JPH07228958A - 工業用純チタン板の製造方法 - Google Patents

工業用純チタン板の製造方法

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JPH07228958A
JPH07228958A JP1869994A JP1869994A JPH07228958A JP H07228958 A JPH07228958 A JP H07228958A JP 1869994 A JP1869994 A JP 1869994A JP 1869994 A JP1869994 A JP 1869994A JP H07228958 A JPH07228958 A JP H07228958A
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rolling
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Kazuhiro Takahashi
一浩 高橋
Hirobumi Yoshimura
博文 吉村
Kinichi Kimura
欽一 木村
Muraaki Nishida
祚章 西田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、従来より簡便な方法で、歩留良く
加熱および熱間圧延時に生じたスケールや表面の肌荒れ
や疵を除去し、美麗な表面を有し、かつプレス成形性に
優れた工業用純チタン板を製造する方法を提供する。 【構成】 炉内を窒素ガスもしくはアルゴンガスを主成
分とする不活性ガスで置換し酸素濃度を制御した電気加
熱炉で、熱間圧延用素材を700〜900℃に加熱し、
続いて熱間圧延して熱間圧延板とし、続いて該熱間圧延
板を450〜650℃で焼鈍し、続いて所定の強度のシ
ョットブラスト処理を施し、続いて片面の溶削量が20
μm以上となる条件で酸洗し、続いて冷間圧延と焼鈍を
行うことにより素材の酸化を抑制して熱間圧延時の表面
肌荒れや疵を低減することができ、更にショットブラス
ト処理で疵を改質して酸洗で表面肌荒れや疵が容易に除
去できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工業用純チタン板材の
製造に関して、スケールや表面の肌荒れや疵のない美麗
な表面を有し、かつプレス成形性に優れた板材を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタンは優れた耐食性および比強度を有
することから、近年、熱交換器や化学プラント部材や沿
岸部の構造材などに使用されている。このような純チタ
ン板材の製造方法は、通常、大気中で加熱して熱間圧延
(熱延)および焼鈍を行い、生成した表面のスケールを
除去して熱延製品とするか、あるいは該板材をさらに冷
間圧延(冷延)、焼鈍することにより冷延製品とする。
しかし、チタンは活性金属であり特に酸素との親和性が
強いため、高温において極めて酸化されやすく大気中で
の加熱や熱間圧延時(熱延時)に酸化やロールとの焼き
付きにより、板表面に肌荒れや疵が生じるという問題点
がある。
【0003】上記の加熱や熱延時の酸化を低減するた
め、例えば、木村貢らの塑性加工連合講演会(198
0)P419に記載のチタンを真空中で加熱圧延する方
法がある。しかし真空状態を確保することは、材料が大
きいほど困難であり、さらに加熱のみならず圧延のため
に真空状態を確保することは工業的に非常に困難であ
る。一方、加熱時においてガス加熱炉で炉内残留酸素濃
度を0%近くまで低減することが考えられる。しかしこ
れは燃焼排ガス中のH2 OやCO2 等により酸化して硬
化層を形成するという問題、また未燃焼ガス発生状態で
加熱すると水素がチタン材の内部に侵入し脆化して材質
特性を著しく劣化させるという問題があった。
【0004】また上記の表面肌荒れや疵を除去する方法
として、例えば特開昭60−249535号公報に記載
されているように、ベルトグラインダーで研削後、研掃
材を混入した高圧液体を投射し、次いで硝酸とフッ酸の
混合水溶液で酸洗する方法が知られている。しかし、こ
の方法では表面疵は除去できるものの、製造工程が複雑
になり、かつ加熱・熱延・焼鈍時の酸化や表面疵が激し
く歩留低下も大きいという問題点があった。さらに冷延
前に熱延・酸洗板の表面肌荒れや疵を研削によって完全
に除去する方法があるが、研削工程による歩留低下と製
