JPH07188866A - 耐硝酸腐食性に優れた高純度フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐硝酸腐食性に優れた高純度フェライト系ステンレス鋼

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JPH07188866A
JPH07188866A JP34871893A JP34871893A JPH07188866A JP H07188866 A JPH07188866 A JP H07188866A JP 34871893 A JP34871893 A JP 34871893A JP 34871893 A JP34871893 A JP 34871893A JP H07188866 A JPH07188866 A JP H07188866A
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JP
Japan
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less
stainless steel
nitric acid
corrosion resistance
ferritic stainless
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Pending
Application number
JP34871893A
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Inventor
Tamako Hiyakubu
珠子 百歩
Toru Inazumi
透 稲積
Katsumi Shomura
克身 正村
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐硝酸腐食性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼を提供すること 【構成】 Cr:20〜30wt%、Ni:0.5〜6
wt%、C:0.005wt%以下、N:0.007w
t%以下、Si:1wt%以下、Mn:1wt%以下、
P:0.05wt%以下、S:0.01wt%以下、
B:5ppm以下を含有し、必要に応じてMo:6wt
%以下を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなり、
且つC+N:0.007wt%以下を満足する高純度フ
ェライト系ステンレス鋼である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐粒界腐食性が要求さ
れる環境、特に硝酸環境で使用される構造材料として好
適な、耐硝酸腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼はNiを多量
に含有せず、CrとMoにより耐食性の改善がなされる
ため製造時の原料コストが安価であるが、オーステナイ
ト系ステンレス鋼に較べて靱性、延性が低く、また耐食
性も劣るとされてきた。しかし、近年の製鋼技術の進歩
に伴い、特性劣化の原因となっていた鋼中不純物である
C、Nを低減させる技術が確立され、また、Ti、Nb
等の安定化元素の添加技術が確立したため、その原料コ
ストの安さに着目した高純度フェライト系ステンレス鋼
の生産拡大が図られ、同時に一層の耐食性向上への検討
がなされてきた。その結果として、高純度フェライト系
ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレス鋼が使用で
きないClイオンが含まれる環境下での用途を中心にそ
の用途拡大が図られている。
【0003】このような高純度フェライト系ステンレス
鋼の具体的例としては、耐粒界腐食性、耐応力腐食性の
向上を図るため、Ti、Nb等の安定化元素を添加した
ものが知られている。これは、通常フェライト系ステン
レス鋼に850℃以上の熱処理を施した際、冷却過程で
炭化物が粒界に析出し、Cr欠乏層が生成されることに
よる耐粒界腐食性の劣化を防ぐことを狙いとしたもので
ある(従来技術1)。また、Cを低減させることなく、
Ni、Mnを特定の関係を満たすように添加して、高温
におけるオーステナイト相の割合を高め、Cをオーステ
ナイト相に固溶させてフェライト相中のC含有量を低減
し、耐粒界腐食性を向上させた例もある(従来技術
2)。
【0004】さらに、高純度化に関しては、真空下で音
速レベルで粉体を上吹きすることにより、溶鋼の撹拌能
力を飛躍的に向上させた特殊真空精錬法によって、不純
物をC:0.0060wt%以下、N:0.0150w
t%以下、S:0.0020wt%以下、Si:0.1
5wt%以下、Mn:0.15wt%以下、O:0.0
15wt%以下に低減し、Ti、Nbを添加することな
