JPH07223822A - 針状α−酸化第二鉄及びその製造方法 - Google Patents

針状α−酸化第二鉄及びその製造方法

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JPH07223822A
JPH07223822A JP6017586A JP1758694A JPH07223822A JP H07223822 A JPH07223822 A JP H07223822A JP 6017586 A JP6017586 A JP 6017586A JP 1758694 A JP1758694 A JP 1758694A JP H07223822 A JPH07223822 A JP H07223822A
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ferric
acicular
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ferric oxide
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JP6017586A
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Yoshiki Fukatsu
良樹 深津
Shinji Nakahara
慎治 中原
Tatsuya Hida
達也 日田
Yoichi Yamada
洋一 山田
Mizuho Wada
瑞穂 和田
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Sakai Chemical Industry Co Ltd
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Sakai Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】粒度分布及び針状比を改善してなる湿式法によ
る針状α−酸化第二鉄及びその製造方法を提供すること
にある。 【要約】 本発明による針状α−酸化第二鉄は、(104)面に垂
直方向の結晶子径D10 4 と(110)面に垂直方向の結
晶子径D110 の比D104 /D110 が1〜2であり、平均
針状比が10〜15であり、更に、比表面積が20〜4
0m2/gであることを特徴とする。また、このような本
発明による針状α−酸化第二鉄は、第二鉄塩水溶液にア
ルカリ水溶液を、中和液の温度を30℃以下に保ちなが
ら、pHが7〜10になるまで添加して、水酸化第二鉄
の懸濁液を得、これを濾過、水洗後、再懸濁して、得ら
れた再懸濁液中のSiO2 量を60ppm以下とし、且
つ、原料の第二鉄塩に由来するアニオン量を2000p
pm以下とした後、この水酸化第二鉄の懸濁液を40〜
100℃にて熟成し、次いで、この懸濁液に結晶化制御
剤を加えて、水熱反応を行なうことによつて得ることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空孔を有せず、針状
比、粒度分布及び独立性(粒子が凝縮していない状態)
にすぐれた針状α−酸化第二鉄及びその製造法に関し、
このような針状α−酸化第二鉄は、磁気記録用磁性酸化
鉄の原料として好適に用いられるものである。また、特
異な結晶成長方向を示すことから、透明性赤色顔料やフ
ェライト用原料としても有用である。
【0002】
【従来の技術】磁気記録用磁性酸化鉄に対する基本的な
要求特性としては、以下に示す4点が挙げられる。第1
に、空孔を有せず、実質的に高密度であることである。
粒子中に空孔が存在すると、その空孔周辺に磁極の発生
を招来し、自発磁化が部分的に乱れて、磁気特性に悪影
響を及ぼす。第2に、粒子の長軸径(l)と短軸径
(d)の比、即ち、針状比(l/d)が大きいことであ
る。針状比が大きくなると、磁性粒子内部に生じる反磁
界が小さくなり、保磁力が大きい値となる。第3に、粒
