JPH0720447U - ボールねじを具備した駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボールねじを具備した駆動装置であって小型
化を達成した装置を提供すること。 【構成】 ねじ軸３に外嵌したナット５、６について、
互いに近接して配置し、その端部同士を相対回転自在に
接合させ、以て上記の効果を得ている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ボールねじを具備した駆動装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の駆動装置として例えば実開平３−４７７８７号公報において開 示されているものがあり、その概略を図３に示す。図示のように、当該駆動装置 においては、左右２種類のねじ溝１０１ａ、１０１ｂが互いに交差する状態で形 成されたねじ軸１０１と、該ねじ溝１０１ａ、１０１ｂ各々の一方ずつに対応す るボール循環路（図示せず）が設けられて該ねじ軸１０１に遊嵌された２つのナ ット１０２及び１０３と、該ボール循環路内に配列収容されて該ねじ軸１０１及 びナット１０２、１０３の相対回転に伴って循環する多数のボール（図示せず） とからなるボールねじを備えている。

【０００３】 上記ナット１０２及び１０３は各々２個ずつの玉軸受１０６及び１０７によっ てその両端部にて支承されており、回転自在である。なお、該各玉軸受１０６、 １０７は、本体１０８ａ及び蓋１０８ｂ、１０８ｃからなる支持部材１０８によ って支持されている。また、図において、参照符号１０９は、玉軸受１０６、１ ０７の外輪のずれ止めをなす外輪カラーを示す。

【０００４】 上記両ナット１０２、１０３の中央部にはタイミングプーリ１１０、１１１が 夫々固設されている。また、支持部材１０８の上部に２台のステッピングモータ １１３及び１１４が取付具１１５、１１６を介して取り付けられており、該各ス テッピングモータ１１３、１１４の出力軸にもタイミングプーリ１１８、１１９ が嵌着されている。そして、互いに対応する両タイミングプーリ１１０及び１１ ８と、タイミングプーリ１１１及び１１９とに、タイミングベルト１２１、１２ ２が各々駆け回されている。

【０００５】 かかる構成の駆動装置においては、図示のように、例えばねじ軸１０１の先端 に駆動されるべきロボットハンド１２３を取り付けて使用される。この状態で両 ステッピングモータ１１３、１１４を作動させて各ナット１０２及び１０３の回 転方向及び回転速度を適宜変化させることにより、ねじ軸１０１、従ってロボッ トハンド１２３の進退運動及び回転運動並びにこれらを組み合せた運動を自在に 行わせることができる。両ナット１０２及び１０３とねじ軸１０１との運動関係 は次表のようである。

【表１】

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上記した構成の駆動装置においては、駆動すべきロボットハンド１２３の進退 、回転及びこれらの複合運動について、２つのナット１０２及び１０３の回転制 御のみにて行うことができる故、装置の構造が簡単となり、しかも部品も共用で きるものが多いので、コストの低減等の効果が奏されるとされている。

【０００７】 しかしながら、最近要望が高まっている装置の小型化の問題に関しては未だ十 分な結果が得られていないのが実情である。

【０００８】 本考案は上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであって、小型化を達成し た駆動装置を提供することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】 本考案は、左右２種類のねじ溝が互いに交差する状態にて形成されたねじ軸と 、該ねじ溝各々の一方ずつに対応するボール循環路が設けられて該ねじ軸に遊嵌 された複数のナットと、該ボール循環路内に配列収容されて該ねじ軸及びナット の相対回転に伴って循環する複数のボールと、前記ナット各々を回転自在に支持 する支持機構と、前記ナット各々を個別に回転駆動し得る駆動手段とを備えた駆 動装置において、前記ナット各々を互いに近接して配置し、その端部同士を相対 回転自在に接合させたものである。

【００１０】

【実施例】

次に、本考案の実施例としての駆動装置を添付図面を参照しつつ説明する。

【００１１】 図１に示すように、本考案に係る駆動装置においては、駆動対象としてのロボ ットハンド１が一端部に取り付けられた１本のねじ軸３と、夫々略円筒状に形成 されて該ねじ軸３に遊嵌した２つのナット５及び６とからなるボールねじを具備 している。このねじ軸３には左右２種類のねじ溝３ａ及び３ｂが互いに交差する 状態にて形成されており、図２に示すように、両ナット５及び６には各々戻り管 ８、９が設けられることなどによって該各ねじ溝３ａ、３ｂ各々の一方ずつに対 応するボール循環路が形成されている。そして、これらボール循環路内には多数 のボール１１が配列収容されており、ねじ軸３及び両ナット５、６の相対回転に 伴ってボールが循環するようになされている。

