JPH07233508A - 橋脚および自昇式型枠工法による橋脚施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート製中空断面の高橋脚の施工に際
して、鉄筋作業を大幅に削減し、従来の内部と外部の足
場・型枠作業をなくし、橋脚施工の省力化，工期短縮，
低廉化を図れるようにする。 【構成】 横断面中空の橋脚本体１を、総ネジＰＣ鋼棒
２を軸方向筋とし、高強度コンクリート４を用いたＲＣ
構造とし、鉄筋作業を大幅に削減し、軽量化を図る。施
工に際しては、仮設用埋設鉄骨２５を設置した後、橋脚
軸方向に沿う総ネジＰＣ鋼棒を備えた鋼材ブロックＡを
組み立て、自昇式型枠２０の内外型枠２３，２４を設置
し、内型枠２３と外型枠２４の間にコンクリート４を打
設し、仮設用埋設鉄骨の設置・鋼材ブロックの組立・自
昇式型枠の上昇設置・コンクリートの打設を繰り返して
所定高さまで施工し、従来の内部と外部の足場・型枠の
組払い作業をなくす。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、山間部などに構築さ
れる橋梁の橋脚および自昇式型枠工法による橋脚施工方
法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】橋梁のコンクリート製橋脚はＲＣ構造が
一般的であり、従来においては足場を組み立て、タワー
クレーン等を利用して型枠組立，鉄筋組立，コンクリー
ト打設，型枠解体を行うＲＣ工法が採用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】既設の橋脚では最高高
さが７９ｍ程度であるが、最近では山間部などの道路橋
において１００ｍを越える橋脚が複数予定されている。
このような高橋脚を従来のＲＣ工法で施工すると、作業
量の多い鉄筋作業が膨大となり、また軽量化のため中空
断面であることから内部および外部に足場・型枠を設置
する必要があり、作業に多大の労力と時間を必要とし、
通常の高さの橋脚に比べると２倍程度の工期がかかり、
しかも高価格となる問題点がある。

【０００４】この発明は、前述のような問題点を解消す
べくなされたもので、その目的は、鉄筋作業を大幅に削
減し、従来の内部と外部の足場・型枠作業をなくし、橋
脚施工の省力化，工期短縮，低コスト化を図れる橋脚お
よび自昇式型枠工法による橋脚施工方法を提供すること
にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の橋脚は、ＲＣ構
造を基本とし、軸方向筋に接合が簡単で高強度の総ネジ
ＰＣ鋼棒を採用し、さらにこれに見合った高強度コンク
リートを使用する。総ネジＰＣ鋼棒は、鋼材ブロックと
して予め組み立てておき、カップラとナットで接続す
る。横方向筋としてのスターラップもブロックとして予
め組み立てておく。

【０００６】本発明の橋脚施工方法は、断続的に上昇す
る自昇式型枠（クライミングフォームなど）を支持して
自昇させるための仮設用埋設鉄骨を先行して設置した
後、橋脚軸方向に沿う総ネジＰＣ鋼棒を備えた鋼材ブロ
ックを組み立て、この鋼材ブロックの内側と外側に自昇
式型枠の内型枠と外型枠を設置し、内型枠と外型枠の間
にコンクリートを打設し、鋼材ブロックの組立・自昇式
型枠の上昇設置・コンクリートの打設を順次繰り返して
橋脚を構築する。

【０００７】

【作用】以上のような構成において、総ネジＰＣ鋼棒の
採用により従来のＲＣ工法と比較して鉄筋が大幅に削減
される。また、高強度コンクリートの採用により、総ネ
ジＰＣ鋼棒の採用と相まって断面の軽量化を図ることが
できる。

【０００８】また、内型枠および外型枠は自昇式型枠で
あるため、従来の内部と外部の型枠・足場の組払い作業
がなくなり、省力化と作業の迅速化が図られる。

【０００９】

【実施例】以下、この発明を図示する一実施例に基づい
て説明する。これは、山間部の道路橋における１００ｍ
を越える高橋脚に適用した例であり、図１，図２(a) は
その橋脚を示す縦断面図，横断面図、図３(a),(b) は総
ネジＰＣ鋼棒の継手とブロックを示す側面図，斜視図、
図４はスターラップを示す斜視図、図５(a),(b) はクラ
イミングフォームの一例を示す正面図, 側面図、図６は
施工手順を示す概略側面図である。

【００１０】図１，図２に示すように、橋脚本体１は横
断面中空であり、軸方向筋としての総ネジＰＣ鋼棒２
と、横方向筋としてのスターラップ３と、高強度コンク
リート４からなるＲＣ構造とする。