度分布が狭いことである。粒度分布が広いと、磁気テー
プの重要な特性の一つである反転磁界分布(n−SF
D)に悪影響を及ぼす。第4に、磁気記録媒体に高密度
記録が要求される場合は、粒子の微細化が必要となる。
【0003】以上のように、空孔を有せず、針状比が大
きく、粒度分布にすぐれ、且つ、微細であることは、磁
気記録用磁性酸化鉄においては、最も重要で、且つ、基
本的な要求特性であり、原料となる針状α−酸化第二鉄
においても、必要不可欠な要件となる。
【0004】一般に、針状α−酸化第二鉄は、含水酸化
第二鉄(α−FeOOH)を加熱脱水し、その針状性を
維持しつつ、結晶変態を生じさせる所謂トポタクテイッ
ク反応によつて製造されることが多い。この製造方法に
よれば、含水酸化第二鉄1モル当たり0.5モルの水分子
が結晶から失われ、その際に生じる脱水孔がそのまま
か、若しくは集合した状態で空孔として結晶内部に残
り、その割合は約30容積%であるといわれている。こ
のような多孔性の針状α−酸化第二鉄を磁気記録用磁性
酸化鉄の原料として用いた場合は、得られる針状γ−酸
化第二鉄中にも同様に空孔が残存し、低出力の磁気記録
媒体しか得られないという欠点がある。
【0005】そこで、このような空孔を少なくすべく、
従来、種々の方法が提案されているが、理論的に脱水孔
がなくなることはなく、仮に、高温焼成することによつ
て、空孔が少なくなったとしても、粒子が焼結して融着
し、分散性が低下する等の2次的な欠点を生じる。
【0006】他方、上述したような問題を根本的に解決
するために、α−FeOOHを経ることなく、湿式で直
接に針状α−酸化第二鉄を製造する方法も開発されてい
る。その方法によれば、独立性にすぐれ、且つ、空孔を
有しない針状α−酸化第二鉄を得ることができ、この針
状α−酸化第二鉄を原料として得られる針状γ−酸化第
二鉄もまた、空孔を有せず、実質的に高密度であり、磁
気特性にすぐれたものになる。
【0007】例えば、特公昭55−22416号公報に
は、水酸化第二鉄、クエン酸及び/又はその塩、アルカ
リ化合物の3成分が共存する水性スラリーをアルカリ性
領域で100〜250℃で加熱処理する方法が開示され
ており、その方法によれば、長軸径0.5μ、針状比7の
粒子が得られるとされている。特公昭55−4694号
公報には、少なくとも一種の有機ホスホン酸化合物の存
在下、水酸化第二鉄の沈殿の水性懸濁液をアルカリ性p
H領域において、加熱処理する方法が開示されており、
その方法によれば、長軸5μ、短軸0.3μの粒子が得ら
れるとされている。この粒子は、針状比約17を有する
が、粒子径が大きく、その比表面積は10m2 /gにも
達しない。
【0008】本発明者らの研究によれば、上記2つの従
来の技術文献に開示された方法を用いれば、40m2
gまでの比表面積を有する粒子を得ることは可能である
が、そのような粒子は、針状比及び粒度分布が悪く、磁
気記録用磁性酸化鉄の原料としては好ましくない。
【0009】特開昭62−216919号公報には、少
なくとも鉄(III)イオンと錯塩を形成する有機化合物の
存在下に、水酸化鉄(III)のアルカリ性水性懸濁液を8
0〜250℃の温度に加熱することによつて、針状α−
Fe2 3 を製造する方法において、スズ(IV)イオン
で変性した水酸化鉄(III)を用いる方法が開示されてい
る。その方法によれば、長軸径0.3μ、針状比10.0、
比表面積33.0m2 /gの粒子が得られるとされてい
る。特開平1−270520号公報には、特開昭62−
216919号公報とほぼ同様の内容であるが、水洗を
行なわない利点を有する方法が開示されている。この技
術文献には、得られる粒子の長軸径及び針状比について
の記載はないが、比表面積36.9m2 /gの粒子が得ら
れるとされている。
【0010】また、特開昭63−50326号公報に
は、水酸化第二鉄の水性懸濁液を4価の金属化合物単独
か、又は4価の金属化合物とリン化合物及び/又はオキ
シカルボン酸化合物との存在下で、アルカリ性pH領域
において加熱処理する方法が開示されており、この方法
