JPH07171378A - マイクロカプセル化難燃剤 - Google Patents

マイクロカプセル化難燃剤

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JPH07171378A
JPH07171378A JP34405793A JP34405793A JPH07171378A JP H07171378 A JPH07171378 A JP H07171378A JP 34405793 A JP34405793 A JP 34405793A JP 34405793 A JP34405793 A JP 34405793A JP H07171378 A JPH07171378 A JP H07171378A
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flame retardant
microencapsulated
melamine
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water
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JP34405793A
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Toshitsugu Hosokawa
敏嗣 細川
Masahiro Hata
昌宏 畑
Hiroshi Yamamoto
拓 山本
Naoki Matsuoka
直樹 松岡
Koichi Nakamura
公一 中村
Takio Ito
滝男 伊藤
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤が芯
物質とされ、この芯物質の周囲に多価イソシアネートと
水との重付加反応によって形成される重合体とメラミン
〜ホルムアルデヒド樹脂或いはその変性樹脂との複合体
からなる壁膜が被覆される。前記芯物質には前記難燃剤
とともに無機酸化物、水酸化物、硼酸塩の中から選択さ
れる少なくとも一種の化合物が含有されていてもよい。
また、前記難燃剤としては、有機ハロゲン化合物又は有
機リン化合物が使用される。 【効果】 耐熱性が良好で、内包物質(難燃剤)の分解
や揮発の抑制、さらには耐溶剤性にも優れ、家電製品や
エンジニアリングプラスチック以外に、接着剤や塗料、
電気絶縁ワニスなどの溶剤を含む製品分野や、溶剤を使
用する湿式成形の技術分野にも応用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はマイクロカプセル化難
燃剤に係り、その目的は、耐熱性が極めて良好で、しか
も内包物質(難燃剤)の分解や揮発を抑制し、且つ耐溶
剤性にも優れるなど、家電製品やエンジニアリングプラ
スチック以外に、接着剤や塗料、電気絶縁ワニスなどの
溶剤を含む製品分野や、粘着剤、種々のフィルムの等、
溶剤を使用する湿式成形の技術分野にも応用することの
できる優れたマイクロカプセル化難燃剤を提供すること
にある。
【0002】
【発明の背景】プラスチックは、建材、家庭用品、電気
製品、電線被覆など非常に多くの日用品に多量に使用さ
れている。プラスチックの中には、それ自体燃えにくい
ものもあるが、多くのプラスチックは可燃性で、火がつ
くと炎を上げて燃え、且つ熱量も大きいので火災の際に
は従来の木材や布以上に危険である。このような火災に
対する危険性、さらには環境問題への関心の高まりか
ら、近年、高分子製品の難燃性に対する規制が、製品、
或いは用途別に強化されつつある。難燃性の規格で重要
なものとして、米国のUL規格が存在する。これは、民
間機関の規格ではあるが、米国では大きな規制力を持っ
ているので、対米輸出(テレビ等)の盛んな日本の家電
製品などでは、UL規格に合格することが大きな課題と
されている。
【0003】
【従来の技術】難燃剤としては、水酸化アルミ、三酸化
アンチモン等の無機系難燃剤と、塩素化パラフィン、デ
カブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、ハロゲ
ンリン酸エステル等の有機系難燃剤とが存在していた。
また、これらの難燃剤は、使用法により、樹脂の成型、
加工時に添加して使用する添加型難燃剤と、樹脂の製造
時にその構成成分の一つとして加えたり、硬化剤として
使用し、樹脂の成分の一つとする反応型難燃剤とに区別
される。
【0004】水酸化アルミ等の無機系難燃剤は、有毒ガ
ス発生の恐れがなく、しかも比較的低コストであるため
広く使用されているが、無機系難燃剤のみの添加による
難燃化では、比較的大量の添加が必要とされ、この添加
によってプラスチックの特性が低下しやすく、その用途
が限定されてしまうなどの問題があった。さらに、ハロ
ゲン系、リン系等の有機系難燃剤では、熱分解により生
じる不燃性ガスが、周辺の金属材料の腐食を招いたり、
周辺環境に強い刺激臭をもたらしてしまうという問題が
あった また、難燃剤の配合により、経時的に難燃剤が樹脂成形
体表面に滲み出し、脱落して難燃性が低下したり、或い
は接着剤に使用する際には接着不良などの重大な問題を
生じるなどの欠点があった。
【0005】そこで、このような問題を解決するため
に、難燃剤を芯物質として内包させたマイクロカプセル
を樹脂組成物中に配合する技術が、特公昭55−121
39号公報、特公昭55−30540号公報、特公昭5
6−15738号公報、特公昭61−11977号公
報、特開昭61−145237公報、特開昭61−17
9241公報、特開昭55−118988公報、特開平
4−249550号公報等においてそれぞれ開示されて
いる。すなわち、特開昭61−145237号公報、特
開昭61−172941号公報、特開平4−24955
0号公報では、有機ハロゲン化物等の難燃性化合物を、
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等
