JPH07165931A - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物の製造方法

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JPH07165931A
JPH07165931A JP31550293A JP31550293A JPH07165931A JP H07165931 A JPH07165931 A JP H07165931A JP 31550293 A JP31550293 A JP 31550293A JP 31550293 A JP31550293 A JP 31550293A JP H07165931 A JPH07165931 A JP H07165931A
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JP
Japan
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olefin
copolymer rubber
oil
weight
extended
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Application number
JP31550293A
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English (en)
Inventor
Tadashi Hikasa
忠 日笠
Tatsuro Hamanaka
達郎 浜中
Hiroaki Tsumadori
浩昭 妻鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 柔軟性、機械的特性等に優れ、オイルブリー
ドが少なく、押出成形性等に優れた熱可塑性エラストマ
ー組成物の製造方法を提供する。 【構成】 100℃ムーニー粘度(ML1+4 100℃)
が180〜350であるオレフィン系共重合体ゴム10
0重量部当り鉱物油系軟化剤を20〜150重量部含有
する粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)および
オレフィン系プラスチック(B)を1軸押出機に直接供
給し、下記数1を満足する条件で、有機過酸化物の存在
下に動的架橋を行うことを特徴とする熱可塑性エラスト
マー組成物の製造方法。 【数1】0.5≦α≦50 1.0≧β≧0.003α+0.12 α:粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)の大き
さ。(g/100個) β:押出機の比エネルギー。(KW・hr/kg)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱可塑性エラストマー組
成物の製造方法に関する。更に詳しくは、機械的性質に
優れ、加硫ゴム代替が可能なオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性エラストマー(以下、「TP
E」と云う。)は加硫工程が不要であり、通常の熱可塑
性樹脂の成形機で加工が可能と云う特徴をいかして、自
動車部品、家電部品或いは雑貨等を始めとする広い分野
において用途が開発されてきている。この中でオレフィ
ン系TPE組成物は、特開昭58−26838号公報等
により公知である。しかし、この組成物は加硫ゴム代替
分野に対しては柔軟性、引張り破断強度、破断伸びや圧
縮永久歪み等の点で加硫ゴムより劣るため、用途に限界
がある。
【0003】これらの性能を改良する為、鉱物油系軟化
剤やぺルオキシド非架橋型炭化水素系ゴム状物質の添加
による柔軟性の付与や、架橋助剤を併用して架橋度を高
め圧縮永久歪みを改良する試みが種々なされている。
(例えば、特公昭56−15740号公報、特開昭58
−25340号、特開昭58−152023号、特開昭
59−58043号等)。然しながら、これらの組成物
では、仮に架橋度を高めて圧縮永久歪みを改良したとし
ても、そのために柔軟性の低下や引張試験における破断
強度や破断伸びの低下あるいは組成物表面への軟化剤の
ブリード等が起こり、物性バランスの優れたオレフィン
系TPE組成物を得ることは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状において本
発明が解決すべき課題は、オレフィン系TPE組成物に
おいて、柔軟性、機械的特性(特に引張り破断強度、破
断伸び、圧縮永久歪み)で加硫ゴム代替が可能で、ブロ
ー成形性、押出成形性及び射出成形性等の良好なオレフ
ィン系TPE組成物の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記従来法
の欠点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、特定の
粒子状油展オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プ
ラスチックを用い、これらを特定の方法で動的架橋して
なる組成物が、ブリードが少なく外観等に優れ、柔軟
性、機械的特性等に優れていることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0006】即ち本発明は、100℃ムーニー粘度(M
1+4 100℃)が180〜350であるオレフィン系