によれば,長軸径0.4μ、針状比7、比表面積24.5m
2 /gの粒子が得られるとされている。更に、特開昭6
3−162535号公報には、β−FeOOHを含むp
H7以下の水性懸濁液にリン化合物を添加した後、10
0〜130℃の範囲の温度で水熱処理する方法が開示さ
れている。この方法によれば、長軸径0.8μの粒子が得
られるとされており、その技術文献に記載されている粒
子の写真から判断すれば、針状比は6〜8程度である。
【0011】以上のように、従来、種々の方法が提案さ
れているものの、湿式法によつて直接に針状のα−酸化
第二鉄を得る方法において、針状比が10以上で、且
つ、比表面積が20〜40m2 /gであり、しかも、実
質的に空孔を有しない針状α−酸化第二鉄は、未だ知ら
れていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、湿
式法によつて直接に針状のα−酸化第二鉄を得る方法に
おいて、粒度分布及び針状比の改善を実現して、実質的
に空孔を有しない微細な針状α−酸化第二鉄と、そのよ
うな針状α−酸化第二鉄を製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明による針状α−酸
化第二鉄は、(104)面に垂直方向の結晶子径D10 4
と(110)面に垂直方向の結晶子径D110 の比D104
/D110 が1〜2であり、平均針状比が10〜15であ
り、更に、比表面積が20〜40m2/gであることを特
徴とする。
【0014】本明細書において、(104)面は、
【0015】
【数1】
【0016】と同義であり、(110)面は、
【0017】
【数2】
【0018】と同義であり、結晶子径D104 は、
【0019】
【数3】
【0020】と同義であり、結晶子径D110 は、
【0021】
【数4】
【0022】と同義である。
【0023】本発明による針状α−酸化第二鉄の製造方
法は、第二鉄塩水溶液にアルカリ水溶液を、中和液の温
度を30℃以下に保ちながら、pHが7〜10になるま
で添加して、水酸化第二鉄の懸濁液を得、これを濾過、
水洗後、再懸濁して、得られた再懸濁液中のSiO2
を60ppm以下とし、且つ、原料第二鉄塩に由来する
アニオン量を2000ppm以下とした後、この水酸化
第二鉄の懸濁液を40〜100℃にて熟成し、次いで、
この懸濁液に結晶化制御剤を加えて、水熱反応を行なう
ことを特徴とする。
【0024】以下に、本発明による針状α−酸化第二鉄
の製造方法について詳細に説明する。本発明の方法によ
れば、先ず、第二鉄塩水溶液にアルカリ水溶液を添加し
て、無定形水酸化第二鉄の懸濁液を得る。この際、中和
温度は30℃以下であり、しかも、中和後の懸濁液のp
Hが7〜10の範囲にあることが必要である。中和温度
が30℃を越えるときは、得られる針状α−酸化第二鉄
の粒度分布に悪影響を与え、また、懸濁液のpHが上記
範囲をはずれるときは、得られる針状α−酸化第二鉄の
針状比及び粒度分布に悪影響を与える。
【0025】本発明において用いる上記第二鉄塩として
は、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄等を挙げるこ
とができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、アンモニア等を挙げることができる。得ら
れる水酸化第二鉄懸濁液の濃度は、攪拌が困難でない程
度でよく、通常1.0モル/リットル以下であり、好まし
くは、0.05〜0.3モル/リットルの範囲である。
【0026】次いで、本発明の方法によれば、中和反応
によつて副生した塩類を除去するために、水酸化第二鉄
の懸濁液の濾過及びリパルプ水洗を行なう。この際、水
洗後の水酸化第二鉄懸濁液中に含まれるSiO2 量が6
0ppm以下、好ましくは、40ppm以下であり、且
つ、原料第二鉄塩に由来するアニオン量が2000pp
m以下、好ましくは、1500ppm以下となるよう
に、水洗水中のSiO2濃度を調整し、更に、水洗水量