造コスト増加が問題であった。
【0005】また上記熱延後は、焼鈍を省略するか、あ
るいは再結晶温度以上の温度で焼鈍をすることが行われ
ている。焼鈍を省略した場合、コイル状の熱延板をほど
いた時に巻き癖などによって作業性を悪くし、かつ熱延
板の平坦度も悪いという問題点があった。再結晶温度以
上で焼鈍した場合、素地が柔らかいため、その後のメカ
ニカルデスケール処理(例えば高圧研掃処理)時に、研
掃材などによる疵が新たに発生しかえって表面性状を悪
化させることがあった。
【0006】このように製造されたチタン冷延製品は、
プレート式熱交換器などの複雑な凹凸形状の製品等にプ
レス成形される場合が多い。このプレート式熱交換器は
伝熱効率向上が必要であり、近年、板厚の薄肉化や形状
の複雑化が進展し、よりプレス成形性の優れた材質が要
求されるようになった。しかしチタンは六方晶であるた
め異方性が強く、プレス成形した場合に割れが発生す
る。そのため、例えば、特開昭60−82227号公報
には、通常の圧延方向に対して直角に圧延して異方性を
低減する方法がある。しかし、この方法ではコイル状に
圧延した素材板を切断し再度圧延する必要があり極めて
効率が悪い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の複雑
で歩留が悪くまた非効率的な方法を行うことなく、工業
用純チタン材を電気加熱炉による雰囲気加熱−熱延−焼
鈍−ショットブラスト処理−酸洗−冷延−焼鈍という簡
便な工程で、歩留良く加熱および熱間圧延時に生じたス
ケールや表面の肌荒れや疵を除去し、美麗な表面を有し
かつプレス成形性に優れた工業用純チタン板を製造する
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明は、工業用純チタン板の製造において、熱間圧
延用素材を、炉内雰囲気を窒素ガスもしくはアルゴンガ
スを主成分とする不活性ガスで置換して雰囲気中の酸素
濃度yを(1)式を満足する範囲に調整した電気加熱炉
で700〜900℃に加熱し、続いて熱間圧延して熱間
圧延板とし、続いて該熱間圧延板を450〜650℃の
温度で焼鈍し、続いて(3)式で表されるショットブラ
スト係数Sが500〜1200となる条件でショットブ
ラスト処理を施し、続いて片面の溶削量が20μm以上
となる条件で酸洗し、続いて冷間圧延し、続いて焼鈍す
ることを特徴とする工業用純チタン板の製造方法であ
る。 酸素濃度 y(ppm)≦168.5x-1 ‥‥‥(1) 但し、xは純チタン中への酸素拡散距離を表す指標で、
下記(2)式で示される。 x=t0.5 ・exp {−5597/(T+273)}‥‥‥(2) t:700℃以上の在炉時間(分) T:加熱温度(℃) ショットブラスト係数 S=ρ×v2 /(3.6×106 ) ‥‥‥(3) 但し、ρ:投射密度(kg/m2 ) v:投射速度(m/分) ここで工業用純チタンとは、JIS1種、2種、3種に
相当する材料である。酸洗での溶削量とは、板の片面あ
たりの平均的な母材の溶削深さである。
【0009】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者ら
は、工業用純チタン板の製造方法に関する上記問題点を
解決すべく、チタン材の表面スケールや酸化硬化層の生
成を抑制する方法と、熱延時に発生したスケールや表面
の肌荒れや疵を効果的に除去する方法および冷延製品の
プレス成形性を向上する方法を種々検討した結果、以下
の(1)〜(5)を見いだした。 (1)工業用純チタン材を電気加熱炉で炉内雰囲気を窒
素ガスもしくはアルゴンガスを主成分とする不活性ガス
により置換し酸素濃度を抑制して加熱することにより酸
化スケールや硬化層の生成が減少し、熱延時の表面肌荒
れや疵が減少するとともにその深さも低減する。 (2)熱延板の焼鈍を残留歪みが除去される程度の比較
的低温で行うことにより、熱延時に生成した表面疵の内
部にあるスケールの緻密化が抑制され、その後ショット
ブラスト処理−酸洗で疵が除去され易くなる。またショ
ットブラスト処理による板表面の凹凸が小さく、酸洗後
の板表面性状が非常に美麗で、平坦度も良好になる。
【0010】(3)上記の比較的低温での焼鈍により、
材質的に「値が向上しプレス成形性が向上する。 (4)熱延・焼鈍板の表面疵に所定の条件でショットブ
ラスト処理を施すことにより、疵部のメタルの被さりが
変形し、内部スケールが改質され、その後の酸洗で疵が
溶削され易くなることによって、美麗な板表面が得られ