共重合体ゴム100重量部当り鉱物油系軟化剤を20〜
150重量部含有する粒子状油展オレフィン系共重合体
ゴム(A)およびオレフィン系プラスチック(B)を1
軸押出機に直接供給し、下記数2を満足する条件で、有
機過酸化物の存在下に動的架橋を行うことを特徴とする
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関するもので
ある。
【0007】
【数2】0.5≦α≦50 1.0≧β≧0.003α+0.12 α:粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)の大き
さ。(g/100個) β:押出機の比エネルギー。(KW・hr/kg)
【0008】さらに、本発明は、500/秒以上の最大
剪断速度で動的架橋を行うことを特徴とする上記熱可塑
性エラストマー組成物の製造方法に関するものである。
以下本発明につき具体的に詳述する。
【0009】本発明で使用される(A)粒子状油展オレ
フィン系共重合体ゴムを構成するオレフィン系共重合体
ゴムとは、例えばエチレン−プロピレン系共重合体ゴ
ム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン系共重合体ゴ
ム、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン系共重合体ゴ
ム、プロピレン−ブテン−1共重合体ゴムの如く、オレ
フィンを主成分とする無定型ランダムな弾性共重合体で
ある。これらの中で、特にエチレン−プロピレン−非共
役ジエン系共重合体ゴム(以下、「EPDM」とい
う。)が好ましい。非共役ジエンとしてはジシクロペン
タジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエ
ン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等
があるが、特にエチリデンノルボルネンが好ましい。
【0010】より具体的な例としては、プロピレン含有
置が10〜55重量%、好ましくは20〜40重量%、
エチリデンノルボルネン含有量が1〜30重量%、好ま
しくは3〜20重量%のエチレン−プロピレン−エチリ
デンノルボルネン共重合体ゴムが好ましい。プロピレン
含有量が10重量%より少ないと柔軟性が失われ、55
重量%より多いと機械的特性が低下して好ましくない。
エチリデンノルボルネン含有量が1%より少ないと機械
的特性が低下し、30重量%より多いと射出成形性が低
下して好ましくない。
【0011】本発明において、オレフィン系共重合体ゴ
ムの100℃ムーニー粘度(ML1+ 4 100℃)は18
0〜350、好ましくは200〜300である。100
℃ムーニー粘度(ML1+4 100℃)が、180より低
いと機械的特性が低下し、350より高いと成形品の外
観が損なわれて好ましくない。
【0012】本発明において、油展オレフィン系共重合
体ゴムは、オレフィン系共重合体ゴム100重量部あた
り鉱物油系軟化剤を20〜150重量部、好ましくは3
0〜120重量部含有するものである。20重量部より
少ないとオレフィン系TPE組成物の流動性が低下し、
特に押出加工性と射出成形性が損なわれて好ましくな
い。一方、150重量部より多くなると可塑性が著しく
増加して加工性が低下し、その上、製品の物性などの性
能が低下するので好ましくない。そして、油展オレフィ
ン系共重合体ゴムの100℃ムーニー粘度(ML1+4
00℃)は、好ましくは30〜150、より好ましくは
40〜100である。30より低いと機械的特性が失わ
れ、150より高いと成形加工性が困難になる等好まし
くない。
【0013】油展オレフィン系共重合体ゴムに使用され
る鉱物油系軟化剤とは、加工性の改良や機械的特性を改
良する目的で配合される高沸点の石油留分でパラフィン
系、ナフテン系又は芳香族系等があるが、パラフィン系
が好ましく用いられる。芳香族成分が多くなると汚染性
が強くなり、透明製品或いは明色製品を目的とする用途
に限界を生じ、好ましくない。
【0014】次にEPDMを例として油展オレフィン系
共重合体ゴム(油展EPDM)の性質および製造方法等
について述べる。ML1+4 100℃が180〜350の
EPDMを用いて鉱物油系軟化剤を大量に配合すると、
柔軟性の確保と流動性の向上による加工性の改良、及び
機械的特性の改良を同時に満足させることの可能なオレ
フィン系TPE組成物を得ることが出来る。一般にオレ
フィン系TPE組成物には流動性向上剤として鉱物油系
軟化剤が用いられているが、本発明らの研究によれば、
油展EPDMを用いない場合には、EPDM100重量
部当たり鉱物油系軟化剤を40重量部以上配合すると、
TPE組成物表面に軟化剤のブリードが発生し、製品の
汚染、粘着等がみられ好ましくない。然し、例えばML
1+4 100℃が180〜350のEPDM100重量部
当たり20〜150重量部の鉱物油系軟化剤が予め配合
されている油展EPDMを用いると、軟化剤のブリード
が少なく、製品の汚染や粘着が認められず、かつ破断強
度、破断伸び、圧縮永久歪みなどの物性の秀れたTPE
組成物を得ることが出来る。この鉱物油系軟化剤の配合
比が大きいにもかかわらず、軟化剤のブリードが認めら
れないのは、比較的ムーニー粘度の高いEPDMを用い
ると鉱物油系軟化剤の許容油展量の上限が上昇するこ
と、及び予め好適に加えられた軟化剤はEPDMの中に
均一分散する為等と考えられる。
【0015】EPDMの油展方法は公知の方法が用いら
