JPH07187789A - 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板

Info

Publication number
JPH07187789A
JPH07187789A JP5336724A JP33672493A JPH07187789A JP H07187789 A JPH07187789 A JP H07187789A JP 5336724 A JP5336724 A JP 5336724A JP 33672493 A JP33672493 A JP 33672493A JP H07187789 A JPH07187789 A JP H07187789A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum nitride
thermal conductivity
sintered body
oxygen
aln
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP5336724A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3450400B2 (ja
Inventor
Jun Monma
旬 門馬
Miho Nakamura
美保 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP33672493A priority Critical patent/JP3450400B2/ja
Publication of JPH07187789A publication Critical patent/JPH07187789A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3450400B2 publication Critical patent/JP3450400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】不純物を含有せしめて遮光性を付与した場合に
おいても高い熱伝導率を有し、かつ安価に製造すること
が可能な窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウ
ム多層回路基板を提供する。 【構成】0.8重量%以上の酸素および0.16重量%
以上の陽イオン不純物の少なくとも一方を含有する窒化
アルミニウム結晶組織から成り、上記酸素と陽イオン不
純物とを含有する塊状化合物2が結晶組織中に形成され
上記塊状化合物2の平均粒径が窒化アルミニウム結晶粒
1の平均粒径以上であることを特徴とする。熱伝導率は
200W/m・K以上である。さらに本発明の窒化アル
ミニウム多層回路基板は、上記焼結体表面および内部に
配線導体を形成して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化アルミニウム焼結体
および窒化アルミニウム多層回路基板に係り、特にある
程度の不純物を含有していても熱伝導率が高く、安価に
製造することが可能な窒化アルミニウム焼結体およびそ
の焼結体を使用した窒化アルミニウム多層回路基板に関
する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム(AlN)焼結体は高
温まで強度低下が少なく、化学的耐性にも優れていたる
め、耐熱材料として用いられる一方、その高熱伝導性,
高電気絶縁性を利用して半導体装置の放熱板材料,回路
基板用絶縁体材料としても広く使用されている。
【0003】特に半導体素子の高集積化および高密度実
装化,半導体装置の高速化高出力化に対応して、特に熱
伝導率が高い窒化アルミニウム焼結体の用途が拡大され
ており、さらに高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム
焼結体の開発が望まれている。
【0004】上記技術的要請に対応して従来の高熱伝導
性窒化アルミニウム焼結体は、不純物含有量が可及的に
少ない原料粉末を使用したり、AlN焼結体中の酸素量
および陽イオン不純物量を可能な限り減少させる方法で
製造されていた。すなわちカーボン製の焼成容器内に成
形体を配置して強い還元雰囲気を形成し、しかも48〜
100時間程度の長時間の焼成操作を行って高熱伝導性
を確保していた。
【0005】この焼成操作によりAlN結晶粒中の不純
物酸素を粒界相(Al−O−Y相)へとトラップすると
ともに、焼結体表面近傍の粒界相が、雰囲気中のCおよ
びCOによって還元され、Al−O,Y−N(Y2 3
剤を使用した場合)等の揮散物質として焼結体から排除
され、この揮散により焼結体表面近傍が高純度化される
に伴って、内部の粒界相が表面に移動し、焼結体内部が
高純度化される。さらに研削加工等により、表面相を除
去することにより、全体が高純度で高い熱伝導率を有す
る窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高熱伝導性AlN焼結体の製造方法において、酸素等の
不純物含有量の少ない原料粉末は高価であり、必然的に
製造コストの上昇をもたらしていた。また強い還元性雰
囲気において長時間焼成して高純度化を図るため、製造
効率も大幅に低下し製品コストが大幅に上昇する問題点
があった。
【0007】特にAlN成形体表面に配線導体パターン
を形成した基板要素を多数積層した状態で同時焼成して
AlN多層配線基板を製造する場合には、導体の炭化や
収縮率差の拡大により、導体配線抵抗が増大したり、断
線を引き起こし易いため、内層に導体を含むAlN多層
回路基板の製造工程においては、上記強還元性雰囲気に
おける長時間同時焼成法は適用できない欠点がある。
【0008】また高純度化されたAlN焼結体は高熱伝
導性を有する一方で、若干の透光性を有することとなる
ため、AlN焼結体基板に搭載された半導体素子が、基
板を透過してきた紫外線等によって、誤動作を誘発する
可能性が高くなり、いずれにしても動作信頼性に優れた
多層回路基板が得られないという問題点があった。
【0009】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、遷移金属化合物等の不純物を含有せし
めて遮光性を付与した場合においても高い熱伝導率を有
し、かつ安価に製造することが可能な窒化アルミニウム
焼結体およびその焼結体を使用した窒化アルミニウム多
層回路基板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段と作用】上記目的を達成す
るため、本願発明者らは、AlN焼結体を製造するため
に使用していたAlN原料粉末の純度,焼結助剤や添加
物の種類,焼結条件等を種々変えて、それらの条件要素
が、最終製品としてのAlN焼結体の組織形状および特
性に及ぼす影響を実験により確認した。
【0011】その結果、焼結時の雰囲気および焼結後に
おける焼結体の冷却速度を適正に設定することにより、
窒化アルミニウムの焼結が進行する際に、焼結助剤とし
て添加した陽イオン不純物と含有酸素とを粒界相として
濃縮でき、かつその粒界相のみを塊状に凝集させた化合
物が焼結体組織内に形成され、この塊状の化合物は、窒
化アルミニウム焼結後の一次粒子と同程度か、それ以上
の大きさに形成されることが判明した。そのため、Al
N焼結体組織において、窒化アルミニウム結晶粒子同士
が直接接触する面積が大幅に増加し、高熱伝導性を有す
るAlN結晶粒子が連続するような組織の割合が高まる
一方で、熱伝導性を阻害する不純物を含有する化合物が
局所的に凝集することが判明した。その結果、焼結体全
体として高い熱伝導率を有するAlN焼結体が得られる
という知見を得た。なお、例えばWO3 などの遷移金属
化合物を焼結体成分として添加することにより、焼結体
に遮光性を付与することもできた。本発明は上記知見に
基づいて完成されたものである。
【0012】すなわち本発明に係る窒化アルミニウム焼
結体は、0.8重量%以上の酸素および0.16重量%
以上の陽イオン不純物の少なくとも一方を含有する窒化
アルミニウム結晶組織から成り、上記酸素と陽イオン不
純物とを含有する塊状化合物が結晶組織中に形成され上
記塊状化合物の平均粒径が窒化アルミニウム結晶粒の平
均粒径以上であることを特徴とする。また熱伝導率が2
00W/m・K以上の高熱伝導性AlN焼結体である。
【0013】さらに本発明に係る窒化アルミニウム多層
回路基板は、AlN成形体表面に配線導体を形成した基
板要素を複数枚積層し、AlN焼結体中の粒界相が塊状
になるように同時焼成して得ることができる。
【0014】ここで酸素および陽イオン不純物は、本
来、いずれもAl成分等と化合して熱伝導性を阻害する
化合物を形成し、AlN焼結体の熱伝導性を低下させる
が、本願発明に係るAlN焼結体においては、酸素およ
び陽イオン不純物は、粒界に凝集されるため、熱伝導性
を阻害することが少ない。
【0015】上記酸素の含有量が0.8重量%未満また
は陽イオン不純物の含有量が0.16重量%未満とする
ためには、粒界相を排出するための焼結にかなりの時間
がかかり、製造コストが増加する。一方、酸素の含有量
が1.5%を超えるか、または陽イオン不純物の含有量
が1重量%を超える場合には、やはり熱伝導性を阻害す
る酸化物相が粒界に均一に形成され易くなり、AlN焼
結体の熱伝導性が低下するため、上記酸素の含有量は、
0.8〜1.5重量%の範囲に設定するとともに、陽イ
オン不純物の含有量は0.16〜1重量%の範囲に設定
される。なお、酸素および陽イオン不純物の合計含有量
は2.0重量%以下に設定することが、さらに望まし
い。
【0016】本発明に係る窒化アルミニウム焼結体は、
例えば以下のような工程で製造される。すなわち酸素含
有量が0.8重量%以上および/または陽イオン不純物
含有量が0.16重量%以上の窒化アルミニウム原料粉
末に対して、Y2 3 などの焼結助剤を3〜8重量%と
