JP2016160176A - 低温焼結アルミナセラミックスの製造方法 - Google Patents

低温焼結アルミナセラミックスの製造方法 Download PDF

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【課題】 アルミナの低温短時間焼結化を可能とし、また、十分な焼結性を得るために必要な焼結助剤の添加量の低減ができ、熱・機械・誘電特性向上を可能とする低温焼結アルミナセラミックスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 上記課題を解決するために本発明は、アルミナを主成分とし、少なくとも金属成分としてCu、Nbを含む助剤を副成分とする低温焼結アルミナセラミックスの製造方法において、上記低温焼結アルミナの焼成雰囲気における酸素分圧が、焼成プロファイル中の最高保持温度近傍において、0.005atm以上0.21atm未満であることを特徴とする、低温焼結アルミナセラミックスの製造方法とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、低温焼結アルミナセラミックスに関するものであり、アルミナの低温焼結化を可能とし、また、十分な焼結性を得るために必要な焼結助剤の添加量の低減ができ、上記低温焼結アルミナセラミックスの熱・機械・誘電特性向上を可能とする低温焼結アルミナセラミックスの製造方法を提供することを目的とするものである。
従来、半導体IC等を実装する多層セラミック基板には大きく分けて高温焼成タイプのHTCC(High Temperature Co−fired Ceramics)系と低温焼成タイプのLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)系多層セラミック基板に分類できる。HTCC系多層セラミック基板の基材はAlやAlN,BeO,SiC−BeOなどの耐熱性を有する無機粉体を用いたものである。これらのセラミック材料は前記無機粉体を主成分として混合して成形した後、1500℃以上の高温で焼成することによって製造される。このためHTCC系多層セラミック基板の内部に形成される配線用の導体材料としては融点の高いMoやWが用いられている。しかしながら、このMoやWは導体としては導電率が低いという欠点がある。一方、導電率の高く、安価なAgやCuは融点が低く、前記HTCC系多層セラミック基板の焼成温度における焼成では溶融してしまい内層用の配線導体として用いることができない。また、焼結温度が高いということは、高温焼成炉や超高温焼成炉が必要となるため設備費が高騰し、しかもエネルギーコストが必然的に高くなるため、製品価格が高騰する結果を招く。
一方、多層セラミック基板の導体の低抵抗化の要望は高周波域におけるモジュール部品の需要とともに大きくなり、これらの要望を満足するためにアルミナ、フォルステライト等のセラミック原料をAgやCuの溶融しない温度で焼結可能としたものがLTCC系多層セラミック基板である。このLTCC系多層セラミック基板は低温焼成多層セラミック基板とも呼び、前記セラミック原料(母材)に低融点のガラス原料等の焼結助剤を混合することによって低温での焼成を可能としたものであり、例えばアルミナ+ホウケイ酸鉛ガラス系、コージエライト+ホウケイ酸ガラス系およびその他各種の組成系などがある。
これらの組成を有する絶縁体材料はAgやCuの導電率の高い金属との同時焼成を可能とするために1000℃以下の温度で焼成できるように調整している。その結果、高導電率のAgやCuを内部導体として用いることができ、高周波域で用いる高密度実装を実現できる多層セラミック基板としてはこのLTCC系多層セラミック基板(低温焼成多層セラミック基板)が現在主流になってきている。
しかしながら、これらのガラスを用いたLTCC材料では熱伝導率の低いガラス等の焼結助剤を多量(一般には全量の50重量%以上)含むためにアルミナ等のセラミックス本来の高熱伝導性や高強度、良好な誘電特性という特徴は阻害される。特にこのセラミック多層基板の熱伝導率が低下するとパワーアンプのような大きな発熱を伴う半導体素子を高密度に実装してパワーアンプモジュールなどを作製する場合、温度上昇が著しくなり、実用上使用できなくなる。特にこの傾向は小型化が強く要求される携帯型の電子機器等において顕著となる。
これに対して、低融点の焼結助剤の添加量を極力抑え、セラミックス本来の高熱伝導率という特徴を生かしながら低温焼成を可能としたLTCCが開発されている。