のホモポリマー、ナイロン、セルロース、アラビアゴ
ム、ゼラチン、セルロースアセテート等の材料でカプセ
ル化してなるポリマー材料の難燃化方法或いはカプセル
型難燃剤がそれぞれ開示されていた。また、特開昭55
−118988号公報では、難燃性化合物を、アクリロ
ニトリル、塩化ビニリデン、アクリル酸等の重合性単量
体に溶解し、これを懸濁重合させて微粒状の難燃剤を得
る方法が開示されていた。さらに、特公61−1197
7号公報、特公55−30540号公報、特公昭56−
15738号公報においては、固体の有機難燃剤を微細
な粉末とし、これをメラミン−ホルムアルデヒド樹脂や
ポリウレタン樹脂等の、それ自体は耐溶剤性、熱安定性
に優れる皮膜形成樹脂によりコーティング又はマイクロ
カプセル化する難燃性樹脂組成物が開示されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61−145237号公報、特開昭61−1729
41号公報、特開平4−249550号公報開示の技術
では、マクロカプセルの壁膜がアラビアゴム、ゼラチ
ン、セルロースアセテート、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリスチレン等から形成されているので、熱時にお
ける内包物質(難燃剤)の保護が充分ではないという課
題が存在した。また特開昭55−118988号公報開
示の難燃性化合物を重合性単量体に溶解し、懸濁重合さ
せる方法では、得られる生成物はマイクロカプセルでは
なく、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン等の
微粒子マトリックス中に難燃性化合物が均一に分散し、
若しくは溶解した構造の球状物であるため、熱時におい
て容易に内包物質の揮散、分解が生じるという課題が存
在した。また、特公61−11977号公報、特公55
−30540号公報、特公昭56−15738号公報開
示の技術では、これら公報開示のメラミン−ホルムアル
デヒド樹脂やポリウレタン樹脂等からin−situ重
合によってカプセル化皮膜を形成し、この皮膜によって
固体の難燃剤を内包したマイクロカプセルを得る場合に
は、芯物質となる難燃剤の周囲に、シームレスなカプセ
ル皮膜を形成させることが困難となり、得られたマイク
ロカプセルには充分な耐熱性が発現されないという課題
が存在した。さらに、これら開示の技術では、難燃剤と
していずれも固体粉末状の難燃剤を使用しており、耐溶
剤性機能が充分ではなく、接着剤や塗料、電気絶縁ワニ
ス等の溶剤を使用する湿式成形の技術分野では応用しに
くいという課題も存在した。
【0007】そこで業界では、樹脂成形時等の熱時にお
いて、内包物質(難燃剤)の分解、や揮発の抑制に極め
て優れ、熱に対して良好な安定性を示し、且つ配合され
た樹脂の諸特定を低下させることがなく、しかも耐溶剤
性に優れ、家電製品やエンジニアリングプラスチック以
外に、接着剤や塗料、電気絶縁ワニスなどの溶剤を含む
製品分野や、粘着剤、種々のフィルムの等、溶剤を使用
する湿式成形の技術分野にも応用することのできる優れ
たマイクロカプセル化難燃剤の創出が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明では常温で液状
の疎水性物質からなる難燃剤が芯物質とされ、この芯物
質の周囲に多価イソシアネートと水との重付加反応によ
って形成される重合体とメラミン〜ホルムアルデヒド樹
脂或いはその変性樹脂との複合体からなる壁膜が被覆さ
れてなることを特徴とするマイクロカプセル化難燃剤を
提供することにより、前記従来の課題を悉く解消する。
【0009】
【発明の構成】以下、この発明に係るマイクロカプセル
化難燃剤の構成について詳述する。この発明では、常温
で液状の疎水性物質、すなわち水に非混和性の物質から
なる難燃剤が、マイクロカプセルの芯物質として使用さ
れる。この発明において、「常温で液状の疎水性物質」
とは、それ自体単独で常温で液状の疎水性物質の難燃剤
であるほか、常温では固体の難燃剤であるが、これを適
宜の水非混和性の有機溶媒に溶解させ、又は分散させて
得られる液状の混合物をも含むものである。この難燃剤
としては、従来より知られている、有機ハロゲン化合
物、有機リン化合物、含アンチモン化合物、ホウ素化合
物等がいずれのものでも特に限定されることなく、好適
に使用される。
【0010】具体的には、有機ハロゲン化合物として
は、例えば塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素
化エタン、塩素化ポリエチレン、パークロロシクロペン
タデカノン、テトラクロロビスフェノールA等塩素系化
合物、臭素化パラフィン、デカブロムジフェニルオキサ
イド、オクタブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロ
モシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタ
ン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビ
ステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、
ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロモビス
フェノールA、トリス(2,3−ジブロモプロピル−
1)イソシアヌレート、トリブロモフェノールアリルエ
ーテル、ブロム化ポリスチレン、トリブロモネオペンチ
ルアルコール、ジブロムジクロルプロパン、ジブロムテ
トラフルオロエタン等の臭素系化合物が好適な実施例と
して例示される。
【0011】また、有機リン化合物としては、トリフェ
ニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェー
ト(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TX