所定量のバインダとを添加した原料混合体を成形し、得
られた成形体を脱脂後、窒素等の非酸化性雰囲気で16
00〜1900℃の温度域で2〜15時間焼結し、上記
焼結温度から1400〜1750℃までの冷却速度を毎
時1〜100℃に設定し徐冷して製造される。なお、徐
冷中に焼結雰囲気を200〜300Torrまで減圧する
と、AlN焼結体の熱伝導率をさらに上昇させることが
できる。
【0017】上記窒化アルミニウム焼結体によれば、原
料中に含まれていた酸素と陽イオン不純物とAlなどの
原料成分とが凝集反応して粒界部に塊状の化合物相が形
成され、かつこの化合物の平均粒径が窒化アルミニウム
結晶粒と同等以上になっているため、高熱伝導性を有す
る高純度のAlN粒子同士が連続して接触する組織割合
が増加する一方、熱伝導性を阻害する不純物を含有する
化合物が局所的に凝集して形成される。したがって、焼
結体全体として高い熱伝導率を有し、かつ上記化合物に
よって透光性が抑制されたAlN焼結体が得られる。
【0018】また酸素および陽イオン不純物は熱伝導性
を阻害しない程度に焼結体の局部に凝集されるため、こ
れらの不純物を積極的に除去する操作は必要としない。
したがって、不可避的に付着する酸素も含めて不純物含
有量が多い安価な原料を使用することが可能になり、原
料コストを大幅に低減することができる。特に従来、高
熱伝導性を達成するために、上記不純物を除去すべく、
還元性雰囲気中で長時間、高純度化焼成処理が必要であ
ったが、本願発明によれば、窒素ガス等の非酸化性雰囲
気における焼結操作により、熱伝導率が200W/m・
K以上と、熱伝導率に優れたAlN焼結体が安価に製造
できる。
【0019】また本発明に係る窒化アルミニウム多層回
路基板を、同時焼成法を使用して製造する場合は、以下
の工程に従う。すなわち、所定量の酸素,陽イオン不純
物,焼結助剤およびバインダ等を配合した窒化アルミニ
ウム混合粉末に溶剤を添加して原料スラリーを調製し、
この原料スラリーを、ドクターブレード法などの成形法
を利用してシート状成形体を形成し、このシート状成形
体表面に、Wなどの導電金属を含有する導体ペーストに
て配線導体パターンを形成し、各配線導体パターンを形
成したシート状成形体を複数枚積層熱圧着して積層体を
形成し、得られた積層体を脱脂後、窒素等の非酸化性雰
囲気で1600〜1900℃の温度域で2〜15時間同
時焼成し、上記焼成温度から1400〜1750℃まで
の冷却速度を毎時1〜100℃に設定し徐冷して製造さ
れる。なお、徐冷中に焼結雰囲気を200〜300Torr
まで減圧すると、AlN焼結体の熱伝導率をさらに上昇
させることができる。
【0020】上記構成に係る窒化アルミニウム多層回路
基板によれば、配線導体を形成した各層の基板において
酸素等の不純物が局所的に凝集して化合物を形成してい
るため、熱伝導性が高く高純度のAlN粒子が連続する
割合が多い。したがって、多層回路基板全体として熱伝
導率が高く、また上記化合物の存在により、遮光性も付
与される。
【0021】特に製造工程において、酸素等の不純物を
完全に除去するために強還元性雰囲気(カーボンガス含
有)において長時間、高純度化焼成処理を行なう必要が
なく、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で焼成操作を実
施することができるため、焼成時における配線導体の炭
化による損傷,断線がないため、信頼性に優れた多層回
路基板を、高い歩留りで生産することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を、より具体
的に説明する。
【0023】実施例1および比較例1 酸素含有量0.8重量%の窒化アルミニウム原料粉末に
対して、焼結助剤としてのY2 3 (酸化イットリウ
ム)を5重量%と、バインダとしてのPVB樹脂を8重
量%配合した混合粉に、アルコール系および芳香族系炭
化水素溶剤の混合液を添加し、ボールミルにて24時間
混合して原料スラリーを調製した。
【0024】次にドクターブレード法を使用して、上記
原料スラリーをシート状に成形し、8枚のシート状成形
体を積層後、熱圧着して積層体を形成し、さらにこの積
層体を窒化ガス中で450℃で1時間脱脂した。
【0025】次に脱脂積層体を、窒素ガス雰囲気中で温
度1850℃で10時間保持して焼結した後に、毎時1
0℃の冷却速度で1750℃まで徐冷し、その後120
0℃まで毎時300℃で冷却した後、室温まで炉冷する
ことにより、実施例1に係るAlN焼結体を多数製造し
た。
【0026】一方比較例1として、温度1850℃で1
0時間保持して焼結した後に、従来法通り、毎時200
℃の冷却速度で急冷した以外は、実施例1と同様な原料
および処理方法を使用して比較例1に係るAlN焼結体
を多数製造した。
【0027】こうして得られた実施例1および比較例1
に係るAlN焼結体から直径10mm,厚さ3mmの試料片
を切り出し、レーザフラッシュ法に基づいてその熱伝導
率を測定するとともに、酸素含有量およびイットリウム
