JP3731216B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関し、さらに詳細には炭素−炭素不飽和結合を含むゴム状物質、炭素−炭素不飽和結合を含まない熱可塑性樹脂および特定の架橋剤を用いて、高剪断下で動的に熱処理することにより、強度、弾性回復性および成形加工性などのバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
EPDMなどによって代表される炭素−炭素不飽和結合を持つゴム状物質、および炭素−炭素不飽和結合を含まない熱可塑性樹脂を主原料とし、架橋剤の存在下で動的熱処理し、ゴム成分を部分的または完全に架橋させた架橋型熱可塑性エラストマー組成物は、既に公知である。
動的な熱処理を利用する方法としては、ゴム状物質と熱可塑性樹脂の両者に作用する架橋剤を使用するもの(従来法A)、および主としてゴム状物質のみに作用する架橋剤を使用するもの(従来法B)が現在までに公知であるが、従来の方法によって得られる組成物に関しては、以下に述べるような点で改良が望まれている。
【0003】
従来法A;
この方法は、有機過酸化物を代表とするフリーラジカル発生剤を使用するもので、特公昭53−34210号公報(米国特許第3,806,558号明細書に対応する)にその例が示されている。熱可塑性樹脂がポリプロピレン系樹脂のように有機過酸化物分解型樹脂である場合、およびEPDMのプロピレン部分において有機過酸化物分解成分を含む場合、分解が少なからず起こり、射出成形などの加工時の流動性の良好な組成物は得られるが、分子切断反応が避けられず、このため引っ張り強さなどの強度、圧縮永久歪などの弾性回復性などの機械的特性の低下が生じる。このため、架橋効率を上げるため、例えば特公昭56−15741号公報、あるいは特公昭55−18448号公報(米国特許第4,130,535号明細書に対応する)には、架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビスマレイミド類が用いられており、架橋効率は向上するが、完全に分子切断反応が避けられない致命的欠点があり、強度、弾性回復性の改善効果は不充分である。
【0004】
なお、この方法は、ポリエチレン系樹脂のような有機過酸化物架橋型樹脂に対しては、組成物の流動性が著しく低下するために使用できない。さらに、この製造方法を使用した場合には、フリーラジカル発生剤の貯蔵時・動的処理時の安定性、安全性、加熱された加工機内壁への付着による熱分解ロスなども必ず付随する問題である。
また、上述の特公昭55−18448号公報において、ビスマレイミド化合物を用いる例示があるが、極めて改質効果に乏しく、該発明範囲外のものとなっている。
【0005】
従来法B;
この方法は、例えば特公昭53−34210号公報(米国特許第3,806,558号明細書に対応する)に提案されている有機イオウ化合物、特公昭54−19421号公報に提案されているハロゲン化フェノール樹脂またはキノンジオキシム系化合物、特公昭55−18448号公報に提案されているイオウ系架橋剤を用いたものである。しかしながら、これらの方法では、比較的多量の添加を必要とし、通常の混練り温度において極度の悪臭を発生するのみならず、得られる組成物も悪臭を放つ。この組成物の悪臭は、成形加工時に可塑化工程で再発生して著しく商品価値を低下させる。また、この組成物は、帯色が著しいため、組成物の着色の自由度が制限され、使用分野が制限される。
上記のように、これらの組成物は、成分の分解による性能悪化、悪臭、着色などの欠点を示すため、いずれの方法も実用上、充分に満足できるものとはいえず、より優れた熱可塑性エラストマー組成物の改良が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、特定の架橋剤を用い、高剪断可能な押し出し機により高剪断の条件下で動的熱処理することにより、均一に混合された、高強度、低圧縮永久歪でかつ成形加工性に優れた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)(1)エチレン−プロピレン−ジエン・ランダム共重合体(EPDM)、(2)イソプレン−イソブチレン共重合体(IIR)、(3)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)またはその部分水添物、および(4)スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)またはその部分水添物から選ばれた少なくとも1種からなる炭素−炭素不飽和結合を有するゴム状物質30〜80重量部、(B)ポリオレフィン系樹脂からなる炭素−炭素不飽和結合を含まない熱可塑性樹脂70〜20重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕、および(C)ビスマレイミド化合物を(A)成分100重量部に対し0.01〜7重量部含む混合物〔ただし、変性ポリオレフィン系樹脂を含まない〕を、押し出し機の比エネルギー(kW・hr/kg)が0.1以上の条件下で動的熱処理を行うことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供するものである。