P)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、キ
シレニルジフェニルホスフェート(XDP)、レゾシノ
ール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、2−エチル
ヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホス
フェート、トリアリルホスフェート(レオホス)、アル
キルホスフェート等のリン酸エステル、トリスクロロエ
チルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェー
ト、トリス−β−クロロプロピルホスフェート、トリス
(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブ
ロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオ
ペンチル)ホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェネート等の
含ハロゲンリン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステ
ル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等縮合リン酸エステ
ル、ポリリン酸アンモニウム、ポリクロロホスファイト
等のポリリン酸塩化合物が好適な実施例として例示され
る。含アンチモン化合物としては、塩化アンチモン、三
酸化アンチモン等が例示される。この発明においては、
「常温で液状の疎水性物質」であれば、上記公知の難燃
剤のいずれでも限定されることなく好適に使用すること
ができるが、より望ましくは有機ハロゲン化合物又は有
機リン化合物の中から選択される難燃剤を使用すると、
カプセル化されている状態で各種樹脂に配合された場合
でも、燃焼によるカプセルの破壊後、優れた難燃効果を
発揮するため好ましい。
【0012】また、前記難燃剤のうち、常温で個体のも
のを溶解又は分散させる水非混和性の有機溶媒として
は、四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエタン、メ
チルクロライド、トリクレン、パークレン、ジクロルメ
タン、四塩化エタン、臭化メチル、テトラブロムエタ
ン、クロルベンゼン、ジブロムベンゼン、トリクロルフ
ルオロエタン等のハロゲン系溶媒が好適に例示される
が、特に限定はされない。
【0013】さらに、この発明の芯物質としては、前記
常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤とともに、無機
酸化物、水酸化物、硼酸塩からの中から選択される少な
くとも一種の化合物が含有されていてもよい。これら無
機酸化物、水酸化物、硼酸塩等は、常温において固体で
あっても、或いは液状であってもよく、例えば常温で液
状の疎水性物質からなる難燃剤に、無機酸化物、水酸化
物、硼酸塩から選ばれる一種の化合物が含有されたスラ
リーであってもよい。また、これら無機酸化物、水酸化
物、硼酸塩等が固体であるときは、その粒径が、生成し
ようとするマイクロカプセル化難燃剤の粒径よりも小さ
いことが必要とされ、通常、粒径50μm以下の化合物
が好ましく使用される。
【0014】この発明において、無機酸化物、水酸化
物、硼酸塩としては、マグネシウム、、アルミニウム、
スズ、アンチモン、ビスマス、チタン、鉄、亜鉛、モリ
ブデン等の金属の酸化物、水酸化物及び硼酸塩が用いら
れる。具体的には、例えば三酸化アンチモン、五酸化ア
ンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硼酸亜
鉛等が好ましく用いられる。以上のような無機酸化物、
水酸化物、硼酸塩は、前記難燃剤とともに配合されるこ
とによって難燃剤がもつ難燃化機能を飛躍的に高めるこ
とにより、より低い濃度で材料の難燃化を可能とする。
これら、常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤と、無
機酸化物、水酸化物、硼酸塩の中から選択された少なく
とも一種の化合物との配合比率としては、特に限定はさ
れないが、通常常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤
100重量部に対して、10〜50重量部程度の無機酸
化物、水酸化物又は硼酸塩の中から選択される化合物が
配合されていればよい。
【0015】この発明のマイクロカプセル化難燃剤で
は、前記難燃剤又は難燃剤と無機酸化物、水酸化物、硼
酸塩の少なくとも一種とからなる芯物質の周囲に、多価
イソシアネートと水との重付加反応によって形成される
重合体とメラミン〜ホルムアルデヒド樹脂或いはその変
性樹脂との複合体からなる壁膜が被覆される。
【0016】この発明において、「複合体」とは、多価
イソシアネートと水との重付加反応により形成される重
合体、すなわちポリウレア樹脂と、メラミン〜ホルムア
ルデヒド樹脂或いはその変性樹脂とが、相分離状態若し
くは混合状態(IPN構造、若しくは両樹脂セグメント
間が共有結合により一体化した構造)で複合化している
ものを指し、これら構造を有するものであればいずれの
ものでも採用できるが、より望ましくは、ポリウレア樹
脂からなる皮膜を内壁膜とし、この内壁膜の周囲にメラ
ミン〜ホルムアルデヒド樹脂或いはその変性樹脂からな
る皮膜が外壁膜として被覆されて構成される2層構造壁
膜が、内包物質(難燃剤)の保持能力、耐熱性、機械安
定性に極めて優れているため、好ましく採用される。ま
た、このような2層構造壁膜の場合、ポリウレア樹脂と
メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂との両樹脂間に明確な
界面が存在していても、或いは界面付近が前述したIP
