JP2007168273A - 塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】合金化溶融亜鉛めっき層を有するめっき鋼板の両面にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板である。
【選択図】なし
Description
また、本発明の課題は、意匠性を有し、プレス加工、曲げ加工されても優れた耐食性および電磁波シールド性を有する部材ならびに薄型テレビ用パネルを提供することである。
(1)鋼板の両面に、亜鉛系めっき層および該めっき層の上にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板。
(3)他方の面の化成処理皮膜の上に有機樹脂層を有することを特徴とする(1)または(2)記載の塗装鋼板。
(4)前記有機樹脂層はNi粒子を含有することを特徴とする(3)記載の塗装鋼板。
(6)前記有機樹脂層の膜厚が0.2〜3μmであることを特徴とする(3)〜(5)のいずれかに記載の塗装鋼板。
(7)前記上塗り塗膜の膜厚が7〜18μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の塗装鋼板。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の塗装鋼板を使用した部材。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の塗装鋼板を使用した薄型テレビ用パネル。
[めっき層]
本発明の塗装鋼板の鋼板は両面に亜鉛系めっき層を有する。亜鉛系めっき層は耐食性に優れる。また、亜鉛系めっき層は化成処理皮膜との密着性が優れるために、本発明の塗装鋼板は加工後の耐食性に優れる。また、該めっき層は導電性を有するので、該めっき層の上に化成処理皮膜を形成したとき、あるいは該化成処理皮膜の上に有機樹脂層を形成したときに導通点として作用し、本発明の塗装鋼板の電磁波シールド性が発現される。
後述する下塗り皮膜、上塗り皮膜を有する一方の面とは反対側の、他方の面のめっき層の表面粗さはJIS B0601−1994に規定される算術平均粗さRaが0.6〜1.3μmであることが好ましい。電磁波シールド性を必要とされる筐体内面側となる他方の面のRaを0.6μm以上とすることによって、優れた電磁波シールド性を確保することが可能となる。また、Raを1.3μm以下とすることによって優れた耐食性を保持できる。めっき層の表面粗さはめっき層が形成された後の調質圧延を行う際に圧延ロールの表面粗さ等の調質圧延条件を適宜条件に調整することで前述の粗さに容易に調製できる。電気めっき層の場合には、めっき前の圧延ロールの表面粗さ等の圧延条件を適宜条件に調整することでも前述の粗さに容易に調製できる。
亜鉛系めっき層を有するめっき鋼板の両面に化成処理皮膜を有する。化成処理皮膜は、環境の観点よりクロムを含有しない化成処理皮膜とする。この化成処理皮膜は、主としてめっき層と、下塗り塗膜、上塗り塗膜からなる塗膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。さらに、樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
一方の面には、化成処理皮膜の上に、下塗り塗膜、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有する。
他方の面は、上述のクロムを含有しない化成処理皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有する。
(塗装鋼板の作製)
塗装用めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有率:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有率:4.5質量%、めっき種記号:GF)および黒色化電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板(Ni含有率:12質量%、めっき種記号:EZNB)を準備した。めっき鋼板のめっき付着量を表1〜4に示す。なお、オモテ面、ウラ面のめっき付着量、めっき組成は同一とした。準備しためっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(i)〜(iii)の処理工程を行い、塗装鋼板を作製した。
(ii)次に、オモテ面に防錆顔料として表6の組成となるように防錆顔料を添加したポリエステル樹脂を含有する下塗り塗料を表1〜4に示す乾燥膜厚になるように塗布した後、ウラ面に化成処理液を塗布し、加熱30秒後に到達板温が200℃となる加熱処理を行い、表1〜4に示すオモテ面の下塗り塗膜と表7に示す組成のウラ面の化成処理皮膜を形成した。
(iii)次に、オモテ面に表1〜4に示す樹脂粒子、またはさらに表8に示すワックスを添加したポリエステル樹脂を含有する上塗り塗料を表1〜4に示すの乾燥膜厚になるように塗布した後、ウラ面に表6の組成となるように防錆顔料を添加した有機樹脂塗料を塗布した後、加熱60秒後に到達板温が230℃となる加熱処理を行い、表1〜4に示すオモテ面の上塗り塗膜とウラ面の有機樹脂層を形成した。