る。但し、ショットブラスト処理が強すぎると表面疵の
除去効果は大きくなるが、表面の凹凸が大きくなるとと
もに疵のない平滑表面に加工層が生じて酸洗後もこの加
工層が残存するため、冷延時あるいはプレス成形時の表
面割れ発生の原因となる。またショットブラスト処理が
弱すぎると上記の内部スケールの改質が十分達成され
ず、酸洗後も表面疵が残存したり、表面肌荒れが完全に
除去されない場合がある。 (5)(1)により表面肌荒れや疵が低減するものの、
ショットブラスト処理後の酸洗で溶削深さが不足する
と、疵周辺の酸化層あるいはショットブラストでの加工
層が残存し、冷延時あるいはプレス成形時に表面割れの
原因となる。
【0011】本発明においては、加熱炉内雰囲気を窒素
ガスもしくはアルゴンガスを主成分とする不活性ガスに
より置換し炉内酸素を所定量以下にし、その雰囲気で工
業用純チタン材を所定の温度まで加熱するため、加熱炉
としては雰囲気が制御しやすい電気加熱炉が望ましく、
電磁誘導炉、抵抗発熱炉、直接通電炉等を適宜的に使い
分ければよい。窒素ガスもしくはアルゴンガスを主成分
とする不活性ガスの純度は、通常工業的に多用されてい
る99.99%で十分である。
【0012】このような窒素ガスやアルゴンガスなどを
主体とする不活性ガスで炉内雰囲気を置換しても、ガス
中に不純物として含まれる酸素や、炉のシール部から侵
入する空気を皆無にするのは極めて困難なため、上記
(1)式に従って炉内の酸素濃度を制御することによ
り、加熱時に生成するスケールや酸化硬化層の厚みを薄
くすることができる。
【0013】工業用純チタン材の加熱温度は、700℃
未満の場合、素材を加工するための変形抵抗が大きく圧
延負荷が大きくなるため、そのための圧延機能力を備え
る必要があり困難である。また900℃を超える場合、
温度がβ変態点以上あるいは近傍であるため酸素の拡散
が非常に速く、雰囲気制御した炉内での酸化、特に大気
中での熱延時のスケールや酸化硬化層の生成が起きやす
いため表面肌荒れや疵が激しくなる。したがって加熱温
度の範囲を700〜900℃とした。望ましくは800
〜890℃の範囲である。
【0014】(1)式は、(2)式で示す純チタン中へ
の酸素拡散距離を表す指標と本発明範囲の炉内酸素濃度
との関係を表す式である。ここで(2)式は、純チタン
中への酸素の拡散を考慮しその拡散距離を表す指標x
と、被加熱材が700℃以上になってからの在炉時間
t、最終的に到達する加熱温度Tの関係式になってい
る。ここで在炉時間tは、700℃未満では酸素の拡散
が遅く酸化硬化層の生成が極めて少ないため、700℃
以上の時間とした。また700℃以上での在炉時間は、
作業能率や酸化硬化層の形成を考慮し、30〜60分程
度が望ましい。また図1は、上記(1)式を図示したグ
ラフであり、この図から判るように(1)式の範囲内
で、上記tとTより求まる純チタン中への酸素拡散距離
を表す指標xに応じ加熱炉内の酸素濃度を抑制すると加
熱時に生成されるスケールや酸化硬化層が減少し、熱延
後に本発明の範囲内の焼鈍−ショットブラスト処理−酸
洗を行うことにより、美麗な表面を有しかつプレス成形
性に優れた工業用純チタン板が製造できる。(1)式の
範囲外では、加熱時に生成されるスケールや酸化硬化層
が厚くなりこれらが熱延による表面の肌荒れや疵を発生
し易くするとともに、肌荒れや疵の程度も助長するた
め、ショットブラスト処理−酸洗では完全に除去されな
い。
【0015】熱延板の焼鈍温度は、450℃未満の場
合、熱延での表面疵の内部スケール生成は抑制され、か
つ冷延製品のプレス成形性は向上するものの、熱延板の
圧延方向に直角な方法での曲がり(コイルを展開したと
きに板幅方向に反りが生じる。以下C反りと称す)が残
留し、その後の取扱い作業性が悪い。650℃を超える
場合、熱延時の表面疵内部に緻密なスケールが生成し、
その後のショットブラスト処理−酸洗で表面疵が除去さ
れ難くなるとともに、板の表面硬度が低いためショット
ブラストによる凹凸が残存したり、製品のプレス成形性
向上の効果が失われたりする。したがって熱延板の焼鈍
温度を450〜650℃の範囲とした。望ましくは50
0〜630℃の範囲である。この温度範囲での保持時間
は特に限定しないが、板のC反りを解消するため30秒
以上が望ましい。
【0016】ショットブラスト処理条件は、(3)式で
表される係数Sが500未満の場合、熱延板の表面肌荒
れや疵を十分に除去することができない。係数Sが12