特許文献1には、アルミナ(Al)系母材に対して、CuO、Nbを同時に添加し、大気雰囲気で焼成されたものが開示されている。
また、特許文献2には、種々の母材に対して、CuO、TiO、Nbを同時に添加し、大気雰囲気で焼成されたものが開示されている。
特開2004−256384号公報 特開2007−84353号公報
しかしながら、上記特許文献1、2のアルミナセラミックスでは、低温短時間で十分な焼結性が得られないという課題があった。そのため、焼結助剤の添加量を多くせざるを得ず、その場合、母材そのものの特性、つまり熱・機械・誘電特性の劣化度合いが大きいという課題を有していた。
本発明の低温焼結アルミナセラミックスの製造方法は上記課題を解決するものであり、アルミナを主成分とし、少なくとも金属成分としてCu、Nbを含む助剤を副成分とする低温焼結アルミナセラミックスの製造方法において、上記低温焼結アルミナの焼成雰囲気における酸素分圧が、焼成プロファイル中の最高保持温度近傍において、0.005atm以上0.21atm未満であることを特徴とする、低温焼結アルミナセラミックスの製造方法である。
本発明によれば、従来の大気雰囲気で焼成した場合よりもアルミナの低温短時間焼結化が可能となる。そのため、十分な焼結性を得るために必要な上記焼結助剤の添加量の低減ができ、上記低温焼結アルミナセラミックスの熱・機械・誘電特性向上を実現できるものである。
本発明の実施例1における酸素分圧と焼結体密度の関係を示した図 本発明の一実施の形態における低温焼結アルミナセラミックスの製造方法を用いて作成したセラミック電子部品の製造方法を示した模式断面図 本発明の一実施の形態における低温焼結アルミナセラミックスの製造方法を用いて作成したセラミック電子部品の模式断面図 本発明の実施例1における各酸素分圧でのCuKα線によるX線回折パターンを示した図
以下、本発明の低温焼結アルミナセラミックスの製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図2(a)〜図2(c)は本発明の一実施の形態における低温焼結アルミナセラミックスの製造方法を用いて作成したセラミック電子部品の製造方法を説明するための模式断面図であり、図3は上記製造方法にて作製されたセラミック電子部品の模式断面図である。
なお、本実施の形態ではセラミック誘電体組成物層としてコンデンサやコイルをセラミック多層基板の内層に内蔵したセラミック多層基板を例にとって説明する。
まず始めに、セラミック誘電体組成物層を作製するために主成分として0.01〜10μmの平均粒子径を有するアルミナ(酸化アルミニウム)を全量に対して80〜99.5%重量%、0.01〜10μmの平均粒子径を有する焼結助剤組成物0.5〜20重量%を配合する。なお、上記焼結助剤組成物はCuO、TiO、Nbにより構成されるが、上記酸化物に限らず、硝酸塩、酢酸塩、錯体等の種々の化合物として金属成分を配合することができる。
さらに、このセラミックス誘電体組成物100重量部に対して、水を50〜300重量部配合し、1〜5mmφの高純度アルミナを分散メディアとして使用してボールミル混合を12〜72hr行った後、セラミック組成物からなるスラリーをボールミルより取り出し乾燥する。
次に、乾燥後のセラミック組成物100重量部に対して、PVBなどの樹脂バインダー5〜15重量部、酢酸ブチル、アルコールなどの分散媒40〜120重量部、DBP,BBPなどの可塑剤2〜12重量部、さらに必要に応じて消泡剤、分散剤を少量配合し、10mmφの高純度アルミナを使用したボールミル分散を12〜72hr行ってセラミックスラリーを作製する。
次に、得られたセラミックスラリーをダイコーティング装置などのシート成型機によって離型処理されたPETフィルムなどのキャリアフィルム上に所定の厚みに塗布し、その後、乾燥炉で乾燥して図2(a)に示すセラミックス誘電体組成物層であるセラミックグリーンシート201を作製する。
次に、上記セラミックグリーンシート201に必要に応じてパンチング加工あるいはレーザ加工により所定の位置に穴開け加工を行った後、スクリーン印刷などによってAgあるいはCuを主成分とする導電性ペーストを用いて穴開け加工されたビアホール内に充填塗布し、ビア電極202を形成する。
その後、セラミックグリーンシート201にAgあるいはCuを主成分とする導電性ペーストを用いてスクリーン印刷法などにより、設計された回路パターンの配線電極203を形成する。