【００１１】総ネジＰＣ鋼棒２は、高強度鉄筋であり、
中空断面の外側および内側に所定のピッチで配設し、例
えばゲビンデスターブ（商品名）を使用した場合、従来
のＲＣ工法の鉄筋Ｄ５１に対して径を３６ｍｍと小径に
でき、また配設ピッチを大きくできる（図２参照）。さ
らに、この総ネジＰＣ鋼棒２に見合った圧縮強度σ＝６
００kgf/ｃｍ² 程度の高強度コンクリート４を採用する
ことにより、断面積を従来よりも小さくし、自重を軽減
することができる。

【００１２】総ネジＰＣ鋼棒２はプレハブ化して所定高
さの鋼材ブロックＡとし、建て込み後、これら鋼棒ブロ
ックどうしを図３(a) に示すカップラ６とナット７で接
続する。図３(b) に示すのは、プレハブ化した鋼棒ブロ
ックＡの一例であり、直方体形状の鋼材懸架用フレーム
８の４側面に総ネジ鋼棒２を配設し、ナット９で固定す
る。隣接する総ネジ鋼棒２は上面，下面からの突出長さ
を変えて接続が容易となるようにしている。

【００１３】また、スターラップ３も鉄筋ブロックＢと
し、例えば図４に示すように、接続コード１０によりブ
ラインド状に組み立て、伸縮可能とする。タワークレー
ン等で吊り込む際には、結束しておいて、鋼棒ブロック
Ａに建て込み後、結束を解いて吊り上げることにより展
開する。

【００１４】クライミングフォーム２０は、図５に示す
ように、既に打設された躯体に固定される内側支持架台
２１および外側支持架台２２と、これら支持架台上に躯
体に対して進退可能に取付けられる内型枠２３および外
型枠２４からなる。

【００１５】また、図２(a) に示すように、橋脚本体１
の横断面内には、仮設用埋設鉄骨２５を各辺に配設し、
また図１に示すように、上端の総ネジＰＣ鋼棒２より所
定の長さだけ突出するように、予め鋼棒ブロックＡおよ
び鉄筋ブロックＢに先行して配設しておく。なお、この
仮設用埋設鉄骨２５は軸方向荷重を負担しない部材であ
り、例えば橋脚本体１の横断面内における各辺に２本程
度配設する。

【００１６】上昇に際しては、このような仮設用埋設鉄
骨２５に内側支持架台２１および外側支持架台２２を支
持させ、昇降装置で自昇させる。この支持装置と昇降装
置は、例えば図１に示すように、仮設用埋設鉄骨の上端
に取付けた上部吊構台２６と、この上部吊構台２６から
垂下させた吊りワイヤロープ２７と、このワイヤロープ
２７を把持して支持架台２１，２２を上昇させるリフト
ジャッキ（センターホールジャッキ）２８から構成す
る。

【００１７】リフトジャッキ２８は支持架台２１，２２
上、あるいは上部吊構台２６上に設置し、吊りワイヤロ
ープ２７を把持固定することにより支持架台２１，２２
を支持した状態で、支持架台２１，２２を躯体から外
し、リフトジャッキ２８の把持装置を伸ばして吊りワイ
ヤロープ２７を掴み、リフトジャッキ２８を収縮させて
支持架台２１，２２を上昇させる。これを繰り返して支
持架台２１，２２を所定のストロークだけ上昇させる。

【００１８】なお、橋脚の横断面が軸方向に漸減するテ
ーパーが付いている場合には、それぞれ４辺から構成さ
れる内型枠２３および外型枠２４を矩形状に組み合わ
せ、各辺を内外方向に進退させることにより断面変化に
追随させる。型枠自体も幅が可変のものを使用し、ある
いは１ストローク上昇毎に幅の異なる型枠に変えるなど
して対応する。

【００１９】橋脚の軸方向に等断面のストレートの場合
には、調整の必要のない一体的なクライミングフォーム
を使用できることはいうまでもない。

【００２０】以上のような構成において、次のようにク
ライミングフォーム工法で橋脚の施工を行う（図６参
照）。

【００２１】(1) 基礎コンクリート３０に下端を固定し
た仮設用埋設鉄骨２５を所定の高さまで突設する。

【００２２】(2) 総足場３１によりベースの鋼棒ブロッ
クＡおよび鉄筋ブロックＢを組み立て、高強度コンクリ
ート４を打設して橋脚基部３２を構築する。

【００２３】(3) 仮設用鉄骨２５を所定高さまで継ぎ足
して固定した後、次の鋼棒ブロックＡを一般に使用され
るリフトアップ式のタワークレーン３３等を使用して橋
脚基部３２上に吊り込み、総ネジＰＣ鋼棒２どうしをカ
ップラ６とナット７で接続する。