【0008】
本発明に用いられる(A)ゴム状物質は、(1)エチレン−プロピレン−ジエン・ランダム共重合体(EPDM)、(2)イソプレン−イソブチレン共重合体(IIR)、(3)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)またはその部分水添物、および(4)スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)またはその部分水添物から選ばれ、これらは1種単独であるいは2種以上併用して使用することができる。
【0009】
その理由としては、(B)熱可塑性樹脂との相溶性の観点から溶融混練りによる分散が容易であること、組成物の耐候性、耐熱性、耐オゾン性の観点より、不飽和結合が多くなく、局所的に存在しているものが好ましいからである。そのほか、SBS、SISなどの部分水添物を用いた場合においては、動的架橋を施したとしても、熱可塑的性質が強く、高温時の弾性回復性に乏しいなどの欠点を示す。本発明で使用する上記▲1▼〜▲4▼の4種のゴム状物質の中では、特にEPDMが(B)成分の各樹脂に対する改質効果が大きく、適用される樹脂の種類も広く、かつ高い溶融混練り温度においても安定であり、得られる組成物の耐熱性、耐候性の大きい点などから好ましい。
【0010】
このEPDMにおいて、エチレン/プロピレンのモル比は10/90〜90/10で共重合されているものが好ましく、非共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンが好ましく、ヨウ素価表示で40以下となるような量で存在することが望ましい。また、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は、通常、60〜500、好ましくは150〜400である。
このEPDMにおいて、エチレン/プロピレンのモル比が10モル%未満、または90モル%を超えると、該EPDMの柔軟性が不足し好ましくない。
また、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)が、60未満であると強度が低くなり、一方500を超えると(B)熱可塑性樹脂との分散不良が生じて好ましくない。
【0011】
本発明の(A)ゴム状物質は、嵩密度が、通常、0.2〜0.6g/cm3 、好ましくは0.25〜0.55g/cm3 の範囲の粒子状のもので、その形状としては、ペレット状、クラム状、および粉砕機により粉砕を施した粉末状などが用いられ、嵩密度が本発明の範囲内であれば、形状として特に限定されない。嵩密度が、0.6g/cm3 を超えると均一でかつ所望の物性を有する熱可塑性エラストマー組成物が得られず、一方0.2g/cm3 未満のものは工業的に製造することが困難であり、仮にこれを用いたとしても本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製造上、生産性が悪化し好ましくない。
【0012】
次に、(B)熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が用いられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン不飽和カルボン酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン単位を85モル%以上含有するプロピレンとプロピレンを除く炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体などの結晶性ポリプロピレン系樹脂、ポリ(1−ブテン)、1−ブテン単位を85モル%以上含有する1−ブテンと1−ブテンを除く炭素数2〜10のα−オレフィンの共重合体などのポリ(1−ブテン)系樹脂、結晶性ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、4−メチル−1−ペンテンを85モル%以上含有する4−メチル−1−ペンテンと4−メチル−1−ペンテンを除く炭素数2〜10のα−オレフィンとの共重合体などのポリ(4−メチル−1−ペンテン)系樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、およびポリ(1−ブテン)系樹脂が好ましく、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が約0.1〜100g/10分、特に0.5〜50g/10分のポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0013】