く、溶接部も含めた耐食性、靱性を改善したフェライト
系ステンレス鋼を提案した例もある(従来技術3)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらいずれ
の従来技術においても、耐粒界腐食性が検討されている
環境は電位的には不働態領域にとどまっており、これら
のフェライト系ステンレス鋼は硝酸を使用する環境下、
すなわち過不働態領域に近い環境下では十分な耐粒界腐
食性が得られない。このため、このような耐粒界腐食性
(耐硝酸腐食性)が要求される環境では、主としてオー
ステナイト系ステンレス鋼が用いられているのが現状で
ある。また、上記の従来技術2では、Si、Mn量を低
減しているため必要な強度を確保できないという問題も
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は以上のような
従来技術の問題に鑑み、フェライト系ステンレス鋼の硝
酸環境下での耐粒界腐食性を改善すべく検討を重ねた結
果、フェライト系ステンレス鋼の耐硝酸腐食性を改善す
るためには、上記従来技術3に示されるような低C,N
量のレベルでは十分でなく、CおよびNの含有量をより
低いレベルに低減させる必要があり、このような極低
C,Nの下でCrの含有量を高めるとともにNiを少量
添加し、且つB,Mn量等を所定の範囲に規制すること
により、従来のフェライト系ステンレス鋼に較べて格段
に優れた耐硝酸腐食性が得られることを見出した。ま
た、このような成分系での合金元素の影響を調査したと
ころ、従来では耐硝酸腐食性に有害であると考えられて
きたMoが、特定の添加量の範囲で却って耐硝酸腐食性
に有効であることを見出した。本発明はこのような知見
に基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の
通りである。
【0007】(1) Cr:20〜30wt%、Ni:
0.5〜6wt%、C:0.005wt%以下、N:
0.007wt%以下、Si:1wt%以下、Mn:1
wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.01w
t%以下、B:5ppm以下、残部Fe及び不可避不純
物からなり、且つ、C+N:0.007wt%以下を満
足する耐硝酸腐食性に優れた高純度フェライト系ステン
レス鋼。
【0008】(2) Cr:20〜30wt%、Ni:
0.5〜6wt%、C:0.005wt%以下、N:
0.007wt%以下、Si:1wt%以下、Mn:1
wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.01w
t%以下、B:5ppm以下、Mo:6wt%以下、残
部Fe及び不可避不純物からなり、且つ、C+N:0.
007wt%以下を満足する耐硝酸腐食性に優れた高純
度フェライト系ステンレス鋼。
【0009】
【作用】以下、本発明の成分組成の限定理由について説
明する。 Cr:ステンレス鋼の表面を不働態化して耐食性を向上
させる基本的な元素であり、耐硝酸腐食性を向上させる
効果がある。フェライト系ステンレス鋼においてこのよ
うな効果を十分に得るためには、20wt%以上の添加
が必要である。しかし、30wt%を超えて添加すると
耐硝酸腐食性を劣化させるσ相の析出を促進し、また加
工性の劣化を招く。このためCrの添加量は20〜30
wt%とする。
【0010】Ni:不働態皮膜を安定させ、耐硝酸腐食
性を向上させる元素である。フェライト系ステンレス鋼
の耐硝酸腐食性の改善には、0.5wt%以上の添加が
必要であるが、6wt%以上添加するとフェライト単相
の組織が得られないので、その添加量は0.5〜6wt
%、好ましくは2〜6wt%とする。
【0011】C,N:Cは粒界にCr炭化物を生成して
耐粒界腐食性を劣化させる元素である。また、Nはステ
ンレス鋼の強度を向上させる元素であるが、その含有量
が多いと多量の窒化物を生成し、耐硝酸腐食性を劣化さ
せる。これらの元素はその含有量が少なければ少ないほ
ど耐硝酸腐食性には有効であり、したがって、これらの
元素の含有量は極力低減させることが望ましい。このた
め本発明では、Cについては0.005wt%以下、N
については0.007wt%以下とする。また、本発明
ではC,Nのそれぞれの含有量の規制に加え、C+N量
を規制することが重要である。図1はフェライト系ステ
ンレス鋼(熱処理1000℃×10分、水冷)のC+N
量と耐硝酸腐食性との関係を示したもので、C+Nが
0.007wt%を超えると耐硝酸腐食性が劣化してい
る。このため、C+Nは0.007wt%以下とする。
【0012】Si:強度の向上には有効な元素である
が、含有量が1wt%を超えると加工性の劣化を招くの
で、その含有量は1wt%以下とする。Siの下限につ
いては特に限定しないが、強度を確保したい場合には
0.15wt%以上とすることが好ましい。 Mn:強度、耐粒界腐食性を高める元素であるが、その