00を超える場合、表面肌荒れや疵の除去効果は大きく
なるものの、ショットブラストにより板表面の凹凸が激
しくなるとともに、板の平滑表面部に加工層が生じ酸洗
後のこの加工層が残存するため冷延あるいはプレス成形
時に表面割れが発生する。したがって、ショットブラス
ト係数Sの範囲を500〜1200とした。ここで
(3)式の投射密度ρ、投射速度vについては特に限定
せず、係数Sが上記範囲を満たすように定めればよい。
但し、工業的に実施可能な範囲として、投射密度ρは1
50〜350kg/mm2 程度、投射速度vは2000〜4
000m/分程度が望ましい。
【0017】酸洗溶削量は、20μm未満では熱延時の
表面肌荒れや疵は除去されるものの、表面疵周囲の酸化
硬化層あるいはショットブラストでの加工層が残存し、
その後の冷延あるいはプレス成形時に表面割れが発生す
る。したがって酸洗溶削量は20μm以上とした。望ま
しい条件は、溶削量25〜35μmである。その他の酸
洗条件は特に限定するものではなく、一般的に工業用純
チタン板の脱スケールに適用されている硝酸とフッ酸の
混合水溶液や硫酸などを使用し酸洗を行えばよい。酸洗
後の冷延、焼鈍条件については特に限定するものではな
く、一般的にチタン板製造に適用されている条件でよ
い。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳しく
説明する。表1の試験番号1〜27は、60Hz、120
kWの電磁誘導炉を用い、炉内を純度99.99%の窒素
ガスを主成分とする不活性ガスで置換して、工業用純チ
タンJIS1種相当の材料(厚さ120mm×幅200mm
×長さ250mm)を、表1に示した各々の炉内酸素濃度
(ppm)、700℃以上の在炉時間t(分)、最終的に到
達する加熱温度T(℃)で加熱して、大気中で熱間圧延
を行い厚さ3.0mmの熱延板にした場合である。また表
1の試験番号28は、上記と同じ材質・形状の材料をガ
ス加熱により、表1に示す条件で加熱して大気中で熱間
圧延を行い厚さ3.0mmの熱延板にした場合である。こ
こで以上いずれの試験材も圧延終了温度は、550〜6
00℃程度であった。
【0019】続いて試験番号1〜28を、種々の温度で
大気中2分保持の焼鈍を行った後、種々の条件(ショッ
トブラスト係数S)でショットブラスト処理して硝酸と
フッ酸の混合水溶液で酸洗した。さらに該酸洗板を板厚
0.5mmまで冷延後アルゴンガス雰囲気中で630℃で
5時間焼鈍した。
【0020】試験番号1〜28について、上記製造条件
と酸洗板の評価として表面疵残存率、表面粗さ、平坦度
そして冷延・焼鈍板の評価として表面性状およびプレス
成形性の評価としてエリクセン値(JISのB法)を表
1に示す。また以上の表面とプレス成形性の評価から各
々の試験材の総合評価(○:良好、×:不良)も表1に
示す。また図1に、表1の総合評価と加熱条件の関係を
示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表1、図1より、700〜900℃の範囲
内である720、800、850、880℃で加熱する
際に、電磁誘導炉で炉内雰囲気を窒素ガスを主体とする
不活性ガスで置換し炉内酸素濃度が所定量以下であり、
熱延後450〜650℃で大気焼鈍後、ショットブラス
ト係数Sが500〜1200の範囲でショットブラスト
処理して20μm以上酸洗溶削した試験番号1〜14
は、酸洗板の表面と冷延・焼鈍板の表面およびエリクセ
ン値いずれも良好である。これは加熱時の炉内雰囲気と
酸素濃度を制御してスケールや酸化硬化層の発生を抑制
することにより、熱延時に発生する表面肌荒れや疵を低
減して、さらに熱延後の焼鈍温度を比較的低くすること
により、表面疵の内部スケールの緻密化を防ぎその後の
ショットブラスト処理−酸洗で表面疵を除去されやすく
したため、表面の肌荒れや疵が除去され、美麗な表面を
有しかプレス成形性に優れた板が得られた結果である。
【0024】一方、試験番号27は、酸素濃度を制御し
て500ppm と低くしても加熱温度が920℃と高いた
め、スケールや酸化硬化層が発生しやすいとともに、大
気中での熱延で表面疵が著しく、比較的大きな表面肌荒
れや疵が多く発生したことにより、その後のショットブ
ラスト処理−酸洗で疵が除去できなかった。試験番号2
1〜26は、電磁誘導炉内の酸素濃度が所定量以上であ
ったため、加熱時に比較的酸化しやすく熱延で表面の肌
荒れや疵が著しく発生したことにより、その後のショッ