なお、上記のポリオレフィン系樹脂において、示差走査熱量測定法による融点のピーク温度(Tm)が100℃以上のものが好ましく、100℃未満であると耐熱性、引張強度が不足する傾向を示す。
また、(B)熱可塑性樹脂が粒状物である場合、(A)ゴム状物質の粒子形状と同一である必要はないが、一般に嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 のものが好ましい。
【0014】
(A)ゴム状物質と(B)熱可塑性樹脂の配合割合は、(A)成分30〜80重量部、好ましくは45〜75重量部、(B)成分70〜20重量部、好ましくは55〜25重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。(A)ゴム状物質が30重量部未満では、柔軟性に乏しくなり弾性回復性に劣り、一方80重量部を超える割合で用いられると、得られる熱可塑性エラストマー組成物中の(B)熱可塑性樹脂の割合が小さくなり、そのままでは強度が低くなり、また樹脂成分が少ないため流動性が悪くなる。
【0015】
次に、本発明において架橋剤として用いられる(C)ビスマレイミド化合物としては、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンビスマレイミドに代表されるビスマレイミド類が用いられる。(C)ビスマレイミド化合物の配合量は、(A)成分100重量部に対し0.01〜7重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。0.01重量部未満では、改質効果が不充分であり、一方7重量部を超えると過剰の添加量となり経済的に好ましくない。
【0016】
本発明の組成物は、上記の(A)〜(C)成分を、直接、高剪断可能な押し出し機に供給し、押し出し機の比エネルギー(kW・hr/kg)が0.1以上の高剪断の条件下で動的熱処理を施して、はじめて改良された熱可塑性エラストマー組成物を製造することができる。
本発明の組成物を製造し得る高剪断可能な押し出し機としては、2軸押し出し機が好ましい。このようなエネルギーを与える2軸押し出し機としては、2本のスクリューの回転方向が同一方向のもの、異なる方向のもの、あるいはスクリューが噛み合うもの、噛み合わないものなど、任意のものが使用できる。さらには、単軸押し出し機において、混練り部分を設けたスクリュー(ダルメージスクリュー)を用いて製造でき、比エネルギー(kW・hr/kg)が0.1以上の条件下で各成分を動的熱処理できれば、これらに限定されるものではない。
なお、単軸押し出し機において、混練り部分のないスクリュー(フルフライトスクリュー)を用いた場合は、本発明の高剪断範囲とすることが困難であるため好ましくない。また、押し出し機とは異なる混練り機である、バンバリーミキサー、ニーダーなどでも上記同様に好ましくない。
【0017】
ここで、比エネルギーとは、動的熱処理を行っている押し出し機の駆動動力(HP1 kW)から、同一スクリュー回転でカラ運転(フィード物のない状態)した場合の駆動動力(HP2 kW)を引いた値を、押し出し量(Qkg/hr)で除した値と定義され、従ってその単位はkW・hr/kgである。
この比エネルギーは、押し出し機の運転条件を変化させることにより調節することができる。すなわち、スクリュー回転数の増加、スクリーンパックのメッシュの増加、被処理物の供給量の低下などによって、比エネルギーの量を増加させることができる。また、スクリューの形状によっても変化し、さらにスクリューの溝の深さが浅いものを使用すると比エネルギーは増加する。
本発明において、比エネルギーが0.1kW・hr/kg未満であると、部分架橋したゴム状物質と熱可塑性樹脂成分とが良好に分散した熱可塑性エラストマー組成物が得られず、従ってその物性も良好ではない。一方、比エネルギーが1.0kW・hr/kgを超えるような条件下では、過剰のエネルギーにより被処理物の劣化、物性の低下をもたらす傾向がみられ、また経済的でもない。比エネルギーは、好ましくは0.12〜0.80kW・hr/kgの範囲である。
【0018】
2軸押し出し機または混練り部分を設けたスクリューを用いた単軸押し出し機を用いての動的熱処理は、被処理物が溶融する温度、通常、約170〜280℃、好ましくは約180〜260℃の温度で、通常、約15〜240秒間、さらに好ましくは約30〜180秒間の滞留時間の条件下で行われる。
【0019】
本発明において、動的に熱処理するとは、混合物を溶融混練りして混練り後の組成物におけるシクロヘキサン不溶分を混練り前の値に比べて増加させることをいう。この動的熱処理によって、本発明の効果が達成されるのであり、一般にはシクロヘキサン不溶分が増大するほど弾性回復性をはじめとする物性が向上する。また、シクロヘキサン不溶分は、実質的に(B)成分と架橋された(A)成分量であるので、シクロヘキサン不溶分より(B)成分量を除して架橋されたゴム成分の量が分かる。(A)成分に対して、シクロヘキサン不溶分が60重量%以上が好ましく、さらに好ましくは70重量%以上である。
【0020】
