JPH07256753A - 熱収縮性ポリ乳酸系フイルム - Google Patents
熱収縮性ポリ乳酸系フイルムInfo
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Abstract
強度、熱収縮性に優れたフイルムを得る。 【構成】 ポリ乳酸系重合体からなり、面配向度ΔPが
3.0×10-3以上であり、かつフイルムを昇温したと
きの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により発生す
る結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が20J
/g未満である熱収縮性ポリ乳酸系フイルム。
Description
装に好適なポリ乳酸系重合体からなる熱収縮性フイルム
に関するものである。
ラベルなどに利用される熱収縮性フイルムとしては、ポ
リ塩化ビニル、スチレンーブタジエン共重合体、ポリエ
チレンテレフタレートなどのフイルムが知られており、
産業界で広く利用され、消費されている。しかしなが
ら、これらのフイルムは自然環境下に棄却されると、そ
の安定性のため分解することなく残留し、景観を損な
い、魚、野鳥などの生活環境を汚染するなどの問題を引
き起こしている。
合体からなる材料が要求されており、実際多くの研究、
開発が行なわれている。その一例として、ポリ乳酸があ
る。ポリ乳酸は、土壌中において自然に加水分解が進行
し、土中に原形が残らず、ついで微生物により無害な分
解物となることが知られている。
め、通常の方法で作られたフイルムは十分な強度が得ら
れず、実用に供し難い。そこでポリ乳酸フイルムを延伸
することが提案されているが、ポリ乳酸の熱収縮性フイ
ルムについては、これまでほとんど知られておらず、特
に収縮包装や収縮結束包装用途に有用なフイルムはいま
だ知られていなかった。
ル用熱収縮フイルムが開示されているが、このフイルム
は収縮温度が高い高温収縮性フイルムであって、ガラス
瓶のラベルとしては用い得るが、一般的な収縮包装や収
縮結束包装には適用し難い面がある。一般的な収縮包装
や収縮結束包装では、被包装体が生鮮食品や紙箱、ある
いは食品や薬品の入った各種容器類であり、熱による被
包装体の変性や変形を防ぐため、極力低温で収縮加工が
行われる。
〜100℃であり、ガラス瓶ラベル用よりは低温であ
る。また、ラベル用においても、近年ガラス瓶よりも多
く消費されているポリエステルなどのプラスチツク瓶用
途では、瓶の変形を防ぐため80〜100℃での比較的
低温で収縮が行われる。このような用途に適した低温収
縮性のポリ乳酸フイルムは知られていない。
強度と、各種被包装体に低温で収縮被覆し得る低温熱収
縮性を有するポリ乳酸系フイルムを提供することを目的
とする。
結果、ポリ乳酸系重合体からなり、フイルムの面配向度
ΔPが3.0×10-3以上であり、かつ、フイルムを昇
温したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化によ
り発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)
が20J/g未満である場合に、強度、熱収縮性に優れ
たポリ乳酸系フイルムが得られることを見い出し、本発
明を完成した。
用いられるポリ乳酸系重合体とは、ポリ乳酸または乳酸
と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、もしくはこ
れらの混合物であり、本発明の効果を阻害しない範囲で
他の高分子材料が混入されても構わない。また、成形加
工性、フイルム物性を調整する目的で、可塑剤、滑剤、
無機フィラー、紫外線吸収剤などの添加剤、改質剤を添
加することも可能である。
られ、他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール
酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒ
ドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキ
シカプロン酸などが代表的に挙げられる。
環重合法など、公知のいずれの方法を採用することも可
能であり、さらには、分子量増大を目的として少量の鎖
延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ
化合物、酸無水物などを使用しても構わない。重合体の
重量平均分子量としては、1万から100万が好まし
く、かかる範囲を下まわると実用物性がほとんど発現さ
れず、上まわる場合には、溶融粘度が高くなりすぎ成形
加工性に劣る。
れらの重合体を押出法、カレンダー法、プレス法などの
一般的な溶融成形法により、平面状または円筒状の未延
伸シートまたはシート状溶融体にし、次いで、これをロ
ール法、テンター法、チユーブラ法、インフレーシヨン
法などにより一軸または二軸延伸することによって得ら
れる。
工条件との兼ねあいにより、フイルムの面配向度ΔP
と、フイルムの結晶融解熱量と結晶化熱量との差(ΔH
m−ΔHc)とを、一定の範囲にすることが最も重要で
ある。すなわち、ポリ乳酸系フイルムにおいては、素材
が本来有しているところの脆性をΔPを増大させること
により改良し、配向結晶化などにより消失もしくは減少
する熱収縮性を、(ΔHm−ΔHc)を一定の値未満に
することにより保持できるのである。
向の配向度を表わし、通常直交3軸方向の屈折率を測定
し以下の式で算出される。 ΔP={(γ+β)/2} − α (α<β<γ) ここで、γ、βがフイルム面に平行な直交2軸の屈折
率、αはフイルム厚さ方向の屈折率である。
が、大きくはフイルム面内の分子配向に依存する。つま
りフイルム面内、特にフイルムの流れ方向および/また
