板裏面への
裏面塗装については公知のロール塗装法により、表1〜
表7に記載の本願発明の実施例が特定するNiフィラー
含有の高分子ポリエステル樹脂塗料が特定膜厚で塗装焼
付される。こうして製造された本願発明法による裏面塗
装面は、意匠性の高いトップ塗装面に対する耐PM性を
犠牲にすることなく、安定した裏面アース性をも両立し
た従来技術にない画期的技術であることが分かる。
【0020】(1)鋼板の裏面表面粗さ効果について 本願発明の裏面塗膜のアース性を安定して得るには、そ
の鋼板の表面粗さを特定することが肝要である。鋼板裏
面の表面粗さとして本願発明が特定するPPI及びRa
の適性範囲について実施例をNo.1〜No.24に示
し、比較例をNo.25〜No.32に示す。又、下地
原板として従来技術で製造された各種めっき鋼板への適
用事例として実施例をNo.73及びNo.97〜N
o.105に示す。これより明らかなように、PPI及
びRaともに本願発明の特定範囲を外れると、コイル塗
装におけるトップ塗装面への耐PM性や肝心の裏面アー
ス性の両立が難しくなることが分かる。つまり本願発明
による意匠性の高いトップ塗膜面への耐PM性を考慮し
た裏面塗膜のアース性を安定して得るには、めっき系の
如何に拘らず、下地鋼板の裏面粗度について適性粗度に
管理する必要があり、特にPPI及びRaは本願発明が
特定する範囲に制御することの有効性が明瞭に分かる。
【0021】(2)裏面塗膜の導電性金属Niフィラー
の適性配合について 該Niの適性配合については裏面アース性の付与にあた
って本願発明が最大の主旨とするもので、その狙いは裏
面塗膜に含まれる金属Niフィラーの分布形態を適性に
分布させる点にあり、加えてトップ塗装面の耐PM性を
考慮しつつ安定したアース性を得る点にある。そのため
には、異形状の金属Niフィラーをその形態を含めて特
定範囲に配合することが必要である。先ず、形状の異な
るフレーク状Ni(NoF)及び鎖状Ni(NoC)の
粒径組合せによる併用効果として本願発明の実施例をN
o.33〜No.65に示し、比較例をNo.66〜N
o.70に示す。
【0022】これより、該粒径が本願発明が特定する範
囲の下限を切ると、Niフィラーは細か過ぎて塗膜断面
の表面に偏析し易くなり、Niフィラーによる安定した
電気回路形成は期待し難く、印加電圧と荷重が小さい状
態では塗膜の接触抵抗が増大して、期待した裏面のアー
ス性の付与は難しくなる。対して該粒径が本願発明の上
限を外れては、塗装ロールへのNiフィラーのピックア
ップ性にバラツキを生じ、塗膜へのNiフィラーの分布
が不安定化して、満足な裏面アース性は得られ難くな
り、これが場合によっては裏面塗膜表面へのNiフィラ
ーの突起を招き、これによってトップ塗装面の耐PM性
の低下を招くことになる。
【0023】いづれにしてもトップ塗装面の耐PM性を
維持しつつ安定したアース性を裏面塗膜に付与するため
のNiフィラーの粒径としては、本願発明の特定範囲内
で制御することが肝要である。次に本願発明にあって該
Niフィラーの形状比はフレーク状(F)/鎖状(C)
の比として樹脂分重量比で適性範囲に制御することが重
要である。本願発明の形状比について実施例をNo.7
1〜No.75に示し、比較例をNo.76〜No.7
7に示す。
【0024】これより明かなように該Niの形状比が本
願発明の特定範囲を外れた場合は、裏面塗装外観、トッ
プ塗膜面の耐PM性、裏面塗膜の密着性及び裏面アース
性といった塗膜物性の両立が難しくなり、生産性や塗装
製品としての商品価値の低下を招き、あまり好ましくな
いことが分かる。更に、バインダー樹脂の高分子ポリエ
ステル樹脂に対する重量比でなる該Niフィラーの総量
について、本願発明の実施例をNo.78〜No.88
に示し、その比較例をNo.89〜No.90に示す。
【0025】本願発明の裏面塗膜の安定したアース性の
付与にあたっては、塗膜断面と表面における該Niフィ
ラーの分布密度について適宜な底上げが必要であり、こ
の意味において総Ni量の特定制御は必須である。但
し、この場合もトップ塗膜面の耐PM性への影響は十分
考慮が必要である。実施例と比較例から分かるように、
総Ni量についても本願発明の特定範囲を外すと本願発
明の主旨を満足しない裏面塗膜性状となり、プレコート
鋼板としての商品価値を大きく損なうことになる。以上
のように、トップ塗膜への耐PM性を考慮しつつ裏面塗
膜の電気的回路形成を適宜に形成し安定したアース性を
確保するには、粒径と形状の異なるNiフィラーを本願
発明の適性範囲に制御することが必須であることが分か
る。
【0026】(3)裏面の適性塗膜厚みについて 本願発明の裏面塗膜厚についても適性範囲に制御が必要