本発明において、(A)成分を架橋させるために、架橋剤である(C)ビスマレイミド化合物をより有効に作用させるため、動的架橋部分において架橋に関与しない(B)成分を少なくし、架橋終了後、追添加により(B)成分を追加するする方法をとることもできる。また、反応が終結した後工程より、添加成分として鉱物油系もしくは合成油系軟化剤(好ましくは鉱物油系軟化剤)、カーボンブラック、シリカなどの補強剤、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの充填剤、加工助剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、滑剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤などを必要に応じて配合することもできる。なお、鉱物油系もしくは合成油系軟化剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して250重量部以下が好ましい。
【0021】
【作用】
本発明は、不飽和の(A)ゴム状物質と飽和の(B)熱可塑性樹脂との混合物の架橋に際し、架橋剤として(C)ビスマレイミド化合物を用い、かつ高剪断可能な押し出し機により高剪断の条件下で動的熱処理を施すことにより、従来の組成物に比較して著しく強度、弾性回復性および成形加工性などのバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を得るものである。
【0022】
本発明の好ましい実施態様は、次のとおりである。
▲1▼(A)ゴム状物質がEPDM、(B)熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはポリ(1−ブテン)系樹脂、(C)ビスマレイミド化合物がN,N'−m−フェニレンビスマレイミドまたはN,N'−エチレンビスマレイミドである熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲2▼(A)成分のシクロヘキサン不溶分が60重量%以上である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲3▼(A)成分が粒子状であり、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3 である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲4▼(A)成分と(B)成分の重量比が45〜75/55〜25であり、(C)成分を(A)成分100重量部に対して0.05〜5重量部配合してなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲5▼(A)〜(C)成分以外に、鉱物油系軟化剤を(A)成分100重量部に対し、250重量部以下配合してなる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲6▼押し出し機の比エネルギーを0.1〜1.0kW・hr/kgで行う熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
▲7▼動的熱処理時の処理温度が170〜280℃、処理時間が15〜240秒である熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。
【0024】
実施例1〜15、比較例1〜9
配合原料
(A)ゴム状物質として、以下のEPDMを用いた。
EP−1;
日本合成ゴム(株)製、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン・ランダム共重合ゴム、EP98A〔エチレン/プロピレンモル比=80/20、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)=320、ヨウ素価=15〕を100部に対し、鉱物油系軟化剤〔出光石油化学(株)製、PW−380〕を75部添加したもので、固形状であり、嵩密度は0.88g/cm3 である。
EP−1C;
EP−1を粉砕機により5mmφ以下の粒子状に粉砕処理したもので、嵩密度は0.34g/cm3 である。
EP−1P;
EP−1Cを単軸押し出し機により230℃の条件下で溶融し、ペレット状に造粒処理したもので、嵩密度は0.42g/cm3 である。
EP−2;
日本合成ゴム(株)製、エチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン・ランダム共重合ゴムEP57C〔エチレン/プロピレンモル比=80/20、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)=90、ヨウ素価=15〕、嵩密度は0.25g/cm3 である。
【0025】
IIR;