N構造や共有結合により一体化した混合状態になってい
ても、いずれであってもよい。
【0017】この発明において用いる多価イソシアネー
トとは、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する
化合物を意味し、具体例としては、例えばm−フェニレ
ンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシ
アネート、ジフェルメタン−4,4'-ジイソシアネー
ト、3,3' −ジメトキシ−4,4−ビフェニルジイソ
シアネート、3,3' −ジメチルジフェニルメタン−
4,4'-ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイ
ソシアネート、4,4' −ジフェニルプロパンジイソシ
アネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシ
アネート、ブチレン-1,2- ジイソシアネート、シクロヘ
キシレン-1,2- ジイソシアネート、シクロヘキシレン−
1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート、p−
フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4
−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネ
ートのようなトリイソシアネート、4,4' −ジメチル
ジフェニルメタン−2,2' 5,5' −テトライソシア
ネートのようなテトライソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物、
2,4−トリレンジイソシアネートとプレンツカテコー
ルとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサント
リオールとの付加物、トリレンジイソシアネートとトリ
メチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシア
ネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ヘキサメ
チレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付
加物、トリフェニルジメチレントリイソシアネート、テ
トラフェニルトリメチレンテトライソシアネート、ペン
タフェニルテトラメチレンペンタイソシアネート、リジ
ンイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等
の脂肪族多価イソシアネートの三量体のようなイソシア
ネートプレポリマーを挙げることができる。
【0018】この発明においては、前述した多価イソシ
アネート化合物のうち、特にプレポリマー類が、芯物質
の内包特性が良好であるため好ましく用いられる。具体
的には、例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロ
ールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネート
とトリメチロールプロパンとの付加物等が好ましく用い
られる。また、ヘキサメチレンジイソシアネート等のよ
うな脂肪族多価イソシアネートの三量体も好ましく用い
られる。
【0019】この発明において、これらのプレポリマー
類が特に優れた内包物質の保持性を発現する理由は明ら
かではないが、トリレンジイソシアネート、ジフェニル
メタンジイソシアネート等の低分子量化合物を用いたと
きは、厚く強度のある壁膜が形成されないことがあり、
一方、プレポリマー類は造膜性に優れるためであると推
察される。
【0020】この発明において、メラミン〜ホルムアル
デヒドプレポリマーとしては、メラミン1モルに対して
ホルムアルデヒドを1.2モル以上、好ましくは1.5
〜3.5モルをアルカリ性で付加させたプレポリマーが
使用され、通常、モノメチロールメラミンからヘキサメ
チロールメラミンの混合物が好適に使用される。また、
例えばメチル化、ブチル化等の変性メラミン樹脂も使用
することができ、さらにフェノール類、ベンゾグアナミ
ン、尿素等での変性樹脂も使用可能で、水溶性であれば
メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリマーと同様に使用
される。メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂と上記変性剤
との比は重量でメラミン(単体)1に対して0.5〜
1.5とされるのが好ましい。また、市販品としては、
例えばスミズ−スレジン615(住友化学工業(株)
製)、スミレ−スレジン613(住友化学工業(株)
製)、スミレ−スレジン607(住友化学工業(株)
製)、ユーラミンT−33(三井東圧化学(株)製)、
ユーラミンT−34(三井東圧化学(株)製)、ユーラ
ミンP−6300(三井東圧化学(株)製)等が使用さ
れる。
【0021】次に、この発明に係るマイクロカプセル化
難燃剤の製造方法について説明する。まず、前述したよ
うな常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤(無機酸化
物、水酸化物及び硼酸塩から選ばれる少なくとも一種の
化合物を含むスラリーであってもよい)を芯物質とし、
この芯物質に多価イソシアネートを溶解して油相とす
る。ここで、芯物質中に溶解させる多価イソシアネート
の重量比としては、芯物質100重量部に対して、多価
イソシアネートを1〜20重量部程度溶解させるのが好
ましい。次いで、この油相を水相中に1〜500μmの
粒径を有する多数の油滴として分散させ、O/W型(油
相/水相)エマルジョンを調製するか、又はS/O/W
型(固相/油相/水相型)エマルジョンを調製する。こ
