JP3218420B2 - 耐パンチング性に優れたガードフィルムフリー型黒色プレコート鋼板 - Google Patents

耐パンチング性に優れたガードフィルムフリー型黒色プレコート鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特にオーディオ製品や
クッキング製品等の家電製品に要求されるプレコート鋼
板のガードフィルムフリー化及びパンチング機械加工に
おける耐孔明け性すなわち耐パンチング性の付与を両立
した黒色プレコート鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家電や自動車分野における塗装鋼
板の低コスト化のニーズは高く、ポストコートのプレコ
ート化が一段と進む中で、パンチング機械加工による耐
孔明け性(以下、単に耐パンチング性という)をも付与
したガードフィルムフリー型プレコート鋼板の市場要求
が高まっている。
【0003】特にオーディオ製品やクッキング製品の外
板に多用される意匠性の高いプレコート鋼板(以下、単
にプレコートという)については、需要家での製品成形
過程において生ずるトップ塗膜の取扱い疵に対し、プレ
コートを製造する側では、防止策として意匠性の高い塗
装面に膜厚が数10〜100μm程度のガードフィルム
を別途貼付けて市場提供しているため、コスト高になっ
ている。又、需要家での最終商品段階では、このフィル
ム剥ぎ作業や剥いだフィルムの後処置等の作業の省力化
を含めたプレコートの低コスト化要求が高く、プレコー
トのガードフィルムフリー化が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ガードフィ
ルムフリー型プレコートを高生産性のラインで製造する
場合には、切り板製品になるまでの間はコイル製品とし
て一旦床置され在庫されることが多く、この期間にコイ
ル自重により塗装面への圧痕疵(プレッシャーマーク)
が発生する危険性があり、この改善対策がコイル製品の
床置方法を含めて問題となる。
【0005】ガードフィルムフリーでは、コイル単重に
よって床との接触部分の塗膜に板幅方向に線状又は帯状
の圧痕マークが少なからず発生し、これがコイル長手方
向に一定ピッチで発生し生産性の大幅低下を招くため、
塗膜の耐圧痕疵対策(以下、単に耐PM性という)が最
大の解決課題である。又、耐PM性を付与したプレコー
トは他の塗膜性能に支障なく耐パンチング性を満足する
ことが要求され、塗膜への耐パンチング性と耐PM性の
両立付与が必須である。
【0006】耐パンチング性は塗膜との擦過によるパン
チング用金型の耐損耗性であり、これに伴って生じる鋼
板の孔周辺へのバリ発生、或いは粉末化した塗膜が金型
に圧着されて塗装面へ押疵を発生させるのを抑制するこ
とも意味する。こうした意味では、従来は耐パンチング
性及び耐PM性を両立付与したプレコート或いはその製
造方法は殆ど見当たらない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、塗膜のガラス
転移点が40〜70℃であり、平均分子量が15000
〜50000のメラミン硬化型高分子ポリエステル樹脂
を固形分重量比で40〜90%、この樹脂に殆ど融合し
ない一次平均粒径が2〜50μmの有機樹脂粒子を骨材
として固形分重量比で1〜50%、及び滑剤として融点
が80〜130℃のポリエチレンワックスを固形分重量
比で1〜5%含有することを特徴とする耐パンチング性
に優れたガードフィルムフリー型黒色プレコートであ
る。裏面塗膜の表面光沢度は、表側トップ塗膜の表面光
沢度の50〜100%とすることが好ましい。
【0008】
【作用】本発明は、耐パンチング性と耐PM性を両立付
与したガードフィルムフリー型黒色プレコートを安価で
市場提供するものであり、生産から需要家での最終商品
化に至るまで一貫して耐パンチング性を含めた加工取り
扱い傷が発生しないプレコートでなければならず、耐
PM性を付与するためには、耐圧強度を上げなければな
らず、塗膜自身が適宜に硬くなければならない、耐パ