日本合成ゴム(株)製、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、Butyl 365〔不飽和度=2.0%、ムーニー(ML1+4 ,100℃)=45〕を粉砕機により5mmφ以下の粒子状に粉砕処理したもので、嵩密度は0.35g/cm3 である。
NBR;
日本合成ゴム(株)製、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、N250S〔結合アクリロニトリル含量=20%、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)=63〕を粉砕機により5mmφ以下の粒子状に粉砕処理したもので、嵩密度は0.35g/cm3 である。
H−SBR;
日本合成ゴム(株)製、スチレン−ブタジエン共重合ゴムの水添物、ダイナロン1320P〔スチレン含量=10%、メルトフローレート(230℃、2.16kg)=3.5g/10分〕、嵩密度は0.47g/cm3 である。
【0026】
(B)熱可塑性樹脂として、以下のポリオレフィン系樹脂を用いた。
PP−1;
三菱油化(株)製、ポリプロピレンBC5C〔プロピレン−エチレンブロック共重合体、メルトフローレート(230℃、2.16kg)=3.0g/10分、密度=0.90g/cm3 〕
PP−2;
三菱油化(株)製、ポリプロピレンBC03GS〔プロピレン−エチレンブロック共重合体、メルトフローレート(230℃、2.16kg)=30g/10分、密度=0.90g/cm3 〕
PE−1;
三菱油化(株)製、高密度ポリエチレンFY50D〔メルトフローレート(190℃、2.16kg)=0.4g/10分、密度=0.942g/cm3 〕
PE−2;
三菱油化(株)製、低密度ポリエチレンYK30〔メルトフローレート(190℃、2.16kg)=4.0g/10分、密度=0.920g/cm3 〕
【0027】
(C)ビスマレイミド化合物として、以下のものを用いた。
BMI;
N,N'−m−フェニレンビスマレイミド〔大内新興化学工業(株)製、バルノックPM〕
また、比較にその他の架橋剤として、以下のものを用いた。
比較架橋剤(比PO);
有機過酸化物〔2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、日本油脂(株)製、パーヘキシン25B〕
配合系
表3〜7の実施例および比較例に記載する方法で行った。
【0028】
製造方法
製造方法I;
(A)成分、(B)成分および(C)成分、または比較としての架橋剤を配合処方に応じて、ヘンシェルミキサー中で30秒間予備混合し、この混合物を通常の2軸押し出し機〔(株)池貝製、PCM、45mm径、L/D=33.5〕を用い、スクリュー回転数および押し出し量を変えることにより、比エネルギーの量を変化させた。その操作条件の詳細は、表1のとおりである。
【0029】
【表1】
【0030】
製造方法II;
製造方法Iと同様に、ヘンシェルミキサー中で全成分を予備混合した混合物を、通常の単軸押し出し機〔日本プラコン(株)製、DMG、50mm径、L/D=36〕を用い、スクリュー形状として混練り効果の強いダルメージスクリュータイプ〔送り部分と練り強化(ニーディング)部分の比は65:35〕を用い、スクリュー回転数および押し出し量を変えることにより、比エネルギーの量を変化させた。その操作条件の詳細は、表2のとおりである。
【0031】
【表2】
【0032】
製造方法III ;
製造方法IIのスクリュー形状を混練り効果の弱いフルフライトスクリュータイプ(すべて送り部分)を用いる以外は、製造方法IIと同様に行った。
製造方法IV;
バッチ式混練り機〔森山製作所(株)製、3Lニーダ〕を用い、全成分を一括添加し、230℃、60rpmにて6分間混練りしたのち取り出し、ロールによりシート化し冷却したのち、角切りペレタイザーによりペレット化したものをサンプルとして用いた。
【0033】
成形
表面硬度、引っ張り試験および圧縮永久歪試験においては、ペレットのサンプルを射出成形にて2mm厚のシートを作製し、試験に供した。
成形機 ;日本製鋼(株)製、N−100、6.5oz射出成形機
成形温度;230℃
射出圧力;一次圧500kg/cm2 、二次圧400kg/cm2
射出速度;低速(A−6)
成形速度;50秒サイクル
金型温度;40℃
金型 ;フィルムゲート 2mm厚角板
【0034】
試験・測定方法
▲1▼表面硬度
JIS K6301 JIS A法による。
▲2▼破断点応力および破断時伸び
JIS K6301による。
▲3▼圧縮永久歪
JIS K6301に従い、2mm厚角板により規定の形状を打抜き積み重ねにより規定の厚さとし、その試験片を用い、以下の条件で測定した。
条件;70℃×22時間、圧縮率25%
【0035】
▲4▼押し出し外観
(株)島津製作所製、高化式フローテスター機を用い、200℃、30kg荷重の条件により、ノズル1mmφ×2mmLより押し出された試験物を目視により判定した。
○;表面が平滑
△;表面が凸凹
×;表面が凸凹大
【0036】
▲5▼シクロヘキサン不溶分