こで、油相と水相との比率としては、油相100重量部
に対して水相80〜1000重量部程度調製するのが好
ましいが、特に限定はされない。このようにして得られ
たエマルジョンを加熱すると、水相と油相との界面にお
いて、多価イソシアネートと水との間での重付加反応が
起こり、ポリウレア樹脂の皮膜からなる壁膜が芯物質の
周囲に形成される。続いて、この分散液の水相に対し
て、水溶性メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリマーを
添加し、系のpHを3〜5に調整して加熱することによ
り、前記ポリウレア樹脂の皮膜からなる壁膜の外側に、
架橋メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂の皮膜からなる壁
膜が外壁として形成され、ポリウレア樹脂皮膜と架橋メ
ラミン〜ホルムアルデヒド樹脂皮膜との2層複合壁膜を
持つマイクロカプセルを得ることができる。
【0022】また、他の方法としては、前述の方法によ
り得られるO/W型エマルジョン若しくはS/O/W型
エマルジョンの水相に対して、水溶性メラミン〜ホルム
アルデヒドプレポリマーを添加し、系のpHを3〜5に
調整して加熱し、水相と油相との界面において、多価イ
ソシアネート水との間での重付加によるポリウレア内壁
膜と、メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリマーの重縮
合による架橋メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂外壁膜と
を連続的に形成する方法を例示することができる。
【0023】また、この発明においては、上記の多価イ
ソシアネートと水との間の重付加反応を促進するため
に、前述した水相又は油相中に適宜の触媒を加えてもよ
い。このような触媒としては、例えばテトラメチルブタ
ンジアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン
等のアミン系物質、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,
O〕ウンデセン−7,1,4−ジアザビシクロ〔2,
2,2〕オクタン等のDBU系、オクトエ酸スズ、N−
エチルモルフォリン、ジブチルスズフタレート、トリエ
チルアミン、N,N,N',N' −テトラメチル−1,3
−ブタンジアミン、ジブチルスズジ(2−エチルヘキソ
エート)、2−エチルヘキソエート鉛、O−フェニルソ
ーダ、オレイン酸カリウム、硝酸ビスマス、チタン酸2
−エチルヘキシル、塩化スズ、塩化鉄、2−エチルヘキ
ソエート鉄、2−エチルヘキソエートコバルト、ナフテ
ン酸亜鉛、アンチモントリクロリド、1,8−ジアザビ
シクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7とフェノールの塩
等を好適な実施例として例示することができるが、特に
限定はされない。
【0024】この発明において、特に芯物質である難燃
剤を、常温で液状の疎水性物質としている理由は、マイ
クロカプセル製造時、前記水相と油相との界面における
重付加反応において、水相から油相への水や触媒の拡散
や、油相中での多価イソシアネートの拡散が充分に行な
われ、芯物質の保持能力に極めて優れた、緻密な壁膜を
形成させることができるからである。これに対して、芯
物質として固体状の難燃剤と使用した場合では、このよ
うな緻密な壁膜を形成させることができない。また、こ
の発明のマイクロカプセル化難燃剤において、特に壁膜
の構成成分の一つとしてポリウレア樹脂を使用するの
は、in−situ重合による架橋メラミン〜ホルムア
ルデヒド樹脂壁膜形成の際、油相/水相界面にポリウレ
ア樹脂からなる皮膜が存在することにより、このポリウ
レア皮膜の周囲に、外壁膜として架橋メラミン〜ホルム
アルデヒド樹脂の皮膜を均一に形成させることができる
からである。
【0025】この発明では、特に芯物質を内包する壁膜
としてポリウレア樹脂とメラミン〜ホルムアルデヒド樹
脂との複合体を使用するのは、この複合体が極めて緻密
な膜構造と耐熱性を併有しており、熱時における芯物質
の保持能力が極めて優れているため、揮発性のある難燃
剤の保護に極めて有効な壁膜となるからである。さら
に、一般に有機ハロゲン系難燃剤は、高温(150℃以
上)環境下では分解を生じ、有毒なハロゲン化水素ガス
を発生することが知られているが、前述した複合体から
なる壁膜によりマイクロカプセル化された有機ハロゲン
系難燃剤では、高温下での分解が著しく抑制されるから
である。
【0026】以上のようにして得られたマイクロカプセ
ル化難燃剤は、油相を水相に分散させるに際して、適宜
の保護コロイド剤を用いることができる。使用できる保
護コロイド剤としては、水溶性高分子化合物や水不溶性
無機微粉末を例示することができる。具体的には水溶性
高分子化合物としては、例えばカルボキシメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロール、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ア
ラビアガム、ゼラチン、メチルビニルエーテル−無水マ
レイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合
体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン
−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができ、無機
微粉末としてはタルク、ベントナイト、ホワイトカーボ
ン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、微粒子シ
リカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム等を挙げること