(Y)含有量を定量分析し、下記表1に示す結果を得
た。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示す結果から明らかなように、酸素
量および焼結助剤として添加したイットリア(Y
2 3 )に起因するイットリウム量は、実施例1および
比較例1においてほぼ同等の値を示しているが、結晶組
織形態の相違によって実施例1に係るAlN焼結体の方
が高い熱伝導率を有することが判明した。
【0030】さらに上記結晶組織形態の相違を確認する
ために、各試料片の破断面を走査型電子顕微鏡(SE
M)にて観察し、それぞれ図1(実施例1)および図2
(比較例1)に示す結果を得た。
【0031】図1に示すように、実施例1に係るAlN
焼結体においては、AlN結晶粒子1が連続した組織中
に、斜線部で示すように酸素および陽イオン不純物を含
有する塊状の化合物2が形成されている。この化合物2
はAl2 4 9 ,Y2 3などの酸化物から成り、A
lN結晶粒子1と同程度の粒径をもって組織中に局部的
に形成されている。このように熱伝導性を阻害する化合
物2が局部的に凝集している一方、高熱伝導性を有する
高純度AlN結晶粒子1が連続して形成される組織形態
を有するため、高い熱伝導率と上記化合物2の介在によ
る優れた遮光性とを兼ね備えるAlN焼結体が得られ
た。
【0032】一方、図2に示すように焼結後に急冷して
調製された比較例1のAlN焼結体においては、酸素お
よび陽イオン不純物とAlとからる化合物(酸化物)2
aが、斜線部で示すように、AlN結晶組織の粒界に沿
って薄くかつ広く分布し、高純度のAlN結晶粒子1同
士が直接接触する割合が少ないため、遮光性は充分では
あるが、熱抵抗が大きく、焼結体全体としての熱伝導率
が低下してしまうことが判明した。
【0033】本実施例によれば焼結助剤として添加した
陽イオン元素や不可避的に混入する酸素を焼結体内に残
留させた状態でも、高熱伝導性を有するAlN焼結体を
安価に提供することができる。
【0034】実施例2および比較例2〜3 酸素含有量0.8重量%の窒化アルミニウム原料粉末に
対して、焼結助剤としてのY2 3 (酸化イットリウ
ム)を5重量%と、バインダとしてのPVB樹脂を8重
量%配合した混合粉に、アルコール系および芳香族系炭
化水素溶剤の混合液を添加し、ボールミルにて24時間
混合して原料スラリーを調製した。
【0035】次にドクターブレード法を使用して、上記
原料スラリーをシート状に成形し、各シートの所定位置
にドリルで貫通孔(スルーホール)を穿設した。次にW
を含有する導体ペーストを使用して、上記各貫通孔に充
填するともに、各シート表面に所定形状の配線導体パタ
ーンを印刷した後に、各シートを積層し、熱圧着してA
lN多層回路基板用の成形体を調製した。
【0036】次に得られた成形体を、水蒸気を含む窒素
−水素混合ガス(N2 +H2 +H2 O)雰囲気中で温度
900℃で脱脂した後に、窒素ガス雰囲気中で温度18
50℃で6時間保持して、成形体を構成する各シートと
配線導体パターンとを同時焼成し、しかる後に毎時5℃
の冷却速度で1750℃まで冷却後、炉冷することによ
り、実施例2に係るAlN多層回路基板を調製した。
【0037】一方比較例2として、脱脂した成形体をカ
ーボン製の焼成容器(さや)内に充填して、強還元性雰
囲気を形成した状態で温度1900℃で48時間と長時
間に渡って連続して同時焼成した以外は実施例2と同一
の原料および処理条件によって処理して、比較例2に係
るAlN多層回路基板を調製した。
【0038】さらに比較例3として、脱脂した成形体を
窒素ガス雰囲気中で温度1850℃で4時間保持して同
時焼成した後に、従来法通りに1200℃まで毎時30
0℃の冷却速度で冷却し、1200℃から炉冷した以外
は実施例2と同一条件で処理して比較例3に係るAlN
多層回路基板を調製した。
【0039】こうして調製した実施例2および比較例2
〜3に係るAlN多層回路基板を評価するために、各試
料について酸素含有量,陽イオン不純物含有量,一定配
線長さにおける配線抵抗,基板密度および熱伝導率をそ
れぞれ測定し、下記表2に示す結果を得た。なお、基板
密度,熱伝導率,酸素含有量および陽極イオン不純物量
は、多層基板のAlN焼結体基板のみの部分について測
定した。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示す結果から明らかなように、実施
例2に係るAlN多層回路基板において、酸素および陽
イオン不純物含有量が高いにも拘らず、高い熱伝導率を
有する。
【0042】一方、比較例2においては、還元性雰囲気
中でAlN焼結体の高純度化焼成を長時間(48時間)
継続して実施しているため、酸素量および陽イオン量は
他の例と比較して大幅に減少し、実施例2より高い熱伝
導率が得られている。しかしながら、焼成に長時間を要
するため、基板製造コストは大幅に増大化し、量産性お
よび経済性は低い。しかもカーボンガスから成る強還元