れる。例えば、ロールやバンバリーミキサーのような装
置を用い、EPDMと鉱物油系軟化剤を機械的に混練す
る方法で油展する方法、あるいはEPDM溶液に所定量
の鉱物油系軟化剤を添加し、その後、スチームストリッ
ピング等の方法により脱溶媒して得る方法などがある。
このうち好ましい油展方法としてはEPDM溶液を用い
る方法であり、EPDM溶液は重合で得られるEPDM
溶液を用いる方が、操作が容易である。
【0016】本発明において油展オレフィン系共重合体
ゴムから(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴムを
得る方法としては次のような方法が挙げられる。 1.ベール状ゴムの粉砕。 (1)ゴム用として汎用に用いられている粉砕機で粉砕
する方法。 (2)低温で高速ミル、ジェット粉砕機を用いて粉砕す
る方法。 2.押出機等を用いて造粒する方法。 3.ロール等を用いてシート化し、これをペレタイザー
等で造粒する方法。 4.重合後、脱溶媒して得られたクラム状の重合物をそ
のまま用いる方法。 この中で1及び4が好ましい方法である。ここで粒子状
ゴムの粒子とは、不定形の粒子を意味するものであり、
球状、円柱状のみならず直方体状、フレーク状、クラム
状、糸くず状等の形状も含まれ、また発泡粒子等の内部
に間隙を有するものも含まれる。すなわち個々の粒子と
して判別できればその形態は問わないものとする。また
粒子状ゴムには、その互着を防ぐ目的で無機フィラー、
オレフィン系プラスチック、有機滑剤、無機滑剤等の粉
末、及びシリコンオイル等の液状物質を少量表面に付着
させたりあるいはゴム中に練り込んで使用することがで
きる。
【0017】本発明において、(A)粒子状油展オレフ
ィン系共重合体ゴムの大きさ(α、g/100個)は、
後述するように、得られる熱可塑性エラストマー組成物
の物性バランスに重要であり、0.5≦α≦50g/1
00個、好ましくは1≦α≦40g/100個である。
【0018】本発明において使用されるオレフィン系プ
ラスチック(B)は、ポリプロピレン又はプロピレンと
炭素数が2個以上のα−オレフィンとの共重合体であ
る。炭素数が2個以上のα−オレフィンの具体例として
はエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−
1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−
1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ン等がある。これら重合体のメルトフローレートは0.
1〜100g/10分が好ましく、より好ましくは0.
5〜50g/10分の範囲である。メルトフローレート
が0.1g/10分より小さくても100g/10分大
きくても加工性に問題点が生じてくる場合がある。
【0019】本発明において、(A)粒子状油展オレフ
ィン系共重合体ゴムおよび(B)オレフィン系プラスチ
ックの配合重量比は、(A)/(B)=20〜95/8
0〜5であることが好ましい。より好ましくは(A)/
(b)=35〜90/65〜10、さらに好ましくは、
(A)/(B)=35〜85/65〜15である。
【0020】本発明において上記αは、前記成分(A)
および(B)を押出機に直接供給して溶融混練を行う工
程に大きく影響する指数である。特にML1+4 100℃
が大きいオレフィン系共重合体ゴムを用いる場合に、該
共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックとからなる組
成物の分散性、モルフォロジーに大きく影響する。ここ
で形成された組成物の分散性等は、その後の動的架橋工
程を経て得られるTPE組成物の物性、加工性等に顕著
な影響を与える。本発明においてαは、0.5〜50g
/100個の範囲であるが、αが0.1より小さいと連
続混練押出機の固体輸送部分において、輸送効率が悪く
なり、場合により閉塞を起こす危険がある。また混練機
の混練部における混合、混練性も低下するし、得られる
TPE組成物において好ましいモルフォロジーが形成さ
れ難い。αは好ましくは1〜40g/100個である。
一方、(B)オレフィン系プラスチックの粒状物は、そ
の大きさが(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム
の大きさ(α)と同一である必要はないが、一般に約1
〜10g/100個の範囲内にあることが好ましい。
【0021】(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴ
ム及び(B)オレフィン系プラスチックからなる混合物
を動的架橋させる有機過酸化物としては、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキ
シイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイ
ル)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシド等がある。こ
れらの中では臭気性、スコーチ性の点で特に2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
が好ましい。有機過酸化物の添加量は、(A)粒子状油
展オレフィン系共重合体ゴムと(B)オレフィン系プラ
スチックの合計100重量部に対して0.005〜2.