ができる。このような保護コロイド剤は、重付加及び重
縮合の前後において、油相の凝集等を抑制して、良好な
反応が行えるよう作用する。
【0027】マイクロカプセル化反応終了後、得られた
マイクロカプセル化難燃剤を水性分散液から取り出す際
には、従来より知られている通常の手法を用いればよ
く、例えば遠心分離した後、乾燥するか、又はそのまま
噴霧乾燥したり、或いは凍結乾燥することによって粉末
状でマイクロカプセル化難燃剤を得ることができる。
【0028】この発明によるマイクロカプセル化難燃剤
の粒径としては、特に限定されず、通常数μm乃至数1
00μmの範囲のものが好適である。また、この発明に
おいて、ポリウレア樹脂とメラミン〜ホルムアルデヒド
樹脂との複合体における両樹脂の成分組成比としては、
ポリウレア樹脂/メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂重量
比として1/20〜2/1とされ、より好ましくは1/
10〜1/1とされるのが望ましい。この理由は、ポリ
ウレア樹脂成分がメラミン〜ホルムアルデヒド樹脂の2
倍量を超えて含有されると、形成される壁膜全体の耐熱
性が低下し、一方、メラミン〜ホルムアルデヒド樹脂が
ポリウレア樹脂の20倍量を超えて含有されると、外壁
膜の形成が粗となり、緻密性に欠けるため、いずれの場
合も好ましくないからである。
【0029】この発明においては、壁膜中に内包される
芯物質の内包量としては、通常、マイクロカプセル重量
の30〜95重量%、好ましくは50〜80重量%の範
囲とされる。この理由は、芯物質の内包量が30重量%
未満であると、プラスチック成形体等の有機重合体を難
燃化するために多量のマイクロカプセル化難燃剤を配合
せねばならず、有機重合体の本来の特性を損なう恐れが
あり、一方、芯物質の内包量が95重量%を超えると、
耐熱性や機械的強度が低下するため、いずれの場合も好
ましくないからである。
【0030】また、この発明によるマイクロカプセル化
難燃剤は、例えば家電製品、OA機器、家具、建材、エ
ンジアリングプラスチック、電線・ケーブル等熱可塑性
樹脂又は熱硬化性樹脂からなる各種の有機重合体、或い
はゴム類に練り込んで用いることができ、さらには接着
剤、塗料、電気絶縁ワニス等の溶剤を含んだ種々の化学
製品や粘着剤、各種フィルム成形等、溶剤を用いる湿式
成形等の分野に用いることができ、応用範囲が極めて広
い。このような各種有機重合体中へのマイクロカプセル
化難燃剤の配合量としては、通常、有機重合体100重
量部に対して1〜100重量部、好ましくは、20〜8
0重量部の範囲で配合して用いられるのが望ましい。さ
らに、必要に応じて、有機重合体には、この発明のマイ
クロカプセル化難燃剤と共に従来より知られている難燃
剤や難燃助剤、充填剤、添加剤等が適宜量配合されても
よい。
【0031】また、この発明のマイクロカプセル化難燃
剤を配合することのできる有機重合体としては、例えば
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、ブチルゴム、天然ゴム、ポリイソブチレン等
のオレフィン系重合体、ポリブタジエンやポリイソプレ
ン等のジエン系重合体(ゴム)、石油樹脂、ポリメチル
メタクリレート、ポリエチルヘキシルアクリレート等の
アクリル系重合体、ビスフェノールA型、ビスフェノー
ルF型、ノボラック型、グリシジルエーテル型の種々の
エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの有機重
合体は常温で液状であっても、固体であってもよく、特
に限定はされない。
【0032】また、この発明のマイクロカプセル化難燃
剤を溶剤中で使用する場合、溶剤としては、トルエン、
キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘ
キサンヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族若しくは脂
環族炭化水素、1,1,1−トリクロロエタン等のハロ
ゲン化炭化水素、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエ
チルケトン等のケトン類、イソプロパノール等のアルコ
ール類、水等を挙げることができるが特に限定はされな
い。
【0033】以上のような有機重合体に、この発明に係
るマイクロカプセル化難燃剤を配合するに際して、難燃
剤として前述したようなハロゲン化合物を用いる場合
は、有機重合体にマイクロカプセル化難燃剤と共にハロ
ゲン捕捉剤を配合することが好ましい。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げることにより、この発明
のマイクロカプセル化難燃剤の効果をより一層明確に説
明する。但し、この発明は以下の実施例により何ら限定
されるものではない。尚、以下において、「部」及び
「%」とあるのは、それぞれ「重量部」及び「重量%」
を意味する。
【0035】(実施例1)トリレンジイソシアネート3
モル/トリメチロールプロパン1モル付加物(日本ポリ
ウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL)3.6
部を芯物質である液状塩素化パラフィン(味の素(株)
製、塩素化度52%)60部に均一に溶解させて油相を
調製した。別に蒸留水96部とメチルビニルエーテル−
無水マレイン酸共重合体(G.A.F製、重量平均分子
量750000)とからなる水相を調製した。次いで上
記油相と水相をホモミキサー(特殊機化(株)製)にて
8000rpmで乳化し、これを還流管、攪拌装置及び
滴下漏斗を備えた重合反応器中に仕込み70℃で2時間
界面重縮合反応を行ない、芯物質の周囲にトリレンジイ
ソシアネート/トリメチロールプロパン付加物からなる
壁膜を形成させた。その後、系のpHを4.0とした
後、メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリマー(三井東