含有量が1wt%を超えると靱性の劣化を招くので、そ
の含有量は1wt%以下とする。Mnの下限については
特に限定しないが、強度を確保したい場合には0.15
wt%以上とすることが好ましい。
【0013】Mo:耐孔食性、耐酸化性の向上に有効な
元素である。Moは従来では耐硝酸腐食性の改善には有
効でないとされてきた元素であるが、フェライト系ステ
ンレス鋼において少量のNi添加があれば耐硝酸腐食性
の向上に有効である。特に、Moを添加することにより
鋭敏化が遅れ、溶接等の熱履歴の影響による耐硝酸腐食
性の劣化を防止する効果が期待できる。しかし、Moの
添加量が6wt%を超えるとη相、χ相、σ相の析出に
よる耐食性の劣化を招く恐れがあるので、Moは6wt
%以下とする。
【0014】P:過剰な添加は靱性を低下させるので、
その上限を0.05wt%とする。 S:熱間加工性を低下させ、またMnS等を形成して耐
孔食性を劣化させるため、その上限を0.01wt%と
する。 B:耐硝酸腐食性に有害な元素であるため、その上限を
5ppmとする。
【0015】
【実施例】表1および表2に示す成分組成の鋼を真空炉
で溶解してスラブとし、これを熱間圧延した後、100
0℃×10分加熱→水冷の熱処理を施し、各鋼板の耐硝
酸腐食性をJIS G 0573の沸騰65%硝酸腐食試
験により調べた。その結果を表1および表2に併せて示
す。
【0016】なお、表中の耐硝酸腐食性の評価基準は以
下の通りである。 ◎:目標値を達成 ○:ほぼ目標値であるが、◎よりは若干劣る。 ×:目標値未満
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【発明の効果】以上述べた本発明のフェライト系ステン
レス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼と同等の優れ
た耐硝酸腐食性を有し、しかも、Niの添加量が少ない
ためオーステナイト系ステンレス鋼に較べ安価に製造で
きるという効果がある。また、Si,Mn量を低減する
ことなく耐硝酸腐食性を改善できるため、Si,Mnに
よる鋼の強化を図ることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェライト系ステンレス鋼のC+N量と耐硝酸
腐食性との関係を示すグラフ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr:20〜30wt%、Ni:0.5
    〜6wt%、C:0.005wt%以下、N:0.00
    7wt%以下、Si:1wt%以下、Mn:1wt%以
    下、P:0.05wt%以下、S:0.01wt%以
    下、B:5ppm以下、残部Fe及び不可避不純物から
    なり、且つ、C+N:0.007wt%以下を満足する
    耐硝酸腐食性に優れた高純度フェライト系ステンレス
    鋼。
  2. 【請求項2】 Cr:20〜30wt%、Ni:0.5
    〜6wt%、C:0.005wt%以下、N:0.00
    7wt%以下、Si:1wt%以下、Mn:1wt%以
    下、P:0.05wt%以下、S:0.01wt%以
    下、B:5ppm以下、Mo:6wt%以下、残部Fe
    及び不可避不純物からなり、且つ、C+N:0.007
    wt%以下を満足する耐硝酸腐食性に優れた高純度フェ
    ライト系ステンレス鋼。
JP34871893A 1993-12-27 1993-12-27 耐硝酸腐食性に優れた高純度フェライト系ステンレス鋼 Pending JPH07188866A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010100894A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Kenji Abiko 再処理装置用超高純度鉄合金
CN102341516A (zh) * 2009-03-27 2012-02-01 新日铁住金不锈钢株式会社 耐局部腐蚀性优良的铁素体系不锈钢
US8152937B2 (en) 2007-06-21 2012-04-10 Jfe Steel Corporation Ferritic stainless steel sheet having superior sulfuric acid corrosion resistance and method for manufacturing the same

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JP2010100894A (ja) * 2008-10-23 2010-05-06 Kenji Abiko 再処理装置用超高純度鉄合金
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