はそれと直交する方向の1または2方向に対し、分子配
向を増大させることにより、無配向シート・フイルムで
は1.0×10-3以下であるΔPを本発明で規定する
3.0×10-3以上に増大させることができる。ΔPを
増大させる方法としては、既知のあらゆるフイルム延伸
法に加え、電場や磁場を利用した分子配向法を採用する
こともできる。
の延伸条件としては、延伸温度50〜100℃、延伸倍
率1.5倍〜5倍、延伸速度100%/分〜10000
%/分が一般的ではあるが、この適正範囲は重合体の組
成や、未延伸シートの熱履歴によって異なってくるの
で、ΔPの値を見ながら適宜決められる。チユーブラ延
伸法など他の延伸法を採用する場合も同様である。ΔP
が3.0×10-3を下まわる場合には、ポリ乳酸系フイ
ルムは強度に乏しく脆いため実用に供し難いが、3.0
×10-3以上とすることで強度・脆さが改善され実用上
問題がなくなる。
上にされたポリ乳酸系フイルムは、このままで熱収縮性
フイルムとなる場合があるが、一方で延伸に伴う配向結
晶や延伸後の熱履歴に伴う結晶化に影響され、熱収縮性
が消失もしくは大幅に減少してしまう場合も多く存在す
る。そこで確実に熱収縮性を発現させるためには、フイ
ルムの(ΔHm−ΔHc)を20J/g未満に制御する
ことが重要である。すなわち、(ΔHm−ΔHc)が2
0J/gを以上の場合には、フイルムの熱収縮性不十分
であり、収縮包装や収縮結束包装に使用することができ
ず、20J/g未満であれば、十分な熱収縮性が得られ
実用に供することができる。
ける十分な熱収縮性とは、80℃、10秒加熱時の熱収
縮率が少なくとも一方向について10%以上、好ましく
は20%以上であることを指し、フイルムの(ΔHm−
ΔHc)が20J/g以上である場合には、この熱収縮
率を得ることはかなり困難である。
差走査熱量測定(DSC)により求められるもので、Δ
Hmは昇温速度10℃/分でフイルムを昇温したときの
全結晶を融解させるのに必要な熱量であって、重合体の
結晶融点付近に現れる結晶融解による吸熱ピークの面積
から求められる。またΔHcは、昇温過程で生じる結晶
化の際に発生する発熱ピークの面積から求められる。
依存し、結晶性が大きい重合体では大きな値をとる。ち
なみに最も結晶性が大きいと考えられるホモのL−乳酸
重合体では、約50J/gとなる。またΔHcは、重合
体の結晶性に対するその時のフイルムの結晶化度に関係
する指標であり、ΔHcが大きい時は、昇温過程でフイ
ルムの結晶化が進行する、すなわち重合体が有する結晶
性を基準にフイルムの結晶化度が相対的に低かったこと
を表わす。逆に、ΔHcが小さい時は、重合体が有する
結晶性を基準にフイルムの結晶化度が相対的に高かった
ことを表わす。
るための1つの方向は、結晶性が小さい重合体を原料
に、結晶化度の比較的低いフイルムをつくることであ
る。フイルムの結晶化度は、重合体の組成に少なからず
依存するが、フイルムの成形加工条件によっても、大き
く影響される。
おいてフイルムの結晶化度を下げるためには、適当な延
伸温度、延伸倍率を選び配向結晶化を抑える、延伸後速
やかに結晶化温度以下に冷却して結晶化を抑えるなどの
方法が有効である。
明は何ら制限を受けるものではない。 なお、実施例中
に示す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出
した。(1)ΔP アツベ屈折計によって直交3軸方向の屈折率(α,β,
γ)を測定し、次式で算出した。
ル10mgをJIS−K7122に基づいて、昇温速度
10℃/分で昇温したときのサーモグラムから結晶融解
熱量ΔHmと結晶化熱量ΔHcを求め、算出した。
−K7127に基づいて測定した。また、脆さは触感に
て判断した。MDはフイルムの流れ方向、TDはフイル
ムの流れに対し直交する方向を示す。
し、80℃の温水バスに10秒浸漬した後、その寸法を
計り、元の寸法に対する熱収縮分の割合(%)を算出
し、その値を(MD収縮率×TD収縮率)で表記した。
を30mmφ単軸エクストルダーにて、Tダイより押出
し、キヤステイングロールにて急冷し、厚み200μm
の未延伸シートを得た。続いて長手方向(MD)にロー
ル延伸、次いで、幅方向(TD)にテンターで延伸し、
引き続きテンター内で熱処理した。延伸条件およびそれ
に続く熱処理条件を種々変化させ、表1に示すフイルム
サンプルを得た。延伸後のフイルムの流れ速度は3m/
分、延伸・熱処理各ゾーンの通過時間はそれぞれ20秒
であった。
Hc)が本発明の範囲内にあるフイルムは、脆さがなく
強度的に優れ、また熱収縮性も良好なことが分かる。
ール酸3重量%からなる分子量20万の共重合体を用
い、延伸・熱処理条件を変えるのみで実施例1と同様の
方法によりポリ乳酸系フイルムを得た結果を表2に示
す。
リ乳酸系重合体から、強度的に優れ、低温熱収縮性に優
れたフイルムを得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリ乳酸系重合体からなり、面配向度Δ
Pが3.0×10-3以上であり、かつ、フイルムを昇温
したときの結晶融解熱量ΔHmと昇温中の結晶化により
発生する結晶化熱量ΔHcとの差(ΔHm−ΔHc)が
20J/g未満であることを特徴とする熱収縮性ポリ乳
酸系フイルム。 - 【請求項2】 80℃、10秒加熱時の熱収縮率が、少
なくとも一方向について10%以上であることを特徴と
する請求項1記載の熱収縮性ポリ乳酸系フイルム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5698094A JP3328418B2 (ja) | 1994-03-28 | 1994-03-28 | 熱収縮性ポリ乳酸系フイルム |
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