次に、それぞれに印刷形成された配線電極203を有するセラミックグリーンシート201を図2(a)に示すように所定の設計になるように位置合わせを行いながら積層、加圧し、図2(b)に示すような無機材料組成物層と電極層が交互に積層された積層体204を形成する。この積層体204の大きさは通常50〜200mm□であり、積層体204はマトリックス状に所定のセラミック多層基板301を多数個作製することができる。
また、この積層体204の内層部に所定の面積を有する配線電極203を、セラミックグリーンシート201を介して対向するように配置することによりコンデンサ205を内蔵することができる。さらに、この配線電極203を積層することにより、より大容量のコンデンサ205を内蔵することも可能である。
また、配線電極203をセラミックグリーンシート201に形成したビア電極202を介してスパイラル構造のコイル207を内蔵させることも可能である。これらのコンデンサ205およびコイル207を内蔵させることによって高密度実装可能なセラミック多層基板301を実現することができる。
次に、前記積層体204に銀を主成分とする導電性ペーストを用いて表層電極206を形成する。その後積層体204を積層体204の垂直方向に所定の圧力で加圧し、積層体204を積層圧着する。
なお、この積層および加圧の際の温度は常温〜100℃であり、圧力は20〜1000kgf/cmで行うことが好ましい。
その後、積層圧着された積層体204を切断して個片化し、この個片化された積層体204を400〜600℃の温度で脱バインダー処理を行う。
次に、焼成工程として最高保持温度850〜1050℃(導体がAgの場合は850〜950℃、導体がCuの場合は850〜1050℃)、最高温度での保持時間0.01〜100時間の焼成を行う。ここで、最高保持温度近傍における酸素分圧が0.005atm以上であり、0.21atm未満であることが重要である。なぜなら鋭意検討の結果、少なくともCuO、TiO、Nbを助剤とする系において、酸素分圧が上記助剤の融点および生成化合物に大きな影響を与えることをはじめて明らかにしたからである。なお、上記最高保持温度近傍とは焼結による緻密化がはじまる、つまり密度が上昇しはじめる温度以上であることを指す。
以下に詳細を説明する。まず、融点に関して、大気雰囲気における酸素分圧である0.21atmよりも高酸素分圧の場合、融点は上昇する。そして0.21atmよりも低酸素分圧の場合、融点が低下することが判明している。そして助剤の融点の低いほうがアルミナの液相焼結を促進するため、低温焼結化に有利である。
一方で、生成化合物に関して、大気雰囲気において助剤の最高保持温度付近ではCuKα線を用いたX線回折測定法(XRD)でCu−Ti−Nb−O系複合酸化物を生成し、この結晶相によるメインピークが2θ=33.85±0.10°を有する。大気雰囲気における酸素分圧である0.21atmよりも高酸素分圧の場合、上記Cu−Ti−Nb−O系複合酸化物が生成する。そして0.21atmよりも低酸素分圧の場合も、あるしきい値、つまり0.005atmまでは上記Cu−Ti−Nb−O系複合酸化物が生成する。そして上記複合酸化物を生成することがアルミナ中でのイオンの拡散速度を上昇させ、アルミナの焼結が促進することが判明している。あるしきい値、つまり0.005atmよりも低酸素分圧となると上記複合酸化物の生成割合が極端に低下もしくは全く生成しなくなり、アルミナの焼結の促進度合いが悪化する。
このように本系において焼成雰囲気の違いによる「助剤の融点および生成化合物の種類」と「焼結性」に顕著な相関があらわれることを発明者の鋭意検討の結果、はじめて明らかにした。そして、低温焼結化を促進する焼成条件が、上記Cu−Ti−Nb−O系複合酸化物を生成できる酸素分圧以上であり、かつ融点を低下させるべく大気雰囲気よりも低酸素分圧であることを見出し、大気雰囲気よりも良好な焼結性を得ることができた。この部分が本発明の特徴的な点である。
このセラミック多層基板301の相対密度は90%以上である。このようなセラミック多層基板301において、セラミックス誘電体組成物層の組成を実現することにより、焼成温度を低下させ、保持時間を減少させることができるため、省エネルギー化および電極材料に導電性に優れたAgやCuを主成分として利用することができる。また、焼結性が向上することによって十分な焼結性を得るために必要な焼結助剤の添加量の低減ができ、純アルミナに近づけることができる。そのため上記低温焼結アルミナセラミックスの熱伝導率・機械的強度・誘電特性向上を実現できる。特に、熱特性に関して、より高熱伝導性を有するセラミック多層基板301を実現することができ、発熱性の高い半導体デバイスを実装する小型のパワーアンプモジュール等に最適なセラミック多層基板301を提供することができる。