【００１２】 上記両ナット５及び６は各々、その相互対向端部近傍にて例えば図１に示すよ うに単列アンギュラ形のラジアル玉軸受１４、１５により支承されており、また 、これらラジアル玉軸受１４及び１５は、ベース１７上に固設された支持部材と してのブラケット１８に形成された円筒状の支持部１８ａ内に嵌入され、支持さ れている。詳しくは、両ラジアル玉軸受１４、１５は各々アンギュラ形として接 触角が与えられた側が互いに向き合うように配置されている。そして、両ナット ５、６の相互対向端部にフランジ５ａ、６ａが形成されており、両ラジアル玉軸 受１４、１５の各内輪が該フランジ５ａ、６ａに当接している。また、図１に示 すように、上記支持部１８ａの一端部内周に円環状の肩部１８ｂが形成されてお り、一方のラジアル玉軸受１５の外輪に該肩部１８ｂが当接している。また、上 記支持部１８ａの他端開口部を閉塞する蓋２４が設けられており、該蓋２４の内 側面に円環状の突部２４ａが形成され、他方のラジアル玉軸受１４の外輪に該突 部２４ａが当接している。図示してはいないが、上記支持部１８ａ及び蓋２４に より画定される内部空間にはグリース等の潤滑剤が充填されていると共に、該潤 滑剤の漏出及び外部より塵埃が侵入することを防ぐべくシールが施されている。 なお、上記ブラケット１８と、上記両ラジアル玉軸受１４、１５とを、支持機構 と総称する。

【００１３】 図１に示すように、上記両ナット５及び６の各外側端部、すなわち相互対向側 とは反対側にはタイミングプーリ２６及び２７が夫々同軸に固設されている。ま た、同図に示すように、ベース１７上に２台のステッピングモータ２９及び３０ が各々の出力軸２９ａ、３０ａが互いに逆向きとなるように取り付けられており 、該各出力軸２９ａ、３０ａには小径のタイミングプーリ３２及び３３が夫々嵌 着されている。そして、上述のタイミングプーリ２６及び２７とこれらのタイミ ングプーリ３２、３３にはタイミングベルト３５、３６が掛け回されている。

【００１４】 上記各ステッピングモータ２９及び３０と、該各ステッピングモータの出力軸 ２９ａ、３０ａに嵌着されたタイミングプーリ３２、３３と、タイミングベルト ３５及び３６とにより、上記ナット５、６に設けられたタイミングプーリ２６及 び２７に駆動力を付与する駆動力付与手段が構成されている。また、該駆動力付 与手段と、該タイミングプーリ２６、２７とによって、上記ナット５、６各々を 個別に回転駆動し得る駆動手段が構成される。

【００１５】 ここで、図１及び図２から明らかなように、両ナット５及び６は互いに近接し て配置され、その端部同士が例えば平面座形のスラスト玉軸受４０を介して相対 回転自在に接合されている。詳しくは、図２から明らかなように、該スラスト玉 軸受４０の玉４０ａを挟んで位置する２枚の軌道盤４０ｂ、４０ｃの各々がナッ ト５及び６の端面に溶接等の手段を以て固着されている。かかる構成を採用した ことによって、該各ナット５、６及びこれらを回転させるステッピングモータ２ ９、３０等を含む駆動力発生部分の小型化、特に各ナット５、６の回転中心軸に 沿う方向における小型化が達成されている。なお、上記スラスト玉軸受４０を設 けることをせず、ナット５及び６の端面自体をすべり軸受として直接接合させて もよい。但し、このようにスラスト玉軸受４０を介装することによって、両ナッ ト５及び６の相対回転が極めて円滑となる。

【００１６】 ところで、上述のように２つのナット５及び６についてその端部同士をスラス ト玉軸受４０を介して接合させた構成においては、該スラスト玉軸受４０の玉４ ０ａ、軌道盤４０ｂ、４０ｃが互いに僅かでも遊離することによる作動不良等を 防ぐべく、図１において矢印Ｇ及びＨにて示すように所要のアキシアル荷重が予 め付与されることが望ましい。前述したアンギュラ形ラジアル玉軸受１４及び１ ５は、ラジアル荷重と共にこの付与するアキシアル荷重の反力をも受けるために 採用され、かつ、各々アンギュラ形としての接触角が与えられた側が互いに向き 合うように配置されたものである。ラジアル荷重及びアキシアル荷重を同時に負 荷するための構成はこの他にも種々考えられるが、上記の構成によれば単に２つ のアンギュラ形ラジアル玉軸受を設けるだけで負荷することができ、それ故に部 品点数が少なくなり、しかも、両ラジアル玉軸受１４、１５をナット５、６の相 互対向端部近傍にコンパクトに配置しているので、装置の構造の簡略化及び小型 化が図られている。また、前述したように両ラジアル玉軸受１４、１５の内外輪 について、ナット５、６のフランジ５ａ、６ａ、支持部１８ａの肩部１８ｂ、並 びに蓋２４の突部２４ａによりアキシアル方向において押え込むこととして上記 アキシアル荷重の負荷を可能としているが、かかる構成においては、図３に示し た従来の駆動装置において玉軸受１０６及び１０７の間に介装されているような 外輪カラー１０９は不要であり、部品点数が更に少なく抑えられ、この点からも 装置の構造の簡略化及び小型化が達成されている。