雰囲気で長時間焼成しているため、配線導体の炭化が進
行し、配線抵抗が大幅に増加した。
【0043】また比較例3においては、同時焼成後、急
冷しているために、酸素および陽イオン不純物を含有す
る微細な酸化物が、図2に示す比較例1の場合と同様に
AlN結晶粒界に沿って薄く、かつ広範囲に分散して形成
される。したがって、熱抵抗が大きく、高い熱伝導性は
得られなかった。
【0044】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る窒化アルミ
ニウム焼結体によれば、原料中に含まれていた酸素と陽
イオン不純物とAlなどの原料成分とが凝集反応して粒
界部に塊状の化合物相が形成され、かつこの化合物の平
均粒径が窒化アルミニウム結晶粒と同等以上になってい
るため、高熱伝導性を有する高純度のAlN粒子同士が
連続して接触する組織割合が増加する一方、熱伝導性を
阻害する不純物を含有する化合物が局所的に凝集して形
成される。したがって、焼結体全体として高い熱伝導率
を有し、かつ上記化合物によって透光性が充分に抑制さ
れたAlN焼結体が得られる。
【0045】また酸素および陽イオン不純物は熱伝導性
を阻害しない程度に焼結体の局部に凝集されるため、こ
れらの不純物を積極的に除去する操作は必要としない。
したがって、不可避的に付着する酸素も含めて不純物含
有量が多い安価な原料を使用することが可能になり、原
料コストを低減することができる。特に従来、高熱伝導
性を達成するために、上記不純物を除去すべく、還元性
雰囲気中で長時間、焼結体の高純度化焼成処理が必要で
あったが、本願発明によれば、窒素ガス等の非酸化性雰
囲気における焼結により、熱伝導率が200W/m・K
以上と、熱伝導性に優れたAlN焼結体が安価に製造で
きる。
【0046】また本発明に係る窒化アルミニウム多層回
路基板によれば、配線導体を形成した各層の基板におい
て酸素等の不純物が局所的に凝集して化合物を形成して
いるため、熱伝導性が高く高純度のAlN粒子が連続す
る割合が多い。したがって、多層回路基板全体として熱
伝導率が高い。
【0047】特に製造工程において、酸素等の不純物を
完全にするために強還元性雰囲気において長時間、高純
度化焼成処理を行なう必要がなく、窒素ガス等の不活性
ガス雰囲気中で焼成操作を実施することができるため、
焼成時における配線導体の炭化による損傷,断線がない
ため、信頼性に優れた多層回路基板を、高い歩留りおよ
び製造効率で生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る窒化アルミニウム焼結体の破断
面の結晶組織を模式的に示す組織図。
【図2】比較例1に係る窒化アルミニウム焼結体の破断
面の結晶組織を模式的に示す組織図。
【符号の説明】 1 AlN結晶粒子 2 塊状化合物(酸化物相) 2a 化合物(酸化物)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.8重量%以上の酸素および0.16
    重量%以上の陽イオン不純物の少なくとも一方を含有す
    る窒化アルミニウム結晶組織から成り、上記酸素と陽イ
    オン不純物とを含有する塊状化合物が結晶組織中に形成
    され上記塊状化合物の平均粒径が窒化アルミニウム結晶
    粒の平均粒径以上であることを特徴とする窒化アルミニ
    ウム焼結体。
  2. 【請求項2】 熱伝導率が200W/m・K以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム焼結
    体。
  3. 【請求項3】 0.8重量%以上の酸素および0.16
    重量%以上の陽イオン不純物の少なくとも一方を含有す
    る窒化アルミニウム結晶組織から成り、上記酸素と陽イ
    オン不純物とを含有する塊状化合物が結晶組織中に形成
    され上記塊状化合物の平均粒径が窒化アルミニウム結晶
    粒の平均粒径以上である窒化アルミニウム焼結体と配線
    導体とが同時焼結されていることを特徴とする窒化アル
    ミニウム多層回路基板。
JP33672493A 1993-12-28 1993-12-28 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板 Expired - Lifetime JP3450400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33672493A JP3450400B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33672493A JP3450400B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07187789A true JPH07187789A (ja) 1995-07-25
JP3450400B2 JP3450400B2 (ja) 2003-09-22