試験片をポンチ径33mmφ、ポンチ肩R:2mm、絞り比2.0、ポンチ速度:250mm/秒、オモテ面がポンチ側となるようにして成形し破断時のしわ押さえ荷重で以下のように評価した。
しわ押さえ荷重
4t以上 :○
2t以上4t未満:△
2t未満 :×
試験片を100mmφで打ち抜き、ポンチ径50mmφ、ポンチ肩R:4mm、ダイ径:70mmφ、ダイ肩R:4mm、しわ押さえ厚を5ton、オモテ面がポンチ側となるようにして円錐台成形を行った。破断時の成形高さで以下のように評価した。
破断時成形高さ
16mm以上 :○
14mm超16mm:△
14mm以下 :×
試験片のオモテ面を外側、ウラ面を内側にしてウラ面どうしを合わせるように曲げ加工する。その際、ウラ面間に試験片と同板厚の鋼板を1枚、2枚、3枚・・・と全板厚を変化させて挟み曲げ径Rを変化させて密着曲げ加工する。曲げられた試験片のオモテ面側にクラックが入らない最大板厚枚数で以下のように評価した。
オモテ面側にクラックが入らない最大板厚枚数
0〜1枚:○
2〜3枚:△
4枚以上:×
試験片にクロスカットを施し、中性塩塩水噴霧試験(JIS Z 2371−2000)に準拠した塩水噴霧試験を24時間行った後、錆の流出幅最大値を測定し以下のように評価した。
錆の流出幅最大値
0.3mm以下 :○
0.3mm超0.5mm未満:△
0.5mm以上 :×
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、塗装板のウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値
○:10点測定の平均荷重が350g以下
△:10点測定の平均荷重が350g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超
図1に示すような、五面をAl板2、一面を幅20mmのフランジ5を有し、開口部を100×100×100mmとしたAl製筐体3の中に20MHzのデジタル発信器4を内蔵させ、開口部にウラ面1bを下面としてフランジ5上に設置したガスケット6に接触させるように試験片(140×140mm)1を乗せ、荷重を39.2N(4Kgf)としてガスケット6と塗装鋼板1の合わせ面から外部に漏洩する20MHz〜1GHzの電磁波ノイズをプリアンプ8で増幅したのち、スペクトラムアナライザー9を用いて測定した。受信用アンテナ7は筐体フランジ部から50mmとし、フランジ5と試験片1の間には厚さ1mmのガスケット6を用いた。なお、ガスケット6はウレタンスポンジに導電布(銅とニッケルをめっきした繊維)を巻き付けたものである。また、電磁波シールド性の評価としては、最大ノイズ強度を用い評価した。めっきままの原板での最大ノイズ強度は40dB、導電性の無い塗膜を5μm塗布したものでは50dBであり、電磁波シールド性の評価は以下とした。
最大ノイズ強度
43dB以下 :◎
43dB超45dB以下:○
45dB超47dB以下:△
47dB超 :×
試験片の4辺をシールし、前述した塩水噴霧試験により平板部の評価を行った。塩水噴霧試験を96時間行った後の白錆発生面積率を求め、以下のように評価した。
白錆発生面積率
5%以下 :○
5%超20%以下:△
20%超 :×
1b ウラ面
2 Al板
3 Al製筐体
4 デジタル発信器
5 フランジ
6 ガスケット
7 アンテナ
8 プリアンプ
9 スペクトラムアナライザー
Claims (10)
- 鋼板の両面に、亜鉛系めっき層および該めっき層の上にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板。
- 他方の面のめっき層の表面粗さがJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さRaが0.6〜1.3μmであることを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
- 他方の面の化成処理皮膜の上に有機樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2記載の塗装鋼板。
- 前記有機樹脂層はNi粒子を含有することを特徴とする請求項3記載の塗装鋼板。
- 前記Ni粒子の平均粒子径は前記有機樹脂層の膜厚の10〜150%であることを特徴とする請求項4記載の塗装鋼板。
- 前記有機樹脂層の膜厚が0.2〜3μmであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の塗装鋼板。
- 前記上塗り塗膜の膜厚が7〜18μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の塗装鋼板。
- 前記下塗り塗膜の膜厚が1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の塗装鋼板。
- 請求項1〜8のいずれか一項記載の塗装鋼板を使用した部材。
- 請求項1〜8のいずれか一項記載の塗装鋼板を使用した薄型テレビ用パネル。
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JP2005369347A JP2007168273A (ja) | 2005-12-22 | 2005-12-22 | 塗装鋼板 |
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