0重量部、好ましくは0.01〜0.6重量部の範囲で
選ぶことが出来る。0.005重量部未満では架橋反応
の効果が小さく、2.0重量部を超えると反応の制御が
難しく、又経済的にも有利ではない。
【0022】本発明の組成物を製造する際、有機過酸化
物による動的架橋時に架橋助剤として、N,N’−m−
フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミ
ド、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニ
ルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサ
イド架橋助剤、又はジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタ
クリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アリルメタクリレート等の多官能性のビニルモノマ
ーを併存させることが出来る。このような化合物の配合
により、均一且つ緩和な架橋反応と、オレフィン系共重
合体ゴムとオレフィン系プラスチックとの間で反応が起
こり、機械的特性を向上させることが可能である。架橋
助剤の添加量は、(A)粒子状油展オレフィン系共重合
体ゴムと(B)オレフィン系プラスチックの合計100
重量部に対して、0.01〜4.0重量部の範囲で選ぶ
ことが出来る。好ましくは0.05〜2.0重量部であ
る。0.01重量部未満では効果が現れ難く、4重量部
超えることは経済的に有利ではない。
【0023】(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴ
ム及び(B)オレフィン系プラスチックからなる混合物
を動的架橋してTPE組成物を得る具体的製法につき以
下説明する。先づ、粒子状オレフィン系共重合体ゴム
(A)およびオレフィン系プラスチック(B)を1軸押
出機へ特定の割合で直接供給混合し、溶融混練を行う。
次いで、好ましくは該押出機の下流側に設けられた供給
口より有機過酸化物を供給して動的架橋を行うことによ
り、好ましく目的とするTPE組成物が得られる。
【0024】本発明によるTPE組成物の製造において
は、粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)、オレ
フィン系プラスチック(B)および有機過酸化物が1軸
押出機に供給されて、下記数3を満足する条件で動的熱
処理が行われる。
【0025】
【数3】0.5≦α≦50 1.0≧β≧0.003α+0.12 α:粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)の大き
さ。(g/100個) β:押出機の比エネルギー。(KW・hr/kg) ここで、比エネルギーとは、動的熱処理を行なっている
押出機の駆動動力(HP 1 :KW)から同一スクリュー回転数
でカラ運転(フィード物なしの状態)した場合の駆動動
力(HP2 :KW)を引いた値を押出量(Qkg/hr)で除した
値として定義され、従ってその単位はKW・hr/kgであ
る。この比エネルギーは、押出機の運転条件を変化させ
ることにより調節し得る。即ち、スクリュー回転数の増
加、スクリーンパックのメッシュの増加、被処理物の供
給量の低下などによって、比エネルギーの量は増加させ
ることができる。また、スクリューの形状によっても変
化し、更にスクリューの溝の深さが浅いものを使用する
と比エネルギーは増加する。
【0026】本発明においては、比エネルギー(β)が
共重合体ゴムの粒子の大きさ(α)によって定義される
数3で示される値(0.003α+0.12)と等しい
かあるいはそれよりも大きくならなければならないこと
が本質的に重要であり、これ以下では分散が不良で、物
性の点でも劣った部分架橋ゴム−樹脂組成物しか得られ
ない。ただし、比エネルギー(β)は1.0KW・hr/kg
をこえないことが望ましく、これをこえるような条件下
では、機械的エネルギーの摩擦エネルギーへの変換によ
り局部的に温度が増加し、被処理物に劣化、物性の低下
をもたらす傾向がみられ、またこのような過剰のエネル
ギーの付与は不必要であって経済的でもない。
【0027】このような比エネルギーを与える1軸押出
機としては、混練性向上機能を有するデザインのスクリ
ューあるいはローター等が装着された、1軸連続混練押
出機、あるいは押出機中の材料が溶融状態で移動できる
よう連結した押出機の組み合せ等を用いることができ
る。混練性向上機能を有するスクリューデザインとして
は、ダルメージ、ピン、多状フライト等が挙げられる。
該1軸連続混練押出機としては、市販されているタイプ
を例示すると、ブスコニーダー(Buss社)、HM型
(三菱重工社)等がある。
【0028】本発明においては、1軸押出機を用いての
動的熱処理は、材料、特にオレフィン系プラスチックが
溶融する温度、一般には150〜280℃、好ましくは
200〜250℃の温度で、一般には約15〜240秒
間、好ましくは約30〜180秒間の帯留時間の条件下
で行われる。
【0029】本発明においては、動的架橋時の最大剪断
速度は500/秒以上が好ましいが、これは、上記連続
混練押出機を用いて初めて達成できるものであり、従来
のバンバリーあるいはロール等のバッチ型ミキサーでは
得られ難い。該剪断速度が500/秒未満では、生産効
率が低く、しかも外観、物性等において優れたTPE組