【００２４】(4) タワークレーン３３で鉄筋ブロックＢ
を鋼棒ブロックＡに吊り込み、組付ける。

【００２５】(5) クライミングフォーム２０を既に打設
されている躯体に取付け、内型枠２３と外型枠２４との
間に高強度コンクリート４を打設する。鉄筋ブロック等
の組み立てやコンクリート打設の際には、内型枠２３お
よび外型枠２４に付属する足場を利用して行うことがで
きる。

【００２６】打設されたコンクリートの上部には仮設用
埋設鉄骨２５が先行して配設されており、コンクリート
養生後、クライミングフォーム２０を一工程分上昇させ
て躯体に固定し、このクライミングフォーム２０の上昇
固定、鋼棒ブロックＡ・鉄筋ブロックＢの組み立て、高
強度コンクリート５の打設を順次繰り返すことにより、
橋脚が所定の高さまで構築される。

【００２７】なお、以上は山間部の道路橋について説明
したが、これに限らずその他の橋梁の高橋脚にも本発明
を適用できることはいうまでもない。

【００２８】

【発明の効果】前述の通り、この発明は、ＲＣ構造に軸
方向筋としての総ネジＰＣ鋼棒と高強度コンクリートを
採用し、内外型枠に自昇式型枠を使用するようにしたた
め、次のような効果を奏する。

【００２９】(1) 軸方向鉄筋を総ネジＰＣ鋼棒に置き換
えるため、鉄筋に比べて数量を低減でき、またカップラ
とナットで簡単に継ぎ足すことができるため、省力化に
なるとともに、天候に左右されることなく施工が可能と
なる。

【００３０】(2) 高強度コンクリートを利用すること
で、総ネジＰＣ鋼棒の採用と相まって自重を軽減でき
る。

【００３１】(3) 自昇式型枠により内外型枠および内外
部足場の組立・解体がなくなり、省力化、迅速化を図る
ことができる。

【００３２】(4) 以上の総ネジＰＣ鋼棒・高強度コンク
リートの採用と自昇式型枠工法の組み合わせにより従来
のＲＣ橋脚の施工法に比べて高橋脚でも確実に省力化，
工期短縮，低コスト化を図れる。

【００３３】(5) 断続的に上昇する自昇式型枠工法を採
用するため、コンクリート表面の仕上がりはスリップフ
ォーム工法に比べて良好となる。

【００３４】(6) 橋脚本体の中間部にねじり補強のため
の中間隔壁が必要となった場合には、内外型枠をそのま
ま型枠支保工としても使用できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る高橋脚を示す縦断面図である。

【図２】橋脚の横断面図であり、(a) は本発明、(b) は
従来のＲＣ工法を示す。

【図３】(a) は総ネジＰＣ鋼棒の継手を示す側面図、
(b) は総ネジＰＣ鋼棒のブロック例を示す斜視図であ
る。

【図４】スターラップのブロック例を示す斜視図であ
る。

【図５】クライミングフォームを示す(a) は正面図、
(b) は側面図である。

【図６】この発明に係る橋脚施工方法の手順を示す概略
側面図である。

【符号の説明】

１…橋脚本体 ２…総ネジＰＣ鋼棒 ３…スターラップ ４…埋設内型枠 ５…高強度コンクリート Ａ…鋼材ブロック Ｂ…鉄筋ブロック ６…カップラ ７…ナット ８…鋼材懸架用フレーム ９…ナット １０…接続コード ２０…クライミングフォーム ２１…内側支持架台 ２２…外側支持架台 ２３…内型枠 ２４…外型枠 ２５…仮設用埋設鉄骨 ２６…上部吊構台 ２７…吊りワイヤロープ ２８…リフトジャッキ ３０…基礎コンクリート ３１…総足場 ３２…橋脚基部 ３３…タワークレーン

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須田 久美子 東京都調布市飛田給２丁目19番１号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 小関 喜久夫 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 山内 明夫 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 阿部 和之 東京都港区元赤坂１丁目２番７号 鹿島建 設株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 横断面中空の橋脚本体を、総ネジＰＣ鋼
   棒を軸方向筋とし、高強度コンクリートを用いたＲＣ構
   造としたことを特徴とする橋脚。
2. 【請求項２】 自昇式型枠のための仮設用埋設鉄骨を先
   行して設置した後、橋脚軸方向に沿う総ネジＰＣ鋼棒を
   有する鋼材ブロックを組み立て、この鋼材ブロックの内
   側と外側に自昇式型枠の内型枠と外型枠を設置し、内型
   枠と外型枠の間にコンクリートを打設し、鋼材ブロック
   の組立・自昇式型枠の上昇設置・コンクリートの打設を
   順次繰り返して橋脚を構築することを特徴とする自昇式
   型枠工法による橋脚施工方法。