ンチング性を付与するためには、その硬質塗膜に適宜な
弾力性がなければならない、他の塗膜性能を犠牲にし
てはならない。
【0009】このように、基本的に硬くて弾力性に富ん
だ塗膜設計が要求されるので、先ず塗膜のガラス転移点
(以下、単にTgという)を高くすることが必須であ
る。そして、硬質化した分だけ塗膜の伸び性と弾力性が
不足し、加工性や耐衝撃性を含めた耐パンチング性が低
下することが予想されるため、これを回復させるのにバ
インダー樹脂と殆ど溶解ないし反応しない弾力性のある
有機骨材が必須であり、結晶化度が高くて硬い無機系骨
材のシリカ粒などは塗膜から排除する必要がある。さら
に、安定した塗膜の耐PM性を得るためには、特に裏面
塗膜の表面状態、例えば裏面塗膜の外観光沢をトップ塗
膜の光沢度以下に制御することが必要である。
【0010】そこで、本発明は、次の〜に基づき、
意匠性の高いトップ塗膜、すなわち表側の塗膜の耐パン
チング性と耐PM性を両立付与した黒色プレコートを提
供する。
【0011】トップ塗膜への耐PM性の付与は、塗膜
の高Tg化、バインダー樹脂の分子量及び配合量の適正
化による。
【0012】裏面塗膜の光沢制御によりトップ塗膜の
耐PM性の安定化を図る。
【0013】トップ塗膜への弾力性付与による耐パン
チング性の付与は、有機系樹脂骨材の粒径及び配合量の
適正化により行う。
【0014】潤滑性付与によりトップ塗膜の耐スリ疵
性を向上させる。
【0015】以下、本発明の塗膜構成について説明す
る。
【0016】本発明は表裏とも適宜に化成処理された鋼
板を基板とし、表側には下層として適宜なプライマー塗
膜を、そしてその上層にトップ塗膜として成分構成を特
定して耐パンチング性と耐PM性を両立付与した2C2
Bの塗膜を有し、裏面側は表面光沢度を特定した1C1
Bの塗膜を有する。あるいは、表裏とも同種の塗装仕様
により2C2B塗装してもよい。トップ塗膜は、塗膜と
してのTgが40〜70℃であり、平均分子量1500
0〜50000のメラミン樹脂ないしはウレタン樹脂を
用いて塗膜硬化させるタイプの高分子ポリエステル樹脂
を固形分重量比として40〜90%含み、これに一次平
均粒径が2〜50μmの有機樹脂粒子を骨材として固形
分重量比で1〜50%含み、更に融点が80〜130℃
のポリエチレン粉末を滑剤として固形分重量比で1〜5
%含む。又、裏面塗膜の表面光沢度は、トップ塗膜の外
観光沢度に対し50〜100%とする。
【0017】本発明は、塗膜の高Tg化による塗膜硬さ
の増大を基本とし、裏面塗膜の表面光沢度をトップ塗膜
と同等以下にすることとの相乗効果によって、トップ塗
膜の耐PM性を安定して得る。加えて、無機骨材を排除
し、代替骨材として塗膜の艶調整機能をもつ有機樹脂粒
子を採用し、トップ塗膜へ弾力性を付与して耐パンチン
グ性を向上させる。
【0018】尚、塗膜の着色化は特段黒色にこだわるこ
となく自由に行われてよく、又メタリック化及び外観光
沢等、トップ塗膜としての意匠性の付与は特段制限され
るものではない。
【0019】又、本発明で使用する鋼板は裸鋼板又は亜
鉛系めっき鋼板の何れであってもよい。亜鉛系めっき鋼
板としては公知のめっき方法によって得られる何れであ
ってもよく、例えば電気めっき系では、Znめっき、合
金元素がNi、Cr、Feの何れか1種以上からなるZ
n系合金めっき鋼板を用いることができる。又、電気分
散めっき系では、Zn−Ni、Zn−FeをベースにS
iO2 、TiO2 、ZrO2 、BaCrO4 等の金属酸
化物を均一分散析出させたZn系分散合金めっき鋼板を
用いることができる。さらに、溶融めっき系において、
溶融亜鉛めっき鋼板、Zn−Al系合金めっき鋼板、及
びそれらの合金化処理した亜鉛めっき鋼板を用いること
ができる。
【0020】以下、本発明鋼板の各塗膜構成要件につい
て述べる。
【0021】(1)トップ塗膜: バインダーとしての高分子ポリエステル樹脂の分子
量:トップ塗膜に耐PM性を付与するには、塗膜を適宜
に硬くして加圧力に耐えるようにすることが前提で、そ