成物が得られ難い。
【0030】次に好ましい製造法の具体的な工程につい
て述べる。粒子状オレフィン系共重合体ゴム(A)とオ
レフィン系プラスチック(B)との溶融混練工程におい
ては、先づ、成分(A)および(B)の押出機への供給
には、ベルト型、スクリュー型フィダー等が使用でき、
スクリュー型押込操置も使用可能である。成分(A)/
(B)の配合重量比は、(A)/(B)が20〜95/
80〜5が好ましく、これより(B)が少ないと動的架
橋時に物性低下をきたしやすく、剪断発熱も大となる傾
向にある。成分(A)および(B)からなる組成物の良
好なモルフォロジーの形成には、混練部には、混練性向
上機能を有したデザインのスクリューあるいはローター
等があるのが望ましい。
【0031】次に動的架橋工程においては、有機過酸化
物は、液状あるいは粉状物質と希釈して用いることがで
きる。押出機の途中に設けられた供給口よりの供給は、
液状の場合には、定量ポンプで供給口へ適下またはシリ
ンダー内へ注入し、粉状の場合には、定量フィーダーで
供給口へ供給することにより行うことができる。希釈剤
としては、オイル、有機溶媒、無機フィラー(シリカ、
タルク等)が使用できる。動的架橋部には、混練性向上
機能を有したデザイン例えば、ダルメージ、ピン、多状
フライト等があることが望ましい。また、動的架橋部に
おける最大剪断速度は500/秒以上が望ましい。しか
し高すぎると剪断発熱により分解、劣化、着色を招きや
すい。
【0032】本発明においては、さらにオレフィン系プ
ラスチックを追加投入してもよい。その供給箇所は押出
機の上流〜下流いずれでも可能である。また、動的架橋
工程後でもかまわない。本発明において、架橋助剤を使
用する場合は、有機過酸化物を供給する前、あるいは有
機過酸化物と同時に供給することが好ましい。本発明に
おいては、必要により無機充填剤、酸化防止剤、耐侯
剤、帯電防止剤、滑剤、着色顔料等を添加して用いるこ
とができるがこれらは押出機のどの部分から投入しても
良い。
【0033】尚、本発明によるオレフィン系TPE組成
物の加硫ゴム代替用途としては、自動車部品用途でウェ
ザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモー
ル、サイドモール、エアスポイラー、エアーダクトホー
ス、各種バッキング類等。土木資材、建材用途では止水
材、目地材、建築用窓枠等。スポーツ用具ではゴルフク
ラブ、テニスラケットのグリップ等。工業用部品用途で
はホースチューブ、ガスケット等。又家電用途ではホー
ス、バッキング類等がある。以下、本発明により具体的
に本発明の実施態様を明らかにする。
【0034】
【実施例】以下、実施例によって本発明の内容を具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定され
るものではない。尚、これらの実施例および比較例にお
ける物性測定に用いた試験方法は以下の通りである。
【0035】(1)ムーニー粘度(ML1+4 100℃)
(以下「粘度」という。):ASTM D−927−5
7Tに準拠した。EPDMの粘度(ML1 )については
数4で算出した。
【0036】
【数4】 log(ML1 /ML2 )=0.0066(△PHR) ML1 :EPDMの粘度。 ML2 :油展EPDM粘度。 △PHR:EPDM100重量部当たりの油展量。
【0037】(2)押出成形性:ユニオンプラスチック
社製USV型25mmφ押出機。フルフライトタイプスク
リュー、スクリュー回転数30rpm。Tダイを使用
し、判定は押出肌について行った。判定ランクについて
は以下の通り。 ○:優れる △:良 ×:不良
【0038】(3)オイルブリード性:射出成形品を7
0℃オーブン中に1時間放置し、成形品表面にブリード
するオイルを目視にて観察。判定ランクは以下の通り。 ○:ブリードは全くなし。 △:ブリードがわずか有り。 ×:ブリード有り。
【0039】1軸連続混練押出機による製造条件は下記
に示す。 使用装置:田辺プラスチックス機械製 VS65−28
(L/D=28 シリンダーブロック数=5) シリンダーの構成は、外1による。すなわち、C1〜C
5の5個のシリンダーブロックを有し、第1供給口をC
1に、ベント口をC4に設け、外1では有機過酸化物等
を供給するための第2供給口がC3に設けられている。
Dはダイ出口部である。なお、外1においてC1→C5
への方向が押出機の下流側である。
【0040】
【外1】
【0041】実施例1 EPDM(エチレン−プロピレン−エチリデンノルボル
ネン共重合体ゴム、粘度=242、プロピレン=28重
量%、ヨウ素価=12)の4重量%ヘキサン溶液中に、
EPDM100重量部当たり鉱物油系軟化剤(出光興産
製ダイアナプロセスオイルPW380)100重量部を
添加し、その後スチームストリッピングで脱溶媒した油
展EPDM(粘度=53)を粉砕機で粉砕し、大きさ
(α)が4.5g/100個の粒子状油展オレフィン系
共重合体ゴム(油展EPDM)を得た。次いでこの油展
EPDM87重量部、MFR(230℃、2.16kg
荷重)が10、大きさが1.9g/100個の結晶性ポ
リプロピレン(PP)13重量部、及びN,N−メタフ
ェニレンビスマレイミド(BM)1.1重量部をスーパ
ーミキサー(川田製作所製)で30秒間混合した。この
混合物を、外1で示すシリンダー構成を有する1軸連続
混練押出機(田辺プラスチックス機械製VS65−2
8、L/D=28、シリンダー設定温度180〜200