トブラスト処理−酸洗で疵は除去されたものの疵周囲の
酸化硬化層が残存した結果、冷延で微小割れが発生し
た。
【0025】試験番号28は、ガス加熱炉を使用したた
め燃焼ガス成分の影響で、加熱時の酸化が激しく厚い酸
化硬化層が形成されたため、熱延で表面の肌荒れや疵が
著しく発生したことにより、その後のショットブラスト
処理−酸洗で疵が除去できなかった結果である。
【0026】試験番号15は、焼鈍温度が400℃と低
いため熱延板の歪みや曲がりが残存し、酸洗板、冷延・
焼鈍板の形状が非常に悪い。試験番号16は、焼鈍温度
が700℃と高いため、焼鈍時に表面疵の内部スケール
が緻密になり、その後のショットブラスト処理−酸洗で
疵が除去され難いとともに、材質が軟化したたため冷延
・焼鈍後もショットブラスト処理の凹凸が残存し表面性
状が悪い。
【0027】試験番号17は、ショットブラスト係数が
1284と高いため、ショットブラスト処理での加工層
が厚くその後の酸洗で除去されなかった結果、冷延時に
微小割れが発生した。試験番号18は、ショットブラス
ト係数が429と低いため、ショットブラスト処理で表
面疵が十分に改質されなかった結果、その後の酸洗で表
面疵が完全に除去されず冷延後も疵が残存した。
【0028】試験番号19は、酸洗溶削量が15μmと
少ないため、表面疵周囲の酸化硬化層やショットブラス
ト処理の加工層が残存していた結果、その後の冷延で微
小割れが発生した。試験番号20は、酸洗溶削量が10
μmと少ないため、冷延後の表面疵が残存した。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明を適用するこ
とにより、従来の複雑で歩留が悪くまた不効率的な方法
を行うことなく、工業用純チタン材を電気加熱炉による
雰囲気加熱−熱延−焼鈍−ショットブラスト処理−酸洗
−冷延−焼鈍という簡便な工程で歩留良く加熱・熱間圧
延時に生じたスケールや表面の肌荒れや疵を除去し、美
麗な表面を有しかつプレス成形性に優れた工業用純チタ
ン板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)式と表1の試験番号1〜6、22〜27
の総合評価(○:良好、×:不良)を図示した図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 祚章 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工業用純チタン板の製造において、熱間
    圧延用素材を、炉内雰囲気を窒素ガスもしくはアルゴン
    ガスを主成分とする不活性ガスで置換して雰囲気中の酸
    素濃度yを(1)式を満足する範囲に調整した電気加熱
    炉で700〜900℃に加熱し、続いて熱間圧延して熱
    間圧延板とし、続いて該熱間圧延板を450〜650℃
    の温度で焼鈍し、続いて(3)式で表されるショットブ
    ラスト係数Sが500〜1200となる条件でショット
    ブラスト処理を施し、続いて片面の溶削量が20μm以
    上となる条件で酸洗し、さらに冷間圧延した後焼鈍する
    ことを特徴とする工業用純チタン板の製造方法。 酸素濃度 y(ppm)≦168.5x-1 ‥‥‥(1) 但し、xは純チタン中への酸素拡散距離を表す指標で、
    下記(2)式で示される。 x=t0.5 ・exp {−5597/(T+273)}‥‥‥(2) t:700℃以上の在炉時間(分) T:加熱温度(℃) ショットブラスト係数 S=ρ×v2 /(3.6×106 ) ‥‥‥(3) 但し、ρ:投射密度(kg/m2 ) v:投射速度(m/分)
JP1869994A 1994-02-15 1994-02-15 工業用純チタン板の製造方法 Withdrawn JPH07228958A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105887133A (zh) * 2016-06-28 2016-08-24 湖南新发科技有限责任公司 一种电解二氧化锰生产用高变形抗力钛阳极的制备方法
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CN108411232A (zh) * 2018-04-24 2018-08-17 西北工业大学 一种tc4合金表面处理方法

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