である。この点について本願発明の実施例をNo.91
〜No.94に示し、比較例はNo.95〜No.96
に示す。これより明らかなように、本願発明の特定膜厚
を逸脱すると、商品価値の高いトップ塗膜面への耐PM
性はもとより、本来目的とする裏面塗膜のアース性確保
も難しくなり、コストを含めてあまり得策ではない。な
お本願発明の裏面塗膜の着色要求に対しては、必要に応
じた市販の着色顔料を用い塗料への適宜な配合により着
色塗膜にすることは十分可能である。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】
【0034】(注) *1. めっき系 EZ:電気亜鉛めっき ZN:電気Zn−Ni合金めっき(Ni;11.5%) EC:電気Zn−Cr−Ni合金めっき(Cr;10
%,Ni;2%) EF:電気Zn−Fe合金めっき(Fe;15%) ZS:電気Zn−Ni−SiO2 (Ni;12%,Si
2 ;3%) ZT:電気Zn−Ni−TiO2 (Ni;12%,Ti
2 ;3%) ZB:電気Zn−Ni−BaSO4 (Ni;12%,B
aSO4 ;3%) ZS:電気Zn−Fe−SiO2 (Fe;10%,Si
2 ;3%) GZ:溶融Znめっき GA:溶融Zn−Alめっき(Al;5%) GF:合金化溶融Znめっき(Fe;8〜11%)
【0035】*2.表面粗さ 鋼板の板巾方向の粗さをいう。 PPI(長さ1インチ当りの凹凸の数) Ra(平均表面粗さ) *3.裏面塗膜中の金属Niフィラー性状 F:フレーク状Ni,C:鎖状Ni F/Cの形状の異なるNiフィラーの配合比は、樹脂分
重量比で示す。フィラーの1次平均粒径は[(長径+短
径)/2]として表わす。
【0036】*4.塗膜外観の均一性(目視外観) ◎:均一,〇:僅かにローピング,△:部分的ローピン
グ,×:全面ローピング又は筋ムラ *5.裏面塗膜のアース性 銅片で鋼板表裏をサンドイッチ,上下銅片間の接触抵抗
を場所を変えて5回測定し、その平均値とする(印加電
圧1V,荷重50g/cm2 )。 ◎:0.5Ω以下,〇:1Ω以下,△:2Ω以下,×:
5Ω超
【0037】*6.裏面塗膜密着性 1次密着性;OT密着曲げした同一加工部を繰り返し3
回セロテープ剥離。 2次密着性;純水浸漬、煮沸2時間後24時間放置した
のち、1次と同一の評価を行なった。 ◎:塗膜剥離無、〇:剥離5%以下、△:剥離10%以
下、×:剥離10%超 *7.トップ塗膜に対する耐プレッシャーマーク性 鋼板のトップ塗装面/裏面塗装面を面合わせし、荷重6
0kg/cm2 、40℃×48hrs経時後のトップ塗
装面の圧痕程度を目視判定。 ◎:変化なし、〇:透かして極く僅かに圧痕、△:薄い
圧痕、×;明瞭な圧痕
【0038】
【発明の効果】以上のように、本願発明は塗装鋼板の裏
面アース性付与ニーズに対し、その安定性確保を含めて
種々検討した結果、以下のような鋼板原板の表面粗さ特
性を含めた裏面の塗膜設計を提案するに至った。すなわ
ち、 原板の裏面表面粗さとして特にPPI及びRaに特定
範囲があること。 裏面塗膜の導電性回路形成能として金属Niフィラー
を採用し、そのフィラー形態及び配合比の特定範囲があ
ること。 その塗膜厚として薄膜に特定する。など、加えて、こ
れらの相乗効果により、高生産性ライン下でのコイル塗
装における意匠性の高いトップ塗装面への裏面塗膜外観
の圧痕転写(耐プレッシャーマーク性)がなく、裏面塗
膜のアース性を安定して付与することを両立した従来に
ない画期的な技術を本願発明は市場提供するに至ったも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 15/08 104 Z 7148−4F

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の片面に対し、1次平均粒径が0.
    1〜50μmの異形状金属Niフィラーを形状比として
    フレーク状Ni/鎖状Niの比が樹脂分重量比で1〜1
    0、Niフィラーの総量が樹脂分重量比として10〜2
    00%でなる高分子ポリエステル樹脂塗料を固形皮膜と
    して0.5〜5μm形成されてなることを特徴とする裏
    面アース性に優れたプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 塗装用原板の裏面表面粗さがPPIで7
    0〜150、Raで0.5〜2.0μmに制御されてな
    ることを特徴とした請求項1記載の裏面アース性に優れ
    たプレコート鋼板。
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