のためにはバインダーとしての高分子ポリエステル樹脂
の分子量範囲を特定する必要がある。分子量が1500
0未満では、架橋密度が上がり過ぎて塗膜に加工割れが
生じ易くなり、又パンチングのような機械衝撃を受ける
と塗膜剥離が発生し易くなる。一方、50000以上で
はユズ肌やワキの発生など塗装外観上の欠陥が生じ易く
なり、コスト高ともなる。従って、分子量は15000
〜50000とし、中でも20000〜30000が好
ましい。
【0022】高分子ポリエステル樹脂の配合量:バイ
ンダー樹脂の配合量は固形分重量比として40〜90%
とする。40%未満では、塗膜強度が低下して塗膜の耐
疵付性や加工性の低下があり、又、均一な塗装外観も得
られ難くなる。一方、90%超では着色、光沢度といっ
た所望の塗膜外観の制御が難しくなり、又塗膜の伸び加
工性が低下して塗膜が割れ易くなり、外観を含めた塗膜
性能の低下が大きく、コスト高ともなる。従って、該樹
脂の配合量は40〜90%とし、好ましくは50〜80
%とする。
【0023】塗膜Tg:塗膜Tgは、トップ塗膜の耐
PM性をより安定して得るために特に制御すべき基本因
子である。Tgが40℃未満では十分な耐PM性は得ら
れず、又、70℃超では塗膜の耐PM性は飽和状態にあ
るものの、逆にユズ肌やワキ等が生じ易くなって少なく
とも均一な塗装外観が得られにくくなり、歩留りが低下
し、コスト高ともなる。従って、塗膜Tgは40〜70
℃とし、中でも45〜65℃が好ましい。
【0024】有機樹脂粒子骨材の粒径及び配合量:有
機樹脂粒子骨材は塗膜の耐パンチング性及び耐スリ疵性
付与のために配合する。塗膜への弾力性付与の観点から
は、バインダー樹脂に不溶ないし難溶性であって、かつ
塗膜の外観光沢を十分安定して制御し得る樹脂粒子性状
でなければならない。そのためには、粒径と配合につい
て限定が必要である。
【0025】まず、平均粒径が2μm未満では、塗膜へ
の弾力性が過剰に付与されるため、耐パンチング性は十
分付与されるものの、塗膜は軟質化し、耐PM性や耐傷
付性は逆にやや低下して不安定化する。又、塗膜外観に
ついては艶や光沢の調整機能が低下し、コスト高ともな
る。一方、平均粒径が50μm超では突起の大きい塗膜
外観となり、就中塗膜光沢度の安定制御が難しくなり、
又、耐傷付性が低下し、生産性も低下する。従って、有
機樹脂粒子骨材の粒径は2〜50μmとし、中でも3〜
30μmが好ましい。
【0026】次に配合量については、固形分重量比で1
%未満では骨材による塗膜への弾力性が不足し、良好な
耐PM性は維持されるものの、耐パンチング性との両立
までは難しく、耐傷付性が低下し、外観光沢の制御が不
安定化する。又、50%超では十分な耐PM性及び耐パ
ンチング性の両立はできても塗膜外観の艶制御が難しく
なる。従って、有機樹脂粒子骨材の配合量は1〜50%
とし、好ましくは3〜20%とする。
【0027】尚、有機樹脂粒子骨材としてはポリメチル
メタクリレート、ポリプロピレン、ポリアマイド、ポリ
アクリロニトリル、ポリエステル、アルキルシリコー
ン、メラミン−フォルムアルデヒド、ポリウレタン及び
ポリ弗化ビニリデンを使用することができ、その効果に
差異はない。
【0028】ポリエチレン滑剤の配合量:ポリエチレ
ン滑剤は塗膜の耐スリ疵性やプレス加工における加工性
の付与を主眼として添加する。滑剤が固形分重量比で1
%未満では上記塗膜性能の低下は避けられず、又、剥離
塗膜の圧着による押疵発生があって耐パンチング性が十
分でない。又、5%超では塗膜焼付時の水冷模様が目立
ち、均一な塗装外観は得られ難い。従って、滑剤の配合
量は1〜5%とし、好ましくは1.5〜3%とする。
【0029】次に、滑剤の融点が80℃未満では塗膜表
面に形成される潤滑膜の強度が十分でないため、耐疵付
性や肝心の耐PM性を低下させ、更には焼き付け後の塗
膜表面に水冷模様が発生して商品価値を低下させる。一
方、滑剤の融点が130℃超では塗料中での均一分散性
にやや欠けるため、塗膜表面での均一な潤滑膜形成が難
しくなり、外観ムラや耐疵付性の不安定化を招く。従っ
て、滑剤の融点は80〜130℃とし、好ましくは10