圧化学(株)製、商品名:ユーラミンP−6300)1
5部を含む水溶液40部を調製し、これを滴下漏斗を用
いて、反応器中のスラリーに加えた後70℃で3時間重
縮合反応を行い、メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリ
マーからなる壁膜を前記トリレンジイソシアネート/ト
リメチロールプロパン付加物からなる壁膜の周囲に形成
し、実施例1のマイクロカプセル化難燃剤を得た。得ら
れたマイクロカプセル化難燃剤は、遠心分離器にて分離
し、洗浄する操作を繰り返した後、スプレー乾燥して、
自由流動性のある粒子生成物として得た。この粒子の平
均粒径は12μmであった。
【0036】(実施例2)芯物質として、液状塩素化パ
ラフィン(味の素(株)製、塩素化度65%)を用いた
以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のマイク
ロカプセル化難燃剤を得た。(このマイクロカプセル化
難燃剤の平均粒径は18μmであった。)また、このマ
イクロカプセル化難燃剤80部と三酸化アンチモン20
部を2−エチルヘキシルアクリレート1アクリル酸(モ
ル比95/5)共重合体の50%トルエン溶液200部
中に分散させ、塗布量が25g/m2 になるように、ポ
リエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーター
を用いて塗布し、更に120℃で10分間乾燥して、難
燃性シートを成型した。
【0037】(実施例3)壁膜成分として、トリレンジ
イソシアネート3モル/トリメチロールプロパン1モル
付加物に代えて、キシリレンジイソシアネート3モル/
トリメチロールプロパン1モル付加物(武田薬品工業
(株)製、商品名:タケネートD−110N)を用いた
以外は、前記実施例1と全く同様に実施例3のマイクロ
カプセアル化難燃剤を得た。 (実施例4)壁膜成分として、トリレンジイソシアネー
ト3モル/トリメチロールプロパン1モル付加物3.6
部に代えて、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
の三量体(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コ
ロネート2026)2.5部を用いた以外は、前記実施
例1と全く同様に実施例4のマイクロカプセル化難燃剤
を得た。
【0038】(実施例5)芯物質として、液状塩素化パ
ラフィンの代わりに液状リン系難燃剤であるトリスクロ
ロエチルホスフェート(大八化学(株)製、商品名:C
LP)を用いた以外は、前記実施例2と全く同様に、実
施例5のマイクロカプセル化難燃剤を得た。また、得ら
れたマイクロカプセル化難燃剤80部と三酸化アンチモ
ン20部を2−エチルヘキシルアクリレート1アクリル
酸(モル比95/5)共重合体の50%トルエン溶液2
00部中に分散させ、塗布量が25g/m2 になるよう
に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケ
ーターを用いて塗布し、更に120℃で10分間乾燥し
て、難燃性シートを成型した。
【0039】(実施例6)液状塩素化パラフィン(味の
素(株)製、塩素化度65%)60部に三酸化アンチモ
ン(住友金属鉱山(株)製、酸化アンチモン、粒径1〜
2μm)28部を超音波分散機にて均一に分散させて、
液状サスペンジョン芯物質を調製した。次いで、この芯
物質にトリレンジイソシアネート3モル/トリメチロー
ルプロパン1モル付加物3.6部を溶解させて油相を調
製し、別に蒸留水92部とイソブチレン−無水マレイン
酸共重合体(クラレ製、重量平均分子量160000)
とからなる水相を調製した。次いで、上記油相と水相を
ホモミキサーにて8000rpmで乳化し、これを還流
管、攪拌装置及び滴下漏斗を備えた重合反応器に仕込み
70℃で2時間、界面重縮合反応を行い、芯物質の周囲
にトリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパン
付加物からなる壁膜を形成させた。その後、系のpHを
3.5とした後、メラミン〜ホルムアルデヒドプレポリ
マー(三井東圧化学(株)製、商品名;ユーラミンP−
6300)15部を含む水溶性40部を調製し、これを
滴下漏斗を用いて、反応器中のサスペンションに加えた
後、70℃で3時間重縮合反応を行い、メラミン〜ホル
ムアルデヒドプレポリマーからなる壁膜を前記トリレン
ジイソシアネート/トリメチロールプロパン付加物から
なる壁膜の周囲に形成し、実施例6のマイクロカプセル
化難燃剤を得た。得られたマイクロカプセルは遠心分離
機にて分離し、洗浄する操作を繰り返した後、スプレー
乾燥して自由流動性のある粒子生成物として得た。この
マイクロカプセル化難燃剤55部をスチレン−ブタジエ
ン系ゴム(旭化成工業(株)製、商品名:アサプレンT
−420)の50%トルエン溶液100部中に分散さ
せ、塗布量が30g/m2 になるように、ポリエチレン
テレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗
布し、120℃で10分間乾燥させて、難燃性シートを
成形した。
【0040】(比較例1)前記実施例1で使用した芯物
質である塩素化パラフィンを比較例1の難燃剤とした。 (比較例2)実施例2で使用した芯物質である塩素化パ
ラフィンを比較例2の難燃剤として用いた。 (比較例3)実施例5で使用した芯物質である液状リン
系難燃剤を比較例3の難燃剤として用いた。 (比較例4)液状塩素化パラフィン(塩素化度65%)
60gを4%メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共
重合体(重量平均分子量750000)中にホモミキサ
ーを用いて8000rpmで乳化して、O/W型エマル
ジョンを調製した。次いでこのエマルジョンのpHを