【００１７】 一方、前述したように、両ステッッピングモータ２９及び３０は、その各々の 出力軸２９ａ、３０ａが互いに逆向きとなるように配設されている。そして、ナ ット５及び６に夫々設けられたタイミングプーリ２６及び２７は該各出力軸２９ ａ、３０ａに嵌着されたタイミングプーリ３２、３３に対応するように、該ナッ ト５、６の相互対向側とは反対側に配置されている。かかる構成によれば、図１ から明らかなように、各ステッピングモータ２９及び３０の本体２９ｂ、３０ｂ と両ナット５及び６とが、該各ナットの回転中心軸に沿う方向においてコンパク トに集められ、装置の小型化が図られている。

【００１８】 上記した構成の駆動装置においては、両ステッピングモータ２９及び３０を個 別に作動させて各ナット５及び６の回転方向及び回転速度を適宜変化させること によって、ねじ軸３、従ってロボットハンド１の進退運動及び回転運動並びにこ れらの複合運動を自在に行わせることができる。なお、両ナット５及び６とねじ 軸３との運動関係については、図３に示した従来の駆動装置と同様であり、該従 来装置の説明中に示した表のように行われるのでその説明は省略する。

【００１９】 なお、本実施例にて示したねじ軸３に形成された２種類のねじ溝３ａ及び３ｂ については、そのピッチが互いに等しくてもよいし、異なってもよい。但し、ピ ッチが異なる場合、両ナット５及び６の回転速度制御を変化させる必要が生ずる 。

【００２０】 また、本実施例においては、ボールねじのナットが２つ設けられているが、例 えば４つや６つなど、その数については、駆動力の増大等の必要に応じて適宜設 定され得る。

【００２１】 また、本実施例においてはナット５及び６を支承するアンギュラ形ラジアル軸 受と、該ナット間に介装されたスラスト軸受とが、玉軸受となっているが、ころ 軸受を使用してもよい。更に、本実施例においては、ステッピングモータ、タイ ミングベルトを用いているが、サーボモータなどの他の駆動手段や伝達手段を用 いてもよい。

【００２２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案による駆動装置においては、ナット各々を互いに 近接させてその端部同士を相対回転自在に接合させた構成の故、該各ナット及び これらを回転させるモータ等を含む駆動力発生部分の小型化、特にナットの回転 中心軸に沿う方向における小型化が達成されるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の実施例としての駆動装置の、
一部断面を含む正面図である。

【図２】図２は、図１に示した駆動装置の一部の縦断面
図である。

【図３】図３は、従来の駆動装置の、一部断面を含む正
面図である。

【符号の説明】

１ ロボットハンド ３ ねじ軸 ５、６ ナット １１ ボール １４、１５ ラジアル玉軸受 ２６、２７、３２、３３ タイミングプーリ ２９、３０ ステッピングモータ ３５、３６ タイミングベルト ４０ スラスト軸受

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右２種類のねじ溝が互いに交差する状
   態にて形成されたねじ軸と、該ねじ溝各々の一方ずつに
   対応するボール循環路が設けられて該ねじ軸に遊嵌され
   た複数のナットと、該ボール循環路内に配列収容されて
   該ねじ軸及びナットの相対回転に伴って循環する複数の
   ボールと、前記ナット各々を回転自在に支持する支持機
   構と、前記ナット各々を個別に回転駆動し得る駆動手段
   とを備え、前記ナット各々が互いに近接して配置され、
   その端部同士が相対回転自在に接合されていることを特
   徴とする駆動装置。
2. 【請求項２】 前記ナット間にスラスト軸受が介装され
   ていることを特徴とする請求項１記載の駆動装置。
3. 【請求項３】 前記支持機構は、前記ナット各々をその
   相互対向端部近傍にてかつ少なくともラジアル方向にお
   いて支承する軸受と、該軸受を支持する支持部材とを有
   することを特徴とする請求項１又は請求項２記載の駆動
   装置。
4. 【請求項４】 前記ナットを支承する軸受はアンギュラ
   形ラジアル軸受からなることを特徴とする請求項３記載
   の駆動装置。
5. 【請求項５】 前記駆動手段は、前記ナット各々に同軸
   に固設されたタイミングプーリと、該タイミングプーリ
   各々に掛け回されたタイミングベルトを含み該タイミン
   グプーリに駆動力を付与する駆動力付与手段とから成
   り、前記タイミングプーリは、前記ナット各々の相互対
   向側とは反対側に配置されていることを特徴とする請求
   項１乃至請求項４のうちいずれか１記載の駆動装置。