0〜120℃とする。
【0030】尚、滑剤としてはポリエチレンの他にシリ
コーン系及び弗素系の滑剤を用いることができ、その効
果に差異はない。
【0031】(2)裏面塗膜の表面光沢度:裏面塗膜の
表面光沢は、トップ塗膜の耐PM性をより安定して得る
ための制御因子である。裏面塗膜の光沢度がトップ塗膜
の光沢度に対して50%未満ではトップ塗膜の耐PM性
が低下し、又100%超でも同様にトップ塗膜の耐PM
性が低下する。従って、トップ塗膜の耐PM性を安定し
て得るには、裏面光沢度をトップ塗膜の光沢度の50〜
100%とし、好ましくは60〜90%とする。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳述する。
【0033】板厚0.7mm、板幅914mmの亜鉛系
めっき鋼板の両面に対し、ライン速度70m/分で従来
技術による塗装下地処理として総クロム付着量50mg
/m2 の市販のクロメート処理を施した後、乾燥して直
ちに塗装工程に入れた。
【0034】意匠性の高いトップ塗装面(2C2B)に
はプライマー塗装及びトップ塗装のいずれにも有機溶剤
系の高分子ポリエステル樹脂系塗料を用い、所定条件で
塗装焼き付けた。プライマー塗装は、日本ペイント製の
フレキコート600EUプライマーを固形皮膜として5
μm塗装し、その上層にトップ塗膜として表1〜表5に
記載の黒色に着色した塗膜を固形皮膜として19μmに
なるようにカーテン塗装したのち、標準条件で焼き付
け、水冷乾燥した。なお、この時のトップ塗膜の表面光
沢度は30%に制御した。一方、鋼板の裏面塗装につい
ては塗膜の艶出しを調整した日本ペイント製のNP02
塗料を用い、公知のロール塗装法により、塗膜厚が固形
皮膜として2μmになるよう塗装し、所定板温で焼き付
け、水洗乾燥した。
【0035】こうして製造した黒色プレコートは、以下
に記載するように、意匠性の高いトップ塗膜に要求され
る耐PM性及び耐パンチング性を両立したプレコートで
ある。
【0036】(1)バインダー樹脂について:塗膜へ耐
PM性を付与するバインダー樹脂について、実施例、比
較例を含めてNo.1〜No.22に示す。
【0037】樹脂分子量を変化させた実施例をNo.1
〜No.5に示し、比較例をNo.6〜No.7に示
す。又、塗膜Tgを変化させた実施例をNo.2及びN
o.8〜No.13に、比較例をNo.14〜No.1
5に示す。更に、配合量を変化させた実施例をNo.2
及びNo.16〜No.20に、比較例をNo.21〜
No.22に示す。
【0038】これらから明らかなように、塗膜の他の性
能を阻害することなく塗膜に耐PM性を付与するために
は塗膜の高Tg化が基本的に必要であり、加えて塗膜の
外観均一性や加工性を安定して得られるようにするため
には樹脂分子量及び配合量の限定が必要である。
【0039】(2)塗膜中の有機樹脂粒子骨材の配合に
ついて:有機樹脂骨材の粒径を変化させた実施例をN
o.2及びNo.23〜No.29に、比較例をNo.
30〜No.31に示す。又、配合量を変化させた実施
例をNo.2及びNo.32〜No.39に、比較例を
No.40〜No.41に示す。
【0040】これらから明らかなように、他の塗膜性能
を低下させることなく耐パンチング性と耐PM性を塗膜
に両立させるには、有機樹脂粒子骨材の粒径及び配合量
を制御することが必要である。
【0041】(3)ポリエチレン滑剤の配合について:
ポリエチレン滑剤の配合量を変化させた実施例をNo.
2及びNo.42〜No.46に、比較例をNo.47
〜No.48に示す。
【0042】これらから明らかなように、塗膜に潤滑性
を付与することによって安定したプレス加工等での鋼板
ハンドリング疵を解消し、特に塗膜への耐PM性の付与
によってガードフィルムフリーとする鋼板にあっては、
ポリエチレン滑剤の適正配合が肝要である。上限を外れ
ると塗膜外観に焼付後の水冷模様が発生し易い。
【0043】更に、滑剤の融点を変化させた実施例をN
o.2及びNo.49〜No.53に、比較例をNo.