をも適宜に調整することが必要である。
【0027】本発明による針状比及び粒度分布にすぐれ
る針状α−酸化第二鉄を得るためには、熟成前の水酸化
第二鉄懸濁液中のSiO2 量及び原料第二鉄塩に由来す
るアニオン量について、両者共に上記条件を満たすこと
が必要である。いずれか一方の条件を満たしたのみで
は、目的とする針状α−酸化第二鉄を得ることができな
い。残存アニオン量が多いときは、主として、針状比が
低下し、SiO2 量が多いときは、主として粒度分布に
悪影響を及ぼす。
【0028】本発明の方法によれば、このような水洗の
後に、均一な核を生成させることを目的として、水酸化
第二鉄懸濁液を熟成する。この際、水酸化第二鉄の濃度
は0.1〜1.0 モル/リットルの範囲が好ましい。熟成
は、水酸化第二鉄懸濁液のpHを7〜8に調整した後、
40℃〜100℃の温度で2〜4時間程度行なうのが好
ましい。この熟成の温度が40℃よりも低いときは、熟
成効果を十分に得ることができない。また、熟成の時間
が2時間よりも短いときも、熟成の効果に乏しい。しか
し、4時間を上回るときは、粒度分布が悪くなる。
【0029】本発明の方法によれば、次いで、かかる熟
成後の水酸化第二鉄懸濁液に結晶化制御剤を添加する。
結晶化制御剤は、鉄に対する配位能を有し、生成するα
−酸化第二鉄の結晶成長方向と速度を制御して、針状粒
子を得るために用いる。かかる結晶化制御剤は、既に知
られている。具体的には、特公昭60−29646号公
報に記載されているように、ポリカルボン酸、ヒドロキ
シカルボン酸、アミノカルボン酸、ポリアミン、有機ホ
スホン酸、チオカルボン酸、多価アルコール、β−ジカ
ルボニル化合物、芳香族スルホン酸等が用いられ、これ
らの水溶液の塩やエステルも、鉄に対して配位能を有す
る限りは、結晶化制御剤として用いることができる。
【0030】本発明においては、これらのうち、特に好
ましいものとして、例えば、クエン酸、酒石酸、アミノ
トリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミノテトラ
(メチレンホスホン酸)、エチレン−1,1'−ジホスホン
酸等を挙げることができる。
【0031】本発明において、結晶化制御剤の使用量
は、水熟反応において、α−酸化第二鉄の結晶成長方向
と速度を制御するのに足る量であれば、特に制限されな
いが、通常、水酸化第二鉄1モルに対して、1×10-5
〜1×10-1モル、好ましくは、1×10-4〜1×10
-2モルの範囲である。結晶化制御剤の使用量が少なすぎ
るときは、針状比にすぐれるα−酸化第二鉄を得ること
が困難であり、他方、過多に用いるときは、反応に長時
間を要するので好ましくない。
【0032】本発明の方法によれば、最終の工程とし
て、上述したように処理した水酸化第二鉄の懸濁液に水
熟反応を行なう。この水熟反応は、懸濁液にアルカリを
加えて、そのpHを9〜11の範囲とし、これを100
℃以上の温度に加熱することによって行なう。ここに、
用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、アンモニア等を挙げることができる。
【0033】水熱反応における反応温度は、上述したよ
うに、100℃以上であつて、その上限温度は、用いる
結晶化制御剤の熱分解しない温度であり、反応時間は、
通常、数十分から数時間である。反応温度が100℃よ
りも低いときは、十字形やT字形の粒子や、或いはα−
FeOOHの生成が認められ、独立性にすぐれた針状α
−酸化第二鉄を得ることが困難である。反応温度は、通
常、100〜250℃の範囲であり、好ましくは、13
0〜200℃の範囲である。反応終了後、冷却し、常法
にて、濾過、水洗、乾燥することによつて、本発明によ
る針状α−酸化第二鉄を得ることができる。
【0034】このようにして得られる本発明による針状
α−酸化第二鉄は、その内部に有する結晶子において、
α−FeOOHを加熱脱水して得られる針状α−酸化第
二鉄とは、異なつた様態を有する。前者と後者につい
て、それぞれ(104)面に垂直方向の結晶子径D104