1mm角以下に細断し、シクロヘキサン中に浸漬し、23℃×48時間後のシクロヘキサン不溶物を取り出し、真空乾燥(105℃×1時間)後、次式によりシクロヘキサン不溶分を算出した。
シクロヘキサン不溶分(%)={抽出後の試料重量−〔抽出前の試料重量×(B)〜(C)成分の配合割合〕/〔抽出前の試料重量×(A)成分の配合割合〕}×100
【0037】
実施例および比較例の結果
結果を表3〜7に示す。
本発明の組成物(実施例1〜15)は、特定の架橋剤を用い、高剪断可能な押し出し機を用いて架橋剤の存在下に高剪断の条件下で動的熱処理を施すことで、強度、弾性回復性および成形加工性のバランスのよいものが得られることが分かる。
【0038】
これに対し、比較例1〜4は、押し出し機の比エネルギーが0.1kW・hr/kg未満の場合であり、また比較例5はバッチ式混練り機で混練りした場合であり、いずれも強度、弾性回復性、成形加工性に劣ることが分かる。比較例6は、(C)ビスマレイミド化合物を配合しない例であり、動的熱処理が行われておらず、弾性回復性に劣り、また強度に劣る。比較例7は、(C)ビスマレイミド化合物の代わりに、従来の有機過酸化物を用いた例であり、強度、弾性回復性、成形加工性に劣る。比較例8は、(A)ゴム状物質が本発明の範囲外で多く、かつ(B)熱可塑性樹脂が本発明の範囲外で少ない例であり、強度、弾性回復性、成形加工性に劣る。比較例9は、(A)ゴム状物質が本発明の範囲外で少なく、かつ(B)熱可塑性樹脂が本発明の範囲外で多い例であり、硬度が硬すぎ、弾性回復性が劣る。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の架橋剤を用い、高剪断可能な押し出し機により高剪断の条件下で動的熱処理することにより、均一に混合された、高強度、低圧縮永久歪でかつ成形加工性に優れた動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物を製造することができる。
本発明により得られる組成物は、従来公知の成形法、例えば押し出し成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、積層成形、カレンダー成形などにより、実用上有用な成形品に加工することができる。また、必要に応じて発泡、延伸、接着、印刷、塗装、メッキなどの加工を施すこともできる。
本発明により得られる組成物の用途としては、例えばエアダクト、車内表皮材などの自動車内外装用途、土木シート、防水シートなどの土木・建築用途、日用雑貨用途、スポーツ用途、弱電部品、工業用品、ガスケットシール部品などに使用することができる。
Claims (6)
- (A)(1)エチレン−プロピレン−ジエン・ランダム共重合体(EPDM)、(2)イソプレン−イソブチレン共重合体(IIR)、(3)アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)またはその部分水添物、および(4)スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)またはその部分水添物から選ばれた少なくとも1種からなる炭素−炭素不飽和結合を有するゴム状物質30〜80重量部、(B)ポリオレフィン系樹脂からなる炭素−炭素不飽和結合を含まない熱可塑性樹脂70〜20重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕、および(C)ビスマレイミド化合物を(A)成分100重量部に対し0.01〜7重量部含む混合物〔ただし、変性ポリオレフィン系樹脂を含まない〕を、押し出し機の比エネルギー(kW・hr/kg)が0.1以上の条件下で動的熱処理を行うことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (C)ビスマレイミド化合物がN,N'−m−フェニレンビスマレイミドまたはN,N'−エチレンビスマレイミドである請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (A)成分のシクロヘキサン不溶分が60重量%以上である請求項1または2記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- (A)成分が粒子状であり、嵩密度が0.2〜0.6g/cm3である請求項1〜3いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 押し出し機の比エネルギーを0.1〜1.0kW・hr/kgで行う請求項1〜4いずれか1項記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 動的熱処理時の処理温度が170〜280℃、処理時間が15〜240秒である請求項1〜5いずれか1項記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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