54〜No.55に示す。
【0044】これらから明らかなように、滑剤の融点が
適正領域を外れると、下限未満では良好な耐スリ疵性の
他、耐PM性も安定して得ることは難しくなり、又上限
を超えると塗膜に水冷模様が発生し、外観上商品価値を
大きく損なう。
【0045】(4)裏面塗膜の光沢度について:裏面塗
膜の光沢度を変化させた実施例をNo.2及びNo.5
6〜No.60に、比較例をNo.61〜No.62に
示す。
【0046】これらより明らかなように、裏面光沢度の
制御範囲を逸脱すると、高生産性のラインにおける商品
価値の高いトップ塗膜の耐PM性の安定維持は難しくな
り、コスト高ともなる。
【0047】(5)下地鋼板のめっき系適用事例:本発
明に使用できる下地鋼板のめっき系について実施例をN
o.2及びNo.63〜No.72に示す。この実施例
から明らかなように、本発明は下地鋼板のめっき系が異
なっても塗膜機能には何等支障となるものではない。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】(注)*1.めっき系: EZ:電気亜鉛めっき。 ZN:電気Zn−Ni合金めっき(Ni;11.5
%)。 EC:電気Zn−Cr−Ni合金めっき(Cr;10
%、Ni;2%)。 EF:電気Zn−Fe合金めっき(Fe;15%)。 ZNS:電気Zn−Ni−SiO2 (Ni;12%、S
iO2 ;3%)。 ZNT:電気Zn−Ni−TiO2 (Ni;12%、T
iO2 ;3%)。 ZNB:電気Zn−Ni−BaSO4 (Ni;12%、
BaSO4 ;3%)。 ZFS:電気Zn−Fe−SiO2 (Fe;10%、S
iO2 ;3%)。 GZ:溶融Znめっき。 GA:溶融Zn−Alめっき(Al;5%)。 GF:合金化溶融Znめっき(Fe;8〜11%)。
【0054】(注)*2.トップ塗膜性状: メラミン樹脂硬化による高分子ポリエステル樹脂を使
用。 TgはTMAで実測したもの。 配合量はすべて塗膜固形分に対する重量比。 有機骨材とは有機樹脂粒子骨材をいう。
【0055】(注)*3.裏面塗膜の光沢度:60度鏡
面反射によるトップ側塗膜の光沢度対比をいう。
【0056】(注)*4.耐PM性評価:トップ塗膜面
に裏面塗膜を重ね合わせた試験片上に荷重80kg/c
2 を載せ、RH95%、40℃の湿潤雰囲気に168
hrs静置したのち、試験片を取り出し、塗装面の圧痕
状態を目視評価。 ◎:初期外観と変化なし。 ○:透かすと極く僅かな圧痕転写。 △:正面から見て僅かな圧痕転写。 ×:明瞭な圧痕転写。
【0057】(注)*5.耐パンチング性評価: パンチング孔明機:電動式クランクプレス機による連続
孔明け。 金型:表面硬質化加工による金型を使用。肉厚1mm×
幅4.5mmの刃が4連セットされたものを使用。 評価:パンチング孔30万個目を対象に、その孔周辺へ
のバリ発生状態を目視評価。 ◎:バリなし。 ○:僅かに押疵あるがバリなし。 △:バリ数個発生。 ×:バリ頻発。
【0058】(注)*6.加工性:角筒プレス加工、5
0W×50L×50H〔mm〕、ダイス接触部の塗膜を
テープ剥離し、そのテープ黒化度を目視評価。 ◎:テープ黒化なし。 ○:黒化僅か。 △:均等に薄く黒化。 ×:全面に黒化。
【0059】(注)*7.塗膜外観(目視): ◎:外観均質。 ○:透かして極く僅かに不均一模様。 △:部分的に不均一。 ×:全面不均一。
【0060】
【発明の効果】本発明は、市場におけるプレコートのガ
ードフィルムフリー化要求に対し、他の塗装性能を低下
させることなく、工業的レベルでノンガードフィルムの
耐パンチング性に優れた黒色プレコートを市場提供可能
とする。本発明のガードフィルムフリー型黒色プレコー
トは、コイル製品及び切り板製品のいずれであっても良
好な耐プレッシャーマーク性が安定して得られ、又、塗
膜に弾力性を付与し、これによって耐パンチング性が安
定して得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 亮司 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (72)発明者 山本 健二 千葉県君津市君津1 新日本製鐵株式会 社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平5−169587(JP,A) 特開 平4−108569(JP,A) 特開 平4−2779(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 15/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗膜のガラス転移点が40〜70℃であ
    り、平均分子量が15000〜50000のメラミン硬
    化型高分子ポリエステル樹脂を固形分重量比で40〜9
    0%、この樹脂に殆ど融合しない一次平均粒径が2〜5
    0μmの有機樹脂粒子を骨材として固形分重量比で1〜
    50%、及び滑剤として融点が80〜130℃のポリエ
    チレンワックスを固形分重量比で1〜5%含有すること
    を特徴とする耐パンチング性に優れたガードフィルムフ
    リー型黒色プレコート鋼板。
  2. 【請求項2】 裏面塗膜の表面光沢度が表側トップ塗膜
    の表面光沢度の50〜100%であることを特徴とする
    請求項1記載の耐パンチング性に優れたガードフィルム
    フリー型黒色プレコート鋼板。
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