と(110)面に垂直方向の結晶子径D110 の比(D10
4 /D110 )をとると、前者はD104 /D110 =1〜2
であるのに対し、後者はD104 /D110 =0.5〜0.9で
ある。このことは、本発明による針状α−酸化第二鉄の
結晶子は、C軸方向によく成長していることを示してお
り、粒子の長軸方向は〔001〕方向と考えられる。
【0035】本発明による針状α−酸化第二鉄を公知の
方法によつて針状γ−酸化第二鉄に変態させた場合、そ
の長軸方向は〔111〕方向になると考えられ、γ−酸
化第二鉄の結晶磁気異方性による磁化容易方向と一致す
ることになり、α−FeOOHから得られる針状γ−酸
化第二鉄の長軸方向が〔110〕方向であることと比較
して、保磁力の点で有利である。
【0036】また、本発明の製造方法によつて得られる
針状α−酸化第二鉄は、粒度分布にすぐれており、公知
の方法を用いて針状γ−酸化第二鉄に変態させ、磁気テ
ープを作成した場合に、その反転磁界分布(n−SF
D)が小さい値となる。更に、製造条件の調整によつ
て、その針状比が10〜15という従来にない大きさを
有する針状α−酸化第二鉄を得ることができ、針状γ−
酸化第二鉄に変態させた際の保磁力の発現に有利であ
る。
【0037】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて説明す
る。尚、懸濁液中の塩素イオン量は、硝酸銀を用いた滴
定法によつて求め、また、SiO2 量はモリブデンブル
ーによる吸光光度法により求めた。得られた針状α−酸
化第二鉄については、比表面積、平均針状比、D104
110 及びD104 /D110 を求めた。比表面積はBET
法で測定し、針状比は、電子顕微鏡写真から50個の粒
子の針状比を求めて平均した。結晶子径は、X線回折装
置(理学電機製)を用い、得られたプロファイルから半
価幅を求め、シェラーの式に代入して算出した。尚、線
源としてはCuKα線を用い、フィルターとしてNiを
使用した。
【0038】更に、得られた針状α−酸化第二鉄を公知
の方法で還元、酸化し、針状γ−酸化第二鉄を得、これ
を用いて磁気テープを作成した。針状γ−酸化第二鉄に
ついては、保持力と飽和磁化量を測定し、磁気テープに
ついては、反転磁界分布をVSMを用いて測定した。磁
気テープの製造条件は以下のとおりである。即ち、針状
γ−酸化第二鉄粉末100重量部をニトロセルロース5
重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂2.5重量
部、ウレタン樹脂17.5重量部及び溶剤253重量部か
らなる樹脂溶液に混合し、分散させて、磁性塗料を作成
した。この磁性塗料をポリエステルフィルム上に塗布
し、磁場配向をかけ、乾燥させて、約5μmの塗膜(磁
性層)を有する磁気テープを得た。
【0039】実施例1〜4及び比較例1、2 塩化第二鉄結晶をイオン交換水(SiO2 量0.1pp
m)に溶解し、鉄濃度12.7g/リットルの水溶液を調
製した。別に、水酸化ナトリウムをイオン交換水に溶解
し、濃度200g/リットルの水酸化ナトリウム水溶液
を調製した。塩化第二鉄水溶液4.4リットルを攪拌しな
がら、水酸化ナトリウム水溶液をpHが8.5になるまで
徐々に添加し、赤褐色の水酸化第二鉄の懸濁液を得た。
中和中のスラリーの温度は10℃に保持した。このよう
にして得られた水酸化第二鉄の懸濁液について、濾過、
リパルブ水洗及び濾過を繰り返した後、得られたケーキ
から、水酸化第二鉄を鉄として16.7g採取し、イオン
交換水中に分散させて、懸濁液0.5リットルを得た。こ
の懸濁液のpHを7.5にし、70℃に昇温後、3時間攪
拌して、熟成した。
【0040】この熟成を施した懸濁液にアミノトリ(メ
チレンホスホン酸)0.63gを添加し、pHを10.0に
調整した後、密閉容器に仕込み、攪拌しながら、150
℃に昇温し、90分間攪拌して、水熟反応を行つた。反
応終了後、冷却し、常法にて、濾過、水洗、乾燥し、針
状α−酸化第二鉄を得た。これとは別に、使用水のSi