次に、図3に示すように前記の方法によって作製したセラミック多層基板301の表層にパワーアンプやLEDなどの半導体部品302や内層に形成することの困難な高容量コンデンサ303を実装することにより、小型のセラミック電子部品を実現することができる。
このようなセラミック多層基板301を実現することにより、例えば従来のパワーアンプモジュールと比較して放熱のための金属導体配線であるサーマルビアの数を減らす、あるいはサーマルビアを用いないことで回路設計の自由度が増すと同時に配線空間の制約が緩和されるため、各種モジュールのさらなる小型化を実現でき、ひいては通信機器の小型化・多機能化が可能になる。
以下、実施例に基づいて低温焼結アルミナセラミックスの製造方法について詳細に説明する。
なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
母材として酸化アルミニウム(Al)を95重量%、焼結助剤としてCuO、TiO、Nbを金属モル比でCu:Ti:Nb=4:1:4の割合で合計5重量%配合し、ボールミルにて16時間混合・乾燥し、試料番号1〜11の11種類の低温焼結アルミナセラミックス組成物の粉体を作成した。上記粉体にバインダーであるPVA樹脂及び水を所定量加えて、乳鉢を用いて造粒を行い、乾燥後、75MPaの一軸加圧により円柱状の成形体を作成した。成形体の脱バインダーを行った後、焼成を行った。昇温速度を600℃/h、最高温度を900℃、最高温度における保持時間を2h、降温速度を600℃/hとした。試料番号1については大気ガス、試料番号2については酸素ガス、試料番号3〜10については窒素と酸素の混合ガス、試料番号11については窒素ガスとし、全ガス流量を0.5L/min.とした。得られた焼結体のかさ密度を測定した。
また、焼結助剤のみの粉体を上記条件と同じ条件で熱処理し、熱処理後の溶融状態を目視観察し、溶融痕が認められるときを○、認められないときを×とした。試料番号1、2、11についてはDTA(示差熱分析)による吸熱ピークより融点を測定した。
また、焼結助剤のみの粉体を上記条件と同じ条件で熱処理し、熱処理後の生成化合物をXRDにて同定した。メインピークが2θ=33.85±0.10°であるCu−Ti−Nb−O系複合酸化物(CuTiNb16と推定される)が最強ピークであったときを○、上記複合酸化物が認められるものの最強ピークではなかったときを△、上記複合酸化物が認められなかったときを×とした。
Figure 2016160176
結果を(表1)及び(図1)、(図4)を用いて説明する。
酸素分圧が0.21atmである大気ガス中で焼成した試料番号1の密度が3.61g/cmであったのに対し、酸素分圧が1.0、0.5atmである試料番号2、3の密度はそれぞれ3.39、3.51g/cmと大気ガス中よりも低密度であった。
酸素分圧を低下させ、0.2、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005atmである試料番号4〜9の密度はそれぞれ3.66、3.73、3.79、3.74、3.75、3.64g/cmと大気ガス中よりも高密度で、アルミナの理論密度である3.99g/cmの90%(3.60g/cm)以上の値であり、緻密化が進行していることがわかった。特に、図4に示すように、生成相に関して、メインピークが2θ=33.85±0.10°であるCu−Ti−Nb−O系複合酸化物(CuTiNb16と推定)が主生成相であった試料番号4〜8の範囲でより高密度であり、特に効果のあることがわかった。
さらに酸素分圧を低下させ、0.002atmとした試料番号10、および酸素分圧は不明であるが少なくとも酸素分圧が0.002atm未満である窒素のみの雰囲気で焼成した試料番号11の密度はそれぞれ3.42、3.34g/cmと大気ガス中よりも低密度であった。このとき、図4より、上記Cu−Ti−Nb−O系複合酸化物は主生成相ではなく、特に試料番号11のときは全く生成していなかった。
また、助剤の融点に関しても、0.02atm以上のときは熱処理後の粉体に溶融痕が認められなかったが、0.01atm以下のとき、熱処理後の粉体には溶融痕が認められ、容器からの剥離が困難な傾向にあった。この傾向は酸素分圧が低くなるとともに顕著になった。つまり、酸素分圧の低下とともに融点が低下する傾向が伺えた。現実に、DTAによって測定した試料番号2、1、11の融点はそれぞれ1000、970、850℃であり、上記傾向と矛盾しなかった。