4.0に上昇させた後、還流管、攪拌装置及び滴下漏斗
を備えた重合反応器に仕込み、これにメラミン〜ホルム
アルデヒドプレポリマー(ユーラミンP−6300)1
5部を含む水溶液40部を滴下漏斗を用いて加えた後、
70℃で3時間、重縮合反応させ、芯物質の周囲にメラ
ミン〜ホルムアルデヒドプレポリマーからなる壁膜を形
成させた後、前記実施例と同様にしてマイクロカプセル
を粉末状で分離し、比較例4のマイクロカプセル化難燃
剤とした。
【0041】(比較例5)トリレンジイソシアネート3
モル/トリメチロールプロパン1モル付加物53部を芯
物質である液状塩素化パラフィン(塩素化度65%)6
0部に均一溶解させて、油相を調製した。別に、蒸留水
300部とポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:
ポバール220E)3部とからなる水相を調製した。次
いで、上記油相と水相をホモミキサーにて8000rp
mで乳化し、これを還流管、攪拌装置及び滴下漏斗を備
えた重合反応器に仕込んだ。別にトリエチレンテトラミ
ン8部を含む水溶液200部を調製し、これを滴下漏斗
を用いて、反応器中のエマルジョンに加えた後、70℃
で3時間界面重合反応を行い、芯物質の周囲にポリウレ
ア樹脂からなる壁膜を形成させた。続いて前記実施例と
同様にして、比較例5のマイクロカプセル化難燃剤を粉
末状で分離した。
【0042】
【試験例】前記実施例1〜6及び比較例1〜5で得られ
たマイクロカプセル化難燃剤について、それぞれ耐熱
性、分解ガス発生量、平均粒径、難燃性の各項目
について、以下に示す方法により試験した。(尚、難
燃性については、実施例2、5、6のマイクロカプセル
化難燃剤を用いて成形された難燃性シートについてのみ
試験を行なった。)この結果を表1に示す。
【表1】
【0043】耐熱性(%) 前記実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル化難
燃剤を150℃で24時間加熱した後の難燃性化合物の
残存率を重量法により測定した。 分解ガス発生量(ppm) 前記実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル化難
燃剤を150℃×3時間の条件下に置き、気相中に発生
したハロゲン化水素ガスをイオン交換水中に吸収させ、
×- 量(ppm)を イオンクロマトグラフィーにて定
量した。平均粒径 前記実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル化難
燃剤について、沈降式粒度分布測定器を用いてその粒度
を粒度分布図から算出した。難燃性(秒) 実施例2、5、6で得られたマイクロカプセル化難燃剤
を配合したシートを幅15mm、長さ150mm、厚さ
0.1〜1mmに成型し、JIS K−6324に規定
されている方法に従ってフレーム試験を行なった。燃焼
30秒後の炎の消火時間(秒)を示す。
【0044】表1に示した結果から、この発明に係るマ
イクロカプセル化難燃剤が、優れた耐熱性、すなわち有
機難燃剤の揮発の抑制、熱時における分解ガスの発生の
抑制に極めて効果があること、また、優れた難燃化効果
を有することが判る。一方、比較例のマイクロカプセル
化難燃剤では耐熱性が悪く、容易に内包物質の揮散や分
解ガスの発生が生じていることが判る。
【0045】
【発明の効果】以上詳述した如く、この発明は常温で液
状の疎水性物質からなる難燃剤が芯物質とされ、この芯
物質の周囲に多価イソシアネートと水との重付加反応に
よって形成される重合体とメラミン〜ホルムアルデヒド
樹脂或いはその変性樹脂との複合体からなる壁膜が被覆
されてなることを特徴とするマイクロカプセル化難燃剤
であるから、前記試験例の結果からも明らかな如く、耐
熱性が良好で、内包物質(難燃剤)の分解や揮発の抑制
にも極めて優れ、しかも耐溶剤性にも優れ、家電製品や
エンジニアリングプラスチック以外に、接着剤や塗料、
電気絶縁ワニスなどの溶剤を含む製品分野や、粘着剤、
種々のフィルムの等、溶剤を使用する湿式成形の技術分
野にも応用することのできる優れたマイクロカプセル化
難燃剤であるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/22 KAE 3/38 KAH 9/10 KCR C09K 21/02 21/08 21/12 9342−4G B01J 13/02 C (72)発明者 松岡 直樹 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 中村 公一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 伊藤 滝男 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 常温で液状の疎水性物質からなる難燃剤
    が芯物質とされ、この芯物質の周囲に多価イソシアネー
    トと水との重付加反応によって形成される重合体とメラ
    ミン〜ホルムアルデヒド樹脂或いはその変性樹脂との複
    合体からなる壁膜が被覆されてなることを特徴とするマ
    イクロカプセル化難燃剤。
  2. 【請求項2】 前記芯物質が、前記難燃剤とともに無機
    酸化物、水酸化物、硼酸塩の中から選択される少なくと
    も一種の化合物を含有してなることを特徴とする請求項
    1に記載のマイクロカプセル化難燃剤。
  3. 【請求項3】 前記難燃剤が有機ハロゲン化合物又は有
    機リン化合物であることを特徴とする請求項1に記載の
    マイクロカプセル化難燃剤。
  4. 【請求項4】 前記多価イソシアネートがジイソシアネ
    ート化合物とトリメチトールプロパンとの付加物又は多
    価イソシアネートの三量体であることを特徴とする請求
    項1に記載のマイクロカプセル化難燃剤。
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