2 濃度及び水洗の程度を変えて、塩素イオン濃度及び
SiO2 濃度の異なる5つの懸濁液各0.5リットルを調
製し、上記と同様にして、針状α−酸化第二鉄を得た。
結果を表1に示す。
【0041】実施例5、6及び比較例3 熟成温度を50℃、85℃、20℃とした以外は、実施
例1と同様の操作を行つて、3種の針状α−酸化第二鉄
を得た。結果を表2に示す。
【0042】実施例7、8及び比較例4 中和温度を5℃、20℃、50℃にした以外は、実施例
1と同様の操作を行つて、3種の針状α−酸化第二鉄を
得た。結果を表3に示す。
【0043】比較例5 硫酸第一鉄とアルカリを用いて水酸化第一鉄の懸濁液を
調製し、これに空気を吹き込んで、針状α−FeOOH
を製造し、更に、これを650℃で1時間加熱脱水し
て、針状α−酸化第二鉄を得た。この針状α−酸化第二
鉄の比表面積は38.0m2 /g、針状比は11、D104
は160オングストローム、D110 は254オングスト
ローム、D104 /D110は0.63であつた。針状γ−酸
化第二鉄の保磁力は392(Oe)、飽和磁化量は69.
5(emu/g)であり、磁気テープの反転磁界分布は
0.40であつた。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】本発明の方法による針状α−酸化第二鉄
は、空孔を有せず、独立性にすぐれ、特に、粒度分布に
すぐれているので、これを原料として得られる針状γ−
酸化第二鉄を用いれば、反転磁界分布(n−SFD)の
小さい磁気テープを得ることができる。更に、製造条件
を調整することによつて、針状比にすぐれる針状α−酸
化第二鉄を得ることができ、磁気記録用針状γ−酸化第
二鉄の原料として好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 洋一 福島県いわき市泉町下川字田宿110 堺化 学工業株式会社小名浜事業所内 (72)発明者 和田 瑞穂 福島県いわき市泉町下川字田宿110 堺化 学工業株式会社小名浜事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(104)面に垂直方向の結晶子径D104
    と(110)面に垂直方向の結晶子径D110 の比D104
    /D110 が1〜2であり、平均針状比が10〜15であ
    り、更に、比表面積が20〜40m2/gであることを特
    徴とする針状α−酸化第二鉄。
  2. 【請求項2】第二鉄塩水溶液にアルカリ水溶液を、中和
    液の温度を30℃以下に保ちながら、pHが7〜10に
    なるまで添加して、水酸化第二鉄の懸濁液を得、これを
    濾過、水洗後、再懸濁して、得られた再懸濁液中のSi
    2 量を60ppm以下とし、且つ、原料第二鉄塩に由
    来するアニオン量を2000ppm以下とした後、この
    水酸化第二鉄の懸濁液を40〜100℃にて熟成し、次
    いで、この懸濁液に結晶化制御剤を加えて、水熱反応を
    行なうことを特徴とする針状α−酸化第二鉄の製造方
    法。
JP6017586A 1993-12-30 1994-02-14 針状α−酸化第二鉄及びその製造方法 Pending JPH07223822A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006182604A (ja) * 2004-12-28 2006-07-13 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 金属酸化物ゾルの製造方法および金属酸化物ゾル
KR100906421B1 (ko) * 2007-09-06 2009-07-09 경북대학교 산학협력단 분리막의 성능 향상을 위한 산화철 입자 제조방법 및 이로부터 얻어진 산화철 입자를 이용한 고효율 수처리 방법

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