Family

ID=18302136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33672493A Expired - Lifetime JP3450400B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3450400B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6316116B1 (en) 1999-04-30 2001-11-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Ceramic circuit board and method of manufacturing the same
JP2009038386A (ja) * 2008-09-12 2009-02-19 Toshiba Corp 回路基板の製造方法
JP2011020918A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Schott Ag 溶融物を連続的に溶融又は精製する方法及び装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6316116B1 (en) 1999-04-30 2001-11-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Ceramic circuit board and method of manufacturing the same
JP2009038386A (ja) * 2008-09-12 2009-02-19 Toshiba Corp 回路基板の製造方法
JP2011020918A (ja) * 2009-07-15 2011-02-03 Schott Ag 溶融物を連続的に溶融又は精製する方法及び装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3450400B2 (ja) 2003-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10899669B2 (en) Boron aluminum silicate mineral material, low temperature co-fired ceramic composite material, low temperature co-fired ceramic, composite substrate and preparation methods thereof
CN1117707C (zh) 可低温烧结的低损耗介质陶瓷组合物及其制备方法
US4272500A (en) Process for forming mullite
JPH01203270A (ja) 高熱伝導性窒化アルミニウム焼結体及びその製造法
US5145540A (en) Ceramic composition of matter and its use
EP3613718B1 (en) Sintered body, substrate, circuit board, and method of manufacturing a sintered body
KR100477166B1 (ko) 산화물 소결체 및 그 제조방법
EP2189431B1 (en) Aluminum nitride sintered product, method for producing the same and electrostatic chuck including the same
KR20040042856A (ko) 질화알루미늄질 세라믹스, 반도체 제조용 부재 및질화알루미늄 소결체의 제조 방법
EP1640350B1 (en) Composition for ceramic substrate, ceramic substrate, process for producing ceramic substrate and glass composition
JP3450400B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体および窒化アルミニウム多層回路基板
KR102189481B1 (ko) 고주파 소자용 유전체 세라믹스 조성물, 그에 의한 고주파 소자용 세라믹 기판 및 그의 제조방법
EP3560905B1 (en) Transparent aln sintered body and production method therefor
JPH0616477A (ja) 半導体装置実装用低温焼結型磁器の製造方法
US6602623B1 (en) Low-temperature firing ceramic composition, process for producing same and wiring substrate prepared by using same
EP1645551B1 (en) Dielectric ceramic composition, process for producing the same, dielectric ceramic employing it and multilayer ceramic component
JP2018008863A (ja) 誘電体セラミック材料及び誘電体セラミック組成物
JP4533994B2 (ja) プラズマ耐食材料、その製造方法及びその部材
JP2760541B2 (ja) セラミック組成物
JP3749631B2 (ja) BaxSr1−xTiO3−αスパッタリングターゲットおよびその製造方法
CN113800898B (zh) 一种铝电极共烧的低成本低介微波介质陶瓷及其制备方法
JPH01252584A (ja) 複合セラミックス焼結体およびその製造方法
JP4998833B2 (ja) ガラスセラミック基板の製造方法およびガラスセラミック基板
JPH03257071A (ja) 遮光性窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法
JP2016160176A (ja) 低温焼結アルミナセラミックスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080711

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080711

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313114

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080711

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090711

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100711

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110711

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120711

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130711

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term