このように焼成時の酸素分圧を制御し、助剤の融点を低下させつつもCu−Ti−Nb−O系複合酸化物相を生成させることが焼結性向上につながることを本実施例にて明らかにした。
母材として酸化アルミニウム(Al)を95重量%、焼結助剤としてCuO、TiO、Nb、AgOを金属モル比でCu:Ti:Nb:Ag=4:1:4:4.8の割合で合計5重量%配合し、ボールミルにて16時間混合・乾燥し、試料番号12〜22の11種類の低温焼結アルミナセラミックス組成物の粉体を作成した。上記粉体にバインダーであるPVA樹脂及び水を所定量加えて、乳鉢を用いて造粒を行い、乾燥後、75MPaの一軸加圧により円柱状の成形体を作成した。成形体の脱バインターを行った後、焼成を行った。昇温速度を600℃/h、最高温度を850℃、最高温度における保持時間を2h、降温速度を600℃/hとした。試料番号12については大気ガス、試料番号13については酸素ガス、試料番号14、15については窒素と酸素の混合ガス、試料番号16については窒素ガスとし、全ガス流量を0.5L/min.とした。評価は実施例1と同様に行った。
Figure 2016160176
結果を(表2)を用いて説明する。
酸素分圧が0.21atmである大気ガス中で焼成した試料番号12の密度が3.47g/cmであったのに対し、酸素分圧が1.0atmである試料番号13の密度はそれぞれ3.49g/cmと大気ガス中と同程度の値であった。
酸素分圧を低下させ、0.2、0.005atmである試料番号14、15の密度はそれぞれ3.60、3.60g/cmと大気ガス中よりも高密度で、アルミナの理論密度である3.99g/cmの90%(3.60g/cm)以上の値であり、助剤としてさらにAg成分であるAgOを添加することで850℃というより低温で緻密化が進行していることがわかった。なお、上記試料番号14、15について他の条件は変えずに最高温度を実施例1と同じ900℃とした場合の密度はそれぞれ3.81、3.82g/cmであり、実施例1よりもさらに緻密化が進んでいることがわかった。
さらに酸素分圧を低下させ、酸素分圧は不明であるが少なくとも酸素分圧が0.005atm未満である窒素のみの雰囲気で焼成した試料番号16の密度は3.13g/cmと大気ガス中よりも低密度であった。
また、助剤の融点に関しても、DTAによって測定した試料番号13、12、16の融点はそれぞれ875、865、830℃であった。実施例1に示したAg成分無添加の系よりは酸素分圧による融点の変化度合いは小さかったものの、酸素分圧の低下とともに融点が低下する傾向が伺えた。
このように、実施例1に対してさらに金属成分としてAgを添加した本系においても、焼成時の酸素分圧を制御することが焼結性向上につながることを本実施例にて明らかにした。
本発明は、低温短時間で良好な焼結性を有する低温焼結アルミナセラミックスの製造方法であり、本発明を用いることにより、パワーアンプやLED等の発熱する半導体を実装した高放熱セラミック電子部品の基板等に有用である。
201 セラミックグリーンシート
202 ビア電極
203 配線電極
204 積層体
205 コンデンサ
206 表層電極
207 コイル
301 セラミック多層基板
302 パワーアンプやLEDなどの半導体部品
303 高容量コンデンサ部品

Claims (4)

  1. アルミナを主成分とし、少なくとも金属成分としてCu、Nbを含む助剤を副成分とする低温焼結アルミナセラミックスの製造方法において、上記低温焼結アルミナの焼成雰囲気における酸素分圧が、焼成プロファイル中の最高保持温度近傍において、0.005atm以上0.21atm未満であることを特徴とする、低温焼結アルミナセラミックスの製造方法。
  2. 上記助剤がさらに金属成分としてTiを含む、請求項1に記載の低温焼結アルミナセラミックスの製造方法。
  3. 上記助剤がさらに金属成分としてAgを含む、請求項1または2に記載の低温焼結アルミナセラミックスの製造方法。
  4. 上記助剤を熱処理したときのCuKα線によるX線回折で2θ=33.85±0.10°にメインピークをもつ化合物が主生成相である、請求項1〜3に記載の低温焼結アルミナセラミックスの製造方法。
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