℃、ダイス設定温度230℃)の第1供給口(外1のC
1)より30kg/hrで供給し溶融混練を行い、次い
で第2供給口(外1のC3)からは2,5ジチメル−
2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン
(以下「有機過酸化物」と記す。)を鉱物油系オイル
(出光興産製パラフィン系オイルダイアナプロセスオイ
ルPW90)で50重量%に希釈したもの(PO−1)
を480g/hrで供給して、0.15KW・hr/kgの比
エネルギー(β)を与えて動的架橋を行いペレット化し
て物性及び押出成形性の評価を行った。動的架橋部の最
大剪断速度は約1600/秒であった。評価結果は表1
に示す。
【0042】比較例1 実施例1において、油展EPDM87重量部を、JSR
EP−24(ML1+ 4 100℃=70、プロピレン含
量=44重量%、ヨウ素価=12のEPDM、日本合成
ゴム社製)43.5重量部および鉱物油系軟化剤43.
5重量部に代えた他は実施例1と同様に実施した。評価
結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明により、オレフィン系TPEの低
硬度領域において引張り強度、破断伸び、圧縮永久歪み
の機械的特性を向上させたうえで、更に加工性や、成形
品表面へのオイルのブリード性が改良された加硫ゴム代
替の可能なオレフィン系TPE組成物の製造法を提供す
ることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】100℃ムーニー粘度(ML1+4 100
    ℃)が180〜350であるオレフィン系共重合体ゴム
    100重量部当り鉱物油系軟化剤を20〜150重量部
    含有する粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)お
    よびオレフィン系プラスチック(B)を1軸押出機に直
    接供給し、下記数1を満足する条件で、有機過酸化物の
    存在下に動的架橋を行うことを特徴とする熱可塑性エラ
    ストマー組成物の製造方法。 【数1】0.5≦α≦50 1.0≧β≧0.003α+0.12 α:粒子状油展オレフィン系共重合体ゴム(A)の大き
    さ。(g/100個) β:押出機の比エネルギー。(KW・hr/kg)
  2. 【請求項2】(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴ
    ムの100℃ムーニー粘度(ML1+ 4 100℃)が30
    〜150である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】鉱物油系軟化剤が、パラフィン系軟化剤で
    ある請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴ
    ムおよび(B)オレフィン系プラスチックの配合重量比
    が、(A)/(B)=20〜95/80〜5である請求
    項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】(A)粒子状油展オレフィン系共重合体ゴ
    ムを構成するオレフィン系共重合体ゴムが、エチレン−
    プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴムである請求項1
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重
    合体ゴムが、プロピレン含有量が10〜55重量%、エ
    チリデンノルボルネン含有量が1〜30重量%のエチレ
    ン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム
    である請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】(B)オレフィン系プラスチックが、ポリ
    プロピレンおよびプロピレン−α−オレフィン共重合体
    樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の
    製造方法。
  8. 【請求項8】500/秒以上の最大剪断速度で動的架橋
    を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321553A (ja) * 2002-02-26 2003-11-14 Mitsui Chemicals Inc オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法
JP2016501310A (ja) * 2012-12-20 2016-01-18 エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド 動的加硫アロイの製造方法

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US9546251B2 (en) 2012-12-20 2017-01-17 Exxonmobil Chemical Patents Inc. Process for preparing dynamically vulcanized alloys
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